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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142707
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】光学素子、光学装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20250924BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20250924BHJP
【FI】
G02B7/02 B
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042218
(22)【出願日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】水島 正康
(72)【発明者】
【氏名】吉川 俊明
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AB02
2H044AB09
(57)【要約】
【課題】信頼性と安定性の高いレンズ接着を実現した光学素子を提供する。
【解決手段】光軸Oが通過する光学有効面13fと、光学有効面13fの径方向の外側に形成された側面13bとを有するPMOレンズ13であって、側面13bには、周期的なパターンを含む複数の微細突起Pが形成され、PMOレンズ13を保持するレンズホルダ12とPMOレンズ13との間には接着池12cが設けられており、接着池12cに注入された接着剤14により微細突起Pを有する側面13bとレンズホルダ12とが固定されることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸が通過する第一の面と、前記第一の面の径方向の外側に形成された第二の面とを有する光学素子であって、
前記第二の面には、周期的なパターンを含む複数の凸形状部が形成され、
前記光学素子を保持する保持部材と前記光学素子との間には隙間部が設けられており、
前記隙間部に注入された接着剤により前記凸形状部を有する前記第二の面と前記保持部材とが固定されることを特徴とする、光学素子。
【請求項2】
前記第二の面には、前記複数の凸形状部が50μm~150μmの間隔で形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記複数の凸形状部が周期的かつ規則的な繰り返しパターンで形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項4】
前記凸形状部は、少なくとも同一の形状の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
前記凸形状部の斜面と前記第二の面との成す角度は、少なくとも斜面の一部が35度以上の角度であることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項6】
前記凸形状部の高さは、3μm~20μmであることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項7】
前記光学素子は樹脂製レンズであり、前記凸形状部は前記樹脂製レンズを成型する金型に設けられた凹形状部を射出成形で転写することによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項8】
前記金型の前記凹形状部は、レーザー加工によって形成されることを特徴とする、請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記隙間部は、前記保持部材の周方向に一定の角度間隔で前記保持部材に形成された複数の接着池であり、
前記凸形状部は、前記第二の面としての前記光学素子の側面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項10】
前記側面は、前記光学素子の前記光軸に対して傾きがある面であり、前記保持部材から前記光学素子が抜ける方向に対して前記接着剤が楔にはならない方向に傾いていることを特徴とする、請求項9に記載の光学素子。
【請求項11】
前記隙間部は、前記径方向において前記保持部材と前記光学素子との間に存在する隙間であり、
前記凸形状部は、前記第二の面としての前記第一の面の外側肩面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項12】
前記隙間部は、光軸方向において前記保持部材と前記光学素子との間に存在する隙間であり、
前記凸形状部は、前記光学素子の前記光軸方向における位置を調整する前記第二の面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項13】
前記第一の面は、光学有効面であって、光が通過する面であり、
