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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142480
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】搬送装置および錠剤印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20250924BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
B65G47/86 F
A61J3/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041850
(22)【出願日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】523122355
【氏名又は名称】太陽ファルマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】中野 信行
(72)【発明者】
【氏名】西川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畑 侑弥
(72)【発明者】
【氏名】釣川 幸吉
(72)【発明者】
【氏名】巽 弥
(72)【発明者】
【氏名】戸田 学
【テーマコード(参考)】
3F072
4C047
【Fターム(参考)】
3F072AA33
3F072GB10
3F072GG02
3F072KA07
3F072KC02
3F072KC07
4C047CC15
4C047JJ12
4C047JJ32
4C047JJ33
4C047JJ40
(57)【要約】
【課題】複数の粒状物を整列させつつ搬送する際に、粒状物がガイド部に接触して擦れてガイド部に粒状物の粉塵が付着することを抑制し、これにより、ガイド部に付着した粉塵が後続の粒状物に再度付着することによる印刷不良の発生を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】この搬送装置は、粒状物が一列で搬送方向に搬送される搬送路を形成するガイド部14を有する。ガイド部14は、搬送路140において搬送される粒状物を下方から支持する底面部141と、搬送路140を上方から覆う天面部142と、を有する。底面部141は、搬送方向に沿って延び、かつ、幅方向の中央位置を含む一部分において下方へ凹み、または底面部141を上下方向に貫通する第1溝部70を有する。また、天面部142は、搬送方向に沿って延び、かつ、幅方向の中央位置を含む一部分において上方へ凹み、または天面部142を上下方向に貫通する第2溝部80を有する。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物を搬送する搬送装置であって、
複数の粒状物を、水平な搬送方向に沿って供給する上流側機構と、
前記上流側機構から供給される粒状物が一列で前記搬送方向に搬送される搬送路を形成するガイド部と、
を有し、
前記ガイド部は、
前記搬送路において搬送される粒状物を下方から支持する底面部と、
前記搬送路を上方から覆う天面部と、
それぞれが上下方向において前記底面部と前記天面部との間に位置し、互いに前記搬送方向に直交する幅方向に対向する、一対の側面部と、
を有し、
前記底面部は、前記搬送方向に沿って延び、かつ、前記幅方向の中央位置を含む一部分において下方へ凹みまたは前記底面部を上下方向に貫通する第1溝部を有し、
前記天面部は、前記搬送方向に沿って延び、かつ、前記幅方向の中央位置を含む一部分において上方へ凹みまたは前記天面部を上下方向に貫通する第2溝部を有する、搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記第1溝部は前記底面部を上下方向に貫通する貫通孔を備える、搬送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第1溝部の幅は、前記搬送路の幅の3割以上、かつ、8割以下である、搬送装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置であって、
前記第2溝部の幅は、前記搬送路の幅の3割以上、かつ、8割以下である、搬送装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置であって、
前記上流側機構は、
前記底面部よりも前記搬送方向の上流側に位置し、粒状物を前記底面部へ向けて搬送するコンベア
をさらに有し、
前記天面部および前記第2溝部は、前記コンベアの上方から前記底面部の上方まで前記搬送方向に延びる、搬送装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の搬送装置であって、
前記粒状物は錠剤である、搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載の搬送装置と、
錠剤の表面にインクジェット方式で画像を印刷する印刷部と、
を有し、
錠剤は、
前記第1溝部に対向する第1面と、
前記第2溝部に対向する第2面と、
を有し、
前記印刷部は、錠剤の前記第1面および前記第2面に画像を印刷する、錠剤印刷装置。
【請求項8】
請求項7に記載の錠剤印刷装置であって、
