(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014248
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】ソレノイドバルブ用互換スペーサ
(51)【国際特許分類】
H01F 7/06 20060101AFI20250123BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20250123BHJP
H01R 12/70 20110101ALI20250123BHJP
【FI】
H01F7/06 G
F16K31/06 305B
H01F7/06 H
H01R12/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116642
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】奥出 敏史
【テーマコード(参考)】
3H106
5E048
5E223
【Fターム(参考)】
3H106EE34
3H106FB29
3H106GA06
5E048AB01
5E048AD02
5E048CB02
5E048CB03
5E223AC13
5E223AC35
(57)【要約】
【課題】小型のソレノイドバルブおよび大型のソレノイドバルブに取り付けられるコネクタを共通化することができ、部品コストひいてはソレノイドバルブの製造コストの削減を図ることが可能なソレノイドバルブ用互換スペーサを提供する。
【解決手段】本発明にかかるソレノイドバルブ用互換スペーサの構成は、小型のソレノイドバルブの短いピンプラグに取り付けられるコネクタと、大型のソレノイドバルブの長いピンプラグに取り付けられるコネクタとを共通化するソレノイドバルブ用互換スペーサであって、コネクタ190は、小型のソレノイドバルブの短ピンプラグ182の長さに合わせて構成されていて、当該互換スペーサは、大型のソレノイドバルブに対してコネクタより先に長ピンプラグ184に取り付けられ、長ピンプラグ184の突出長を小型ソレノイドバルブの短ピンプラグ182の長さと揃えることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型のソレノイドバルブの短いピンプラグに取り付けられるコネクタと、大型のソレノイドバルブの長いピンプラグに取り付けられるコネクタとを共通化するソレノイドバルブ用互換スペーサであって、
前記コネクタは、前記小型のソレノイドバルブのピンプラグの長さに合わせて構成されていて、
当該互換スペーサは、前記大型のソレノイドバルブに対して前記コネクタより先に前記ピンプラグに取り付けられ、該ピンプラグの突出長を前記小型のソレノイドバルブのピンプラグの長さと揃えることを特徴とするソレノイドバルブ用互換スペーサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型のソレノイドバルブの短いピンプラグに取り付けられるコネクタと、大型のソレノイドバルブの長いピンプラグに取り付けられるコネクタとを共通化するソレノイドバルブ用互換スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
産業設備において油圧制御を行う装置としてソレノイドバルブが知られている。例えば特許文献1には、「ソレノイドコイル本体と、ソレノイドコイル本体のソレノイドコイルによって駆動されるバルブ本体と、上記ソレノイドコイル本体のソレノイドコイルに接続されるリード線とを備え、上記ソレノイドコイル本体と上記リード線とが別体に形成され、ソレノイドコイル本体のソレノイドコイルに対して上記リード線が着脱可能に接続されるようになっていることを特徴とする電磁弁」が開示されている。
【0003】
特許文献1によれば、「ソレノイドコイル本体に対してリード線を着脱可能に接続できるようにすることによって、ソレノイドコイル本体を多種のリード線に対して可能な限り共用化できるようにした電磁弁を提供することが可能である」としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ソレノイドバルブにはピンプラグが設けられていて、リード線を備えるコネクタがピンプラグに取り付けられることにより、リード線およびピンプラグを介してソレノイドバルブ(厳密にはソレノイドコイル)に電流が供給される。ソレノイドバルブは、制御する作動油の流量によって様々なサイズのものが用いられていて、現状では各サイズに対応したコネクタが用意されている。しかしながら、ソレノイドバルブの各サイズに合ったコネクタを用いていると部品ひいてはソレノイドバルブが高コストとなってしまう。このため、様々なサイズのソレノイドバルブにおけるコネクタの共通化が求められていた。
