IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特開2025-142092半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器
<>
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図1
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図2
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図3
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図4
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図5
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図6
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図7
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図8
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図9
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図10
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図11
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図12
  • 特開-半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142092
(43)【公開日】2025-09-29
(54)【発明の名称】半導体装置、表示装置、撮像装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20250919BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025120648
(22)【出願日】2025-07-17
(62)【分割の表示】P 2021069265の分割
【原出願日】2021-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大重 秀将
(57)【要約】
【課題】素子基板の端子に対して配線基板の電極がずれて圧着された場合でも、素子基板と配線基板の導通不良を低減することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】第一基板と、第一基板の主面上に配された機能素子と、機能素子と電気的に接続され、第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、端子の端を覆う絶縁部と、端子と絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、第一基板の主面に垂直な断面において、絶縁部は、上辺と、上辺に対して傾斜した側辺とを有し、上辺の幅が、導電粒子の直径よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、前記第一基板の主面上に配された機能素子と、
前記機能素子と電気的に接続され、前記第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、
前記端子の端を覆う絶縁部と、
前記端子と前記絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、
前記第一基板の主面に垂直な断面において、前記絶縁部は、上辺と、該上辺に対して傾斜した側辺とを有し、前記上辺の幅が、前記導電粒子の直径よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と接続される半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像または表示を行う半導体装置は、素子及び外部接続端子が配置された素子基板を有し、素子基板は外部の回路と接続するための配線基板と接続される。配線基板(例えばフレキシブルプリント基板(以下、FPC))は、異方性導電膜(ACF)を介して素子基板の外部接続端子に接合される。
【0003】
近年、半導体装置の小型化に向けて、外部接続端子の領域を狭くするために外部接続端子間のピッチをより小さくすることが求められている。外部接続端子間のピッチが狭くなるにつれて、素子基板の外部接続端子と配線基板とのアライメントずれによる接合不良が発生しやすくなるという課題がある。
【0004】
特許文献1には、素子基板側の外部接続端子間に絶縁部を設け、FPCの配線のズレに対するガイド部材とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-232660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、外部接続端子間の絶縁部をガイド部材とするには、配線基板の電極が素子基板の外部接続端子上に確実に収まるように、配線基板と素子基板をアライメントする必要がある。そのため、アライメントマージンを考慮して広めに外部接続端子を設計する必要があり、結果として、外部接続端子間のピッチを狭くすることが難しいという課題があった。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、素子基板の端子に対して配線基板の電極がずれて圧着された場合でも、素子基板と配線基板の導通不良を低減することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係わる半導体装置は、第一基板と、前記第一基板の主面上に配された機能素子と、前記機能素子と電気的に接続され、前記第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、前記端子の端を覆う絶縁部と、前記端子と前記絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、前記第一基板の主面に垂直な断面において、前記絶縁部は、上辺と、該上辺に対して傾斜した側辺とを有し、前記上辺の幅が、前記導電粒子の直径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、素子基板の端子に対して配線基板の電極がずれて圧着された場合でも、素子基板と配線基板の導通不良を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置を説明する模式図。
