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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014252
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】車両用温調システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/625 20140101AFI20250123BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20250123BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250123BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20250123BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20250123BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20250123BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20250123BHJP
   B60H 1/08 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01M10/625
B60K11/02 ZHV
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/6556
H01M10/6568
B60H1/22 671
B60H1/08 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116661
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 和俊
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
【テーマコード(参考)】
3D038
3L211
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AB01
3L211AA11
3L211DA42
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】電動車両に搭載された加熱対象物やバッテリを効果的に加熱可能な温調システムを提供する。
【解決手段】電動車両で用いられる車両用温調システムは、温調液を貯留するリザーブタンクと、リザーブタンク、第1冷却部、冷却対象物の順に温調液を循環させることが可能に構成された冷却回路と、リザーブタンク、ヒータ、加熱対象物の順に温調液を循環させることが可能に構成されたヒータ回路と、(i)ヒータ回路に接続され、ヒータによって加熱された温調液を、リザーブタンクから電動車両に備えられた駆動用のバッテリに向かって流すための加熱流路と、(ii)冷却された温調液をリザーブタンクからバッテリおよび充電ユニットに向かって流すための冷却流路と、(iii)加熱流路および冷却流路からの温調液をリザーブタンクに向かって流すための回収流路とを有する温調回路と、加熱流路を開閉可能に構成された第1バルブとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両で用いられる車両用温調システムであって、
温調液を貯留するリザーブタンクと、
前記リザーブタンク、前記温調液を冷却する第1冷却部、前記電動車両に備えられた冷却対象物の順に、前記温調液を循環させることが可能に構成された冷却回路と、
前記リザーブタンク、前記温調液を加熱するヒータ、前記電動車両に備えられた加熱対象物の順に、前記温調液を循環させることが可能に構成されたヒータ回路と、
(i)前記ヒータ回路に接続され、前記ヒータによって加熱された前記温調液を、前記リザーブタンクから前記電動車両に備えられた駆動用のバッテリに向かって流すための加熱流路と、(ii)冷却された前記温調液を前記リザーブタンクから前記バッテリおよび前記バッテリを充電するための充電ユニットに向かって流すための冷却流路と、(iii)前記加熱流路および前記冷却流路からの前記温調液を前記リザーブタンクに向かって流すための回収流路と、を有する温調回路と、
前記加熱流路を開閉可能に構成された第1バルブと、を備える、車両用温調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用温調システムであって、
前記冷却流路は、分岐点において、前記温調液を前記バッテリに向かって流すための第1冷却流路と、前記温調液を前記充電ユニットに向かって流すための第2冷却流路と、に分岐し、
前記第2冷却流路を開閉可能に構成された第2バルブを更に備える、車両用温調システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用温調システムであって、
前記冷却流路は、前記冷却回路のうち、前記第1冷却部よりも下流かつ前記冷却対象物よりも上流に位置する第1部分に接続され、
前記冷却回路と前記冷却流路との接続点に設けられ、前記冷却回路および前記冷却流路を開閉可能に構成された第3バルブを更に備える、車両用温調システム。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用温調システムであって、
前記冷却流路は、前記冷却流路のうち、前記バッテリおよび前記充電ユニットよりも上流に位置する第2部分を流れる前記温調液を冷却する第2冷却部を経由する、車両用温調システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用温調システムであって、
前記第2冷却部は、前記温調液を冷却するラジエータおよびチラーを有する、車両用温調システム。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用温調システムであって、
前記チラーは、前記温調液の熱を前記ヒータ回路に供給可能に構成されている、車両用温調システム。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用温調システムであって、
前記冷却流路には、前記リザーブタンクから前記バッテリに向かって前記冷却流路を流れる冷却された前記温調液の流量を調整可能に構成された第1調整バルブが設けられ、
前記加熱流路には、前記ヒータ回路から前記バッテリに向かって前記加熱流路を流れる前記温調液の流量を調整可能に構成された第2調整バルブが設けられ、
前記バッテリの温度を測定する温度センサと、
前記第1調整バルブと前記第2調整バルブとを制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記温度センサの測定値に応じて、前記第1調整バルブと前記第2調整バルブと、を制御する、車両用温調システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両用温調システムであって、
前記冷却対象物は、前記バッテリから電力が供給され、前記電動車両の駆動に用いられるモータとインバータとの少なくとも一方を含み、
