(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142648
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3234 20190101AFI20250924BHJP
H10D 89/00 20250101ALI20250924BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20250924BHJP
G06F 1/3237 20190101ALI20250924BHJP
G06F 15/78 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
G06F1/3234
H01L27/04 U
G06F1/3287
G06F1/3237
G06F15/78 517
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042122
(22)【出願日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】青山 詠樹
【テーマコード(参考)】
5B011
5B062
5F038
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DB21
5B011EA10
5B011LL13
5B011MB06
5B062AA05
5B062CC01
5B062HH04
5B062HH07
5F038DF06
5F038DF20
(57)【要約】
【課題】電源遮断状態からの復帰をより適切に行い得る半導体装置を提供すること。
【解決手段】複数の処理回路と、前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、を有し、前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の、電源配線側から見た負荷インピーダンスが所定のインピーダンス以上になるように前記停止方法を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理回路と、
前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、
前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、
を有し、
前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の、電源配線側から見た負荷インピーダンスが所定のインピーダンス以上になるように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記回路情報は、前記回路情報に対応する処理回路が既に前記第1停止方法による前記停止状態であるか否かを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記回路情報は、前記回路情報に対応する処理回路を含む回路の配置を示す情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記回路情報は、前記回路情報に対応する処理回路と前記複数の処理回路が形成される基板上の電源供給端子との位置関係を示す情報を更に含む
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記停止方法決定部は、前記電源供給端子との距離が最も近い処理回路の動作が前記第1停止方法によって停止するように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうちの前記第1停止方法により停止状態になっている複数の処理回路が、前記複数の処理回路が配された基板に対する平面視において互いに隣接しないように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の処理回路の各々の前記回路情報を記憶する記憶部を更に有し、
前記停止方法決定部は、前記記憶部から前記回路情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記停止方法決定部は、前記半導体装置の外部の装置から前記回路情報を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2停止方法により停止状態になっている処理回路の復帰時間は、前記第1停止方法により停止状態になっている処理回路の復帰時間よりも短い
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2停止方法により停止状態になっている処理回路の消費電力は、前記第1停止方法により停止状態になっている処理回路の消費電力よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2停止方法は、クロックゲーティングを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の処理回路は、複数の光電変換素子の出力に基づく画素信号を処理する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の処理回路は同一の機能を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記複数の光電変換素子が配されている領域は、複数の領域に区分されており、
前記複数の領域の各々で生成される画素信号が前記複数の処理回路のうちの対応する1つにより処理される
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうち、前記画素信号に基づいて決定された領域に対応する処理回路以外の処理回路を前記第1処理回路として決定する
ことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうち、前記画素信号に基づいて被写体が検出された領域に対応する処理回路以外の処理回路を前記第1処理回路として決定する
ことを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記複数の処理回路は、直列に前記画素信号の処理を行い、
前記複数の処理回路は、一部の処理回路の動作をスキップし得るよう構成されており、
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうち、動作がスキップされる処理回路を前記第1処理回路として決定する
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項18】
複数の処理回路と、
前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、
前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、
を有し、
前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の個数が閾値以下になるように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置を含む光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備えることを特徴とする機器。
【請求項20】
前記処理装置は、前記光電変換装置から被写体までの距離情報を取得することを特徴とする請求項19に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低消費電力制御が可能な半導体集積回路が開示されている。特許文献1の半導体集積回路は、プロセッサコア等の回路へのクロック信号の供給の有無を制御するクロックゲーティング回路と、当該回路への電源電圧の供給の有無を制御するパワースイッチとを有している。特許文献1には、動作停止頻度の高い回路に対しては、電源遮断ではなくクロックゲーティングを適用することで、低消費電力化と処理性能向上を両立する技術が提案されている。
