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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014287
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】保護シール
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20250123BHJP
   A47G 1/14 20060101ALI20250123BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250123BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
C09J7/38
A47G1/14 F
B32B27/00 M
B32B27/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116744
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】河澄 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】森山 勝
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 優水
【テーマコード(参考)】
3B111
4F100
4J004
【Fターム(参考)】
3B111BA06
3B111BC02
4F100AK42A
4F100AK52C
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100BA10D
4F100CA07A
4F100CB00B
4F100DC21B
4F100DG10C
4F100EH46
4F100HB00D
4F100HB31
4F100JL11B
4F100JL14C
4J004AB01
4J004BA03
4J004BA08
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB02
4J004FA04
(57)【要約】
【課題】保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めが容易な保護シールを提供する。
【解決手段】保護対象物である写真Pを被貼付物であるスマートフォンSに貼り付けるとともに保護する保護シール1、1A、1B、1Cであって、基材である保護フィルム2と、保護フィルム2の一方の面に形成される複数の粘着部である第1粘着部31及び第2粘着部32と、を備える。保護シール1、1A、1B、1Cは、第1粘着部31及び第2粘着部32によって、写真Pの一部及びスマートフォンSの一部に貼付される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護対象物を被貼付物に貼り付けるとともに保護する保護シールであって、
基材と、
前記基材の一方の面に形成される複数の粘着部と、を備え、
前記複数の粘着部によって、前記保護対象物の一部及び前記被貼付物の一部に貼付される、
保護シール。
【請求項2】
請求項1に記載の保護シールにおいて、
前記複数の粘着部は、
2つの粘着部である第1粘着部と、第2粘着部とから構成され、
前記基材は、
前記第1粘着部によって、前記保護対象物が保護される領域に位置付けられた前記保護対象物の一端部と前記被貼付物の一部とに貼付され、
前記第2粘着部によって、前記保護対象物が保護される領域に位置付けられた前記保護対象物の他端部と前記被貼付物の一部とに貼付され、
前記第1粘着部と前記第2粘着部とが位置する部分以外の部分が前記保護対象物と前記被貼付物とに貼付されない状態で前記保護対象物を覆う、
保護シール。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保護シールにおいて、
前記複数の粘着部を保護する剥離紙を有し、
前記剥離紙は、
一方の面に剥離剤が塗布され、前記剥離剤が塗布された前記一方の面に前記複数の粘着部が貼付された状態で前記複数の粘着部を少なくとも覆い、
他方の面に、前記保護対象物を前記保護対象物が保護される領域に位置付けるための印を有し、
前記印を基準として、前記複数の粘着部のうち一部の粘着部が貼付されている部分と他の粘着部が貼付されている部分とに分割されている、
保護シール。
【請求項4】
請求項3に記載の保護シールにおいて、
前記剥離紙は、
シリコーンを含む剥離剤が塗布され、
前記基材は
ポリエチレンテレフタラートによって構成され、前記基材を前記剥離紙から剥離する際に生じる静電気の静電気力によって前記被貼付物に密着する、
保護シール。
【請求項5】
請求項1または2に記載の保護シールにおいて、
前記複数の粘着部は、
前記各粘着部の外縁が前記基材の外縁よりも所定量離れている、
保護シール。
【請求項6】
請求項1または2に記載の保護シールにおいて、
前記粘着部の面に塗布される粘着力抑制層を有し、
前記粘着力抑制層は、
前記粘着部の面において、複数の粘着部として粘着力を発揮する部分以外の部分を覆う、
保護シール。
【請求項7】
請求項1または2に記載の保護シールにおいて、
前記基材の他方の面に、前記保護対象物が保護される領域に位置付けられた前記保護対象物を装飾する印刷層を有する、
保護シール。
【請求項8】
請求項1または2に記載の保護シールにおいて、
前記基材は、
紫外線吸収剤を含む、
保護シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保護対象物を保護する保護シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが写真、図等を好みの場所に貼る、あるいは、持ち物に貼って持ち歩く際に、写真等を保護する保護シールが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の写真保護及び装飾用シールは、透明な第1フィルムと透明な第2フィルムとから構成される。第1フィルムは、一方の面の周縁部に装飾用の印刷層を有し、他方の面に透明な粘着層を有している。第2フィルムは、第1フィルムが有する粘着層に貼付されている。また、第2フィルムは、環状の切り込みによって周縁部と保護部とに区画されている。