前記第二の面は、非光学有効面であって前記保持部材と当接する当接面を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学素子。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の光学素子と前記光学素子を保持する保持部材とを有することを特徴とする光学装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光学装置と前記光学装置により形成された像を撮る撮像素子とを含むことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子、光学装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非球面レンズの1種として、アクリルなどの樹脂を原料とするプラスチックモールドレンズが主に小型のレンズ鏡筒に採用される場面が増えている。
【0003】
プラスチックモールドレンズをレンズホルダに対して固定するには、熱や圧力をかけずに接着剤で固定する方法を採用する場合が多い。特許文献1には、親水処理を行ってプラスチックレンズをレンズ保持枠に紫外線硬化型接着剤(UV接着剤)で接着する技術が開示されている。また、特許文献2には、小型の機器における撮像装置に用いられる光学素子の固定に関して、光学素子の外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さを光学素子の光学機能面の表面粗さよりも大きくして表面積を増大し、接着強度を大きくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-180535号公報
【特許文献2】特開2005-193646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、UV接着剤とプラスチックモールドレンズは接着性が悪く、厳しい温度環境で保管したり落下衝撃試験をおこなったりすると、接着が剥がれてしまう場合がある。また、特許文献1に開示されている親水処理では、コストが増加する虞がある。また、特許文献2に開示されている光学素子は、デジタルスチルカメラや携帯電話などの小型の機器における撮像装置に用いられるが、一方、交換式のレンズ装置では、より大きな光学素子が用いられるため、対策としては不十分である。
【0006】
本発明の目的は、信頼性と安定性の高いレンズ接着を実現した光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、光軸が通過する第一の面と、前記第一の面の径方向の外側に形成された第二の面とを有する光学素子であって、前記第二の面には、周期的なパターンを含む複数の凸形状部が形成され、前記光学素子を保持する保持部材と前記光学素子との間には複数の隙間部が設けられており、前記隙間部に注入された接着剤により前記凸形状部を有する前記第二の面と前記保持部材とが固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば信頼性と安定性の高いレンズ接着を実現した光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(A)実施例1のPMOレンズ13の斜視図である。(B)図1(A)の断面線IB-IBにおけるPMOレンズ13の部分断面図である。
図2】実施例1のレンズホルダ組立体11の斜視図である。
図3】(A)図2の断面線III-IIIにおける部分断面図である。(B)接着剤14を滴下した状態の部分断面図である。
図4】(A)微細突起Pの斜視図である。(B)PMOレンズ13の部分断面図である。
図5】(A)微細突起Pの拡大斜視図である。(B)微細突起Pの平面図である。(C)図5(B)の断面線VC-VCにおける微細突起Pの断面図である。(D)図5(B)の断面線VD-VDにおける微細突起Pの断面図である。
図6】実施例2のPMOレンズ23の部分断面図である。
図7】実施例2のレンズホルダ組立体21の部分断面図である。
図8】実施例3のPMOレンズ33の部分断面図である。
図9】実施例3のレンズホルダ組立体31の部分断面図である。
図10】(A)、(B)金型15の構成を示す断面図である。
図11】撮像装置の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(A)は本発明の実施例1に係るPMOレンズ13(プラスチックモールドレンズ、光学素子)の斜視図である。図1(B)は、図1(A)の断面線IB-IBにおけるPMOレンズ13の部分断面図である。図2は、実施例1のレンズホルダ組立体11を表す斜視図であり、接着剤14は不図示である。図3(A)は、図2の断面線III-IIIにおける部分断面図であり、レンズホルダ組立体11を、光軸Oを含む平面でカットし矢印方向に見た部分断面図である。図3(B)は、接着剤14を滴下した状態の部分断面図である。
【0011】
レンズホルダ組立体11は、デジタルカメラやカメラモジュールの一部であるレンズユニット100(光学装置、図11参照)を構成する1要素である。光軸Oは、レンズユニット100の光軸中心かつPMOレンズ13の光軸中心を表す。レンズホルダ組立体11は、PMOレンズ13とPMOレンズ13を保持するレンズホルダ12(保持部材)により構成されている。
【0012】
