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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014230
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】放水ノズル及びシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/084 20060101AFI20250123BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20250123BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20250123BHJP
   B05B 1/18 20060101ALI20250123BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20250123BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20250123BHJP
   B01F 23/231 20220101ALI20250123BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20250123BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20250123BHJP
   B01F 25/431 20220101ALI20250123BHJP
   B01F 23/70 20220101ALI20250123BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20250123BHJP
【FI】
E03C1/084
A47K3/28
B05B1/02 101
B05B1/18 101
B05B1/34 101
B01F23/23
B01F23/231
B01F25/10
B01F25/45
B01F25/431
B01F23/70
B01F23/2375
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116584
(22)【出願日】2023-07-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】523233802
【氏名又は名称】株式会社マホロバーニーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 道行
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 治道
【テーマコード(参考)】
2D060
2D132
4F033
4G035
【Fターム(参考)】
2D060CC16
2D060CC17
2D060CD09
2D132FA03
2D132FA17
2D132FC04
2D132FJ16
2D132FJ22
4F033AA09
4F033AA11
4F033BA04
4F033DA05
4F033EA01
4F033KA03
4F033LA05
4F033NA01
4G035AB04
4G035AB27
4G035AC11
4G035AC26
4G035AC44
4G035AC55
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】 発生させたファインバブルの損失を抑制して噴射させることができる放水ノズル及びシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】 本発明による放水ノズルは、内部に流路が形成された略筒状の筐体と、流路に配置された微細気泡発生機構と、流路の流出側端部に設けられた散水板と、を含み、上記微細気泡発生機構は、複数の傾斜穴を有する第1の旋回流形成板と、長手方向の中間領域に内径が小さい絞り部を含む筒状の気泡生成部材と、複数の傾斜穴を有する第2の旋回流形成板と、からなり、第2の旋回流形成板を通過した水流が散水板に直接到達するように配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路が形成された略筒状の筐体と、前記流路に配置された微細気泡発生機構と、前記流路の流出側端部に設けられた散水板と、を含む放水ノズルであって、
前記微細気泡発生機構は、複数の傾斜穴を有する第1の旋回流形成板と、長手方向の中間領域に内径が小さい絞り部を含む筒状の気泡生成部材と、複数の傾斜穴を有する第2の旋回流形成板と、からなり、
前記第2の旋回流形成板を通過した水流が前記散水板に直接到達するように配置されている
放水ノズル。
【請求項2】
前記流路における前記微細気泡発生機構の上流側に、前記水流を意図的に乱す障害部材をさらに含む
請求項1に記載の放水ノズル。
【請求項3】
内部に第1の流路が形成された筒状の持ち手部材と、前記持ち手部材の一端に取り付けられた放水ノズルと、を含むシャワーヘッドであって、