【0003】
写真保護及び装飾用シールは、第2フィルムの周縁部が第1フィルムから剥離されると、保護部を囲む周縁部に粘着力が生じる。写真保護及び装飾用シールは、粘着力を有さない保護部に写真が位置付けられた状態で、粘着力を有する周縁部を任意の物品に貼付することにより、保護部に位置する写真を物品の面に保持することができる。また、写真保護及び装飾用シールは、保護部によって写真を覆うことにより、写真を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案公報3130284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の写真保護及び装飾用シールは、物品の面に配置した写真に保護部を重ねた状態で、保護部の全周に亘って粘着力を有している周縁部の接着面を物品の面に貼付することにより物品上において写真を保護する。この際、写真保護及び装飾用シールは、物品上に固定されていない状態の写真に対して位置決めしつつ、写真を動かさないように接着面を物品に貼付しなければならないため、写真及び物品に対する位置決めが煩雑であった。
【0006】
本発明の目的は、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めが容易な保護シールの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めが容易な保護シールの構成について検討した。鋭意検討の結果、本発明者は、以下のような構成に想到した。
【0008】
本発明の実施形態に係る保護シールは、保護対象物を被貼付物に貼り付けるとともに保護する保護シールであって、基材と、前記基材の一方の面に形成される複数の粘着部と、を備える。前記保護シールは、前記複数の粘着部によって、前記保護対象物の一部及び前記被貼付物の一部に貼付される。
【0009】
上述の構成では、保護シールは、保護対象物の一部及び被貼付物の一部に複数の粘着部の一部がそれぞれ貼付される。よって、保護シールは、複数の粘着部によって、基材に対する保護対象物の位置、及び基材に対する被貼付物の位置を保持する。更に、保護シールは、保護対象物を保護する。また、保護シールは、複数の粘着部の一部に保護対象物が貼付された状態で、複数の粘着部によって保護対象物とともに被貼付物の任意の位置に貼付されてもよい。つまり、保護シールは、複数の粘着部によって、基材と保護対象物とを一体にした状態で保護対象物に貼付される。このように、保護シールは、粘着部の一部を保護対象物に貼付することにより保護対象物に対して位置決めした後に、粘着部の一部を被貼付物に貼付することにより被貼付物に対して位置決めすることができる。これにより、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0010】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記複数の粘着部は、2つの粘着部である第1粘着部と、第2粘着部とから構成される。前記基材は、前記第1粘着部によって、前記保護対象物が保護される領域に位置付けられた前記保護対象物の一端部と前記被貼付物の一部とに貼付され、前記第2粘着部によって、前記保護対象物が保護される領域に位置付けられた前記保護対象物の他端部と前記被貼付物の一部とに貼付され、前記第1粘着部と前記第2粘着部とが位置する部分以外の部分が前記保護対象物と前記被貼付物とに貼付されない状態で前記保護対象物を覆う。
【0011】
上述の構成では、保護シールは、保護対象物が保護される領域に位置する保護対象物に対して基材の第1粘着部と第2粘着部との一部が貼付される。この際、基材は、保護対象物の両端部に対して位置決めされる。第1粘着部の一部及び第2粘着部の一部によって保護対象物に貼付された保護シールは、第1粘着部のうち保護対象物が貼付されていない部分及び第2粘着部のうち保護対象物が貼付されていない部分によって被貼付物の任意の位置に貼付される。また、保護シールは、基材における第1粘着部及び第2粘着部が位置する部分以外の部分が、被貼付物及び保護対象物に貼付されないので保護フィルムのよれ、しわ、空気だまり等が生じない。これにより、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0012】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記保護シールは、前記複数の粘着部を保護する剥離紙を有する。前記剥離紙は、一方の面に剥離剤が塗布され、前記剥離剤が塗布された前記一方の面に前記複数の粘着部が貼付された状態で前記複数の粘着部を少なくとも覆い、他方の面に、前記保護対象物を前記保護対象物が保護される領域に位置付けるための印を有する。前記剥離紙は、前記印を基準として、前記複数の粘着部のうち一部の粘着部が貼付されている部分と他の粘着部が貼付されている部分とに分割されている。
【0013】
このように構成される保護シールは、剥離紙が有する印を基材に対する保護対象物の位置合わせに利用することにより、保護対象物が保護される領域に保護対象物を位置づけることができる。更に、保護シールは、印を利用して保護対象物に対して位置付けられた状態において、剥離紙が剥離された一部の粘着部を保護対象物及び被貼付物に貼付することができる。これにより、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記剥離紙は、シリコーンを含む剥離剤が塗布されている。前記基材はポリエチレンテレフタラートによって構成され、前記基材を前記剥離紙から剥離する際に生じる静電気の静電気力によって前記被貼付物に密着する。
【0015】
