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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025142971
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250924BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20250924BHJP
   G05D 7/06 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
H01L21/306 J
G05D7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024042627
(22)【出願日】2024-03-18
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】生和 高明
(72)【発明者】
【氏名】平尾 司
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
5H307
【Fターム(参考)】
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE29
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157CD32
5F157CE83
5F157CF02
5F157CF14
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF99
5F157DA43
5H307AA01
5H307BB05
5H307DD17
5H307EE01
5H307EE06
5H307FF02
5H307HH12
(57)【要約】
【課題】流量調整機構の長寿命化が可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】
基板処理装置は、配管と、処理液供給部と、流量計と、平滑処理部と、流量調整機構とを備える。前記配管では処理液が流通する。前記処理液供給部は、前記配管を通じて前記処理液を基板に供給する。流量計は、配管における流量を計測する。平滑処理部は、流量計で計測された流量に対して平滑処理を実行する。流量調整機構は、流量の目標値と、平滑処理の結果とに基づいて流量を調整する。流量計で計測された流量が第1範囲内である場合、平滑処理部は、第1時定数に基づいて平滑処理を実行する。流量計で計測された流量が第1範囲よりも目標値に近い第2範囲内である場合、平滑処理部は、第1時定数より長い第2時定数に基づいて平滑処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が流通する配管と、
前記配管を通じて前記処理液を基板に供給する処理液供給部と、
前記配管における流量を計測する流量計と、
前記流量計で計測された前記流量に対して平滑処理を実行する平滑処理部と、
前記流量の目標値と、前記平滑処理の結果とに基づいて、前記流量を調整する流量調整機構と、
を備え、
前記流量計で計測された前記流量が第1範囲内である場合、前記平滑処理部は、第1時定数に基づいて前記平滑処理を実行し、
前記流量計で計測された前記流量が前記第1範囲よりも前記目標値に近い第2範囲内である場合、前記平滑処理部は、前記第1時定数より長い第2時定数に基づいて前記平滑処理を実行する、基板処理装置。
【請求項2】
前記流量計で計測された前記流量が前記第1範囲から前記第2範囲に変化したことに応じて、前記平滑処理部は、前記第1時定数に基づく前記平滑処理を終了して、前記第2時定数に基づく前記平滑処理を開始する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記流量計で計測された前記流量が前記第2範囲から前記第1範囲に変化したことに応じて、前記平滑処理部は、前記第2時定数に基づく前記平滑処理を終了して、前記第1時定数に基づく前記平滑処理を開始する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記流量調整機構は、前記配管における前記処理液の流量を調整するモーターニードルバルブを含む、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記平滑処理部は、前記平滑処理において、前記第1時定数又は前記第2時定数で前記流量の変化量を除する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理の手順を規定するレシピデータを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記レシピデータに基づいて、前記平滑処理部に前記第1時定数及び前記第2時定数を設定する設定処理部を更に備える、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
配管を通じて処理液を基板に供給する工程と、
前記配管における流量を流量計により計測する工程と、
前記流量計により計測された前記流量が第1範囲内である場合に、第1時定数に基づいて前記流量に対して第1平滑処理を実行する工程と、
前記流量計により計測された前記流量が前記第1範囲よりも、前記流量の目標値に近い第2範囲内である場合に、前記第1時定数より長い第2時定数に基づいて第2平滑処理を実行する工程と、
前記流量の目標値と、前記第1平滑処理又は前記第2平滑処理の結果とに基づいて、前記流量を調整する工程と