【0006】
ここで、小型のソレノイドバルブのピンプラグは長さが短く、大型のソレノイドバルブのピンプラグは長さが長い。このため、小型のソレノイドバルブ用のコネクタを単に大型のソレノイドバルブに適用すると、長いピンプラグがコネクタから露出してしまう。すると、ピンコネクタのうち、露出部分において錆等の不具合が生じやすくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、小型のソレノイドバルブおよび大型のソレノイドバルブに取り付けられるコネクタを共通化することができ、部品コストひいてはソレノイドバルブの製造コストの削減を図ることが可能なソレノイドバルブ用互換スペーサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかるソレノイドバルブ用互換スペーサの代表的な構成は、小型のソレノイドバルブの短いピンプラグに取り付けられるコネクタと、大型のソレノイドバルブの長いピンプラグに取り付けられるコネクタとを共通化するソレノイドバルブ用互換スペーサであって、コネクタは、小型のソレノイドバルブのピンプラグの長さに合わせて構成されていて、当該互換スペーサは、大型のソレノイドバルブに対してコネクタより先にピンプラグに取り付けられ、ピンプラグの突出長を小型のソレノイドバルブのピンプラグの長さと揃えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型のソレノイドバルブおよび大型のソレノイドバルブに取り付けられるコネクタを共通化することができ、部品コストひいてはソレノイドバルブの製造コストの削減を図ることが可能なソレノイドバルブ用互換スペーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】ピンプラグに取り付けられるコネクタを説明する図である。
【
図3】本実施形態にかかるソレノイドバルブ用互換スペーサの四面図である。
【
図4】長ピンプラグへのコネクタの取付について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
(ソレノイドバルブ)
図1は、ソレノイドバルブを説明する図である。
図1(a)は、小型のソレノイドバルブ(以下、小型ソレノイドバルブ100aと称する)の内部構造を例示する図である。
図1(b)は、
図1(a)の小型ソレノイドバルブ100aを上方から観察した平面図である。
図1(c)は、大型のソレノイドバルブ(以下、大型ソレノイドバルブ100bと称する)の内部構造を例示する図である。
図1(d)は、
図1(a)の大型ソレノイドバルブ100bを上方から観察した平面図である。
【0013】
図1(a)に例示する小型ソレノイドバルブ100aおよび
図1(c)に示す大型ソレノイドバルブ100bの内部構造は共通であるため、以下、小型ソレノイドバルブ100aを例に挙げて内部構造を説明する。大型ソレノイドバルブ100bについては、小型ソレノイドバルブ100aにおいて共通する構成要素に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0014】
図1(a)に例示するように小型ソレノイドバルブ100aは、複数のポート112a、112bが形成された円筒状のスリーブ110、およびスリーブ110の両側に配置された一対のケーシング120を備える。スリーブ110の内部にはスプール130が配置されていて、スプール130がスリーブ110の軸方向に往復動することにより、複数の吐出ポート112a、112bが切り替えられる。
【0015】
ケーシング120の内部には、ソレノイドコイル140、プランジャ150、固定鉄心160およびプッシャ170が収容されている。ソレノイドコイル140は、電流が供給されると通電状態となって励磁される。すると、プランジャ150が固定鉄心160に吸引され、プランジャ150がプッシャ170をスプール130に対して押し付ける。これにより、スプール130がスリーブ110の内部を移動し、ポート112a、112bが開閉する。
【0016】
図1(a)および(b)に示すように、小型ソレノイドバルブ100aのケーシング120には、ソレノイドコイル140に電流を供給するピンプラグ(以下、短ピンプラグ182と称する)が突出するように配置されている。
図1(c)および(d)に示すように、大型ソレノイドバルブ100bのケーシング120には、ソレノイドコイル140に電流を供給するピンプラグ(以下、長ピンプラグ184と称する)が突出するように配置されている。短ピンプラグ182の長さはL1であり、長ピンプラグ184の長さはL2である(L1<L2)。
