(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014219
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】ラミネート処理装置、画像形成システム及びラミネート処理方法
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20250123BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20250123BHJP
B65H 43/00 20060101ALI20250123BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20250123BHJP
B65H 39/14 20060101ALI20250123BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20250123BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B29C63/02
B65H37/04 Z
B65H43/00
B65H5/06 J
B65H39/14
B41J29/38 206
B41J29/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116563
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 直史
【テーマコード(参考)】
2C061
3F048
3F049
3F050
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
2C061BB26
2C061CK02
2C061HJ02
2C061HJ10
2C061HK07
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
3F048AA01
3F048AB01
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3F050LB01
3F050LB08
3F108GA01
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3F108GB01
3F108HA03
3F108HA11
4F211AA11
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4F211SC07
4F211SD01
4F211SJ11
4F211SP05
4F211SW23
(57)【要約】
【課題】ラミネート不良の発生を抑制或いは防止できるラミネート処理装置、画像形成システム及びラミネート処理方法を提供する。
【解決手段】ラミネート処理装置は、記録材をラミネートシートによって被覆するラミネート処理部と、制御部とを備える。制御部は、記録材の物性に対応する物性情報のうち少なくとも環境によって変化する物性情報を検出する物性情報検出装置の検出結果を取得し、物性情報の検出結果に基づいてラミネート処理部の処理条件を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材をラミネートシートによって被覆するラミネート処理部と、
前記記録材の物性に対応する物性情報のうち少なくとも環境によって変化する物性情報を検出する物性情報検出装置の検出結果を取得し、前記物性情報の検出結果に基づいて前記ラミネート処理部の処理条件を設定する制御部と、を備える
ラミネート処理装置。
【請求項2】
前記物性情報は、前記記録材の含水率、カール状態、剛度のうち少なくとも1つ以上を含む
請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項3】
前記処理条件は、ラミネート処理における加熱温度、圧着力、搬送速度のうち少なくとも1つ以上を含む
請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項4】
前記ラミネート処理部は、前記ラミネートシートと前記記録材を搬送しながら加熱圧着し、
前記制御部は、前記物性情報に含まれる前記記録材の含水率に応じて、前記処理条件として加熱温度と搬送速度のうち少なくとも1つ以上を決定する
請求項2に記載のラミネート処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記処理条件として加熱温度を決定した場合に、前記記録材の含水率が大きいほど加熱温度を低くし、前記処理条件として搬送速度を決定した場合に、前記記録材の含水率が大きいほど搬送速度を遅くする
請求項4に記載のラミネート処理装置。
【請求項6】
前記ラミネート処理部は、前記ラミネートシートと前記記録材を搬送しながら加熱圧着し、
前記制御部は、前記物性情報に含まれる前記記録材の剛度に応じて、前記処理条件として加熱温度と搬送速度のうち少なくとも1つ以上を決定する
請求項2に記載のラミネート処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記処理条件として加熱温度を決定した場合に、前記記録材の剛度が低いほど加熱温度を高くし、前記処理条件として搬送速度を決定した場合に、前記記録材の剛度が低いほど搬送速度を遅くする
請求項6に記載のラミネート処理装置。
【請求項8】
前記ラミネート処理部は、前記ラミネートシートと前記記録材を搬送しながら加熱圧着し、
前記制御部は、前記物性情報に含まれる前記記録材のカール量に応じて、前記処理条件として加熱温度、搬送速度、圧着力のうち少なくとも1つ以上を決定する
請求項2に記載のラミネート処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記処理条件として加熱温度を決定した場合に、前記記録材のカール量が大きいほど加熱温度を低くし、前記処理条件として搬送速度を決定した場合に、前記記録材のカール量が大きいほど搬送速度を遅くする
請求項8に記載のラミネート処理装置。
【請求項10】
ラミネート処理部よりも上流側に配置された前記物性情報検出装置をさらに備える
請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項11】
前記物性情報検出装置は、各記録材の物性情報を検出し、
前記制御部は、各記録材に対する前記処理条件を設定する
請求項10に記載のラミネート処理装置。
【請求項12】
前記物性情報検出装置が検出した物性情報が予め定められた所定範囲外であった場合に、記制御部は、前記ラミネート処理部を停止させる
請求項1に記載のラミネート処理装置。
【請求項13】
前記物性情報検出装置が検出した物性情報の物性値が予め定められた所定範囲外であった場合に、その旨をユーザーへ報知する報知部をさらに備える
請求項12に記載のラミネート処理装置。
【請求項14】
記録材に画像を形成する画像形成装置と、
前記記録材の物性に対応する物性情報のうち少なくとも環境によって変化する物性情報を検出する物性情報検出装置と、
前記画像形成装置によって画像が形成された記録材にラミネート処理を施すラミネート処理装置と、を備え
前記ラミネート処理装置は、
前記記録材をラミネートシートによって被覆するラミネート処理部と、
前記物性情報検出装置の検出結果を取得し、前記ラミネート処理部の処理条件を設定する制御部と、を有する
画像形成システム。
【請求項15】
前記物性情報検出装置は、前記画像形成装置が画像を形成後の前記記録材の前記物性情報を検出する
請求項14に記載の画像形成システム。
【請求項16】
制御部が、記録材の物性に対応する物性情報のうち少なくとも環境によって変化する物性情報の検出結果を物性情報検出装置から取得して、前記物性情報の検出結果に基づいてラミネート処理の処理条件を設定し、
ラミネート処理部が、前記処理条件に応じてラミネート処理を実行し、前記記録材をラミネートシートによって被覆する
ラミネート処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート処理装置、画像形成システム及びラミネート処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成後の記録材にラミネート加工を施して、記録材を保護する技術が知られている。ラミネート加工では、例えば、記録材とラミネートシートとを重ね合わせて、圧着ローラ対により加圧及び加熱する。これにより、記録材とラミネートシートが圧着される。