図2】一実施形態の半導体装置における接合領域の断面模式図。
図3】一実施形態の半導体装置における接合領域の断面模式図。
図4】一実施形態の半導体装置におけるACF圧着工程における接合領域の断面模式図。
図5】一実施形態における有機EL表示装置の接合領域の断面模式図。
図6】有機EL表示装置の製造方法について説明する図。
図7】端子間絶縁層をエッチバック法で形成する場合の接合領域の断面模式図。
図8】一実施形態に係る発光装置の画素を表す断面模式図。
図9】一実施形態に係る表示装置を表す模式図。
図10】一実施形態に係る撮像装置と電子機器を表す模式図。
図11】一実施形態に係る表示装置を表す模式図。
図12】一実施形態に係る照明装置と移動体の模式図。
図13】一実施形態に係るウェアラブルデバイスを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の上面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるX-X’断面図である。
【0013】
図1(a)に示すように、半導体装置500は素子基板100と配線基板300と異方性導電膜200とを備える。素子基板100は、その主面上に機能素子40が設けられる有効領域AAと、有効領域AAの周辺に位置する周辺領域PAを備える。そして、周辺領域PAには、さらに配線基板300との接合領域MAが設けられ、接合領域MAには異方性導電膜200が設けられる。周辺領域PAは、非有効画素が設けられた非有効画素領域(不図示)を含みうる。非有効画素とは、有効画素としては機能しない、ダミー画素や基準画素、テスト画素などである。
【0014】
図1(b)に示すように、素子基板100は基板SUBを含み、素子基板100の表面と裏面のうち、トランジスタ10が設けられた面を主面101とする。基板SUBの上にトランジスタ10が設けられ、トランジスタ10上には絶縁層20が設けられる。絶縁層20の内部には配線層30及び端子30Pが設けられる。複数配置された端子30P上の絶縁層20には開口が設けられており、外部接続端子30Pが外部に露出される。素子基板100の有効領域AAにおける絶縁層20上には機能素子40が設けられる。機能素子40は、半導体装置500が表示装置であれば表示素子である。表示素子はELD(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)におけるEL素子、DMD(デジタルミラーデバイス)における反射素子である。機能素子40は、半導体装置500が撮像素子であれば光電変換素子である。
【0015】
機能素子40上には機能素子40への水分の拡散を抑制するためのパッシベーション層PVが設けられる。接合領域MAにおける絶縁層20上には各端子30Pの間に端子間絶縁部50が設けられる。前述のパッシベーション層PVを接合領域MAまで形成し、端子間絶縁部50と兼用することもできる。端子30P及び端子間絶縁部50上には導電粒子220(図2参照)が含有された異方性導電膜(ACF)200が設けられ、異方性導電膜200を介して配線基板300が接合される(以下、ACF圧着と呼ぶ)。図示しないが、機能素子40が表示素子の場合、表示素子からの発光を効率的に取り出すために、機能素子40の上にレンズ層を設けることができる。また機能素子40が白色の光を発する有機EL素子の場合、機能素子40の上にカラーフィルター層を別途設けることもできる。前述のレンズ層及びカラーフィルター層と同層で端子間絶縁部50を形成しても構わない。またパッシベーション層PVを設けずに、機能素子40の上にガラス等の透明基板を接着剤で貼り合わせる構造でも構わない。
【0016】
図2(a)は、本実施形態の半導体装置の接合領域MAのみを拡大した断面模式図である。図2(b)は、ACF圧着直前の形状を示す断面模式図である。
【0017】
図2(a)に示すように、基板SUB上に絶縁層20が設けられ、絶縁層20内に端子30Pが設けられる。各端子30Pの間には端子間絶縁部50が設けられ、端子間絶縁部50は絶縁層20及び各端子30Pの外端部を覆っている。端子間絶縁部50として防湿性の高い無機膜(水分の透過率の低い無機膜)を端子間の絶縁層20の上に形成することで、水分による半導体素子や有機EL表示素子などの機能素子40の劣化を抑制することができる。あるいは、端子間絶縁部50として弾性率の小さい樹脂膜を端子間の絶縁層20の上に形成することで、ACF圧着の際に異方性導電膜200内に含有される導電粒子220によって絶縁層20が損傷されることを抑制することができる。異方性導電膜200は樹脂部210に導電粒子220が分散含有されて構成される。配線基板300はベース基材310と電極320からなる。素子基板100の端子30Pと配線基板300の電極320は一対一で対向しており、導電粒子220を介して電気的に接合される。
【0018】
次に、図2(b)を用いて、本実施形態の特徴的な部分である端子間絶縁部50の形状について説明する。なお図2(b)は配線基板300をACF接合する直前の断面図である。図2(b)に示すように、端子間絶縁部50は上面50Tと傾斜側面部50Sを有する略台形状断面を有する。
【0019】
ここで、端子間絶縁部50を複数の端子30Pが並ぶ方向に沿って切断した場合の断面において、端子間絶縁部50の上面(上辺)50Tの幅をW、絶縁層20及び端子30Pの外端部と接する端子間絶縁部50の下辺の幅をS、傾斜側面部(側辺)の幅をX、端子30Pの表面から端子間絶縁部50の上面50Tまでの高さをHとする。また上面50Tの法線と傾斜側面部50Sとのなす角をθとする。また端子間絶縁部50から露出している端子30Pの幅をLとし、導電粒子220の直径をRとする。
【0020】
隣接する端子間の距離である端子間ピッチPはL+Sで表すことができる。端子間ピッチPは、例えば30μm以下である。端子30Pの表面から端子間絶縁部50の上面50Tまでの高さHは導電粒子220の直径Rよりも小さいことが好ましい。高さHが導電粒子220の直径Rより大きい場合、アライメントずれによって配線基板300の電極320の一部が端子間絶縁部50に重畳した(重なった)状態で熱圧着されると、電極320が端子間絶縁部50の上面50Tに当接した時点でこれ以上電極が下降できなくなる。そのため、端子30P上の導電粒子220に電極320が当接しなくなり、導通不良が生じることになる。端子30Pの表面から端子間絶縁部50の上面50Tまでの高さHを導電粒子の直径Rより小さくすることで、アライメントずれによって配線基板300の電極320の一部が端子間絶縁部50に重畳したとしても安定して電気的な導通を得ることができる。