前記印刷部は、前記第1溝部および前記第2溝部よりも狭い前記幅方向の範囲において、錠剤に画像を印刷する、錠剤印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物を搬送する搬送装置および当該搬送装置を有する錠剤印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品である錠剤には、製品を識別するための文字やコードが印刷される。また、ラムネ等の錠菓にも、マークやイラストが印刷される場合がある。従来、このような錠剤・錠菓等の粒状物に、インクジェット方式で画像を印刷する印刷装置が知られている。特に、近年では、後発医薬品の普及により、錠剤の種類が多様化している。このため、錠剤を識別しやすくするために、錠剤にインクジェット方式で鮮明に画像を印刷する技術が注目されている。
【0003】
この種の印刷装置では、多数の錠剤が搬入用のホッパに流し込まれる。印刷装置は、流し込まれた複数の錠剤を、所定の列に分けつつ搬送方向に整列させる。そして、整列した状態で搬送される複数の錠剤に対して、印刷が行われる。また、印刷装置に限らず、錠剤の検査を行う検査装置や、錠剤の包装を行う包装装置においても、複数の錠剤を搬送方向に整列させつつ搬送することが必要である。
【0004】
複数の錠剤を搬送方向に整列させつつ搬送する機構については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-004107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の錠剤印刷装置(1)は、複数の錠剤(9)を搬送方向に一定の間隔をあけて保持しつつ搬送する第1ドラム(20)と、錠剤印刷装置(1)に投入された複数の錠剤(9)を第1ドラム(20)へ供給する供給機構(10)と、を有する(段落0039,段落0040,段落0044,図1等)。供給機構(10)の第2シュート(14)には、錠剤(9)の搬送路が設けられている。第2シュート(14)内の錠剤(9)は、第2シュート(14)の搬送方向の上流側に設けられた供給コンベア(13)により搬送される後続の錠剤(9)から押されることによって、搬送方向の下流側へ進行する(段落0043)。
【0007】
第2シュート(14)の上方には、ガイドレール(15)が設けられている。ガイドレール(15)は、第2シュート(14)内における錠剤(9)の搬送路の上面を覆う。第2シュート(14)内の錠剤(9)は、上方をガイドレール(15)に覆われながら、搬送路を下流側へ進行する(段落0087,図1等)。このため、錠剤(9)が搬送路を進行する過程で上方のガイドレール(15)等に接触して擦れて、錠剤(9)の粉塵が付着する虞がある。この場合、付着した粉塵が後続の錠剤(9)に再度付着して印刷不良の発生に繋がる虞がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、複数の錠剤等の粒状物を整列させつつ搬送する際に、粒状物がガイドレール等に接触して擦れて、粒状物の粉塵がガイドレール等に付着することを抑制できる技術を提供することを目的とする。これにより、ガイドレール等に付着した粉塵が後続の粒状物に再度付着することを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、粒状物を搬送する搬送装置であって、上流側機構と、ガイド部と、を有する。前記上流側機構は、複数の粒状物を、水平な搬送方向に沿って供給する。前記ガイド部は、前記上流側機構から供給される粒状物が一列で前記搬送方向に搬送される搬送路を形成する。前記ガイド部は、底面部と、天面部と、一対の側面部と、を有する。前記底面部は、前記搬送路において搬送される粒状物を下方から支持する。前記天面部は、前記搬送路を上方から覆う。前記一対の側面部は、それぞれが上下方向において前記底面部と前記天面部との間に位置し、互いに前記搬送方向に直交する幅方向に対向する。前記底面部は、前記搬送方向に沿って延び、かつ、前記幅方向の中央位置を含む一部分において下方へ凹みまたは前記底面部を上下方向に貫通する第1溝部を有する。前記天面部は、前記搬送方向に沿って延び、かつ、前記幅方向の中央位置を含む一部分において上方へ凹みまたは前記天面部を上下方向に貫通する第2溝部を有する。
【0010】
本願の第2発明は、第1発明の搬送装置であって、前記第1溝部は前記底面部を上下方向に貫通する貫通孔を備える。
【0011】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の搬送装置であって、前記第1溝部の幅は、前記搬送路の幅の3割以上、かつ、8割以下である。
【0012】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の搬送装置であって、前記第2溝部の幅は、前記搬送路の幅の3割以上、かつ、8割以下である。
【0013】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明までのいずれか1発明の搬送装置であって、前記上流側機構は、前記底面部よりも前記搬送方向の上流側に位置し、粒状物を前記底面部へ向けて搬送するコンベアをさらに有する。前記天面部および前記第2溝部は、前記コンベアの上方から前記底面部の上方まで前記搬送方向に延びる。
【0014】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明までのいずれか1発明の搬送装置であって、前記粒状物は錠剤である。
【0015】