【0003】
ところで、ラミネート加工を施す記録材は、種類毎にラミネート加工時の適切な圧と加熱量が異なる。そのため、記録材の種類に関わらず、常に一定の設定で加圧及び加熱を行う場合は、一部のラミネート加工物に、気泡、表面凹凸、白色化、カールなどのラミネート不良が発生してしまう可能性がある。ラミネート不良を抑制する技術としては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された記録媒体の被覆装置は、給紙トレイにサイズ検知センサと媒体表面検出センサを設けている。サイズ検知センサは用紙のサイズを検知し、媒体表面検出センサは用紙表面性(光沢性)情報を検出する。記録媒体の被覆装置は、用紙のサイズ及び用紙の表面性(光沢性)情報に応じて、適切な加熱量を供給できるように、加熱温度、圧着力、並びに、用紙及びラミネートシートの搬送速度のいずれか一つ以上の値を調整する。
【0005】
記録材の大きさや表面性は、予め決められている規格である。特許文献1に開示された記録媒体の被覆装置は、記録材の規格の違いを考慮してラミネート処理の制御パラメータを調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ラミネート加工の品質は、記録材の大きさや表面性など予め決められている規格の他に、環境によって変化しやすい記録材の含水率、剛度、カール量などの物性に影響を受けることが分かった。例えば、保管環境の影響を受けて含水率が高くなった記録材に対してラミネート加工する場合は、加熱時に水分が沸騰してラミネートシートを押し上げることがある。この場合は、表面凹凸といったラミネート不良が発生してしまう。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された記録媒体の被覆装置は、環境によって変化する記録材の物性を考慮していないため、適切なラミネート条件でラミネート加工ができないことがある。その結果、ラミネート不良が発生してしまう場合があった。
【0009】
本発明の目的は、ラミネート不良の発生を抑制或いは防止できるラミネート処理装置、画像形成システム及びラミネート処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したラミネート処理装置は、記録材をラミネートシートによって被覆するラミネート処理部と、制御部とを備える。制御部は、記録材の物性に対応する物性情報のうち少なくとも環境によって変化する物性情報を検出する物性情報検出装置の検出結果を取得し、物性情報の検出結果に基づいてラミネート処理部の処理条件を設定する。
【0011】
本発明の一側面を反映した画像形成システムは、記録材に画像を形成する画像形成装置と、記録材の物性に対応する物性情報を検出する物性情報検出装置と、画像形成装置によって画像が形成された記録材にラミネート処理を施す上述のラミネート処理装置とを備える。
【0012】
本発明の一側面を反映したラミネート処理方法は、制御部が、記録材の物性に対応する物性情報のうち少なくとも環境によって変化する物性情報の検出結果を物性情報検出装置から取得して、物性情報の検出結果に基づいてラミネート処理の処理条件を設定する。そして、ラミネート処理部が、処理条件に応じてラミネート処理を実行し、記録材をラミネートシートによって被覆する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ラミネート不良の発生を抑制或いは防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は第1実施形態に係るラミネート処理装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は第1実施形態に係る物性情報検出装置における剛度検出部の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は第1実施形態に係る物性情報検出装置におけるカール量検出部の概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は第1実施形態に係る物性情報検出装置における含水率検出部の概略構成を示す図である。
【
図5】
図5は第1実施形態に係るラミネート処理装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は物性情報の検出とラミネート処理のタイミングを説明する図である。
【
図7】
図7は第1実施形態に係るラミネート不良の種類と、その原因及び対処方法を示す表である。
【
図8】
図8は記録材の剛度とラミネート処理の加熱温度の関係を規定したテーブルの説明図である。
【
図9】
図9は記録材の剛度とラミネート処理の搬送速度の関係を規定したテーブルの説明図である。
【
図10】
図10は記録材の含水率とラミネート処理の加熱温度の関係を規定したテーブルの説明図である。
【
図11】
図11は記録材の含水率とラミネート処理の搬送速度の関係を規定したテーブルの説明図である。
【
図12】
図12は記録材のカール量とラミネート処理の加熱温度の関係を規定したテーブルの説明図である。
【
図13】
図13は記録材のカール量とラミネート処理の搬送速度の関係を規定したテーブルの説明図である。
【
図14】
図14は第1実施形態に係るラミネート処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は第1実施形態に係るエラー表示の例を示す図である。
【
図16】
図16は第2実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図17】
図17は第2実施形態に係る画像形成システムの制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図18】
図18は第2実施形態に係るラミネート処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
1.第1実施形態
[ラミネート処理装置の構成]
まず、第1実施形態に係るラミネート処理装置の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るラミネート処理装置の概略構成を示す図である。
【0017】
図1に示すラミネート処理装置1は、画像が形成された記録材をラミネートシートLで被覆するラミネート加工を施す。その結果、ラミネート加工物Pが作成される。
図1に示すように、ラミネート処理装置1は、供給トレイ11と、操作表示部12と、ラミネートシート搬送部13と、記録材搬送部14と、物性情報検出装置15と、ラミネート処理部16と、断裁部17と、排出トレイ18を備える。
【0018】
供給トレイは、一又は複数の記録材Sを載置可能に設けられた板状に形成されている。供給トレイは、記録材Sをラミネート処理装置1の記録材搬送部14に供給する。記録材Sには、不図示の画像形成処理装置によって画像を形成されている。なお、本発明に係るラミネート処理装置には、画像形成装置から記録材Sが直接供給されるものであってもよい。この場合のラミネート処理装置は、供給トレイを備えていなくてもよい。
【0019】
操作表示部12は、操作部と表示部とを備えている。表示部は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である。表示部は、ラミネート処理装置1の後述する制御部31(
図5参照)から入力される表示制御信号に従って各種画面を表示する。操作部は、表示部の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備える。操作部は、ユーザーからの操作指示を受け付ける。操作部は、ユーザーの操作に基づく操作信号を後述する制御部31に出力する。操作表示部12は、本発明に係る報知部に対応する。
【0020】
ラミネート処理装置1の内部には、ラミネートシートLがロール状に巻き取られたラミネートシートロール21A,21Bが配置されている。ラミネートシートLは、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの透明或いは半透明の樹脂をシート状に形成したものである。ラミネートシート搬送部13は、引き出しローラ(不図示)と、複数の搬送ローラ(不図示)と、テンションローラ22A,22Bとを有する。
【0021】