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に係る基板処理装置は、基板に対して液処理を行う複数の処理ユニットと、処理ユニットに処理液を供給する処理流体供給源とを有する。処理流体供給源からの処理液は、供給ラインを流通する。供給ラインにおける処理液の流量は、流量調整機構により設定流量に調整される。詳細には、流量調整機構では、弁体が弁座を繰り返し開閉することで流量が設定流量に調整される。設定流量の処理液は、供給ラインを通じて基板に吐出される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-213145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板処理装置では、弁体が弁座に繰り返し接触するため、流量調整機構が比較的早く劣化するという問題点があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流量調整機構の長寿命化が可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、基板処理装置は、配管と、処理液供給部と、流量計と、平滑処理部と、流量調整機構とを備える。前記配管では処理液が流通する。前記処理液供給部は、前記配管を通じて前記処理液を基板に供給する。前記流量計は、前記配管における流量を計測する。前記平滑処理部は、前記流量計で計測された前記流量に対して平滑処理を実行する。前記流量調整機構は、前記流量の目標値と、前記平滑処理の結果とに基づいて、前記流量を調整する。前記流量計で計測された前記流量が第1範囲内である場合、前記平滑処理部は、第1時定数に基づいて前記平滑処理を実行する。前記流量計で計測された前記流量が前記第1範囲よりも前記目標値に近い第2範囲内である場合、前記平滑処理部は、前記第1時定数より長い第2時定数に基づいて前記平滑処理を実行する。
【0007】
ある実施形態において、前記流量計で計測された前記流量が前記第1範囲から前記第2範囲に変化したことに応じて、前記平滑処理部は、前記第1時定数に基づく前記平滑処理を終了して、前記第2時定数に基づく前記平滑処理を開始する。
【0008】
ある実施形態において、前記流量計で計測された前記流量が前記第2範囲から前記第1範囲に変化したことに応じて、前記平滑処理部は、前記第2時定数に基づく前記平滑処理を終了して、前記第1時定数に基づく前記平滑処理を開始する。
【0009】
ある実施形態において、前記流量調整機構は、前記配管における前記処理液の流量を調整するモーターニードルバルブを含む。
【0010】
ある実施形態において、前記平滑処理部は、前記平滑処理において、前記第1時定数又は前記第2時定数で前記流量の変化量を除する。
【0011】
ある実施形態において、前記基板処理装置は、記憶部と、設定処理部とを更に備える。前記記憶部は、前記基板処理装置による処理の手順を規定するレシピデータを記憶する。前記設定処理部は、前記記憶部に記憶された前記レシピデータに基づいて、前記平滑処理部に前記第1時定数及び前記第2時定数を設定する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、基板処理方法は、配管を通じて処理液を基板に供給する工程と、前記配管における流量を流量計により計測する工程と、前記流量計により計測された前記流量が第1範囲内である場合に、第1時定数に基づいて前記流量に対して第1平滑処理を実行する工程と、前記流量計により計測された前記流量が前記第1範囲よりも、前記流量の目標値に近い第2範囲内である場合に、前記第1時定数より長い第2時定数に基づいて第2平滑処理を実行する工程と、前記流量の目標値と、前記第1平滑処理又は前記第2平滑処理の結果とに基づいて、前記流量を調整する工程とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、流量調整機構の長寿命化が可能な基板処理装置及び基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の基板処理装置を示す図である。
図2図1に示す処理ユニットを示す図である。
図3】調整バルブの断面を示す図である。
図4図1に示す処理ユニットの周辺構成を示す図である。
図5図1に示す基板処理装置のブロック図である。
図6図5に示す平滑処理部で使用される第1時定数τ1及び第2時定数τ2を示す図である。
図7図5に示す検出器の処理を示す図である。
図8】調整バルブの開度調整処理を示すフローチャートである。
図9】時間に対する流量とニードル位置とを示すグラフである。
図10】第1実施形態の基板処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を記載することがある。本実施形態では、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0016】
(第1実施形態)
図1図17を参照して、本発明の第1実施形態の基板処理装置100について説明する。図1は、第1実施形態の基板処理装置100を示す図である。
【0017】
図1に示すように、基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去、及び、洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0018】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0019】
