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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014311
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】分離インサート、及び分離器具
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
G01N1/04 G
G01N1/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116780
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000237204
【氏名又は名称】H.U.グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】阪本 吉彬
(72)【発明者】
【氏名】小▲高▼ 健之
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 彩
(72)【発明者】
【氏名】殿村 渉
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA33
2G052AD29
2G052AD52
2G052ED17
2G052JA07
2G052JA08
(57)【要約】
【課題】分離成分の分取作業を効率的に行うことが可能になる、分離インサート及び分離器具を提供すること。
【解決手段】分離インサート20は、仕切部30と、仕切部30を容器に対して支持するための支持部40と、仕切部30に設けられる第1開口部であり、遠心分離操作中において、第1開口部を介して第1内部空間IS1又は第2内部空間IS2のいずれか一方から他方へ分離対象液が流れることを可能とする第1開口部と、仕切部30に設けられる第2開口部60であり、遠心分離操作中において、第2内部空間IS2に位置する空気を第2開口部60を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動可能とする第2開口部60と、仕切部30及び支持部40に設けられる促進部70であり、遠心分離操作中において、第2開口部60を介して空気が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動することを促進させるための促進部70と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容される分離インサートであり、試料を含む分離対象液が収容された前記容器に対して遠心分離操作が行われた際に、当該分離インサートを介して前記試料の成分を、第1分離成分と、前記第1分離成分以外の成分である第2分離成分とに分離するための分離インサートであって、
前記容器は、
開口が設けられる開口端部と、
前記開口端部と対向するように設けられる底端部とを有し、
当該分離インサートは、
前記容器の内部空間を、前記開口端部側の空間である第1内部空間であって、前記遠心分離操作後に前記第1分離成分が収容される第1内部空間と、前記底端部側の空間である第2内部空間であって、前記遠心分離操作後に前記第2分離成分が収容される第2内部空間とに仕切るための仕切手段と、
前記仕切手段を前記容器に対して支持するための支持手段と、
前記仕切手段に設けられる第1開口部であり、前記遠心分離操作中において、当該第1開口部を介して前記第1内部空間又は前記第2内部空間のいずれか一方から他方へ前記分離対象液が流れることを可能とする第1開口部と、
前記仕切手段に設けられる第2開口部であり、前記遠心分離操作中において、前記第2内部空間に位置する空気を当該第2開口部を介して前記第2内部空間から前記第1内部空間へ移動可能とする第2開口部と、
前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる促進手段であり、前記遠心分離操作中において、前記第2開口部を介して前記空気が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ移動することを促進させるための促進手段と、
を備える分離インサート。
【請求項2】
前記促進手段は、
前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる外側促進手段であり、当該分離インサートの外側に向けて突出するように設けられた外側促進手段、又は/及び
前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる内側促進手段であり、当該分離インサートの内側に向けて突出するように設けられた内側促進手段を備える、
請求項1に記載の分離インサート。
【請求項3】
複数の前記第2開口部を、前記仕切手段の外縁部において相互に間隔を隔てて設け、
前記複数の第2開口部のうち、隣接する第2開口部同士の相互間にわたって前記外側促進手段又は/及び内側促進手段を配置した、
請求項2に記載の分離インサート。
【請求項4】
前記外側促進手段の前記底端部側の端部が前記第2開口部に近づくにつれて前記開口端部側に位置するように、前記外側促進手段を構成した、
請求項3に記載の分離インサート。
【請求項5】
当該分離インサートが前記容器に収容されている収容状態において、前記外側促進手段と前記容器の内壁とが接触可能となるように、前記外側促進手段を構成した、
請求項2から4のいずれか一項に記載の分離インサート。
【請求項6】
前記内側促進手段の突出長さを、前記第2開口部から離れるにつれ、且つ前記仕切手段に近づくにつれて長くした、
請求項3に記載の分離インサート。
【請求項7】
前記第1開口部の近傍に設けられる抑制手段であり、前記遠心分離操作後に、前記第2分離成分が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の分離インサート。
【請求項8】
略筒状の前記支持手段を、前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設け、
略筒状の前記抑制手段を、前記支持手段内において前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設けた、
請求項7に記載の分離インサート。
【請求項9】
前記抑制手段の内径を、前記第1開口部の直径と略同一とし、
前記抑制手段の突出長さを、前記支持手段の突出長さよりも短い長さであり、且つ前記遠心分離操作後に前記抑制手段と前記第2分離成分とが接触することを抑制可能な長さとした、
請求項8に記載の分離インサート。
【請求項10】
前記第1開口部を、前記仕切手段の外縁部に設け、
略筒状の前記支持手段を、前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設け、
前記抑制手段を、前記支持手段の前記第1開口部側の部分から当該分離インサートの内側又は/及び前記底端部側に向けて突出するように設けた、
請求項7に記載の分離インサート。
【請求項11】
前記支持手段の前記第1開口部側の部分の外面に対する前記抑制手段における当該分離インサートの内側の面の角度を、前記第1分離成分の分取作業時において前記容器を傾斜する角度以上とした、
請求項10に記載の分離インサート。
【請求項12】
前記仕切手段は、
前記第2内部空間側に設けられる前記促進手段と、
前記第1内部空間側に設けられる成分移動促進手段であり、前記遠心分離操作中において、前記第1開口部を介して前記第2分離成分が前記第1内部空間から前記第2内部空間へ移動することを促進させるための成分移動促進手段と、を備える、
請求項10に記載の分離インサート。
【請求項13】
前記仕切手段、前記支持手段、前記促進手段、又は/及び前記抑制手段を、透明材料で構成した、
請求項7に記載の分離インサート。
【請求項14】
開口が設けられる開口端部と、前記開口端部と対向するように設けられる底端部とを有する容器と、
請求項1から4のいずれか一項に記載の分離インサートと、
を備える分離器具。
【請求項15】
前記分離インサート又は前記容器のいずれか一方に設けられる抑制手段であって、前記遠心分離操作後に、前記第2分離成分が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備える、
請求項14に記載の分離器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離インサート、及び分離器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生物学的試料から特定の細胞を分離するための技術の一つとして、遠沈管にインサートを収容した状態において、遠心分離機を用いて、生物学的試料及び分離液を含む対象液を収容した当該遠沈管を遠心分離させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、このインサートは、上面が閉鎖状であり、且つ下面が開放状である筒状体で構成されており、この上面には空気又は流体を通過可能とする開口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2012/149641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の技術においては、上述したように、インサートの上面には開口が設けられているので、遠心分離中に当該開口を介して上記対象液に含まれる空気を抜くことが可能であるものの、遠心分離後において上記対象液に空気が残る場合があった。そのため、例えば、遠心分離後に分離した特定の細胞を分取する際に、上記開口を介して移動した空気によって分離した上記特定の細胞が懸濁される可能性があることから、当該分取の作業を効率的に行うことが難しくなるおそれがあった。よって、特定の細胞の如き分離成分の分取作業を効率的に行う観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分離成分の分取作業を効率的に行うことが可能になる、分離インサート及び分離器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の分離インサートは、容器に収容される分離インサートであり、試料を含む分離対象液が収容された前記容器に対して遠心分離操作が行われた際に、当該分離インサートを介して前記試料の成分を、第1分離成分と、前記第1分離成分以外の成分である第2分離成分とに分離するための分離インサートであって、前記容器は、開口が設けられる開口端部と、前記開口端部と対向するように設けられる底端部とを有し、当該分離インサートは、前記容器の内部空間を、前記開口端部側の空間である第1内部空間であって、前記遠心分離操作後に前記第1分離成分が収容される第1内部空間と、前記底端部側の空間である第2内部空間であって、前記遠心分離操作後に前記第2分離成分が収容される第2内部空間とに仕切るための仕切手段と、前記仕切手段を前記容器に対して支持するための支持手段と、前記仕切手段に設けられる第1開口部であり、前記遠心分離操作中において、当該第1開口部を介して前記第1内部空間又は前記第2内部空間のいずれか一方から他方へ前記分離対象液が流れることを可能とする第1開口部と、前記仕切手段に設けられる第2開口部であり、前記遠心分離操作中において、前記第2内部空間に位置する空気を当該第2開口部を介して前記第2内部空間から前記第1内部空間へ移動可能とする第2開口部と、前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる促進手段であり、前記遠心分離操作中において、前記第2開口部を介して前記空気が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ移動することを促進させるための促進手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の分離インサートは、請求項1に記載の分離インサートにおいて、前記促進手段は、前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる外側促進手段であり、当該分離インサートの外側に向けて突出するように設けられた外側促進手段、又は/及び前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる内側促進手段であり、当該分離インサートの内側に向けて突出するように設けられた内側促進手段を備える。