【0017】
図2は、短ピンプラグ182に取り付けられるコネクタ190を説明する図である。
図2(a)は、短ピンプラグ182、およびそれに取り付けられるコネクタ190を例示する図である。
図2(b)は、コネクタ190が短ピンプラグ182に取り付けられた状態を例示する図である。
【0018】
図2(a)に示すように、コネクタ190は、外部電源(不図示)に接続されるリード線192を有し、内部に短ピンプラグ182が挿入される挿通孔194が形成されている。挿通孔194の長さは、短ピンプラグL1と同じ長さとなっている。すなわちコネクタ190は、小型ソレノイドバルブ100aの短ピンプラグ182の長さに合わせて構成されている。これにより、
図2(b)に示すように短ピンプラグ182にコネクタ190を取り付けた際に、短ピンプラグ182が、挿通孔194から露出することなく、全体が挿通孔194に差し込まれた状態となる。コネクタ190はネジ穴196においてネジ210でケーシング120に締結されている。
【0019】
図2(a)に示すコネクタ190を長ピンプラグ184に適用しようとすると、
図2(c)に示すように長ピンプラグ184のうち、L1より長い部分のL3がコネクタ190から露出した状態となってしまう。すると、露出したL3の範囲において長ピンプラグ184に錆等の損傷が生じやすくなる可能性がある。
【0020】
図3は、本実施形態にかかるソレノイドバルブ用互換スペーサの四面図である。
図3に示すように本実施形態のソレノイドバルブ用互換スペーサ(以下、互換スペーサ200と称する)は、矩形のブロック形状であって、ネジ穴202および挿通孔204を有する。
【0021】
ネジ穴202は、厚み方向に互換スペーサ200を貫通していて、ネジ210(
図4参照)によって互換スペーサ200がケーシング120に締結される。挿通孔204は、長ピンプラグ184の長さ方向に互換スペーサ200を貫通していて、長ピンプラグ184が挿入される。挿通孔204の長さ(換言すれば互換スペーサ200の幅)は、「短ピンプラグ182の長さと長ピンプラグ184の長さとの差分である長さL3」に設定されている。
【0022】
図4は、長ピンプラグ184へのコネクタ190の取付について説明する図である。大型ソレノイドバルブ100bの長ピンプラグ184にコネクタ190を取り付ける際には、まず
図4(a)に示す長ピンプラグ184を互換スペーサ200の挿通孔204に挿通する。これにより、
図4(b)に示すように大型ソレノイドバルブ100bの長ピンプラグ184に対して、コネクタ190より先に互換スペーサ200が取り付けられる。このとき長ピンプラグ184は、長さL1分、互換スペーサ200から突出した状態である。
【0023】
続いて
図4(b)に示す長ピンプラグ184をコネクタ190の挿通孔194に挿通する。これにより、
図4(c)に示すように互換スペーサ200から突出した長さL1分の長ピンプラグ184が挿通孔194に収容され、互換スペーサ200が介在した状態でコネクタ190が大型ソレノイドバルブ100bに取り付けられる。すなわち長ピンプラグ184は、互換スペーサ200の挿通孔204およびコネクタ190の挿通孔194に挿通されて保護された状態となる。
【0024】
上記説明したように、コネクタ190よりも先に互換スペーサ200を長ピンプラグ184に取り付けることにより、長ピンプラグ184の突出長を小型ソレノイドバルブ100aのピンプラグの長さL1と揃えることができる。したがって、小型ソレノイドバルブ100aおよび大型ソレノイドバルブ100bに取り付けられるコネクタ190を共通化することができ、部品コストひいてはソレノイドバルブの製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0025】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、小型のソレノイドバルブの短いピンプラグに取り付けられるコネクタと、大型のソレノイドバルブの長いピンプラグに取り付けられるコネクタとを共通化するソレノイドバルブ用互換スペーサとして利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
100a…小型ソレノイドバルブ、100b…大型ソレノイドバルブ、110…スリーブ、112a…ポート、112b…ポート、120…ケーシング、130…スプール、140…ソレノイドコイル、150…プランジャ、160…固定鉄心、170…プッシャ、182…短ピンプラグ、184…長ピンプラグ、190…コネクタ、192…リード線、194…挿通孔、196…ネジ穴、200…互換スペーサ、202…ネジ穴、204…挿通孔、210…ネジ