前記放水ノズルは、内部に前記第1の流路に連通する第2の流路が形成された略筒状の筐体と、前記第2の流路に配置された微細気泡発生機構と、前記第2の流路の流出側端部に設けられた散水板と、を含み、
前記微細気泡発生機構は、複数の傾斜穴を有する第1の旋回流形成板と、長手方向の中間領域に内径が小さい絞り部を含む筒状の気泡生成部材と、複数の傾斜穴を有する第2の旋回流形成板と、からなり、
前記第2の旋回流形成板を通過した水流が前記散水板に直接到達するように配置されている
シャワーヘッド。
【請求項4】
前記第2の流路における前記微細気泡発生機構の上流側に、前記水流を意図的に乱す障害部材をさらに含む
請求項3に記載のシャワーヘッド。
【請求項5】
前記第1の流路には、前記水流の塩素成分を除去するフィルタ部材がさらに配置される
請求項3又は4に記載のシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放水ノズル及びシャワーヘッドに関し、特に、水中に微細気泡を発生させる放水ノズル及びシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水の水質浄化作用や洗浄作用が向上できる技術として、水中にいわゆる「ファインバブル」(微細気泡)を発生させる技術が注目されている。このような「ファインバブル」は、例えば、気泡の直径が1μm以上で100μm未満の「マイクロバブル」と、気泡の直径が1μm未満である「ウルトラファインバブル」の2つに分類されることが知られている。
【0003】
このような「ファインバブル」のうち、気泡の直径が小さい「ウルトラファインバブル」を水中に発生させる技術として、水中の「マイクロバブル」から「ウルトラファインバブル」を発生させる「高速旋回流方式」及び「加圧溶解方式」や、「ウルトラファインバブル」を水流中に直接発生させる「界面活性剤添加微細孔方式」及び「キャビテーション方式」などの手法が公知である。
【0004】
上記した「ファインバブル」を発生させる技術を応用した製品として、例えば、特許文献1には、流入口、流出口、流入口側の液流入穴及び流出口側の液流出穴が連続する液流路穴を有し、液体が流入口から液流路穴に流入し、及び液流路穴に流入した液体が流出口から流出する液流路体と、液流入穴に配置され、液流出穴の液体に、液流路穴の穴中心線回りの第1の渦流を形成する第1の渦流形成体と、第1の渦流形成体及び流出口の間の液流出穴に配置され、第1の渦流及び液流路穴の穴内周の間における液流出穴の液体に、第1の渦流と同一回転方向で液流路穴の穴中心線回りの第2の渦流を形成する第2の渦流形成体と、を備えるバブル発生装置を、シャワーヘッドに連結して適用する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ノズル本体の一方の端面に液体入口を開口し他方の端面に液体出口を開口する貫通形態の液体流路が形成されるとともに、液体流路の内周面の軸線方向における少なくとも一部の区間が、軸線を螺旋中心線とする1周回分以上の螺旋溝が刻設されたキャビテーション処理部とされ、液体流路に供給される液体の流れの一部をキャビテーション処理部の螺旋溝に分配するとともに、分配された液体を螺旋溝内にて増速しつつ旋回させることにより、液体の増速により減圧される螺旋溝の内部空間をキャビテーション領域となす形で前記溶存気体を減圧析出させるようにした液体処理ノズルを、シャワーヘッドに適用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-20141号公報
【特許文献2】特開2022-116684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記例示した従来技術によるファインバブルの発生機構は、いずれも市販のシャワーヘッドにそのまま追加して適用することが可能であり、その意味での利便性は高くなっている。しかしながら、これらの従来技術では、発生機構から流出する水流がシャワーヘッドの流路内を流通する際に、水流が当該流路に設けられた様々な追加機構に接触することにより、発生機構直後に存在したファインバブルがシャワーヘッドの噴出口に到達する時点で損失を生じることとなる。
【0008】
例えば、水流中の塩素を除去するために、シャワーヘッドの持ち手部分の流路内に脱塩素カートリッジを配置したり、噴出口から噴出する水流の切り替え操作を行うために、ヘッド内で複数の細分化された流路に分岐する構造を適用したりするような場合は、これらの構成要素を水流が通過する際に、発生したファインバブルの一部が失われることになる。このため、発生機構の設計仕様で期待されるファインバブルの量を、シャワーヘッドから噴射することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、これらの背景に基づいてなされたものであって、発生させたファインバブルの損失を抑制して噴射させることができる放水ノズル及びシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の代表的な態様の1つは、内部に流路が形成された略筒状の筐体と、流路に配置された微細気泡発生機構と、流路の流出側端部に設けられた散水板と、を含む放水ノズルであって、上記微細気泡発生機構は、複数の傾斜穴を有する第1の旋回流形成板と、長手方向の中間領域に内径が小さい絞り部を含む筒状の気泡生成部材と、複数の傾斜穴を有する第2の旋回流形成板と、からなり、第2の旋回流形成板を通過した水流が散水板に直接到達するように配置されている。