前記加熱対象物は、前記電動車両の車室の暖房に用いられるヒータコアを含む、車両用温調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用温調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両用の温調システムに関して、特許文献1には、電気自動車用のバッテリ温調システムが開示されている。この温調システムは、液体を貯めるリザーブタンクとインバータやバッテリとの間で液体を循環させることで、インバータを冷却するとともに、バッテリを冷却および予熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-58241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両を寒冷環境下において適切に使用可能とするために、車両に搭載された冷却対象物やバッテリの冷却を実現しつつ、車両に搭載された加熱対象物やバッテリを効果的に加熱可能な温調システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1の形態によれば、電動車両で用いられる車両用温調システムが提供される。この車両用温調システムは、温調液を貯留するリザーブタンクと、前記リザーブタンク、前記温調液を冷却する第1冷却部、前記電動車両に備えられた冷却対象物の順に、前記温調液を循環させることが可能に構成された冷却回路と、前記リザーブタンク、前記温調液を加熱するヒータ、前記電動車両に備えられた加熱対象物の順に、前記温調液を循環させることが可能に構成されたヒータ回路と、(i)前記ヒータ回路に接続され、前記ヒータによって加熱された前記温調液を、前記リザーブタンクから前記電動車両に備えられた駆動用のバッテリに向かって流すための加熱流路と、(ii)冷却された前記温調液を前記リザーブタンクから前記バッテリおよび前記バッテリを充電するための充電ユニットに向かって流すための冷却流路と、(iii)前記加熱流路および前記冷却流路からの前記温調液を前記リザーブタンクに向かって流すための回収流路と、を有する温調回路と、前記加熱流路を開閉可能に構成された第1バルブと、を備える。
このような形態であれば、冷却回路および温調回路のそれぞれにおいて、冷却対象物やバッテリや充電ユニットを冷却した後の温調液をリザーブタンクに回収することで、車両用温調システムにおける廃熱を利用してリザーブタンク内の温調液の温度を高めることができる。そして、当該温調液を、ヒータ回路における加熱対象物の加熱や、ヒータ回路に接続された加熱流路におけるバッテリの加熱に利用できる。そのため、車両用温調システムにおいて、バッテリや加熱対象物を効果的に加熱できる。
(2)上記形態では、前記冷却流路は、分岐点において、前記温調液を前記バッテリに向かって流すための第1冷却流路と、前記温調液を前記充電ユニットに向かって流すための第2冷却流路と、に分岐し、前記第2冷却流路を開閉可能に構成された第2バルブを更に備えていてもよい。このような形態であれば、第2バルブを用いて第2冷却流路を開閉することで、冷却流路において充電ユニットに温調液が流れる状態と流れない状態とを切り換えることができる。そのため、例えば、バッテリの冷却を要し、かつ、充電ユニットの冷却を要しない場合に第2冷却流路を閉じることで、バッテリをより効果的に冷却できる。
(3)上記形態において、前記冷却流路は、前記冷却流路は、前記冷却回路のうち、前記第1冷却部よりも下流かつ前記冷却対象物よりも上流に位置する第1部分に接続され、前記冷却回路と前記冷却流路との接続点に設けられ、前記冷却回路および前記冷却流路を開閉可能に構成された第3バルブを更に備えていてもよい。このような形態であれば、冷却回路において冷却される温調液を用いてバッテリや充電ユニットを冷却できる。
(4)上記形態において、前記冷却流路は、前記冷却流路のうち、前記バッテリおよび前記充電ユニットよりも上流に位置する第2部分を流れる前記温調液を冷却する第2冷却部を経由してもよい。このような形態であれば、冷却流路において、第2冷却部によって冷却される温調液を用いてバッテリを冷却できる。
(5)上記形態において、前記第2冷却部は、前記温調液を冷却するラジエータおよびチラーを有していてもよい。このような形態であれば、冷却流路において、バッテリをより効果的に冷却できる。
(6)上記形態において、前記チラーは、前記温調液の熱を前記ヒータ回路に供給可能に構成されていてもよい。このような形態であれば、冷却流路においてチラーによって温調液を冷却できるとともに、温調液の熱をヒータ回路に供給できる。そのため、車両用温調システムにおいて、廃熱をより有効に利用できる。
(7)上記形態において、前記冷却流路には、前記リザーブタンクから前記バッテリに向かって前記冷却流路を流れる冷却された前記温調液の流量を調整可能に構成された第1調整バルブが設けられ、前記加熱流路には、前記ヒータ回路から前記バッテリに向かって前記加熱流路を流れる前記温調液の流量を調整可能に構成された第2調整バルブが設けられ、前記バッテリの温度を測定する温度センサと、前記第1調整バルブと前記第2調整バルブとを制御する制御部と、を更に備え、前記制御部は、前記温度センサの測定値に応じて、前記第1調整バルブと前記第2調整バルブと、を制御してもよい。このような形態であれば、バッテリの温度に応じて、冷却流路をバッテリに向かって流れる温調液の流量と、加熱流路をバッテリに向かって流れる温調液の流量とを調整できる。そのため、バッテリの温度をより緻密に制御できる。
(8)上記形態において、前記冷却対象物は、前記バッテリから電力が供給され、前記電動車両の駆動に用いられるモータとインバータとの少なくとも一方を含み、前記加熱対象物は、前記電動車両の車室の暖房に用いられるヒータコアを含んでいてもよい。このような形態であれば、冷却回路によってモータやインバータを冷却でき、ヒータ回路によって車室暖房用のヒータコアを加熱できる。
【0007】
本開示は、上述した車両用温調システムとしての形態以外にも、例えば、車両用温調システムの制御方法や、車両用温調システムを搭載した電動車両などの種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における温調システムの概略構成を示す説明図。
図2】温調システムの制御モードの例を示す説明図。
図3】温調システムが第1モードで制御される様子を示す説明図。
図4】温調システムが第2モードで制御される様子を示す説明図。
図5】温調システムが第3モードで制御される様子を示す説明図。
図6】温調システムが第4モードで制御される様子を示す説明図。
図7】温調システムが第6モードで制御される様子を示す説明図。
図8】温調システムが第7モードで制御される様子を示す説明図。
図9】温調システムが第8モードで制御される様子を示す説明図。
図10】温調システムが第9モードで制御される様子を示す説明図。
図11】温調システムが第10モードで制御される様子を示す説明図。
図12】温調システムが第11モードで制御される様子を示す説明図。
図13】温調システムが第12モードで制御される様子を示す説明図。
図14】第2実施形態における温調システムの概略構成を示す説明図。
図15】第3実施形態における温調システムの概略構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態における温調システム100の概略構成を示す説明図である。温調システム100は、車両用温調システムであり、電動車両Vcに設けられ、温調液Lqによって電動車両Vcの各部を温度調節する。温調液Lqは、温調システム100において電動車両Vcの各部の温度調節に用いられる液体である。温調液Lqとしては、例えば、水が用いられてもよいし、エチレングリコールやプロピレングリコール等を主成分とするロングライフクーラント(LLC)が用いられてもよい。
【0010】
本実施形態では、電動車両Vcは、BEV(Battery Electric Vehicle)として構成されており、それぞれ電動車両Vcの駆動に用いられるバッテリDB、モータMtおよびインバータIvと、バッテリDBを充電するための充電ユニットCUとを備えている。なお、他の実施形態では、電動車両Vcは、バッテリDBおよび充電ユニットCUを備えていればBEVとして構成されていなくてもよく、例えば、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、FCV(Fuel Cell Vehicle)であってもよい。
【0011】
