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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014215
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20250123BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20250123BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116556
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】仮屋崎 修一
(57)【要約】
【課題】電子装置の性能を向上させる。
【解決手段】電子装置は、配線基板と、配線基板上に配置された記憶用半導体装置と、配線基板上に配置された制御用半導体装置とを備えている。配線基板は、第1固定電位配線および第2固定電位配線と、第1固定電位配線と第2固定電位配線との間に配置された複数の信号配線SGとを有する。複数の信号配線SGは、第1固定電位配線と隣り合う信号配線S1と、信号配線S1と隣り合う信号配線S2と、信号配線S2と隣り合う信号配線S3とを含む。信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を備える電子装置:
配線基板;
前記配線基板上に配置された記憶用の第1半導体装置;
前記配線基板上に配置され、かつ、前記第1半導体装置を制御する第2半導体装置、
ここで、
前記配線基板は、
第1固定電位配線および第2固定電位配線と、
平面視において前記第1固定電位配線と前記第2固定電位配線との間に配置され、かつ、前記第1半導体装置と前記第2半導体装置との間で信号を伝送するための複数の信号配線と、
を有し、
前記複数の信号配線は、
前記第1固定電位配線と隣り合う第1信号配線と、
前記第1信号配線と隣り合う第2信号配線と、
前記第2信号配線と隣り合う第3信号配線と、
を含み、
前記第2信号配線と前記第1固定電位配線との間に前記第1信号配線が配置され、
前記第3信号配線と前記第1信号配線との間に前記第2信号配線が配置され、
前記第1信号配線と前記第2信号配線との間の第1間隔は、前記第2信号配線と前記第3信号配線との間の第2間隔よりも小さい。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置において、
前記第3信号配線と前記第2固定電位配線とは、互いに隣り合っている、電子装置。
【請求項3】
請求項1記載の電子装置において、
前記複数の信号配線は、前記第3信号配線と隣り合う第4信号配線を更に含み、
前記第4信号配線と前記第2信号配線との間に前記第3信号配線が配置され、
前記第3信号配線と前記第4信号配線との間の第3間隔は、前記第2間隔よりも小さい、電子装置。
【請求項4】
請求項3記載の電子装置において、
前記第1間隔と前記第3間隔は、互いに同じである、電子装置。
【請求項5】
請求項4記載の電子装置において、
前記第4信号配線と前記第2固定電位配線とは、互いに隣り合っている、電子装置。
【請求項6】
請求項3記載の電子装置において、
前記複数の信号配線は、前記第4信号配線と隣り合う第5信号配線を更に含み、
前記第5信号配線と前記第3信号配線との間に前記第4信号配線が配置され、
前記第4信号配線と前記第5信号配線との間の第4間隔は、前記第1間隔よりも大きく、かつ、前記第3間隔よりも大きい、電子装置。
【請求項7】
請求項6記載の電子装置において、
前記第1間隔と前記第3間隔は、互いに同じであり、
前記第2間隔と前記第4間隔は、互いに同じである、電子装置。
【請求項8】
請求項7記載の電子装置において、
前記第5信号配線と前記第2固定電位配線とは、互いに隣り合っている、電子装置。
【請求項9】
請求項6記載の電子装置において、
前記複数の信号配線は、前記第5信号配線と隣り合う第6信号配線を更に含み、
前記第6信号配線と前記第4信号配線との間に前記第5信号配線が配置され、
前記第5信号配線と前記第6信号配線との間の第5間隔は、前記第2間隔よりも小さく、かつ、前記第4間隔よりも小さい、電子装置。
【請求項10】
請求項9記載の電子装置において、
前記第1間隔と前記第3間隔と前記第5間隔は、互いに同じであり、
前記第2間隔と前記第4間隔は、互いに同じである、電子装置。
【請求項11】
請求項10記載の電子装置において、
前記第6信号配線と前記第2固定電位配線とは、互いに隣り合っている、電子装置。
【請求項12】
請求項1記載の電子装置において、
前記複数の信号配線のそれぞれは、シングルエンド型である、電子装置。
【請求項13】
以下を備える電子装置:
配線基板;
前記配線基板上に配置された記憶用の第1半導体装置;
前記配線基板上に配置され、かつ、前記第1半導体装置を制御する第2半導体装置、
ここで、
前記配線基板は、
第1固定電位配線および第2固定電位配線と、
平面視において前記第1固定電位配線と前記第2固定電位配線との間に配置され、かつ、前記第1半導体装置と前記第2半導体装置との間で信号を伝送するための複数の信号配線と、
を有し、
前記複数の信号配線は、
前記第1固定電位配線と隣り合い、かつ、第1信号配線と第2信号配線とからなる第1差動対と、
前記第1差動対と隣り合い、かつ、第3信号配線と第4信号配線とからなる第2差動対と、
前記第2差動対と隣り合い、かつ、第5信号配線と第6信号配線とからなる第3差動対と、
を含み、
前記第2差動対と前記第1固定電位配線との間に前記第1差動対が配置され、
前記第3差動対と前記第1差動対との間に前記第2差動対が配置され、
前記第1差動対と前記第2差動対との間の第1間隔は、前記第2差動対と前記第3差動対との間の第2間隔よりも小さい。
【請求項14】
請求項13記載の電子装置において、
前記第3差動対と前記第2固定電位配線とは、互いに隣り合っている、電子装置。
【請求項15】
請求項13記載の電子装置において、
前記複数の信号配線は、前記第3差動対と隣り合い、かつ、第7信号配線と第8信号配線とからなる第4差動対を更に含み、
前記第4差動対と前記第2差動対との間に前記第3差動対が配置され、
前記第3差動対と前記第4差動対との間の第3間隔は、前記第2間隔よりも小さい、電子装置。
【請求項16】
請求項15記載の電子装置において、
前記第1間隔と前記第3間隔は、互いに同じである、電子装置。
【請求項17】
請求項16記載の電子装置において、
前記第4差動対と前記第2固定電位配線とは、互いに隣り合っている、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関し、例えば、複数の半導体装置と配線基板とを含む電子装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
特開2006-237385号公報(特許文献1)には、実装基板に複数の半導体メモリデバイスと、それら複数の半導体メモリデバイスを制御する半導体データ処理デバイスとを搭載した半導体装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-237385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本件発明者は、クロストークが均等になるように,複数の信号配線を均等に並べることを検討した。一方、近年では、電子装置の低コスト化の要求もある。そこで、本件発明者は、使用する配線基板の配線層の数を減らすことを検討した。この結果、他の配線層に設けていた他の配線を、この複数の信号配線が設けられている配線層に配置するための領域(スペース)を確保する必要がある。この対策として、本件発明者は、互いに隣り合う配線の間隔(ピッチ)を更に小さくすることを検討した。しかしながら、本件発明者の検討によれば、複数(3本以上)の信号配線を均等に並べた場合、ある信号配線を伝搬する信号が、この信号配線の1つ隣に位置する信号配線ではなく、2つ以上隣に位置する信号配線を伝搬する信号の影響を受け易くなることが分かった。すなわち、信号干渉によるタイミング変動が大きくなる虞がある。これは、電子装置の性能の低下を招くため、対策することが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、電子装置は、配線基板と、前記配線基板上に配置された記憶用の第1半導体装置と、前記配線基板上に配置され、かつ、前記第1半導体装置を制御する第2半導体装置と、を備えている。前記配線基板は、第1固定電位配線および第2固定電位配線と、平面視において前記第1固定電位配線と前記第2固定電位配線との間に配置された複数の信号配線と、を有している。前記複数の信号配線は、前記第1固定電位配線と隣り合う第1信号配線と、前記第1信号配線と隣り合う第2信号配線と、前記第2信号配線と隣り合う第3信号配線と、を含む。前記第1信号配線と前記第2信号配線との間の第1間隔は、前記第2信号配線と前記第3信号配線との間の第2間隔よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
一実施の形態によれば、電子装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の電子装置を模式的に示す平面図である。
図2】実施の形態1の電子装置の要部断面図である。
