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特開2025-142785画像表示システム、画像表示システムの制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142785
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】画像表示システム、画像表示システムの制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/113 20060101AFI20250924BHJP
   A61B 3/15 20060101ALI20250924BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
A61B3/113
A61B3/15
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042340
(22)【出願日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 豊克
【テーマコード(参考)】
2H199
4C316
【Fターム(参考)】
2H199CA77
2H199CA96
4C316AA09
4C316AA21
4C316AB16
4C316FA14
4C316FB26
4C316FC28
4C316FY03
4C316FZ01
4C316FZ03
(57)【要約】
【課題】ユーザの眼球位置に応じて、画像を高精度に補正することが可能な画像処理システムを提供する。
【解決手段】画像処理システム(1000)は、特定の波長の光を照明する照明部(11)と、2次元状に配置された複数の光電変換部(201)を有し、照明部により照明された光の反射光の強度に関する光量分布情報を取得する光検出部(21)と、画像を補正する演算処理部(51)とを有し、演算処理部は、光量分布情報に基づいてユーザの眼球位置を演算し、眼球位置に関する情報と予め記憶された光学データとに基づいて、画像を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の波長の光を照明する照明部と、
2次元状に配置された複数の光電変換部を有し、前記照明部により照明された前記光の反射光の強度に関する光量分布情報を取得する光検出部と、
画像を補正する演算処理部とを有し、
前記演算処理部は、
前記光量分布情報に基づいてユーザの眼球位置を演算し、
前記眼球位置に関する情報と予め記憶された光学データとに基づいて、前記画像を補正することを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
前記光量分布情報は、前記照明部が前記光を照明してから前記光検出部が前記反射光を検出するまでに要する時間に関する情報、または前記時間に対応する距離に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示システム。
【請求項3】
前記光学データは、接眼光学系の光学収差情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項4】
前記光学収差情報は、歪曲収差、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、および像面湾曲の少なくとも一つに関する情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の画像表示システム。
【請求項5】
前記光学データは、光線のケラレにより生じる周辺光量に関する情報であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項6】
前記光線のケラレは、接眼光学系、マスク、および視野枠の少なくとも一つにより生じることを特徴とする請求項5に記載の画像表示システム。
【請求項7】
前記演算処理部は、前記眼球位置に応じた前記周辺光量の低下を抑制するように、前記画像を補正することを特徴とする請求項5に記載の画像表示システム。
【請求項8】
前記光学データは、光軸に対して回転対称なデータを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項9】
前記光学データは、光軸に対して回転非対称なデータを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項10】
前記演算処理部は、
前記光量分布情報に基づいて、前記反射光がユーザの眼からの第1反射光であるか、または不要な第2反射光であるかを判定し、
前記第1反射光に基づいて前記眼球位置を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項11】
前記演算処理部は、前記強度が第1閾値よりも小さい場合、前記反射光が前記第2反射光であると判定することを特徴とする請求項10に記載の画像表示システム。
【請求項12】
前記光量分布情報は、前記照明部が前記光を照明してから前記光検出部が前記反射光を検出するまでに要する時間に関する情報、または前記時間に対応する距離に関する情報を含み、
前記演算処理部は、前記時間または前記距離が第2閾値よりも小さい場合、前記反射光が前記第2反射光であると判定することを特徴とする請求項10に記載の画像表示システム。
【請求項13】
前記演算処理部は、前記眼球位置に応じて前記画像を補正するか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項14】
前記演算処理部は、
前記眼球位置が所定領域の範囲内である場合、前記画像を補正せず、