実施例1のPMOレンズ13には、光軸Oを含む光学有効面13f(第一の面)と、光学有効面13fの径方向の外側に形成された非光学有効面(範囲Eにおける面、第二の面)が設けられている。光学有効面13fは、光が通過する面であって、通過した光が撮像素子200b(図11参照)に到達し、像が結像される面である。一方、非光学有効面は、光が入ってきても光が撮像素子200bに到達せず、像が結像されない面である。光学有効面13fは、物体側と像側の両方の面に形成されている。一方、範囲Eにおける非光学有効面は、当接面13a、側面13b(第二の面)、外側肩面13g等で構成される。当接面13aは、レンズホルダ12と当接する。実施例1では、側面13bに後述の複数の微細突起P(凸形状部)が形成されている。
【0013】
図2に示すように、レンズホルダ12は、内周面12b、接着池12c(隙間部)を有する。また図3(A)に示すように、レンズホルダ12は、PMOレンズ13の当接面13aを受けるレンズ受面12aを有する。そして、接着池12cは、レンズホルダ12とPMOレンズ13の間にあって、底面12dと内壁面12eおよびPMOレンズ13の側面13bで囲まれた領域で構成される。
【0014】
本実施例では、レンズホルダ12の接着池12cに接着剤14を注入して、PMOレンズ13とレンズホルダ12の2つの部品を接着し固定する。通常、接着池12cは光軸Oの周りに均等に複数箇所配置される。図2においては、光軸Oの円周方向において一定の角度、例えば120度の角度間隔で接着池12cが3カ所設けられている。
【0015】
図3(A)の上下方向が光軸方向であり、レンズホルダ12の光軸方向の上側にPMOレンズ13を載置するように、レンズホルダ12に対してPMOレンズ13が配置されている。レンズホルダ12のレンズ受面12aとPMOレンズ13の当接面13aのそれぞれの面は寸法精度よく仕上げられており、それぞれの面の表面は平滑に仕上げられていることが一般的である。PMOレンズ13の光軸方向の位置は、レンズ受面12aに当接面13aを当接させることで決定される。本実施例では、当接した状態では光軸方向の隙間はない。
【0016】
図2に戻るが、光軸Oと直交する径方向において、レンズホルダ12とPMOレンズ13の間には隙間12fが存在する。隙間12fは、レンズホルダ12とPMOレンズ13のそれぞれの光軸を合わせるために設けられた空間である。この隙間12fがあることによって、個体ごとにレンズホルダ12に対してのPMOレンズ13の光軸直交方向の位置を最適に調整することが可能となる。これによって、レンズホルダ組立体11を含むレンズユニット全体(不図示)として、収差を抑えるなどの最適な光学性能を実現することが可能である。個体によっては、レンズホルダ12とPMOレンズ13の軸を、あえてずらすなどの調整も行う。したがって、隙間12fは、1つの個体の中でも間隔が広い場所と狭い場所があり、その状態は各個体によっても異なる。図3(A)でも確認できるように、レンズ受面12aは、PMOレンズ13の当接面13aよりもさらに外径側(図の右側)に延びている。これは、上記の光学調整においてレンズホルダ12に対してPMOレンズ13の位置を移動させた際に、レンズ受面12aと当接面13aの当接を確保するために延ばしている。
【0017】
近年、カメラレンズの小型化や高性能化の要求の高まりに対応して、交換レンズなどのカメラレンズにおいて非球面レンズの使用が増えている。非球面レンズはレンズの構成枚数を増やさずにレンズの収差を除去することが可能であり、レンズの小型化や高性能化に有効である。一方で、プラスチックモールドレンズはガラスレンズと比べて熱による変形や圧力による歪みが大きいという特徴があり、レンズ保持部材への固定方法に課題がある。例えば、ガラスレンズのように熱カシメによってレンズ保持部材に固定すると、レンズ光学面に歪みが発生してしまうため、熱カシメという固定方法は採用しにくい。
【0018】
また、組立作業性の観点からUV接着剤が採用されることが多いが、UV接着剤とプラスチックモールドレンズが剥がれてしまうと、レンズの位置が理想の位置から移動してしまうことで、光学性能が劣化してしまう。さらに悪いケースでは、プラスチックモールドレンズが外れてしまい、撮影そのものができなくなってしまう。特に高温や低温下など温度変化が伴う環境では、レンズ保持部材、プラスチックモールドレンズ、UV接着剤の線膨張係数が異なるため、UV接着剤とプラスチックモールドレンズの剥がれが起こりやすい。これは、プラスチックモールドレンズとUV接着剤の材質間の相性が悪く、十分な接着強度が得られないことが主な原因である。
【0019】
本実施例においても、接着剤14は、組立作業性を考慮してUV接着剤が使用される。レンズホルダ12の接着池12cには接着剤14が滴下され、滴下した状態でUV照射が行われ、接着剤14は硬化する。これによってレンズホルダ12とPMOレンズ13の相対位置は固定され、光軸方向にも光軸直交方向にも移動が制限される。PMOレンズ13は、側面13bで接着剤14と接して、固定されている。レンズホルダ12は、接着池12cの底面12dや内壁面12eで接着剤14と接しており、固定されている。
【0020】
上述のように、接着剤14とPMOレンズ13の材質は相性が悪く、十分な接着強度を得ることが難しい。これに対して、レンズホルダ12の材質として一般的であるポリカーボネートとUV接着剤は相性が良く、十分な接着強度を得ることができる。また、接着剤14と触れている表面積についても、PMOレンズ13よりもレンズホルダ12のほうが大きい。そのため、落下衝撃試験や環境試験をした際には、UV接着剤とPMOレンズ13の境界で剥がれる場合がほとんどである。