図3】実施の形態1の電子装置に用いられている配線基板の配線領域の部分拡大平面図である。
図4】実施の形態1の電子装置に用いられている配線基板の配線領域の部分拡大平面図である。
図5】実施の形態1の電子装置に用いられている配線基板の配線領域の部分拡大平面図である。
図6】実施の形態1の電子装置に用いられている配線基板の配線領域の部分拡大平面図である。
図7】第1検討例の配線基板の要部平面図である。
図8】第2検討例の配線基板の要部平面図である。
図9】クロストークによって引き起こされるタイミング変動を説明するための説明図である。
図10】制御用の半導体装置によりメモリ用の半導体装置の書き込み動作を行ったときの、タイミングマージンの一例を示すグラフである。
図11】制御用の半導体装置によりメモリ用の半導体装置の読み出し動作を行ったときの、タイミングマージンの一例を示すグラフである。
図12】実施の形態2の電子装置に用いられている配線基板の配線領域の部分拡大平面図である。
図13】実施の形態2の電子装置に用いられている配線基板の配線領域の部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0010】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0011】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0012】
(実施の形態1)
<電子装置の全体構成>
図1は、本実施の形態の電子装置DSを模式的に示す平面図である。
【0013】
図1に示されるように、本実施の形態の電子装置DSは、配線基板(実装基板)PBと、配線基板PB上に搭載されたメモリ(記憶)用の半導体装置(半導体メモリデバイス)MDと、配線基板PB上に搭載された制御用の半導体装置(半導体コントロールデバイス)CDと、を備えている。配線基板PB上に、更に他の電子部品(図示せず)を搭載することもできる。
【0014】
半導体装置MDは、メモリチップ(メモリ用の半導体チップ)を含む半導体装置である。本実施の形態では、半導体装置MDとして、メモリチップをパッケージ化した半導体パッケージを適用している。他の形態として、半導体装置MDとして、メモリチップを適用することもできる。
【0015】
本実施の形態では、配線基板PB上に2つの半導体装置MDを搭載した場合について説明している。配線基板PB上に搭載した2つの半導体装置MDのうちの一方を、以下では半導体装置MD1と称し、他方を、以下では半導体装置MD2と称する。半導体装置MD1と半導体装置MD2とには、同種(同じ構成)の半導体装置を用いることができる。
【0016】
半導体装置CDは、半導体装置MD1,MD2を制御する半導体装置である。本実施の形態では、半導体装置CDは、半導体装置MD1,MD2を制御するコントロールチップ(制御用の半導体チップ)である。すなわち、本実施の形態では、半導体装置CDとして、パッケージ化されていないコントロールチップ(すなわちコントロールチップ自体)を用いている。コントロールチップとしては、例えばSoC(System On a Chip)を用いることができる。他の形態として、半導体装置CDとして、コントロールチップをパッケージ化した半導体パッケージを適用することもできる。
【0017】
配線基板PBは、制御用の半導体装置CDとメモリ用の半導体装置MD1とを電気的に接続する複数の配線と、制御用の半導体装置CDとメモリ用の半導体装置MD2とを電気的に接続する複数の配線と、複数の電源配線PW1,PW2,PW3,PW4と、を有している。
【0018】
図1に示される配線領域RG1は、制御用の半導体装置CDとメモリ用の半導体装置MD1とを電気的に接続する複数の配線が配置された領域である。配線領域RG1には、複数(多く)の信号配線およびグラウンド配線が配置されている。図1に示される配線領域RG2は、制御用の半導体装置CDとメモリ用の半導体装置MD2とを電気的に接続する複数の配線が配置された領域である。配線領域RG2には、複数(多く)の信号配線およびグラウンド配線が配置されている。配線基板PBにおいて、半導体装置CDと半導体装置MD1との間に配線領域RG1が配置され、半導体装置CDと半導体装置MD2との間に配線領域RG2が配置されている。
【0019】
電源配線PW1,PW2,PW3,PW4は、電源電位が供給される配線である。配線基板PBにおいて、電源配線PW1と電源配線PW2は、配線領域RG1を挟むように、半導体装置CDと半導体装置MD1との間を延在している。すなわち、配線基板PBにおいて、電源配線PW1と電源配線PW2との間に、配線領域RG1が配置されている。
【0020】
配線基板PBにおいて、電源配線PW3と電源配線PW4は、配線領域RG2を挟むように、半導体装置CDと半導体装置MD2との間を延在している。すなわち、配線基板PBにおいて、電源配線PW3と電源配線PW4との間に、配線領域RG2が配置されている。
【0021】
制御用の半導体装置CDは、電源配線PW1,PW2,PW3,PW4のそれぞれと電気的に接続されている。メモリ用の半導体装置MD1は、電源配線PW1,PW2のそれぞれと電気的に接続されている。メモリ用の半導体装置MD2は、電源配線PW3,PW4のそれぞれと電気的に接続されている。これにより、電源配線PW1,PW2,PW3,PW4のそれぞれから半導体装置CDへ電源電位を供給することができる。電源配線PW1,PW2のそれぞれから半導体装置MD1へ電源電位を供給することができる。電源配線PW3,PW4のそれぞれから半導体装置MD2へ電源電位を供給することができる。
【0022】
なお、電子装置DSにおいては、半導体チップである半導体装置CDと、図示しない半導体チップを含む複数の半導体装置MD1,MD2とが配線基板PB上に搭載されているため、電子装置DSは半導体チップを含んでいることになる。このため、電子装置DSは、半導体装置とみなすこともできる。
【0023】
図2は、電子装置DSの要部断面図である。図2には、図1に示される配線領域RG1または配線領域RG2を通る断面が示されている。図2が配線領域RG1を通る断面の場合は、図2に示される信号配線SGは、配線領域RG1に配置された信号配線SGである。図2が配線領域RG2を通る断面の場合は、図2に示される信号配線SGは、配線領域RG2に配置された信号配線SGである。
【0024】
図3図4図5および図6のそれぞれは、図1に示される配線領域RG1または配線領域RG2の一部を拡大して示す部分拡大図である。
【0025】
詳細は後述するが、本実施の形態の技術思想は、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に3本以上の信号配線SGを配置し、それら3本以上の信号配線SGを、小さな配線間隔と、それよりも大きな配線間隔とを交互に繰り返して配列させることである。図3図4図5および図6は、この技術思想に従っているが、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置される信号配線SGの本数が、図3図4図5図6とで互いに相違している。
【0026】
図3には、2本のグラウンド配線GRと、平面視において2本のグラウンド配線GRの間に配置された3本の信号配線SGが示されている。図4には、2本のグラウンド配線GRと、平面視において2本のグラウンド配線GRの間に配置された4本の信号配線SGが示されている。図5には、2本のグラウンド配線GRと、平面視において2本のグラウンド配線GRの間に配置された5本の信号配線SGが示されている。図6には、2本のグラウンド配線GRと、平面視において2本のグラウンド配線GRの間に配置された6本の信号配線SGが示されている。図1の各配線領域RG1,RG2には、多くの信号配線SGおよびグラウンド配線GRが配置されており、図3図4図5および図6のそれぞれには、配線領域RG1または配線領域RG2に配置された多くの信号配線SGおよびグラウンド配線GRのうちの一部が示されている。
【0027】
半導体装置CDは、複数の端子(電極)TE1を有している(図2参照)。半導体装置MDは、複数の端子(電極)TE2を有している(図2参照)。
【0028】
図3図4図5および図6のそれぞれが、配線領域RG1の一部の拡大図である場合は、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGの一方の端部は、半導体装置CDの複数の端子TE1のいずれかと電気的に接続され、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGの他方の端部は、半導体装置MD1の複数の端子TE2のいずれかと電気的に接続されている。この場合、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGは、半導体装置CDと半導体装置MD1とを電気的に接続し、半導体装置CDと半導体装置MD1との間で信号を伝送する信号配線として機能する。
【0029】
図3図4図5および図6のそれぞれが、配線領域RG2の一部の拡大図である場合は、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGの一方の端部は、半導体装置CDの複数の端子TE1のいずれかと電気的に接続され、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGの他方の端部は、半導体装置MD2の複数の端子TE2のいずれかと電気的に接続されている。この場合、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGは、半導体装置CDと半導体装置MD2とを電気的に接続し、半導体装置CDと半導体装置MD2との間で信号を伝送する信号配線として機能する。