基板処理装置100は、複数の処理ユニット10と、流体キャビネット110と、複数の流体ボックス120と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0020】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット10との間で基板Wを搬送する。処理ユニット10の各々は、処理液を基板Wに供給して、基板Wに処理を実行する。流体キャビネット110は、処理液を収容する。処理液は、例えば、薬液、リンス液、除去液及び/又は撥水剤を含む。流体キャビネット110は、処理液を収容する。なお、流体キャビネット110は、ガスを収容してもよい。
【0021】
複数の処理ユニット10は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット10(図1では3つの処理ユニット10)を含む。流体ボックス120は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット110内の処理液は、いずれかの流体ボックス120を介して、流体ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット10に供給される。
【0022】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。
【0023】
制御装置101は、制御部102及び記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を有する。又は、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0024】
記憶部104は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータ1041(図5参照)を含む。レシピデータ1041は、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。
【0025】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリーである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリー及び/又はハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0026】
次に、図2を参照して、第1実施形態の基板処理装置100における処理ユニット10を説明する。図2は、図1に示す処理ユニット10を示す図である。
【0027】
処理ユニット10は、チャンバー12と、基板保持部20とを備える。チャンバー12は、基板Wを収容する。基板保持部20は、基板Wを保持する。
【0028】
チャンバー12は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー12は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー12には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー12内に収容され、チャンバー12内で処理される。チャンバー12には、基板保持部20及び後述する処理液供給部30のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0029】
基板保持部20は、基板Wを保持する。基板保持部20は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの下面(裏面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。基板保持部20は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0030】
例えば、基板保持部20は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部20は、基板Wを下面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部20は、バキューム式であってもよい。
【0031】
例えば、基板保持部20は、スピンベース21と、チャック部材22と、シャフト23と、電動モーター24と、ハウジング25とを含む。チャック部材22は、スピンベース21に設けられる。チャック部材22は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース21には、複数のチャック部材22が設けられる。
【0032】
シャフト23は、中空軸である。シャフト23は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト23の上端には、スピンベース21が結合されている。基板Wは、スピンベース21の上方に載置される。
【0033】
スピンベース21は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト23は、スピンベース21の中央部から下方に延びる。電動モーター24は、シャフト23に回転力を与える。電動モーター24は、シャフト23を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板W及びスピンベース21を回転させる。ハウジング25は、シャフト23及び電動モーター24を取り囲んでいる。
【0034】
基板処理装置100は、処理液供給部30を更に備える。処理液供給部30は、後述の配管31を通じて供給された処理液を基板Wに供給する。典型的には、処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。
【0035】