バッテリDBは、例えば、リチウムイオンバッテリとして構成され、モータMtとインバータIvに駆動用の電力を供給する。バッテリDBは、例えば、電解質としてリチウム塩や有機溶媒や添加剤を含む電解液を有する電池として構成されてもよいし、固体電解質を有するいわゆる全固体電池として構成されてもよい。本実施形態における温調システム100には、バッテリDBの温度を測定する温度センサ91が設けられている。温度センサ91の測定値は、制御部300へと送信される。充電ユニットCUは、外部電源(例えば、商用電源)から供給される交流電圧を直流電圧に変換するコンバータや、当該コンバータに電気的に接続されるDC/DCコンバータによって構成される。
【0012】
温調システム100は、温調液Lqを貯留するリザーブタンク101と、冷却対象物20の冷却に用いられる冷却回路110と、加熱対象物30の加熱に用いられるヒータ回路130と、バッテリDBの冷却および加熱と充電ユニットCUの冷却とに用いられる温調回路150と、制御部300とを有する。これらの各回路には、温調液Lqが流れる。図1には、各回路における温調液Lqの流れの方向が、適宜、白色の矢印によって示されている。本実施形態におけるリザーブタンク101には、上記の各回路に温調液Lqを供給するためのポンプ102が固定されている。本実施形態におけるリザーブタンク101およびポンプ102は、冷却回路110とヒータ回路130と温調回路150とに温調液Lqを循環させるために、各回路に共通して用いられる。以下では、冷却対象物20、加熱対象物30、バッテリDBおよび充電ユニットCUのように、温調システム100における温調液Lqによる加熱や冷却の対象物のことを、それぞれ区別せずに温調対象物とも呼ぶ。なお、他の実施形態では、ポンプ102は、リザーブタンク101に固定されていなくてもよい。
【0013】
本実施形態における冷却対象物20は、上述したモータMtおよびインバータIvである。加熱対象物30は、電動車両Vcの車室の暖房に用いられるヒータコアHCである。ヒータコアHCは、電動車両VcのHVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)システム250の一部を構成している。
【0014】
冷却回路110は、リザーブタンク101、温調液Lqを冷却する第1冷却部111、冷却対象物20の順に、温調液Lqを循環させることが可能に構成されている。冷却回路110は、リザーブタンク101と第1冷却部111との間を接続する第1流路11と、第1冷却部111と冷却対象物20との間を接続する第2流路12と、冷却対象物20とリザーブタンク101との間を接続する第3流路13とを備える。本実施形態では、第1流路11は、ポンプ102に接続されている。冷却回路110において、第2流路12は、第1流路11の下流に位置し、第3流路13は、第2流路12の下流に位置する。以下は、冷却回路110のうち、第1冷却部111よりも下流かつ冷却対象物20よりも上流に位置する部分のことを、第1部分とも呼ぶ。本実施形態では、第2流路12が第1部分に相当する。冷却回路110に含まれる各流路や、後述するヒータ回路130や温調回路150に含まれる各流路は、それぞれ、例えば、ゴムホース管やナイロンチューブ管によって構成される。
【0015】
本実施形態における第1冷却部111は、ラジエータとして構成されている。第1冷却部111の冷却能力は、例えば、ラジエータファンの回転数が制御部300の制御下で制御されることによって制御される。他の実施形態では、第1冷却部111は、例えば、ラジエータに加え、あるいは、ラジエータに代えて、チラーを有していてもよい。
【0016】
ヒータ回路130は、温調液Lqを、リザーブタンク101と、温調液Lqを加熱するヒータ131と、加熱対象物30との間で、この順に循環させることが可能に構成されている。ヒータ回路130は、リザーブタンク101とヒータ131との間を接続する第4流路31と、ヒータ131と加熱対象物30との間を接続する第5流路32と、加熱対象物30とリザーブタンク101との間を接続する第6流路33とを備える。本実施形態では、第4流路31は、ポンプ102に接続されている。ヒータ回路130において、第2流路12は、第1流路11の下流に位置し、第3流路13は、第2流路12の下流に位置する。ヒータ131は、例えば、電熱線ヒータやPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータによって構成され、制御部300によって制御される。
【0017】
温調回路150は、加熱流路151、冷却流路152および回収流路156を有する。加熱流路151は、ヒータ131によって加熱された温調液Lqをリザーブタンク101からバッテリDBに向かって流すための流路である。加熱流路151は、ヒータ回路130に接続されている。より詳細には、加熱流路151は、第5流路32に接続されている。冷却流路152は、冷却された温調液Lqをリザーブタンク101からバッテリDBおよび充電ユニットCUに向かって流すための流路である。本実施形態における冷却流路152は、第1流路11に接続されている。回収流路156は、加熱流路151および冷却流路152からの温調液Lqをリザーブタンク101に向かって流すための流路である。
【0018】
本実施形態における冷却流路152は、分岐点159において分岐する流路として構成されており、共通流路153と、第1冷却流路154と、第2冷却流路155とを有している。共通流路153は、バッテリDBから分岐点159に向かう流路である。第1冷却流路154は、分岐点159から延びる、温調液LqをバッテリDBに向かって流すための流路である。第2冷却流路155は、分岐点159から延びる、温調液Lqを充電ユニットCUに向かって流すための流路である。つまり、冷却流路152は、分岐点159において、第1冷却流路154と第2冷却流路155とに分岐する。回収流路156は、バッテリDBからリザーブタンク101に向かって延びる流路51と、充電ユニットCUからリザーブタンク101に向かって延びる流路52とが合流する合流地点50において、流路51および162に接続されている。
【0019】
本実施形態における冷却流路152は、第2冷却部160を経由する。第2冷却部160は、第2部分を流れる温調液Lqを冷却する。第2部分は、冷却流路152のうち、パッテリDBおよび充電ユニットCUよりも上流に位置する部分である。より詳細には、本実施形態では、共通流路153が第2部分に相当し、共通流路153が第2冷却部160を経由する。本実施形態における第2冷却部160は、ラジエータ161とチラー170とを有している。本実施形態におけるチラー170は、共通流路153のうち、ラジエータ161より下流の部分を冷却可能に構成されている。第2冷却部160の冷却能力は、ラジエータ161のラジエータファンの回転数や、チラー170の各部が制御部300の制御下で制御されることによって制御される。
【0020】
本実施形態における温調システム100には、チラー170、チラー170、コンプレッサ172、水冷コンデンサ173、第2蒸発器174、第1膨張弁175および第2膨張弁176を有し、冷媒を循環させることが可能に構成された冷媒回路が設けられている。図1では、この冷媒回路における冷媒の流路である冷媒流路70が一点鎖線によって示され、冷媒流路70における冷媒の流れの方向がハッチング付きの矢印によって示されている。本実施形態では、冷媒流路70は、分岐点78において第1冷媒流路71と第2冷媒流路72とに分岐する。第1冷媒流路71と第2冷媒流路72とは、合流地点79において合流する。
【0021】
チラー170は、冷媒流路70における冷媒と、ラジエータ161より下流の共通流路153を流れる温調液Lqとを熱交換させる。この熱交換によって、共通流路153を流れる温調液Lqが冷却される。コンプレッサ172は、チラー170および第2蒸発器174から供給される冷媒を圧縮するとともに、圧縮によって高温高圧化された冷媒を水冷コンデンサ173へと送出する。コンプレッサ172は、上述した合流地点79よりも下流に設けられている。水冷コンデンサ173は、ヒータ回路130の第4流路31を流れる温調液Lqと、コンプレッサ172から送出された冷媒とを熱交換させる。この熱交換によって、第4流路31を流れる温調液Lqが加熱されるとともに、冷媒流路70における冷媒が冷却される。つまり、本実施形態におけるチラー170は、温調液Lqの熱をヒータ回路130に供給可能に構成されている。第1膨張弁175および上記のチラー170は、第1冷媒流路71に設けられている。第1膨張弁175は、水冷コンデンサ173によって冷却された冷媒を膨張させるとともに、膨張によって低温低圧化された冷媒をチラー170へと供給する。第2蒸発器174および第2膨張弁176は、第2冷却流路155に設けられている。第2膨張弁176は、水冷コンデンサ173によって冷却された冷媒を膨張させるとともに、膨張によって低温低圧化された冷媒を第2蒸発器174へと供給する。第2蒸発器174は、上述したHVACシステム250の一部を構成しており、電動車両Vcの車室における冷房に利用される。