【0008】
請求項3に記載の分離インサートは、請求項2に記載の分離インサートにおいて、複数の前記第2開口部を、前記仕切手段の外縁部において相互に間隔を隔てて設け、前記複数の第2開口部のうち、隣接する第2開口部同士の相互間にわたって前記外側促進手段又は/及び内側促進手段を配置した。
【0009】
請求項4に記載の分離インサートは、請求項3に記載の分離インサートにおいて、前記外側促進手段の前記底端部側の端部が前記第2開口部に近づくにつれて前記開口端部側に位置するように、前記外側促進手段を構成した。
【0010】
請求項5に記載の分離インサートは、請求項2から4のいずれか一項に記載の分離インサートにおいて、当該分離インサートが前記容器に収容されている収容状態において、前記外側促進手段と前記容器の内壁とが接触可能となるように、前記外側促進手段を構成した。
【0011】
請求項6に記載の分離インサートは、請求項3に記載の分離インサートにおいて、前記内側促進手段の突出長さを、前記第2開口部から離れるにつれ、且つ前記仕切手段に近づくにつれて長くした。
【0012】
請求項7に記載の分離インサートは、請求項1から4のいずれか一項に記載の分離インサートにおいて、前記第1開口部の近傍に設けられる抑制手段であり、前記遠心分離操作後に、前記第2分離成分が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備える。
【0013】
請求項8に記載の分離インサートは、請求項7に記載の分離インサートにおいて、略筒状の前記支持手段を、前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設け、略筒状の前記抑制手段を、前記支持手段内において前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設けた。
【0014】
請求項9に記載の分離インサートは、請求項8に記載の分離インサートにおいて、前記抑制手段の内径を、前記第1開口部の直径と略同一とし、前記抑制手段の突出長さを、前記支持手段の突出長さよりも短い長さであり、且つ前記遠心分離操作後に前記抑制手段と前記第2分離成分とが接触することを抑制可能な長さとした。
【0015】
請求項10に記載の分離インサートは、請求項7に記載の分離インサートにおいて、前記第1開口部を、前記仕切手段の外縁部に設け、略筒状の前記支持手段を、前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設け、前記抑制手段を、前記支持手段の前記第1開口部側の部分から当該分離インサートの内側又は/及び前記底端部側に向けて突出するように設けた。
【0016】
請求項11に記載の分離インサートは、請求項10に記載の分離インサートにおいて、前記支持手段の前記第1開口部側の部分の外面に対する前記抑制手段における当該分離インサートの内側の面の角度を、前記第1分離成分の分取作業時において前記容器を傾斜する角度以上とした。
【0017】
請求項12に記載の分離インサートは、請求項10に記載の分離インサートにおいて、前記仕切手段は、前記第2内部空間側に設けられる前記促進手段と、前記第1内部空間側に設けられる成分移動促進手段であり、前記遠心分離操作中において、前記第1開口部を介して前記第2分離成分が前記第1内部空間から前記第2内部空間へ移動することを促進させるための成分移動促進手段と、を備える。
【0018】
請求項13に記載の分離インサートは、請求項7に記載の分離インサートにおいて、前記仕切手段、前記支持手段、前記促進手段、又は/及び前記抑制手段を、透明材料で構成した。
【0019】
請求項14に記載の分離器具は、開口が設けられる開口端部と、前記開口端部と対向するように設けられる底端部とを有する容器と、請求項1から4のいずれか一項に記載の分離インサートと、を備える。
【0020】
請求項15に記載の分離器具は、請求項14に記載の分離器具において、前記分離インサート又は前記容器のいずれか一方に設けられる抑制手段であって、前記遠心分離操作後に、前記第2分離成分が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備える。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の分離インサート、又は請求項14に記載の分離器具によれば、当該分離インサートが、仕切手段又は/及び支持手段に設けられる促進手段であり、遠心分離操作中において、第2開口部を介して空気が第2内部空間から第1内部空間へ移動することを促進させるための促進手段を備えるので、従来技術(上面に空気又は流体を通過可能とする開口が単に設けられた筒状のインサート)に比べて、遠心分離操作時に空気が第2内部空間から第1内部空間へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを防止できる。よって、遠心分離操作後に上記空気により第1分離成分が懸濁されることを回避でき、第1分離成分の分取作業を効率的に行うことが可能となる。
【0022】
請求項2に記載の分離インサートによれば、促進手段は、仕切手段又は/及び支持手段に設けられる外側促進手段、又は/及び仕切手段又は/及び支持手段に設けられる内側促進手段を備えるので、遠心分離操作中に第2内部空間における支持手段の外側にある空気を第1内部空間へ効果的に移動させることができ、又は/及び遠心分離操作中に第2内部空間における支持手段の内側にある空気を第1内部空間へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0023】
請求項3に記載の分離インサートによれば、複数の第2開口部を、仕切手段の外縁部において相互に間隔を隔てて設け、複数の第2開口部のうち、隣接する第2開口部同士の相互間にわたって外側促進手段又は/及び内側促進手段を配置したので、複数の第2開口部を仕切手段の外縁部に設ける場合にも、遠心分離操作中に空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0024】
請求項4に記載の分離インサートによれば、外側促進手段の底端部側の端部が第2開口部に近づくにつれて開口端部側に位置するように、外側促進手段を構成したので、遠心分離操作中に第2内部空間の空気を第2開口部に誘導させやすくなるため、当該空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させることができる。
【0025】
請求項5に記載の分離インサートによれば、収容状態において、外側促進手段と容器の内壁とが接触可能となるように、外側促進手段を構成したので、例えば、外側促進手段の開口端部側から底端部側に至る長さが比較的長い場合に、遠心分離操作中に空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0026】
請求項6に記載の分離インサートによれば、内側促進手段の突出長さを、第2開口部から離れるにつれ、且つ仕切手段に近づくにつれて長くしたので、遠心分離操作中に空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0027】
請求項7に記載の分離インサートによれば、第1開口部の近傍に設けられる抑制手段であり、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備えるので、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを抑制でき、第1分離成分の分取を正確に行うことが可能となる。
【0028】
請求項8に記載の分離インサートによれば、略筒状の支持手段を、仕切手段から底端部側に向けて突出するように設け、略筒状の抑制手段を、支持手段内において仕切手段から底端部側に向けて突出するように設けたので、抑制手段を仕切手段から開口端部側に向けて突出するように設ける場合に比べて、遠心分離操作中に、第1分離成分と第2分離成分との分離が抑制手段によって阻害されること(例えば、遠心分離操作中に、抑制手段の近傍に第2分離成分が堆積すること等)を抑制でき、当該分離を効率的に行うことができる。
【0029】
請求項9に記載の分離インサートによれば、抑制手段の内径を、第1開口部の直径と略同一とし、抑制手段の突出長さを、支持手段の突出長さよりも短い長さであり、且つ遠心分離操作後に抑制手段と第2分離成分とが接触することを抑制可能な長さとしたので、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを効果的に抑制でき、第1分離成分の分取を正確に行うことが可能となる。
【0030】
請求項10に記載の分離インサートによれば、第1開口部を、仕切手段の外縁部に設け、略筒状の支持手段を、仕切手段から底端部側に向けて突出するように設け、抑制手段を、支持手段の第1開口部側の部分から当該分離インサートの内側又は/及び底端部側に向けて突出するように設けたので、第1分離成分の分取作業において、第1開口部が仕切手段よりも上方に位置するように容器を傾けた際に、抑制手段によって第2内部空間内の分離対象液が第1開口部を介して第1内部空間へ流れることを抑制でき、当該分取作業を一層効率的に行うことが可能となる。
【0031】
請求項11に記載の分離インサートによれば、支持手段の第1開口部側の部分の外面に対する抑制手段における当該分離インサートの内側の面の角度を、第1分離成分の分取作業時において容器を傾斜する角度以上としたので、容器を傾斜する角度よりも下回る場合に比べて、第1分離成分の分取作業時に第2内部空間内の分離対象液が第1開口部を介して第1内部空間へ流れることを抑制でき、抑制手段を効果的に機能させることができる。