ラミネートシート搬送部13の引き出しローラは、ラミネートシートロール21A,21BからラミネートシートLを引き出す。ラミネートシート搬送部13の複数の搬送ローラは、引き出しローラが引き出したラミネートシートLをラミネート処理部16に搬送する。また、ラミネートシート搬送部13の複数の搬送ローラは、ラミネート処理部16がラミネート加工した記録材Sであるラミネート加工物Pを排出トレイ18に送る。
【0022】
テンションローラ22A,22Bは、ラミネート処理部16よりも上流側に配置されている。テンションローラ22Aには、ラミネートシートロール21Aから引き出されたラミネートシートLが巻き掛けられる。ラミネートシートロール21Aから引き出されたラミネートシートLは、ラミネート処理部16において記録材Sの一方の記録面に対向する。テンションローラ22Bには、ラミネートシートロール21Bから引き出されたラミネートシートLが巻き掛けられる。ラミネートシートロール21Bから引き出されたラミネートシートLは、ラミネート処理部16において記録材Sの他方の記録面に対向する。
【0023】
テンションローラ22A,22Bの回転軸は、ローラ移動機構23,23B(
図5参照)に保持されている。ローラ移動機構23A,23Bは、テンションローラ22A,22Bの回転軸の位置を移動させる。これにより、テンションローラ22A,22Bは、ラミネート処理部16に対して接近及び離隔する。その結果、テンションローラ22A,22Bは、ラミネート処理部16に搬送されるラミネートシートLのテンション(張力)を変更可能である。
【0024】
記録材搬送部14は、複数の搬送ローラを有する。記録材搬送部14の複数の搬送ローラは、供給トレイ11から供給された記録材Sをラミネート処理部16に搬送する。
【0025】
物性情報検出装置15は、供給トレイ11とラミネート処理部16の間に配置されている。物性情報検出装置15は、記録材搬送部14によりラミネート処理部16へ搬送されている途中の記録材Sの各物性に対応する物性情報(物性値)を検出する。記録材Sの物性としては、記録材Sの剛度、含水率、カール量等を挙げることができる。記録材Sの剛度、含水率、カール量等は、環境によって変化しやすい物性である。物性情報検出装置15の構成については、後で説明する。
【0026】
ラミネート処理部16は、加熱ローラ24と、加圧ローラ25と、加圧部26(
図5参照)と、加熱部27(
図5参照)を有する。加熱ローラ24は、記録材SとラミネートシートLを一緒に搬送する処理搬送方向に回転駆動される。処理搬送方向は、断裁部17に接近する方向である。加圧ローラ25は、加熱ローラ24に対して加圧された状態で接する。また、加圧ローラ25は、加熱ローラ24の回転に従動して回転する。
【0027】
加圧部26は、加圧ローラ25を加熱ローラ24側に押圧する。加圧部26は、加圧ローラ25の回転軸の両端部を保持する保持機構と、保持機構を加熱ローラ24に対して離隔させる方向に付勢する付勢機構を有する。保持機構は、加圧ローラ25を加熱ローラ24に対して接近及び離隔させる。加熱部27は、加熱ローラ24を加熱する。加熱部27は、加熱ローラ24の回転軸に配置されたヒータを有している。
【0028】
ラミネート処理部16の加熱ローラ24と加圧ローラ25は、記録材SとラミネートシートLを搬送しながら、ラミネートシートLを加熱及び加圧する。これにより、記録材Sの両面に重ね合わされたラミネートシートLが圧着される。その結果、記録材SがラミネートLに被覆される。
【0029】
断裁部17は、ラミネート処理部16の下流側に配置されている。断裁部17は、記録材Sを被覆したラミネートシートLの端部を切断する。これにより、ラミネート加工が施された記録材Sであるラミネート加工物Pが作成される。ラミネート加工物Pは、ラミネートシート搬送部13の複数の搬送ローラによって排出トレイ18に送られる。排出トレイ18は、一又は複数のラミネート加工物Pを載置可能に設けられた板状に形成されている。
【0030】
[物性情報検出装置]
次に、物性情報検出装置15の構成について、
図2~
図4を参照して説明する。物性情報検出装置15は、剛度検出部151と、カール量検出部152と、含水率検出部153を有している。剛度、カール量、含水率は、環境によって変化する物性情報である。剛度検出部151、カール量検出部152、含水率検出部153は、記録材搬送部14の搬送経路に沿って並んでいる。なお、剛度検出部151、カール量検出部152、含水率検出部153を配置する位置及び順番は、適宜設定することができる。
【0031】
(剛度検出部)
図2は、剛度検出部151を示す概略構成図である。
剛度検出部151は、記録材Sの剛度を検出する。記録材Sの剛度は、記録材Sを曲げたときの抵抗性を示す指標である。剛度検出部151は、一対の保持ローラ161と、一対の保持ローラ162と、押上部163と、押圧力検出センサ164と、昇降機構165を備える。
【0032】
一対の保持ローラ161と一対の保持ローラ162は、記録材Sを保持する。一対の保持ローラ161と一対の保持ローラ162は、水平方向に所定の距離を空けて配置されている。一対の保持ローラ161と一対の保持ローラ162に保持された記録材Sの平面は、上下方向を向いている。そして、記録材Sには、所定の大きさのテンションが掛けられている。なお、一対の保持ローラ161と一対の保持ローラ162は、搬送ローラを兼ねることが好ましい。
【0033】
押上部163は、一対の保持ローラ161と一対の保持ローラ162の間に配置されている。押上部163は、一対の保持ローラ161と一対の保持ローラ162に保持された記録材Sにおける下方を向く面を押圧する。記録材Sの搬送方向と鉛直方向(上下方向)に直交する方向を、記録材Sの幅方向とする。押上部163は、記録材Sの幅方向の全て(全幅)に接触する。
【0034】
押圧力検出センサ164は、押上部163における記録材Sに接触する一端部と反対側の端部に接続されている。押圧力検出センサ164は、押上部163が鉛直方向に押圧されたときの押圧力を検出する。すなわち、押圧力検出センサ164は、押上部163が記録材Sを押し曲げるときの押圧力を検出する。押圧力検出センサ164としては、例えば、ロードセル(歪ゲージ)を採用することができる。
【0035】
昇降機構165は、押圧力検出センサ164を鉛直方向に昇降させる。昇降機構165は、押圧力検出センサ164に接続されるウォームギアと、モータ166と、モータ166の回転をウォームギアに伝達する歯車列から構成されている。モータ166は、例えば、ステッピングモータを採用することができる。
【0036】
(カール量検出部)
図3は、カール量検出部152を示す概略構成図である。
カール量検出部152は、記録材Sのカール量を検出する。カール量検出部152は、一対の保持ローラ171と、一対の保持ローラ172と、第1距離測定センサ173と、第2距離測定センサ174を備える。
【0037】
一対の保持ローラ171と一対の保持ローラ172は、記録材Sを保持する。一対の保持ローラ171と一対の保持ローラ172は、水平方向に所定の距離を空けて配置されている。一対の保持ローラ171と一対の保持ローラ172に保持された記録材Sの平面は、上下方向を向いている。なお、一対の保持ローラ171と一対の保持ローラ172は、搬送ローラを兼ねることが好ましい。
【0038】
第1距離測定センサ173と第2距離測定センサ174は、一対の保持ローラ171と一対の保持ローラ172の間に配置されている。そして、第1距離測定センサ173と第2距離測定センサ174は、上下方向において対向する位置に配置されている。第1距離測定センサ173は、記録材Sの上方を向く面に対向する。第2距離測定センサ174は、記録材Sの下方を向く面に対向する。
【0039】
第1距離測定センサ173と第2距離測定センサ174は、例えば、反射型の光センサである。第1距離測定センサ173は、記録材Sの上方を向く面までの距離を測定する。第2距離測定センサ174は、記録材Sの上方を向く面までの距離を測定する。
【0040】
記録材Sがカールしていない場合は、第1距離測定センサ173が測定した距離と、第2距離測定センサ174が測定した距離が等しくなる。カール量検出部152は、第1距離測定センサ173が測定した距離と、第2距離測定センサ174が測定した距離の差から記録材Sのカール量とカールする方向を検出する。
【0041】
(含水率検出部)
図4は、含水率検出部153を示す概略構成図である。
含水率検出部153は、記録材Sの含水率を検出する。含水率検出部153は、発光素子181と、受光素子182を備える。
【0042】