【0003】
特許文献2には、独立に電源供給の制御が可能な複数の信号処理モジュールを有する測距センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-119003号公報
【特許文献2】特開2021-139836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2のような電源遮断が行われる複数の処理回路を有する半導体装置において、電源遮断状態からの復帰をより適切に行うことが求められ得る。
【0006】
そこで、本発明は、電源遮断状態からの復帰をより適切に行い得る半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一開示によれば、複数の処理回路と、前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、を有し、前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の、電源配線側から見た負荷インピーダンスが所定のインピーダンス以上になるように前記停止方法を決定することを特徴とする半導体装置が提供される。
【0008】
本明細書の一開示によれば、複数の処理回路と、前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、を有し、前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の個数が閾値以下になるように前記停止方法を決定することを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電源遮断状態からの復帰をより適切に行い得る半導体装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の機能ブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る半導体装置における半導体基板上の物理配置を示す平面模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る半導体装置における処理回路の状態の時間変化を示す表である。
【
図4】第1実施形態に係る半導体装置における処理回路の状態の時間変化を示す平面模式図である。
【
図5】比較例に係る半導体装置における処理回路の状態の時間変化を示す平面模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置における半導体基板上の物理配置を示す平面模式図である。
【
図7】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の機能ブロック図である。
【
図8】第1実施形態の変形例に係る半導体装置の機能ブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
【
図10】第2実施形態に係る半導体装置における処理回路の状態の時間変化を示す模式図である。
【
図11】第3実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
【
図12】第3実施形態に係る半導体装置における処理回路の状態の時間変化を示す模式図である。
【
図13】第4実施形態に係る機器のブロック図である。
【
図14】第5実施形態に係る機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。
【0012】
[第1実施形態]
本実施形態に係る半導体装置100の構成について説明する。
図1は本実施形態に係る半導体装置100の機能ブロック図である。半導体装置100は、例えば、半導体基板に形成される半導体集積回路である。半導体装置100は、制御部200と、信号処理部300とを有する。
【0013】
信号処理部300は、入力された信号を処理して出力する信号処理回路である。信号処理部300は、複数の処理回路Pを有する。複数の処理回路Pの各々は、信号処理部300に入力された信号を処理する。複数の処理回路Pの各々の回路構成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。信号処理部300が処理する信号の種類は特に限定されるものではないが、例えば、信号処理部300は、光電変換素子から出力された画素信号を処理する画像処理回路であり得る。
図1では、9個の処理回路Pが図示されているが、複数の処理回路Pの個数及び配列は
図1に示されているものに限られない。
【0014】
制御部200は、モード制御部201、停止回路決定部202及び停止方法決定部203を有している。制御部200は、半導体装置100の動作を制御する制御回路である。すなわち、制御部200は信号処理部300における信号処理の動作を制御する機能を有する。
【0015】
モード制御部201は、半導体装置100の動作モードを示す動作モード情報を停止回路決定部202に出力する。この動作モードは半導体装置100における電力制御に関する設定を含み得る。
【0016】
停止回路決定部202は、モード制御部201から出力された動作モード情報に基づいて複数の処理回路Pのうちから、動作を停止させる処理回路P(第1処理回路)を決定する。そして、停止回路決定部202は、動作を停止させる処理回路Pを示す情報を停止方法決定部203に出力する。
【0017】
停止方法決定部203は、停止回路決定部202から入力された情報に示されている処理回路Pについて、動作の停止方法を決定する。そして、停止方法決定部203は、停止対象の処理回路Pに対して、決定された停止方法により動作を停止させるための制御信号を出力する。また、停止方法決定部203は、動作を停止している処理回路Pを復帰させる制御信号を出力する。
【0018】
停止方法決定部203が決定する停止方法の候補は、電源遮断(PSO:Power Shut Off)を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とを少なくとも含む。本実施形態では第2停止方法は、クロックゲーティング(CG:Clock Gating)であるものとする。停止方法決定部203は、ある処理回路Pの停止方法を決定する際に、対象の処理回路P(第1処理回路)の回路情報だけでなく、他の処理回路P(第2処理回路)の回路情報も参照して、停止方法を決定する。回路情報とは、処理回路Pを含む回路の配置を示す情報、処理回路Pが電源遮断による停止状態であるか否かを示す情報等の処理回路Pに関する情報であり得る。すなわち、回路情報は、回路の配置等の経時的に変化しない情報であってもよく、処理回路Pの停止状態のように経時的に変化する情報であってもよい。
【0019】
なお、電源遮断は、対象の処理回路Pに供給される電源を遮断することにより消費電力を削減する手法である。一方、クロックゲーティングは、対象の処理回路Pに入力されるクロック信号をゲーティングして電位の変化を停止することにより消費電力を削減する手法である。クロックゲーティングでは処理回路Pへの電源供給そのものは継続されるため、クロックゲーティングが行われている処理回路Pの消費電力は、電源遮断が行われている処理回路Pの消費電力よりも大きい。したがって、電源遮断の消費電力低減効果は、クロックゲーティングの消費電力低減効果よりも高い。一方、クロックゲーティングが行われた処理回路Pの復帰時間は、電源遮断が行われた処理回路Pの復帰時間よりも短い。
【0020】