前記眼球位置が前記所定領域の範囲外である場合、前記画像を補正することを特徴とする請求項13に記載の画像表示システム。
【請求項15】
前記照明部の照射タイミングと、前記光検出部の検出タイミングとを制御するタイミング制御部を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項16】
前記照明部は、複数の光源を有すること特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項17】
前記複数の光電変換部のそれぞれに入射する光をカウントするカウンタを更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項18】
前記特定の波長の中心波長をλ(nm)とするとき、
600<λ<1500
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項19】
前記眼球位置は、角膜中心位置であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項20】
前記照明部により照明される前記光は、パルス光であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項21】
前記複数の光電変換部はそれぞれ、アバランシェダイオードであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項22】
前記照明部の照射開始および前記光検出部の光検出開始の動作はそれぞれ、前記照射開始から前記光検出開始までの期間を固定した状態で複数回行われることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項23】
前記眼球位置に関する前記情報ごとに前記光学データを予め記憶している記憶部を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項24】
前記画像表示システムは、HMDに設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項25】
前記画像表示システムは、眼底カメラに設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項26】
前記画像表示システムは、移動体に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示システム。
【請求項27】
照明部を用いて特定の波長の光を照明する第1ステップと、
2次元状に配置された複数の光電変換部を有する光検出部を用いて、前記照明部により照明された前記光の反射光の強度に関する光量分布情報を取得する第2ステップと、
画像を補正する第3ステップとを有し、
前記第3ステップにおいて、
前記光量分布情報に基づいてユーザの眼球位置を取得し、
前記眼球位置に関する情報と予め記憶された光学データとに基づいて、前記画像を補正することを特徴とする画像表示システムの制御方法。
【請求項28】
請求項27に記載の画像表示システムの制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示システム、画像表示システムの制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像表示素子に表示された画像からの光を観察者(ユーザ)の眼に導く接眼光学系と、接眼光学系の光学収差に応じた補正値を用いて画像を補正する補正処理を行う画像処理手段とを有する画像処理システムが開示されている。また特許文献1には、補正処理を行うための補正値は、予め測定(または入力)された眼の位置(眼球位置、アイレリーフ)に基づいて設定されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018―49039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように予め測定(入力)された眼の位置に応じた補正値を用いる方法では、カメラの電子ビューファインダのようにユーザの眼と接眼光学系との間の距離が変動し得る場合、画像を高精度に補正することができない。
【0005】
そこで本発明は、ユーザの眼球位置に応じて、画像を高精度に補正することが可能な画像処理システムことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての画像表示システムは、特定の波長の光を照明する照明部と、2次元状に配置された複数の光電変換部を有し、前記照明部により照明された前記光の反射光の強度に関する光量分布情報を取得する光検出部と、画像を補正する演算処理部とを有し、前記演算処理部は、前記光量分布情報に基づいてユーザの眼球位置を演算し、前記眼球位置に関する情報と予め記憶された光学データとに基づいて、前記画像を補正する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの眼球位置に応じて、画像を高精度に補正することが可能な画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における画像表示システムのブロック図である。
図2】第1実施形態における画像表示システムの動作を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態における画像表示システムのブロック図である。
図4】第2実施形態における光検出部の画素領域の構成図である。
図5】第2実施形態における光検出部の駆動パルスの説明図である。
図6】第2実施形態における画像表示システムの動作を示すフローチャートである。
図7】各実施形態における画像表示システムの説明図である。