発光素子181は、水分を吸収しない参照波長の光と、水分を吸収する測定波長の光とを記録材Sに照射する。記録材Sは、参照波長及び測定波長の光を反射する。受光素子182は、参照波長及び測定波長のそれぞれの反射光を測定する。含水率検出部153は、受光素子182の測定結果から記録材Sの吸光度を算出し、算出した吸光度に基づいて記録材Sの含水率を算出する。
【0043】
[ラミネート処理装置の制御系の構成例]
次に、ラミネート処理装置1の制御系の構成例について、
図5を参照して説明する。
図5は、ラミネート処理装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0044】
図5に示すように、ラミネート処理装置1は、制御部31を備える。制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)32、ROM(Read Only Memory)33、RAM(Random Access Memory)34等から構成される。CPU32は、ROM33に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM34に展開する。そして、CPU32は、展開したプログラムに従って、ラミネート処理装置1の各部の動作を制御する。
【0045】
ROM33は、ラミネート処理装置1の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやテーブルデータ、各種のファイル等を記憶している。ROM33は、例えば、記録材Sの物性情報とラミネート処理装置1の各部の制御量(制御パラメータ)を対応付けたラミネート制御テーブルを記憶している。CPU32は、ラミネート制御テーブルと、物性情報検出装置15が検出した記録材Sの物性情報に基づいて、ラミネート処理部16の加圧部26、加熱部27等の各部の制御量を決定する。
【0046】
RAM34は、例えば、揮発性の半導体メモリにより構成されている。RAM34は、CPU32により実行される各種処理において、ROM33から読み出された各種処理プログラム、入力データ若しくは出力データ及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0047】
制御部31には、物性情報検出装置15の剛度検出部151、カール量検出部152、含水率検出部153、エラー検出部154が電気的に接続されている。
【0048】
剛度検出部151は、記録材Sの剛度を検出し、その検出結果を制御部31に送信する。カール量検出部152は、記録材Sのカール量を検出し、その検出結果を制御部31に送信する。含水率検出部153は、記録材Sの含水率を検出し、その検出結果を制御部31に送信する。
【0049】
エラー検出部154は、各検出部151~153が検出した物性値から記録材Sにエラーが発生したか否かを検出する。記録材Sの各物性値には、それぞれ適正範囲が定められている。エラー検出部154は、各検出部151~153が検出した物性値が、それぞれの適正範囲外である場合に、記録材Sにエラーが発生したことを検出する。
【0050】
エラー検出部154は、記録材Sにエラーが発生したことを検出した場合に、エラー情報を制御部31に送信する。エラー情報には、適正範囲外であった物性値とその種類が含まれる。なお、記録材Sにエラーが発生したことは、制御部31が検出してもよい。
【0051】
制御部31には、操作表示部12、ローラ移動機構23、加圧部26、加熱部27、ローラ駆動部28、断裁部17が電気的に接続されている。また、制御部31には、ラミネートシート搬送部13と記録材搬送部14の複数の搬送ローラの駆動部が電気的に接続されている(
図5では省略する)。
【0052】
操作表示部12は、制御部31から供給される表示制御信号に従って、各種画面を表示する。制御部31は、エラー検出部154が送信したエラー情報を受信した場合に、操作表示部12の表示部にエラー通知(
図15参照)を表示させる。これにより、ユーザーは、記録材Sにエラーが発生したことを認識することができる。
【0053】
ローラ移動機構23は、制御部31から供給される駆動信号に従って、テンションローラ22A,22B(
図1参照)の位置を変更する。加圧部26は、制御部31から供給される駆動信号に従って、加圧ローラ25を加熱ローラ24に対して接近及び離隔させる。これにより、加圧ローラ25と加熱ローラ24の間を通るラミネートシートLに加わる圧力が変化する。
【0054】
加熱部27は、制御部31から供給される駆動信号に従って、ヒータの出力を調整する。これにより、加熱ローラ24の温度が変化し、加圧ローラ25と加熱ローラ24の間を通るラミネートシートLに加わる熱量が変化する。ローラ駆動部28は、制御部31から供給される駆動信号に従って、加熱ローラ24の回転速度を調整する。これにより、ラミネート処理部16(
図1参照)におけるラミネートシートL及び記録材Sの搬送速度が変化する。断裁部17は、制御部31から供給される駆動信号に従って、記録材Sを被覆したラミネートシートLの端部を切断する。
【0055】
[物性情報の検出とラミネート処理のタイミング]
次に、物性情報検出装置15による記録材Sの物性情報の検出と、ラミネート処理部16によるラミネート処理のタイミングについて、
図6を参照して説明する。
図7は、記録材Sの物性情報の検出とラミネート処理のタイミングを説明する図である。
【0056】
図6に示すように、物性情報検出装置15は、ラミネート処理部16よりも記録材Sの搬送方向の上流に位置している。ラミネート処理装置1に供給された記録材Sは、1枚ずつ物性情報検出装置15を通過し、物性情報が検出される。そして、物性情報が検出された記録材Sは、1枚ずつラミネート処理部16に搬送される。
【0057】
制御部31(
図5参照)は、ラミネート処理部16が、記録材Sに対してラミネート処理を実行する前に、その記録材Sの物性情報に基づいて、ラミネート処理部16の加圧部26、加熱部27等の各部の制御パラメータを決定する。ラミネート処理部16の加圧部26、加熱部27等は、制御部31から送られる制御パラメータに従ってラミネート処理を実行する。
【0058】
このように、ラミネート処理装置1は、記録材Sの物性情報を1枚ずつ検出して、各記録材Sの物性情報に応じて、制御パラメータを決定する。これにより、各記録材Sに応じたラミネート処理を行うことができ、ラミネート不良の発生を抑制或いは防止できる。
【0059】
[ラミネート不良の原因と対処方法]
次に、ラミネート不良の原因と対処方法について、
図7を参照して説明する。
図7は、ラミネート不良の種類と、その原因及び対処方法を示す表である。
【0060】
図7に示すように、ラミネート不良としては、例えば。「白くなる」、「カール」、「凹凸」、「気泡」がある。
【0061】
ラミネート不良の「白くなる」は、剛度が低い(熱伝導率が低い)記録材Sをラミネート加工する際に、加熱温度が低かった場合に発生する。この場合は、ラミネートシートLに十分に熱が伝わらず、ラミネートシートLが溶けきらずに白くなってしまう。ラミネート不良の「白くなる」を改善する対処方法は、加熱温度を上げる、又は搬送速度を低くすることである。これにより、ラミネートシートLに十分に熱が伝わり、「白くなる」の発生を防止或いは抑制することができる。
【0062】
ラミネート不良の「カール」は、カール量が大きい記録材Sをラミネート加工する際に、加熱温度が高かった場合に発生する。この場合は、記録材Sのカール量をより大きくしてしまうため、ラミネート加工物Pにもカールが発生してしまう。ラミネート不良の「カール」を改善する対処方法は、加熱温度を下げると共に搬送速度を低くすることである。これにより、加熱温度を下げて記録材のカール量を抑制できると共に、搬送速度を低くしてラミネートシートLに伝わる熱量を確保できる。その結果、ラミネート不良の「カール」の発生を防止或いは抑制することができ、且つ、ラミネートシートLを確実に圧着することができる。
【0063】
ラミネート不良の「凹凸」は、剛度が高い(熱伝導率が高い)記録材Sをラミネート加工する際に、加熱温度が高かった場合に発生する。この場合は、ラミネートシートLが過剰に溶けてしまい、ラミネート加工物Pに凹凸が発生してしまう。ラミネート不良の「凹凸」を改善する対処方法は、加熱温度を下げることである。これにより、ラミネートシートLが適切に溶けるようにして、ラミネート加工物Pにおける凹凸の発生を防止或いは抑制できる。
【0064】