処理回路Pが電源遮断状態から復帰する際において、処理回路Pにおける電源電圧が所定の時間内に所定の電圧値に到達しないことにより回路の誤動作が発生する場合がある。また、処理回路Pが電源遮断状態から復帰する際において、処理回路Pに電圧が供給されることにより発生する突入電流がノイズ源となり、回路の誤動作が発生する場合もある。このように、電源遮断による処理回路Pの停止方法においては、電源遮断状態からの復帰時に回路の誤動作が生じる場合がある。本実施形態では、この回路の誤動作の発生を低減し得る処理回路Pの停止手法について述べる。
【0021】
図2は、本実施形態に係る半導体装置100における半導体基板上の物理配置を示す平面模式図である。
図2は、半導体基板に対する平面視における各要素の物理配置を模式的に示している。半導体装置100には、上述の制御部200及び信号処理部300に加え、入出力I/F(インターフェース)101、RAM(Random Access memory)102及びROM(Read Only Memory)103が配されている。入出力I/F101は、半導体装置100に信号を入出力する回路である。RAM102は、処理対象の情報を一時保存する揮発性メモリである。ROM103は、処理に必要な情報をあらかじめ保持している不揮発性メモリである。
【0022】
信号処理部300は、複数の処理回路PA1、PA2、PB1、PB2、PB3、PB4を有する。2つの処理回路PA1、PA2は同種の処理回路である。また、4つの処理回路PB1、PB2、PB3、PB4も同種の処理回路である。一方、処理回路PA1、PA2と処理回路PB1、PB2、PB3、PB4とは異なる種類の処理回路である。処理回路PA1、PA2と処理回路PB1、PB2、PB3、PB4とは、電源配線の容量が異なる。
【0023】
電源遮断状態からの復帰に要する時間は、各処理回路において、電源配線側から見た負荷インピーダンスに依存する。ここで、トランジスタ等の半導体素子で構成される各処理回路は電源配線側から見ると等価的には容量性の負荷であり、当該負荷インピーダンスは容量性である。したがって、電源配線の電位が変化する際の遅延時間は、各処理回路の電源配線に作用する容量に概ね依存する。電源遮断状態から復帰する際には、各処理回路の電源配線の電位が所定の電位に到達する必要がある。そのため、処理回路PA1、PA2と処理回路PB1、PB2、PB3、PB4とは、電源配線の容量が異なることにより、電源遮断状態からの復帰に要する時間が異なる。
【0024】
説明の単純化のため、処理回路PA1、PA2の各々の電源配線の容量は、処理回路PB1、PB2、PB3、PB4の各々の電源配線の容量の2倍であるものとする。そのため、例えば処理回路PB1を電源遮断状態から復帰させるために要する時間をTとすると、処理回路PA1を電源遮断状態から復帰させるために要する時間は2Tである。また、処理回路PB1を電源遮断状態から復帰させるために要する時間をTとすると、処理回路PA1と処理回路PB1を電源遮断状態から順次復帰させるために要する時間は3Tである。
【0025】
これらの複数の処理回路を電源遮断状態から復帰させる処理は並行して行われてもよい。したがって、複数の処理回路が電源遮断状態から順次復帰するために要する時間は、各処理回路が電源遮断状態から復帰するために要する時間の単純な合計とはならないこともある。しかしながら、単一の処理回路を電源遮断状態から復帰させるために要する時間と、複数の処理回路を並行して電源遮断状態から復帰させるために要する時間とを比較すると、後者の方が大きい。また、電源遮断状態からの復帰時に突入電流が増大することを防止するために、各処理回路を電源遮断状態から順次復帰させる処理が採用される場合もある。説明の単純化のため、以下では、複数の処理回路を電源遮断状態から復帰させるために要する時間は、複数の処理回路の各々を電源遮断状態から復帰させるために要する時間の合計に等しいものとする。
【0026】
図3は、本実施形態に係る半導体装置100における処理回路PA1からPB4の状態の時間変化を示す表である。
図3には、時刻t1、t2、t3、t4の各々における処理回路PA1からPB4の状態が示されている。
図3における「ON」は、対応する処理回路が動作状態であることを示している。
図3における「OFF(PSO)」は、対応する処理回路が電源遮断(第1停止方法)による停止状態であることを示している。
図3における「OFF(CG)」は、対応する処理回路がクロックゲーティング(第2停止方法)による停止状態であることを示している。
【0027】
図4は、本実施形態に係る半導体装置100における処理回路PA1からPB4の状態の時間変化を示す平面模式図である。
図4は、時刻t1、t2、t3、t4における処理回路PA1からPB4の状態の時間変化を、それらの平面的な物理配置とともに模式的に示している。動作状態である処理回路を示すボックスにはハッチングがなされていない。電源遮断及びクロックゲーティングのいずれかにより停止状態である処理回路を示すボックスには、
図4下方の凡例に示されているように、2種類のハッチングがなされている。
【0028】
本実施形態では、処理回路PB1を電源遮断状態から復帰させるために要する時間をTとすると、電源遮断状態からの復帰に要する時間が4T以下に収まるように電源遮断が行われる処理回路を選択する例を説明する。上述のように、複数の処理回路が電源遮断状態から復帰するために要する時間は、当該複数の処理回路の電源配線の容量の合計値に依存する。したがって、電源遮断状態からの復帰に要する時間が所定の時間以下という条件は、同時刻に電源遮断状態になっている処理回路の電源配線の容量の合計値が閾値以下という条件に相当する。また、この条件は、より一般的には、同時刻に電源遮断状態になっている処理回路の、電源配線側から見た負荷インピーダンスが所定のインピーダンス以上という条件に相当する。
【0029】
上述の4Tという時間の上限値は、電源遮断状態からの復帰の際の回路動作における復帰時間の許容値と、突入電流の許容値とに基づいて設定される。すなわち、電源遮断状態からの復帰に要する時間が4Tを超える場合には、所定の時間内に復帰動作が終了せずに回路の誤動作が発生する場合、又は、突入電流によるノイズが発生し回路の誤動作が引き起こされる場合がある。これらの可能性を考慮して、
図3及び
図4に示されている例では、復帰時間が4T以下に収まるように電源遮断が行われる処理回路が選択されている。復帰時間は複数の処理回路の状態に基づいて決まるため、この処理回路の選択のためには、複数の処理回路の回路情報が必要である。各処理回路の復帰時間は、電源配線の容量等に応じて定まり、あらかじめ取得可能である。この復帰時間の情報はあらかじめ準備されており、停止方法決定部203が各処理回路の回路情報として利用可能である。また、復帰時間の判定には、各処理回路が既に電源遮断による停止状態であるか否かを示す情報が用いられる。この情報は過去の動作履歴から取得可能であり、停止方法決定部203が各処理回路の回路情報として利用可能である。
【0030】
また、本実施形態では、電源遮断状態になる処理回路同士が隣接しないように電源遮断が行われる処理回路が選択されている。このように、本実施形態では、復帰時間の許容量と、複数の処理回路の物理配置を考慮して、電源遮断が行われる処理回路が選択されている。
【0031】
図3及び
図4を参照して、時系列に沿って処理回路PA1からPB4の状態の時間変化を説明する。時刻t1においては、処理回路PA1からPB4のすべてが動作状態である。
【0032】
時刻t2においては、停止回路決定部202は、処理回路PA2、PB1、PB3、PB4を停止対象として決定する。そして、停止方法決定部203は、電源遮断状態から復帰する際の復帰時間が4T以下になるように処理回路PA2、PB1、PB3、PB4の停止方法を決定する。