【0030】
半導体装置CDから半導体装置MD1へ、あるいは、半導体装置MD1から半導体装置CDへ、配線領域RG1に設けられた複数の信号配線SGを通じて信号を伝送することができる。半導体装置CDから半導体装置MD2へ、あるいは、半導体装置MD2から半導体装置CDへ、配線領域RG2に設けられた複数の信号配線SGを通じて信号を伝送することができる。なお、図3図4図5および図6に示される各信号配線SGは、シングルエンド型の信号配線である。
【0031】
配線基板PBが複数の配線層を有している場合には、図3図4図5および図6のそれぞれに示されるグラウンド配線GRおよび信号配線SGは、配線基板PBが有する複数の配線層のうちのいずれかの配線層に形成されている。
【0032】
ここで、図3図4図5および図6のそれぞれにおいて、2本のグラウンド配線GRのうちの一方を、以下ではグラウンド配線G1と称し、2本のグラウンド配線GRのうちの他方を、以下ではグラウンド配線G2と称する。グラウンド配線G1とグラウンド配線G2とは、平面視において互いに離間している。図3において、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された3本の信号配線SGについて、グラウンド配線G1からグラウンド配線G2に向かう方向に順に信号配線S1、信号配線S2および信号配線S3と称する。図4において、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された4本の信号配線SGについて、グラウンド配線G1からグラウンド配線G2に向かう方向に順に信号配線S1、信号配線S2、信号配線S3および信号配線S4と称する。図5において、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された5本の信号配線SGについて、グラウンド配線G1からグラウンド配線G2に向かう方向に順に信号配線S1、信号配線S2、信号配線S3、信号配線S4および信号配線S5と称する。図6において、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された6本の信号配線SGについて、グラウンド配線G1からグラウンド配線G2に向かう方向に順に信号配線S1、信号配線S2、信号配線S3、信号配線S4、信号配線S5および信号配線S6と称する。
【0033】
図3の場合、グラウンド配線G1と信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3とグラウンド配線G2とは、配線基板PBにおいて同層(同じ配線層)に形成されており、平面視において、この順に並んで並走している。図4の場合、グラウンド配線G1と信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3と信号配線S4とグラウンド配線G2とは、配線基板PBにおいて同層(同じ配線層)に形成されており、平面視において、この順に並んで並走している。図5の場合、グラウンド配線G1と信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3と信号配線S4と信号配線S5とグラウンド配線G2とは、配線基板PBにおいて同層(同じ配線層)に形成されており、平面視において、この順に並んで並走している。図6の場合、グラウンド配線G1と信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3と信号配線S4と信号配線S5と信号配線S6とグラウンド配線G2とは、配線基板PBにおいて同層(同じ配線層)に形成されており、平面視において、この順に並んで並走している。
【0034】
図3図4図5および図6のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1と信号配線S1とが互いに隣り合い、信号配線S1と信号配線S2とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S2と信号配線S3とが互いに隣り合っている。図3図4図5および図6のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1と信号配線S2との間に信号配線S1が配置され、かつ、信号配線S1と信号配線S3との間に信号配線S2が配置されている。
【0035】
図4図5および図6のそれぞれにおいて、信号配線S3と信号配線S4とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S2と信号配線S4との間に信号配線S3が配置されている。図5および図6のそれぞれにおいて、信号配線S4と信号配線S5とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S3と信号配線S5との間に信号配線S4が配置されている。図6において、信号配線S5と信号配線S6とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S4と信号配線S6との間に信号配線S5が配置されている。
【0036】
図3において、信号配線S3とグラウンド配線G2とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S2とグラウンド配線G2との間に信号配線S3が配置されている。図4において、信号配線S4とグラウンド配線G2とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S3とグラウンド配線G2との間に信号配線S4が配置されている。図5において、信号配線S5とグラウンド配線G2とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S4とグラウンド配線G2との間に信号配線S5が配置されている。図6において、信号配線S6とグラウンド配線G2とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S5とグラウンド配線G2との間に信号配線S6が配置されている。
【0037】
なお、2つの配線が互いに隣り合っていることは、その2つの配線の間に他の配線が配置されていないことを意味している。
【0038】
グラウンド配線GRは、グラウンド電位(基準電位)が供給される配線である。グラウンド配線G1とグラウンド配線G2は、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された複数の信号配線SGを、グラウンド配線G1,G2間の外側の配線から電磁気的にシールドする作用を有している。図3図4図5および図6のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された複数の信号配線SGの相互間には、グラウンド配線は配置されていない。
【0039】
次に、図3図4図5および図6のそれぞれにおける信号配線SG同士の間隔について説明する。
【0040】
ここで、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔(距離)を、間隔D1と称する。信号配線S2と信号配線S3との間の間隔(距離)を、間隔D2と称する。信号配線S3と信号配線S4との間の間隔(距離)を、間隔D3と称する。信号配線S4と信号配線S5との間の間隔(距離)を、間隔D4と称する。信号配線S5と信号配線S6との間の間隔(距離)を、間隔D5と称する。
【0041】
図3図4図5および図6のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された複数の信号配線SGは、等間隔に配置されているわけではない。
【0042】
具体的には、図3の場合は、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さい(すなわちD2>D1)。
【0043】
図4の場合は、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく、かつ、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さい(すなわちD2>D1かつD2>D3)。なお、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1と、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3とは、互いに同じであることが好ましい(すなわちD1=D3)。
【0044】