本願の第7発明は、錠剤印刷装置であって、第6発明の搬送装置と、錠剤の表面にインクジェット方式で画像を印刷する印刷部と、を有する。錠剤は、前記第1溝部に対向する第1面と、前記第2溝部に対向する第2面と、を有する。前記印刷部は、錠剤の前記第1面および前記第2面に画像を印刷する。
【0016】
本願の第8発明は、第7発明の錠剤印刷装置であって、前記印刷部は、前記第1溝部および前記第2溝部よりも狭い前記幅方向の範囲において、錠剤に画像を印刷する。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1発明~第8発明によれば、粒状物が搬送路を搬送されている間に、ガイド部の底面部や天面部に粒状物が接触して擦れて、これらの部位に粒状物の粉塵が付着することを抑制できる。これにより、付着した粉塵が後続の粒状物に再度付着することを抑制できる。
【0018】
特に、本願の第2発明によれば、第1溝部を介して粉塵を下方へ落とすことができる。これにより、粉塵が後続の粒状物に再度付着することをさらに抑制できる。
【0019】
特に、本願の第3発明によれば、粒状物が搬送路を搬送されている間に、底面部に粒状物が接触して擦れて底面部に粉塵が付着することをさらに抑制できる。また、底面部によって粒状物を十分に支持しつつ、より多くの粉塵を下方へ移動させることができる。
【0020】
特に、本願の第4発明によれば、粒状物が搬送路を搬送されている間に、天面部に粒状物が接触して擦れて天面部に粉塵が付着することをさらに抑制できる。
【0021】
特に、本願の第5発明によれば、コンベアから底面部の上面へ移送される粒状物に埃等が付着することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】錠剤の側面図および平面図である。
図2】錠剤印刷装置の構成を示した図である。
図3】搬送コンベアの部分斜視図である。
図4】ヘッドの下面図である。
図5】錠剤印刷装置の制御ブロック図である。
図6】ガイド部を上下方向かつ幅方向に切断した横断面図である。
図7】ガイド部の底面部の平面図である。
図8】ガイド部の天面部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0024】
<1.粒状物について>
まず、搬送対象となる「粒状物」について説明する。図1は、「粒状物」の一例となる4種類の錠剤9の側面図および平面図である。図1に示すように、錠剤9は、真円形や非真円形の第1面9aおよび第2面9bと、第1面9aおよび第2面9bの周縁部に沿う環状の側面9cと、を有する。また、図1に示すように、錠剤9は、平錠、オブロング錠、オーバル錠のいずれであってもよい。また、図1の右下の錠剤9のように、第1面9aおよび第2面9bの両方または一方に、割線9d等の溝が形成されていてもよい。
【0025】
また、錠剤9は、素錠(裸錠)であってもよく、あるいは、糖衣錠、フィルムコーティング錠(FC錠)等のコーティング錠であってもよい。また、錠剤9は、硬カプセル剤および軟カプセル剤を含むカプセル剤であってもよい。また、本発明における「粒状物」は、医薬品としての錠剤に限らず、健康食品としての錠剤や、ラムネ等の錠菓であってもよい。
【0026】
<2.錠剤印刷装置の全体構成>
続いて、本発明の一実施形態に係る搬送装置を含む錠剤印刷装置1について、説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る錠剤印刷装置1の構成を示した図である。この錠剤印刷装置1は、粒状物である複数の錠剤9を搬送しながら、各錠剤9の第1面9aおよび第2面9bに、製品名、製品コード、会社名、ロゴマーク等の画像を印刷する装置である。なお、以下では、後述するガイド部14の内側の搬送路140を搬送される錠剤9のうち、下方を向く面が第1面9aであるとし、上方を向く面が第2面9bであるとして、各部の構成を説明する。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の錠剤印刷装置1は、供給機構10、第1ドラム15、第2ドラム20、搬送コンベア25、印刷前撮像部30、印刷部35、印刷後撮像部40、乾燥機構45、反転機構50、排出機構55、および制御部100を備えている。なお、本実施形態では、供給機構10の後述するシュート12、供給コンベア13、およびガイド部14によって、本発明の錠剤9を搬送する「搬送装置」が構成される。また、供給機構10の後述するシュート12および供給コンベア13によって、本発明の複数の錠剤9を水平な搬送方向に沿って供給する「上流側機構」が構成される。
【0028】
供給機構10は、錠剤印刷装置1に投入された複数の錠剤9を、第1ドラム15へ供給する機構である。本実施形態の供給機構10は、ボウルフィーダ11、シュート12、供給コンベア13、およびガイド部14を有する。なお、図2では、ガイド部14の内側の搬送路140(後述する図6参照)を進む錠剤9を破線にて図示している。
【0029】
ボウルフィーダ11は、複数の錠剤9を受ける円盤状のトラフ110を有する。ボウルフィーダ11は、トラフ110を振動させることにより、複数の錠剤9を移動させて、シュート12へ供給する。シュート12は、トラフ110と供給コンベア13との間で、円弧状に延びている。シュート12は、複数の供給路を有する。ボウルフィーダ11は、シュート12の各供給路へ錠剤9を供給する。これにより、多数の錠剤9が複数の列に整列される。すなわち、搬送方向に並ぶ錠剤9の列が、幅方向(搬送方向に対して直交する方向)に複数形成される。そして、整列後の錠剤9が、シュート12から供給コンベア13へ供給される。なお、図2では、1つの列の錠剤9のみが示されている。