図4の例では、処理回路PA2、PB1、PB4に電源遮断が適用され、処理回路PB3にクロックゲーティングが適用される。処理回路PA2の復帰時間は2Tであり、処理回路PB1、PB4の各々の復帰時間はTであるため、処理回路PA2、PB1、PB4のすべてが電源遮断状態から復帰する際の復帰時間は4Tである。したがって、復帰時間が4T以下という条件は満たされている。
【0033】
時刻t3においては、停止回路決定部202は、処理回路PA1からPB4のすべてを停止対象として決定する。そして、停止方法決定部203は、時刻t2の際と同様に、復帰時間が4T以下になるように処理回路PA1からPB4の停止方法を決定する。
図4の例では、処理回路PA2、PB1、PB4に電源遮断が適用され、処理回路PA1、PB2、PB3にクロックゲーティングが適用される。この状況においても同様に、復帰時間が4T以下という条件は満たされている。
【0034】
時刻t4においては、停止回路決定部202は、処理回路PB2のみを停止対象として決定する。そして、停止方法決定部203は、時刻t2の際と同様に、復帰時間が4T以下になるように処理回路PB2の停止方法を決定する。
図4の例では、処理回路PB2には電源遮断が適用される。処理回路PB2の復帰時間はTであるため、復帰時間が4T以下という条件は満たされている。
【0035】
なお、時刻t3から時刻t4の間に、処理回路PA1、PA2、PB1、PB3、PB4が停止状態から動作状態に遷移する。処理回路PA2、PB1、PB4においては電源遮断状態からの復帰が行われる。この際の復帰時間は4Tであり許容値以下であるため、回路の誤動作は抑制されている。
【0036】
図5は、比較例に係る半導体装置における処理回路の状態の時間変化を示す平面模式図である。
図5において、
図4の例に対する相違点は、復帰時間が4T以下という制約がなく、停止対象である処理回路のすべてに電源遮断が適用されている点である。
図5に示されているように、時刻t3においては、処理回路PA1からPB4のすべてが電源遮断状態となる。
【0037】
図5の例では、時刻t3から時刻t4の間に、処理回路PA1、PA2、PB1、PB3、PB4が電源遮断状態から復帰する。この際の復帰時間は7Tであり、許容値を超えている。そのため、電源遮断状態から復帰する際に、処理回路PA1、PA2、PB1、PB3、PB4における電源電圧が所定の時間内に所定の電圧に到達せず回路の誤動作が発生する場合がある。あるいは、処理回路PA1、PA2、PB1、PB3、PB4におけるにおいて大きな突入電流が流れることにより生じたノイズにより回路の誤動作が発生する場合もある。これに対し、本実施形態の
図4の例では、復帰時間が許容値である4Tを超えないように複数の処理回路に電源遮断とクロックゲーティングが使い分けられており、上述の要因による回路の誤動作が抑制されている。
【0038】
上述のように、電源遮断状態からの復帰時間が所定の許容値を超えないように停止方法決定部203が処理回路の停止方法を制御することにより、処理回路を停止することによる消費電力低減効果を得つつ、電源遮断状態からの復帰が適切に行われる。
【0039】
また、本実施形態では、処理回路の停止方法の制御において、上述の復帰時間に加えて処理回路を含む回路の物理配置が考慮されている。これにより、より適切に回路の誤動作を抑制することができる。処理回路を含む回路の物理配置を考慮する手法の例を2つ説明する。
【0040】
処理回路を含む回路の物理配置を考慮する手法の第1の例として、電源遮断させる処理回路の組み合わせを複数の処理回路の物理配置を考慮して決定する手法を、
図4を再び参照して説明する。
図4に示されている例では、この手法が適用されている。
【0041】
図4の時刻t2及び時刻t3の例において、電源遮断状態である3つの処理回路PA2、PB1、PB4は、平面視において縦方向及び横方向に隣接しない位置に配されている。これにより、電源遮断がなされる処理回路が隣接している場合と比較して、処理回路PA2、PB1、PB4が電源遮断状態から復帰する際に電源配線に流れる突入電流が分散される。これにより、突入電流に起因するノイズが低減し得る。また、隣接していない処理回路PA2、PB1、PB4には基板上の異なる電源供給端子から電力を供給し得るため、電源遮断状態からの復帰時間も低減し得る。
【0042】
以上のように、電源遮断させる処理回路を選択する際に、電源遮断状態となる複数の処理回路の距離が離れているように電源遮断させる処理回路の組み合わせが選択されることが望ましい。これにより、局所的に大きな突入電流が流れることを防止することができ、回路の誤動作が更に低減し得る。また、上述のように電源遮断させる処理回路の組み合わせを選択することにより、複数の処理回路に異なる電源供給端子から電力を供給し得るため、電源遮断状態からの復帰時間も低減し得る。これにより、回路の誤動作が更に低減し得る。
【0043】
処理回路を含む回路の物理配置を考慮する手法の第2の例として、電源遮断させる処理回路の組み合わせを複数の処理回路と複数の処理回路が形成される基板上の電源供給端子との位置関係を考慮して決定する手法を、
図6を参照して説明する。
【0044】
図6は、本実施形態に係る半導体装置100における半導体基板上の物理配置を示す平面模式図である。
図6には、
図2に示されている半導体装置100の構成に加えて、複数のパッド104、105が示されている。ハッチングがなされていないパッド104は、信号配線が接続されるパッドであり、ハッチングがなされているパッド105は、電源配線が接続されるパッドである。
【0045】
また、
図6の処理回路PA1からPB4のボックスには、
図4の時刻t3の時点における停止状態を示すハッチングがなされている。すなわち、
図6の例では、処理回路PA1からPB4のすべてが停止対象である。そして、処理回路PA2、PB1、PB4には電源遮断が適用されており、処理回路PA1、PB2、PB3にはクロックゲーティングが適用されている。
【0046】
図6の例において、電源遮断状態である3つの処理回路PA2、PB1、PB4は、平面視において他の処理回路に比べて電源供給用のパッド105に近い位置に配されている。例えば、処理回路PA1と処理回路PA2を比較すると、処理回路PA2の方が右上のパッド105に近い位置に配されている。また、処理回路PB2と処理回路PB4を比較すると、処理回路PB4の方が右下の2つのパッド105に近い位置に配されている。このように、
図6の例では、電源遮断状態である処理回路が隣接しないという条件を満たしつつ、電源供給用のパッド105に最も近い処理回路から順に電源遮断状態になるように電源遮断が行われる処理回路が選択されている。
【0047】
処理回路が電源供給用のパッド105に近いほど、パッド105と処理回路との間の電源配線のインピーダンスが小さい。そのため、処理回路が電源供給用のパッド105に近いほど電源復帰に要する時間が短くなる。したがって、処理回路PA2、PB1、PB4が電源遮断対象として選択された場合、例えば処理回路PA1、PB2、PB3が電源遮断対象として選択された場合と比べて電源遮断からの復帰に要する時間を短くすることができる。これにより、回路の誤動作が更に低減し得る。したがって、処理回路と電源供給端子との距離が近い処理回路ほど優先的に電源遮断によって動作が停止するように停止方法を決定することで、回路の誤動作が更に低減し得る。
【0048】
このように、電源遮断させる処理回路を選択する際には、回路の物理配置が考慮されていることが望ましい。そのような選択を実現する停止方法決定部203の構成例を説明する。
図7は、本実施形態の変形例に係る半導体装置100の機能ブロック図である。
図7においては、
図1の構成に加えて、制御部200に配置情報記憶部204が更に配されている。
【0049】