【0021】
ここで、図4(A)、(B)を用いて、本実施例のPMOレンズ13の表面に設けられた微細突起Pについて説明する。図4(A)は、微細突起Pが設けられた側面13bの拡大図であり、側面13bの様子を拡大して示した拡大斜視図である。図4(B)は、図1(A)における矢印が示す方向に見た微細突起Pが形成された領域の部分断面図である。
【0022】
PMOレンズ13の側面13bには、複数の微細突起Pが規則的かつ周期的な繰り返しパターンで形成されている。微細突起Pは、側面13bを底面とした山のような形状をしており、少なくとも略同一の形状が含まれ、または全てが略同一の形状で、または略同一の形状の組み合わせで、高さなどの寸法も略同一である。側面13bには、PMOレンズ13の直径が大きい側の径大部13dと直径が小さい側の径小部13eが含まれている。なお、図1(A)では、微細突起Pは側面13bの一部の位相にしか設けられていないが、実際は、微細突起Pが側面13bの全周に渡って設けられている。
【0023】
次に図5(A)~(D)を用いて、微細突起Pについて詳細に説明する。図5(A)は、微細突起Pの1つを拡大した斜視図である。白背景は側面13bを表している。微細突起Pが2つ示されているが、これは形状を理解し易いように、逆側から見た斜視図を追加している。図5(A)の矢印は、側面13bにおける直径が大きい径大部13d側と、直径が小さい径小部13e側の方向を示している。
【0024】
微細突起Pにおける、側面13bから微細突起Pの頂点に至る角度は方向によって異なり、形状としてはきれいな円錐形状ではなく、全体としてはPMOレンズ13の光軸方向に延びた形に見える。
【0025】
微細突起Pの山の斜面の角度は、場所によって異なっており、径小部13e側が急な斜面であり、これに対して径大部13d側はなだらかな斜面である。一方で側面13bの長手方向(光軸Oの周方向)は、径小部13e側よりもさらに急な斜面となっている。これは、後述するPMOレンズ13および微細突起Pの製造方法によるものである。
【0026】
図5(B)は、微細突起Pの平面図であり、側面13bに直交する方向から見た図である。図の左右方向が光軸方向であり、左側が径大部13d側であり、右側が径小部13e側である。図5(B)の上下は光軸Oの周方向である。
【0027】
図5(C)は、図5(B)の断面線VC-VCにおける矢印方向に見た微細突起Pの断面図である。図の左右方向が光軸方向であり、左側が径大部13d側であり、右側が径小部13e側である。径大部13d側の斜面は側面13bに対して角度Bを有する斜面であり、径小部13e側の斜面は側面13bに対して角度Aを有する斜面である。側面13bからの微細突起Pの高さはHである。
【0028】
図5(D)は、図5(B)の断面線VD-VDおける矢印方向に見た微細突起Pの断面図である。図5(D)の左右が光軸Oの周方向である。斜面は側面13bに対して角度Cを有する斜面であり、図5(D)の左右の斜面どちらも略同じ角度Cである。角度Cは、角度A、角度Bより大きい値である。図5(C)と同様に、側面13bからの微細突起Pの高さはHである。
【0029】
次に、PMOレンズ13および微細突起Pの製造方法について、図1(A)を参照して説明する。PMOレンズ13は、樹脂製レンズであり、樹脂製レンズを成型する射出成形金型(金型)によって射出成形される。射出成形とは高温状態にして溶かした樹脂材料を金型内部に注入し、冷却して固まった状態で部品を取り出す製造方法である。
【0030】
図10(A)、(B)は、PMOレンズ13を射出成形するための金型15の断面図であって、図10(A)は、高温状態にして溶かした樹脂材料を金型内部に注入し、樹脂材料が冷却して固まった状態を示している。PMOレンズ13は、上部駒15aと下部駒15bとの間に成形される。金型内部に樹脂を流し込むスプルーやランナー部の記載は省略されている。
【0031】
図10(B)は、上部駒15aと下部駒15bが離れて、PMOレンズ13が取り出される際の断面図である。図10(A)に示す型割部15cを境界に、上部駒15aと下部駒15bのどちらか一方が上方向又は下方向に離れて、PMOレンズ13の取り出しが可能になる。なお、上部駒15aと下部駒15bに移動方向の矢印が付されているが、実際はどちらか一方のみが動くことが一般的である。金型15の構成は以上のようになっており、それを踏まえて、図1(B)に戻って説明を続ける。
【0032】
PMOレンズ13には、光学有効面13fと非光学有効面が設けられており、特に光学有効面13fに相当する金型面は非常に高精度に形状が加工され、非常に細かい表面粗さで仕上げがされている。光学有効面13fとは、PMOレンズ13の一部の面であり、レンズホルダ組立体11を含むレンズユニットを通過して、撮像面上に到達する光線が通る面である。撮像面とはCMOSセンサーやCCDセンサーなどのセンサー面であり、これらセンサーのセンサー面で受光した光が電気信号に変換され、画像を生成可能となる。このため、光学有効面13fの形状が設計値通りでないと画質が悪化し、また光学有効面13fに汚れなどが付着していても同様である。
【0033】