図5の場合は、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく、かつ、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4よりも小さい(すなわちD2>D1かつD4>D1)。そして、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく、かつ、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4よりも小さい(すなわちD2>D3かつD4>D3)。なお、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1と、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3とは、互いに同じであることが好ましい(すなわちD1=D3)。信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2と、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4とは、互いに同じであることが好ましい(すなわちD2=D4)。
【0045】
図6の場合は、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく、かつ、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4よりも小さい(すなわちD2>D1かつD4>D1)。そして、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく、かつ、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4よりも小さい(すなわちD2>D3かつD4>D3)。そして、信号配線S5と信号配線S6との間の間隔D5は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく、かつ、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4よりも小さい(すなわちD2>D5かつD4>D5)。なお、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1と、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3と、信号配線S5と信号配線S6との間の間隔D5とは、互いに同じであることが好ましい(すなわちD1=D3=D5)。信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2と、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4とは、互いに同じであることが好ましい(すなわちD2=D4)。
【0046】
グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された複数の信号配線SGについて、このような配線間隔を設定したことにより、それらの配線を配置するのに要する面積を抑制することと、複数の信号配線SGのそれぞれにおいて信号干渉に起因して生じるタイミング変動(信号タイミングの変動)を抑制することとを、実現することができる。その理由については、後で詳細に説明する。
【0047】
本実施の形態の技術思想に従って配列したグラウンド配線G1,G2とグラウンド配線G1,G2間の複数(3本以上)の信号配線SGが、図1に示される配線領域RG1,RG2の一方または両方において、1か所以上存在している。グラウンド配線G1,G2間の信号配線SGの本数は、図3では3本、図4では4本、図5では5本、図6では6本であるが、7本以上の場合もあり得る。
【0048】
本実施の形態では、配線基板PB上に2つのメモリ用の半導体装置MD(MD1,MD2)と、それら2つのメモリ用の半導体装置MDを制御する半導体装置CDとを配置した場合について説明したが、配線基板PB上に配置するメモリ用の半導体装置MDの数は、2つに限定されない。例えば、配線基板PB上に半導体装置MD2は搭載せずに、配線基板PB上に1つのメモリ用の半導体装置MD(MD1)と、そのメモリ用の半導体装置MDを制御する半導体装置CDとを配置した場合もあり得る。あるいは、配線基板PB上に3つ以上のメモリ用の半導体装置MDと、その3つ以上のメモリ用の半導体装置MDを制御する半導体装置CDとを配置した場合もあり得る。
【0049】
<検討の経緯>
図7は、本件発明者が検討した第1検討例の配線基板の要部平面図であり、本実施の形態の図3図4図5および図6に相当している。
【0050】
図7の第1検討例の場合は、信号配線SGとグラウンド配線GRとが交互に配列している。このため、各信号配線SGは、他の信号配線SGからのクロストークを受けにくくなる。
【0051】
しかしながら、図7の第1検討例の場合は、信号配線SGとグラウンド配線GRとが交互に配列しているため、必要な信号配線SGの数が増えると、それに応じて必要なグラウンド配線GRの数も増えてしまう。このため、配線基板における信号配線を配置するのに必要な領域(上記配線領域RG1,RG2に相当)の面積が増大する。これは、信号配線を接続する半導体装置の平面寸法(平面積)の増大を招き、更に、配線基板の平面寸法の増大を招いてしまう。
【0052】
図8は、本件発明者が検討した第2検討例の配線基板の要部平面図であり、本実施の形態の図3図4図5および図6に相当している。
【0053】
図8の第2検討例の場合は、2つのグラウンド配線G11,G12間に、複数(ここでは6本)の信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16が等間隔で配置されている。すなわち、図8の第2検討例の場合は、信号配線S11と信号配線S12との間の間隔D11と、信号配線S12と信号配線S13との間の間隔D12と、信号配線S13と信号配線S14との間の間隔D13と、信号配線S14と信号配線S15との間の間隔D14と、信号配線S15と信号配線S16との間の間隔D15とは、互いに同じである。つまり、D11=D12=D13=D14=D15が成り立つ。信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16の相互間にグラウンド配線は配置されていない。
【0054】
図8の第2検討例の場合は、2つのグラウンド配線G11,G12の間に、信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16を配置し、それら信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16の相互間にグラウンド配線は配置されていないことにより、必要な信号配線SGの数が増えたとしても、必要なグラウンド配線GRの数を抑制することができる。このため、配線基板における信号配線を配置するのに必要な領域(上記配線領域RG1,RG2に相当)の面積を抑制することができる。
【0055】
更に、図8の第2検討例の場合は、信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16が等間隔で配置されていることにより、信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16において隣り合う信号配線同士で生じるクロストークを抑制しやすくなる。なぜなら、隣り合う信号配線同士で生じるクロストークの大きさは、その隣り合う信号配線の間隔に依存し、隣り合う信号配線の間隔が小さくなるほど、隣り合う信号配線同士で生じるクロストークが大きくなるからである。グラウンド配線G11とグラウンド配線G12との間の間隔が変わらなければ、間隔D11,D12,D13,D14,D15を同じにした場合が、信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16における最小隣接間隔を最も大きくすることができる。その結果、信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16において隣り合う信号配線同士で生じるクロストークの大きさを均等にすることができ、特定の信号配線でクロストークが大きくなるのを防ぐことができる。
【0056】
しかしながら、本件発明者の検討によれば、図8の第2検討例の場合は、等間隔で配置された信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16のそれぞれは、一つ隣の信号配線からのクロストークの影響は抑制しやすいが、2つ以上隣の信号配線からのクロストークの影響を受けることによりタイミング変動(信号タイミングの変動)が生じるリスクが高いことが分かった。これについて、以下に説明する。
【0057】
上述した図8の第2検討例の配線配列は、全ての信号配線S11,S12,S13,S14,S15,S16が非同期でかつランダムに動いている場合には、好ましい配線配列と考えられる。しかしながら、現実的には、信号配線を伝搬する信号は、クロックに同期した同期型信号である。そして、信号配線において、クロストークの大きさ自体を抑制するよりも、クロストークによって引き起こされるタイミング変動を抑制することが重要である。言い換えると、クロストークによって引き起こされるタイミング変動を抑制することができれば、クロストークの大きさ自体を抑制する必要はない。
【0058】
そこで、本件発明者は、クロストーク自体を最小化するのではなく,クロストークによって引き起こされるタイミング変動を、同期型信号に対して最小化することを検討した。
【0059】
図9は、クロストークによって引き起こされるタイミング変動を説明するための説明図である。なお、図9においては、ビクティム(Victim)信号を実線で示し、アグレッサ(aggressor)信号を一点鎖線で示している。図9において、符号CCは、制御用半導体装置の入出力回路であり、符号MCは、DRAM(メモリ用半導体装置)の入出力回路である。