配置情報記憶部204は、複数の処理回路に関する回路情報の一例として、処理回路を含む回路の物理配置を示す配置情報をあらかじめ記憶している。配置情報記憶部204は、不揮発性メモリで構成される。この配置情報は半導体装置100の製造時に不揮発性メモリに記憶されており、半導体装置100の出荷後には書き変わらない。配置情報記憶部204は、配置情報を停止方法決定部203に供給する。停止方法決定部203は、停止回路決定部202から出力される処理回路が停止状態であるか否かを示す情報と、配置情報記憶部204から出力される配置情報とを組み合わせて処理回路の停止方法を決定する。そして、停止方法決定部203は、停止対象の処理回路Pに対して、決定された停止方法により動作を停止させるための制御信号を出力する。これにより、複数の処理回路の物理配置が考慮された制御が行われる。
【0050】
図8は、本実施形態の変形例に係る半導体装置100の機能ブロック図である。
図8においては、
図7の配置情報記憶部204に相当する機能を有する配置情報記憶装置400が半導体装置100の外部に配されている。配置情報記憶装置400は、配置情報を記憶する不揮発性メモリと、配置情報を半導体装置100に供給するインターフェースとを含む。配置情報記憶装置400は、配置情報記憶部204と同様に、配置情報を停止方法決定部203に出力する。このように、配置情報は半導体装置100の外部の装置に記憶されていてもよい。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、電源遮断状態からの復帰をより適切に行い得る半導体装置が提供される。
【0052】
[第2実施形態]
第1実施形態の半導体装置100における処理回路の制御手法は、複数の処理回路を有する種々の装置に適用可能である。本実施形態では、第1実施形態の処理回路の制御手法を撮像装置等の光電変換装置に適用する例を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0053】
図9は、本実施形態に係る半導体装置100のブロック図である。本実施形態の半導体装置100は、受光素子層110と信号処理回路層120とが積層された積層型の光電変換装置である。この構造は、例えば、受光素子層110が形成された第1基板と信号処理回路層120が形成された第2基板とを積層することにより製造され得る。なお、本実施形態の半導体装置100の構造は積層構造に限定されるものではなく、単層構造であってもよい。この場合、1つの基板に受光素子層110の機能と信号処理回路層120の機能とを有する回路が形成される。
【0054】
受光素子層110には、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の受光素子111が配されている。受光素子111は、フォトダイオード等の光電変換素子を含み、入射光を光電変換して画素信号を生成する。複数の受光素子111が配されている画素領域は、5つの領域R1からR5に区分されている。本実施形態の半導体装置100は、被写体112の検出結果に基づいて、5つの領域R1からR5から選択された領域の画像情報を出力する機能を有する。
【0055】
信号処理回路層120には、複数の受光素子111から出力された画素信号に対する信号処理を行う回路が配されている。信号処理回路層120には、制御部200、入出力I/F101が配されている。また、信号処理回路層120には、5つの領域R1からR5にそれぞれ対応するように、5つのアナログデジタル変換回路(AD変換回路)AD1からAD5と、5つの処理回路P11からP51と、5つの処理回路P12からP52とが配されている。領域R1の受光素子111から出力されたアナログ信号は、AD変換回路AD1においてデジタル信号に変換され、変換後のデジタル信号は処理回路P11に入力され、その後処理回路P12に入力される。領域R2からR5の受光素子111から出力されたアナログ信号も同様に対応するAD変換回路及び処理回路に入力される。
【0056】
本実施形態では、5つの処理回路P11、P21、P31、P41、P51は同一の機能を有しているものとする。また、5つの処理回路P12、P22、P32、P42、P52も同一の機能を有しているものとする。この場合、5つの処理回路P12、P22、P32、P42、P52の各々は、電源配線の容量が概ね同一となるため、電源遮断状態からの復帰に要する時間が概ね同一である。
【0057】
制御部200は、半導体装置100全体の制御を行う。また、制御部200は、第1実施形態と同様に、停止させる処理回路を決定する機能と、停止させる処理回路における停止方法を決定する機能とを有する。
【0058】
上述のようにAD変換回路AD1からAD5の各々は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。しかしながら、受光素子111がデジタル信号を出力可能である場合には、AD変換回路AD1からAD5が配されていなくてもよい。例えば、受光素子111がSPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサであり、入射光子をカウントしてデジタル信号を出力する機能を有する場合には、AD変換回路AD1からAD5は省略される。
【0059】
処理回路P11からP51の各々は、入力された画素信号を処理して被写体112の検出を行う。処理回路P12からP52の各々は、対応する処理回路P11からP51が被写体112を検出した場合に画素信号を処理して、対応する領域の画像情報を生成する。生成された画像情報は、入出力I/F101を介して半導体装置100の外部に出力される。これに対し、処理回路P11からP51が被写体112を検出しない場合には、対応する処理回路P12からP52は動作を停止する。このように、本実施形態では、被写体112が検出された領域に対応する処理回路以外の処理回路が動作を停止する。このときの処理回路P12からP52の各々における動作の停止方法は、第1実施形態と同様に電源遮断及びクロックゲーティングのうちの選択された1つであり得る。
【0060】
複数の受光素子111は、
図9における最上段の行から順に行ごとに走査される。
図9の「t11」から「t15」は、図示されている位置の行が走査される時刻を示している。
【0061】
時刻t11においては、領域R3にのみ被写体112が検出される。そのため、領域R3に対応する処理回路P32は信号処理動作を行い、処理回路P12、P22、P42、P52は動作を停止する。
【0062】
時刻t12においては、被写体112がいずれの領域にも検出されない。そのため、処理回路P12、P22、P32、P42、P52は動作を停止する。
【0063】
時刻t13においては、領域R2、R4に被写体112が検出される。そのため、領域R2、R4にそれぞれ対応する処理回路P22、P42は信号処理動作を行い、処理回路P12、P32、P52は動作を停止する。
【0064】
時刻t14においては、被写体112がいずれの領域にも検出されない。そのため、処理回路P12、P22、P32、P42、P52は動作を停止する。
【0065】
時刻t15においては、領域R1、R2、R3、R5に被写体112が検出される。そのため、領域R1、R2、R3、R5にそれぞれ対応する処理回路P12、P22、P32、P52は信号処理動作を行い、処理回路P42は動作を停止する。
【0066】
図10は、本実施形態に係る半導体装置100における処理回路の状態の時間変化を示す模式図である。
図10は、時刻t11からt15における処理回路P12からP52の状態の時間変化を模式的に示している。動作状態である処理回路を示すボックスにはハッチングがなされていない。電源遮断及びクロックゲーティングのいずれかにより停止状態である処理回路を示すボックスには、
図4と同様のハッチングがなされている。
【0067】