【0011】
また、本発明の別の態様の1つは、内部に第1の流路が形成された筒状の持ち手部材と、持ち手部材の一端に取り付けられた放水ノズルと、を含むシャワーヘッドであって、上記放水ノズルは、内部に第1の流路に連通する第2の流路が形成された略筒状の筐体と、第2の流路に配置された微細気泡発生機構と、第2の流路の流出側端部に設けられた散水板と、を含み、微細気泡発生機構は、複数の傾斜穴を有する第1の旋回流形成板と、長手方向の中間領域に内径が小さい絞り部を含む筒状の気泡生成部材と、複数の傾斜穴を有する第2の旋回流形成板と、からなり、第2の旋回流形成板を通過した水流が散水板に直接到達するように配置されている。
【0012】
このような構成を備えた本発明によれば、微細気泡発生機構の第2の旋回流形成板を通過した水流が散水板に直接到達するように配置されているため、発生させたファインバブルの損失を抑制して噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の代表的な一例である放水ノズルの概要を示す外観図及び部分断面図である。
図2図1で示した微細気泡発生機構の概要を示す断面図である。
図3図2で示した微細気泡発生機構における第1の旋回流形成板の概要を示す概略図である。
図4図2で示した微細気泡発生機構における第2の旋回流形成板の概要を示す概略図である。
図5】本発明の変形例による放水ノズルの概要を示す外観図及び部分断面図である。
図6図5で示した障害部材の概要を示す概略図である。
図7】本発明の別の一例であるシャワーヘッドの概要を示す外観図である
図8図7で示したシャワーヘッドの概要を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による放水ノズル及びこれを用いたシャワーヘッドの代表的な具体例を図1図8を用いて説明する。
【0015】
<実施例1>
図1は、本発明の代表的な一例である放水ノズルの概要を示す外観図及び部分断面図である。また、図2は、図1で示した微細気泡発生機構の概要を示す断面図である。また、図3は、図2で示した微細気泡発生機構における第1の旋回流形成板の概要を示す概略図である。さらに、図4は、図2で示した微細気泡発生機構における第2の旋回流形成板の概要を示す概略図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の一例による放水ノズル100は、内部に流路が形成された略筒状の筐体110と、筐体110内の流路に配置された微細気泡発生機構120と、流路の流出側端部に設けられた散水板130と、を含む。また、図1(a)に示すように、放水ノズル100は、結合部材10を介して任意の給水源(給湯装置等)から温水や冷水を供給する給水ホース20と接続される。これにより、給水ホース20から水流WFが流入し、放水ノズル100の散水板130からファインバブルを含むバブル水流BFが噴射される。
【0017】
図1(b)に示すように、筐体110は、その一例として、金属やプラスチック等の材料から略円筒状に形成され、一端側に結合部材10と結合される結合部112aを有する流入筒部112を含む。一方、筐体110の他端側には、後述する微細気泡発生機構120及び散水板130を挟みこんで固定する固着部材114が設けられている。そして、筐体110は、その内部に、水流WFが流入する流入側流路C1と、微細気泡発生機構120が収容される気泡発生流路C2と、微細気泡発生機構120と散水板130との間に形成される流出側流路C3と、が連続的に形成されている。
【0018】
図2に示すように、微細気泡発生機構120は、その一例として、複数の傾斜穴を有する第1の旋回流形成板122と、長手方向の中間領域に内径が小さい絞り部RPを含む筒状の気泡生成部材124と、複数の傾斜穴を有する第2の旋回流形成板126と、により構成されている。また、特に図2(a)に示すように、気泡生成部材124は、上記した絞り部RPにおける内径D2が最も小さく、その一例として、流入側内径D1と流出側内径D3との間に「D2<D3<D1」の関係が成立しているのが好ましい。
【0019】
微細気泡発生機構120は、その一例として、構成するすべての部材を硬質プラスチック等の樹脂材料により形成される。そして、第2の旋回流形成板126を通過した水流WFが、散水板130に直接到達するように配置されている。
【0020】
