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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014225
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】ラインカッター
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/00 20060101AFI20250123BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20250123BHJP
   B26B 9/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A01K97/00 M
B26B27/00 F
B26B9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116576
(22)【出願日】2023-07-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】516362908
【氏名又は名称】第一金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(72)【発明者】
【氏名】樹下 雅彦
【テーマコード(参考)】
3C061
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061AA26
3C061BA03
3C061BA05
3C061BB02
3C061EE01
(57)【要約】
【課題】釣り糸を自分の両手だけで安定して切断すると共に、その切り落とし部の飛散を防止することのできるラインカッターの提供。
【解決手段】カッター本体4を片手3で把持可能とする。カッター本体4の先端部に切欠5を形成する。切欠5に釣り糸2を導入可能とする。切欠5の底部に切断刃6を設ける。カッター本体4に押付部8を形成する。切断する釣り糸2の切り落とし部7を押付部8に片手3で押し付けて保持する。釣り糸2を結びつけた釣針11をもう片方の手15で把持する。釣り糸2の切り落とし部7を引っ張る。カッター本体4を傾ける。釣り糸2の切断部位13に切断刃6を押し当てて切断する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸を切断するためのラインカッターであって、片手で把持可能なカッター本体の先端部に、前記釣り糸を導入可能な切欠が形成されると共に、該切欠の底部に切断刃が設けられ、前記カッター本体に、切断する釣り糸の切り落とし部を前記片手で押し付けて保持する押付部が形成されたことを特徴とするラインカッター。
【請求項2】
前記押付部に、押し付けた切り落とし部の抜け出しを阻止する滑り止めが形成されたことを特徴とする請求項1に記載のラインカッター。
【請求項3】
前記切断刃は、中央が深い凹形状に設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のラインカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り糸を切断するためのラインカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、釣り糸を切断するためのラインカッターとして、例えば、挟持部材の先端に形成した一対の切断刃で、釣り糸を挟み込んで切断する爪切りのような構造のものが用いられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-97118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のラインカッターは、先端を閉じるように挟持部材に力を加えて、その切断刃で釣り糸の結び目の近くを切断するものであり、切断の勢いで、釣り糸の切り落とし部が飛散しやすい。
【0005】
これに対し、切り落とし部を片手でつまんで、もう片方の手に持った刃物などで釣り糸を切断することにより、その切り落とし部の飛散を防ぐことができる。ただ、刃物などで釣り糸を切断するには、釣り糸を結びつけたルアーやスイベル、釣針などの対象物が十分に固定された状態で、切り落とし部を引っ張りながら切断する必要があり、対象物が不安定に動く状態では、釣り糸を自分の両手だけで安定して切断するのが難しくなりやすい。
【0006】
本発明は、釣り糸を自分の両手だけで安定して切断すると共に、その切り落とし部の飛散を防止することのできるラインカッターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るラインカッターは、釣り糸を切断するためのものであり、片手で把持可能なカッター本体の先端部に、釣り糸を導入可能な切欠を形成すると共に、この切欠の底部に切断刃を設け、カッター本体に、切断する釣り糸の切り落とし部を前記片手で押し付けて保持する押付部を形成したものである。
【0008】