【0060】
ビクティム信号(実線)に対してアグレッサ信号(一点鎖線)が0/1遷移を起こすと、その0/1遷移のタイミングで、アグレッサ信号のある割合が、クロストークとしてビクティム信号に加算または減算され、それによって、ビクティム信号電圧が変動する。このとき、電圧を固定して見れば、ビクティム信号の傾きB2に反比例して、B1/B2の分だけ、ビクティム信号が時間方向に変動する。これが、クロストークによって引き起こされるタイミング変動である。ここで、上記B1はクロストークによって引き起こされるビクティム信号電圧変動である。
【0061】
ビクティム信号が0/1遷移をする以上、必然的に、ビクティム信号の傾きは、ビクティム信号の0/1遷移点で最大となり、ビクティム信号の0/1遷移点から離れるにしたがって、ビクティム信号の傾きは減少する。従って、クロストーク電圧あたりのタイミング変動は、ビクティム信号の0/1遷移のタイミングとアグレッサ信号の0/1遷移のタイミングとが一致しているときに、最小となる。言い換えると、ビクティム信号とアグレッサ信号のスキュー(skew)が小さいほど、クロストーク電圧あたりのタイミング変動は小さくなる。
【0062】
つまり、アグレッサ信号からのクロストークが発生するタイミングが、ビクティム信号の0/1遷移のタイミングと一致している場合は、そのクロストークによって引き起こされるビクティム信号のタイミング変動(時間方向の変動)は小さい。そして、アグレッサ信号からのクロストークが発生するタイミングと、ビクティム信号の0/1遷移のタイミングとのずれが大きくなるほど、そのクロストークによって引き起こされるビクティム信号のタイミング変動(時間方向の変動)は大きくなる。アグレッサ信号からのクロストークが発生するタイミングは、アグレッサ信号の0/1遷移のタイミングと一致している。このため、ビクティム信号とアグレッサ信号のスキューがゼロの場合は、クロストークによって引き起こされるビクティム信号のタイミング変動(時間方向の変動)は小さいが、ビクティム信号とアグレッサ信号のスキューが大きくなるほど、クロストークによって引き起こされるビクティム信号のタイミング変動(時間方向の変動)は大きくなる。従って、スキューが小さい信号同士では、同じクロストーク電圧あたりのタイミング変動が小さいことが分かる。
【0063】
そこで、スキューが小さい信号同士が、配線基板のどの信号配線を伝送されるのかが重要となる。配線基板において、隣り合う信号配線同士では、伝送される信号のスキューが小さい可能性が高い。その理由は、次の通りである。
【0064】
制御用の半導体装置の複数の端子と、メモリ用の半導体装置の複数の端子とが、複数の信号配線を介してそれぞれ電気的に接続されており、それら複数の信号配線を通じて、制御用の半導体装置とメモリ用の半導体装置との間で信号が伝送される。バス型の複数の信号配線の並びを考えたとき、信号配線の並び順はランダムに決まっているわけではない。隣り合う信号配線同士は、制御用の半導体装置において近接する端子同士に接続され、かつ、メモリ用の半導体装置において近接する端子同士に接続される可能性が高い。加えて、隣り合う信号配線同士は、特性インピーダンスが同程度である可能性が高い。このため、隣り合う信号配線同士では、伝送される信号のスキューが小さくなりやすい。一方、間に1つ以上の他の信号配線を挟んだ信号配線同士では、伝送される信号のスキューが大きくなりやすい。
【0065】
例えば、図8の第2検討例において、信号配線S11に着目する。信号配線S11を伝送される信号と信号配線S12を伝送される信号のスキューは小さい可能性が高い。それに比べると、信号配線S11を伝送される信号と信号配線S13を伝送される信号のスキューは大きく、信号配線S11を伝送される信号と信号配線S14を伝送される信号のスキューは更に大きく、信号配線S11を伝送される信号と信号配線S15を伝送される信号のスキューは更に大きい可能性が高い。
【0066】
図8の第2検討例において、信号配線S12,S13,S14,S15,S16からのクロストークにより、信号配線S11を伝送される信号のタイミング変動が生じ得る。上述したように、隣り合う信号配線同士では、伝送される信号のスキューが小さい可能性が高いことから、信号配線S12からのクロストークに起因して、信号配線S11を伝送される信号にタイミング変動は生じにくい。しかしながら、図8の第2検討例の場合は、信号配線S13,S14,S15,S16からのクロストークにより、信号配線S11を伝送される信号にタイミング変動が生じることが懸念される。一方、図8の第2検討例において、信号配線S12に着目すれば、信号配線S11,S13からのクロストークに起因して、信号配線S12を伝送される信号にタイミング変動は生じにくい。しかしながら、信号配線S14,S15,S16からのクロストークにより、信号配線S12を伝送される信号にタイミング変動が生じることが懸念される。他の信号配線S13,S14,S15,S16を伝送される信号のタイミング変動についても、同様に考えることができる。
【0067】
クロストークにより、信号配線を伝送される信号にタイミング変動が生じることは、電子装置の性能の低下を招くため、抑制する必要がある。
【0068】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の電子装置DSは、配線基板PBと、配線基板PB上に配置された記憶用の半導体装置MDと、配線基板PB上に配置され、かつ、半導体装置MDを制御する半導体装置CDと、を備えている。配線基板PBは、固定電位配線であるグラウンド配線G1,G2と、平面視においてグラウンド配線G1,G2間に配置され、かつ、半導体装置CDと半導体装置MDとの間で信号を伝送するための複数の信号配線SGとを有している。グラウンド配線G1,G2間に配置された複数の信号配線SGは、グラウンド配線G1と隣り合う信号配線S1と、信号配線S1と隣り合う信号配線S2と、信号配線S2と隣り合う信号配線S3とを含んでいる。平面視において、信号配線S2とグラウンド配線G1との間に信号配線S1が配置され、かつ、信号配線S3と信号配線S1との間に信号配線S2が配置されている。
【0069】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さい(D1<D2)ことである(図3図4図5および図6参照)。
【0070】
本実施の形態とは異なり、信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3とを等間隔で配置した場合を仮定する。この場合、上記図8の第2検討例に関連して説明したように、信号配線S1と信号配線S2との間のクロストークと、信号配線S2と信号配線S3との間のクロストークを抑制しやすいが、信号配線S1と信号配線S3との間のクロストークに起因して、信号配線S1,S3を伝送される信号にタイミング変動が生じることが懸念される。
【0071】
それに対して、本実施の形態では、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1を、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さくしている(すなわちD1<D2)。信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1を小さくしたことにより、信号配線S1と信号配線S2との電磁気的な結合が強くなり、信号配線S1と信号配線S2とのペアが、他の信号配線SG(S3)からのクロストークを受けにくくなる。このため、信号配線S1と信号配線S3との間のクロストーク、および信号配線S2と信号配線S3との間のクロストークに起因して、信号配線S1,S2,S3を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。なお、信号配線S1と信号配線S2は、互いに同じ長さを有し、かつ、互いに同じ特性インピーダンスを有することが好ましい。
【0072】
一方、本実施の形態では、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1を小さくしたことにより、信号配線S1と信号配線S2との間のクロストーク自体は大きくなり得る。しかしながら、信号配線S1と信号配線S2とは互いに隣り合っているため、信号配線S1を伝送される信号と信号配線S2を伝送される信号のスキューは小さい可能性が高い。このため、信号配線S1と信号配線S2との間のクロストークに起因して、信号配線S1,S2を伝送される信号にタイミング変動が生じるリスクは小さい。
【0073】
従って、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1を、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく(D1<D2)したことにより、クロストークに起因して信号配線S1,S2,S3を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0074】
図4図5および図6では、グラウンド配線G1,G2間に配置された複数の信号配線SGが、信号配線S3と隣り合う信号配線S4を更に含んでいる。信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく(D3<D2)している。信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1と、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3とは、互いに同じ(D1=D3)であることが好ましい。