上述の構成では、基材は、剥離紙から剥離される際の剥離帯電によって生じる静電気力によって、複数の粘着部が位置しない部分が保護対象物及び被貼付物に密着する。よって、保護シールは、静電気力によって保護フィルムに対する写真の位置及び保護フィルムに対する被貼付物の位置が保持される。これにより、保護フィルムは、たるみが生じたり、保護対象物及び被貼付物との間に隙間が生じたりし難くなり、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記複数の粘着部は、前記各粘着部の外縁が前記基材の外縁よりも所定量離れている。
【0017】
上述の構成では、基材の外縁は、複数の粘着部の外縁よりも外方に位置している。よって、複数の粘着部は、基材の面に垂直な方向から押圧力によって基材の面に沿って広がっても、基材の外縁から外方にはみ出すことがない。これにより、保護シールは、貼付後に基材からはみ出した複数の粘着部への異物の付着などを防ぎ、美観を維持することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記粘着部の面に塗布される粘着力抑制層を有する。前記粘着力抑制層は、前記粘着部の面において、複数の粘着部として粘着力を発揮する部分以外の部分を覆う。
【0019】
上述の構成では、基材の一方の面に積層される粘着層は、塗布された粘着力抑制層によって、粘着力を有する部分である複数の粘着部と、粘着力を有さない部分とに区分されている。粘着層は、粘着力を抑制するための粘着力抑制フィルム等が添付されていないので、保護対象物及び被貼付部への貼付時に粘着力抑制フィルムの剥離等が生じない。また、粘着層は、粘着力抑制フィルムによって粘着部を構成する場合に比べて薄い。これにより、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記基材の他方の面に、前記保護対象物が保護される領域に位置付けられた前記保護対象物を装飾する印刷層を有する。
【0021】
上述の構成によれば、基材は、保護対象物を保護するだけでなく、保護対象物が保護される領域に位置付けられた保護対象物を印刷層によって装飾する。これにより、保護シールは、印刷層によって、被貼付物に貼付された保護対象物に装飾として文字、図形等を重ねて表示することができる。
【0022】
他の観点によれば、本発明の保護シールは、以下の構成を含むことが好ましい。前記基材は、紫外線吸収剤を含む。
【0023】
上述の構成によれば、保護シールは、基材によって保護対象物を覆うことにより、保護対象物に傷等が生じるのを抑制するとともに、紫外線を吸収することにより、紫外線による保護対象物の変色、劣化等を抑制することができる。
【0024】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを定義する目的で使用されるのであって、専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0025】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0026】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な電気的接続または結合を含むことができる。
【0027】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0028】
[保護対象物]
本明細書において、保護対象物とは、保護シールによって保護する対象の部材を意味する。保護対象物は、例えば、写真、印刷物、カード等のシート状またはフィルム状の部材等を含む。
【0029】
[被貼付物]
本明細書において、被貼付物とは、本願の保護シールによって保護対象物を保持する部材を意味する。被貼付物は、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンケース、冊子、ファイル、壁、机、窓等を含む。被貼付物は、保護シールによって、保護対象物を貼付可能な部材であればよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施形態によれば、保護対象物を被貼付物に貼り付けるとともに保護する保護シールであって、基材と、基材の一方の面に形成される複数の粘着部とを備え、複数の粘着部によって、保護対象物の一部及び被貼付物の一部に貼付される保護シールにおいて、保護対象物に対する位置決め及び被貼付物に対する位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の実施形態1における保護シールの粘着層が積層される方向から見た平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態1における保護シールの側面図である。
図3図3は、本発明の実施形態1における保護シールが被貼付物上の保護対象物に貼付される状態を示す側面図である。
図4図4は、本発明の実施形態1における保護シールが保護対象物とともに被貼付物に貼付される状態を示す側面図である。
図5図5は、本発明の実施形態1の変形例1における保護シールの剥離紙が位置する方向からみた平面図である。
図6図6は、本発明の実施形態1の変形例1における保護シールの側面図である。
図7図7は、本発明の実施形態1の変形例1における保護シールが保護対象物とともに被貼付物に貼付されるまでの状態を示す側面図である。
図8図8は、本発明の実施形態1の変形例2における保護シールに保護対象物が静電気力によって密着する状態を示す側面図である。
図9図9は、本発明の実施形態1の変形例3における保護シールの粘着層が積層される方向から見た平面図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態における保護シールの印刷層が積層される方向から見た平面図及び写真に貼付した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下で、本発明に係る位置決め装置について図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表していない。
【0033】
[実施形態1]
<保護シール1の構成>