ラミネート不良の「気泡」は、含水率が高い記録材Sをラミネート加工した場合に発生する。この場合は、加熱ローラ24による加熱時に、記録材Sの水分が蒸発して、蒸気がラミネートシートLを押し上げてしまう。また、ラミネート不良の「気泡」は、剛度が低い(熱伝導率が低い)記録材Sをラミネート加工する際に、加熱温度を上げ過ぎてしまった場合に発生する。この場合は、加熱温度が高いことで記録材Sの水分が蒸発して、蒸気がラミネートシートLを押し上げてしまう。
【0065】
ラミネート不良の「気泡」を改善する対処方法は、加熱温度を下げると共に搬送速度を低くすることである。これにより、加熱温度を下げて記録材のカール量を抑制できると共に、搬送速度を低くしてラミネートシートLに伝わる熱量を確保できる。その結果、ラミネート不良の「カール」の発生を防止或いは抑制することができ、且つ、ラミネートシートLを確実に圧着することができる。
【0066】
[ラミネート制御テーブル]
次に、ROM33(
図5参照)に格納されたラミネート制御テーブルについて、
図8~
図13を参照して説明する。
ラミネート制御テーブルは、記録材Sの物性情報とラミネート処理部16の各部の制御量(制御パラメータ)を対応付けたものである。制御部31は、ラミネート制御テーブルを参照して、記録材Sの物性情報に基づいて、ラミネート処理部16の各部の制御量(制御パラメータ)を決定する。
【0067】
記録材Sは、画像形成の有無、画像形成の領域、保管環境によって剛度が変化する。そのため、記録材Sの種類に応じて予め設定されたラミネート処理に関する加熱温度及び搬送速度のパラメータが、適切ではなくなる場合がある。そこで、本実施形態では、ラミネート処理を行う直前に記録材Sの剛度を検出し、検出した剛度に応じて加熱温度及び搬送速度のパラメータを設定する。
【0068】
図8は、記録材Sの剛度とラミネート処理の加熱温度の関係を規定したラミネート制御テーブルの説明図である。
【0069】
図8に示すラミネート制御テーブルは、ラミネートシートLの厚みと記録材Sの剛度に応じた加熱温度を規定している。
図8に示す横軸は、記録材Sの剛度を示している。
図8に示す縦軸は、ラミネート処理部16の加熱温度を示している。
図8に示すように、記録材Sの剛度が低い(熱伝導率が低い)ほど、ラミネート処理部16の加熱温度は、高く設定される。また、ラミネートシートLの厚みが厚いほど、ラミネート処理部16の加熱温度は、高く設定される。
【0070】
図9は、記録材Sの剛度とラミネート処理の搬送速度の関係を規定したラミネート制御テーブルの説明図である。
【0071】
図9に示すラミネート制御テーブルは、ラミネートシートLの厚みと記録材Sの剛度に応じた搬送速度を規定している。
図9に示す横軸は、記録材Sの剛度を示している。
図9に示す縦軸は、ラミネート処理部16の搬送速度を示している。
図9に示すように、記録材Sの剛度が低い(熱伝導率が低い)ほど、ラミネート処理部16の搬送速度は、低く設定される。また、ラミネートシートLの厚みが厚いほど、ラミネート処理部16の搬送温度は、低く設定される。
【0072】
ラミネート処理部16(
図1参照)のようなホットラミネータの場合は、記録材Sにおける含水率の適正値は、例えば、15%以下とされている。記録材Sの含水率が適正値より高くなってしまうと、ラミネート処理の加熱時に記録材Sの水分が蒸発して、蒸気がラミネートシートLを押し上げて、上述した「気泡」や「凹凸」といったラミネート不良が発生してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、ラミネート処理を行う直前に記録材Sの含水率を検出し、検出した含水率に応じて加熱温度及び搬送速度のパラメータを設定する。
【0073】
図10は、記録材Sの含水率とラミネート処理の加熱温度の関係を規定したラミネート制御テーブルの説明図である。
【0074】
図10に示すラミネート制御テーブルは、ラミネートシートLの厚みと記録材Sの含水率に応じた加熱温度を規定している。
図10に示す横軸は、記録材Sの含水率を示している。
図10に示す縦軸は、ラミネート処理部16の加熱温度を示している。
図10に示すように、記録材Sの含水率が高いほど、ラミネート処理部16の加熱温度は、低く設定される。また、ラミネートシートLの厚みが厚いほど、ラミネート処理部16の加熱温度は、高く設定される。
【0075】
図11は、記録材Sの含水率とラミネート処理の搬送速度の関係を規定したラミネート制御テーブルの説明図である。
【0076】
図11に示すラミネート制御テーブルは、ラミネートシートLの厚みと記録材Sの含水率に応じた搬送速度を規定している。
図11に示す横軸は、記録材Sの含水率を示している。
図11に示す縦軸は、ラミネート処理部16の搬送速度を示している。
図11に示すように、記録材Sの含水率が高いほど、ラミネート処理部16の搬送速度は、低く設定される。また、ラミネートシートLの厚みが厚いほど、ラミネート処理部16の搬送温度は、低く設定される。
【0077】
ラミネート処理部16に記録材Sが供給された時点において、記録材Sのカール量が大きい場合に、ラミネート処理時の加熱温度が高ければ、記録材Sのカール量がさらに大きくなってしまう。その結果、ラミネート処理後のラミネート加工物Pにもカールが生じてしまう場合がある。そこで、本実施形態では、ラミネート処理を行う直前に記録材Sのカール量を検出し、検出したカール量に応じて加熱温度及び搬送速度のパラメータを設定する。
【0078】
図12は、記録材Sのカール量とラミネート処理の加熱温度の関係を規定したラミネート制御テーブルの説明図である。
【0079】
図12に示すラミネート制御テーブルは、ラミネートシートLの厚みと記録材Sのカール量に応じた加熱温度を規定している。
図12示す横軸は、記録材Sのカール量を示している。
図12に示す縦軸は、ラミネート処理部16の加熱温度を示している。
図12に示すように、記録材Sのカール量が大きいほど、ラミネート処理部16の加熱温度は、低く設定される。また、ラミネートシートLの厚みが厚いほど、ラミネート処理部16の加熱温度は、高く設定される。
【0080】
図13は、記録材Sのカール量とラミネート処理の搬送速度の関係を規定したラミネート制御テーブルの説明図である。
【0081】
図13に示すラミネート制御テーブルは、ラミネートシートLの厚みと記録材Sのカール量に応じた搬送速度を規定している。
図13に示す横軸は、記録材Sのカール量を示している。
図13に示す縦軸は、ラミネート処理部16の搬送速度を示している。
図13に示すように、記録材Sのカール量が大きいほど、ラミネート処理部16の搬送速度は、低く設定される。また、ラミネートシートLの厚みが厚いほど、ラミネート処理部16の搬送温度は、低く設定される。
【0082】
[ラミネート処理]
次に、ラミネート処理装置1が実行するラミネート処理について、
図14を参照して説明する。
図14は、ラミネート処理装置1が実行するラミネート処理の手順を示すフローチャートである。
【0083】
まず、制御部31は、記録材Sが物性情報検出装置15に到達したか否かを判定する(S1)。ステップS1において、制御部31は、記録材Sが物性情報検出装置15に到達してないと判定(S1がNO判定)したとき、記録材Sが物性情報検出装置15に到達するまでステップS1を繰り返す。
【0084】
一方、ステップS1において、制御部31は、記録材Sが物性情報検出装置15に到達してないと判定(S1がYES判定)したとき、制御部31は、物性情報検出装置15から記録材Sの物性値を取得する(S2)。本実施形態に係る物性値は、含水率、剛度、カール量である。なお、本発明に係る物性情報検出装置は、坪量や抵抗値などその他の物性値を検出してもよい。
【0085】
次に、制御部31は、物性情報検出装置15が検出した物性値のいずれかが適正範囲外であるか否かを判定する(S3)。すなわち、制御部31は、エラー検出部154からエラー情報を受信したか否かを判定する。エラー情報を受信した場合は、物性値のいずれかが適正範囲外である。エラー情報を受信していない場合は、全ての物性値が適正範囲内である。
【0086】
ステップS3において、制御部31は、物性情報検出装置15が検出した物性値のいずれかが適正範囲外であると判定(S3がYES判定)したとき、操作表示部12にエラー表示を行わせる(S4)。ステップS4の終了後、制御部31は、ステップS8の処理に移行する。
【0087】
図15は、適正範囲外の含水率を検出した場合のエラー表示の例を示す図である。
図15に示すように、エラー表示では、現在のステータスと、適正範囲外の物性値を知らせるメッセージと、対処方法を表示する。適正範囲外の物性値を検出した場合のエラー表示におけるステータスは、ラミネート処理停止中になる。
【0088】