【0075】
信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3を小さくしたことにより、信号配線S3と信号配線S4との電磁気的な結合が強くなり、信号配線S3と信号配線S4とのペアが、他の信号配線SG(S1,S2)からのクロストークを受けにくくなる。このため、信号配線S1と信号配線S3との間のクロストーク、信号配線S1と信号配線S4との間のクロストーク、信号配線S2と信号配線S3との間のクロストーク、および信号配線S2と信号配線S4との間のクロストークに起因して、信号配線S1,S2,S3,S4を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。なお、信号配線S3と信号配線S4は、互いに同じ長さを有し、かつ、互いに同じ特性インピーダンスを有することが好ましい。
【0076】
一方、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3を小さくしたことにより、信号配線S3と信号配線S4との間のクロストーク自体は大きくなり得る。しかしながら、信号配線S3と信号配線S4とは互いに隣り合っているため、信号配線S3を伝送される信号と信号配線S4を伝送される信号のスキューは小さい可能性が高い。このため、信号配線S3と信号配線S4との間のクロストークに起因して、信号配線S3,S4を伝送される信号にタイミング変動が生じるリスクは小さい。
【0077】
従って、クロストークに起因して信号配線S1,S2,S3,S4を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0078】
図5および図6では、グラウンド配線G1,G2間に配置された複数の信号配線SGが、信号配線S4と隣り合う信号配線S5を更に含んでいる。信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4は、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1よりも大きく(D4>D1)、かつ、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3よりも大きく(D4>D3)している。間隔D1と間隔D3とは、互いに同じ(D1=D3)であることが好ましい。間隔D2と間隔D4とは、互いに同じ(D2=D4)であることが好ましい。
【0079】
信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4を大きくしたことにより、信号配線S1と信号配線S2とのペアと、信号配線S3と信号配線S4とのペアが、信号配線S5からのクロストークを受けにくくなる。このため、信号配線S1と信号配線S5との間のクロストーク、信号配線S2と信号配線S5との間のクロストーク、信号配線S3と信号配線S5との間のクロストーク、および信号配線S4と信号配線S5との間のクロストークに起因して、信号配線S1,S2,S3,S4,S5を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0080】
従って、クロストークに起因して信号配線S1,S2,S3,S4,S5を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0081】
図6では、本実施の形態では、グラウンド配線G1,G2間に配置された複数の信号配線SGが、信号配線S5と隣り合う信号配線S6を更に含んでいる。信号配線S5と信号配線S6との間の間隔D5は、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく(D5<D2)、かつ、信号配線S4と信号配線S5との間の間隔D4よりも小さく(D5<D4)している。間隔D1と間隔D3と間隔D5とは、互いに同じ(D1=D3=D5)であることが好ましい。間隔D2と間隔D4とは、互いに同じ(D2=D4)であることが好ましい。
【0082】
これにより、信号配線S5と信号配線S6との電磁気的な結合が強くなり、信号配線S5と信号配線S6とのペアが、他の信号配線SG(S1,S2,S3,S4)からのクロストークを受けにくくなる。このため、信号配線S1,S3間、信号配線S1,S4間、信号配線S1,S5間、信号配線S1,S6間、信号配線S2,S3間、信号配線S2,S4間、信号配線S2,S5間、および信号配線S2,S6間のクロストークに起因して、信号配線S1,S2,S3,S4,S5,S6を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。更に、信号配線S3,S5間、信号配線S3,S6間、信号配線S4,S5間、および信号配線S4,S6間のクロストークに起因して、信号配線S1,S2,S3,S4,S5,S6を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。なお、信号配線S5と信号配線S6は、互いに同じ長さを有し、かつ、互いに同じ特性インピーダンスを有することが好ましい。
【0083】
一方、信号配線S5と信号配線S6との間の間隔D5を小さくしたことにより、信号配線S5と信号配線S6との間のクロストーク自体は大きくなり得る。しかしながら、信号配線S5と信号配線S6とは互いに隣り合っているため、信号配線S5を伝送される信号と信号配線S6を伝送される信号のスキューは小さい可能性が高い。このため、信号配線S5と信号配線S6との間のクロストークに起因して、信号配線S5,S6を伝送される信号にタイミング変動が生じるリスクは小さい。
【0084】
従って、クロストークに起因して信号配線S1,S2,S3,S4,S5,S6を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0085】
このように、本実施の形態では、クロストークに起因して信号配線を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができるため、電子装置の性能を向上させることができる。
【0086】
本実施の形態では、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に、複数の信号配線SGを配置し、それら複数の信号配線SGの相互間にグラウンド配線は配置されていない。これにより、必要な信号配線SGの数が増えたとしても、必要なグラウンド配線GRの数を抑制することができる。このため、配線基板における信号配線を配置するのに必要な領域(上記配線領域RG1,RG2に相当)の面積を抑制することができる。従って、電子装置の性能向上と、電子装置の小型化とを両立させることができる。
【0087】
上記間隔D1,D3,D5のそれぞれは、上記間隔D2,D4のそれぞれよりも小さい。このため、上記間隔D1,D3,D5は、小さな配線間隔とみなすことができ、上記間隔D2,D4は、大きな配線間隔とみなすことができる。本実施形態では、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間において、小さな配線間隔と大きな配線間隔とを交互に繰り返して複数の信号配線SGを配列させている。このため、図6の変形例として、信号配線S6とグラウンド配線G2との間に更に信号配線S7(図示せず)を配置させる場合は、その信号配線S7と信号配線S6との間の間隔は、上記間隔D2,D4と同様の大きな配線間隔に設定すればよい。信号配線S7とグラウンド配線G2との間に更に信号配線S8(図示せず)を配置させる場合は、その信号配線S8と信号配線S7との間の間隔は、上記D1,D3,D5と同様の小さな配線間隔に設定すればよい。更に信号配線を追加する場合も、同様に考えることができる。
【0088】
本実施の形態の技術思想を適用する信号配線SGは、シングルエンド型の信号配線であるが、シングルエンド型のデータ信号配線であることが好ましい。データ信号配線を伝送されるデータ信号は、コマンド・アドレス信号およびクロック信号よりも高周波である。
【0089】
本実施の形態では、2本の固定電位配線の間に複数の信号配線SGを配置して、その複数の信号配線SGをシールドしており、その2本の固定電位配線としてグラウンド配線G1,G2を用いている。グラウンド配線G1,G2は、グラウンド電位が供給される固定電位配線であり、グラウンド配線G1,G2のそれぞれの電位は、グラウンド電位に固定されている。変形例として、グラウンド配線G1,G2の代わりに、グラウンド電位以外の固定電位(電源電位)が供給される固定電位配線を用いることもできる。すなわち、グラウンド電位以外の固定電位が供給される2本の固定電位配線の間に、複数の信号配線SGを配置し、それら複数の信号配線SGの間隔を、上述のように設定することができる。その場合、2本の固定電位配線のそれぞれに供給される固定電位は、互いに同じである。
【0090】
図10は、制御用の半導体装置によりメモリ用の半導体装置への書き込み動作を行ったときの、タイミングマージンの一例を示すグラフである。図11は、制御用の半導体装置によりメモリ用の半導体装置からの読み出し動作を行ったときの、タイミングマージンの一例を示すグラフである。タイミングマージンは、信号配線を伝送される信号に生じるタイミング変動の大きさを評価する指標の一つである。タイミングマージンが大きいほど、信号配線を伝送される信号に生じるタイミング変動が小さいという関係にある。