図8】各実施形態における角膜の反射光とそれ以外の光の強度および時間の説明図である。
図9】各実施形態における原画像および補正画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態における画像表示システム1000について説明する。図1は、画像表示システム1000のブロック図である。画像表示システム1000は、照明部11、光検出部21、タイミング制御部31、信号処理部41、演算処理部51、制御部61、表示部71、および記憶部81を有する。
【0012】
照明部11は、複数の光源が配置された光源部12を有する。複数の光源を備えることで、照明範囲を広げることができる。光源部12は、被写体(ユーザの眼、眼球、または眼鏡など)を照明するための照明光を発する。照明部11によって被写体を照射し、被写体からの反射光を光検出部21で取得する。照明部11は、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)または自動車(移動体)などに固定されていてもよい。照明部11は、タイミング制御部31から送信される発光制御信号を受信し、その発光制御信号に従って光を照射する。
【0013】
光検出部21は、被写体から反射された光(反射光)を受光する。光検出部21は、光学系22で形成された被写体の光学像を取得する。センサ部23は、光検出部21から得られた光学像をA/D変換する。
【0014】
信号処理部41は、センサ部23から出力された信号に対して、その後の処理に適した処理を施す。信号処理部41により施される処理は、例えばノイズ除去などの信号処理であるが、これに限定されるものではない。
【0015】
演算処理部51は、眼球位置演算部52を有する。眼球位置演算部52は、強度記憶部53および選択処理部55を有する。強度記憶部53は、複数の異なる位置の光源部12から照射された光が反射した反射光のセンサ面上での結像位置を記憶している。選択処理部55は、反射光の中から角膜からの反射光(プルキンエ像)を選択する。眼球位置演算部52は、選択された反射光の間隔から三角測距の原理を用いて、眼球の位置を算出する。予め1つの光源から照射した際の反射光のセンサ面上で結像位置が既知であれば、同じ位置の光源からの照射した反射光のセンサ面上での結像位置のずれにより、同様に三角測距の原理を用いて、眼球の位置を算出することができる。
【0016】
また演算処理部51は、補正画像演算部56を有する。補正画像演算部56は、補正値参照部57および原画像補正部58を有する。補正値参照部57は、眼球位置演算部52により演算された眼球位置に応じた光学データ(補正値)を参照する。原画像補正部58は、その補正値を用いて原画像を補正する。
【0017】
制御部61は、画像表示システム1000の動作を統括的に制御する。制御部61は、CPU(Central Processing Unit)を含み、画像表示システム1000の各部を制御するためのプログラムを実行する。制御部61は、照明部11および光検出部21を制御するためのプログラムに従って、演算処理部51を制御する。なお制御部61は、信号処理部41または演算処理部51の少なくとも一つとともに、一つのFPGA(field-programmable gate array)などにより実現されてもよい。表示部71は、ユーザの眼球の位置に応じた補正値を用いて補正された画像(補正画像)を表示する。
【0018】
記憶部81は、予め眼球位置(眼球位置に関する情報)に応じた接眼光学系の光学データを記憶しているとともに、眼球の位置座標データを蓄積して記憶する。記憶部81は、例えば、眼球位置ごとに光学データを予め記憶している。なお本実施形態において、記憶部81の少なくとも一部をクラウド上などの外部装置に設け、光学データなどの必要なデータを通信により取得してもよい。
【0019】
次に、図2を参照して、本実施形態における画像表示システム1000の動作について説明する。図2は、画像表示システム1000の動作を示すフローチャートである。図2の各ステップは、主に、制御部61の指令に基づいて、画像表示システム1000の各部により実行される。
【0020】
まずステップS101において、照明部11は、複数の光源を有する光源部12から発せられる特定の波長の光(赤外光)にて、ユーザの眼(眼球)等の被写体を照明する。なお特定の波長の光は、赤外光に限定されるものではなく、他の波長の光であってもよい。続いてステップS102において、光検出部21は、被写体からの反射光を検出し、光量分布情報を取得する。本実施形態において、光量分布情報は、反射光の強度(輝度)に関する情報を含む。続いてステップS103において、演算処理部51は、ステップS102にて取得された光量分布情報に基づいて、反射光の反射面位置座標(反射光の結像位置情報)を演算(取得)する。
【0021】
続いてステップS104において、演算処理部51は、光量分布情報のうち、反射光の光量(強度、輝度)が所定の閾値(強度閾値、第1閾値)以上であるか否かを判定する。反射光の光量が所定の閾値よりも小さい場合、演算処理部51は、反射光がユーザの角膜からの反射光(第1反射光)とは異なる不要光(第2反射光)であると判定する。このとき、ステップS102へ戻り、光検出部21は、異なる光量分布情報を取得する。一方、反射光の光量が所定の閾値以上である場合、ステップS105に進む。
【0022】
ステップS105において、演算処理部51(選択処理部55)は、ステップ104にて所定の閾値以上であると判定された反射光(第1反射光)を、角膜からの反射光として選択する。続いてステップS106において、演算処理部51(眼球位置演算部52)は、角膜からの反射光を複数選択し、眼球位置を示す座標(眼球の位置座標)を算出する。座標は、3次元座標(x,y,z)であることが好ましいが、1次元座標または2次元座標であってもよい。なお本実施形態において、眼球の位置座標は、角膜中心位置を示す座標(角膜中心座標)であるが、これに限定されるものではなく、眼球位置に相当する他の座標であってもよい。続いてステップS107において、演算処理部51は、記憶部81と通信し、眼球の位置座標を記憶部81に保存する。