非光学有効面とは、PMOレンズ13の一部の面であり、ここを通過した光は撮像面上に到達しない。したがって、光学有効面13fよりも精度や表面粗さが劣る状態であっても、撮影した画像の画質には影響がない。撮影画像に影響しない面であるため、レンズの保持、レンズの接着固定には、この非光学有効面を使うことが一般的である。
【0034】
側面13bに対応する金型面には、不図示の微細な凹形状(凹形状部)が規則的かつ周期的に設けられている。金型15の内部に存在する型割部15cを境界に光軸方向前後に金型15の駒が2つに離れることによって、PMOレンズ13を金型15から取り出すことができる。本実施例では型割部15cは、光学有効面13fから接続された面と側面13bの交わる点に設けられている。これは図4(B)の径大部13dと同じ箇所である。側面13bは光軸Oに対して角度Dの傾きを有して形成されるため、2つの駒はスムーズに離れることが可能となる。そして、側面13bの角度Dは、レンズホルダ12からPMOレンズ13が抜ける方向に対して接着剤14が楔にはならないような方向の傾きの角度である。
【0035】
金型15の内部に注入された溶融した樹脂材料は、金型15の形状に沿って充填され、PMOレンズ13の形状が成形される。同時に側面13bに設けられた不図示の凹形状にも樹脂は流れ込み、微細突起Pが形成される。凹形状は不図示であるが、金型15に設けられた凹形状であり、金型15の移動方向(通常は光軸方向と同じ)から見て、アンダーカットの無い形状をしている。アンダーカットが無い形状であるため、型の移動を制限することなく、スムーズにPMOレンズ13が金型15から離れる。ただし、凹形状は非常に微細な大きさであるため、樹脂材料は凹形状内を完全に満たして充填されることは無いため、凹形状の形状がそのまま転写されることは無い。凹形状の内部は樹脂で完全に充填はされないまま、その他の部分の充填が完了すると冷却を始める。冷却して固まった後、金型15は型割部15cを境界にして2つに離れる。本実施例では、図1(B)に示された型割部15cを境界に上側を形成する側の駒は固定されており、下側を形成する側の駒が下側に光軸Oに沿って移動することによって、PMOレンズ13を取り出すことが可能である。前述したように、樹脂と金型15の駒が抵抗無く離れるように、凹形状は金型15の移動方向から見てアンダーカットが無い形状で形成されている。
【0036】
微細突起Pは、光軸Oに対して傾きを持った側面13bに設けられた凹形状に不完全に樹脂が充填されることによって形成されるため、前述したように、山の斜面の角度が場所によって異なる形状となる。
【0037】
続いて、本実施例の効果について説明する。図3(B)のように、レンズホルダ12に設けられた接着池12cには接着剤14が滴下され、PMOレンズ13の側面13bおよび、微細突起Pの表面は全て接着剤14で覆われる。同様に微細突起P以外の底面12dも全て接着剤14で覆われる。その後、UV光を照射して接着剤14を硬化して完成となるが、側面13bおよび微細突起Pは硬化した接着剤14で覆われた状態となる。
【0038】
高温や低温など温度変化が伴う環境下では、レンズホルダ12、PMOレンズ13、接着剤14の線膨張係数が異なるため、境界面においてそれぞれを引き離そうとする応力が発生する。図3(B)を参照すると、側面13bおよび微細突起Pの表面は全て接着剤14で覆われており、接着剤14が側面13bから離れようとする力に対して、微細突起Pでは、せん断応力が働く。特に、側面13bとの成す角度が大きい、角度C、角度Aの斜面において、せん断応力が大きく働く。このせん断応力によって、PMOレンズ13と接着剤14の境界面において、それぞれを引き離そうとする力に抗する力が増加し、温度環境の変化があってもPMOレンズ13と接着剤14の境界面は離れにくくなる。また、温度環境の変化だけでなく、落下などの衝撃が加わった際においても、せん断応力が働き、剥がれが発生しにくい。よって、PMOレンズ13は初期の位置から移動しないため、光学性能の劣化は起こりにくい。本発明によればコストアップや大型化や組立性の悪化などのデメリットを伴わず、信頼性と安定性の高いレンズ接着を実現した光学素子を提供することができる。
【0039】
次に微細突起Pのより好ましい形状について説明する。微細突起Pの斜面が側面13bと成す角度は、大きければ大きいほどせん断応力は大きくなる。また、微細突起Pの高さHは、高ければ高いほどせん断応力は大きくなる。また、微細突起Pの個数が多ければ多いほど、せん断応力は大きくなる。微細突起Pの個数は、金型15に凹形状をいくつ設けるかによって変えることができる。微細突起Pの配置は、金型15に設ける凹形状の配置によって変えることができる。
【0040】
また、微細突起Pの斜面の角度A、B、Cや高さHは、金型15に設ける凹形状の形状や深さ、PMOレンズ13を射出成形する成形条件によって変えることができる。図1(A)、図4(B)、図5(C)、図5(D)を参照すると、光軸Oに対する側面13bの角度Dを大きくすることで、角度A、角度B、角度Cを大きくすることが可能であり、高さHも高くすることができる。ただし、角度Dを大きくするとPMOレンズ13の外径が大型化するという弊害もある。
【0041】