【0022】
温調システム100は、第1バルブ61と、第2バルブ62とを備えている。更に、本実施形態における温調システム100は、第3バルブ63と第4バルブ74とを備えている。各バルブは、例えば、電動式の切り換えバルブとして構成される。この場合、各バルブは、例えば、電動式のアクチュエータによって弁体を動作させるように構成されてもよいし、ソレノイドによって弁体を動作させるように構成されてもよい、各バルブの動作は、制御部300によって制御される。
【0023】
第1バルブ61は、加熱流路151を開閉可能に構成されている。本実施形態における第1バルブ61は、第5流路32と加熱流路151との接続点CP1に設けられている。また、第1バルブ61は、加熱流路151に加え、第5流路32をも開閉可能に構成されている。より詳細には、第1バルブ61は、加熱流路151と第5流路32とのうち両方が開いた状態と、加熱流路151のみが開いた状態と、第5流路32のみが開いた状態と、両方が閉じた状態とを切り換え可能に構成されている。第1バルブ61は、流れf1と流れf2とのそれぞれを規制および許容するとも言える。流れf1は、接続点CP1においてヒータ回路130から加熱流路151に向かう温調液Lqの流れである。流れf2は、接続点CP1においてヒータ131からヒータコアHCに向かう温調液Lqの流れである。
【0024】
第2バルブ62は、第2冷却流路155を開閉可能に構成されている。本実施形態における第2バルブ62は、分岐点159に設けられている。また、第2バルブ62は、第2冷却流路155に加え、第1冷却流路154をも開閉可能に構成されている。より詳細には、第2バルブ62は、第1冷却流路154と第2冷却流路155とのうち両方が開いた状態と、第1冷却流路154のみが開いた状態と、第2冷却流路155のみが開いた状態と、両方が閉じた状態とを切り換え可能に構成されている。第2バルブ62は、流れf3と流れf4とのそれぞれを規制および許容するとも言える。流れf3は、分岐点159において共通流路153から第2冷却流路155に向かう温調液Lqの流れである。流れf4は、分岐点159において共通流路153から第1冷却流路154に向かう温調液Lqの流れである。
【0025】
第3バルブ63は、冷却回路110と冷却流路152との接続点CP2に設けられている。第3バルブ63は、冷却回路110および冷却流路152を開閉可能に構成されている。より詳細には、第3バルブ63は、冷却回路110の第1流路11と冷却流路152の共通流路153とのうち両方が開いた状態と、第1流路11のみが開いた状態と、共通流路153のみが開いた状態と、両方が閉じた状態とを切り換え可能に構成されている。第3バルブ63は、流れf5と流れf6とのそれぞれを規制および許容するとも言える。流れf5は、接続点CP2において冷却回路110から共通流路153に向かう温調液Lqの流れである。流れf6は、接続点CP2において冷却回路110の上流から下流に向かう温調液Lqの流れである。
【0026】
第4バルブ74は、冷媒流路70の分岐点78に設けられている。第4バルブ74は、第1冷媒流路71および第2冷媒流路72を開閉可能に構成されている。より詳細には、第4バルブ74は、第1冷媒流路71と第2冷媒流路72とのうち両方が開いた状態と、第1冷媒流路71のみが開いた状態と、第2冷媒流路72のみが開いた状態と、両方が閉じた状態とを切り換え可能に構成されている。第4バルブ74は、流れf7と流れf8とのそれぞれを規制および許容するとも言える。流れf7は、分岐点78において水冷コンデンサ173から第1膨張弁175に向かう冷媒の流れである。流れf8は、接続点CP3において水冷コンデンサ173から第2膨張弁176に向かう冷媒の流れである。
【0027】
制御部300は、温調システム100全体の動作を制御する制御装置である。制御部300は、1つ又は複数のプロセッサ310と、主記憶装置や補助記憶装置からなる記憶装置320と、外部との信号の入出力を行う入出力インタフェイスと、内部バスとを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ310、記憶装置320および入出力インタフェイスは、内部バスを介して、双方向に通信可能に接続されている。プロセッサ310は、記憶装置320に記憶されたプログラムを実行することによって、温調システム100において、例えば、ポンプ102や、第1冷却部111や、第2冷却部160や、ヒータ131や、HVACシステム250や、各種バルブを制御する機能を制御部300に実現させる。他の実施形態では、制御部300は、例えば、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。また、例えば、電動車両Vcの駆動や各種動作を制御するための制御用コンピュータが、制御部300として機能してもよい。
【0028】
図2は、温調システム100の制御モードの例を示す説明図である。図2には、温調システム100の制御モードの例として、第1モードMd1から第12モードMd12が示されている。図2には、各制御モードが選択される条件を表すモード選択条件と、各制御モードの制御内容とが示されている。本実施形態における制御部300は、モード選択条件に応じて制御モードを選択する。
【0029】
図2には、モード選択条件として、「車室空調」、「冷却対象物の冷却」、「バッテリ温調」および「充電ユニット冷却」が示されている。また、図2には、制御内容として、各バルブによる各流れの規制または許容の別と、ヒータ131の可動のオンまたはオフと、チラー170のオンまたはオフとが示されている。
【0030】
モード選択条件のうち、「車室空調」は、電動車両Vcの車室内における空調の需要を表し、車室の暖房と冷房とのいずれを要するか、あるいは、いずれも不要であるかを表す。
【0031】
「冷却対象物の冷却」は、冷却対象物20の冷却の需要を表し、冷却対象物20の冷却を要するか否かを表す。制御部300は、例えば、インバータIvの温度を測定する温度センサ(図示せず)の測定値が、閾値よりも高い場合に、冷却対象物20の冷却を要すると判定する。この閾値は、例えば、インバータIvに含まれる半導体の耐熱温度に基づいて定められ、125℃以下であると好ましく、80℃以下であるとより好ましく、70℃以下であると更に好ましい。また、この閾値は、インバータIvの過剰な冷却によるエネルギ損失を抑制するため、60℃以上であると好ましい。インバータIvは、電動車両Vcの停止時(電動車両Vcの充電時を含む)には駆動されず、電動車両Vcの走行時に駆動される。そのため、インバータIvや温度は、主として電動車両Vcの走行時に上昇し、特に、通常運転と比較して高速運転によって上昇しやすい。通常運転とは、電動車両Vcが予め定められた基準速度(例えば、80km/h)未満で走行することを指す。高速運転とは、電動車両Vcが予め定められた基準速度以上で走行することを指す。
【0032】