図1及び図2を用いて、本発明に係る保護シールの実施形態1である保護シール1について説明する。図1は、本発明の実施形態1における保護シール1の粘着層3が積層される方向から見た平面図である。図2は、保護シール1の側面図である。
【0034】
図1及び図2に示すように、保護シール1は、保護対象物である写真Pを保護するシールである。保護シール1は、写真P(図3参照)を被貼付物であるスマートフォンS(図3参照)に貼付した状態で保護する。本実施形態において、写真Pは、インスタントカメラで撮影し、長方形状の印画紙に焼き付けた紙焼写真とする。保護シール1は、基材である保護フィルム2と、粘着層3と、粘着力抑制層4とを有する。
【0035】
保護フィルム2は写真Pを保護する。保護フィルム2は、例えば、透明の樹脂フィルムである。保護フィルム2は、例えば、厚みが30~100μm程度である。保護フィルム2は、長方形状に形成されている。保護フィルム2は、写真Pの面積よりも大きい面積を有し、且つ写真Pの面を全て覆うことができる形状を有する。本実施形態において、保護フィルム2の長辺の長さは、写真Pの長辺の長さよりも長い。また、保護フィルム2の短辺の長さは、写真Pの短辺の長さよりも長い。
【0036】
保護フィルム2は、写真Pの長辺と保護フィルム2の長辺とが平行且つ写真Pの面と保護フィルム2の面とが平行な所定の姿勢で、保護フィルム2の長辺方向における中央且つ保護フィルム2の短辺方向における中央である写真Pが保護される領域(以下、単に「保護領域X」と記す)に位置付けられた写真Pの面の全面を覆う。つまり、保護フィルム2は、保護領域Xに所定の姿勢で位置付けられた写真Pの面の全てを保護することができる。
【0037】
粘着層3は、保護フィルム2を写真P及びスマートフォンSに貼付する。粘着層3は、粘着剤によって形成される。粘着層3は、保護フィルム2及び写真PをスマートフォンSに貼付した状態を維持できる粘着力を有する。また、粘着層3は、写真P及びスマートフォンSを含む被貼付物を損傷させずに被貼付物から剥がすことができる程度の粘着力を有する。具体的には、粘着層3は、例えば、2N/10mmから10N/10mm程度の粘着力を有する。粘着層3は、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤またはウレタン系粘着剤等から構成される。
【0038】
粘着層3は、保護フィルム2の一方の面の全面に位置している。つまり、粘着層3は、保護フィルム2の一方の面の全面を覆っている粘着剤の層である。粘着層3は、粘着層3の面に積層される粘着力抑制層4によって、2つの粘着部である第1粘着部31と、第2粘着部32とが構成される(図1のハッチング部分参照)。第1粘着部31と、第2粘着部32とは、それぞれ独立した別個の領域として構成されている。
【0039】
粘着力抑制層4は、粘着層3の粘着力を抑制する。粘着力抑制層4は、紫外線硬化ニス等の公知の透明な上塗り剤によって形成される。粘着力抑制層4は、粘着力を有さない。よって、粘着力抑制層4は、粘着層3を覆うことにより、粘着層3の粘着力を抑制する。粘着力抑制層4は、粘着層3の面の全部でない一部の範囲に塗布されている(図1の薄墨部分参照)。粘着力抑制層4は、粘着層3において、写真P及びスマートフォンSに貼付する必要がない部分に位置している。つまり、粘着力抑制層4は、粘着層3において、粘着力が必要な部分と粘着力が不要な部分とを区画する。本実施形態において、粘着力抑制層4は、粘着層3の一部の範囲を覆うことにより、それぞれが粘着力を有する複数の粘着部を構成する。保護シール1において、上述した粘着力抑制層4を含む粘着層3の厚みは、10μm~30μmとなるように調整される。
【0040】
粘着層3は、粘着力抑制層4によって、複数の粘着部である第1粘着部31と、第2粘着部32とが構成される。第1粘着部31と第2粘着部32とは、粘着力抑制層4によって覆われていない粘着層3の一部分である。粘着層3は、粘着力抑制層4によって、第1粘着部31及び第2粘着部32以外の部分が覆われている。つまり、粘着層3は、第1粘着部31及び第2粘着部32のみが粘着力を有している。
【0041】
第1粘着部31は、保護フィルム2における長辺方向の一端部に位置している。第2粘着部32は、保護フィルム2における長辺方向の他端部に位置している。第1粘着部31と第2粘着部32とは、それぞれ保護フィルム2の短辺に沿って延びている長方形状の範囲に構成されている。このように、第1粘着部31と第2粘着部32とは、保護フィルム2の一方の面上の異なる位置における複数の部分に構成されている。また、第1粘着部31及び第2粘着部32の、保護フィルム2における長辺方向の幅は、例えば5mm程度に設定される。
【0042】
第1粘着部31の一部は、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、保護領域Xの一端部に重なる位置に配置されている。つまり、第1粘着部31の一部の範囲は、保護領域Xに含まれている。第1粘着部31の保護領域Xに含まれている範囲は、保護領域Xに位置付けられた写真Pが貼付される第1写真粘着範囲31aとして機能する。同様に、第2粘着部32の一部は、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、保護領域Xの他端部に重なる位置に配置されている。つまり、第2粘着部32の一部の範囲は、保護領域Xに含まれている。第2粘着部32の保護領域Xに含まれている範囲は、保護領域Xに位置付けられた写真Pが貼付される第2写真粘着範囲32aとして機能する。
【0043】
第1粘着部31のうち第1写真粘着範囲31a以外の範囲は、スマートフォンSの背面に貼付される第1被貼付物粘着範囲31bとして機能する。同様に、第2粘着部32のうち第2写真粘着範囲32a以外の範囲は、スマートフォンSの背面に貼付される第2被貼付物粘着範囲32bとして機能する。
【0044】
このように構成される保護シール1は、保護フィルム2の一方の面に、粘着力抑制層4によって第1粘着部31と第2粘着部32とが構成された粘着層3が位置している。保護シール1は、第1粘着部31及び第2粘着部32によって、写真PまたはスマートフォンSに保護フィルム2を貼付することができる。
【0045】