第1実施形態では、複数の処理回路において電源遮断状態からの復帰時間が同一でない例を示している。しかしながら、本実施形態の処理回路P12からP52は同一の機能を有するため、処理回路P12からP52の各々の電源遮断状態からの復帰時間は同一であるものとする。この場合、処理回路P12からP52の全体の電源遮断状態からの復帰時間は、電源遮断状態から復帰する処理回路の個数に依存する。本実施形態では、同時に電源遮断状態から復帰させることができる処理回路の上限値は3個という制約があるものと仮定して
図10の時間変化を説明する。
【0068】
時刻t11においては、上述のように領域R3にのみ被写体112が検出されるため、処理回路P32以外の処理回路P12、P22、P42、P52は動作を停止する。ここで、処理回路P12、P42、P52には電源遮断が適用され、処理回路P22にはクロックゲーティングが適用される。
【0069】
時刻t12においては、上述のようにいずれの領域にも被写体112が検出されないため、処理回路P12、P22、P32、P42、P52は動作を停止する。ここで、処理回路P12、P32、P52には電源遮断が適用され、処理回路P22、P42にはクロックゲーティングが適用される。
【0070】
時刻t13においては、上述のように領域R2、R4に被写体112が検出されるため、処理回路P22、P42以外の処理回路P12、P32、P52は動作を停止する。ここで、処理回路P12、P32、P52には電源遮断が適用される。
【0071】
時刻t14においては、上述のようにいずれの領域にも被写体112が検出されないため、処理回路P12、P22、P32、P42、P52は動作を停止する。ここで、処理回路P12、P32、P52には電源遮断が適用され、処理回路P22、P42にはクロックゲーティングが適用される。
【0072】
時刻t15においては、上述のように領域R1、R2、R3、R5に被写体112が検出されるため、処理回路P12、P22、P32、P52以外の処理回路P42は動作を停止する。ここで、処理回路P42には電源遮断が適用される。
【0073】
以上のように、本実施形態では、各時刻において電源遮断状態になる処理回路の個数が3個以下になるように処理回路の停止方法が制御されている。時刻t14の状態から時刻t15の状態への遷移に着目して本実施形態の効果を説明する。
【0074】
仮に時刻t14の時点ですべての処理回路が電源遮断状態であったとすると、時刻t14の状態から時刻t15の状態への遷移時には、電源遮断状態から復帰する処理回路の数は4個である。したがって、同時に電源遮断状態から復帰する処理回路の数が上限値である3個を超えるため、回路の誤動作が生じ得る。これに対し、本実施形態では、時刻t14から時刻t15への遷移時に、電源遮断状態から復帰する処理回路の数は3個であり、上限値を超えていないため、回路の誤動作が抑制されている。
【0075】
このように、電源遮断状態から同時に復帰する処理回路の個数が所定の許容値を超えないように処理回路の停止方法を制御することにより、処理回路を停止することによる消費電力低減効果を得つつ、電源遮断状態からの復帰が適切に行われる。
【0076】
また、時刻t12、t14においては、第1実施形態で述べたものと同様に、複数の処理回路の物理配置を考慮して電源遮断させる処理回路の組み合わせが決定されている。より具体的には、電源遮断状態となる複数の処理回路の間の処理回路ではクロックゲーティングが適用されており、電源遮断状態となる複数の処理回路同士の距離が離れている。これにより、第1実施形態で述べたものと同様の理由により、回路の誤動作が更に低減し得る。
【0077】
以上のように、本実施形態によれば、電源遮断状態からの復帰をより適切に行い得る手法が適用された光電変換装置が提供される。
【0078】
[第3実施形態]
本実施形態では、第1実施形態の処理回路の制御手法が適用された光電変換装置の別の例を説明する。本実施形態において、第1実施形態又は第2実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0079】
図11は、本実施形態に係る半導体装置100のブロック図である。本実施形態の半導体装置100は、第2実施形態と同様に受光素子層110と信号処理回路層120とが積層された積層型の光電変換装置である。しかしながら、本実施形態の半導体装置100の構造は積層構造に限定されるものではなく、単層構造であってもよい。受光素子層110には、第2実施形態と同様に、複数の行及び複数の列をなすように配された複数の受光素子111が配されている。
【0080】
信号処理回路層120には、複数の受光素子111から出力された画素信号に対する信号処理を行う回路が配されている。
図11に示されているように、信号処理回路層120には、AD変換回路群121、処理回路群122、制御部200及び入出力I/F101が配されている。
【0081】
AD変換回路群121は、複数のAD変換回路を含んでいる。複数のAD変換回路の各々は、受光素子111から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して処理回路群122に出力する。しかしながら、受光素子111がデジタル信号を出力可能である場合には、AD変換回路群が配されていなくてもよい。例えば、受光素子111がSPADセンサであり、入射光子をカウントしてデジタル信号を出力する場合には、AD変換回路群は不要である。
【0082】
処理回路群122は、直列に配された6個の処理回路PBA、PBB、PBC、PBD、PBE、PBFを含む。6個の処理回路PBA、PBB、PBC、PBD、PBE、PBFは、ノイズ減算、シェーディング補正、ゲイン調整等の様々な信号処理を順次行う信号処理回路である。また、AD変換回路群121から入力される複数の信号を並列処理するため、上述の6個の処理ブロックは並列に複数組配置されている。
【0083】
処理回路PBAの後段、かつ処理回路PBBの前段には、セレクタSLが配されている。当該セレクタSLは、制御部200からの制御信号に応じて、処理回路PBAへの入力信号と処理回路PBAの出力信号のいずれかを選択的に処理回路PBBに出力する。これにより、セレクタSLは、処理回路PBAにおける信号処理をスキップするか否かを選択することができる。同様に、処理回路PBB、PBC、PBD、PBE、PBFの後段にもそれぞれセレクタSLが配されている。これらのセレクタSLは、処理回路PBB、PBC、PBD、PBE、PBFにおける信号処理をスキップするか否かを選択することができる。
【0084】
処理回路PBAからPBFの各々における処理がスキップされる場合には、対応する処理回路の動作は不要であるため、電源遮断又はクロックゲーティングによる動作の停止が行われる。制御部200は、半導体装置100全体の制御に加え、停止させる処理回路を決定する機能と、停止させる処理回路における停止方法を決定する機能とを有する。本実施形態の処理回路の動作停止の制御においても、第1実施形態及び第2実施形態で述べた動作停止処理が適用可能である。
【0085】
図12は、本実施形態に係る半導体装置100における処理回路の状態の時間変化を示す模式図である。
図12は、時刻t21からt22における処理回路PBAからPBFの状態の時間変化を模式的に示している。動作状態である処理回路を示すボックスにはハッチングがなされていない。電源遮断及びクロックゲーティングのいずれかにより停止状態である処理回路を示すボックスには、
図4及び
図10と同様のハッチングがなされている。
【0086】
本実施形態の処理回路PBAからPBFは異なる機能を有しているものの、処理回路PBAからPBFの各々の電源遮断状態からの復帰時間は同一であるものとする。この場合、処理回路PBAからPBFの全体の電源遮断状態からの復帰時間は、電源遮断状態から復帰する処理回路の個数に依存する。本実施形態では、同時に電源遮断状態から復帰させることができる処理回路の上限値は2個という制約があるものと仮定して
図12の時間変化を説明する。
【0087】
時刻t21においては、処理回路PBB、PBD、PBEが動作を停止する。ここで、処理回路PBB、PBEには電源遮断が適用され、処理回路PBDにはクロックゲーティングが適用される。