【0032】
請求項12に記載の分離インサートによれば、仕切手段は、第2内部空間側に設けられる促進手段と、第1内部空間側に設けられる成分移動促進手段と、を備えるので、成分移動促進手段によって遠心分離操作時に第2分離成分が第1内部空間から第2内部空間へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第1内部空間に第2分離成分が残ることを防止できる。また、支持手段の構成を簡素化することができ、支持手段の製造性を高めることができる。
【0033】
請求項13に記載の分離インサートによれば、仕切手段、支持手段、促進手段、又は/及び抑制手段を、透明材料で構成したので、遠心分離操作中に、試料の分離状況を把握でき、分離インサートの使用性を高めることができる。
【0034】
請求項15に記載の分離器具によれば、分離インサート又は容器のいずれか一方に設けられる抑制手段を備えるので、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを抑制でき、第1分離成分の分取作業を正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態1に係る分離器具の概要を示す正面図である。
図2】分離器具を示す図であり、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図である。
図3】分離インサートを示す斜視図である。
図4】分離インサートを示す側面図である。
図5】分離インサートを示す底面図である。
図6】分離インサートを示す縦断面図である。
図7】試料の分離方法の分注工程が行われた状態を示す図である。
図8】試料の分離方法の遠心分離工程が行われた状態を示す図である。
図9】試料の分離方法の分取工程が行われた状態を示す図である。
図10】実施の形態2に係る分離器具の概要を示す正面図である。
図11】分離インサートを示す斜視図である。
図12】分離インサートを示す側面図である。
図13】分離インサートを示す底面図である。
図14】分離インサートを示す縦断面図である。
図15】分取工程が行われている状態を示す図であって、図14に対応する領域を示す図である。
図16】分離インサートの変形例を示す側面図である。
図17】分離インサートの変形例を示す斜視図である。
図18図17の分離インサートを示す斜視図である。
図19】分離インサートの変形例を示す縦断面図である。
図20】分離インサートの変形例を示す斜視図である。
図21】分離器具の変形例を示す図であり、(a)は分離器具を示す側面図、(b)は分離インサートを示す斜視図である。
図22】分離器具の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る分離インサート、及び分離器具の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0037】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、容器に収容される分離インサートであり、試料を含む分離対象液が収容された容器に対して遠心分離操作が行われた際に、当該分離インサートを介して試料の成分を、第1分離成分と、第1分離成分以外の成分である第2分離成分とに分離するための分離インサートと、分離器具とに関するものである。
【0038】
ここで、「試料」とは、試験、分析、又は/及び検査に供される物質を意味する。この試料は、例えば、検体、及び試薬等を含む概念であるが、実施の形態では、検体として説明する。
【0039】
また、「検体」とは、標的物質を含むと思われる(又は含んでいるかを知るために検査される)生体試料を意味する。この検体は、例えば、臨床検体(一例として、末梢血の如き血液等)や、低分子化合物などの生理活性物質を含む液体等を含む概念であるが、実施の形態では、血液として説明する。
【0040】
また、「試薬」とは、後述する容器内で免疫反応により分析の目的とする物質を検出するために用いられるものを意味し、例えば、磁性粒子試薬、標識抗体、標識抗原等を含む概念である。
【0041】
また、「分離対象液」とは、試料の分離に用いられる液を意味する。この分離対象液は、例えば、試料及び密度勾配溶液を含む液や、試料、密度勾配溶液、及び希釈液を含む液等を含む概念であるが、実施の形態では、試料、密度勾配溶液、及び希釈液を含む液として説明する。
【0042】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0043】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る分離器具について説明する。この実施の形態1は、後述する抑制部を筒状に形成した形態である。
【0044】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る分離器具の構成について説明する。
【0045】
以下の説明では、図1のX方向を分離器具の左右方向(-X方向を分離器具の左方向、+X方向を分離器具の右方向)、図1のY方向を分離器具の前後方向(+Y方向を分離器具の前方向、-Y方向を分離器具の後方向)、図1のZ方向を分離器具の上下方向(+Z方向を分離器具の上方向、-Z方向を分離器具の下方向)と称する。
【0046】
分離器具1は、試料(具体的には、血液)の成分を分離するための器具であり、概略的に、図1図2に示すように、容器10及び分離インサート20を備えている。
【0047】
(構成-容器)
まず、容器10の構成について説明する。
【0048】
容器10は、試料及び分離インサート20を収容するためのものである。この容器10は、例えば公知の遠沈管を用いて構成されており、図1に示すように、容器本体11、開口12、及び蓋部13を備えている。
【0049】
(構成-容器-容器本体)
容器本体11は、容器10の基本構造体である。この容器本体11は、例えば樹脂製(又はガラス製)の長尺な中空状体にて形成されており、具体的には、容器本体11の底側部分11dが略円錐状である中空状体にて形成されている。
【0050】
また、図1に示すように、容器本体11は、開口12が設けられる開口端部11aと、開口端部11aと対向するように設けられる底端部11bと、開口端部11aと底端部11bとの相互間に設けられる側壁部11cとを有している。
【0051】
なお、「底側部分11d」とは、実施の形態1では、図1に示すように、容器本体11の部分のうち、底端部11b及びその近傍部分を含む部分が該当する。
【0052】
また、容器本体11の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0053】
すなわち、容器本体11の平面形状については、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略円環状以外の環状(一例として、矩形環状、三角環状)に設定してもよい。
【0054】
また、容器本体11の内径については、容器10における図7の分離対象液LSの収容量に応じて設定しており、一例として、15mmから30mm程度に設定してもよい。ただし、これに限らず、例えば、15mm未満に設定したり、又は30mmを上回る長さに設定してもよい。
【0055】
また、容器本体11の上下方向の長さについては、容器10における分離対象液LSの収容量に応じて設定しており、一例として、100mmから150mm程度に設定してもよい。ただし、これに限らず、例えば、100mm未満に設定したり、又は150mmを上回る長さに設定してもよい。
【0056】
(構成-容器-開口)
開口12は、分離対象液LS(具体的には、試料、密度勾配溶液、及び希釈液を含む液)を容器本体11に流入出させるためのものであり、図1に示すように、開口端部11aに設けられている。
【0057】
この開口12の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0058】
すなわち、開口12の形状については、略円形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略楕円形状、略多角形状(一例として、略矩形状)に設定してもよい。
【0059】
また、開口12の直径については、開口端部11aの外径と略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、開口端部11aの外径よりも小さく設定してもよい。
【0060】
(構成-容器-蓋部)
蓋部13は、開口12を封止するためのものである。この蓋部13は、例えば下面が開放された樹脂製の中空状体にて形成されており、図1に示すように、蓋部13によって開口12が封止された状態において、容器本体11の開口端部11a及びその近傍部分に対して嵌合構造(あるいは、螺合構造又は係止構造)等によって接続されている。
【0061】
また、蓋部13の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0062】
すなわち、蓋部13のX-Y平面に沿った断面形状については、容器本体11の開口端部11a及びその近傍部分に対して嵌合可能な形状に設定しており、一例として、略円環状に設定している。
【0063】
また、蓋部13の内径については、容器本体11の開口端部11a及びその近傍部分に対して嵌合可能な大きさに設定しており、具体的には、容器本体11の開口端部11aの外径と略同一に設定している。
【0064】
また、蓋部13の上下方向の長さについては、容器本体11の開口端部11a及びその近傍部分に対して嵌合可能な長さに設定しており、一例として、容器本体11の上下方向の長さの8分の1の長さから6分の1の長さ程度に設定している。
【0065】
(構成-分離インサート)
次に、分離インサート20の構成について説明する。
【0066】
分離インサート20は、試料を含む分離対象液LSが収容された容器10に対して遠心分離操作が行われた際に、当該分離インサート20を介して試料の成分を、図8の第1分離成分S1と図8の第2分離成分S2とに分離するためのものである。この分離インサート20は、容器10とは別体に形成されたものであり、容器10に収容されている。
【0067】
具体的には、図1に示すように、分離インサート20は、容器10の内部空間ISにおいて、容器本体11の底側部分11dよりも上方に配置されている(ただし、これに限らず、例えば、容器本体11の一部が底側部分11dに配置されてもよい)。
【0068】
また、図3から図6に示すように、分離インサート20は、仕切部30、支持部40、第1開口部50、第2開口部60、促進部70、及び抑制部80を備えている。
【0069】
ここで、「遠心分離操作」とは、公知の遠心分離機等を用いて、分離対象液LSが収容された容器10を遠心分離する操作を意味する。
【0070】