<保護シール1の使用方法>
次に、図1及び図3を用いて保護シール1によって写真PをスマートフォンSの背面に貼付する方法について説明する。図3は、保護シール1がスマートフォンSの背面の写真Pに貼付される状態を示す側面図である。
【0046】
図3に示すように、保護シール1は、例えば、スマートフォンSの背面の任意の位置に置かれた写真Pが保護フィルム2の保護領域X(図1参照)に位置するように、写真Pに対して位置決めされる。保護シール1は、写真Pの画像が表示されている画像面に対して保護フィルム2の一方の面を対向させた状態で、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、所定の姿勢の写真Pに保護領域Xが重なるように位置している。この際、写真Pの長辺方向の一端部は、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、第1粘着部31の第1写真粘着範囲31aに重なっている。写真Pの長辺方向の他端部は、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、第2粘着部32の第2写真粘着範囲32aに重なっている(図1参照)。
【0047】
第1粘着部31の第1写真粘着範囲31aは、写真Pの長辺方向の一端部に貼付される。第2粘着部32の第2写真粘着範囲32aは、写真Pの長辺方向の他端部に貼付される。第1写真粘着範囲31a及び第2写真粘着範囲32aは、写真Pにおいて画像を囲んでいる枠部分に貼付される。よって、第1粘着部31及び第2粘着部32は、写真Pの視認性を低下させたり、粘着力によって写真Pの画像部分を破損したりすることがない。
【0048】
保護シール1は、第1粘着部31及び第2粘着部32によって、写真Pを保護領域Xに所定の姿勢で保持する。また、保護シール1は、第1粘着部31及び第2粘着部32以外の部分によって、写真Pを保持していない。この際、保護フィルム2は、保護領域Xに位置付けられた写真Pの面の全てを覆っている。
【0049】
次に、保護シール1は、写真PとともにスマートフォンSの背面に貼付される。保護シール1は、第1粘着部31の第1写真粘着範囲31a及び第2粘着部32の第2写真粘着範囲32aに写真Pが貼付された状態でスマートフォンSの背面に貼付される。第1粘着部31において、写真Pが貼付されていない範囲である第1被貼付物粘着範囲31bは、スマートフォンSの壁面に貼付される。第2粘着部32において、写真Pが貼付されていない範囲である第2被貼付物粘着範囲32bは、スマートフォンSの壁面に貼付される。つまり、第1粘着部31及び第2粘着部32には、それぞれ写真Pの一部とスマートフォンSの一部とが貼付される。このように、保護シール1は、写真Pに対して位置決めされた状態でスマートフォンSの背面に貼付される。一方、保護フィルム2における第1粘着部31と第2粘着部32とが位置する部分以外の部分は、写真PとスマートフォンSとに貼付されない。
【0050】
また、保護シール1は、第1粘着部31及び第2粘着部32に貼付された写真Pの剛性によって、写真Pに貼付した保護フィルム2の状態が維持される。よって、保護シール1は、スマートフォンSに貼付する際、たるみ、よれ、しわ等が生じたり、第1粘着部31と第2粘着部32とが互いに粘着したりしない。
【0051】
このように構成される保護シール1は、粘着層3が、粘着力抑制層4によって、粘着力を有する部分である第1粘着部31及び第2粘着部32と、粘着力を有さない部分とに区分されている。よって、粘着層3は、粘着力を抑制するための粘着力抑制フィルム等で覆う必要がないので、写真P及びスマートフォンSに貼付する際に粘着力抑制フィルムの剥離等が生じない。また、保護シール1は、粘着力抑制フィルムによって第1粘着部31及び第2粘着部32を構成する場合に比べて薄い。
【0052】
また、保護シール1は、第1写真粘着範囲31a及び第2写真粘着範囲32aに写真Pが貼付されるとともに、第1被貼付物粘着範囲31b及び第2被貼付物粘着範囲32bによってスマートフォンSの背面に貼付される。つまり、保護シール1は、第1粘着部31及び第2粘着部32のみによって、写真Pに貼付され且つスマートフォンSに貼付される。これにより、所定の形状を有する写真Pに対する位置決め及びスマートフォンSに対する位置決めを容易に行うことができる。
【0053】
また、保護シール1は、保護フィルム2における第1粘着部31と第2粘着部32とが位置する部分以外の部分と写真P及びスマートフォンSとの間を空気が通過可能に構成されているので、保護フィルム2と写真P、及び保護フィルム2とスマートフォンSとの間に空気溜まり等が構成されない。これにより、保護シール1は、写真P及びスマートフォンSに対して容易に貼付することができる。
【0054】
なお、図1及び図4に示すように、保護シール1は、第1写真粘着範囲31a及び第2写真粘着範囲32aに写真Pが貼付された状態で、第1被貼付物粘着範囲31b及び第2被貼付物粘着範囲32bによって写真Pと一体にスマートフォンSの背面に貼付されてもよい。保護シール1は、保護フィルム2に対して写真Pが保護領域Xに所定の姿勢で位置付けられる。写真Pの長辺方向の一端部は、第1写真粘着範囲31aに貼付される。写真Pの長辺方向の他端部は、第2写真粘着範囲32aに貼付される(図1参照)。
【0055】
写真Pが貼付された保護シール1は、スマートフォンSに対して任意の位置に位置決めされる。保護シール1は、第1被貼付物粘着範囲31b及び第2被貼付物粘着範囲32bによってスマートフォンSの背面に貼付される。この際、保護フィルム2の両端部に位置する第1粘着部31及び第2粘着部32は、写真Pに対して位置決めされている。つまり、保護シール1は、写真Pによって、第1粘着部31及び第2粘着部32の相対位置が保持される。よって、保護シール1は、写真Pと一体でスマートフォンSに貼付する際に、第1粘着部31と第2粘着部32同士が貼付されることがないので、取り扱いが容易になる。また、保護シール1は、厚みが薄いほど、保護シール1と写真P、さらにスマートフォンSとの一体感がより強まる。これにより、写真Pを貼り付けたスマートフォンSの見栄えが向上する。