【0088】
時刻t22においては、処理回路PBA、PBB、PBEが動作を停止する。ここで、処理回路PBB、PBEには電源遮断が適用され、処理回路PBAにはクロックゲーティングが適用される。
【0089】
以上のように、本実施形態では、各時刻において電源遮断状態になる処理回路の個数が2個以下になるように処理回路の停止方法が制御されている。このように、電源遮断状態から同時に復帰する処理回路の個数が所定の許容値を超えないように処理回路の停止方法を制御することにより、処理回路を停止することによる消費電力低減効果を得つつ、電源遮断状態からの復帰が適切に行われる。
【0090】
また、本実施形態では、時刻t21から時刻t22の間で処理回路PBB、PBEが電源遮断状態に維持されるように停止方法が選択されている。そして、時刻t21と時刻t22の間に状態が変化する処理回路PBA、PBDに対してはクロックゲーティングが適用されている。これらの効果について説明する。
【0091】
電源遮断からクロックゲーティングに処理回路の停止方法が遷移する際には、処理回路に供給される電圧が変化するため、突入電流が発生する。この突入電流が流れる際にも電力が消費される。したがって、本実施形態の処理回路PBB、PBEのように停止状態が2期間にわたって継続する処理回路については、元の状態が電源遮断状態である場合には電源遮断状態が継続するように停止方法を選択することで消費電力が低減し得る。このように複数の処理回路の状態が遷移する際に、遷移前の状態を考慮して電源遮断させる処理回路の組み合わせが決定されてもよい。
【0092】
以上のように、本実施形態によれば、電源遮断状態からの復帰をより適切に行い得る手法が適用された光電変換装置が提供される。
【0093】
[第4実施形態]
上述の実施形態における半導体装置100は種々の機器に適用可能である。機器として、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、カメラヘッド、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星、監視カメラ等があげられる。
図13に、機器の例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
図13は、上述の実施形態の半導体装置100をデジタルスチルカメラに適用した例である。
【0094】
図13に示す機器70は、バリア706、レンズ702、絞り704、撮像装置700(半導体装置又は光電変換装置の一例)を含む。また、機器70は、更に、信号処理部(処理装置)708、タイミング発生部720、全体制御・演算部718(制御装置)、メモリ部710(記憶装置)、記録媒体制御I/F部716、記録媒体714、外部I/F部712を含む。上述の実施形態の半導体装置100は、撮像装置700に含まれていてもよく、信号処理部708に含まれていてもよい。バリア706、レンズ702、絞り704の少なくとも1つは、機器に対応する光学装置である。バリア706はレンズ702を保護し、レンズ702は被写体の光学像を撮像装置700に結像させる。絞り704はレンズ702を通った光量を可変にする。撮像装置700は、レンズ702により結像された光学像を画像データ(画像信号)に変換する。信号処理部708は撮像装置700より出力された撮像データに対し各種の補正、データ圧縮等を行う。タイミング発生部720は撮像装置700及び信号処理部708に、各種タイミング信号を出力する。全体制御・演算部718はデジタルスチルカメラ全体を制御し、メモリ部710は画像データを一時的に記憶する。記録媒体制御I/F部716は記録媒体714に画像データの記録又は読み出しを行うためのインターフェースであり、記録媒体714は撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。外部I/F部712は外部コンピュータ等と通信するためのインターフェースである。タイミング信号等は機器の外部から入力されてもよい。また、更に機器70は撮像装置700で得られた情報を表示する表示装置(モニター、電子ビューファインダ等)を備えてもよい。機器は少なくとも光電変換装置を備える。更に、機器70は、光学装置、制御装置、処理装置、表示装置、記憶装置、及び光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置の少なくともいずれかを備える。機械装置は、光電変換装置の信号を受けて動作する可動部(たとえばロボットアーム)である。
【0095】
それぞれの画素が、複数の光電変換部(第1の光電変換部と、第2の光電変換部)を含んでもよい。信号処理部708は、第1の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号と、第2の光電変換部で生じた電荷に基づく画素信号とを処理し、撮像装置700から被写体までの距離情報を取得するように構成されてもよい。
【0096】
[第5実施形態]
図14(a)及び
図14(b)は、本実施形態における車載カメラに関する機器のブロック図である。
図14(a)及び
図14(b)は、上述の実施形態の半導体装置100を車両等の移動体に適用した例である。機器80は、撮像装置800(半導体装置100又は光電変換装置の一例)と、撮像装置800からの信号を処理する信号処理装置(処理装置)を有する。機器80は、撮像装置800により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部801と、機器80より取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差算出部802を有する。上述の実施形態の情報処理装置30は、撮像装置800に含まれていてもよく、画像処理部801に含まれていてもよい。また、機器80は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離計測部803と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部804とを有する。ここで、視差算出部802、距離計測部803は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部804はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0097】
機器80は車両情報取得装置810と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、機器80には、衝突判定部804での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU820が接続されている。また、機器80は、衝突判定部804での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置830とも接続されている。例えば、衝突判定部804の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU820はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置830は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステム等の画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。機器80は上述のように車両を制御する動作の制御を行う制御手段として機能する。
【0098】
本実施形態では車両の周囲、例えば前方又は後方を機器80で撮像する。