【0091】
図10および図11のそれぞれにおいて、上記図3図4図5および図6のような本実施の形態の配線配列を適用した場合が実線で示され、上記図8の第2検討例のような配線配列を適用した場合が、点線で示されている。
【0092】
図10および図11のそれぞれにおいて、点線のグラフ(第2検討例)よりも、実線のグラフ(本実施の形態)の方が、タイミングマージンが大きくなっている。このことからも、上記図8の第2検討例のようにグラウンド配線G11,G12間に複数の信号配線を等間隔で配列した場合に比べて、本実施の形態のように、グラウンド配線G1,G2間に、小さな配線間隔と大きな配線間隔とを交互に繰り返して複数の信号配線SGを配列させた方が、信号配線を伝送される信号に生じるタイミング変動を抑制できることが分かる。
【0093】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、グラウンド配線G1,G2間に配置された複数の信号配線SGがシングルエンド型である場合について、それらシングルエンド型の複数の信号配線SGの配線間隔の設定の仕方について説明した。
【0094】
本実施の形態2では、グラウンド配線G1,G2間に配置された複数の信号配線SGが、シングルエンド型ではなく、差動型の信号配線である場合について、説明する。差動型の信号配線である場合には、差動信号対を1つの信号とみなして、上記実施の形態1の規則にしたがって信号配線を配置する。
【0095】
図12および図13のそれぞれは、図1に示される配線領域RG1または配線領域RG2の一部を拡大して示す部分拡大図である。
【0096】
上記本実施の形態1の技術思想は、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に3本以上のシングルエンド型の信号配線を配置し、それら3本以上のシングルエンド型の信号配線を、小さな配線間隔と、それよりも大きな配線間隔とを交互に繰り返して配列させることである。
【0097】
一方、本実施の形態2の技術思想は、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に3つ以上の差動対を配置し、それら3つ以上の差動対を、小さな間隔と、それよりも大きな間隔とを交互に繰り返して配列させることである。なぜなら、2本の信号配線のペア(差動対)が、シングルエンド型の1本の信号配線と等価の信号配線として機能するからである。なお、前記小さな間隔と前記大きな間隔のそれぞれは、互いに隣り合う2つの差動対同士の間隔である。図12および図13は、この技術思想に従っているが、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置される差動対の数が、図12図13とで互いに相違している。図12の場合は、グラウンド配線G1,G2間に配置される差動対の数は3つであり、図13の場合は、グラウンド配線G1,G2間に配置される差動対の数は4つである。
【0098】
図12には、2本のグラウンド配線GRと、平面視において2本のグラウンド配線GRの間に配置された6本の信号配線SGが示されている。図13には、2本のグラウンド配線GRと、平面視において2本のグラウンド配線GRの間に配置された8本の信号配線SGが示されている。上記実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、各信号配線SGは、半導体装置CDと半導体装置MDとを電気的に接続し、半導体装置CDと半導体装置MDとの間で信号を伝送する信号配線として機能する。
【0099】
但し、本実施の形態2では、図12および図13に示される各信号配線SGは、シングルエンド型の信号配線ではなく、差動型の信号配線であり、隣り合う2本の信号配線SGにより差動対が形成される。
【0100】
本実施の形態2においても、図12および図13のそれぞれにおいて、2本のグラウンド配線GRのうちの一方をグラウンド配線G1と称し、2本のグラウンド配線GRのうちの他方をグラウンド配線G2と称する。図12において、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された6本の信号配線SGについて、グラウンド配線G1からグラウンド配線G2に向かう方向に順に信号配線S1、信号配線S2、信号配線S3、信号配線S4、信号配線S5および信号配線S6と称する。図13において、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された8本の信号配線SGについて、グラウンド配線G1からグラウンド配線G2に向かう方向に順に信号配線S1、信号配線S2、信号配線S3、信号配線S4、信号配線S5、信号配線S6、信号配線S7および信号配線S8と称する。
【0101】
図12の場合、グラウンド配線G1と信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3と信号配線S4と信号配線S5と信号配線S6とグラウンド配線G2とは、配線基板PBにおいて同層(同じ配線層)に形成されており、平面視において、この順に並んで並走している。図13の場合、グラウンド配線G1と信号配線S1と信号配線S2と信号配線S3と信号配線S4と信号配線S5と信号配線S6と信号配線S7と信号配線S8とグラウンド配線G2とは、配線基板PBにおいて同層(同じ配線層)に形成されており、平面視において、この順に並んで並走している。
【0102】
図12および図13のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1と信号配線S1とが互いに隣り合い、信号配線S1と信号配線S2とが互いに隣り合い、信号配線S2と信号配線S3とが互いに隣り合い、信号配線S3と信号配線S4とが互いに隣り合い、信号配線S4と信号配線S5とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S5と信号配線S6とが互いに隣り合っている。図12および図13のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1と信号配線S2との間に信号配線S1が配置され、信号配線S1,S3間に信号配線S2が配置され、信号配線S2,S4間に信号配線S3が配置され、信号配線S3,S5間に信号配線S4が配置され、信号配線S4,S6間に信号配線S5が配置されている。
【0103】
図12において、信号配線S6とグラウンド配線G2とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S5とグラウンド配線G2との間に信号配線S6が配置されている。
【0104】
図13において、信号配線S6と信号配線S7とが互いに隣り合い、信号配線S7と信号配線S8とが互いに隣り合い、かつ、信号配線S8とグラウンド配線G2とが互いに隣り合っている。図13において、信号配線S5,S7間に信号配線S6が配置され、信号配線S6,S8間に信号配線S7が配置され、かつ、信号配線S7とグラウンド配線G2との間に信号配線S8が配置されている。
【0105】
図12および図13のそれぞれにおいて、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に配置された複数の信号配線SGの相互間には、グラウンド配線は配置されていない。
【0106】
図12の場合は、信号配線S1と信号配線S2とにより差動対P1が形成され、信号配線S3と信号配線S4とにより差動対P2が形成され、かつ、信号配線S5と信号配線S6とにより差動対P3が形成されている。図13の場合は、信号配線S1と信号配線S2とにより差動対P1が形成され、信号配線S3と信号配線S4とにより差動対P2が形成され、信号配線S5と信号配線S6とにより差動対P3が形成され、かつ、信号配線S7と信号配線S8とにより差動対P4が形成されている。
【0107】
図12および図13のそれぞれにおいて、差動対P1はグラウンド配線G1と隣り合い、差動対P2は差動対P1と隣り合い、かつ、差動対P3は差動対P2と隣り合っている。図12および図13のそれぞれにおいて、差動対P2とグラウンド配線G1との間に差動対P1が配置され、かつ、差動対P3と差動対P1との間に差動対P2が配置されている。図12において、グラウンド配線G2は差動対P3と隣り合い、かつ、グラウンド配線G2と差動対P2との間に差動対P3が配置されている。
【0108】
図13において、差動対P4は差動対P3と隣り合い、かつ、グラウンド配線G2は差動対P4と隣り合っている。図13において、差動対P4と差動対P2との間に差動対P3が配置され、かつ、グラウンド配線G2と差動対P3との間に差動対P4が配置されている。
【0109】
図12および図13のそれぞれにおいて、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6は、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さい(すなわちD6<D7)。図13において、差動対P3と差動対P4との間の間隔D8は、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さい(すなわちD8<D7)。差動対P3と差動対P4との間の間隔D8は、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6と同じであることが好ましい(すなわちD6=D8)。