一方で、PMOレンズ13の光学有効面13fの面精度は成形条件によって大きく変わり、成形条件が悪いと、金型15の形状と一致した精度が得られなかったり、個体によってばらつきが発生するなど安定しなかったりする。結果として、レンズユニット100および撮像装置の初期の光学性能を悪化させることになる。多くの場合においては、微細突起Pの斜面の角度を大きくする、高さを高くする、個数を増やすことは、金型15とPMOレンズ13が離れる際の抵抗を大きくするため、光学有効面13fの精度を悪くする。
【0042】
すなわち、これらのパラメータと光学有効面13fの面精度は、相反するバーターの関係である。つまり、微細突起Pの個数や斜面の角度や高さだけを制御する目的で成形条件を決定することは適切ではなく、光学有効面13fの面精度とのバランスを取ることが必要である。
【0043】
このように、微細突起Pの個数や斜面の角度A、B、Cや高さHと成形時の成形条件は、お互いが影響し合い、相反する関係でもあるため、最適な条件を設定する必要がある。
【0044】
本実施例では、微細突起Pの形状や個数、配置を細かく制御するために、金型面にレーザー加工機によって凹形状を加工することとした。レーザー加工機のレーザー出力や条件を制御することで、凹形状を、狙った形状や深さに加工することができる。
【0045】
また、凹形状を規則的かつ周期的に配置することで、単位面積あたりの凹形状の個数を多く設けることができる。これによって、微細突起Pの個数を増やすことが可能となった。ただし、凹形状は互いの間隔が近すぎると、成形時に正しく転写できない可能性がある。また、互いの間隔が近すぎると、そもそも金型加工が困難である。仮に加工ができたとしても金型15に薄肉部ができて金型強度が不足し、加工時や成形時に金型15が破損してしまう虞がある。つまり、凹形状は、形状はもちろん適切な間隔で設けなければならない。また、同様に凹形状の間隔が近すぎると、成形での型形状の転写が安定せず、成形後の微細突起Pが狙い通りの形状にはならなくなる。また、逆に凹形状の間隔が大きすぎても、十分な数の微細突起Pが形成できない。本実施例では、凹形状を50μmから150μmの間隔をあけて配置した。
【0046】
また、微細突起Pの個数を増やすだけでなく、欲しい数の微細突起Pを疎密なく設けることができるため、PMOレンズ13の光学有効面13fの面精度を悪化させることはなくなった。例えば、側面13bの周方向の場所によって微細突起Pが疎の場所と密の場所があると、成形時や金型15が樹脂から離れる際のバランスが崩れ、光学有効面13fの面精度が悪化してしまう。
【0047】
つまり、レーザー加工で凹形状を形成することにより、微細突起Pの形状だけでなく、微細突起Pの密度や配置も制御することが可能となる。これによって、PMOレンズ13の光学有効面13fの面精度を安定させること、同時にPMOレンズ13と接着剤14の接着力を改善し、温度環境の変化や落下衝撃が加わった際の剥がれを抑制することが同時に可能となる。しかしながら、微細突起Pを規則的に配置すること、また周期的に配置することは必ずしも必要な条件ではないことも付け加えておく。
【0048】
従来技術において、金型に梨地加工を施し、金型の面形状を転写することで、UV接着部の面粗さを大きくする方法が行われている。しかしながら、金型に梨地加工を施す方法として広く知られているサンドブラスト加工や化学エッチング加工によって得られる面形状では、対策として不十分であった。特に、激しい温度変化が伴う環境では、梨地加工で面を粗くするという程度の凹凸形状によって、プラスチックモールドレンズとUV接着剤が剥がれるという問題は解決できなかった。
【0049】
表1に、微細突起Pの斜面の角度A、角度B、角度C、高さHと、温度環境試験における接着剤剥がれの試験結果を示す。表1の〇は温度環境試験後に接着剤剥がれが発生しなかったことを示し、×は接着剤剥がれが発生し光学性能が劣化したことを示す。
【表1】
【0050】
表1から、高さHは4μm程度以上あればよいが、高さHは3μm~20μmであることがより好ましいことが分かった。また、角度A、B、Cのうち何れかの角度が35度以上あれば良いことが分かった。また、表1には示していないが、角度A、B、Cが大きくなればなるほど、接着力は増加し、PMOレンズ13と接着剤14は剥がれにくくなることも分かった。同様に、高さHが高くなればなるほど、接着力は増加し、PMOレンズ13と接着剤14は剥がれにくくなることも分かった。また、微細突起Pを設ける間隔は50μm~150μmの範囲であれば、剥がれが発生しないことも分かった。
【0051】
これに対して、従来技術で提案されているサンドブラスト加工や化学エッチング加工で金型に施した梨地加工では、上記のような形状は得られない。微細突起Pの配置やピッチを詳細に制御することは不可能であるし、レーザー加工に対して広い間隔でしか加工できない。少なくとも本実施例のような50μm~150μmのような狭い間隔では加工できない。また、加工面すべてにおいて、疎密なく加工することも不可能である。微細突起Pの斜面の角度や高さにおいては、表1に記載の形状は作成可能の場合があるが、本実施例のような狭いピッチでは加工できない。
【0052】
一方でマシニングセンタなどの機械加工においては、レイアウトや間隔を制御することは可能であるが、こちらも狭いピッチで加工することは不可能である。また、このような大きさの凹形状は加工することができない。
【0053】