【0021】
また、本実施形態の端子間絶縁部50は、上面50Tの幅Wが導電粒子320の直径Rよりも小さいという特徴がある。端子間絶縁部50の上面50Tの幅Wを導電粒子220の直径Rよりも小さくする効果については後述する。
【0022】
端子間絶縁部50から露出している端子30Pの幅Lは例えば16μmである。端子間絶縁部50の下辺の幅Sは例えば6μmであり、よって端子間ピッチPは22μmである。導電粒子220の直径Rを例えば4μmとすると、端子間絶縁部50の上面50Tの幅Wは4μmよりも小さくすればよく、例えば3μmである。また、既に説明したように、端子30Pの表面から端子間絶縁部50の上面50Tまでの高さHも導電粒子220の直径Rより小さくするのが好ましく、例えば2μmである。また端子間絶縁部50の上面50Tの法線と傾斜側面部50Sとのなす角θは例えば60°である。
【0023】
端子間絶縁部50の上面50Tの幅Wが導電粒子220の直径Rよりも小さいことを満たせば、端子間絶縁部50は図2(b)に示すような略台形状だけでなく、図3(a)に示すような半円形状でも、図3(b)に示すような三角形状でもよい。さらには、図3(c)に示すような複数の傾斜側面部(50S1、50S2)を有する多角形状でも構わない。
【0024】
図3(a)に示すような半円形状の場合でも、端子30Pの表面から端子間絶縁部50の上面50Tまでの高さHは導電粒子220の直径Rより小さくするのが好ましい。また図3(a)、図3(b)に示すような半円形状及び三角形状の場合、端子間絶縁部50の上面の幅Wは限りなく0になり、本実施形態のW<Rという関係を満たす。端子間絶縁部50は楕円形状でもよく、楕円の頂部の幅をRより小さくすればよい。
【0025】
図3(c)に示すように複数の傾斜部を有する多角形状の場合、端子30Pに接触する傾斜部を50S1とし、傾斜部50S1に接続する傾斜部を50S2とする。この場合、端子30Pの表面から傾斜部50S1と傾斜部50S2の接続点までの高さH1を導電粒子220の直径Rより小さくするのが好ましい。複数の傾斜部を有する多角形状の場合でも端子30Pの表面から端子間絶縁部50の上面までの高さHを導電粒子220の直径Rより小さくするのがより好適である。少なくとも端子30Pの表面から傾斜部50S1と傾斜部50S2の接続点までの高さH1を導電粒子220の直径Rより小さくする。これにより、アライメントずれによって配線基板300の電極320の一部が端子間絶縁部50の傾斜部50S1に重畳したとしても、電極320が傾斜部50S1に接触することが抑制されるため、安定した導通を取ることができる。導電粒子220の直径Rが例えば4μmの場合、端子30Pの表面から傾斜部50S1と傾斜部50S2の接続点までの高さH1は例えば3μmである。端子間絶縁部50は左右の傾斜側面部50Sの傾斜角が異なる非対称の略台形状あるいは三角形状であってもよい。
【0026】
図4に示すように接合領域MA内で、端子間絶縁部50の形状を変える(端子間絶縁部50が複数種類の形状を有するようにする)こともできる。図4(a)は接合領域MAの中央近傍に位置する端子間の領域の断面模式図であり、図4(b)は接合領域MAの端部近傍にある端子間の領域の断面模式図である。接合領域MAの中央近傍では端子間絶縁部50は図4(a)に示すような正台形状である。一方、接合領域MAの端部近傍においては、端子間絶縁部50は図4(b)に示すように、左右非対称である。具体的には、接合領域MAの中央部寄りの傾斜側面部50SCの幅Xcが接合領域MAの端部寄りの傾斜側面部50SEの幅Xeよりも広い非対称台形状を有している。
【0027】
ACF接合の工程で、配線基板300及び素子基板100は接合領域MAの中央部から端部に向かって熱膨張するので、配線基板300の熱膨張量は接合領域MAの中央部よりも接合領域MAの端部のほうが大きい。接合領域MAの中央近傍では、配線基板300の熱膨張量が小さいため、図4(a)に示すように配線基板300の電極320が端子30Pの中心に位置している。それに対し、接合領域MAの端部近傍では、配線基板300の熱膨張量が大きいため、図4(b)のように配線基板300の電極320は端子30Pの中心からずれて端子間絶縁部50に重畳する。よって、接合領域MAの端部近傍では端子間絶縁部50の形状について、接合領域MAの中央部寄りの傾斜側面部50SCの幅Xcを接合領域MAの端部寄りの傾斜側面部50SEの幅Xeよりも広くする。これにより、配線基板300の熱膨張によるアライメントずれに対して導通不良の低減を図ることができる。端子間絶縁部50の形状を半円形状や楕円形状、非対称台形状にする場合は、後述するようなエッチバック法を用いることができる。
【0028】
次に、端子間絶縁部50の上面の幅Wを導電粒子の直径Rよりも小さくすることの効果について図5を用いて説明する。図5は素子基板100に配線基板300をACF接合する工程における接合領域の断面を時系列的に表した断面模式図である。配線基板300の電極320が、端子間絶縁部50に重畳した、いわゆるアライメントずれの状態を図示している。
【0029】
図5(a)は、素子基板100と配線基板300とを異方性導電膜200を介して仮貼りした状態、いわゆる仮圧着した状態を示している。仮圧着では通常60~90°C程度の低温で圧着される。この状態では、端子30Pと配線基板300の電極320とのギャップが導電粒子220の直径Rよりも大きいため、端子30Pと電極320はまだ導通していない。
【0030】
図5(b)は、配線基板300のベース基材310に圧着ヒーターHTが当接した状態で圧着ヒーターHTが徐々に下降する様子を示している。配線基板300のベース基材310を介して熱と荷重が樹脂部210に印加されると、樹脂部210は熱により軟化して流動的になり、導電粒子220は電極320に押されて樹脂部210の内部を移動する。図5(b)に導電粒子220にかかる力のベクトルVを示している。導電粒子220は、電極320に押されて端子間絶縁部50の傾斜側面部50Sに沿って移動し、最終的には図5(c)に示すように端子30P上に接触し、端子30Pと電極320の双方に接触した状態となる。この状態を保持しながら圧着ヒーターHTからの熱により樹脂部210が完全に硬化され、導電粒子220が端子30Pと電極320の双方に接触した状態で固定される。
【0031】