処理液は、いわゆる薬液を含んでもよい。薬液は、例えば、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水又は燐酸を含んでもよい。
【0036】
さらに、薬液は、過酸化水素水を含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)又は王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
【0037】
処理液供給部30は、配管31と、ノズル32と、開閉バルブ33と、調整バルブ34と、流量計35とを含む。ノズル32は基板Wの上面Waに処理液を吐出する。ノズル32は、例えば、基板Wの中央部に処理液を吐出してもよいし、基板Wの中央部と周縁部との間の領域に処理液を吐出してもよい。ノズル32は、吐出口を有し、吐出口から処理液を吐出する。
【0038】
ノズル32は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。ノズル32は、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向及び/又は鉛直方向に移動できる。なお、本明細書において、図面が過度に複雑になることを避けるために移動機構を省略していることに留意されたい。ノズル32は、配管31に接続される。配管31には、供給源から処理液が供給される。配管31内では、供給された処理液が流通し、ノズル32から基板Wへと供給される。
【0039】
開閉バルブ33は、配管31に設けられ、配管31内の流路を開閉する。具体的には、開閉バルブ33は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示せず)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示せず)とを含む。
【0040】
図3は、調整バルブ34の断面を示す図である。調整バルブ34は、配管31に設けられ、配管31の流路を通過する処理液の流量を調整する。調整バルブ34は、電動式の調整バルブである。本実施形態では、調整バルブ34は、モーターニードルバルブである。モーターニードルバルブは、電動ニードルバルブとも呼ばれる。モーターニードルバルブとすることで、配管31における流量が正確に調整される。
【0041】
図3に示すように、具体的には、調整バルブ34は、ニードル341と、ステッピングモーター342と、バルブボディ343と、ケース344と、連結部材345と、シール部材346とを有する。なお、調整バルブ34は、本発明の「流量調整機構」の一部に相当する。バルブボディ343には、処理液が通過する内部流路343aが形成されている。また、バルブボディ343は、内部流路343aの一端部及び他端部にそれぞれ形成される流入口343b及び流出口343cを有する。流入口343b及び流出口343cは、配管31に繋がっている。
【0042】
ニードル341は、内部流路343aの開度を調整する。言い換えると、ニードル341は、内部流路343aを通過する処理液の流量を調整する。ステッピングモーター342は、バルブボディ343に対してニードル341を移動させる。具体的には、ステッピングモーター342は、モーターシャフト342aの軸方向にニードル341を移動させる。
【0043】
ケース344は、バルブボディ343に固定されているとともに、ステッピングモーター342及び連結部材345を収容している。連結部材345は、ステッピングモーター342のモーターシャフト342aとニードル341とを連結している。シール部材346は、ケース344とニードル341との間の隙間をシールする。シール部材346は、例えば、Oリングである。シール部材346は、内部流路343aの処理液がケース344内に漏れることを抑制する。
【0044】
また、調整バルブ34は、原点センサ347を有する。原点センサ347は、ニードル341を原点位置(基準位置)に位置させるためのセンサである。具体的には、原点センサ347は、発光素子を有する発光部347aと、受光素子を有する受光部347bとを有する。発光部347a及び受光部347bは、モーターシャフト342aに対してニードル341とは反対側に配置されている。なお、発光部347a及び受光部347bは、モーターシャフト342aに対してニードル341と同じ側に配置されてもよい。ステッピングモーター342の駆動によりモーターシャフト342aが軸方向に移動し、発光部347aから受光部347bに向かう光をモーターシャフト342aが遮光する位置が、モーターシャフト342a及びニードル341の原点位置(基準位置)である。
【0045】
ステッピングモーター342は、ニードル341を全開位置と全閉位置との間で移動させる。ステッピングモーター342がニードル341を軸方向に移動させることによって、バルブボディ343の内部流路343aの開度が変更される。内部流路343aの開度は、ニードル341を原点位置に位置させてから、ステッピングモーター342に入力される駆動電流に含まれるパルス数によって調整される。
【0046】
図2に示すように、流量計35は、配管31における流量を計測する。換言すると、流量計35は、配管31内を通過する処理液の流量を検出する。流量計35は、特に限定されるものではないが、例えば、超音波式の流量計である。また、流量計35の計測結果Vaは、本実施形態では、配管31内における流量の経時変化を示すアナログ信号であり(図6参照)、調整バルブ34の制御に用いられる。
【0047】