すなわち、微細突起Pを、本実施例のように狭いピッチで疎密なく規則的かつ周期的に、かつ所定の斜面角度や高さを実現できる金型加工方法はレーザー加工のみである。
【0054】
また、図1(B)、図3(B)を参照すると、本実施例のPMOレンズ13の側面13bの傾きの角度Dは、レンズホルダ12に組み込む方向に対して、逆テーパーになっている。図3(B)から分かるように、PMOレンズ13がレンズホルダ12から抜ける方向(光軸Oの上方向)に対して、接着剤14がクサビにならない関係である。当然、順テーパーのほうがPMOレンズ13とレンズホルダ12とが強固に接着されるが、このような逆テーパーの条件においても、本実施例は十分な効果が確認されている。すなわち、PMOレンズ13が逆テーパーの場合おいては、より効果を発揮すると言える。
【0055】
実施例1では、隙間12fが設けられ、PMOレンズ13をレンズホルダ12に対して光軸直交方向に調整可能な構成となっている。しかしながら、PMOレンズ13をレンズホルダ12に対して、位置決めをして固定する場合もあるため、必ずしも隙間12fが設定されているわけではない。位置決め方法はPMOレンズ13の外径とレンズホルダ12の内径を径嵌合させて位置を決める場合もあるし、どちらか一方に位置決めピン、他方に位置決め穴を設けて、穴にピンを挿入することで位置決めをする場合もある。本実施例は、PMOレンズ13をレンズホルダ12に対して、位置決め固定してもよいし、しなくてもどちらでもよい。
【0056】
また、接着剤14の種類は、UV接着剤を使用する場合を説明したが、その他の種類の接着剤でも適用可能である。接着剤の種類によらず同様の効果が得られる。
【0057】
また、本実施例では、微細突起Pは樹脂製レンズを成型する金型15に設けられた凹形状を射出成形で転写して形成したが、本実施例はそれには限られない。機械加工やエッチングなど、その他の手段で微細突起Pを設けることが可能であれば、適用可能である。
【0058】
また、本実施例では、微細突起Pは側面13bの光軸周りの全周に渡って設けられているが、全周に渡って設ける必要はない。微細突起Pは、接着剤14との剥がれを抑制するための形状であるから、接着する部分のみに設ければよい。例えば、図2において接着池12cが設けられた3カ所に対応する部分(位相)だけに微細突起Pを設けてもよい。好ましくは、接着剤14は光軸周りにおいて、120度毎の3カ所など、偏りが無い配置であることが望ましい。
【0059】
また、本実施例では、PMOレンズ13は光軸方向から見て円形状をしているが、矩形形状や、一部をDカットした形状でもよく、微細突起Pはその側面13bに設ければよい。
【0060】
また、本実施例では、凹形状には樹脂が完全に充填されていないと説明したが、凹形状の形状や成形条件などを調節することで、完全に充填することもできる。そのような場合においても本実施例は、適用可能である。
【0061】
また、本実施例では、PMOレンズ13を例に説明したが、必ずしもプラスチックモールドレンズである必要はなく、ガラスモールドレンズなどその他の種類のレンズでも適用可能な場合がある。また、それ以外の場合においても、本発明の主旨の範囲内で適宜変形させて適用してもよい。
【0062】
(実施例2)
以下に、実施例2について、図6図7に基づいて詳細に説明する。図6は、実施例2のPMOレンズ23の部分断面図である。図7は、実施例2のレンズホルダ組立体21の部分断面図である。本実施例の説明は、実施例1と差異があるところについて説明し、実施例1と共通の部分については省略する。
【0063】
実施例1では、PMOレンズ13の側面13bに微細突起Pが形成されている。しかしながら、微細突起PをPMOレンズ23の光学有効面23fの外側肩面23g(第二の面)に形成してもよい。すなわち、光学有効面23fに滑らかに接続する外側肩面23g(図面の上側の面)に微細突起Pを設けて、その外側肩面23gとレンズホルダ12の上側の面を繋ぐように、接着剤14で接着してもよい。その際に、レンズホルダ12とPMOレンズ23の間に存在する径方向の隙間12f(隙間部)に接着剤14が入るように接着剤14を注入して接着してもよい。
【0064】
(実施例3)
以下に、実施例3について、図8図9に基づいて詳細に説明する。図8は、実施例3のPMOレンズ33の部分断面図である。図9は、実施例3のレンズホルダ組立体31の部分断面図である。本実施例の説明は、実施例1と差異があるところについて説明し、実施例1と共通の部分については省略する。
【0065】
実施例1では、PMOレンズ13の当接面13aの表面は平滑に仕上げられている。そして、PMOレンズ13の光軸方向の位置は、レンズ受面12aに当接面13aを当接させることで決定され、当接した状態では光軸方向の隙間はない。しかしながら、微細突起Pをレンズホルダ12と当接する当接面33a(第二の面)に形成してもよい。すなわち、PMOレンズ33の光学有効面33fの径方向の外側に形成された非光学有効面である当接面33a(図面の下側の面)に微細突起Pを設けて、その当接面33aとレンズホルダ12のレンズ受面12aを接着剤14で接着してもよい。その際に、レンズホルダ12のレンズ受面12aとPMOレンズ33の当接面33aの間には、光軸方向に隙間が存在し、その隙間に接着剤14が入るように接着剤14を注入する。
【0066】