【0030】
供給コンベア13は、シュート12からガイド部14へ、錠剤9を搬送する機構である。供給コンベア13は、本発明の「コンベア」に相当する。供給コンベア13は、2つのプーリ131と、2つのプーリ131に架け渡された環状の供給ベルト132とを有する。2つのプーリ131の一方は、モータ(図示省略)から得られる動力により回転する。これにより、供給ベルト132が、図2中の矢印の方向に回動する。他方のプーリ131は、供給ベルト132の回動に伴い従動回転する。また、供給ベルト132の上部には、錠剤9の列の境界に沿って延びる仕切プレートが設けられている。シュート12から供給される錠剤9は、仕切プレートによって複数の列に整列された状態を維持しつつ、供給ベルト132の回動により、搬送方向の下流側へ搬送される。すなわち、供給コンベア13は、ガイド部14の後述する底面部141よりも搬送方向の上流側に位置し、錠剤9を底面部141へ向けて搬送する。なお、本実施形態では、上記のとおり、シュート12および供給コンベア13によって、本発明の複数の錠剤9を水平な搬送方向に沿って供給する「上流側機構」が構成される。
【0031】
ガイド部14は、供給コンベア13と第1ドラム15との間で、四角筒状かつ直線状に延びている。ガイド部14は、供給コンベア13によって搬送される錠剤9の複数の列に対応して、幅方向に複数設けられている。各ガイド部14は、その内側の空間において、供給コンベア13から供給される錠剤9を一列で通過させつつ、当該錠剤9に上方および下方から僅かに接触しつつ挟む程度の大きさを有する。すなわち、各ガイド部14は、供給コンベア13から供給される錠剤9が一列で搬送方向に搬送される搬送路140(後述する図6参照)を形成する。
【0032】
より具体的には、供給コンベア13から供給される複数の錠剤9は、搬送方向の下流側に位置するガイド部14の搬送路140へ供給される。また、ガイド部14内の錠剤9は、供給コンベア13により供給される後続の錠剤9に押されることによって、さらに搬送方向の下流側へ搬送される。そして、ガイド部14の搬送方向の下流側の端部から第1ドラム15へ、錠剤9が供給される。なお、ガイド部14のより詳細な構成については、後述する。また、本実施形態では、上記のとおり、「上流側機構」および当該ガイド部14によって、本発明の錠剤9を搬送する「搬送装置」が構成される。
【0033】
第1ドラム15は、ガイド部14から供給される複数の錠剤9を、搬送方向に一定の間隔をあけて保持しつつ搬送する機構である。第1ドラム15は、幅方向と平行な第1軸O1を中心とする略円筒状の外周面を有する。また、第1ドラム15には、図示を省略したモータが接続されている。モータを駆動させると、第1ドラム15は、第1軸O1を中心として、図2中の矢印の方向へ回転する。第1ドラム15は、その上端部付近の第1受渡位置P1から、第2ドラム20に近接する第2受渡位置P2まで、錠剤9を搬送する。
【0034】
図2に示すように、第1ドラム15は、ドラム本体16と、保持リング17とを有する。ドラム本体16は、第1軸O1を中心とする円筒状の外周面を有する。ドラム本体16は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。保持リング17は、ドラム本体16の外周面に装着される。具体的には、複数の保持リング17が、錠剤9の列のそれぞれに対応する幅方向の位置に配置される。保持リング17は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成される。
【0035】
各保持リング17の外周面は、複数の凹状のポケット18を有する。複数のポケット18は、第1軸O1を中心とする周方向に、一定の間隔で設けられている。また、保持リング17は、各ポケット18の底部に、錠剤9を吸着するための吸着孔19を有する。吸着孔19は、保持リング17を貫通する貫通孔である。
【0036】
第1ドラム15は、図示を省略した吸引機構と接続されている。吸引機構を動作させると、第1受渡位置P1と第2受渡位置P2との間の角度範囲に位置する第1ドラム15の内部空間から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。また、当該内部空間と連通する吸着孔19にも、負圧が生じる。ガイド部14から供給される複数の錠剤9は、この負圧によって、保持リング17の吸着孔19に、吸着保持される。
【0037】
ガイド部14から供給される錠剤9は、1つずつポケット18に収容されて、吸着孔19に吸着保持される。この結果、複数の錠剤9の搬送方向の間隔が、ポケット18の間隔に応じた所定の間隔となる。各錠剤9は、ポケット18内の吸着孔19に吸着保持されつつ、第1ドラム15の回転によって、第1受渡位置P1から第2受渡位置P2まで搬送される。そして、錠剤9が第2受渡位置P2を通過すると、上記の負圧に保たれた内部空間の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。これにより、第1ドラム15から第2ドラム20へ、錠剤9が受け渡される。
【0038】