また、「第1分離成分S1」とは、遠心分離操作によって分離される試料の成分のうち、回収対象となる成分を意味し、実施の形態1では、血液に含まれる所定細胞(一例として、T細胞、B細胞等)が該当する。
【0071】
また、「第2分離成分S2」とは、遠心分離操作によって分離される試料の成分のうち、第1分離成分S1以外の成分を意味する。
【0072】
(構成-分離インサート-仕切部)
仕切部30は、容器10の内部空間ISを、第1内部空間IS1と第2内部空間IS2とに仕切るための仕切手段である。この仕切部30は、例えば樹脂製(又はガラス製)の略板状体にて形成されており、具体的には、図3図6に示すように、下方に向けて窪んだ凹状の略板状体にて形成されている。
【0073】
また、仕切部30は、図1に示すように、分離インサート20が容器10に収容されている状態(以下、「収容状態」と称する)では、容器本体11の底側部分11dよりも上方位置において略水平に設けられる。
【0074】
ここで、「第1内部空間IS1」とは、容器10の内部空間ISのうち、開口端部11a側の空間であって、遠心分離操作後に第1分離成分S1が収容される空間を意味する。この第1内部空間IS1は、実施の形態1では、図1に示すように、収容状態において、容器10の内部空間ISのうち、仕切部30から開口端部11aに至る空間が該当する。
【0075】
また、「第2内部空間IS2」とは、容器10の内部空間ISのうち、容器本体11の底端部11b側の空間であって、遠心分離操作後に第2分離成分S2が収容される空間を意味する。この第2内部空間IS2は、実施の形態1では、図1に示すように、収容状態において、容器10の内部空間ISのうち、仕切部30から容器本体11の底端部11bに至る空間が該当する。
【0076】
また、仕切部30の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0077】
すなわち、仕切部30の平面形状については、容器本体11の底側部分11d以外の部分の内径形状と略同一に設定しており、具体的には、略円形状に設定している。
【0078】
また、仕切部30の直径については、容器本体11の底側部分11d以外の部分の内径と略同一に設定している。
【0079】
また、仕切部30の厚さについては、仕切部30の所望の強度を確保可能な長さに設定しており、一例として、0.3mm~1.0mm程度に設定してもよい(なお、支持部40の厚さ、及び抑制部80の厚さについても略同様とする)。
【0080】
(構成-分離インサート-支持部)
支持部40は、仕切部30を容器10に対して支持するための支持手段である。この支持部40は、例えば上面及び下面が開放された樹脂製(又はガラス製)の略筒状体にて形成されている。
【0081】
また、この支持部40は、図1図3に示すように、仕切部30から容器本体11の底端部11b側に向けて突出するように設けられ、仕切部30に対して接続されている。
【0082】
また、支持部40の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0083】
すなわち、支持部40の平面形状については、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略円環状以外の環状(一例として、矩形環状、三角環状)に設定してもよい。
【0084】
また、支持部40の外径については、仕切部30の直径よりも小さく設定しており、一例として、仕切部30の直径よりも1mmから3mm程度小さく設定してもよい。
【0085】
また、支持部40の上下方向の長さについては、支持部40の下端部が容器本体11の底側部分11dの上端又はその近傍に位置するように設定しており、一例として、容器本体11の上下方向の長さの8分の1の長さから4分の1の長さ程度に設定している。ただし、これに限らず、例えば、支持部40の下端部が容器本体11の底側部分11dの下端又はその近傍に位置するように設定してもよい。
【0086】
(構成-分離インサート-第1開口部)
第1開口部50は、遠心分離操作中において、当該第1開口部50を介して第1内部空間IS1又は第2内部空間IS2のいずれか一方から他方へ分離対象液LSが流れることを可能とする貫通孔である。この第1開口部50は、仕切部30に設けられており、具体的には、図3に示すように、仕切部30の略中央部に1つのみ設けられている。
【0087】
また、第1開口部50の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0088】
すなわち、第1開口部50の形状については、略円形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略楕円形状、略多角形状(一例として、略矩形状)に設定してもよい。
【0089】
また、第1開口部50の直径については、遠心分離操作中において、第1開口部50を介して第1内部空間IS1又は第2内部空間IS2のいずれか一方から他方へ所望量の分離対象液LSが流れることを可能にする大きさに設定しており、一例として、0.5mmから2mm程度に設定してもよい。ただし、これに限らず、例えば、0.5mm未満に設定してもよい。
【0090】
(構成-分離インサート-第2開口部)
第2開口部60は、遠心分離操作中において、第2内部空間IS2に位置する空気を当該第2開口部60を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動可能とする貫通孔である。この第2開口部60は、仕切部30に設けられており、具体的には、図3から図5に示すように、仕切部30の縁端部において相互に間隔を隔てて複数設けられている(具体的には、3つ設けられている)と共に、支持部40の上端部において相互に間隔を隔てて複数設けられている(具体的には、3つ設けられている)。
【0091】
なお、以下では、必要に応じて、複数の第2開口部60のうち、仕切部30の縁端部に設けられる第2開口部61を「仕切側第2開口部61」と称し、支持部40の上端部に設けられる第2開口部62を「支持側第2開口部62」と称する。
【0092】
また、実施の形態1では、図3図4に示すように、各仕切側第2開口部61は、近傍に位置する支持側第2開口部62と一体に形成されているものとして説明する。ただし、これに限らず、例えば、各仕切側第2開口部61は、近傍に位置する支持側第2開口部62と別体に形成されてもよい。
【0093】
また、仕切側第2開口部61の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0094】
すなわち、仕切側第2開口部61の形状については、略長方形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略長方形状以外の略多角形状(一例として、略正方形状、略三角形状)、略円形状に設定してもよい。
【0095】
また、仕切側第2開口部61の長さについては、遠心分離操作中において、第2内部空間IS2に位置する分離対象液LSを当該仕切側第2開口部61を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動することを抑制しながら、第2内部空間IS2に位置する空気を当該仕切側第2開口部61を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動可能な長さに設定している。
【0096】
一例として、仕切側第2開口部61の長手方向の長さについては、1mmから3mm程度に設定し、仕切側第2開口部61の短手方向の長さについては、0.2mmから0.5mm程度に設定してもよい。
【0097】
また、支持側第2開口部62の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0098】
すなわち、支持側第2開口部62の形状については、略長方形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略長方形状以外の略多角形状(一例として、略正方形状、略三角形状)、略円形状に設定してもよい。
【0099】
また、支持側第2開口部62の長さについては、遠心分離操作中において、第2内部空間IS2に位置する分離対象液LSを当該支持側第2開口部62を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動することを抑制しながら、第2内部空間IS2に位置する空気を当該支持側第2開口部62を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動可能な長さに設定している。
【0100】
一例として、支持側第2開口部62の長手方向の長さについては、仕切側第2開口部61の長手方向の長さよりも小さく設定し、支持側第2開口部62の短手方向の長さについては、仕切側第2開口部61の長手方向の長さと略同一に設定してもよい。
【0101】
(構成-分離インサート-促進部)
図3に戻り、促進部70は、遠心分離操作中において、第2開口部60(具体的には、仕切側第2開口部61、支持側第2開口部62)を介して空気が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動することを促進させるための促進手段である。この促進部70は、図3から図6に示すように、仕切部30及び支持部40に設けられており、外側促進部71及び内側促進部72を備えている。
【0102】
(構成-分離インサート-促進部-外側促進部)
図3に戻り、外側促進部71は、分離インサート20の外側(具体的には、分離インサート20の径方向の外側)に向けて突出するように設けられた外側促進手段である。この外側促進部71は、仕切部30及び支持部40において少なくとも1つ以上設けられている(具体的には、3つ設けられている)。
【0103】
具体的には、図3から図5に示すように、外側促進部71は、複数の第2開口部60のうち、隣接する第2開口部60同士の相互間にわたってそれぞれ設けられ、仕切部30及び支持部40に対してそれぞれ接続されている。
【0104】
また、外側促進部71の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、外側促進部71の底端部11b側の端部71a(具体的には、外側促進部71の下端部)が第2開口部60に近づくにつれて開口端部11a側に位置するように、外側促進部71は構成されている。
【0105】
具体的には、まず、外側促進部71の側面形状については、図3図4に示すように、略逆三角形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、外側促進部71の下端部が略円弧状である形状に設定してもよい。
【0106】
また、外側促進部71の下端部の傾斜角度の設定方法については、下記式(1)に基づいて設定している。
F=(f-G)×sinθ
=(ρ-ρ)×v×g×sinθ・・・(式1)
(ここで、F: 合力
G: 重力(=ρ×v×g)
f: 浮力(=ρ×v×g)
N: 垂直抗力(=(f-g)×cosθ)
g: 重力加速度
v: 気泡の体積
ρL:液体密度