上記構成によれば、カッター本体に切断刃を設けると共に押付部を形成するので、片手で、切断刃を設けたカッター本体を把持しつつ、その押付部に釣り糸の切り落とし部を押し付けて保持することができる。この片手でカッター本体を把持しつつ切り落とし部を保持した状態で、例えば、釣り糸を結びつけたルアーやスイベル、釣針などの対象物をもう片方の手で把持した上で、釣り糸の切り落とし部を引っ張りながら、釣り糸の切断部位に切断刃を押し当てるようにカッター本体を傾けることにより、釣り糸を切断することができる。これにより、釣り糸を自分の両手だけで安定して切断することができると共に、その切り落とし部の飛散を防止して円滑に回収することができる。
【0009】
さらに、カッター本体に切欠を形成して釣り糸を導入するようにして、その切欠の底部に切断刃を設けるので、釣り糸のずれを阻止して、その釣り糸を安定して切断刃に押し当てることができると共に、切断刃に指などが触れるのを阻止して安全性を高めることができる。しかも、釣り糸の切断部位を目視しながら切断刃を押し当てることができるので、例えば、結び目の直ぐ近くを切断することができる。
【0010】
また、押付部に、押し付けた切り落とし部の抜け出しを阻止する滑り止めを形成するようにしてもよい。
【0011】
この構成によると、押付部に滑り止めを形成するので、切り落とし部を押付部に押し付けながらカッター本体を把持する力を比較的に小さくしつつ、切り落とし部の抜け出しを阻止することができ、ラインカッターによる釣り糸の切断を容易にすることができる。ここで、滑り止めは、例えば、一定方向に多数の細長い筋目を形成するいわゆるヘアライン仕上げ、梨地などのエンボス仕上げ、文字やロゴの刻印などによって構成することができる。
【0012】
また、切断刃を中央が深い凹形状に設定するようにしてもよい。
【0013】
この構成によると、釣り糸を切断刃の凹形状の中央に安定して位置させることができるので、釣り糸がカッター本体の切欠きに接触するのを阻止して、その釣り糸に不均一な力が作用するのを防止することができる。しかも、切断刃を凹形状にすることにより、釣り糸に作用する不均一な力を抑えることに加えて、切断刃と釣り糸との接触長さを長くすることができるので、釣り糸を切断する際にその切断面の破損を生じにくくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、本発明によると、ラインカッターのカッター本体に形成した切欠の底部に切断刃を設けると共に、カッター本体に釣り糸の切り落とし部を押し付けて保持する押付部を形成するようにしている。このラインカッターは、片手で把持しつつ釣り糸の切り落とし部を保持することができ、例えば、釣り糸を結びつけた対象物をもう片方の手で把持した上で、切り落とし部を引っ張りながら釣り糸の切断部位に切断刃を押し当てて切断することができる。これにより、釣り糸を自分の両手だけで安定して切断すると共に、その切り落とし部の飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るラインカッターの斜視図
図2】切断刃の拡大図
図3】ラインカッターを用いて釣り糸を切断する様子を示す図
図4】切断刃の別の形態を示す図
図5】別の形態のラインカッターを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るラインカッターを実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1図3に示すように、ラインカッター1は、釣り糸2を切断するためのものであり、片手3で把持可能なカッター本体4の先端部に、釣り糸2を導入可能な切欠5を形成すると共に、この切欠5の底部に切断刃6を設け、カッター本体4に、切断する釣り糸2の切り落とし部7を片手3で押し付けて保持する押付部8を形成すると共に、この押付部8に、押し付けた切り落とし部7の抜け出しを阻止する滑り止め9を形成したものである。
【0018】
カッター本体4は、例えば、錆びを生じないセラミックやチタン製で、長径が40mm程度、短径が25mm程度、厚さが1~2mm程度の小判形の平板状とされ、その基端部に保持用のチェーン10が取り付けられている。
【0019】
切欠5は、カッター本体4の先端部の中心に例えば幅が2mm程度の一定幅で深さが5mm程度の大きさに形成され、これに釣り糸2を導入して安定させるようになっている。なお、切欠5は、カッター本体4の先端部の中心に限らず、他の部位に形成することもでき、その形状も自由に設定することができ、例えば、溝幅を広くしたり狭くしたりすることができ、さらに、曲線状に形成することもできる。
【0020】
切断刃6は、例えば、切欠5の底部にカッター本体4と一体に形成され、その形状を中央が深い凹形状としてのU形状に設定される。
【0021】
押付部8は、カッター本体4の中央部の片面の例えば直径8mm程度の円形の範囲に設定され、ヘアライン仕上げなどによって滑り止め9が形成されている。
【0022】
図3に示すように、ラインカッター1を用いて切断する釣り糸2は、例えば、その端部を釣針11に結び付けられ、結び付けに必要な例えば20mm~30mm程度が結び目12の先に余っており、その余った部分のうちの結び目12の近くに設定した切断部位13の先が切り落とし部7とされる。なお、釣り糸2は、釣針11だけでなく、ルアーやスイベルなども、結びつける対象物となる。