第2ドラム20は、第1ドラム15から受け渡される錠剤9を、搬送コンベア25まで搬送する機構である。第2ドラム20は、幅方向と平行な第2軸O2を中心とする略円筒状の外周面を有する。本実施形態では、第1ドラム15の外径と、第2ドラム20の外径とが、略同一である。ただし、第1ドラム15の外径と、第2ドラム20の外径とは、相違していてもよい。第2ドラム20には、図示を省略したモータが接続されている。モータを駆動させると、第2ドラム20は、第2軸O2を中心として、第1ドラム15とは反対の向きに回転する。第2ドラム20は、第1ドラム15に近接する第2受渡位置P2から、搬送コンベア25に近接する第3受渡位置P3まで、錠剤9を搬送する。第3受渡位置P3の高さは、第1受渡位置P1および第2受渡位置P2の高さよりも高い。
【0039】
図2に示すように、第2ドラム20は、ドラム本体21と、保持リング22とを有する。ドラム本体21は、第2軸O2を中心とする円筒状の外周面を有する。ドラム本体21は、例えば、ステンレス等の金属により形成される。保持リング22は、ドラム本体21の外周面に装着される。具体的には、複数の保持リング22が、錠剤9の列のそれぞれに対応する幅方向の位置に配置される。保持リング22は、例えば、シリコーン等の樹脂により形成される。
【0040】
各保持リング22は、複数の吸着孔24を有する。吸着孔24は、保持リング22を貫通する貫通孔である。また、第2ドラム20は、図示を省略した吸引機構と接続されている。吸引機構を動作させると、第2受渡位置P2と第3受渡位置P3との間の角度範囲に位置する第2ドラム20の内部空間から、気体が吸い出される。これにより、当該内部空間が、大気圧よりも低い負圧となる。また、当該内部空間と連通する吸着孔24にも、負圧が生じる。第1ドラム15から受け渡される複数の錠剤9は、この負圧によって、保持リング22の吸着孔24に吸着保持される。
【0041】
吸着孔24に吸着保持された錠剤9は、第2ドラム20の回転によって、第2受渡位置P2から第3受渡位置P3まで搬送される。そして、錠剤9が第3受渡位置P3を通過すると、上記の負圧に保たれた内部空間の角度範囲から外れることによって、錠剤9の吸着が解除される。これにより、第2ドラム20から搬送コンベア25へ、錠剤9が受け渡される。
【0042】
このように、本実施形態では、供給機構10から供給される複数の錠剤9を、第1ドラム15および第2ドラム20の2つのドラムを介して、搬送コンベア25へ搬送する。第1ドラム15は、複数の錠剤9を、搬送方向に間隔をあけた状態で保持する。第2ドラム20は、その搬送方向の間隔を保ちながら、搬送コンベア25へ錠剤9を搬送する。その際、第1ドラム15と第2ドラム20とで、錠剤9の搬送の向き(回転の向き)が反転する。これにより、搬送コンベア25の動作の向きに合わせて、第2ドラム20から搬送コンベア25へ、錠剤9を送ることができる。
【0043】
搬送コンベア25は、第2ドラム20から受け渡される複数の錠剤9を、吸着保持しつつ搬送する機構である。搬送コンベア25は、一対のプーリ26と、一対のプーリ26に架け渡された環状の搬送ベルト27とを有する。一対のプーリ26の一方は、モータMから得られる動力により回転する。これにより、搬送ベルト27が、図2中の矢印の方向に回動する。一対のプーリ26の他方は、搬送ベルト27の回動に伴い従動回転する。
【0044】
図3は、搬送コンベア25の部分斜視図である。図3に示すように、搬送ベルト27には、複数の吸着孔270が形成されている。複数の吸着孔270は、搬送方向および幅方向に間隔をあけて配列されている。各吸着孔270は、搬送ベルト27を貫通する貫通孔である。また、搬送コンベア25は、搬送ベルト27の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構28を有する。吸引機構28(図2参照)を動作させると、搬送ベルト27の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔270に1つずつ吸着保持される。
【0045】
このように、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の外面に、搬送方向および幅方向に整列した状態で保持される。そして、搬送コンベア25は、搬送ベルト27を回動させることによって、複数の錠剤9を、環状の搬送経路に沿って搬送する。後述する印刷前撮像部30、印刷部35、および印刷後撮像部40の下方では、複数の錠剤9は、搬送ベルト27の上面に保持されつつ、水平方向に搬送される。
【0046】
図3に示すように、本実施形態の搬送ベルト27の表面は、反転機構50による反転前の錠剤9を保持する第1領域A1と、反転後の錠剤9を保持する第2領域A2とを有する。第1領域A1と第2領域A2とは、幅方向に隣接する。本実施形態では、第1領域A1および第2領域A2に、複数の吸着孔270が、幅方向に3列ずつ設けられる。第2ドラム20から搬送コンベア25へ受け渡される錠剤9は、第1領域A1の吸着孔270に吸着保持される。また、両面に印刷がされた複数の錠剤9は、第2領域A2の吸着孔270から排出機構55へ排出される。
【0047】
印刷前撮像部30は、印刷前の錠剤9を撮影するためのユニットである。印刷前撮像部30は、上記の第3受渡位置P3よりも搬送経路の下流側かつ印刷部35よりも搬送経路の上流側に位置する。また、印刷前撮像部30は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。印刷前撮像部30は、搬送ベルト27により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、印刷前撮像部30から後述する制御部100へ送信される。制御部100は、印刷前撮像部30から得られた画像に基づいて、錠剤9の外観検査を行う。
【0048】