基板処理装置100は、カップ80を更に備える。カップ80は、基板Wから飛散した処理液を回収する。カップ80は昇降する。例えば、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ80は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する処理液を回収する。また、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0048】
上述したように、制御装置101は、制御部102及び記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部20、処理液供給部30及び/又はカップ80を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター24、開閉バルブ33及び調整バルブ34を制御する。
【0049】
なお、図2に示した処理ユニット10において、処理液供給部30は、1種類の処理液を基板Wに供給可能であるが、処理液供給部30は、複数種類の処理液を基板Wに供給可能であってもよい。例えば、処理液供給部30は、配管31、ノズル32、開閉バルブ33及び調整バルブ34をそれぞれ複数含んでもよい。
【0050】
次に、図4から図6を参照して、第1実施形態の処理ユニット10について更に説明する。図4は、図1に示す処理ユニット10の周辺構成を示す図である。図5は、第1実施形態の基板処理装置100のブロック図である。図6は、図5に示される平滑処理部412で使用される第1時定数τ1及び第2時定数τ2を示す図である。図7は、図5に示される検出器41の処理を示す図である。
【0051】
図4に示すように、基板処理装置100は、検出器41と、制御器42と、制御器43とを有する。
【0052】
図5に示されるように、検出器41は、A/D変換器411と、平滑処理部412とを有する。検出器41は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)の半導体素子で実現可能である。
【0053】
A/D変換器411は、図5に示されるように、流量計35の計測結果(即ち、アナログ値)Va(図6参照)を、予め定められたサンプリング周波数で、流量計35の計測結果を示すデジタル値Vd(図6参照)に変換する。デジタル値Vdは、図6中では、白抜きの丸で示されている。
【0054】
平滑処理部412は、制御部102により設定された時定数τで、A/D変換器411から得られるデジタル値Vdに対して平滑処理を実行し、平滑処理の結果Vsを制御器42に出力する。時定数τは、流量計35の計測結果Vaに対する平滑処理の結果Vsの応答性を表す。換言すると、時定数τは、検出器41の応答速度を表す。時定数τの単位は、秒、ミリ秒、マイクロ秒等である。平滑処理の結果Vsは、図6中では、白抜きの三角形で示されている。
【0055】
平滑処理は、典型的には、時定数τが示す時間に含まれるデジタル値Vdから、異常値又はノイズを除外する処理である。平滑処理部412は、典型的には、時定数τが示す時間で、時定数τの間におけるデジタル値Vdの変化量ΔVdを除して、平滑処理の結果Vsを制御器42に出力する。
【0056】
図6の上段には、時定数τが第1時定数τ1の場合における平滑処理の結果Vs1が示される。図6の下段には、時定数τが第2時定数τ2の場合における平滑処理の結果Vs2が示されている。図6の上段及び下段では、計測結果Vaは互いに同じとする。したがって、図6の上段及び下段では、デジタル値Vdも互いに同じである。第1時定数τ1の方が第2時定数τ2よりも短い。よって、平滑処理部412は、平滑処理の結果Vs2よりも平滑処理の結果Vs1を早く出力することになる。即ち、平滑処理部412の応答性は、時定数τが短い方が高速である。一方で、時定数τが長い方が、平滑処理の結果Vsからは異常値又はノイズが除外される。
【0057】
流量計35の計測結果Vaが第1範囲R1(図7参照)内である場合、平滑処理部412には、制御部102により第1時定数τ1が設定される。この場合、平滑処理部412は、第1時定数τ1に基づいて平滑処理を実行する。詳細には、平滑処理部412は、第1時定数τ1(図7参照)が示す時間が経過するたびに、第1時定数τ1の間におけるデジタル値Vd1の変化量ΔVd1(図5参照)を除して、平滑処理の結果Vs1として順次出力する。
【0058】
流量計35の計測結果Vaが第1範囲R1から第2範囲R2(図7参照)に変化したことに応じて、平滑処理部412は、第1時定数τ1に基づく平滑処理を終了して、第2時定数τ2(図7参照)に基づく平滑処理を開始する。第2範囲R2は、第1範囲R1よりも、配管31における流量の目標値Vtg(図7参照)に近い。また、第1範囲R1と第2範囲R2との境界値Vthは、目標値Vtgに対して、以下の所定割合を乗じた値である。目標値Vtgは、記憶部104に記憶されるレシピデータ1041(図5参照)に予め記述されている。所定割合は、例えば0.63である。
【0059】
流量計35の計測結果Vaが第2範囲R2内である場合、平滑処理部412には、制御部102により、第1時定数τ1よりも長い第2時定数τ2が設定される。この場合、平滑処理部412は、第2時定数τ2に基づいて平滑処理を実行する。詳細には、平滑処理部412は、第2時定数τ2が示す時間が経過するたびに、時定数τ2の間におけるデジタル値Vd2の変化量ΔVd2を除して、平滑処理の結果Vs2として順次出力する。
【0060】
流量計35の計測結果Vaが第2範囲R2から第1範囲R1に変化したことに応じて、平滑処理部412は、第2時定数τ2に基づく平滑処理から第1時定数τ1に基づく平滑処理に切り換える。
【0061】
図4及び図5において、制御器42は、検出器41と同じ半導体素子に実装されていてもよい。しかし、これに限らず、制御器42は、検出器41とは異なる半導体素子で実現されてもよい。なお、この点については、制御器43も同様に当てはまる。