【0023】
続いてステップS108において、演算処理部51は、眼球位置が所定領域の範囲内であるか否かを判定する。すなわち演算処理部51は、眼球位置に応じて画像を補正するか否かを判定する。ここで所定領域とは、眼球の基準位置(基準座標(x,y,z)=(0,0,0))から所定距離の範囲内の領域であるが、これに限定されるものではない。眼球位置が所定領域の範囲内である場合、演算処理部51は画像を補正することなく、ステップS111に進む。一方、眼球位置が所定領域の範囲外である場合、ステップS109に進む。
【0024】
ステップS109において、演算処理部51は、記憶部81に予め保存されている光学データ(光学補正データ)を参照する。続いてステップS110において、演算処理部51は、角膜中心座標と光学データとを用いて、原画像を補正する。続いてステップS111において、演算処理部51は、表示部71に画像(補正画像または原画像)を表示する。
【0025】
なお本実施形態において、記憶部81に予め保存されている光学データは、接眼光学系の光学収差情報である。光学収差情報は、歪曲収差、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、および像面湾曲の少なくとも一つに関する情報を含むが、これらに限定されるものではない。光学データは、接眼光学系、マスク、または視野枠などの部材(メカ部材)で光線がケラレた際の周辺光量比情報(光線のケラレにより生じる周辺光量に関する情報)であってもよい。
【0026】
本実施形態において、眼球の位置が接眼光学系の光軸上の位置にある場合、光学データは座標(位置)ごとの回転対称なデータのみでよい。これによりデータ容量を低減することができる。また本実施形態において、眼球の位置が光軸上から偏芯した位置にある場合または製造誤差を考慮する場合、光学データは回転非対称なデータであってもよい。
【0027】
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態における画像表示システム1000aについて説明する。図3は、画像表示システム1000aのブロック図である。画像表示システム1000aは、照明部11、光検出部21、タイミング制御部31、信号処理部41、演算処理部51a、制御部61、表示部71、および記憶部81を有する。
【0028】
照明部11は、複数の光源が配置された光源部12を有する。ただし本実施形態は、これに限定されるものではなく、1つの光源のみが配置された光源部であってもよい。光源部12は、被写体(ユーザの眼、眼球、または眼鏡など)を照明するための照明光を発する。照明光は、時間に対して光量が変化する光であり、例えばパルス光または正弦波で変調した光である。特定の波長のパルスレーザー光でもよく、またはLEDパルス光でもよい。照明部11によって被写体を照射し、被写体からの反射光を光検出部21で取得する。照明部11は、HMDまたは自動車(移動体)などに固定されていてもよい。照明部11は、タイミング制御部31から送信される発光制御信号を受信し、その発光制御信号に従って光を照射する。本実施形態において、光源部12は、特定の波長の光を、例えば数p秒~数十n秒の幅で照射する。
【0029】
光検出部21は、被写体から反射された光(反射光)を受光する。光検出部21は、光学系22で形成された被写体の光学像を取得する。センサ部23は、撮像素子(光電変換素子)の各画素に入射するごとに各画素から出力される電圧パルスをカウントする(フォトンカウント)。カウントされたフォトンの数は、フォトンがカウントされたときの時刻と合わせて信号処理部41に出力する。本実施形態において、光検出部21は、TOF(TIME OF FLIGHT)方式を用いる。一回の受光動作を行う際に、所定の露光時間の間、センサ部23は露光される。センサ部23はタイミング制御部31から送信される露光制御信号を受光し、その露光制御信号に従って露光させる。その間、光源部12は、所定のパルス幅で1回以上照射し、センサ部23は光を受光する。本実施形態において、照明部11の照射開始および光検出部21の光検出開始の動作はそれぞれ、照射開始から光検出開始までの期間を固定した状態で複数回行われることが好ましい。
【0030】
タイミング制御部31は、照明部11の照射タイミングと、光検出部21の検出タイミングとを制御する。すなわちタイミング制御部31は、照明部11の照射のタイミングで光検出部21が反射光を受光するように、照明部11と光検出部21とを制御する。
【0031】
信号処理部41は、センサ部23から出力された信号に対して、その後の処理に適した処理を施す。信号処理部41により施される処理は、例えばノイズ除去などの信号処理であるが、これに限定されるものではない。また信号処理部41は、光検出部21から出力された電圧パルスとフォトンがカウントされた際の時間とを合わせて、取得時間をマッピングする。
【0032】
演算処理部51aは、眼球位置演算部52を有する。眼球位置演算部52は、強度記憶部53、タイミング記憶部54、および選択処理部55を有し、反射光の反射位置がセンサ部23のセンサ面に結像する位置座標を算出する。強度記憶部53は、反射光の光量分布情報のうち反射光の強度(フォトン数)を記憶する。
【0033】
タイミング記憶部54は、光量分布情報のうち時間または距離を記憶する。すなわち本実施形態において、光量分布情報は、照明部11が光を照明してから光検出部21が反射光を検出するまでに要する時間に関する情報、またはその時間に対応する距離に関する情報を含む。