端子間絶縁部50の上面50Tの幅Wが大きくなるにつれて、端子間絶縁部50の上面50Tと電極320との間に導電粒子220が捕捉されやすくなる。端子間絶縁部50の上面50Tと電極320との間に導電粒子220が挟み込まれた状態になると、端子30Pと電極320との間のギャップが導電粒子220の直径Rよりも大きくなる。そのため、端子30Pと電極320の双方に導電粒子220が接触できなくなり、導通不良となる。端子間絶縁部50の上面50Tの幅Wは、導電粒子220の直径Rよりも小さいことが好ましく、より好ましくは導電粒子220の直径Rの1/2以下である。このように端子間絶縁部50の上面50Tの幅Wを導電粒子の直径Rよりも小さくすることで、端子間絶縁部50の上面50Tに導電粒子220が捕捉される確率を低減し、導通不良を低減することが可能となる。
【0032】
また、端子間絶縁部50の上面50Tの法線と傾斜部とのなす角θは30°以上70°以下であることが好ましい。θが30°より小さいと、端子間絶縁部50の傾斜側面部50Sの幅が狭くなり、本実施形態の効果が小さくなる。逆にθが70°より大きいと、導電粒子220が端子間絶縁部50の傾斜側面部50Sに沿って移動しにくくなるため、本実施形態の効果が小さくなる。それに加えて、傾斜側面部50Sの幅が広くなるため、結果として端子間ピッチが大きくなってしまう。以上のことから、θは30°以上70°以下が好ましい。以上説明したように、本実施形態により、素子基板100と配線基板300のアライメントのずれが生じた場合でも、基板間の導通不良を低減することができる。
【0033】
本実施形態の半導体装置の一例である有機EL表示装置700の製造方法について、図6を用いて説明する。図6に示すように、有機EL表示装置700は基板SUBを含む。基板SUBには、例えばシリコンを用いることができる。基板SUBの表面である主面101には、トランジスタ等の半導体素子10が設けられている。半導体素子10及び基板SUBの主面101の上には、絶縁層20が設けられている。絶縁層20には、酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等が用いられる。絶縁層20には、半導体素子10に電気的に接続されたコンタクトプラグ(不図示)が配置されている。コンタクトプラグにはタングステン等の導電部材が埋め込まれている。絶縁層20の内部には、コンタクトプラグを介して半導体素子10に電気的に接続された配線層30が設けられている。配線層30にはアルミニウム、銅などの金属部材が用いられ、絶縁層への金属拡散を抑制するために絶縁層と配線構造との界面にTi、Ta、TiN、TaN等のバリアメタルを設けてもよい。
【0034】
素子基板100の周辺回路領域PAには配線層30と同じ層で外部電源と接続するための端子30Pや接地配線30Cが設けられるが、端子30P上は絶縁層20が取り除かれ端子表面が露出した状態とする。また接地配線30Cも後述するように有機EL素子を構成する対向電極44と接続するために接地配線上が開口した状態とする。
【0035】
有効画素領域AAにおける絶縁層20の上には有機EL素子40が設けられる。有機EL素子40は少なくとも配線層30とスルーホールを介して電気的に接続された画素電極42、有機発光層43、対向電極44を有する。画素電極42は絶縁層20上に設けられた分離部41により画素毎に分離して配置される。分離部41により画素電極42の端部を被覆することで画素電極42と対向電極44の短絡を抑制することができる。画素電極42から正孔を注入、輸送しやすくするために正孔注入層、正孔輸送層を有機発光層との間に形成するのが好ましい。また対向電極44から電子を注入、輸送しやすくするために電子輸送層、電子注入層を有機発光層との間に形成するのが好ましい。ここでは、画素電極42/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/対向電極44の積層構造とした。
【0036】
対向電極44は全画素共通の電極であり、周辺回路領域PAまで延伸配置され、前述の接地配線30Cに接続される。接地配線30Cと対向電極44との接続部は、一般的にカソードコンタクトと呼ばれる。有機発光層43や対向電極44はメタルマスクを用いた蒸着やスパッタリングにより有効画素領域全面に形成されるが、メタルマスクと基板との間にギャップが生じるため、メタルマスク開口よりも外側に回り込みが発生する。有機発光層の回り込みは0.2mm以上であるため、カソードコンタクトの位置は少なくとも有効画素領域の端部から0.2mm以上外側に設けることが好ましい。
【0037】
この後、基板SUBの主面101の全面に有機EL素子40への水分の浸透を抑制するためのパッシベーション層PVを形成する。パッシベーション層PVとして窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁膜を使用することができる。本実施形態ではパッシベーション層PVとして窒化シリコンを2μm形成した。次いで、端子30P上に形成されたパッシベーション層PVをフォトリソグラフィ工程を用いてエッチング除去することで端子30Pを露出させる。つまり本実施形態では有機EL素子40を水分から保護するためのパッシベーション層PV(封止膜)を端子間絶縁部50と兼用している。パッシベーション層PVと端子間絶縁部50を同層で連続して形成することで工程を増やすことなく端子間絶縁部50を形成することができる。
【0038】
前述したように、端子間絶縁部50は上面50Tと傾斜側面部50Sを有している。端子間絶縁部50の傾斜側面部50Sを形成する方法としては、薬液を用いたウェットエッチングやケミカルドライエッチングなど任意のエッチング方法を用いることができる。本実施形態では、端子間絶縁部50としての窒化シリコンをCH22/O2/Arガスを用いてドライエッチングすることで傾斜側面部50Sを形成した。O2ガスを添加することで、ドライエッチング中にレジストを幅方向に後退させ、その結果任意の角度で傾斜した側面形状が得られる。
【0039】
また図7に示すように、レジストマスクRMの断面形状を半円形状とし、ドライエッチングする、いわゆるエッチバック法によってレジストマスクの半円形状を転写させることで、端子間絶縁部50を半円形状にすることができる。レジストマスクRMを非対称台形状や複数の傾斜部を有する多角形状にする場合も、同様にエッチバック法を用いて形成すればよい。
【0040】
上記のパッシベーション層PVの上に光取り出し効率を高めるためのレンズ構造(不図示)を別途設けてもよく、レンズ構造と同じ工程で半円形状の端子間絶縁部50を形成してもよい。
【0041】