ρA:気体密度
θ: ガイドの傾斜)
【0107】
ここで、上記式1において、例えば、0deg<θ=<90degである場合には、0<sinθであり、ρ<ρであるので、Fは上方に向いた力になる。これにより、遠心分離操作中には、第2内部空間IS2内の空気が外側促進部71の下端部に沿って第1内部空間IS1(具体的には、上方)へ効果的に誘導されることになる。
【0108】
ただし、これに限らず、例えば、上記式1以外の方法(一例として、実験結果又は解析結果)に基づいて設定してもよい。
【0109】
また、外側促進部71の突出長さ(具体的には、分離インサート20の径方向の外側に向けて突出する長さ)については、収容状態において、外側促進部71と容器10の内壁(具体的には、側壁部11cの内面)とが接触しない長さに設定している。一例として、0.5mmから1.5mm程度に設定してもよい。
【0110】
ただし、これに限らず、例えば、収容状態において、外側促進部71と容器10の内壁とが接触する長さに設定してもよい。
【0111】
また、外側促進部71の上下方向の長さについては、支持部40の上下方向の長さよりも短く設定しており、一例として、支持側第2開口部62の長手方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、支持側第2開口部62の長手方向の長さよりも短く、あるいは、支持側第2開口部62の長手方向の長さよりも長く設定してもよい。
【0112】
以上のような構成により、遠心分離操作中に第2内部空間IS2の空気を第2開口部60に誘導させやすくなるため、当該空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができる。
【0113】
また、このような外側促進部71により、遠心分離操作中に第2内部空間IS2における支持部40の外側にある空気を第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを防止できる。
【0114】
また、複数の第2開口部60のうち、隣接する第2開口部60同士の相互間にわたって外側促進部71を配置するので、複数の第2開口部60を仕切部30の外縁部に設ける場合にも、遠心分離操作中に空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0115】
(構成-分離インサート-促進部-内側促進部)
内側促進部72は、分離インサート20の内側(具体的には、分離インサート20の径方向の内側)に向けて突出するように設けられた内側促進手段である。この内側促進部72は、仕切部30及び支持部40において少なくとも1つ以上設けられている(具体的には、3つ設けられている)。
【0116】
具体的には、図5に示すように、内側促進部72は、複数の第2開口部60のうち、隣接する第2開口部60同士の相互間にわたってそれぞれ設けられ、仕切部30及び支持部40に対してそれぞれ接続されている。
【0117】
また、内側促進部72の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、仕切部30の下面から支持部40の下端部に至るように、内側促進部72は構成されている。
【0118】
具体的には、まず、内側促進部72の側面形状については、図6に示すように、略逆三角形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略逆三角形状以外の形状(一例として、台形状)に設定してもよい。
【0119】
また、内側促進部72の仕切部30側の傾斜部分72aの傾斜角度、及び内側促進部72の支持部40側の傾斜部分72bの傾斜角度の設定方法については、上記式(1)に基づいてそれぞれ設定している。ただし、これに限らず、例えば、上記式1以外の方法(一例として、実験結果又は解析結果)に基づいてそれぞれ設定してもよい。
【0120】
また、内側促進部72の突出長さ(具体的には、分離インサート20の径方向の内側に向けて突出する長さ)については、図5に示すように、第2開口部60から離れるにつれ、且つ仕切部30に近づくにつれて長く設定している。一例として、0.5mmから1.5mm程度に設定してもよい。
【0121】
これにより、遠心分離操作中に空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0122】
ただし、これに限らず、例えば、内側促進部72の突出長さを一定に設定してもよい。
【0123】
また、内側促進部72の上下方向の長さについては、支持部40の上下方向の長さと略同一に設定している。ただし、これに限らず、支持部40の上下方向の長さよりも短く設定してもよい。
【0124】
以上のような構成により、遠心分離操作中に第2内部空間IS2の空気を第2開口部60に誘導させやすくなるため、当該空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができる。
【0125】
また、このような内側促進部72により、遠心分離操作中に第2内部空間IS2における支持部40の内側にある空気を第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを防止できる。
【0126】
また、複数の第2開口部60のうち、隣接する第2開口部60同士の相互間にわたって内側促進部72を配置するので、複数の第2開口部60を仕切部30の外縁部に設ける場合にも、遠心分離操作中に空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0127】
(構成-分離インサート-抑制部)
図5に戻り、抑制部80は、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを抑制するための抑制手段である。この抑制部80は、上面及び下面が開放された樹脂製(又はガラス製)の略筒状体にて形成されている。
【0128】
また、抑制部80は、第1開口部50の近傍に設けられており、具体的には、図5図6に示すように、支持部40内において仕切部30から容器本体11の底端部11b側に向けて突出するように設けられ、仕切部30に対して接続されている。
【0129】
また、抑制部80の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1では以下の通りに設定している。
【0130】
すなわち、抑制部80の平面形状については、略円環状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略楕円形状又は略矩形環状に設定してもよい。
【0131】
また、抑制部80の内径については、第1開口部50の直径と略同一に設定している。ただし、これに限らず、例えば、第1開口部50の直径よりも短く又は長く設定してもよい。
【0132】
また、抑制部80の突出長さ(具体的には、抑制部80の上下方向の長さ)については、支持部40の突出長さ(具体的には、支持部40の上下方向の長さ)よりも短い長さであり、且つ遠心分離操作後に抑制部80と第2分離成分S2とが接触することを抑制可能な長さに設定している。一例として、仕切部30の厚さの2倍程度から3倍程度の長さに設定している。
【0133】
これにより、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを効果的に抑制でき、第1分離成分S1の分取を正確に行うことが可能となる。
【0134】
ただし、これに限らず、例えば、仕切部30の厚さの2倍未満の長さに設定したり、又は仕切部30の厚さの3倍を上回る長さに設定してもよい。
【0135】
このような抑制部80により、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、第1分離成分S1の分取を正確に行うことが可能となる。
【0136】
また、抑制部80を仕切部30から容器本体11の開口端部11a側に向けて突出するように設ける場合に比べて、遠心分離操作中に、第1分離成分S1と第2分離成分S2との分離が抑制部80によって阻害されること(例えば、遠心分離操作中に、抑制部80の近傍に第2分離成分S2が堆積すること等)を抑制でき、当該分離を効率的に行うことができる。
【0137】
(構成-分離インサート-その他の構成)
また、分離インサート20のその他の構成については任意であるが、実施の形態1では以下の通りに構成されている。
【0138】
(構成-分離インサート-その他の構成-構成1)
すなわち、まず、仕切部30、支持部40、促進部70、及び抑制部80は、透明材料で構成されており、具体的には、透明な樹脂材料(例えば、ポリプロピレン等。あるいは、透明なガラス材料)で構成されている。
【0139】
これにより、遠心分離操作中に、試料の分離状況を把握でき、分離インサート20の使用性を高めることができる。
【0140】
ただし、これに限らず、例えば、仕切部30、支持部40、促進部70、又は抑制部80の少なくともいずれかは、非透明材料(例えば、非透明な樹脂材料又はガラス材料)で構成されてもよい。
【0141】
(構成-分離インサート-その他の構成-構成2)
また、仕切部30、支持部40、促進部70、及び抑制部80は、一体に形成されており、具体的には、透明な樹脂材料を射出成形(又は、3Dプリンタで成形)することにより、形成されている。
【0142】
これにより、分離インサート20を簡易且つ迅速に構成でき、分離インサート20の製造性を向上させることができる。
【0143】
ただし、これに限らず、例えば、仕切部30、支持部40、促進部70、又は抑制部80のいずれかは、別体に形成されてもよい。
【0144】
以上のような分離インサート20及び分離器具1により、従来技術(上面に空気又は流体を通過可能とする開口が単に設けられた筒状のインサート)に比べて、遠心分離操作時に空気が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを防止できる。よって、遠心分離操作後に上記空気により第1分離成分S1が懸濁されることを回避でき、第1分離成分S1の分取作業を効率的に行うことが可能となる。
【0145】
(試料の分離方法)
次に、分離器具1を用いた試料の分離方法について説明する。
【0146】
この分離方法は、分離インサート20を介して試料の成分を、第1分離成分S1と第2分離成分S2とに分離するための方法であり、分注工程、遠心分離工程、及び分取工程を含んでいる。
【0147】
(試料の分離方法-分注工程)
まず、分注工程について説明する。
【0148】
分注工程は、分離器具1の容器10に分離対象液LSを分注する工程である。
【0149】
具体的には、まず、分離器具1の容器10に分離器具1の分離インサート20を収容する。次に、図示しない分注器(例えば、ピペット)を用いて、分離対象液LSのうち密度勾配溶液LS1を容器10に注ぎ入れる。その後、分注器を用いて、分離対象液LSのうち試料及び希釈液LS2(具体的には、希釈液で希釈された試料)を容器10に注ぎ入れる。
【0150】