【0034】
選択処理部55は、センサ部23から信号処理部41を介して出力された受光信号と、受光時間、タイミング制御部31からの照射時間およびフォトンカウント数またはそのカウント数に基づく強度に基づいて、角膜からの反射光か否かを判定する。そして選択処理部55は、反射光のうち角膜からの反射光のみを選択する。
【0035】
また演算処理部51aは、補正画像演算部56を有する。補正画像演算部56は、補正値参照部57および原画像補正部58を有する。補正値参照部57は、眼球位置演算部52aにより演算された眼球位置に応じた光学データ(補正値)を参照する。原画像補正部58は、その補正値を用いて原画像を補正する。
【0036】
制御部61は、画像表示システム1000aの動作を統括的に制御する。制御部61は、CPUを含み、画像表示システム1000aの各部を制御するためのプログラムを実行する。制御部61は、照明部11および光検出部21を制御するためのプログラムに従って、演算処理部51aを制御する。なお、制御部61は、信号処理部41または演算処理部51aの少なくとも一つとともに、一つのFPGAなどにより実現されてもよい。表示部71は、ユーザの眼球の位置に応じた補正値を用いて補正された画像(補正画像)を表示する。
【0037】
記憶部81は、予め眼球位置(眼球位置に関する情報)に応じた接眼光学系の光学データを記憶しているとともに、画像の強度データおよび時間記録データを蓄積して記憶する。記憶部81は、例えば、眼球位置ごとに光学データを予め記憶している。なお本実施形態において、記憶部81の少なくとも一部をクラウド上などの外部装置に設け、光学データなどの必要なデータを通信により取得してもよい。
【0038】
次に、図4を参照して、センサ部23の画素領域について説明する。図4は、センサ部23の画素領域の構成図である。画素領域には、SPAD画素103がXY方向において2次元状に複数繰り返して配置されている。1つのSPAD画素103は、光電変換部(アバランシェダイオード)201、クエンチ素子202、制御部210、カウンタ/メモリ211、および読み出し部212を有する。
【0039】
光電変換部201のカソードには、アノードに供給される電圧VLよりも高い電位VHに基づく電位が供給される。光電変換部201のアノードとカソードには、光電変換部201に入射したフォトンがアバランシェ増倍されるような逆バイアスがかかるように電位が供給される。このような逆バイアスの電位を供給した状態で光電変換することで、入射光によって生じた電荷がアバランシェ増倍を起こしアバランシェ電流が発生する。
【0040】
逆バイアスの電位が供給される場合において、アノード及びカソードの電位差が降伏電圧より大きいとき、光電変換部(アバランシェダイオード)201はガイガーモード動作となる。ガイガーモード動作を用いて単一光子レベルの微弱信号を高速検出するアバランシェダイオードがSPAD(Single Photon Avalanche Diode)である。
【0041】
制御部210は、光電変換部201から出力信号をカウントするか否かを決定する。例えば、制御部210は、光電変換部201とカウンタ/メモリ211との間に設けられたスイッチ(ゲート回路)である。スイッチのゲートは、パルス線124と接続されており、パルス線124に入力される信号に応じて、制御部210のオンとオフが切り替えられる。タイミング制御部31からの制御信号に基づく信号がパルス線124に入力される。そして、スイッチのゲートは全列一括して制御される。これにより、全てのSPAD画素103が一括して光検出の開始と終了が制御される。
【0042】
また制御部210は、スイッチではなく、論理回路で構成してもよい。例えば、論理回路として、AND回路を設け、AND回路の第1の入力を光電変換部201からの出力とし、第2の入力をパルス線124の信号とすれば、光電変換部201からの出力信号をカウントするか否かを切り替えることが可能となる。なお、制御部210は、光電変換部201とカウンタ/メモリ211との間に設ける必要はなく、カウンタ/メモリ211のうち、カウンタの動作と非動作を切り替える信号を入力する回路であってもよい。
【0043】
カウンタ/メモリ211は、制御線213からの制御信号に従って、光電変換部201に入る光子の数をカウントし、デジタルデータとして保持する。読み出し部212は、カウンタ/メモリ211と読み出し信号線123に接続されている。読み出し部212には、垂直走査回路部から制御線214を介して制御パルスが補給され、カウンタ/メモリ211のカウント値を読み出し信号線123に出力するか否かを切り替える。読み出し部212は、例えば、信号を出力するためのバッファ回路などを含む。
【0044】
読み出し信号線123は、光検出部21から演算処理部51aに出力する信号線であっても、信号処理部41に出力する信号線であってもよい。また、水平走査回路部と垂直走査回路部はSPADアレイが設けられている基板に設けてもよいし、SPADアレイが設けられている基板とは異なる基板に設けてもよい。
【0045】
ただし本実施形態は、SPAD画素103を備えた光検出部21に限定されるものでなく、SPAD以外の光電変換部を有する光検出部にも適用可能である。
【0046】
次に、図5を参照して、照明部11からのパルス光を発光するタイミング、パルス光が被写体に照射され、反射光が光検出部21に到達し、光検出(フォトンカウント)するタイミングについて説明する。図5は、光検出部21の駆動パルスの説明図である。光検出部21には、アレイ状に複数のSPAD画素103が配置されており、各行に配置されている複数のSPADの光検出タイミングは、全画素一括で制御される。すなわち、1フレームのSPAD全画素において、図7に示される発光光のタイミングとカウント期間のタイミングは同じである。