図3に示すように、第1の旋回流形成板122は、複数の傾斜穴122cが略円周上に形成された底面部122aと、当該底面部122aの外周に起立した側壁部122bと、により構成されている。また、図2(a)に示すように、第1の旋回流形成板122の側壁部122bの内径は、気泡生成部材124の流入側端部の外径と略同一となるように形成されており、これにより、第1の旋回流形成板122は、気泡生成部材124の流入側に隙間なく嵌め合うように取り付けられる。
【0021】
図3に示す例では、第1の旋回流形成板122の底面部122aには、一方の面(上面図側)と他方の面(底面図側)との間で穴の開口位置が矢印A1の向きにずれた4つの傾斜穴122cが等間隔に形成されている。これにより、第1の旋回流形成板122の底面側に給水ホース20から水流WFが流入した場合、底面部122aに形成された複数の傾斜穴122cを通過した水流は、これらの傾斜穴122cの傾斜方向に向けて噴射され、結果として旋回流となって後流側に流れることとなる。なお、図3に示す第1の旋回流形成板122では、4つの傾斜穴122cが略円周上に等間隔で形成されている場合を例示しているが、全体のサイズや流れる水流WFの性質に応じて傾斜穴122cの数を適宜選択してもよい。
【0022】
図2(b)に示すように、気泡生成部材124は、その一例として、流入端側から絞り部RPに向けて徐々に内径が小さくなる縮径部124aと、絞り部RPから流出端側に向けて徐々に内径が大きくなる拡径部124bと、後述する第2の旋回流形成板126を取り付けるための鍔部124cと、により構成されている。
【0023】
本発明による放水ノズル100では、ファインバブルを発生させる技術として、液中に溶存しているガスを「キャビテーション現象」により「ウルトラファインバブル」として発生させる、いわゆる「キャビテーション方式」を採用している。この「キャビテーション方式」によれば、本発明による放水ノズル100において、給水ホース20が接続された流入筒部112から散水板130までの間に、ファインバブルの原料となる空気等の気体を取り込むための追加的な流路や管を必要がないため、放水ノズル100の構造を簡素化できるとともに、全体のサイズを小さくすることが可能となる。
【0024】
上記した「キャビテーション方式」によるファインバブルの発生現象を生じさせるために、
気泡生成部材124の内部には、絞り部RPに向かって徐々に集束する縮小流路RCと、絞り部RPから徐々に拡大する拡大流路ECと、を含む流路が形成される。そして、気泡生成部材124に流入した水流WFは、縮小流路RCを流れることにより加圧され、絞り部RPを通過して拡大流路ECを流れることにより急激に減圧される。この構造によって、気泡生成部材124を通る水流WFに「キャビテーション現象」によりファインバブルが生成される。
【0025】
図4に示すように、第2の旋回流形成板126は、複数の傾斜穴126cが略円周上に形成された底面部126aと、当該底面部126aの外周に起立した側壁部126bと、側壁部126bの端部に形成されて散水板130を支持する支持部126dと、により構成されている。また、図2(a)に示すように、第2の旋回流形成板126の側壁部126bの外径は、気泡生成部材124の鍔部124cの内径と略同一となるように形成されており、これにより、第2の旋回流形成板126は、気泡生成部材124の流出側に隙間なく嵌め合うように取り付けられる。
【0026】
図4に示す例では、第2の旋回流形成板126の底面部126aには、一方の面(上面図側)と他方の面(底面図側)との間で穴の開口位置が矢印A2の向きにずれた6つの傾斜穴126cが等間隔に形成されている。これにより、第2の旋回流形成板126の底面側に気泡生成部材124からファインバブルを含む水流WFが流入した場合、底面部126aに形成された複数の傾斜穴126cを通過した水流は、これらの傾斜穴126cの傾斜方向に向けて噴射され、さらに攪拌された旋回流となって後流側に流れることとなる。なお、図4に示す第2の旋回流形成板126では、6つの傾斜穴126cが略円周上に等間隔で形成されている場合を例示しているが、全体のサイズや流れる水流WFの性質に応じて傾斜穴126cの数を適宜選択してもよい。
【0027】
散水板130は、一般的な市販されるシャワーヘッド等に適用されるような、薄板状の部材に複数の微細な貫通孔が形成されたものとして構成される。このとき、散水板130に形成される複数の微細な貫通孔は、微細気泡発生機構120から流出する旋回流の向き(すなわち上記した第2の旋回流形成板126の傾斜穴126cの傾斜方向)に沿って配列されるのが好ましい。これにより、バブル水流BFが散水板130からスムーズに噴射される。
【0028】
また、散水板130は、図1(b)に示すように、第2の旋回流形成板126の支持部126dと重ね合わせた状態で、筐体110の流出側端部に固着部材114により挟み込まれた態様で固定される。このとき、固着部材114と第2の旋回流形成板126及び散水板130との間には、いわゆるOリング等のシール部材(図示省略)を配置するのが好ましい。これにより、放水ノズル100における筐体110の内部に形成された流路の気密及び水密が確保されるため、例えば放水ノズル100を浴槽等に入れたままの状態でバブル水流BFによる放水を行うことも可能となる。
【0029】