「バッテリ温調」は、バッテリDBの温調の需要を表し、バッテリDBの加熱と冷却とのいずれを要するか、あるいは、いずれも不要であるかを表す。なお、図2の「冷却(強)」は、バッテリDBの高強度の冷却の需要を表す。制御部300は、温度センサ91の測定値が、予め定められたバッテリDBの適温範囲よりも高い場合にバッテリDBの冷却を要すると判定し、当該温度センサの測定値が適温範囲よりも低い場合にバッテリDBの加熱を要すると判定する。また、制御部300は、当該温度センサの値が、適温範囲の下限よりも低い予め定められた温度よりも低い場合に、より高強度の冷却を要すると判定する。バッテリDBの適温範囲は、例えば、バッテリDBにより高い充放電性能を実現させることが可能な温度範囲として定められる。例えば、バッテリDBが電解液を有するリチウムイオンバッテリとして構成される場合、バッテリDBの適温範囲の下限値は、10℃以上であると好ましく、20℃以上であるとより好ましい。また、この場合、バッテリDBの適温範囲の上限値は、30℃以下であると好ましく、25℃以下であるとより好ましい。バッテリDBの温度は、例えば、外気温の低下によって低下し、電動車両Vcの走行や、外部電源および充電ユニットCUを用いたバッテリDBの充電によって上昇する。特に、バッテリDBの温度は、通常運転に比較して高速運転によって上昇しやすく、普通充電に比較して急速充電によって上昇しやすい。急速充電とは、普通充電に比較して高速にバッテリDBを充電することを指す。急速充電には、バッテリDBの普通充電に用いられる外部充電器と比較して、より高出力の電力を供給可能な外部充電器が用いられる。
【0033】
「充電ユニット冷却」は、充電ユニットCUの冷却の需要を表し、充電ユニットCUの冷却を要するか否かを表す。制御部300は、例えば、充電ユニットCUの温度を測定する温度センサ(図示せず)の測定値が、予め定められた閾値よりも高い場合に充電ユニットCUの冷却を要すると判定する。この閾値は、例えば、充電ユニットCUの加熱に起因するバッテリDBの充電性能の低下を抑制できるように定められると好ましい。充電ユニットCUの充電性能は、充電ユニットCUのうち、例えば、バッテリDBの充電のために外部の導体が接続されるコネクタ部の温度が過度に上昇することによって低下する。充電ユニットCUは、電動車両Vcの走行時や単なる停止時には稼働されず、バッテリDBの充電時に稼動される。そのため、充電ユニットCUの温度は、主としてバッテリDBの充電時に上昇し、特に、普通充電と比較して急速充電によって上昇しやすい。
【0034】
図2に示すように、第1モードMd1から第4モードMd4は、車室内における暖房の需要がある場合に選択される。そのため、第1モードMd1から第4モードMd4は、例えば、寒冷環境下(例えば、冬季)に選択される可能性が高い。第5モードMd5から第8モードMd8は、暖房と冷房とのいずれの需要もない場合に実行される。そのため、第5モードMd5から第8モードMd8は、例えば、春季や秋季に選択される可能性が高い。第9モードMd9から第12モードMd12は、車室内における冷房の需要がある場合に実行される。そのため、第9モードMd9から第12モードMd12は、例えば、夏季に選択される可能性が高い。
【0035】
図3は、温調システム100が第1モードMd1で制御される様子を示す説明図である。図3では、各回路における各流路のうち、温調液Lqが流れる流路が太線によって示されている。第1モードMd1は、例えば、外気温が特に低下しやすい(例えば、氷点下20℃)冬季の朝に、電動車両Vcを始動させた直後に選択される。図2および図3に示すように、第1モードMd1では、流れf1およびf2を許容するように第1バルブ61が制御され、流れf3およびf4を規制するように第2バルブ62が制御され、流れf5およびf6を規制するように第3バルブ63が制御され、流れf7およびf8を規制するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオンに制御され、チラー170がオフに制御される。この結果、第1モードMd1では、図3に示すように、ヒータ回路130によって加熱対象物30が加熱されるとともに、ヒータ回路130で加熱された温調液Lqが加熱流路151を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが加熱される。
【0036】
図4は、温調システム100が第2モードMd2で制御される様子を図3と略同様に示す説明図である。第2モードMd2は、例えば、冬季に電動車両Vcが通常運転する場合に選択される。図2および図4に示すように、第2モードMd2では、流れf1を規制し流れf2のみを許容するように第1バルブ61が制御され、流れf3およびf4を規制するように第2バルブ62が制御され、流れf5を規制し流れf6のみを許容するように第3バルブ63が制御され、流れf7およびf8を規制するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオンに制御され、チラー170がオフに制御される。この結果、第2モードMd2では、図4に示すように、冷却回路110によって冷却対象物20が冷却されるとともに、ヒータ回路130によって加熱対象物30が加熱される。冷却回路110で冷却対象物20を冷却した温調液Lqは、リザーブタンク101へと回収される。この結果、温調液Lqを介して、冷却回路110における廃熱がリザーブタンク101へと回収される。このように回収される廃熱によって、リザーブタンク101内の温調液Lqの温度が高められる。つまり、第2モードMd2では、温調液Lqを介してリザーブタンク101へと回収される冷却回路110における廃熱を、加熱対象物30の加熱に利用できる。
【0037】
図5は、温調システム100が第3モードMd3で制御される様子を図3と略同様に示す説明図である。第3モードMd3は、例えば、冬季に電動車両Vcが高速運転する場合に選択される。図2および図5に示すように、第3モードMd3では、流れf2のみを許容するように第1バルブ61が制御され、流れf3を規制し流れf4のみを許容するように第2バルブ62が制御され、流れf5およびf6を許容するように第3バルブ63が制御され、流れf7およびf8を規制するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオンに制御され、チラー170がオフに制御される。この結果、第3モードMd3では、冷却回路110によって冷却対象物20が冷却されるとともに、第2冷却部160のラジエータ161によって冷却された温調液Lqが第1冷却流路154を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが冷却される。また、ヒータ回路130によって加熱対象物30が加熱される。冷却回路110で冷却対象物20を冷却した温調液Lq、温調回路150でバッテリDBを冷却した温調液Lqは、それぞれ、リザーブタンク101へと回収される。この結果、温調液Lqを介して、冷却回路110および温調回路150における廃熱がリザーブタンク101へと回収される。つまり、第3モードMd3では、温調液Lqを介してリザーブタンク101へと回収される冷却回路110および温調回路150における廃熱を、加熱対象物30の加熱に利用できる。
【0038】
なお、上述した第1モードMd1は、例えば、電動車両Vcを通常運転や高速運転によって走行させた後に停止させた状態においても選択され得る。より詳細には、電動車両Vcの停止中に、低い外気温の影響によってバッテリDBの温度が適温範囲を下回った場合、第1モードMd1が選択される。この場合、第1モードMd1が選択される以前の第2モードMd2や第3モードMd3でリザーブタンク101に回収された廃熱を、バッテリDBの加熱に利用できる。なお、バッテリDBの加熱に加えて冷却対象物20の冷却をも要する場合、第1モードMd1における第3バルブ63の制御状態から、流れf6を許容するように第3バルブ63の制御状態を変更することによって、冷却対象物20を冷却してもよい。
【0039】