次に、素子基板100に配線基板300を異方性導電膜200を介して圧着するACF接合工程を行う。本実施形態では、配線基板300としてフレキシブルプリント基板(FPC)を用いた。異方性導電膜200としてはエポキシ樹脂中に直径4μmの導電粒子220が分散された異方性導電テープを用いた。異方性導電テープをFPC(300)の電極面に貼り付け、FPC(300)及び素子基板100に形成されたアライメントマークにより、CCDカメラ等の画像を用いてアライメントした後に、FPC(300)を素子基板100に仮圧着する。仮圧着の温度は60°Cである。次いで、180°Cで20秒間本圧着することで異方性導電膜200の樹脂を完全に硬化させ、ACF接合が完了する。
【0042】
圧着装置にも依存するが画像を用いたアライメントの精度は6μm程度である。画像アライメントの精度に加えて、本圧着時に素子基板100と配線基板300との熱膨張量の差によるズレが生じることになる。配線基板300としてのFPCには、一般的にポリイミド樹脂がベース基材として用いられ、素子基板100のシリコンの熱膨張係数(3~4×10-6/°C)と近い熱膨張係数をもつ低膨張FPCも市販されている。
【0043】
例えば基材幅20mmの熱膨張量について計算すると、シリコンとポリイミドの熱膨張係数差がわずか0.7×10-6/°Cの低膨張FPCを用いたとしても、熱膨張量に2μmの差が生じる。また素子基板100とFPC(300)の熱膨張係数が同じであっても、圧着ヒーターが直接接触するFPCと、間接的に接触する素子基板とでは温度が異なるため、基板間の温度差によっても熱膨張量に差が生じる。幅20mmのシリコンとポリイミドで熱膨張係数がともに同じ3.7×10-6/°Cとしても、FPC(ポリイミド)の温度が200°C、異方性導電膜の温度が180°C、素子基板(シリコン)の温度が160°Cという温度分布が生じる場合、同様の基材幅20mmの熱膨張量において約3μmの差が生じる。
【0044】
よって、画像アライメント精度と熱膨張量のずれを両方考慮すると、合計10μm程度のずれを想定する必要がある。本実施形態では、露出している端子30Pの幅L=20μmであり、端子間絶縁部50は、上辺50Tの幅W=2μm、下辺幅S=8μm、端子間ピッチL+S=28μm、傾斜側面部50Sの幅が左右それぞれ3μmの台形状である。FPCの電極幅は8μmである。この場合、素子基板100の端子中心とFPC(300)の電極中心が片側6μm以上ずれると、FPC(300)の電極が端子間絶縁部50に重畳することになる。
【0045】
画像アライメント精度と熱膨張量差の要因によって、素子基板100の端子30Pの中心とFPCの電極320の中心が片側10μmずれると、FPCの電極320が端子間絶縁部50に4μm重畳することになる。しかし、本実施形態では、傾斜側面部50Sの幅が3μmであり電極320と端子間絶縁部50の上面とは1μmしか重畳しないので、電極320と端子間絶縁部50の上面50Tとの間に直径4μmの導電粒子220が捕捉される確率は非常に低い。また幅3μmの傾斜側面部50Sと電極320との間に存在する導電粒子220は、傾斜面に沿って端子部30P上に移動するので導通不良になりにくい。
【0046】
以上のように、端子間絶縁部50を上記の構成とすることで、素子基板100の端子部30Pに対して配線基板300の電極320がずれて圧着された場合の導通不良を低減することができる。換言すると、アライメント精度や熱膨張量差によるずれのマージンを考慮して端子幅30Pを広く設計する必要がなくなり、端子幅及び端子間ピッチを狭くすることが可能となる。その結果、半導体装置の小型化が可能となる。
【0047】
(比較例)
端子間絶縁部50の上面幅が大きい有機EL表示装置を作成し、上記の実施形態と比較した。露出している端子幅L=20μmであり、端子間絶縁部は上辺幅W=7μm、下辺幅S=8μm、端子間ピッチL+S=28μm、傾斜面の幅が左右それぞれ0.5μmの台形状であり、FPCの電極幅は8μm、導電粒子の直径は4μmである。端子間絶縁部50の形状以外は上記の実施形態の有機EL表示装置と同じ構造及び製法とした。
【0048】
実施形態と比較例の素子基板について、FPCを素子基板に対してアライメントする際に、意図的に5μm、7μm、9μmずらしてACF接合した有機EL表示装置を各10個ずつ作成し、導通不良の発生数を比較した。その結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1に示すように、比較例ではアライメントずれ量が7μm以上で導通不良が発生しているのに対して、本実施形態の構成では、アライメントずれ量が9μmでも導通不良が発生していない。よって、上記の実施形態の構成を用いることにより、配線基板300と素子基板100のアライメントずれ量が大きくなった場合の導通不良が抑制されることが確認された。
【0051】
[有機発光素子の構成]
次に、本実施形態の構成が適用される有機発光素子について説明する。有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して構成される。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
【0052】
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0053】
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0054】
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
【0055】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0056】
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0057】
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
【0058】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
【0059】
[有機化合物層]
有機化合物層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
【0060】
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、陰極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
【0061】
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
【0062】
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