以下、上記した放水ノズル100を用いてファインバブルを含むバブル水流BFを噴射させる動作を説明する。
【0030】
まず、給水ホース20から所定の水圧で、水流WFが流入筒部112内の流入側流路C1に流入すると、水流WFは第1の旋回流形成板122の複数の傾斜穴122cを通過することにより、気泡生成部材124の縮小流路RCに旋回流として流入する。このとき、図1(b)に示すように、気泡発生流路C2において、気泡生成部材124の鍔部124cの外周が気泡発生流路C2の内面と隙間なく接触しているため、水流WFは第1の旋回流形成板122の傾斜穴122cのみから後流側に流れることとなり、結果として、第1の旋回流形成板122を通過した水流WFの旋回流は流入時よりも加圧された状態となる。
【0031】
次に、第1の旋回流形成板122を通過した旋回する水流WFは、気泡生成部材124の縮小流路RCを通過する間に徐々に加圧され、その後、水流WFは、絞り部RPを経て拡大流路ECを通過する間に急激に減圧される。このとき、旋回する水流WFには、上記した「キャビテーション現象」により、その内部に微細なファインバブルが形成される。
【0032】
続いて、気泡生成部材124の拡大流路ECを通過した旋回するバブル水流BFは、第2の旋回流形成板126の複数の傾斜穴126cを通過することにより、流出側流路C3にさらなる旋回流として流入する。このとき、図2(a)に示すように、気泡生成部材124の鍔部124cの内面と第2の旋回流形成板126の側壁部126bの外周面とが隙間なく接触しているため、第2の旋回流形成板126を通過したバブル水流BFの旋回流は加圧されて流出側流路C3に流出する。
【0033】
続いて、流出側流路C3に流出したバブル水流BFの旋回流は、散水板130に形成された微細な貫通孔を通過することにより、所定の水圧で放水ノズル100から放水される。このとき、バブル水流BFは流出側流路C3においてさらに加圧されて散水板130を通過するため、バブル水流BFに含まれるファインバブルがより粉砕されて微細化された状態で放出される。これにより、十分に微細なファインバブルを多く含有するバブル水流BFを得ることができる。
【0034】
次に、図5及び図6を用いて、本発明による放水ノズルの変形例を説明する。図5は、本発明の変形例による放水ノズルの概要を示す外観図及び部分断面図である。また、図6は、図5で示した障害部材の概要を示す概略図である。
【0035】
図5に示すように、本発明の変形例による放水ノズル100は、略筒状の筐体110と、筐体110内の流路に配置された微細気泡発生機構120と、流路の流出側端部に設けられた散水板130と、流入側流路に配置された障害部材140と、を含む。また、図5(a)に示すように、放水ノズル100は、結合部材10を介して給水ホース20と接続される。
【0036】
筐体110の流入筒部112の内部における流入側流路C1に配置された障害部材140は、その一例として図6に示すように、流入側流路C1の内面に沿う形状に形成されたベース部材142と、当該ベース部材142に配置された複数のフィン部材144と、により構成されている。このような障害部材140は、微細気泡発生機構120の第1の旋回流形成板122に導かれる水流WFの流れをその上流側で意図的に乱すことにより、後流の微細気泡発生機構120によるファインバブルの生成効率をより高めるように機能する。なお、障害部材140についても、他の部材と同様に、硬質プラスチック等の樹脂材料により形成される。
【0037】
ベース部材142は、その一例として、流入側流路C1を流れる水流WFの水量をできるだけ多くしつつ、一方で当該水流WFの流れを意図的に乱すフィン部材144の本数もできるだけ多くできるようなバランスを考慮して、その高さや幅を決定する。また、ベース部材142の水流WFの流れ方向に対する長さは、予めファインバブルを発生させる実験等を実施して適切なものが選定される。なお、ベース部材142は、筐体110の流入筒部112の内面との間に、いわゆる「キー」と「キー溝」の関係による滑り止め機能を有するように構成してもよい。
【0038】
複数のフィン部材144は、その一例として、ベース部材142から先端に向けて先細りの形状を有する。フィン部材144の高さは、流入側流路C1を流れる水流WFの水量をできるだけ多くしつつ、一方で当該水流WFの流れをより複雑に乱すことができるように、適切な範囲で設定される。
【0039】
なお、図6に示す複数のフィン部材144は、水流WFの流れる方向に沿って3列の配列とした場合を例示しているが、流れを乱す効率を考慮して、複数であれば列数は任意のものを採用できる。また、図6では、列ごとに流れに沿って整列した配置として示しているが、フィン部材144の目的とである水流WFの流れを意図的に乱すことができるものであれば、ランダムな配置としてもよい。
【0040】
上記のような構成を備えることにより、本発明による放水ノズルは、筐体内の流路に配置された微細気泡発生機構の第2の旋回流形成板を通過した水流が散水板に直接到達するように配置されているため、発生させたファインバブルの損失を抑制して噴射させることができる。
【0041】