【0056】
[実施形態1の変形例1]
以下に、図5から図7を用いて、本発明に係る保護シールの実施形態1の変形例1に係る保護シール1Aついて説明する。図5は、本発明の変形例1における保護シール1Aの剥離紙5が位置する方向からみた平面図である。図6は、保護シール1Aの側面図である。図7は、保護シール1Aが写真PとともにスマートフォンSに貼付される状態を示す側面図である。
【0057】
保護シール1Aは、剥離紙5を有する点で保護シール1と異なる。以下の各変形例において、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0058】
<保護シール1Aの構成>
図5図6に示すように、保護シール1Aは、保護フィルム2と、粘着層3と、粘着力抑制層4と、剥離紙5とを有する。
【0059】
剥離紙5は、保護フィルム2の保護領域X、粘着層3の第1粘着部31及び第2粘着部32を保護する。剥離紙5は、基材である紙の一方の面に、例えば、シリコーンを含む公知の剥離剤が塗布されている。これにより、剥離紙5は、粘着層3の粘着状態を維持したまま、粘着層3への貼付及び粘着層3からの剥離が可能である。剥離紙5は、少なくとも第1粘着部31及び第2粘着部32を覆っている。本実施形態において、剥離紙5は、保護フィルム2と同一の形状に形成されている。剥離紙5は、剥離剤が塗布された面に第1粘着部31及び第2粘着部32が貼付された状態で、粘着層3と粘着力抑制層4との全面を覆っている。
【0060】
剥離紙5は、第1粘着部31の第1写真粘着範囲31a及び第2粘着部32に貼付されている部分を含む第1区画部51と、第1粘着部31の第1被貼付物粘着範囲31bに貼付されている部分を含む第2区画部52とに分割されている。本実施形態において、剥離紙5は、第1写真粘着範囲31aと第1被貼付物粘着範囲31bとの境界によって第1区画部51と第2区画部52とに分割されている。剥離紙5は、第1区画部51及び第2区画部52をそれぞれ別個に粘着層3から剥離することができる。これにより、保護シール1Aは、第1粘着部31及び第2粘着部32のうちいずれか一方が粘着力を発揮している状態にすることができる。
【0061】
剥離紙5は、剥離剤が塗布されていない他方の面に所定の姿勢の写真Pを保護領域Xに位置付けるための印Yを有している。本実施形態において、印Yは、保護領域Xに位置付けられた写真Pの長辺方向の一端部の外縁の位置を示す。印Yは、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、第1粘着部31及び第2粘着部32のうち少なくとも一方に重なる。また、印Yは、第1粘着部31における第1写真粘着範囲31aと第1被貼付物粘着範囲31bとの境界及び第2粘着部32における第2写真粘着範囲32aと第2被貼付物粘着範囲32bとの境界の少なくとも一つを示している。
【0062】
本実施形態において、印Yは、第1写真粘着範囲31aと第1被貼付物粘着範囲31bとの境界を示している。よって、第1写真粘着範囲31aと第1被貼付物粘着範囲31bとの境界において分割されている第1区画部51と第2区画部52との分割線は、印Yのとして機能している。
【0063】
<保護シール1Aの使用方法>
次に、図7を用いて保護シール1Aによって写真PをスマートフォンSの背面に貼付する方法について説明する。図7は、保護シール1Aが写真PとともにスマートフォンSに貼付されるまでの状態を示す側面図である。なお、写真Pは、スマートフォンSの背面上に配置されている。
【0064】
図7に示すように、保護シール1Aは、保護フィルム2から剥離紙5の第1区画部51が剥離される(図7の第1工程及び第2工程参照)。これにより、保護シール1Aは、第1被貼付物粘着範囲31bに剥離紙5の第2区画部52が添付されている状態になる。また、第2区画部52における第1区画部51側の外縁は、印Yとして保護領域Xに位置する写真Pの長辺方向の端部の外縁の位置を示す第1写真粘着範囲31aの外縁を表している。
【0065】
保護シール1Aは、保護フィルム2の短辺方向の略中央において、第2区画部52の外縁である印Yと、スマートフォンSの背面上に配置された写真Pの長辺方向の一端部の外縁とが重なるように配置される。これにより、保護シール1Aの保護領域Xには、写真Pが所定の姿勢で位置する。この際、保護シール1Aの第1写真粘着範囲31aは、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、写真Pの長辺方向の一端部に重なっている。保護シール1Aの第2写真粘着範囲32aは、保護フィルム2の一方の面に垂直な方向に見て、写真Pの長辺方向の他端部に重なっている。
【0066】
次に、保護シール1Aは、第1写真粘着範囲31aが写真Pの長辺方向の一端部に貼付され、第2写真粘着範囲32aが写真Pの他端部に貼付される。更に、保護シール1Aは、第2被貼付物粘着範囲32bがスマートフォンSに貼付される(図7の第3工程参照)。保護シール1Aは、印Yを基準として写真Pに対する位置決めを行うことにより、写真Pが保護領域Xに位置する状態において、写真PとスマートフォンSとに貼付される。
【0067】
次に、保護シール1Aは、剥離紙5の第2区画部52が第1被貼付物粘着範囲31bから剥離される(図7の第4工程参照)。この際、保護シール1Aは、写真P及びスマートフォンSに貼付されていることにより,写真P及びスマートフォンSに対する位置が保持される。次に、保護シール1Aは、第1被貼付物粘着範囲31bがスマートフォンSに貼付される(図7の第5工程参照)。
【0068】
このように構成される保護シール1Aは、第1区画部51と第2区画部52の分割線である印Yを写真Pの位置合わせに利用することにより、保護領域Xに写真Pを位置づけることができる。また、保護シール1Aは、剥離紙5の分割線である第2区画部52の外縁が印Yとして機能しているので、保護フィルム2における第1粘着部31及び第2粘着部32が塗布されていない方の面から印Yを視認することができる。これにより、写真Pに対する位置決め及びスマートフォンSに対する位置決めを容易に行うことができる。また、スマートフォンSに対して写真Pとともに容易に貼付することができる。