【0063】
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
【0064】
[マイクロレンズ]
発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
【0065】
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
【0066】
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
【0067】
[有機層]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
【0068】
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0069】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0070】
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0072】
[画素回路]
発光装置は、発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
【0073】
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。
【0074】
画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。
【0075】
画素回路を構成するトランジスタは、第一の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
【0076】
発光領域の大きさに合わせて、駆動電流の大きさが決定されてよい。具体的には、第一の発光素子、第二の発光素子を同じ輝度で発光させる場合に、第一の発光素子に流される電流値は、第二の発光素子に流される電流値より小さくてもよい。発光領域が小さいので必要な電流が小さい場合があるためである。
【0077】
[画素]
発光装置は、複数の画素を有する。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
【0078】
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が、発光する。この領域は第一領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。
【0079】
副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
【0080】
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えは、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
【0081】
[本発明の一実施形態に係る有機発光素子の用途]
本発明の一実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
【0082】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
【0083】
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0084】
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置について説明する。
【0085】
図8は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるトランジスタとを有する表示装置の例を示す断面模式図である。トランジスタは、能動素子の一例である。トランジスタは薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。
【0086】
図8(a)は、本実施形態に係る表示装置の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素10を有している。副画素はその発光により、10R、10G、10Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出射する光がカラーフィルタ等により、選択的透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素は、層間絶縁層1の上に第一電極である反射電極2、反射電極2の端を覆う絶縁層3、第一電極と絶縁層とを覆う有機化合物層4、透明電極5、保護層6、カラーフィルタ7を有している。
【0087】
層間絶縁層1は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子を配されていてよい。トランジスタと第一電極は不図示のコンタクトホール等を介して電気的に接続されていてよい。
【0088】
絶縁層3は、バンク、画素分離膜とも呼ばれる。第一電極の端を覆っており、第一電極を囲って配されている。絶縁層の配されていない部分が、有機化合物層4と接し、発光領域となる。
【0089】
有機化合物層4は、正孔注入層41、正孔輸送層42、第一発光層43、第二発光層44、電子輸送層45を有する。
【0090】
第二電極5は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
【0091】
保護層6は、有機化合物層に水分が浸透することを低減する。保護層は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
【0092】
カラーフィルタ7は、その色により7R、7G、7Bに分けられる。カラーフィルタは、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ上に不図示の樹脂保護層を有してよい。また、カラーフィルタは、保護層6上に形成されてよい。またはガラス基板等の対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられてもよい。
【0093】
図8(b)の表示装置100は、有機発光素子26とトランジスタの一例としてTFT18が記載されている。ガラス、シリコン等の基板11とその上部に絶縁層12が設けられている。絶縁層の上には、TFT等の能動素子18が配されており、能動素子のゲート電極13、ゲート絶縁膜14、半導体層15が配置されている。TFT18は、他にも半導体層15とドレイン電極16とソース電極17とで構成されている。TFT18の上部には絶縁膜19が設けられている。絶縁膜に設けられたコンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