ここで、密度勾配溶液LS1を容器10に注ぎ入れる量の設定方法については任意であるが、実施の形態1では、図7に示すように、収容状態において、密度勾配溶液LS1の上面が分離インサート20の上端部よりも上方に位置する量に設定している。
【0151】
また、試料及び希釈液LS2を容器10に注ぎ入れる量の設定方法については任意であるが、実施の形態1では、図8に示すように、遠心分離操作後において、第2分離成分S2の界面が仕切部30(より具体的には、抑制部80)よりも下方に位置する量に設定している。
【0152】
これらの設定方法により、遠心分離操作後において第1分離成分S1の界面が仕切部30よりも上方に位置させることができ、第1分離成分S1を効率的に回収することができる。
【0153】
(試料の分離方法-遠心分離工程)
次に、遠心分離工程について説明する。
【0154】
遠心分離工程は、分注工程の後に、図7の分離対象液LSが収容された容器10に対して遠心分離操作を行うことにより、図8に示すように、試料の成分を第1分離成分S1と第2分離成分S2とに分離する工程である。
【0155】
具体的には、上記容器10を公知の遠心分離機にセットした後に、遠心分離機を用いて遠心分離処理を所定時間実施することにより、当該遠心分離機によって当該容器10に対して遠心分離操作が行われる。
【0156】
また、この遠心分離操作中においては、外側促進部71及び内側促進部72によって、仕切側第2開口部61及び支持側第2開口部62を介して空気が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動することが促進されるので、当該空気によって分取工程の作業が阻害されることを回避できる。
【0157】
また、第1開口部50及び抑制部80を介して第1分離成分S1が仕切部30よりも上方に移動され、且つ第2分離成分S2が仕切部30よりも下方に移動されるので、分取工程の作業を効率的に行うことができる。
【0158】
(試料の分離方法-分取工程)
続いて、分取工程について説明する。
【0159】
分取工程は、遠心分離工程の後に、第1分離成分S1を容器10から分取する工程である。
【0160】
具体的には、図9に示すように、容器10の開口12を介して容器10の第1分離成分S1を別の容器90(具体的には、上面が開放された樹脂製の容器)に注ぎ入れる動作を行うことにより(より具体的には、1回の当該動作を止めることなく行うことで)、第1分離成分S1が容器10から分取される。
【0161】
また、上記動作中には、抑制部80によって第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることが抑制されるので、第2分離成分S2が誤って容器10から分取されることを回避できる。
【0162】
以上のような試料の分離方法により、試料の成分を第1分離成分S1と第2分離成分S2とに分離して、第1分離成分S1を精度良く回収でき、当該回収作業を効率的に行うことができる。
【0163】
(効果)
このように実施の形態1によれば、分離インサート20が、仕切部30又は/及び支持部40に設けられる促進部70であり、遠心分離操作中において、第2開口部60を介して空気が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動することを促進させるための促進部70を備えるので、従来技術(上面に空気又は流体を通過可能とする開口が単に設けられた筒状のインサート)に比べて、遠心分離操作時に空気が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを防止できる。よって、遠心分離操作後に上記空気により第1分離成分S1が懸濁されることを回避でき、第1分離成分S1の分取作業を効率的に行うことが可能となる。
【0164】
また、促進部70は、仕切部30又は/及び支持部40に設けられる外側促進部71、又は/及び仕切部30又は/及び支持部40に設けられる内側促進部72を備えるので、遠心分離操作中に第2内部空間IS2における支持部40の外側にある空気を第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、又は/及び遠心分離操作中に第2内部空間IS2における支持部40の内側にある空気を第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0165】
また、複数の第2開口部60を、仕切部30の外縁部において相互に間隔を隔てて設け、複数の第2開口部60のうち、隣接する第2開口部60同士の相互間にわたって外側促進部71又は/及び内側促進部72を配置したので、複数の第2開口部60を仕切部30の外縁部に設ける場合にも、遠心分離操作中に空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0166】
また、外側促進部71の底端部11b側の端部71aが第2開口部60に近づくにつれて開口端部11a側に位置するように、外側促進部71を構成したので、遠心分離操作中に第2内部空間IS2の空気を第2開口部60に誘導させやすくなるため、当該空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができる。
【0167】
また、内側促進部72の突出長さを、第2開口部60から離れるにつれ、且つ仕切部30に近づくにつれて長くしたので、遠心分離操作中に空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0168】
また、第1開口部50の近傍に設けられる抑制部80であり、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを抑制するための抑制部80を備えるので、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、第1分離成分S1の分取を正確に行うことが可能となる。
【0169】
また、略筒状の支持部40を、仕切部30から底端部11b側に向けて突出するように設け、略筒状の抑制部80を、支持部40内において仕切部30から底端部11b側に向けて突出するように設けたので、抑制部80を仕切部30から開口端部11a側に向けて突出するように設ける場合に比べて、遠心分離操作中に、第1分離成分S1と第2分離成分S2との分離が抑制部80によって阻害されること(例えば、遠心分離操作中に、抑制部80の近傍に第2分離成分S2が堆積すること等)を抑制でき、当該分離を効率的に行うことができる。
【0170】
また、抑制部80の内径を、第1開口部50の直径と略同一とし、抑制部80の突出長さを、支持部40の突出長さよりも短い長さであり、且つ遠心分離操作後に抑制部80と第2分離成分S2とが接触することを抑制可能な長さとしたので、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを効果的に抑制でき、第1分離成分S1の分取を正確に行うことが可能となる。
【0171】
また、仕切部30、支持部40、促進部70、又は/及び抑制部80を、透明材料で構成したので、遠心分離操作中に、試料の分離状況を把握でき、分離インサート20の使用性を高めることができる。
【0172】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る分離器具について説明する。この実施の形態2は、抑制部を実施の形態1に係る抑制部とは異なる態様で構成した形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号又は/及び名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0173】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る分離器具の構成について説明する。
【0174】
分離器具100は、図10に示すように、容器10及び分離インサート110を備えている。
【0175】
(構成-容器)
まず、容器10の構成について説明する。
【0176】
実施の形態2に係る容器10は、実施の形態1に係る容器10とほぼ同様に構成されている。
【0177】
(構成-分離インサート)
次に、分離インサート110の構成について説明する。
【0178】
分離インサート110は、容器10とは別体に形成されたものであり、容器10に収容されている。
【0179】
具体的には、図10に示すように、分離インサート110の一部は、容器10の内部空間ISにおいて、容器本体11の底側部分11dよりも上方に位置し、分離インサート110の他の一部は、容器本体11の底側部分11dに位置するように、分離インサート110は配置されている。
【0180】
また、図11から図14に示すように、分離インサート110は、仕切部30、支持部40、第3開口部120、促進部70、成分移動促進部130、及び抑制部80を備えている。
【0181】
(構成-分離インサート-仕切部)
仕切部30は、例えば樹脂製(又はガラス製)の略板状体にて形成されており、具体的には、図11図14に示すように、縦断面形状が屈曲状になる略板状体にて形成されている。
【0182】
また、図10に示すように、仕切部30は、収容状態では、容器本体11の底側部分11dよりも上方に設けられる。
【0183】
また、仕切部30の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態1に係る仕切部30の具体的な形状及び大きさと略同一に設定している。
【0184】
(構成-分離インサート-支持部)
支持部40は、実施の形態1に係る支持部40とほぼ同様に構成されている。
【0185】
(構成-分離インサート-第3開口部)
第3開口部120は、遠心分離操作中において、当該第3開口部120を介して第1内部空間IS1又は第2内部空間IS2のいずれか一方から他方へ分離対象液LSが流れることを可能とする第1開口部であると共に、遠心分離操作中において、第2内部空間IS2に位置する空気を当該第3開口部120を介して第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ移動可能とする第2開口部である。
【0186】
この第3開口部120は、仕切部30に設けられている。具体的には、図10から図12に示すように、仕切部30の縁端部(図12では、右側の外縁部)において1つのみ設けられていると共に、支持部40の上端部(図12では、支持部40の右側部分の上端部)に1つのみ設けられ、これらの第3開口部120は連続状に形成されている。
【0187】
なお、以下では、必要に応じて、第3開口部120のうち、仕切部30の縁端部に設けられる第3開口部121を「仕切側第3開口部121」と称し、支持部40の上端部に設けられる第3開口部121を「支持側第3開口部122」と称する。
【0188】
また、仕切側第3開口部121の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態2では以下の通りに設定している。
【0189】