【0062】
図5において、制御器42は、制御部102により設定される流量の目標値Vtg(図7参照)と、平滑処理の結果Vsとに基づいて、調整バルブ34のステッピングモーター342を駆動させて、配管31の流路の開度を制御する。これにより、制御器42は、配管31における流量を調整する。即ち、制御器42と調整バルブ34との組み合わせは、本発明における「流量調整機構」の一例である。
【0063】
具体的には、制御器42は、演算回路と、ドライバ回路とを含む。演算回路は、配管31における流量を示す平滑処理の結果Vsに基づくPID制御を実行する。ドライバ回路は、調整バルブ34のステッピングモーター342を駆動させる駆動電流を生成する。
【0064】
詳しくは、制御器42は、制御部102により設定される流量の目標値Vtg(図7参照)と、平滑処理の結果Vsとの偏差に基づくPID制御により、調整バルブ34のニードル341(図3参照)の現在位置(即ち、開度)を導出する。制御器42は更に、導出した現在位置に相当するパルス数の駆動電流を生成し、調整バルブ34のステッピングモーター342に入力する。これにより、調整バルブ34のステッピングモーター342は、駆動電流に基づいて回転する。この結果、ニードル341が移動して、配管31内を通過する処理液の流量が目標値Vtgに近づくように調整バルブ34の開度が調整される。なお、流量の目標値Vtgは、制御部102によって制御器42に設定される。
【0065】
制御器43は、開閉バルブ33を駆動させて、配管31を開閉する。具体的には、制御器43は、ドライバ回路を含む。ドライバ回路は、開閉バルブ33を駆動させる駆動電流を生成する。
【0066】
詳しくは、制御器43は、制御部102から入力される開閉信号に基づいて、開閉バルブ33を駆動させる駆動電流(パルス信号)を生成し、開閉バルブ33に入力する。これにより、開閉バルブ33は、配管31を開閉する。
【0067】
図5において、記憶部104には、基板処理装置100の処理を規定するレシピデータ1041が記憶される。レシピデータ1041は、少なくとも1つのレシピステップ1042を含む。レシピステップ1042は、配管31における流量の目標値Vtg、第1時定数τ1及び第2時定数τ2を示す情報を含む。
【0068】
制御部102は、記憶部104に記憶されるコンピュータプログラムを実行して、基板処理装置100の各部を制御する。
【0069】
制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0070】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数の処理ユニット10のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wを処理ユニット10から受け取って、基板Wを搬出する。
【0071】
制御部102は、基板保持部20を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更及び基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部20を制御して、基板保持部20の回転数を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部20の電動モーター24の回転数を変更することによって、基板Wの回転数を変更できる。
【0072】
制御部102は、開閉バルブ33を制御して、開閉バルブ33の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、制御器43に制御信号(開閉信号)を送信することによって、開閉バルブ33を開状態又は閉状態にする。これにより、配管31内の処理液を通過させたり、通過させなかったりできる。
【0073】
また、制御部102は、制御器42を制御して、調整バルブ34の開度を調整することができる。
【0074】
次に、図5から図8を参照して、第1実施形態の基板処理装置100を更に説明する。図8は、調整バルブ34の開度調整処理を示すフローチャートである。開度調整処理は、ステップS101~S110を含む。
【0075】
ステップS101において、制御部102は、記憶部104からレシピデータ1041を読み出す。制御部102は、レシピステップ1042から目標値Vtg、第1時定数τ1及び第2時定数τ2を示す情報を読み出して、検出器41の平滑処理部412に転送する。平滑処理部412は、転送されてきた情報を内部メモリーに書き込む。平滑処理部412は更に、目標値Vtgに所定割合を乗じることで境界値Vthを導出し内部メモリーに書き込む。
【0076】
換言すると、制御部102は、ステップS101において、記憶部104に記憶されたレシピデータ1041に基づいて、平滑処理部412に第1時定数τ1及び第2時定数τ2を設定する設定処理部1021として機能する。
【0077】
ステップS102において、制御器43は、制御部102から入力される開閉信号に基づいて、開閉バルブ33を開ける。
【0078】
ステップS103において、制御部102は、制御器42に、調整バルブ34におけるニードル341の初期位置を設定する。初期位置は、予め定められた位置であってもよい。制御器42は、設定された初期位置にニードル341が位置するように、ステッピングモーター342に駆動電流を与える。
【0079】
ステップS101~S103により、基板処理装置100は、配管31を通じて供給された処理液を基板に供給することを開始する。
【0080】
ステップS104において、基板処理装置100は、配管31における流量を流量計35により計測する。その結果、流量計35の計測結果Vaが検出器41に出力される。
【0081】