図14(b)は、車両前方(撮像範囲850)を撮像する場合の機器を示している。撮像制御手段としての車両情報取得装置810が、撮像動作を行うように機器80又は撮像装置800に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0099】
上述では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、機器は、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機、人工衛星、産業用ロボット及び民生用ロボット等の移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)、監視システム等、広く物体認識又は生体認識を利用する機器に適用することができる。
【0100】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0101】
本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨(A=B)の記載があれば、「AはBではない」旨(A≠B)の記載を省略しても、本明細書は「AはBではない」旨を開示又は示唆しているものとする。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBではない」場合を考慮していることが前提だからである。
【0102】
本明細書の開示内容は、以下の構成を含む。
(構成1)
複数の処理回路と、
前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、
前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、
を有し、
前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の、電源配線側から見た負荷インピーダンスが所定のインピーダンス以上になるように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする半導体装置。
(構成2)
前記回路情報は、前記回路情報に対応する処理回路が既に前記第1停止方法による前記停止状態であるか否かを示す情報を含む
ことを特徴とする構成1に記載の半導体装置。
(構成3)
前記回路情報は、前記回路情報に対応する処理回路を含む回路の配置を示す情報を含む
ことを特徴とする構成1又は2に記載の半導体装置。
(構成4)
前記回路情報は、前記回路情報に対応する処理回路と前記複数の処理回路が形成される基板上の電源供給端子との位置関係を示す情報を更に含む
ことを特徴とする構成3に記載の半導体装置。
(構成5)
前記停止方法決定部は、前記電源供給端子との距離が最も近い処理回路の動作が前記第1停止方法によって停止するように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする構成4に記載の半導体装置。
(構成6)
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうちの前記第1停止方法により停止状態になっている複数の処理回路が、前記複数の処理回路が配された基板に対する平面視において互いに隣接しないように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする構成3乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成7)
前記複数の処理回路の各々の前記回路情報を記憶する記憶部を更に有し、
前記停止方法決定部は、前記記憶部から前記回路情報を取得する
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成8)
前記停止方法決定部は、前記半導体装置の外部の装置から前記回路情報を取得する
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成9)
前記第2停止方法により停止状態になっている処理回路の復帰時間は、前記第1停止方法により停止状態になっている処理回路の復帰時間よりも短い
ことを特徴とする構成1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成10)
前記第2停止方法により停止状態になっている処理回路の消費電力は、前記第1停止方法により停止状態になっている処理回路の消費電力よりも大きい
ことを特徴とする構成1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成11)
前記第2停止方法は、クロックゲーティングを含む
ことを特徴とする構成1乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成12)
前記複数の処理回路は、複数の光電変換素子の出力に基づく画素信号を処理する
ことを特徴とする構成1乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置。
(構成13)
前記複数の処理回路は同一の機能を有する
ことを特徴とする構成12に記載の半導体装置。
(構成14)
前記複数の光電変換素子が配されている領域は、複数の領域に区分されており、
前記複数の領域の各々で生成される画素信号が前記複数の処理回路のうちの対応する1つにより処理される
ことを特徴とする構成12又は13に記載の半導体装置。
(構成15)
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうち、前記画素信号に基づいて決定された領域に対応する処理回路以外の処理回路を前記第1処理回路として決定する
ことを特徴とする構成14に記載の半導体装置。
(構成16)
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうち、前記画素信号に基づいて被写体が検出された領域に対応する処理回路以外の処理回路を前記第1処理回路として決定する
ことを特徴とする構成14又は15に記載の半導体装置。
(構成17)
前記複数の処理回路は、直列に前記画素信号の処理を行い、
前記複数の処理回路は、一部の処理回路の動作をスキップし得るよう構成されており、
前記停止回路決定部は、前記複数の処理回路のうち、動作がスキップされる処理回路を前記第1処理回路として決定する
ことを特徴とする構成12に記載の半導体装置。
(構成18)
複数の処理回路と、
前記複数の処理回路のうちから、動作を停止させる第1処理回路を決定する停止回路決定部と、
前記第1処理回路における動作の停止方法を、前記第1処理回路と、前記複数の処理回路のうちの前記第1処理回路とは異なる第2処理回路との各々の回路情報に基づいて、電源遮断を含む第1停止方法と、電源遮断を含まない第2停止方法とのいずれかに決定する停止方法決定部と、
を有し、
前記停止方法決定部は、前記複数の処理回路のうちの、前記第1停止方法によって同時刻に停止状態になっている処理回路の個数が閾値以下になるように前記停止方法を決定する
ことを特徴とする半導体装置。
(構成19)
構成1乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置を含む光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備えることを特徴とする機器。
(構成20)
前記処理装置は、前記光電変換装置から被写体までの距離情報を取得することを特徴とする構成19に記載の機器。
【0103】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0104】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0105】
100 半導体装置
202 停止回路決定部
203 停止方法決定部
P 処理回路