<実施例2>
図7は、本発明の別の一例であるシャワーヘッドの概要を示す外観図である。また、図8は、図7で示したシャワーヘッドの概要を示す部分断面図である。なお、実施例2においては、図1図6に示した概略図等において、実施例1と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
【0042】
図7に示すように、本発明の別の一例によるシャワーヘッド200は、内部に第1の流路が形成された筒状の持ち手部材210と、当該持ち手部材210の一端に取り付けられ第2の流路を構成する放水ノズル100と、を含む。また、シャワーヘッド200は、放水ノズル100とは反対側の端部に位置する流入筒部212において、結合部材10を介して給水ホース20と接続される。これにより、給水ホース20から水流WFが流入すると、持ち手部材210から放水ノズル100を経由して、散水板130からファインバブルを含むバブル水流BFが噴射される。
【0043】
実施例2によるシャワーヘッド200の放水ノズル100は、その一例として、実施例1のものと同様に、略筒状の筐体110と、筐体110内の流路に配置された微細気泡発生機構120と、流路の流出側端部に設けられた散水板130と、流入側流路C1に配置された障害部材140と、を含む。一方、実施例2において、放水ノズル100は、例えば図8に示すように、持ち手部材210から流入する水流WFを略直角に方向転換して、散水板130からバブル水流BFとして放出するため、持ち手部材210の上端と連通する流入側流路C1を画定する側壁部116をさらに含むように構成されている。
【0044】
持ち手部材210は、その一例として図8に示すように、内部に流路(第1の流路)C4が形成された略筒状の部材として構成されている。持ち手部材210は、一方の端部において、上述のとおり、結合部材10を介して給水ホース20と接続される流入筒部212を含むとともに、他方の端部においては、放水ノズル100の流入側流路C1と第1の流路C4とを連通させるための結合端部214を含む。
【0045】
このような構成のシャワーヘッド200によれば、持ち手部材210から供給された水流WFに対して、その先端に取り付けられた放水ノズル100の微細気泡発生機構120においてファインバブルを発生させ、これを直接散水板130からバブル水流BFとして噴射することにより、実施例1の場合と同様に、発生させたファインバブルの損失を抑制したシャワーとして利用することができる。なお、図7及び図8で示したシャワーヘッド200では、放水ノズル100と持ち手部材210とを略直角に取り付けた場合を例示しているが、ユーザの使い勝手を考慮して、放水ノズル100と持ち手部材210とを任意の角度で方向転換するように取り付ける構造を採用してもよい。
【0046】
また、実施例2のシャワーヘッド200の一例として、例えば図8に示すように、持ち手部材210の第1の流路C4内に、給水ホース20から流入する水流WFの塩素成分を除去するためのフィルタ部材220を交換可能に取り付けるように構成してもよい。これにより、シャワーヘッド200を使用するユーザの肌への負担を低減することも可能となる。
【0047】
上記した実施例2によるシャワーヘッド200の使用例としては、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、光学的なファインバブルの発生量を測定した場合、1ml(ミリリットル)中に約4億個のウルトラファインバブルが存在することを確認できた。
【0048】
上記のような構成を備えることにより、本発明によるシャワーヘッドは、筐体内の流路に配置された微細気泡発生機構の第2の旋回流形成板を通過した水流が散水板に直接到達する構造の放水ノズルを用いているため、発生させたファインバブルの損失を抑制したシャワーを利用することができる。
【0049】
なお、上記した実施の形態における記述は、本発明に係る放水ヘッドあるいはシャワーヘッドの一例であって、本発明は各実施の形態に限定されるものではない。また、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形を行うことが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0050】
10 結合部材
20 給水ホース
100 放水ノズル
110 筐体
112 流入筒部
114 固着部材
116 側壁部
120 微細気泡発生機構
122 第1の旋回流形成板
122a 底面部
122b 側壁部
122c 傾斜穴
124 気泡生成部材
124a 縮径部
124b 拡径部
124c 鍔部
126 第2の旋回流形成板
126a 底面部
126b 側壁部
126c 傾斜穴
126d 支持部
130 散水板
140 障害部材
142 ベース部材
144 フィン部材
200 シャワーヘッド
210 持ち手部材
212 流入筒部
214 結合端部
BF バブル水流
RP 絞り部
WF 水流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8