このように、PMOレンズ33の当接面33aを含む面に微細突起Pを設けて、レンズホルダ12のレンズ受面12aとの間で接着している。この場合、PMOレンズ33の当接面33aの寸法は厳密に補正することが困難であり、接着剤14の厚みがばらつく分、PMOレンズ33の光軸方向の位置がばらつく。しかしながら、微細突起Pを設けることでPMOレンズ33と接着剤14が剥がれることは抑制できる。
【0067】
(適用例)
図11は、本発明が適用されるレンズユニット100を用いるカメラ装置200(撮像装置)の構成例を示す模式図である。撮像装置は、レンズユニット100と、レンズユニット100により形成された物体の像を撮る撮像素子200bを有するカメラ本体200aで構成されたカメラ装置200とを含んで構成されている。また、撮像装置は、カメラ装置200のカメラ本体200aからレンズユニット100が着脱可能に装着される構成としてもよい。
【0068】
本実施例の開示は、以下の構成を含む。
(構成1)
光軸が通過する第一の面と、前記第一の面の径方向の外側に形成された第二の面とを有する光学素子であって、
前記第二の面には、周期的なパターンを含む複数の凸形状部が形成され、
前記光学素子を保持する保持部材と前記光学素子との間には隙間部が設けられており、
前記隙間部に注入された接着剤により前記凸形状部を有する前記第二の面と前記保持部材とが固定されることを特徴とする、光学素子。
(構成2)
前記第二の面には、前記複数の凸形状部が50μm~150μmの間隔で形成されていることを特徴とする、構成1に記載の光学素子。
(構成3)
前記複数の凸形状部が周期的かつ規則的な繰り返しパターンで形成されていることを特徴とする、構成1又は2に記載の光学素子。
(構成4)
前記凸形状部は、少なくとも同一の形状の組み合わせを含むことを特徴とする、構成1乃至3の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成5)
前記凸形状部の斜面と前記第二の面との成す角度は、少なくとも斜面の一部が35度以上の角度であることを特徴とする、構成1乃至4の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成6)
前記凸形状部の高さは、3μm~20μmであることを特徴とする、構成1乃至5の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成7)
前記光学素子は樹脂製レンズであり、前記凸形状部は前記樹脂製レンズを成型する金型に設けられた凹形状部を射出成形で転写することによって形成されることを特徴とする、構成1乃至6の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成8)
前記金型の前記凹形状部は、レーザー加工によって形成されることを特徴とする、構成7に記載の光学素子。
(構成9)
前記隙間部は、前記保持部材の円周方向に一定の角度間隔で前記保持部材に形成された複数の接着池であり、
前記凸形状部は、前記第二の面としての前記光学素子の側面に形成されていることを特徴とする、構成1乃至8の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成10)
前記側面は、前記光学素子の前記光軸に対して傾きがある面であり、前記保持部材から前記光学素子が抜ける方向に対して前記接着剤が楔にはならない方向に傾いていることを特徴とする、構成9に記載の光学素子。
(構成11)
前記隙間部は、前記径方向において前記保持部材と前記光学素子との間に存在する隙間であり、
前記凸形状部は、前記第二の面としての前記第一の面の外側肩面に形成されていることを特徴とする、構成1乃至10の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成12)
前記隙間部は、光軸方向において前記保持部材と前記光学素子との間に存在する隙間であり、
前記凸形状部は、前記光学素子の前記光軸方向における位置を調整する前記第二の面に形成されていることを特徴とする、構成1乃至11の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成13)
前記第一の面は、光学有効面であって、光が通過する面であり、
前記第二の面は、非光学有効面であって前記保持部材と当接する当接面を含むことを特徴とする、構成1乃至12の何れかの構成に記載の光学素子。
(構成14)
構成1乃至13の何れかの構成に記載の光学素子と前記光学素子を保持する保持部材とを有することを特徴とする光学装置。
(構成15)
構成14に記載の光学装置と前記光学装置により形成された像を撮る撮像素子とを含むことを特徴とする撮像装置。
【符号の説明】
【0069】
12 レンズホルダ(保持部材)
12c 接着池(隙間部)
12f 隙間(隙間部)
13 PMOレンズ(光学素子)
13b 側面(第二の面)
13f 光学有効面(第一の面)
14 接着剤
15 金型
23g 外側肩面(第二の面)
33a 当接面(第二の面)
100 レンズユニット(光学装置)
200 カメラ装置(撮像装置)
200b 撮像素子
P 微細突起(凸形状部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11