ステップS105において、検出器41におけるA/D変換器411は、入力された計測結果Vaをデジタル値Vdに変換し、平滑処理部412に出力する。
【0082】
ステップS106において、平滑処理部412は、デジタル値Vdが境界値Vthに達したか否かを判定する。デジタル値Vdが境界値Vthに達していない場合(ステップS106でNo)、処理は、ステップS107に進む。デジタル値Vdが境界値Vthに達している場合(ステップS106でYes)、処理は、ステップS107に進む。
【0083】
ステップS107において、配管31内の流量が過渡領域にあるとして、平滑処理部412は、第1平滑処理を実行する。詳細には、平滑処理部412は、デジタル値Vdの入力開始から第1時定数τ1の間、デジタル値Vdを保持する。第1時定数τ1の経過後に、平滑処理部412は、第1時定数τ1の間におけるデジタル値Vdの変化量ΔVd1を除して、第1平滑処理の結果Vs1を導出する。平滑処理部412は、第1平滑処理の結果Vs1を、制御器42に出力する。
【0084】
ステップS108において、制御器42は、流量の目標値Vtgと、第1平滑処理の結果Vs1との偏差に基づくPID制御により、調整バルブ34のニードル341(図3参照)の現在位置(即ち、開度)を導出する。制御器42は更に、導出した現在位置に相当するパルス数の駆動電流を生成し、調整バルブ34のステッピングモーター342に入力する。これにより、配管31内を通過する処理液の流量が目標値Vtgに近づくように調整バルブ34の開度が調整される。
【0085】
ステップS108の終了後、処理は、ステップS106に戻る。
【0086】
ステップS109において、配管31内の流量が安定領域(定常状態ともいう)に遷移したとして、平滑処理部412は、第2平滑処理を実行する。詳細には、平滑処理部412は、デジタル値Vdの入力開始から第2時定数τ2の間、デジタル値Vdを保持する。第2時定数τ2の経過後に、平滑処理部412は、第2時定数τ2の間におけるデジタル値Vdの変化量ΔVd2を除して、第2平滑処理の結果Vs2を導出する。平滑処理部412は、第2平滑処理の結果Vs2を、制御器42に出力する。
【0087】
ステップS110において、制御器42は、流量の目標値Vtgと、第2平滑処理の結果Vs2との偏差に基づくPID制御により、調整バルブ34のニードル341(図3参照)の現在位置(即ち、開度)を導出する。制御器42は更に、導出した現在位置に相当するパルス数の駆動電流をステッピングモーター342に与える。これにより、配管31内を通過する処理液の流量が目標値Vtg付近で変動するように調整バルブ34の開度が調整される。
【0088】
ステップS110の終了後、処理は、ステップS106に戻る。
【0089】
図8の調整バルブ34の開度調整によれば、デジタル値Vd(即ち、配管31における流量)が境界値Vthに達するまでの過渡領域では、第1平滑化処理が実施される。第1平滑化処理の結果Vs1は、図6に示されるように、第2平滑処理の結果Vs2よりも、実際の配管31における流量に追従する。PID制御では、第1平滑化処理の結果Vs1が使用されるため、流量の目標値Vtgと、第1平滑処理の結果Vs1との偏差が素早く小さくなる。その結果、図9の上段に示されるように、配管31の流量が目標値Vtgに近づくまでの間に、ニードル341の位置P1は、矢印A1で示されるように比較的オーバーシュートしない。即ち、過度領域におけるニードル341の総移動量が少なく済む。
【0090】
仮にPID制御で第2平滑化処理の結果Vs2が使用された場合、流量の目標値Vtgと、第2平滑処理の結果Vs2との偏差が素早く小さくならない。その結果、図9の下段に示されるように、配管31の流量が目標値Vtgに近づくまでの間に、ニードル341の位置P2は、矢印A2で示されるように大きくオーバーシュートする。
【0091】
一方、デジタル値Vd(即ち、配管31における流量)が境界値Vthに達した後の安定領域では、第2平滑化処理が実施される。第2平滑化処理の結果Vs2は、図6に示されるように、第1平滑処理の結果Vs1よりも、特異値又はノイズの影響が少ない。安定領域では、このような第2平滑化処理の結果Vs2がPID制御で使用されるため、流量の目標値Vtgと、第2平滑処理の結果Vs2との偏差が小さくなる。その結果、安定領域の間にニードル341を移動させる量が少なく済む。
【0092】
以上により、調整バルブ34(即ち、流量調整機構)の長寿命化が可能となる。
【0093】
なお、処理液の供給終了後に関しては、図8のステップS101において目標値Vtgをゼロに設定すればよい。それゆえ、処理液の供給終了後における開度調整処理の説明を控える。
【0094】
(第2実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態の基板処理装置100について説明する。図10は、第2実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。第2実施形態では、基板処理装置100が、複数の処理ユニット10に処理液を供給する共通配管600と、共通配管600内の圧力を検出する圧力計730とを備える例について説明する。なお、図10では、便宜上、基板処理装置100が備える処理ユニット10のうち2つの処理ユニット10のみを描いている。
【0095】
図10に示すように、基板処理装置100は、複数の処理ユニット10と、共通配管600とを備える。複数の処理ユニット10は、互いに同じ構成を有する。配管31、開閉バルブ33、調整バルブ34、及び、流量計35は、処理ユニット10毎に設けられている。本実施形態では、配管31、開閉バルブ33、制御器43、調整バルブ34、制御器42、流量計35、及び、検出器41は、処理ユニット10毎に設けられている。