含水率が適正範囲外である場合のメッセージの内容は、例えば、「記録材の含水率が高くラミネート不良が発生する可能性があります。」である。そして、対処方法の内容は、例えば、「記録材の除湿、または、入れ替えを実施してください」である。このようなエラー表示を行うことにより、ユーザーは、現在のステータスを確認できる。また、ユーザーは、エラーを解消するための対応を容易に認識することができる。
【0089】
ステップS3において、制御部31は、物性情報検出装置15が検出した物性値のいずれもが適正範囲内であると判定(S3がNO判定)したとき、
図8~
図13に示すラミネート制御テーブルを参照して、ラミネート処理部16の制御パラメータを決定する(S5)。
【0090】
次に、ラミネート処理部16は、制御部31が決定した制御パラメータに基づいてラミネート処理を実施する(S6)。次に、制御部31は、ラミネート処理を行う次の記録材Sがあるか否かを判定する(S7)。すなわち、制御部31は、供給トレイ11(
図1参照)に次の記録材Sが載置されているか否かを判定する。制御部31は、供給トレイ11に次の記録材Sが載置されている場合に、ラミネート処理を行う次の記録材Sがあると判定する。
【0091】
ステップS7において、制御部31は、ラミネート処理を行う次の記録材Sがあると判定(S7がYES判定)したとき、処理をステップS3に戻す。ステップS7において、ラミネート処理を行う次の記録材Sがないと判定(S7がNO判定)したとき、または、ステップS4の終了後、制御部31は、ラミネート処理部16の停止処理を行う(S8)。ステップS8の終了後、制御部31は、ラミネート処理を終了する。
【0092】
2.第2実施形態
[画像形成システムの構成]
次に、第2実施形態に係る画像形成システムの構成について、
図16を参照して説明する。
図16は、第2実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【0093】
図16に示すように、画像形成システム10は、記録材供給装置100と、画像形成装置200と、物性情報検出装置250と、ラミネート処理装置300と、排出装置400と、通信部(不図示)を備える。
【0094】
通信部は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成されている。通信部は、記録材供給装置100、画像形成装置200、物性情報検出装置250、ラミネート処理装置300、排出装置400を、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続する。そして、通信部は、各装置と外部の情報機器(例えばクライアント装置)との間で各種データの送受信を行う。
【0095】
画像形成システム10において記録材に画像を形成する場合は、まず、記録材供給装置100から画像形成装置200に記録材が供給される。画像形成装置200は、供給された記録材に画像を形成する。そして、画像形成装置200は、画像を形成した記録材を物性情報検出装置250に送る。物性情報検出装置250は、記録材Sの各物性に対応する物性情報(物性値)を検出する。
【0096】
ラミネート処理装置300は、画像が形成された記録材をラミネートシートLで被覆するラミネート加工を施す。その結果、ラミネート加工物Pが作成される。このとき、ラミネート処理装置300は、物性情報検出装置250が検出した記録材Sの物性情報に応じて、ラミネート処理の制御パラメータを決定する。ラミネート処理装置300は、ラミネート加工物Pを排出装置400に送る。排出装置400は、ラミネート加工物Pを除電して、除電したラミネート加工物Pを排出する。
【0097】
[記録材供給装置]
記録材供給装置100は、画像形成用の記録材Sを収容する。記録材供給装置100は、画像形成装置200の制御部(不図示)から画像形成ジョブを受信すると、画像形成ジョブに応じた記録材Sを、画像形成装置200に供給する。
【0098】
記録材供給装置100は、記録材収納部110と、搬送部を備えている。記録材収納部110には、種類やサイズが異なる記録材Sが個別に収容される。本実施形態において、記録材Sは、画像が形成される記録媒体であり、例えば、用紙である。
【0099】
搬送部は、記録材収納部110から記録材Sを取り出す複数の取り出しローラと、複数の搬送ローラを備えている。複数の搬送ローラは、所定の記録材搬送経路に沿って設けられている。複数の搬送ローラは、記録材収納部110から取り出された記録材Sを1枚ずつ画像形成装置200に搬送する。
【0100】
[画像形成装置]
画像形成装置200は、操作表示部210と、画像形成部220と、定着部230と、搬送部240を備えている。
【0101】
操作表示部210は、操作部と表示部とを備えている。表示部は、例えば、LCD等の表示装置により構成されている。表示部は、画像形成装置200の制御部から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。操作部は、表示部の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備える。操作部は、ユーザーからの操作指示を受け付ける。操作部は、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成装置200の画像形成装置制御部201(
図17参照)に送信する。
【0102】
画像形成部220は、画像データに基づいて、記録材Sに画像を形成する。画像形成部220は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、一次転写ローラを備える。また、画像形成部220は、中間転写ベルト、二次転写ローラを備える。感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、一次転写ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラは、従来から用いられているものであるため、詳しい説明を省略する。
【0103】
定着部230は、定着ローラ231と加圧ローラ232とを備えている。定着ローラ231には、ヒータが内蔵されている。加圧ローラ232は、定着ローラ231に対して押圧されている。これにより、定着ローラ231と加圧ローラ232とは互いに圧着され、この圧着部分に定着ニップ部が形成されている。記録材Sは、定着ニップ部を通過するときに加熱および加圧される。その結果、記録材Sに転写されたトナー像が定着する。
【0104】
搬送部240は、所定の搬送経路に沿って記録材Sを搬送するための複数の搬送ローラを備えている。搬送部240は、記録材供給装置100から供給された記録材Sを、画像形成部220及び定着部230に搬送する。また、搬送部240は、画像形成後の記録材Sを物性情報検出装置250に搬出する。
【0105】
[物性情報検出装置]
物性情報検出装置250は、剛度検出部251と、カール量検出部252と、含水率検出部253と、搬送部254を有している。搬送部254は、画像形成装置200から供給された記録材Sを搬送して、ラミネート処理装置300に搬出する。搬送部254は、所定の搬送経路に沿って記録材Sを搬送するための複数の搬送ローラを備えている。
【0106】
剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253は、搬送部254の搬送経路に沿って並んでいる。剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253は、搬送部254によりラミネート処理装置300へ搬送されている途中の記録材Sの剛度、カール量、含水率をそれぞれ検出する。剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253の構成は、第1実施形態に係る剛度検出部151、カール量検出部152、含水率検出部153と同じである。
【0107】
なお、剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253を配置する位置及び順番は、適宜設定することができる。また、物性情報検出装置250は、記録材Sの厚み、抵抗値、坪量、表面粗さなどを検出してもよい。
【0108】
[ラミネート処理装置]
ラミネート処理装置300には、画像形成装置200において画像形成された記録材Sが供給される。ラミネート処理装置300は、操作表示部312と、ラミネートシート搬送部313と、記録材搬送部314と、ラミネート処理部316と、断裁部317を備える。操作表示部312、ラミネートシート搬送部313、記録材搬送部314、ラミネート処理部316、断裁部317は、第1実施形態に係る操作表示部12、ラミネートシート搬送部13、記録材搬送部14、ラミネート処理部16、断裁部17と同じである。