【0110】
なお、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6は、差動対P1を構成する信号配線S2と、差動対P2を構成する信号配線S3との間の間隔である。差動対P2と差動対P3との間の間隔D7は、差動対P2を構成する信号配線S4と、差動対P3を構成する信号配線S5との間の間隔である。差動対P3と差動対P4との間の間隔D8は、差動対P3を構成する信号配線S6と、差動対P4を構成する信号配線S7との間の間隔である。
【0111】
上記実施の形態1の技術思想を本実施の形態2に適用する場合、本実施の形態2における差動対P1が、上記実施の形態1におけるシングルエンド型の信号配線S1に相当する。本実施の形態2における差動対P2が、上記実施の形態1におけるシングルエンド型の信号配線S2に相当する。本実施の形態2における差動対P3が、上記実施の形態1におけるシングルエンド型の信号配線S3に相当する。本実施の形態2における差動対P4が、上記実施の形態1におけるシングルエンド型の信号配線S4に相当する。
【0112】
このため、上記実施の形態1において、信号配線S1と信号配線S2との間の間隔D1を信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく(D1<D2)したことは、本実施の形態2においては、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6を、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さく(D6<D7)することに相当する。上記実施の形態1において、信号配線S3と信号配線S4との間の間隔D3を、信号配線S2と信号配線S3との間の間隔D2よりも小さく(D3<D2)したことは、本実施の形態2においては、差動対P3と差動対P4との間の間隔D8を、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さく(D8<D7)することに相当する。
【0113】
本実施の形態2とは異なり、差動対P1と差動対P2と差動対P3とを等間隔で配置した場合を仮定する。この場合、差動対P1と差動対P2との間のクロストークと、差動対P2と差動対P3との間のクロストークを抑制しやすいが、差動対P1と差動対P3との間のクロストークに起因して、差動対P1,P3を伝送される信号にタイミング変動が生じることが懸念される。
【0114】
それに対して、本実施の形態2では、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6を、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さく(D6<D7)している(図12および図13参照)。差動対P1と差動対P2との間の間隔D6を小さくしたことにより、差動対P1と差動対P2との電磁気的な結合が強くなり、差動対P1と差動対P2とのペアが、他の差動対(P3)からのクロストークを受けにくくなる。このため、差動対P1と差動対P3との間のクロストーク、および差動対P2と差動対P3との間のクロストークに起因して、差動対P1,P2,P3を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0115】
一方、本実施の形態2では、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6を小さくしたことにより、差動対P1と差動対P2との間のクロストーク自体は大きくなり得る。しかしながら、差動対P1と差動対P2とは互いに隣り合っているため、差動対P1を伝送される信号と差動対P2を伝送される信号のスキューは小さい可能性が高い。このため、差動対P1と差動対P2との間のクロストークに起因して、差動対P1,P2を伝送される信号にタイミング変動が生じるリスクは小さい。
【0116】
従って、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6を、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さく(D6<D7)したことにより、クロストークに起因して差動対P1,P2,P3を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0117】
図13では、グラウンド配線G1,G2間に、差動対P3と隣り合う差動対P4が配置されている。差動対P3と差動対P4との間の間隔D8は、差動対P2と差動対P3との間の間隔D7よりも小さく(D8<D7)している。差動対P3と差動対P4との間の間隔D8は、差動対P1と差動対P2との間の間隔D6と同じ(D6=D8)であることが好ましい。
【0118】
差動対P3と差動対P4との間の間隔D8を小さくしたことにより、差動対P3と差動対P4との電磁気的な結合が強くなり、差動対P3と差動対P4とのペアが、他の差動対(P1,P2)からのクロストークを受けにくくなる。このため、差動対P1と差動対P3との間のクロストーク、差動対P1と差動対P4との間のクロストーク、差動対P2と差動対P3との間のクロストーク、および差動対P2と差動対P4との間のクロストークに起因して、差動対P1,P2,P3,P4を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0119】
一方、差動対P3と差動対P4との間の間隔D8を小さくしたことにより、差動対P3と差動対P4との間のクロストーク自体は大きくなり得る。しかしながら、差動対P3と差動対P4とは互いに隣り合っているため、差動対P3を伝送される信号と差動対P4を伝送される信号のスキューは小さい可能性が高い。このため、差動対P3と差動対P4との間のクロストークに起因して、差動対P3,P4を伝送される信号にタイミング変動が生じるリスクは小さい。
【0120】
従って、クロストークに起因して差動対P1,P2,P3,P4を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができる。
【0121】
このように、本実施の形態2では、クロストークに起因して信号配線を伝送される信号にタイミング変動が生じることを、抑制することができるため、電子装置の性能を向上させることができる。
【0122】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間に、複数の信号配線SGを配置し、それら複数の信号配線SGの相互間にグラウンド配線は配置されていない。これにより、必要な信号配線SGの数が増えたとしても、必要なグラウンド配線GRの数を抑制することができる。このため、配線基板における信号配線を配置するのに必要な領域(上記配線領域RG1,RG2に相当)の面積を抑制することができる。従って、電子装置の性能向上と、電子装置の小型化とを両立させることができる。
【0123】
上記間隔D6,D8のそれぞれは、上記間隔D7よりも小さい。このため、上記間隔D6,D8は、小さな間隔とみなすことができ、上記間隔D7は、大きな間隔とみなすことができる。本実施形態2では、グラウンド配線G1とグラウンド配線G2との間において、小さな間隔と大きな間隔とを交互に繰り返して複数の差動対を配列させている。なお、前記小さな間隔と前記大きな間隔のそれぞれは、互いに隣り合う2つの差動対同士の間隔である。
【0124】
このため、図13の変形例として、差動対P4とグラウンド配線G2との間に更に差動対P5(図示せず)を配置させる場合は、その差動対P5と差動対P4との間の間隔は、上記間隔D7と同様の大きな間隔に設定すればよい。差動対P5とグラウンド配線G2との間に更に差動対P6(図示せず)を配置させる場合は、その差動対P6と差動対P5との間の間隔は、上記D6,D8と同様の小さな間隔に設定すればよい。更に差動対を追加する場合も、同様に考えることができる。
【0125】
本実施の形態2の技術思想を適用する信号配線SGは、差動型の信号配線であるが、差動型のデータ信号配線であることが好ましい。
【0126】
上記実施の形態1と同様に、本実施の形態2においても、グラウンド配線G1,G2の代わりに、グラウンド電位以外の固定電位(電源電位)が供給される固定電位配線を用いることもできる。
【0127】
以上、本件発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0128】
CC 入出力回路
CD 半導体装置
D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8,D11,D12,D13,D14,D15 間隔
DS 電子装置
G1,G2,G11,G12,GR グラウンド配線
MC 入出力回路
MD,MD1,MD2 半導体装置
PB 配線基板
PW1,PW2,PW3,PW4 電源配線
RG1,RG2 配線領域
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8,S11,S12,S13,S14,S15,S16,SG 信号配線
TE1,TE2 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13