【0096】
共通配管600は、供給源に接続され、供給源から処理液が供給される。共通配管600は、複数の処理ユニット10の配管31に処理液を供給する。共通配管600は、上流配管600a、中流配管600b及び下流配管600cを有する。上流配管600aは、供給源に接続される。中流配管600bは、上流配管600aの下流に位置し、複数の処理ユニット10の配管31に接続される。以下、理解を容易にするために、中流配管600bの最上流に接続される処理ユニット10を処理ユニット10aと記載し、中流配管600bの最下流に接続される処理ユニット10を処理ユニット10bと記載することがある。下流配管600cは、中流配管600bの下流に位置する。下流配管600cは、供給源に接続され、処理液を供給源に戻す。
【0097】
基板処理装置100は、開閉バルブ610と、圧力調整バルブ620とを備える。開閉バルブ610は、上流配管600aに設けられ、上流配管600a内の流路を開閉する。具体的には、開閉バルブ610は、例えば、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示せず)とを含む。
【0098】
圧力調整バルブ620は、下流配管600cに設けられ、下流配管600c内の処理液の圧力を調整する。具体的には、圧力調整バルブ620は、例えば、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示せず)と、弁座を開閉する弁体と、弁体の位置を調整する調整スプリング(図示せず)とを含む。
【0099】
基板処理装置100は、配管710と、レギュレータ720とを備える。配管710は、気体(例えば、空気)の供給源と圧力調整バルブ620とを接続する。本実施形態では、レギュレータ720は、電空レギュレータである。レギュレータ720は、配管710に設けられ、圧力調整バルブ620に供給する空気圧を調整する。レギュレータ720から圧力調整バルブ620に供給される空気は、圧力調整バルブ620の調整スプリングに作用し、弁体の位置が調整される。
【0100】
基板処理装置100は、圧力計730と、圧力調整バルブ制御器740と、温度計750とを備える。圧力計730は、上流配管600aに設けられ、上流配管600a内の処理液の圧力を検出する。圧力計730の圧力検出結果(圧力検出信号)は、圧力調整バルブ制御器740に送信される。
【0101】
圧力調整バルブ制御器740は、レギュレータ720を駆動させて圧力調整バルブ620に供給する空気圧を制御する。具体的には、圧力調整バルブ制御器740は、演算回路を含む。演算回路は、所定のサンプリング周期にしたがってPID制御を実行する。圧力調整バルブ制御器740は、圧力計730から入力される圧力検出信号と、予め設定された目標圧力値とに基づいて、圧力検出信号をPID制御する。そして、圧力調整バルブ制御器740は、PID制御された圧力検出信号に基づいて、制御信号を生成してレギュレータ720に入力する。
【0102】
温度計750は、上流配管600a内の処理液の温度、及び、下流配管600c内の処理液の温度を検出する。温度計750の温度検出結果は、制御部102に送信される。
【0103】
第2実施形態では、各処理ユニット10では、第1実施形態と同様の開度調整処理(図8参照)が実行される。したがって、ある処理ユニット10の配管31における流量変動により、他の処理ユニット10における配管31の流量が変動したとしても、調整バルブ34の開度は適切に調整される。
【0104】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0105】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0106】
また、各実施形態では、供給源からの処理液をそのまま基板Wに供給する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1供給源からの第1処理液と、第2供給源からの第2処理液とを混合して混合処理液を生成し、混合処理液を基板Wに供給してもよい。
【0107】
各実施形態では、基板処理装置100において、各処理ユニット10は、所謂枚葉式のユニットであり、基板を一枚ずつ処理する。しかし、これに限らず、複数の処理ユニット10のうち、少なくとも1ユニットは、所謂バッチ式のユニットであり、複数枚の基板を一括で処理するように構成されてもよい。
【0108】
各実施形態では、レシピステップ1042において、目標値Vtgは、時間によらず固定値であった。しかし、これに限らず、目標値Vtgは、時間により変化する値であってもよい。また、目標値Vtg、第1時定数τ1及び第2時定数τ2は、処理液の種類により定められてもよい。
【0109】
各実施形態では、平滑処理部412は、平滑処理により、時定数τが示す時間で、時定数τの間におけるデジタル値Vdの変化量ΔVdを除して、平滑処理の結果Vsを導出していた。しかし、これに限らず、平滑処理部412は、時定数τの間におけるデジタル値Vdの平均値を、平滑処理の結果Vsとしてもよい。他にも、平滑処理部412は、時定数τの間におけるデジタル値Vdの中央値を、平滑処理の結果Vsとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0111】
100 基板処理装置
31 配管
30 処理液供給部
34 調整バルブ(流量調整機構,モーターニードルバルブ)
35 流量計
41 検出器
412平滑処理部
42 制御器(流量調整機構)
102 制御部
1021 設定処理部
104 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10