印刷部35は、搬送ベルト27により搬送される錠剤9の表面に、インクジェット方式で画像を印刷する処理部である。印刷部35は、錠剤9の第1面9aおよび第2面9bに画像を一面ずつ印刷する。図2に示すように、本実施形態の印刷部35は、4つのヘッド36を有する。4つのヘッド36は、搬送ベルト27の上方に位置し、錠剤9の搬送方向に沿って、一列に配置されている。各ヘッド36は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。4つのヘッド36は、錠剤9に向けて、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)のインク滴を吐出する。すると、これらの各色により形成される単色画像の重ね合わせによって、錠剤9の表面に、多色画像が記録される。なお、各ヘッド36から吐出されるインクには、日本薬局方、食品衛生法等で認可された原料により製造された可食性インクが使用される。
【0049】
図4は、1つのヘッド36の下面図である。図4には、搬送ベルト27と、搬送ベルト27に保持された複数の錠剤9とが、二点鎖線で示されている。図4中に拡大して示したように、ヘッド36の下面には、インク滴を吐出可能な複数のノズル37が設けられている。本実施形態では、ヘッド36の下面に、複数のノズル37が、搬送方向および幅方向に二次元的に配列されている。各ノズル37は、幅方向に位置をずらして配列されている。このように、複数のノズル37を二次元的に配置すれば、各ノズル37の幅方向の位置を、互いに接近させることができる。ただし、複数のノズル37は、幅方向に沿って一列に配列されていてもよい。
【0050】
ノズル37からのインク滴の吐出方式には、例えば、ピエゾ素子に電圧を加えて変形させることにより、ノズル37内のインクを加圧して吐出する、いわゆるピエゾ方式が用いられる。ただし、インク滴の吐出方式は、ヒータに通電してノズル37内のインクを加熱膨張させることにより吐出する、いわゆるサーマル方式であってもよい。
【0051】
印刷後撮像部40は、印刷後の錠剤9を撮影するためのユニットである。印刷後撮像部40は、印刷部35よりも搬送経路の下流側かつ乾燥機構45よりも搬送経路の上流側に位置する。また、印刷後撮像部40は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。印刷後撮像部40は、搬送ベルト27により搬送される複数の錠剤9を撮影する。撮影により取得された画像は、印刷後撮像部40から後述する制御部100へ送信される。制御部100は、印刷後撮像部40から得られた画像に基づいて、錠剤9に印刷された画像の良否を検査する。
【0052】
乾燥機構45は、錠剤9に付着したインクを乾燥させる機構である。乾燥機構45は、印刷後撮像部40よりも搬送経路の下流側かつ後述する反転機構50および排出機構55よりも搬送経路の上流側に位置する。また、乾燥機構45は、第1領域A1と第2領域A2の双方に跨がって、幅方向に延びる。乾燥機構45には、例えば、搬送ベルト27により搬送される錠剤9へ向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける、熱風供給機構が用いられる。錠剤9に付着したインクは、熱風により乾燥して、錠剤9の表面または裏面に定着する。
【0053】
反転機構50は、搬送ベルト27により搬送される錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる機構である。反転機構50は、乾燥機構45よりも搬送経路の下流側に位置する。反転機構50は、幅方向に並んだ一対の傾斜ドラム51を、複数組有する。各傾斜ドラム51は、円錐状の保持面を有する。一対の傾斜ドラム51のうち、一方の傾斜ドラム51は、第1領域A1において搬送される錠剤9を、保持面に吸着しつつ回転し、当該錠剤9を他方の傾斜ドラム51へ受け渡す。他方の傾斜ドラム51は、一方の傾斜ドラム51から受け取った錠剤9を、保持面に吸着しつつ回転し、当該錠剤9を第2領域A2へ受け渡す。これにより、錠剤9の表裏が反転するとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9が移動する。
【0054】
供給機構10から第1ドラム15および第2ドラム20を介して搬送コンベア25へ搬送された錠剤9は、まず、搬送ベルト27の第1領域A1に保持される。そして、錠剤印刷装置1は、第1領域A1に錠剤9を保持しつつ搬送し、錠剤9の一方の面(本実施形態では、錠剤9の第2面9b)に対して、印刷前撮像部30による撮影、印刷部35による印刷、印刷後撮像部40による撮影、および乾燥機構45による乾燥、の各処理を行う。続いて、反転機構50が、錠剤9の表裏を反転させるとともに、第1領域A1から第2領域A2へ錠剤9を移動させる。その後、錠剤印刷装置1は、第2領域A2に錠剤9を保持しつつ搬送し、錠剤9の他方の面(本実施形態では、錠剤9の第1面9a)に対して、印刷前撮像部30による撮影、印刷部35による印刷、印刷後撮像部40による撮影、および乾燥機構45による乾燥、の各処理を行う。
【0055】
排出機構55は、両面に印刷がされた複数の錠剤9を、搬送コンベア25から排出するための機構である。排出機構55は、乾燥機構45よりも搬送経路の下流側に位置する。排出機構55は、搬送ベルト27の第2領域A2に保持された錠剤9を、不良品と良品とに分別しつつ、搬送コンベア25の下方へ排出する。
【0056】