【0023】
ラインカッター1を用いて釣り糸2の切断部位13を切断するには、まず、片手3でカッター本体4を把持しつつ、切欠5に釣り糸2の余った部位を導入し、その切断部位13に切断刃6を目視で合わせ、切り落とし部7を親指14でラインカッター1の押付部8に押し付けて保持する。なお、切断部位13を目視しながら切断刃6を合わせるので、例えば、切断部位13を結び目12の直ぐ近くに設定しつつ、その結び目12が損傷するのを防止することができる。また、切断刃6を切欠5の底部に設けているので、切断刃6に指などが触れるのを阻止することができる。
【0024】
次いで、片手3でカッター本体4を把持しつつ、もう片方の手15で釣針11などを把持した状態で、両手3、15で釣り糸2の余った部分を引っ張りながら、片手3を返すようにカッター本体4を傾けて、切断部位13に切断刃6を押し当てて切断する。なお、押付部8に滑り止め9を形成するので、親指14で押し付けた切り落とし部7が、切断部位13を切断する際に引っ張られて抜け出すのを阻止することができる。また、釣り糸2の余った部位を切欠5に導入して、U形状の切断刃6に押し当てるので、切断部位13が切断刃6の中央に安定して位置すると共に、切断刃6と切断部位13との接触長さが長くなり、切断部位13が不均一に切断されて損傷するのを防止することができる。
【0025】
切断部位13の切断後、その先の切り落とし部7は、飛散することなく、ラインカッター1の押付部8に押し付けて保持されたままであるので、これを容易に回収することができる。このように、ラインカッター1を用いることにより、釣り糸2を自分の両手3、15だけで安定して切断することができると共に、その切り落とし部7の飛散を防止して円滑に回収することができる。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、切断刃6は、カッター本体4と一体に形成する代わりに、別体のものを装着するようにしてもよい。また、図4に示すように、U形状の切断刃6の代わりに、V形状の切断刃16を採用して、中央が深い凹形状に設定するようにしてもよく(図4(a))、切欠5の幅方向と平行な直刃17(図4(b))や切欠5の幅方向に対して傾斜する斜め刃18(図4(c))を採用してもよい。また、滑り止め9は、ヘアライン仕上げだけでなく、梨地などのエンボス仕上げ、文字やロゴの刻印などであってもよく、滑り止め9を省略することもできる。
【0027】
また、図5に示すように、小判形で平板状のカッター本体4の代わりに、棒状の持ち手19の先端側に凹状の押付部20を設けたカッター本体21を採用し、その先端に切欠5及び切断刃6を設けてラインカッター22を構成することもできる。この場合、押付部20を凹状に設定するので、親指14で押し付けた切り落とし部7の抜け出しを抑えやすくすることができる。また、カッター本体4、21の代わりに、円盤形や扇形、多角形のもの、魚やその他の動物、ルアーフィッシングで使用されるブレードなどの形を模したものを採用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 ラインカッター
2 釣り糸
3 片手
4 カッター本体
5 切欠
6 切断刃
7 切り落とし部
8 押付部
9 滑り止め
10 チェーン
11 釣針
12 結び目
13 切断部位
14 親指
15 もう片方の手
16 切断刃
17 直刃
18 斜め刃
19 持ち手
20 押付部
21 カッター本体
22 ラインカッター
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸を切断するためのラインカッターであって、片手で把持可能なカッター本体の先端部に、前記釣り糸を導入可能な切欠が形成されると共に、該切欠の底部に切断刃が設けられ、前記カッター本体に、切断する釣り糸の切り落とし部を前記片手で押し付けて保持する押付部が形成され、前記押付部に、押し付けた切り落とし部の抜け出しを阻止する滑り止めが形成されたことを特徴とするラインカッター。
【請求項2】
前記切断刃は、中央が深い凹形状に設定されたことを特徴とする請求項1に記載のラインカッター。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、押付部に、押し付けた切り落とし部の抜け出しを阻止する滑り止めを形成するようにする
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、切断刃6は、カッター本体4と一体に形成する代わりに、別体のものを装着するようにしてもよい。また、図4に示すように、U形状の切断刃6の代わりに、V形状の切断刃16を採用して、中央が深い凹形状に設定するようにしてもよく(図4(a))、切欠5の幅方向と平行な直刃17(図4(b))や切欠5の幅方向に対して傾斜する斜め刃18(図4(c))を採用してもよい。また、滑り止め9は、ヘアライン仕上げだけでなく、梨地などのエンボス仕上げ、文字やロゴの刻印などであってもよ