【0069】
[実施形態1の変形例2]
以下に、図8を用いて、本発明に係る保護シールの実施形態1の変形例2に係る保護シール1Bついて説明する。図8は、本発明の変形例2における保護シール1Bに写真Pが静電気力によって密着する状態を示す側面図である。
【0070】
保護シール1Bは、保護フィルム2Bがポリエチレンテレフタラートによって構成されている点で保護シール1Aと異なる。
【0071】
<保護シール1Bの構成>
図8に示すように、保護シール1Bは、保護フィルム2Bと、粘着層3と、粘着力抑制層4と、紙を基材とする剥離紙5とを有する。
【0072】
保護フィルム2Bは写真Pを保護する。保護フィルム2Bは、透明のポリエチレンテレフタラート(以下、単に「PET」と記す)によって構成される。保護フィルム2Bは、例えば、厚みが30~70μm程度のフィルムである。
【0073】
PETは、絶縁体であるため、PET製の保護フィルム2Bは、剥離紙5から剥離した際に剥離帯電によって、例えば、マイナスの静電気が帯電する。静電気が帯電した保護フィルム2Bは、PETよりもプラスの静電気が帯電し易い紙製の写真Pに対して静電気力(クーロン力)が生じる。
【0074】
<保護シール1Bの使用方法>
保護シール1Bは、第1粘着部31及び第2粘着部32から剥離紙5が剥離される。保護フィルム2Bは、剥離帯電によりマイナスの静電気が帯電する(図8の最も上流の工程である第1工程及び第2工程参照)。
【0075】
次に、保護シール1Bは、保護領域Xに写真Pが位置するように写真Pに重ねられる(図8の第3工程参照)。この際、マイナスの電荷が帯電した保護フィルム2Bは、静電気力によって写真Pのプラス電荷に引き付けられ、写真Pに密着する。よって、保護シール1Bは、静電気力によって、保護領域Xに写真Pが位置する状態で位置付けられる。
【0076】
次に、静電気力によって写真Pが保護領域Xに位置付けられた状態において、第1粘着部31は、保護領域Xに位置付けられた写真Pの長辺方向の一端部及びスマートフォンSに貼付される。同様に、第2粘着部32は、写真Pの長辺方向の他端部及びスマートフォンSに貼付される(図8の第4工程参照)。この際、保護フィルム2Bの第1粘着部31及び第2粘着部32が位置しない部分且つ写真Pに密着していない部分は、PETよりもプラスの静電気が帯電し易い金属製のスマートフォンSの背面に静電気力によって密着する。
【0077】
よって、保護シール1Bは、第1粘着部31及び第2粘着部32が写真P及びスマートフォンSに貼付された際に、保護フィルム2Bにたるみが生じたり、保護フィルム2Bと写真P及びスマートフォンSとの間に隙間が生じたりし難い。これにより、写真Pに対する位置決め及びスマートフォンSに対する位置決めを容易に行うことができる。また、スマートフォンSに対して写真Pとともに容易に貼付することができる。
【0078】
[実施形態1の変形例3]
以下に、図9を用いて、本発明に係る保護シールの実施形態1の変形例3に係る保護シール1Cついて説明する。図9は、本発明の変形例3における保護シール1Cの粘着層3が積層される方向から見た平面図である。
【0079】
保護シール1Cは、保護フィルム2に対する粘着層3の第1粘着部31C及び第2粘着部32Cの配置が保護シール1と異なる。
【0080】
<保護シール1Cの構成>
図9に示すように、保護シール1Cは、保護フィルム2と、粘着層3と、粘着力抑制層4とを有する(図3参照)。
【0081】
粘着層3は、粘着層3の面に積層される粘着力抑制層4によって、複数の粘着部である第1粘着部31Cと、第2粘着部32Cとが構成される。
【0082】
第1粘着部31Cは、保護フィルム2における長辺方向の一端部に位置している。第2粘着部32Cは、保護フィルム2における長辺方向の他端部に位置している。第1粘着部31Cと第2粘着部32Cとは、それぞれ保護フィルム2の短辺に沿って延びている長方形状の範囲に構成されている。第1粘着部31Cの外縁及び第2粘着部32Cの外縁は、保護フィルム2の外縁よりも所定量Z離れている。つまり、第1粘着部31Cの外縁及び第2粘着部32Cの外縁から外方に向かって保護フィルム2が所定量Z延びている。
【0083】
保護シール1Cは、スマートフォンSに貼付された状態で保護フィルム2の面に垂直な方向の外力が加わった場合、第1粘着部31C及び第2粘着部32Cが保護フィルム2の面に沿って押し広げられる。この際、保護フィルム2の外縁は、第1粘着部31Cの外縁及び第2粘着部32Cの外縁から離れているので、第1粘着部31C及び第2粘着部32Cが押し広げられても保護フィルム2からはみ出さない。これにより、保護シール1は、貼付後に外力によって保護フィルム2からはみ出した第1粘着部31C及び第2粘着部32Cへの異物の付着などを防ぎ、美観を維持することができる。
【0084】
[その他の実施形態]
なお、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cは、透明の保護フィルム2、2Bによって写真Pを覆っている。よって、保護シール1、1A、1B、1Cは、保護フィルム2を透過して印画紙及び印画紙に表示されている画像を含む写真Pの全体を視認することができる。しかしながら、図10に示すように、保護シール1Dは、保護フィルム2における粘着層3が位置しない方の面に写真Pを装飾する印刷層6を有していてもよい。図10は、本発明の他の実施形態における保護シール1Dの印刷層6が積層される方向から見た平面図及び写真Pに貼付した状態を示す平面図である。
【0085】
図10に示すように、保護シール1Dが有する印刷層6は、保護領域Xに位置付けられた写真Pを装飾する任意の色の文字、装飾文字、図形、写真、ホログラム等を含む。印刷層6は、保護フィルム2の他方の面に位置する。印刷層6は、例えば、保護フィルム2の他方の面に文字、図形等を表示するために公知の塗料が焼き付けられた層である。また、印刷層6は、例えば、文字、図形等を立体的に表示するホログラム加工が施された層である。なお、ホログラムは、保護フィルム2に塗布したポリビニルアルコール等の水溶性樹脂に、予めホログラム加工されたフィルムのホログラムパターンを転写することで形成される。
【0086】