図6は、温調システム100が第4モードMd4で制御される様子を図3と略同様に示す説明図である。図6では、冷媒流路70における各流路のうち、冷媒が流れる流路が太線によって示されている。第4モードMd4は、例えば、冬季にバッテリDBを充電する場合に選択される。特に、第4モードMd4は、冬季にバッテリDBを急速充電する場合に選択される。図2および図6に示すように、第4モードMd4では、流れf2のみを許容するように第1バルブ61が制御され、流れf4のみを許容するように第2バルブ62が制御され、流れf5のみを許容し流れf6を規制するように第3バルブ63が制御され、流れf7のみを許容し流れf8を規制するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131およびチラー170がオンに制御される。この結果、第4モードMd4では、図6に示すように、第2冷却部160のラジエータ161およびチラー170によって冷却された温調液Lqが第1冷却流路154を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが冷却される。また、当該冷却された温調液Lqが第2冷却流路155を介して充電ユニットCUに供給されることで、充電ユニットCUが冷却される。また、ヒータ回路130によって加熱対象物30が加熱される。温調回路150でバッテリDBおよび充電ユニットCUを冷却した温調液Lqは、リザーブタンク101へと回収される。この結果、温調液Lqを介して、温調回路150における廃熱がリザーブタンク101へと回収される。つまり、第3モードMd3では、温調液Lqを介してリザーブタンク101へと回収される温調回路150における廃熱を、加熱対象物30の加熱に利用できる。
【0040】
第5モードMd5は、例えば、春季や秋季等の車室における空調が不要な環境下において、電動車両Vcを始動させた直後に選択される。図2に示すように、第5モードMd5では、流れf1からf8の全てを規制するように各バルブが制御され、ヒータ131およびチラー170がオフに制御される。
【0041】
図7は、温調システム100が第6モードMd6で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第6モードMd6は、例えば、車室における空調が不要な環境下において、電動車両Vcが通常運転する場合に選択される。図2および図7に示すように、第6モードMd6では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf3およびf4を規制するように第2バルブ62が制御され、流れf6のみを許容するように第3バルブ63が制御され、流れf7およびf8を規制するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131およびチラー170がオフに制御される。この結果、第6モードMd6では、図7に示すように、冷却回路110によって冷却対象物20が冷却される。
【0042】
図8は、温調システム100が第7モードMd7で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第7モードMd7は、例えば、車室における空調が不要な環境下において、電動車両Vcが高速運転する場合に選択される。図2および図8に示すように、第7モードMd7では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf4のみを許容するように第2バルブ62が制御され、流れf5およびf6を許容するように第3バルブ63が制御され、流れf7およびf8を規制するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131およびチラー170がオフに制御される。この結果、第7モードMd7では、図8に示すように、冷却回路110によって冷却対象物20が冷却されるとともに、第2冷却部160のラジエータ161によって冷却された温調液Lqが第1冷却流路154を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが冷却される。
【0043】
図9は、温調システム100が第8モードMd8で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第8モードMd8は、例えば、車室における空調が不要な環境下においてバッテリDBを充電する場合に、特に、バッテリDBを急速充電する場合に選択される。図2および図9に示すように、第8モードMd8では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf4のみを許容するように第2バルブ62が制御され、流れf5のみを許容するように第3バルブ63が制御され、流れf7のみを許容するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオフに制御され、チラー170がオンに制御される。この結果、第8モードMd8では、図9に示すように、第2冷却部160のラジエータ161およびチラー170によって冷却された温調液Lqが第1冷却流路154を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが冷却される。また、当該冷却された温調液Lqが第2冷却流路155を介して充電ユニットCUに供給されることで、充電ユニットCUが冷却される。
【0044】
図10は、温調システム100が第9モードMd9で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第9モードMd9は、例えば、外気温が比較的高い(例えば、30℃)夏季に、電動車両Vcを始動させた直後に選択される。図2および図10に示すように、第9モードMd9では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf3およびf4を規制するように第2バルブ62が制御され、流れf5およびf6を規制するように第3バルブ63が制御され、流れf7を規制し流れf8のみを許容するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオフに制御され、チラー170がオンに制御される。この結果、第9モードMd9では、各回路における温調液Lqを用いた温調は行われず、チラー170を用いた車室の冷房のみが行われる。
【0045】
図11は、温調システム100が第10モードMd10で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第10モードMd10は、例えば、夏季に電動車両Vcが通常運転する場合に選択される。図2および図10に示すように、第10モードMd10では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf3およびf4を規制するように第2バルブ62が制御され、流れf6のみを許容するように第3バルブ63が制御され、流れf8のみを許容するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオフに制御され、チラー170がオンに制御される。この結果、第10モードMd10では、図11に示すように、冷却回路110によって冷却対象物20が冷却されるとともに、チラー170を用いた車室の冷房が行われる。
【0046】
図12は、温調システム100が第11モードMd11で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第11モードMd11は、例えば、夏季に電動車両Vcが高速運転する場合に選択される。図2および図12に示すように、第11モードMd11では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf4のみを許容するように第2バルブ62が制御され、流れf5およびf6を許容するように第3バルブ63が制御され、流れf8のみを許容するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオフに制御され、チラー170がオンに制御される。この結果、第11モードMd11では、図12に示すように、冷却回路110によって冷却対象物20が冷却されるとともに、第2冷却部160のラジエータ161によって冷却された温調液Lqが冷却流路152を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが冷却される。また、チラー170を用いた車室の冷房が行われる。
【0047】