【0094】
なお、有機発光素子26に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、図8(b)に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFTソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
【0095】
図8(b)の表示装置100では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
【0096】
図8(b)の表示装置100ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
【0097】
また図8(b)の表示装置100に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0098】
図8(b)の表示装置100に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0099】
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
【0100】
図9は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0101】
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
【0102】
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0103】
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0104】
図10(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0105】
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本発明の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
【0106】
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
【0107】
図10(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部に映される。電子機器としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
【0108】
図11は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図11(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光装置が用いられてよい。
【0109】
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図11(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
【0110】
また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0111】
図11(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図11(b)の表示装置1310は、表示面が折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0112】
図12(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタは光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0113】
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本発明の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
【0114】
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
【0115】
図12(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
【0116】
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0117】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
【0118】
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
【0119】
図13は、本発明の一実施形態に係る発光装置を適用したウェアラブルデバイスの一例であり、眼鏡型の表示装置の模式図である。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有してよい。
【0120】
図13(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置が設けられている。
【0121】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0122】
図13(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0123】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0124】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
【0125】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0126】
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0127】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0128】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0129】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0130】
本明細書中の各用語は、本発明を説明する目的で用いられたものに過ぎず、その均等物をも含み得、本発明は、その用語の厳密な意味に限定されるものでない。
【0131】
上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0132】
10:トランジスタ、20:絶縁層、30:配線層、30P:端子、40:機能素子、50:端子間絶縁部、100:素子基板、200:異方性導電膜、210:樹脂部、220:導電粒子、300:配線基板、310:ベース基材、320:電極、500:半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2025-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、前記第一基板の主面上に配された機能素子と、
前記機能素子と電気的に接続され、前記第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、
前記端子の端を覆う絶縁部と、
前記端子と前記絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、
前記第一基板の主面に垂直な断面において、前記絶縁部は、上辺と、該上辺に対して傾斜した側辺とを有し、前記上辺の幅が、前記導電粒子の直径よりも小さく、
前記断面における前記上辺の法線と、前記側辺とがなす角度が30°以上70°以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第一基板と、前記第一基板の主面上に配された機能素子と、
前記機能素子と電気的に接続され、前記第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、
前記端子の端を覆う絶縁部と、
前記端子と前記絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、
前記第一基板の主面に垂直な断面において、前記絶縁部は、上辺と、該上辺に対して傾斜した側辺とを有し、前記端子の表面から前記上辺までの高さが、前記導電粒子の直径よりも小さく、
前記断面における前記上辺の法線と、前記側辺とがなす角度が30°以上70°以下であるいことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
第一基板と、前記第一基板の主面上に配された機能素子と、
前記機能素子と電気的に接続され、前記第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、
前記端子の端を覆う絶縁部と、
前記端子と前記絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、
前記第一基板の主面に垂直な断面において、前記絶縁部は、上辺と、該上辺に対して傾斜した側辺とを有し、該側辺は、前記端子に接触する第1の傾斜部と該第1の傾斜部と接続された第2の傾斜部とを含み、前記端子の表面から前記第1の傾斜部と前記第2の傾斜部の接続部までの高さが、前記導電粒子の直径よりも小さく、
前記断面における前記上辺の法線と、前記側辺とがなす角度が30°以上70°以下であるいことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記断面における前記絶縁部の断面形状が台形であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記断面における前記絶縁部の断面形状において、前記側辺が、前記端子に接触する第1の傾斜部と該第1の傾斜部に接続された第2の傾斜部とを含み、
前記第1の傾斜部の前記上辺に対する傾斜角と前記第2の傾斜部の前記上辺に対する傾斜角が異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記絶縁部の前記断面が、複数種類の断面形状を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記絶縁部と前記第二基板の前記電極が、前記半導体装置の上面から見た場合に、重なることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記端子が複数配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の前記端子のうちの隣接する端子間のピッチが30μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記機能素子の上に封止膜を有し、前記封止膜が前記絶縁部まで連続して配されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記機能素子の上に設けられたレンズ構造をさらに備え、前記絶縁部が前記レンズ構造と同一の材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記端子の下に設けられた絶縁層をさらに備え、前記絶縁部は前記絶縁層よりも弾性率が低いことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記端子の下に設けられた絶縁層をさらに備え、前記絶縁部は前記絶縁層よりも水分の透過率が低いことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項14】
複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置と、前記半導体装置に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項15】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項16】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明に係わる半導体装置は、第一基板と、前記第一基板の主面上に配された機能素子と、前記機能素子と電気的に接続され、前記第一基板とは異なる第二基板に配された電極と接続される端子と、前記端子の端を覆う絶縁部と、前記端子と前記絶縁部の上に配され、導電粒子を含有する導電膜と、を備え、前記第一基板の主面に垂直な断面において、前記絶縁部は、上辺と、該上辺に対して傾斜した側辺とを有し、前記上辺の幅が、前記導電粒子の直径よりも小さく、前記断面における前記上辺の法線と、前記側辺とがなす角度が30°以上70°以下であることを特徴とする。