保護シール1Dは、印刷層6によって、保護フィルム2が覆っている写真Pの一部を隠すことができる。また、保護シール1Dは、印刷層6によって、写真Pを装飾することができる。これにより、保護シール1Dは、写真Pの装飾性を向上させることができる。
【0087】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cは、透明の保護フィルム2によって写真Pを覆っている。よって、写真Pは、保護シール1、1A、1B、1Cによって保護されていても保護フィルム2を透過する紫外線等によって劣化する。そこで、保護シールは、紫外線吸収剤等を含む保護フィルム、または紫外線吸収剤等が塗布された保護フィルムによって構成されてもよい。これにより、保護シールは、保護フィルムによって保護対象物を覆うことにより、保護対象物に傷等が生じるのを抑制するとともに、紫外線等を吸収することにより、紫外線等による保護対象物の変色、劣化等を抑制することができる。
【0088】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cは、透明の保護フィルム2によって写真Pを覆っている。しかしながら、保護フィルムは、着色された保護フィルムでもよい。保護フィルムは、保護フィルムによって覆われた保護対象物を視認可能なフィルムであればよい。
【0089】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cは、長方形状の保護フィルム2によって写真Pを覆っている。しかしながら、保護フィルムは、保護対象物を覆うことができる形状であればよい。保護フィルムは、例えば、円形、楕円形、正方形、星形等でもよい。
【0090】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cの粘着層3は、粘着層3の一部に粘着力抑制層4が塗布されることにより、第1粘着部31及び第2粘着部32が構成されている。しかしながら、粘着層は、粘着層の一部に粘着力抑制フィルムが貼付されることにより、複数の粘着部を構成してもよい。
【0091】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cの粘着層3には、粘着層3の一部に粘着力抑制層4が塗布されることにより、長方形状の第1粘着部31及び第2粘着部32が保護フィルム2の長手方向の両端部に構成されている。しかしながら、複数の粘着部は、保護対象物の一部及び被貼付物の一部に貼付可能な位置及び形状であればよい。つまり、複数の粘着部は、長方形以外の形状でもよい。また、複数の粘着部は、保護フィルムの両端部でなくてもよい。
【0092】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cの粘着層3には、粘着層3の一部に粘着力抑制層4が塗布されることにより、長方形状の第1粘着部31及び第2粘着部32が保護フィルム2の長手方向の両端部に構成されている。しかしながら、複数の粘着部は、保護フィルムにおいて粘着力を生じさせたい位置に、粘着剤を塗布する構成でもよい。複数の粘着部は、例えば、粘着力抑制層を使用せずに、保護領域Xに配置された保護対象物の一部及び被貼付物に貼付可能な範囲に粘着剤が塗布されている。
【0093】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cの第1粘着部31及び第2粘着部32は、写真P及びスマートフォンSにそれぞれ貼付される。しかしながら、複数の粘着部は、保護対象物または被貼付物の一方に貼付される位置に構成されてもよい。複数の粘着部のうち一部の粘着部は、例えば、保護対象物のみに貼付される。また、複数の粘着部のうち一部の粘着部は、例えば、被貼付物のみに貼付される。
【0094】
また、上述の各実施形態において、保護シール1、1A、1B、1Cは、写真Pが貼付された保護フィルム2がスマートフォンSに貼付される。しかしながら、保護シールは、被貼付物である冊子の紙面に保護対象物である写真を貼付するために用いてもよい。保護シールは、写真を保持することによりアルバムを作成可能である。
【0095】
また、上述の実施形態2において、保護シール1Aの剥離紙5には、写真Pが保護領域Xに位置付けられた際の写真Pの長辺方向の端部の外縁を示す印Yとして、分割線が構成されている。しかしながら、保護対象物を所定の保護領域に位置付ける印は、印刷、エンボス加工、切り込み等、保護対象物を位置決め可能な構成であればよい。また、印は、保護対象物を位置付ける位置を示す印でなくてもよい。印は、例えば、等間隔に並ぶ複数の線が直交している升目でもよい。また、印は、粘着層に構成されていてもよい。
【0096】
また、上述の実施形態2において、保護シール1Aの剥離紙5には、第1区画部51と第2区画部52とに切断されている。しかしながら、剥離紙は、第1区画部及び第2区画部のうち一方だけを剥離可能に構成されていればよい。剥離紙は、例えば、ミシン目、ハーフカット等によって第1区画部と第2区画部とに切断可能に構成されていてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態3において、保護シール1Bは、透明のポリエチレンテレフタラートによって構成される保護フィルム2Bによって写真Pを覆っている。しかしながら、保護フィルムは、透明のポリエチレンテレフタラートでなくてもよい。保護フィルムは、剥離帯電によって静電気力が生じる部材であればよい。
【0098】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1、1A、1B、1C、1D 保護シール
2、2B 保護フィルム
3 粘着層
31、31C 第1粘着部
31a 第1写真粘着範囲
31b 第1被貼付物粘着範囲
32、32C 第2粘着部
32a 第2写真粘着範囲
32b 第2被貼付物粘着範囲
4 粘着力抑制層
5 剥離紙
51 第1区画部
52 第2区画部
6 印刷層
X 保護領域
Y 印
P 写真
S スマートフォン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10