【0109】
[排出装置]
排出装置400には、ラミネート処理装置300からラミネート加工物Pが供給される。排出装置400は、搬送部410と、除電部420と、排出トレイ430を有している。
【0110】
搬送部410は、複数の搬送ローラを有する。搬送部410の複数の搬送ローラは、画像形成装置200から供給されたラミネート加工物Pを除電部420に搬送する。また、搬送部410の複数の搬送ローラは、除電部420を通過したラミネート加工物Pを排出部から排出する。排出部から排出されたラミネート加工物Pは、排出トレイ430に載置される。
【0111】
除電部420は、ラミネート加工物Pを除電する。除電部420は、一対の除電ローラ421,422を有する。一対の除電ローラ421,422は、ラミネート加工物Pの搬送方向に直交する向きで対向している。一対の除電ローラ421,422は、ラミネート加工物Pを挟み込むローラニップ部を有している。ローラニップ部は、例えば、導電性の樹脂によって形成されている。
【0112】
一対の除電ローラ421,422には、除電用電源が電気的に接続されている。除電用電源のマイナス極は、例えば、除電ローラ421に接続されている。除電用電源のプラス極は、例えば、除電ローラ422とグランド(GND)に接続されている。除電用電源は、一対の除電ローラ421,422に除電用の電圧を印加する。これにより、ローラニップ部に挟まれたラミネート加工物Pが除電される。これにより、ラミネート加工物Pの積載時の静電吸着を抑制できる。
【0113】
[画像形成システムの制御系の構成例]
次に、画像形成システム10の制御系の構成例について、
図17を参照して説明する。
図17は、画像形成システム10の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0114】
図17に示すように、画像形成システム10は、画像形成装置制御部201と、物性情報検出装置制御部261と、ラミネート処理装置制御部301とを備える。画像形成装置制御部201、物性情報検出装置制御部261、及びラミネート処理装置制御部301は、通信インターフェイス部(IF)を介して、通信可能である。
【0115】
画像形成装置制御部201は、例えば、CPU202、ROM203、RAM204等から構成される。CPU202は、ROM203に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM204に展開する。そして、CPU202は、展開したプログラムに従って、画像形成装置200の各部の動作を制御する。
【0116】
ROM203は、画像形成装置200の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやテーブルデータ、各種のファイル等を記憶している。ROM203は、CPU202によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。このため、ROM203には、このプログラムが永続的に格納される。
【0117】
RAM204は、例えば、揮発性の半導体メモリである。RAM204は、CPU202により実行制御される各種処理において、ROM203から読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0118】
画像形成装置制御部201には、操作表示部210、画像形成部220、定着部230、搬送部240が電気的に接続されている
【0119】
画像形成装置制御部201は、表示制御信号を操作表示部210に出力する。操作表示部210の表示部は、画像形成装置制御部201から供給される表示制御信号に従って、各種画面を表示する。操作表示部210の操作部は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、各種入力操作に応じた操作信号を画像形成装置制御部201に出力する。
【0120】
画像形成装置制御部201は、画像形成に関する制御パラメータを画像形成部220に出力する。画像形成に関する制御パラメータの具体例としては、帯電部による帯電電位、一次転写ローラや二次転写ローラに供給する転写電流などである。また、画像形成装置制御部201は、定着部230に定着処理に関する制御パラメータを出力する。定着処理に関する制御パラメータの具体例としては、定着部における定着温度及び定着圧力などである。
【0121】
画像形成装置制御部201は、画像形成ジョブに応じて複数の記録材Sに画像を形成する際に、搬送部240に駆動信号を出力する。搬送部240は、画像形成装置制御部201から供給される駆動信号に従って駆動し、記録材Sを1枚ずつ画像形成部220及び定着部230に搬送する。また、搬送部240は、画像が形成された記録材Sを物性情報検出装置250に送る。
【0122】
物性情報検出装置制御部261は、例えば、CPU262、ROM263、RAM264等から構成される。CPU262は、ROM263に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM264に展開する。そして、CPU262は、展開したプログラムに従って、物性情報検出装置250の各部の動作を制御する。
【0123】
ROM263は、物性情報検出装置250の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやテーブルデータ、各種のファイル等を記憶している。ROM263は、CPU262によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。このため、ROM263には、このプログラムが永続的に格納される。
【0124】
RAM264は、例えば、揮発性の半導体メモリである。RAM264は、CPU262により実行制御される各種処理において、ROM263から読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0125】
物性情報検出装置制御部261には、剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253、搬送部254が電気的に接続されている。
【0126】
物性情報検出装置制御部261は、物性情報(物性値)の検出に関する制御パラメータを剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253に出力する。物性情報の検出に関する制御パラメータの具体例としては、剛度検出部251の一対の保持ローラ161,162に供給する駆動電流、昇降機構165のモータ166に供給する駆動電流、カール量検出部152の一対の保持ローラ171,172に供給する駆動電流などである。
【0127】
物性情報検出装置制御部261は、剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253から各物性値を取得する。物性情報検出装置制御部261は、取得した各物性値を、通信インターフェイス部(IF)を介してラミネート処理装置制御部301に送信する。
【0128】
物性情報検出装置制御部261は、画像形成ジョブに応じて画像が形成された複数の記録材Sの物性情報を検出する際に、搬送部254に駆動信号を出力する。搬送部254は、物性情報検出装置制御部261から供給される駆動信号に従って駆動し、記録材Sを1枚ずつ剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253に搬送する。また、搬送部254は、物性情報を検出した後の記録材Sをラミネート処理装置300に送る。
【0129】
ラミネート処理装置制御部301は、例えば、CPU302、ROM303、RAM304等から構成される。CPU302は、ROM303に記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAM304に展開する。そして、CPU302は、展開したプログラムに従って、ラミネート処理装置300の各部の動作を制御する。
【0130】
ROM303は、ラミネート処理装置300の各部を制御するための各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやテーブルデータ、各種のファイル等を記憶している。ROM303は、CPU302によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体の一例として用いられる。このため、ROM303には、このプログラムが永続的に格納される。