すなわち、仕切側第3開口部121の平面形状については、略円弧状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略多角形状(一例として、略長方形状等)に設定してもよい。
【0190】
また、仕切側第3開口部121の長手方向の長さについては、仕切部30の直径よりも小さく設定しており、一例として、仕切部30の直径の半分程度に設定してもよい。ただし、これに限らず、例えば、仕切部30の直径の半分未満に設定してもよい。
【0191】
また、仕切側第3開口部121の短手方向の長さについては、第3開口部120の長手方向の長さよりも短く設定しており、一例として、第3開口部120の長手方向の長さの半分未満に設定してもよい。
【0192】
また、支持側第3開口部122の具体的な形状及び大きさについては任意であるが、実施の形態2では以下の通りに設定している。
【0193】
すなわち、支持側第3開口部122の側面形状については、略矩形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略多角形状(一例として、略正方形状、略三角形状等)、略楕円形状に設定してもよい。
【0194】
また、支持側第3開口部122の水平方向の長さについては、第3開口部120の長手方向の長さと略同一に設定している。
【0195】
また、支持側第3開口部122の上下方向の長さについては、第3開口部120の短手方向の長さ以上であり、第3開口部120の長手方向の長さよりも短く設定している。
【0196】
(構成-分離インサート-促進部)
促進部70は、仕切部30に設けられている。具体的には、図14に示すように、第2内部空間IS2側に設けられており、より具体的には、仕切部30の部分のうち屈曲点31よりも下側部分と一体に形成されている(つまり、仕切部30は、促進部70を備えている)。
【0197】
また、促進部70の具体的な構成については任意であるが、実施の形態2では、図14に示すように、促進部70が第3開口部120に向かうにつれて上方に傾斜するように、促進部70が構成されている。
【0198】
ここで、促進部70の傾斜角度の設定方法については、上記式(1)に基づいて設定している。ただし、これに限らず、例えば、上記式1以外の方法(一例として、実験結果又は解析結果)に基づいて設定してもよい。
【0199】
このような促進部70により、遠心分離操作中に第2内部空間IS2における支持部40の外側にある空気を第1内部空間IS1へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを防止できる。
【0200】
(構成-分離インサート-成分移動促進部)
成分移動促進部130は、遠心分離操作中において、第3開口部120(第1開口部)を介して第2分離成分S2が第1内部空間IS1から第2内部空間IS2へ移動することを促進させるための成分移動促進手段である。
【0201】
この成分移動促進部130は、仕切部30に設けられている。具体的には、図14に示すように、第1内部空間IS1側に設けられており、より具体的には、仕切部30の部分のうち屈曲点31よりも上側部分と一体に形成されている(つまり、仕切部30は、成分移動促進部130を備えている)。
【0202】
また、成分移動促進部130の具体的な構成については任意であるが、実施の形態2では、図に示すように、成分移動促進部130が第3開口部120に向かうにつれて下方に傾斜するように、成分移動促進部130が構成されている。
【0203】
ここで、成分移動促進部130の傾斜角度の設定方法については、上記式(1)に基づいて設定している。ただし、これに限らず、例えば、上記式1以外の方法(一例として、実験結果又は解析結果)に基づいて設定してもよい。
【0204】
このような成分移動促進部130により、遠心分離操作時に第2分離成分S2が第1内部空間IS1から第2内部空間IS2へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第1内部空間IS1に第2分離成分S2が残ることを防止できる。また、仕切部30が促進部70及び成分移動促進部130を備えるので、支持部40の構成を簡素化することができ、支持部40の製造性を高めることができる。
【0205】
(構成-分離インサート-抑制部)
抑制部80は、第3開口部120の近傍に設けられている。
【0206】
具体的には、図14に示すように、抑制部80は、支持部40の第3開口部120側(第1開口部側)の部分から分離インサート110の内側及び底端部11b側に向けて突出するように設けられている。
【0207】
なお、以下では、必要に応じて、抑制部80のうち、分離インサート110の内側に向けて突出する抑制部81を「第1抑制部81」と称し、底端部11b側に向けて突出する抑制部82を「第2抑制部82」と称する。
【0208】
また、抑制部80の具体的な構成については任意であるが、実施の形態2では、第1分離成分S1の分取作業において、第3開口部120が仕切部30よりも上方に位置するように容器10を傾けた際に、第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第3開口部120よりも上方に位置しないように、抑制部80が構成されている。
【0209】
ここで、上述のように抑制部80が構成される理由については、以下に示す通りである。
【0210】
すなわち、図15に示すように、第1分離成分S1の分取作業において、第3開口部120が仕切部30よりも上方に位置するように容器10を傾けた際に、第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第3開口部120よりも上方に位置する場合には、当該分離対象液LSが重力により下方へ移動しようとする。そして、このような移動に伴って、第2内部空間IS2内の分離対象液LSに対して第1内部空間IS1に向けて押し出そうとする力が働くことから、第2内部空間IS2内の分離対象液LS(第2分離成分S2を含む)が第3開口部120を介して第1内部空間IS1へ流れてしまうおそれがあった。そこで、このような問題を回避するために、上述のように抑制部80が構成されている。
【0211】
具体的には、第1抑制部81については、図14に示すように、第1抑制部81の突出長さ(具体的には、分離インサート110の内側に向けて突出する長さ)が、底端部11b側に向かうにつれて長くなるように設定されている。
【0212】
また、第2抑制部82については、図11に示すように、第2抑制部82の側面形状が略逆三角形状になるように、第2抑制部82は第1抑制部81及び支持部40から底端部11b側に向けて突出している。また、図14に示すように、第2抑制部82の突出長さ(具体的には、底端部11b側に向けて突出する長さ)は、収容状態において、第2抑制部82が容器10の底端部11bと当接可能な長さに設定している。
【0213】
また、支持部40の第3開口部120側の部分の外面に対する抑制部80における分離インサート110の内側の面の角度の設定方法については、図14図15に示すように、第1分離成分S1の分取作業時において容器10を傾斜する角度以上に設定しており、具体的には、容器10を傾斜する角度よりも大きく設定している。ただし、これに限らず、例えば、容器10を傾斜する角度よりも小さく設定してもよい。
【0214】
このような構成により、第1分離成分S1の分取作業において、第3開口部120が仕切部30よりも上方に位置するように容器10を傾けた場合に、抑制部80によって第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第3開口部120を介して第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、当該分取作業を一層効率的に行うことが可能となる。また、支持部40の第3開口部120側の部分の外面に対する抑制部80における分離インサート110の内側の面の角度が第1分離成分S1の分取作業時において容器10を傾斜する角度よりも下回る場合に比べて、第1分離成分S1の分取作業時に第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第3開口部120を介して第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、抑制部80を効果的に機能させることができる。
【0215】
また、このような抑制部80により、実施の形態1に係る抑制部80と同様に、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、第1分離成分S1の分取を正確に行うことが可能となる。
【0216】
(構成-分離インサート-その他の構成)
分離インサート110のその他の構成については任意であるが、実施の形態2では、図14に示すように、支持部40に内径調整部140が設けられている。
【0217】
内径調整部140は、分離インサート110の内径(具体的には、支持部40及び抑制部80によって囲繞される空間の直径)を略均一にするための内径調整手段である。この内径調整部140は、図14に示すように、支持部40の第3開口部120側(第1開口部側)とは反対側の部分から分離インサート110の内側に向けて突出するように設けられている。
【0218】
また、内径調整部140の突出長さについては、実施の形態2では、図14に示すように、底端部11b側に向かうにつれて短くなるように設定されている。
【0219】
このような内径調整部140により、分離インサート110の内径を略均一にでき、例えば、分離インサート110を射出成形することで形成する場合に、抑制部80の製造性を確保しやすくなる。
【0220】
(試料の分離方法)
次に、分離器具100を用いた試料の分離方法について説明する。
【0221】
実施の形態2に係る分離方法は、実施の形態1に係る分離方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0222】
(効果)
このように実施の形態2によれば、第1開口部を、仕切部30の外縁部に設け、略筒状の支持部40を、仕切部30から底端部11b側に向けて突出するように設け、抑制部80を、支持部40の第1開口部側の部分から分離インサート110の内側又は/及び底端部11b側に向けて突出するように設けたので、第1分離成分S1の分取作業において、第1開口部が仕切部30よりも上方に位置するように容器10を傾けた際に、抑制部80によって第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第1開口部を介して第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、当該分取作業を一層効率的に行うことが可能となる。
【0223】
また、支持部40の第1開口部側の部分の外面に対する抑制部80における分離インサート110の内側の面の角度を、第1分離成分S1の分取作業時において容器10を傾斜する角度以上としたので、容器10を傾斜する角度よりも下回る場合に比べて、第1分離成分S1の分取作業時に第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第1開口部を介して第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、抑制部80を効果的に機能させることができる。