【0047】
光検出部21は、2次元状にSPAD画素103が配置されたSPADアレイである。このため、前述のようなタイミングチャートにより、フレームごとに、XY平面の光量分布情報(x、y)と、この光量分布情報を取得した時間である時間情報(t)を備えた1組のデータ(光量分布情報)を取得することができる。このため、x、y、tに関する情報(光量分布情報)を取得することができる。
【0048】
次に、図6を参照して、本実施形態における画像表示システム1000aの動作について説明する。図6は、画像表示システム1000aの動作を示すフローチャートである。図6の各ステップは、主に、制御部61の指令に基づいて、画像表示システム1000aの各部により実行される。
【0049】
まずステップS201において、照明部11は、複数の光源を有する光源部12から発せられる特定の波長の光(赤外光)にて、ユーザの眼(眼球)等の被写体を照明する。なお特定の波長の光は、赤外光に限定されるものではなく、他の波長の光であってもよい。続いてステップS202において、光検出部21は、被写体からの反射光を検出し、光量分布情報を取得する。ここで、光量分布情報とは、各画素に入射されたフォトンのカウント数またはカウント数から算出される画像輝度値と各画素の位置座標(ピクセル座標)を指す。
【0050】
続いてステップS203において、演算処理部51aは、光源部12からの発光時間とセンサ部23での光の受光時間とを取得し、光源部12から発光された光が被写体で反射してセンサ部23に到達するまでの時間情報を取得する。なお、ステップS202の光量分布情報とステップS203の時間情報とを同時にセンサ部23で取得してもよい。
【0051】
続いてステップS204において、演算処理部51aは、ステップS202にて取得された光量分布情報とステップS203にて取得された時間情報とに基づいて、反射光の反射面位置座標(反射光の結像位置情報)を演算(取得)する。続いてステップS205において、演算処理部51aは、光量分布情報のうち、反射光の光量(反射光の強度、例えば光検出部21に到達したフォトン数)が所定の閾値(強度閾値、第1閾値)以上であるか否かを判定する。演算処理部51aは、反射光の光量(強度)が第1閾値よりも小さい場合、その反射光が角膜からの反射光(第1反射光)とは異なる不要光(第2反射光)であると判定する。そしてステップS202へ戻り、光検出部21は、異なる光量分布情報を取得する。一方、演算処理部51aは、反射光の光量(強度)が第1閾値以上であると判定した場合、ステップS206に進む。ステップS206において、演算処理部51aは、所定の閾値以上の反射光を選択する。
【0052】
続いてステップS207において、演算処理部51aは、ステップS203にて取得された時間情報(到達時間)を参照し、時間情報が所定の閾値(時間閾値、第2閾値)以上であるか否かを判定する。ここで、時間情報は、照明部11が光を照明してから光検出部21が反射光を検出するまでに要する時間またはその時間に対応する距離に関する情報である。演算処理部51aは、時間または距離が第2閾値よりも小さい場合、反射光が角膜からの反射光(第1反射光)とは異なる不要光(第2反射光)であると判定し、ステップS202へ戻り、異なる光量分布情報が取得される。一方、演算処理部51aは、時間または距離が第2閾値以上である場合、ステップS208に進む。
【0053】
ステップS208において、演算処理部51a(選択処理部55)は、時間情報が第2閾値以上であると判定された反射光を、角膜からの反射光として選択する。続いてステップS209において、演算処理部51aは、角膜からの反射光を複数選択し、角膜中心座標を算出する。ステップS210において、記憶部81と通信し、角膜中心座標を保存する。
【0054】
続いてステップS211において、演算処理部51aは、眼球位置が所定領域の範囲内であるか否かを判定する。すなわち演算処理部51aは、眼球位置に応じて画像を補正するか否かを判定する。ここで所定領域とは、眼球の基準位置(基準座標(x,y,z)=(0,0,0))から所定距離の範囲内の領域であるが、これに限定されるものではない。眼球位置が所定領域の範囲内である場合、演算処理部51aは画像を補正することなく、ステップS214に進む。一方、眼球位置が所定領域の範囲外である場合、ステップS212に進む。
【0055】
続いてステップS212において、演算処理部51aは、光学補正データを参照する。続いてステップS213において、演算処理部51aは、角膜中心座標に基づいて、記憶部81に保存されている予め保存されている光学データを参照し原画像を補正する。続いてステップS214において、演算処理部51aは、表示部71に画像(補正画像または原画像)を表示する。
【0056】
次に、図7および図8を参照して、各実施形態における角膜からの反射光(第1反射光)とそれ以外の不要光(第2反射光)とを分離する処理を説明する。図7は、各実施形態における画像表示システム1000、1000aの説明図である。図8は、角膜の反射光(第1反射光)とそれ以外の反射光(第2反射光)の強度および時間の説明図である。
【0057】
図7において、Oは眼球の中心である。Rは、角膜の半径であり、一般的な人の目では7~8mm程度である。光源部12から照明されたパルス光は、眼球105およびメガネ104で反射して光検出部21に到達する。メガネ104では、光源部12側の面Bおよび眼球側の面Dで1回反射する光と、内部で複数回反射して光検出部21に到達する光とが存在する。
【0058】