制御部100は、錠剤印刷装置1内の各部を動作制御するためのユニットである。図5は、錠剤印刷装置1の制御ブロック図である。図5中に概念的に示したように、制御部100は、CPU等のプロセッサ101、RAM等のメモリ102、およびハードディスクドライブ等の記憶部103を有するコンピュータにより構成される。記憶部103内には、錠剤9の搬送、印刷、および検査を実行するためのコンピュータプログラムCPが、記憶されている。
【0057】
また、図5に示すように、制御部100は、上記のボウルフィーダ11、供給コンベア13、第1ドラム15、第2ドラム20、搬送コンベア25、印刷前撮像部30、印刷部35、印刷後撮像部40、乾燥機構45、反転機構50、および排出機構55と、それぞれ電気的に接続されている。
【0058】
制御部100は、記憶部103に記憶されたコンピュータプログラムCPやデータをメモリ102に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムCPに基づいて、プロセッサ101が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、複数の錠剤9の搬送および印刷が進行する。また、制御部100は、印刷前撮像部30および印刷後撮像部40から得られる画像を、コンピュータプログラムCPに従って処理することにより、錠剤9の検査を行う。
【0059】
<3.ガイド部について>
続いて、ガイド部14のより詳細な構成について、説明する。図6は、各ガイド部14を上下方向かつ幅方向に切断した横断面図である。上記のとおり、各ガイド部14は四角筒状であり、その内側の空間において錠剤9を一列で通過させつつ、当該錠剤9に上方および下方から僅かに接触しつつ挟む程度の大きさを有する。図6に示すように、各ガイド部14は、底面部141と、天面部142と、一対の側面部143,144と、を有する。
【0060】
底面部141は、ガイド部14の底部を構成する部材である。底面部141は、搬送路140において搬送される錠剤9を下方から支持する。図7は、底面部141を上方から見た平面図である。なお、図7では、搬送路140を搬送される錠剤9を二点鎖線で示している。図6および図7に示すように、底面部141は、錠剤9に接触する一対の接触部71と、一対の接触部71の幅方向の間に位置する非接触部72と、を有する。
【0061】
一対の接触部71は、底面部141の幅方向の両サイドに位置する。一対の接触部71の上面は、上下方向の同じ位置に在る。また、一対の接触部71の幅は、略等しい。非接触部72は、底面部141の幅方向の中央に位置する。非接触部72の上面は、一対の接触部71のそれぞれの上面よりも、低い位置に在る。これにより、底面部141には、搬送方向に沿って延び、かつ、幅方向の中央位置を含む一部分において下方へ凹む凹部715が形成されている。さらに、図7に示すように、非接触部72には、搬送方向の一部分において貫通孔720が設けられている。貫通孔720は、非接触部72を上下方向に貫通する。
【0062】
ただし、非接触部72自体が、底面部141を上下方向に貫通する貫通孔であってもよい。すなわち、底面部141は、搬送方向に沿って延び、かつ、幅方向の中央位置を含む一部分において下方へ凹み、または底面部141を上下方向に貫通する、第1溝部70を有していればよい。そして、第1溝部70は、底面部141を上下方向に貫通する貫通孔720を有してもよい。
【0063】
なお、上記のとおり、搬送路140を搬送されている錠剤9のうち、下方を向く面は第1面9aである。すなわち、第1面9aは、第1溝部70に対向する。本実施形態では、第1溝部70が形成されることにより、錠剤9が搬送路140を搬送されている間に、錠剤9の第1面9aのうち底面部141に接触する面積が低減される。これにより、底面部141に錠剤9が接触して擦れて底面部141に錠剤9の粉塵が付着することを抑制できる。この結果、付着した粉塵が後続の錠剤9に再度付着することによる印刷不良の発生を抑制できる。また、第1溝部70が貫通孔720を有する場合、第1溝部70を介して粉塵をさらに下方へ落とすことができる。この結果、粉塵が後続の錠剤9に再度付着することをさらに抑制できる。
【0064】
また、本実施形態の第1溝部70の幅は、例えば、搬送路140の幅の3割以上、かつ、8割以下である。第1溝部70の幅をこのような大きさにすることにより、錠剤9が搬送路140を搬送されている間に、底面部141に錠剤9が接触して擦れて底面部141に粉塵が付着することをさらに抑制できる。また、底面部141によって錠剤9を十分に支持しつつ、より多くの粉塵を下方へ移動させることができる。
【0065】
また、一対の接触部71のそれぞれにおける非接触部72との隣接箇所の角部には、テーパ面711が形成されている。ここで、図6に示すように、搬送路140を搬送されている錠剤9の多くは、主に底面部141の当該角部に接触する。しかしながら、本実施形態では、当該角部にテーパ面711が形成されていることにより、錠剤9が当該角部に接触しながら進む場合でも、錠剤9が擦れて底面部141に粉塵が付着することをさらに抑制できる。
【0066】
天面部142は、ガイド部14の蓋部を構成する部材である。天面部142は、搬送路140を上方から覆う。図8は、天面部142を下方から見た底面図である。なお、図8では、搬送路140を搬送される錠剤9を二点鎖線で示している。図6および図8に示すように、天面部142には、搬送方向に沿って延び、かつ、幅方向の中央位置を含む一部分において上方へ凹む第2溝部80が形成されている。ただし、第2溝部80は、上記の底面部141に設けられる貫通孔720と同様に、天面部142を上下方向に貫通する貫通孔であってもよい。すなわち、天面部142は、搬送方向に沿って延び、かつ、幅方向の中央位置を含む一部分において上方へ凹み、または天面部142を上下方向に貫通する、第2溝部80を有していればよい。