【0131】
RAM304は、例えば、揮発性の半導体メモリである。RAM304は、CPU302により実行制御される各種処理において、ROM303から読み出された各種処理プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0132】
ラミネート処理装置制御部301には、操作表示部312、ローラ移動機構23、加圧部26、加熱部27、ローラ駆動部28、断裁部317が電気的に接続されている。また、ラミネート処理装置制御部301には、ラミネートシート搬送部313と記録材搬送部314の複数の搬送ローラの駆動部が電気的に接続されている(
図17では省略する)。
【0133】
ラミネート処理装置制御部301は、表示制御信号を操作表示部312に出力する。操作表示部312の表示部は、ラミネート処理装置制御部301から供給される表示制御信号に従って、各種画面を表示する。操作表示部312の操作部は、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、各種入力操作に応じた操作信号をラミネート処理装置制御部301に出力する。
【0134】
ラミネート処理装置制御部301は、ラミネート処理部316(
図16参照)が、記録材Sに対してラミネート処理を実行する前に、その記録材Sの物性情報に基づいて、ラミネート処理部316の加圧部26、加熱部27等の各部の制御パラメータを決定する。ラミネート処理部316の加圧部26、加熱部27等は、制御部31から送られる制御パラメータに従ってラミネート処理を実行する。
【0135】
このように、ラミネート処理装置300は、各記録材Sの物性情報に応じて、制御パラメータを決定する。これにより、各記録材Sに応じたラミネート処理を行うことができ、ラミネート不良の発生を抑制或いは防止できる。
【0136】
また、ラミネート処理装置制御部301は、物性情報検出装置250が検出した物性値が、それぞれの適正範囲外である場合に、記録材Sにエラーが発生したことを検出する。ラミネート処理装置制御部301は、物性値検出部にエラーが発生したこと検出した場合に、操作表示部312の表示部にエラー通知(
図15参照)を表示させる。これにより、ユーザーは、記録材Sが適正範囲外の物性値であることを認識することができる。
【0137】
ラミネート処理装置制御部301は、駆動信号を断裁部317に出力する。断裁部317は、ラミネート処理装置制御部301から供給される駆動信号に従って、記録材Sを被覆したラミネートシートLの端部を切断する。これにより、ラミネート加工物Pが形成される。ラミネート加工物Pは、排出装置400に送られる。
【0138】
[ラミネート処理]
次に、画像形成システム10が実行するラミネート処理について、
図18を参照して説明する。
図18は、ラミネート処理の手順を示すフローチャートである。
【0139】
まず、物性情報検出装置制御部261は、ラミネートジョブであるか否かを判定する(S21)。ラミネートジョブは、使用するラミネートシートLの種類、使用する記録材Sの種類、作成するラミネート加工物Pの数などを指定する。ラミネートジョブは、例えば、画像形成装置200の操作表示部210を操作するユーザーによって入力される。画像形成装置200は、入力されたラミネートジョブを物性情報検出装置制御部261及びラミネート処理装置制御部301に送信する。なお、ラミネートジョブは、画像形成装置200、物性情報検出装置250、ラミネート処理装置300とネットワークを介して通信可能な外部の装置から入力されてもよい。
【0140】
ステップS21において、物性情報検出装置制御部261は、ラミネートジョブでないと判定(S21がNO判定)したとき、ステップS21を繰り返す。一方、物性情報検出装置制御部261は、ラミネートジョブであると判定(S21がYES判定)したとき、記録材Sが物性情報検出装置250に到達したか否かを判定する(S22)。
【0141】
ステップS22において、物性情報検出装置制御部261は、記録材Sが物性情報検出装置250に到達していないと判定(S22がNO判定)したとき、ステップS22を繰り返す。
【0142】
ステップS22において、物性情報検出装置制御部261は、記録材Sが物性情報検出装置250に到達したと判定(S22がYES判定)したとき、到達した記録材Sの物性値を検出する(S23)。すなわち、物性情報検出装置制御部261は、剛度検出部251、カール量検出部252、含水率検出部253を制御して、記録材Sの剛度、カール量、含水率を検出する。そして、物性情報検出装置制御部261は、検出した物性値をラミネート処理装置制御部301に送信する。
【0143】
次に、ラミネート処理装置制御部301は、物性情報検出装置制御部261から取得した物性値のいずれかが適正範囲外であるか否かを判定する(S24)。ステップS24において、ラミネート処理装置制御部301は、物性値のいずれかが適正範囲外であると判定(S24がYES判定)したとき、操作表示部12にエラー表示(
図15参照)を行わせる(S25)。ステップS25の終了後、ラミネート処理装置制御部301は、ステップS29の処理に移行する。
【0144】
ステップS24において、ラミネート処理装置制御部301は、物性値のいずれもが適正範囲内であると判定(S24がNO判定)したとき、
図8~
図13に示すラミネート制御テーブルを参照して、ラミネート処理部316の制御パラメータを決定する(S26)。
【0145】
次に、ラミネート処理部316は、ラミネート処理装置制御部301が決定した制御パラメータに基づいてラミネート処理を実施する(S27)。次に、ラミネート処理装置制御部301は、ラミネートジョブを参照して、ラミネート処理を行う次の記録材Sがあるか否かを判定する(S28)。ステップS28において、ラミネート処理装置制御部301は、ラミネート処理を行う次の記録材Sがあると判定(S28がYES判定)したとき、処理をステップS22に戻す。
【0146】
ステップS28において、ラミネート処理を行う次の記録材Sがないと判定(S28がNO判定)したとき、または、ステップS25の終了後、ラミネート処理装置制御部301は、ラミネート処理部316の停止処理を行う(S29)。ステップS29の終了後、ラミネート処理装置制御部301は、ラミネート処理を終了する。
【0147】
以上、本発明のラミネート処理装置、画像形成システム及びラミネート処理方法の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかし、本発明のラミネート処理装置、画像形成システム及びラミネート処理方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0148】
例えば、上述した実施形態の画像形成システム10では、画像形成装置200とラミネート処理装置300との間に物性情報検出装置250を配置した。しかし、本発明に係る物性情報検出装置は、ラミネート処理装置300よりも上流側に配置されていればよく、例えば、記録材供給装置100と画像形成装置200との間に配置されていてもよい。Kの場合は、画像形成後に変化する記録材Sの物性値を検出できないが、環境によって変化する記録材Sの物性値を検出することができる。したがって、各記録材Sに応じたラミネート処理を行うことができ、ラミネート不良の発生を抑制或いは防止できる。
【符号の説明】
【0149】
1,300…ラミネート処理装置、 10…画像形成システム、 11…供給トレイ、 12,312…操作表示部、 13,313…ラミネートシート搬送部、 14,314…記録材搬送部、 15…物性情報検出装置、 16,316…ラミネート処理部、 17,317…断裁部、 18…排出トレイ、 21A,21B…ラミネートシートロール、 22A,22B…テンションローラ、 23A,23B…ローラ移動機構、 24…加熱ローラ、 25…加圧ローラ、 26…加圧部、 27…加熱部、 28…ローラ駆動部、 31…制御部、 100…記録材供給装置、 151,251…剛度検出部、 152,252…カール量検出部、 153,253…含水率検出部、 154…エラー検出部、 200…画像形成装置、 201…画像形成装置制御部、 250…物性情報検出装置、 261…物性情報検出装置制御部、 300…ラミネート処理装置、 301…ラミネート処理装置制御部、 400…排出装置