これらの光のうち眼球105の角膜表面Eで反射した光は、メガネ104の光源側の面Bや眼球側の面Dで反射した光よりも光路長が長くなるため、光検出部21に遅れて到達する。一方、複数回反射して、最終的にメガネ104の面Fから反射して検出201に到達する光は、到達時間は眼球105の角膜表面Eで反射した光と同時に到達するか、またはより遅く到達する。メガネ104で複数回反射した光は、眼球105の表面Eで反射した光よりも光検出部21に到達するフォトン数が減少し、像の強度が弱くなる。
【0059】
一般に、眼球での反射は2~3%程度であり、一般的なガラスやプラスチックレンズのメガネの反射率は近赤外域でも2%以下であることが多い。このため、反射回数が多くなればなるほど、光検出部21に到達するフォトン数が減少し、像の強度が弱くなる。なお図7では、不要光の反射としてメガネ104を示しているが、不要光の要因はこれに限定されるものではない。他の不要光の要因として、例えば電子ビューファインダの接眼部または液晶パネルなどが眼球105の前に配置される場合が考えられる。
【0060】
図8は、メガネ104や接眼レンズ部で反射した不要光(第2反射光)と視線検出のための角膜からの正規光(第1反射光)を光検出部21で検出した場合のグラフを示している。図8において、縦軸は強度またはフォトン数、横軸は光源部12から光検出部21に到達するまでの時間または距離を示している。図8に示されるように、反射光の強度(輝度)の閾値(強度閾値、第1閾値)と到達時間の閾値(時間閾値、第2閾値)を設定する。これにより、光検出部21で検出された光が角膜からの反射光(第1反射光)または不要な反射光(第2反射光)のいずれであるかを判定することができる。
【0061】
ユーザがメガネをかけている場合、CMOSセンサでは、一般的に、眼からの反射光とメガネからの反射光とを判別することが困難である。その結果、メガネからの反射光を眼からの反射光として誤検出することがあり、眼球位置を高精度に検出を行うことができない。一方、本実施形態によれば、SPADセンサを用いることで、眼球位置を高精度に検出することができる。
【0062】
図9(a)は、各実施形態における眼球位置に応じた光学データを用いた補正処理を行う前(周辺光量補正前)の原画像の一例である。図9(a)に示されるように、眼が接眼光学系から離れると、機械的構造部材の枠またはマスクなどでケラレが生じ、周辺光量が低下する。図9(b)は、各実施形態における眼球位置に応じた光学データを用いた補正処理を行った後(周辺光量補正後)の画像(補正画像)の一例である。図9(b)に示されるように、眼が接眼光学系から離れても、周辺光量の低下が抑制される。
【0063】
各実施形態において、照明部11の光源部12により照明される特定の波長の光は、特定の波長の光の中心波長をλ(nm)とするとき、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
【0064】
600<λ<1500 ・・・(1)
条件式(1)は、光源部12からの光の波長を規定している。条件式(1)を満足することで、ユーザが光を認識しにくいため好ましい。
【0065】
より好ましくは、条件式(1)の数値範囲は、以下の条件式(1a)のように設定される。
【0066】
650<λ<1200 ・・・(1a)
更に好ましくは、条件式(1a)の数値範囲は、以下の条件式(1b)のように設定される。
【0067】
680<λ<900 ・・・(1b)
各実施形態において、照明部11の照射開始および光検出部21の光検出開始の動作はそれぞれ、照射開始から光検出開始までの期間を固定した状態で複数回行われることが好ましい。
【0068】
なお各実施形態の画像表示システムは、視線検出装置に設けられる場合に限定されるものではない。例えば、HMDまたは自動車などの移動体に設けてもよい。また各実施形態の画像表示システムは、眼底カメラなどの眼科装置または眼科検査システムにも適用可能である。
【0069】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0070】
各実施形態によれば、ユーザの眼球位置に応じて、画像を高精度に補正することが可能な画像処理システム、画像処理システムの制御方法、およびプログラムを提供することができる。
【0071】
各実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
特定の波長の光を照明する照明部と、
2次元状に配置された複数の光電変換部)を有し、前記照明部により照明された前記光の反射光の強度に関する光量分布情報を取得する光検出部と、
画像を補正する演算処理部とを有し、
前記演算処理部は、
前記光量分布情報に基づいてユーザの眼球位置を演算し、
前記眼球位置に関する情報と予め記憶された光学データとに基づいて、前記画像を補正することを特徴とする画像表示システム。
(構成2)
前記光量分布情報は、前記照明部が前記光を照明してから前記光検出部が前記反射光を検出するまでに要する時間に関する情報、または前記時間に対応する距離に関する情報を含むことを特徴とする構成1に記載の画像表示システム。
(構成3)
前記光学データは、接眼光学系の光学収差情報であることを特徴とする構成1または2に記載の画像表示システム。
(構成4)
前記光学収差情報は、歪曲収差、軸上色収差、倍率色収差、球面収差、および像面湾曲の少なくとも一つに関する情報を含むことを特徴とする構成3に記載の画像表示システム。
(構成5)
前記光学データは、光線のケラレにより生じる周辺光量に関する情報であることを特徴とする構成1または2に記載の画像表示システム。
(構成6)
前記光線のケラレは、接眼光学系、マスク、および視野枠の少なくとも一つにより生じることを特徴とする構成5に記載の画像表示システム。
(構成7)
前記演算処理部は、前記眼球位置に応じた前記周辺光量の低下を抑制するように、前記画像を補正することを特徴とする構成5または6に記載の画像表示システム。
(構成8)