図13は、温調システム100が第12モードMd12で制御される様子を図6と略同様に示す説明図である。第12モードMd12は、例えば、夏季にバッテリDBを充電する場合に、特に、バッテリDBを急速充電する場合に選択される。図2および図13に示すように、第12モードMd12では、流れf1およびf2を規制するように第1バルブ61が制御され、流れf4のみを許容するように第2バルブ62が制御され、流れf5のみを許容するように第3バルブ63が制御され、流れf7およびf8を許容するように第4バルブ74が制御され、ヒータ131がオフに制御され、チラー170がオンに制御される。この結果、第12モードMd12では、図13に示すように、第2冷却部160のラジエータ161およびチラー170によって冷却された温調液Lqが第1冷却流路154を介してバッテリDBに供給されることで、バッテリDBが冷却される。また、当該冷却された温調液Lqが第2冷却流路155を介して充電ユニットCUに供給されることで、充電ユニットCUが冷却される。また、チラー170を用いた車室の冷房が行われる。
【0048】
以上で説明した本実施形態における温調システム100によれば、冷却回路110、ヒータ回路130および温調回路150のそれぞれにおいて、温調液Lqを循環させつつ各回路における温調対象物を温調できる。このようにすれば、各回路における温調対象物を温調した後の温調液Lqをリザーブタンク101に回収できるので、温調システム100における廃熱を利用してリザーブタンク101内の温調液Lqの温度を高めることができる。また、リザーブタンク101内の温調液Lqを、ヒータ回路130に接続された加熱流路151を介してバッテリDBに供給することで、バッテリDBを加熱できる。そのため、温調システム100において、バッテリDBを効果的に温調できる。
【0049】
また、本実施形態では、冷却流路152は、分岐点159において第1冷却流路154と第2冷却流路155とに分岐し、この分岐点159には第2冷却流路155を開閉可能に構成された第2バルブ62が設けられている。このようにすれば、第2バルブ62を用いて第2冷却流路155を開閉することで、冷却流路152において充電ユニットCUに温調液Lqが流れる状態と流れない状態とを切り換えることができる。そのため、例えば、バッテリDBの冷却を要し、かつ、充電ユニットCUの冷却を要しない場合に第2冷却流路155を閉じることで、バッテリDBをより効果的に冷却できる。また、バッテリDBを加熱するための温調液Lqが充電ユニットCUに向かって流れることを抑制できるので、バッテリDBをより効果的に加熱できる。
【0050】
また、本実施形態では、冷却流路152は、第2冷却部160を経由する。そのため、冷却流路152において、第2冷却部160によって冷却される温調液Lqを用いてバッテリDBを冷却できる。
【0051】
また、本実施形態では、第2冷却部160は、ラジエータ161とチラー170とを有する。そのため、バッテリDBをより高強度で冷却する需要がある場合に、上述した第4モードMd4、第8モードMd8および第12モードMd12のように、チラー170を用いてバッテリDBをより高強度で冷却できる。また、バッテリDBを比較的低い強度で冷却する需要がある場合に、上述した第3モードMd3、第7モードMd7および第11モードMd11のように、チラー170を稼動させることなくラジエータ161を用いてバッテリDBを冷却できる。このように、冷却流路152において、バッテリDBをより効果的に冷却できる。
【0052】
また、本実施形態では、チラー170は、温調液Lqの熱をヒータ回路130に供給可能に構成されている。このようにすれば、冷却流路152においてチラー170によって温調液Lqを冷却できるとともに、温調液Lqの冷却時に温調液Lqから冷媒に供給される熱をヒータ回路130に供給できる。そのため、温調システム100において、廃熱をより有効に利用できる。
【0053】
また、本実施形態では、冷却対象物20は、電動車両Vcの駆動用のモータMtとインバータIvとを含み、加熱対象物30は、電動車両Vcの車室の暖房に用いられるヒータコアHCを含む。そのため、冷却回路110によってモータMtやインバータIvを冷却でき、ヒータ回路130によってヒータコアHCを加熱できる。なお、上述したように、充電ユニットCUの冷却の需要は、主として、バッテリDBの充電時に生じる。また、冷却回路110における冷却対象物20であるインバータIvやモータMtの冷却の需要は、主として、電動車両Vcの駆動時に生じる。そのため、本実施形態のように、充電ユニットCUが温調回路150によって冷却されるように温調システム100を構成することで、例えば、冷却回路110によってインバータIvやモータMtとともに充電ユニットCUが冷却される場合と比較して、インバータIvやモータMtや充電ユニットCUの冷却効率を高めることができる。
【0054】
なお、他の実施形態では、冷却対象物20は、例えば、モータMtとインバータIvとの一方のみを含んでいてもよい。この場合、冷却対象物20に含まれない他方は、例えば、温調システム100とは異なる冷却システムによって油冷されてもよい。また、他の実施形態では、冷却対象物20は、例えば、モータMtとインバータIvとを含んでいなくてもよい。この場合、冷却対象物20は、鉛バッテリとして構成されたバッテリや、電動車両Vcに搭載されたエンジンや、各種モータや、各種インバータや、各種コンバータや、制御用コンピュータ等、任意であってよい。また、加熱対象物30は、ヒータコアHCでなくてもよく、例えば、電動車両Vcを洗浄するためのウォッシャ液や、電動車両Vcの乗員が着座する車両用シートの座部や背部やヘッドレストであってもよい。
【0055】
B.第2実施形態:
図14は、第2実施形態における温調システム100bの概略構成を示す説明図である。本実施形態では、温調回路150bの冷却流路152bは、第1実施形態とは違って、冷却回路110bのうち、第1部分に相当する第2流路12に接続されている。第1実施形態で説明したように、第1部分は、冷却回路110bのうち、第1冷却部111よりも下流かつ冷却対象物20よりも上流に位置する部分である。より詳細には、本実施形態では、冷却流路152bの共通流路153bが第2流路12に接続されている。温調システム100bの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0056】
冷却流路152bと冷却回路110bとの接続点CP2には、第1実施形態と同様に、第3バルブ63が設けられている。本実施形態における第2冷却部160bは、第1実施形態と同様にチラー170を有している一方で、第1実施形態とは違って、ラジエータ161を有していない。なお、本実施形態の温調システム100bにおいても、例えば、図2に示した各制御モードと同様の制御モードを使用可能である。
【0057】
以上で説明した第2実施形態における温調システム100bによれば、冷却流路152bは、冷却回路110bのうち第1部分に接続されている。また、接続点CP2には第3バルブ63が設けられている。このようにすれば、冷却回路110bにおいて冷却される温調液Lqを用いて、温調回路150bにおいてバッテリDBや充電ユニットCUを冷却できる。そのため、例えば、上述したように、第2冷却部160bのラジエータ161を省略しても、バッテリDBや充電ユニットCUを効果的に冷却できる。
【0058】
C.第3実施形態:
図15は、第3実施形態における温調システム100cの概略構成を示す説明図である。本実施形態では、冷却流路152には、第1実施形態とは違って、第1調整バルブが設けられている。また、加熱流路151には、第2調整バルブが設けられている。温調システム100cの構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0059】
第1調整バルブは、リザーブタンク101からバッテリDBに向かって冷却流路152を流れる冷却された温調液Lqの流量を調整可能に構成されている。本実施形態では、第2バルブ62bが第1調整バルブとして機能する。より詳細には、本実施形態における第2バルブ62bは、第1冷却流路154および第2冷却流路155を開閉するだけでなく、第1冷却流路154の開度を調整可能に構成されている。なお、本明細書において、「流路の開度を調整可能」とは、その流路を開閉するだけでなく、その流路の開口面積を段階的あるいは無段階に調整することが可能であることを指す。本実施形態では、第3バルブ63によって流れf5が許容された状態で、このように第1冷却流路154の開度が調整されることで、第1冷却流路154をバッテリDBに向かって流れる温調液Lqの流量や、第2冷却流路155を充電ユニットCUに向かって流れる温調液Lqの流量が調整される。