【0067】
なお、上記のとおり、搬送路140を搬送されている錠剤9のうち、上方を向く面は第2面9bである。すなわち、第2面9bは、第2溝部80に対向する。本実施形態では、第2溝部80が形成されることにより、錠剤9が搬送路140を搬送されている間に、錠剤9の第2面9bのうち天面部142に接触する面積が低減される。これにより、天面部142に錠剤9が接触して擦れて天面部142に粉塵が付着することを抑制できる。この結果、付着した粉塵が後続の錠剤9に再度付着することによる印刷不良の発生を抑制できる。なお、本実施形態の構造においては、第2溝部80が天面部142を貫通する貫通孔である場合よりも、第2溝部80が天面部142の幅方向の中央位置を含む一部分において上方へ凹む場合の方が、搬送される錠剤9に上方からの埃等が付着することをより抑制できる。
【0068】
また、本実施形態の第2溝部80の幅は、例えば、搬送路140の幅の3割以上、かつ、8割以下である。第2溝部80の幅をこのような大きさにすることにより、錠剤9が搬送路140を搬送されている間に、天面部142に錠剤9が接触して擦れて天面部142に粉塵が付着することをさらに抑制できる。
【0069】
また、図6および図8に示すように、天面部142の下端部における第2溝部80との隣接箇所の角部には、テーパ面811が形成されている。ここで、図6に示すように、搬送路140を搬送されている錠剤9の多くは、主に天面部142の当該角部に接触する。しかしながら、本実施形態では、当該角部にテーパ面811が形成されていることにより、錠剤9が当該角部に接触しながら進む場合でも、錠剤9が擦れて天面部142に粉塵が付着することをさらに抑制できる。
【0070】
なお、図2に示すように、本実施形態の天面部142および第2溝部80は、底面部141よりも搬送方向の上流側へ突出して、供給コンベア13の上方まで延びる。すなわち、天面部142および第2溝部80は、供給コンベア13の上方から底面部141の上方まで搬送方向に延びる。これにより、供給コンベア13から底面部141の上面へ移送される錠剤9に埃等が付着することを抑制できる。
【0071】
一対の側面部143,144は、ガイド部14の幅方向の側壁部を構成する部材である。一対の側面部143,144はそれぞれ、上下方向において底面部141と天面部142との間に位置する。一対の側面部143,144はそれぞれ、上下方向かつ搬送方向に拡がる。また、本実施形態の一対の側面部143,144はそれぞれ、天面部142の幅方向における両端部から下方へ拡がり、底面部141に接続される。また、一対の側面部143,144は、互いに幅方向に対向する。また、一対の側面部143,144の間の幅方向の距離は、錠剤9の幅よりも僅かに大きい程度に設定される。これにより、錠剤9が搬送路140を搬送されている間に、錠剤9の幅方向の位置が過度にずれることが抑制される。
【0072】
上記のとおり、錠剤9は、ガイド部14の内側の搬送路140にて搬送された後、第1ドラム15および第2ドラム20を介して搬送コンベア25へ搬送され、さらに第1面9aおよび第2面9bに印刷部35により画像が印刷される。本実施形態では、印刷部35は、第1溝部70および第2溝部80よりも狭い幅方向の範囲において、錠剤9に画像を印刷する。上記のとおり、錠剤9が搬送路140にて搬送されている間に、錠剤9の第1面9aおよび第2面9bは、第1溝部70および第2溝部80に対向する。このため、錠剤9の幅方向の中央位置付近の部位は、ガイド部14の底面部141や天面部142に接触しにくく、粉塵が付着しにくい。そこで、本実施形態では、印刷部35がこのような錠剤9の幅方向の中央位置付近の部位のみに画像を印刷することによって、印刷不良の発生をさらに抑制できる。
【0073】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0074】
また、上記の実施形態では、印刷部35に、4つのヘッド36が設けられていた。しかしながら、印刷部35に含まれるヘッド36の数は、1~3つであってもよく、5つ以上であってもよい。
【0075】
また、上記の実施形態では、錠剤印刷装置1は反転機構50を有し、印刷部35は錠剤9の第1面9aおよび第2面9bの両方に印刷する構成を有していた。しかしながら、錠剤印刷装置1は、錠剤9の第1面9aおよび第2面9bの一方のみに印刷する構成を有していてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態では、錠剤9に対して画像を印刷する錠剤印刷装置1について説明した。しかしながら、本発明の搬送装置は、錠剤9に対して検査を行う検査装置や、錠剤9の包装を行う包装装置に用いられるものであってもよい。
【0077】
また、装置内の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 錠剤印刷装置
9 錠剤
9a (錠剤の)第1面
9b (錠剤の)第2面
10 供給機構
13 供給コンベア
14 ガイド部
35 印刷部
70 第1溝部
80 第2溝部
140 (ガイド部の)搬送路
141 (ガイド部の)底面部
142 (ガイド部の)天面部
143 (ガイド部の)側面部
144 (ガイド部の)側面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8