前記光学データは、光軸に対して回転対称なデータを含むことを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成9)
前記光学データは、光軸に対して回転非対称なデータを含むことを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成10)
前記演算処理部は、
前記光量分布情報に基づいて、前記反射光がユーザの眼からの第1反射光であるか、または不要な第2反射光であるかを判定し、
前記第1反射光に基づいて前記眼球位置を演算することを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成11)
前記演算処理部は、前記強度が第1閾値よりも小さい場合、前記反射光が前記第2反射光であると判定することを特徴とする構成10に記載の画像表示システム。
(構成12)
前記光量分布情報は、前記照明部が前記光を照明してから前記光検出部が前記反射光を検出するまでに要する時間に関する情報、または前記時間に対応する距離に関する情報を含み、
前記演算処理部は、前記時間または前記距離が第2閾値よりも小さい場合、前記反射光が前記第2反射光であると判定することを特徴とする構成10または11に記載の画像表示システム。
(構成13)
前記演算処理部は、前記眼球位置に応じて前記画像を補正するか否かを判定することを特徴とする構成1乃至12のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成14)
前記演算処理部は、
前記眼球位置が所定領域の範囲内である場合、前記画像を補正せず、
前記眼球位置が前記所定領域の範囲外である場合、前記画像を補正することを特徴とする構成13に記載の画像表示システム。
(構成15)
前記照明部の照射タイミングと、前記光検出部の検出タイミングとを制御するタイミング制御部を更に有することを特徴とする構成1乃至14のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成16)
前記照明部は、複数の光源を有すること特徴とする構成1乃至15のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成17)
前記複数の光電変換部のそれぞれに入射する光をカウントするカウンタを更に有することを特徴とする構成1乃至16のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成18)
前記特定の波長の中心波長をλ(nm)とするとき、
600<λ<1500
なる条件式を満足することを特徴とする構成1乃至17のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成19)
前記眼球位置は、角膜中心位置であることを特徴とする構成1乃至18のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成20)
前記照明部により照明される前記光は、パルス光であることを特徴とする構成1乃至19のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成21)
前記複数の光電変換部はそれぞれ、アバランシェダイオードであることを特徴とする構成1乃至20のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成22)
前記照明部の照射開始および前記光検出部の光検出開始の動作はそれぞれ、前記照射開始から前記光検出開始までの期間を固定した状態で複数回行われることを特徴とする構成1乃至21のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成23)
前記眼球位置に関する前記情報ごとに前記光学データを予め記憶している記憶部を更に有することを特徴とする構成1乃至22のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成24)
前記画像表示システムは、HMDに設けられていることを特徴とする構成1乃至23のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成25)
前記画像表示システムは、眼底カメラに設けられていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の画像表示システム。
(構成26)
前記画像表示システムは、移動体に設けられていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の画像表示システム。
(方法1)
照明部を用いて特定の波長の光を照明する第1ステップと、
2次元状に配置された複数の光電変換部を有する光検出部を用いて、前記照明部により照明された前記光の反射光の強度に関する光量分布情報を取得する第2ステップと、
画像を補正する第3ステップとを有し、
前記第3ステップにおいて、
前記光量分布情報に基づいてユーザの眼球位置を取得し、
前記眼球位置に関する情報と予め記憶された光学データとに基づいて、前記画像を補正することを特徴とする画像表示システムの制御方法。
(構成27)
方法1に記載の画像表示システムの制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。また、各実施形態の少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
11 照明部
21 光検出部
51、51a 演算処理部
201 光電変換部
1000、1000a 画像表示システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9