【0060】
第2調整バルブは、ヒータ回路130からバッテリDBに向かって加熱流路151を流れる温調液Lqの流量を調整可能に構成されている。本実施形態では、第1バルブ61bが第2調整バルブとして機能する。より詳細には、本実施形態における第1バルブ61bは、第5流路32および加熱流路151を開閉するだけでなく、加熱流路151の開度をそれぞれ調整可能に構成されている。このように加熱流路151の開度が調整されることで、加熱流路151をバッテリDBに向かって流れる温調液Lqの流量が調整される。
【0061】
本実施形態では、制御部300は、温度センサ91の測定値に応じて、つまり、バッテリDBの温度に応じて、第1調整バルブとして機能する第2バルブ62b、および、第2調整バルブとして機能する第1バルブ61bを制御する。例えば、制御部300は、バッテリDBの温度が適温範囲よりも高い場合、第2バルブ62bや第1バルブ61bを制御することによって、第1冷却流路154を流れる温調液Lqの流量が、加熱流路151を流れる温調液Lqの流量に対して相対的に大きくなるように、第1冷却流路154の開度を大きく、あるいは、加熱流路151の開度を小さくする。制御部300は、バッテリDBをより高強度で冷却する需要がある場合、第1冷却流路154の開度をより大きくすることや、加熱流路151の開度をより小さくすることを実行してもよい。反対に、バッテリDBの温度が適温範囲よりも低い場合、制御部300は、第2バルブ62bや第1バルブ61bを制御することによって、第1冷却流路154を流れる温調液Lqの流量が、加熱流路151を流れる温調液Lqの流量に対して相対的に小さくなるように、第1冷却流路154の開度を小さく、あるいは、加熱流路151の開度を大きくする。制御部300は、バッテリDBをより高強度で加熱する需要がある場合、第1冷却流路154の開度をより小さくすることや、加熱流路151の開度をより大きくすることを実行してもよい。
【0062】
なお、例えば、第1冷却流路154と加熱流路151とが合流する合流地点80よりも上流の第1冷却流路154における温調液Lqの温度や、合流地点80よりも上流の加熱流路151における温調液Lqの温度を測定し、各温度に応じて第1冷却流路154や加熱流路151の開度を調整してもよい。また、合流地点80とバッテリDBとの間の流路81における温調液Lqの温度を測定し、この温度に応じて第1冷却流路154や加熱流路151の開度を調整してもよい。
【0063】
以上で説明した第3実施形態における温調システム100cによれば、制御部300は、バッテリDBの温度を測定する温度センサ91の測定値に応じて、第1調整バルブと第2調整バルブとを制御する。このようにすれば、バッテリDBの温度に応じて、冷却流路152bをバッテリDBに向かって流れる冷却された温調液Lqの流量と、加熱流路151をバッテリDBに向かって流れる温調液Lqの流量とを調整できる。そのため、バッテリDBの温度をより緻密に制御できる。
【0064】
なお、他の実施形態では、第2バルブ62bが第1調整バルブとして機能しなくてもよい。この場合、例えば、第2バルブ62bよりも下流かつ合流地点80よりも上流の第1冷却流路154に、第1調整バルブが設けられてもよい。また、他の実施形態では、第1バルブ61bが第2調整バルブとして機能しなくてもよい。この場合、例えば、第1バルブ61bよりも下流かつ合流地点80よりも上流の加熱流路151に、第2調整バルブが設けられてもよい。また、第1バルブ61bは、例えば、ヒータ回路130における流路の開度、例えば、第5流路32の開度を調整可能に構成されていてもよい。また、第2バルブ62bは、第2冷却流路155の開度を調整可能に構成されていてもよい。また、第3バルブ63は、冷却流路152や、冷却回路110における流路の開度、例えば、第1流路11の開度を調整可能に構成されていてもよい。また、第4バルブ74は、第1冷媒流路71や第2冷媒流路72の開度を調整可能に構成されていてもよい。
【0065】
D.他の実施形態:
(D1)上記各実施形態では、冷却流路152に第2バルブ62が設けられているが、第2バルブ62が設けられていなくてもよい。また、冷却流路152は、分岐点159において、第1冷却流路154と第2冷却流路155とに分岐しているが、このように分岐しなくてもよい。この場合、バッテリDBは、冷却流路152において、例えば、充電ユニットCUより上流で冷却されてもよいし、充電ユニットCUより下流で冷却されてもよい。
【0066】
(D2)上記各実施形態では、冷却流路152は、冷却回路110に接続されているが、冷却回路110に接続されていなくてもよい。この場合、冷却流路152は、ポンプ102とは異なる、リザーブタンク101から冷却流路152へ温調液Lqを供給するためのポンプに接続されてもよい。この場合、このポンプを制御部300によって制御することで、リザーブタンク101から冷却流路152への温調液Lqの流れを規制および許容することが可能である。
【0067】
(D3)上記各実施形態では、冷却回路110とヒータ回路130とに共通のポンプ102が設けられているが、このようにしなくてもよい。例えば、リザーブタンク101から冷却回路110へ温調液Lqを供給するためのポンプと、リザーブタンク101からヒータ回路130へ温調液Lqを供給するためのポンプとが、それぞれ別個に設けられてもよい。また、こうしたポンプは、リザーブタンク101に固定されてもよいし、固定されていなくてもよい。
【0068】
(D4)上記各実施形態では、冷却流路152は、第2冷却部160を経由しているが、第2冷却部160を経由しなくてもよい。この場合、冷却回路110で冷却された温調液Lqが冷却流路152に供給されるように構成されていてもよい。この場合、冷却流路152に供給される温調液Lqは、第2実施形態で説明したように第1冷却部111によって冷却されてもよいし、第1冷却部111とは異なる冷却部によって冷却されてもよい。
【0069】
(D5)上記各実施形態では、チラー170は、温調液Lqの熱をヒータ回路130に供給可能に構成されているが、このように構成されていなくてもよい。この場合、チラー170は、例えば、水冷コンデンサ173において、温調液Lqとは異なる液体と冷媒とを熱交換させるように構成されていてもよい。また、チラー170は、例えば、水冷コンデンサ173に代えて、空冷式のコンデンサを備えていてもよい。
【0070】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
11…第1流路、12…第2流路、13…第3流路、20…冷却対象物、30…加熱対象物、31…第4流路、32…第5流路、33…第6流路、50…合流地点、51…流路、52…流路、61,61b…第1バルブ、62,62b…第2バルブ、63…第3バルブ、70…冷媒流路、71…第1冷媒流路、72…第2冷媒流路、74…第4バルブ、78…分岐点、79…合流地点、80…合流地点、81…流路、91…温度センサ、100,100b,100c…温調システム、101…リザーブタンク、102…ポンプ、110,110b…冷却回路、111…第1冷却部、130…ヒータ回路、131…ヒータ、150,150b…温調回路、151…加熱流路、152,152b…冷却流路、153,153b…共通流路、154…第1冷却流路、155…第2冷却流路、156…回収流路、159…分岐点、160,160b…第2冷却部、161…ラジエータ、170…チラー、172…コンプレッサ、173…水冷コンデンサ、174…第2蒸発器、175…第1膨張弁、176…第2膨張弁、250…HVACシステム、300…制御部、310…プロセッサ、320…記憶装置
図1
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