【0224】
また、仕切部30は、第2内部空間IS2側に設けられる促進部70と、第1内部空間IS1側に設けられる成分移動促進部130と、を備えるので、成分移動促進部130によって、遠心分離操作時に第2分離成分S2が第1内部空間IS1から第2内部空間IS2へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第1内部空間IS1に第2分離成分S2が残ることを防止できる。また、支持部40の構成を簡素化することができ、支持部40の製造性を高めることができる。
【0225】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0226】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0227】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0228】
(分離器具について)
上記実施の形態1では、容器10と分離インサート20とが別体に形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、容器10と分離インサート20とが一体に形成されてもよい。この場合には、例えば、容器10と分離インサート20とを、樹脂材料にて3Dプリンタで成形することで、一体に形成してもよい(なお、実施の形態2の分離器具100についても同様である)。
【0229】
(容器について)
上記実施の形態1、2では、容器本体11の底側部分11dが、略円錐状である中空状体にて形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、容器本体11の底側部分11dが、略半球状である中空状体にて形成されてもよい。
【0230】
(分離インサートについて)
上記実施の形態1、2では、分離インサートが促進部70及び抑制部80を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、促進部70又は抑制部80のいずれか一方を省略してもよい。
【0231】
また、上記実施の形態2では、分離インサートが成分移動促進部130及び内径調整部140を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、成分移動促進部130又は内径調整部140の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
【0232】
(仕切部について)
上記実施の形態1では、仕切部30は、下方に向けて窪んだ凹状の略板状体にて形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、略平坦な略板状体にて形成されてもよい。
【0233】
また、上記実施の形態2では、仕切部30に第3開口部120が設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、分注工程で用いられる分注器を挿入するための第4開口部がさらに設けられてもよい。
【0234】
また、上記実施の形態2では、仕切部30が、促進部70及び成分移動促進部130を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、促進部70又は成分移動促進部130の少なくともいずれか一方を省略してもよい。
【0235】
なお、促進部70を省略する場合には、例えば、仕切部30の部分のうち屈曲点31よりも下側部分を略水平に設けられてもよい。また、成分移動促進部130を省略する場合には、例えば、仕切部30の部分のうち屈曲点31よりも上側部分を略水平に設けられてもよい。
【0236】
(支持部について)
上記実施の形態1、2では、支持部40は、上面及び下面が開放された略筒状体にて形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、仕切部30の縁端部又はその近傍部分において、相互に間隔を隔てて複数設けられる脚部であって、仕切部30から下方に向けて張り出される脚部で構成されてもよい。
【0237】
また、上記実施の形態1、2では、支持部40は、透明な樹脂材料に形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、変形可能な樹脂材料に形成されてもよい。
【0238】
また、上記実施の形態2では、支持部40は、筒状に形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、図16に示すように、実施の形態2に係る支持部40の一部を削ることにより、支持部40が略板状に形成されてもよい。
【0239】
(第1開口部について)
上記実施の形態1では、第1開口部50が、仕切部30の略中央部に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、仕切部30の略中央部以外の部分(一例として、仕切部30の縁端部)に設けられてもよい。
【0240】
また、上記実施の形態1では、第1開口部50の設置数が1つであると説明したが、これに限らず、例えば、2以上設けられてもよい。この場合には、各第1開口部50に対応する位置に抑制部80がそれぞれ設けられてもよい。
【0241】
(第2開口部について)
上記実施の形態1では、第2開口部60が、仕切側第2開口部61及び支持側第2開口部62を含むと説明したが、これに限らず、例えば、支持側第2開口部62を省略してもよい。
【0242】
また、上記実施の形態1では、第2開口部60が、仕切部30の縁端部及び支持部40の上端部に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、図17に示すように、仕切部30の中央部の近傍に複数設けられてもよい(図17では、当該近傍に仕切側第2開口部61が3つ設けられる)。
【0243】
この場合には、例えば、図18に示すように、内側促進部72は、仕切部30及び支持部40において、仕切部30の中央部の近傍部分に設けられる複数の仕切側第2開口部61のうち、隣接する仕切側第2開口部61同士の相互間にわたってそれぞれ設けられてもよい。
【0244】
また、上記実施の形態1では、仕切側第2開口部61及び支持側第2開口部62の設置数がそれぞれ3つであると説明したが、これに限らず、例えば、それぞれ3未満であってもよく、あるいは、それぞれ3つ以上であってもよい。
【0245】
(第3開口部について)
上記実施の形態2では、第3開口部120が、支持側第3開口部122を含むと説明したが、これに限らず、例えば、支持側第3開口部122を省略してもよい。
【0246】
また、上記実施の形態2では、仕切側第3開口部121及び支持側第3開口部122がそれぞれ1つのみ設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、仕切側第3開口部121又は/及び支持側第3開口部122が複数設けられてもよい。
【0247】
また、上記実施の形態2では、第3開口部120が、仕切部30の縁端部に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、図19に示すように、仕切部30の中央部に設けられてもよい。
【0248】
この場合において、例えば、抑制部80は、上記実施の形態2に係る抑制部80よりも分離インサート110の内側に向けて突出するように設けられてもよい。
【0249】
また、上記実施の形態2では、第3開口部120が、仕切部30に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、第3開口部120に代えて、第1開口部50及び第2開口部60が相互に間隔を隔てて設けられてもよい。
【0250】
(促進部について)
上記実施の形態1では、促進部70が、外側促進部71及び内側促進部72を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、外側促進部71又は内側促進部72のいずれか一方を省略してもよい。
【0251】
なお、例えば、外側促進部71を省略する場合には、支持の外径は、仕切部30の直径と略同一に設定されてもよい。
【0252】
また、上記実施の形態1では、外側促進部71及び内側促進部72の各々が、仕切部30及び支持部40に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、仕切部30又は支持部40のいずれか一方のみに設けられてもよい。
【0253】
また、上記実施の形態1では、外側促進部71の底端部11b側の端部71aが第2開口部60に近づくにつれて容器本体11の開口端部11a側に位置するように、外側促進部71が構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、外側促進部71の底端部11b側の端部71aが第2開口部60に近づくにつれて容器本体11の開口端部11a側に位置しないように、構成されてもよい。一例として、外側促進部71の側面形状については、略矩形状に設定してもよい。
【0254】
また、上記実施の形態1では、外側促進部71の上下方向の長さが、支持部40の上下方向の長さよりも短く設定されていると説明したが、これに限らない。例えば、図20に示すように、外側促進部71は、側面形状が略三角形状であり、外側促進部71の上下方向の長さが、支持部40の上下方向の長さと略同一に設定されてもよい。
【0255】
この場合には、例えば、収容状態において、外側促進部71と容器10の内壁とが接触可能となるように、外側促進部71が構成されてもよい。具体的には、外側促進部71の突出長さは、収容状態において、外側促進部71全体(又は一部のみ)と容器10の内壁とが接触する長さに設定されてもよい。
【0256】
これにより、例えば、外側促進部71の開口端部11a側から底端部11b側に至る長さが比較的長い場合に、遠心分離操作中に空気を第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間IS2に空気が残ることを一層防止できる。
【0257】
また、上記実施の形態1では、外側促進部71及び内側促進部72の各々の設置数が3つであると説明したが、これに限らない。例えば、2つ未満であってもよい。あるいは、第2開口部60の設置数が4つ以上である場合には、4つ以上であってもよい。
【0258】
(抑制部について)
上記実施の形態1では、抑制部80が、支持部40内において仕切部30から容器本体11の底端部11b側に向けて突出するように設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、支持部40内において仕切部30から容器本体11の開口端部11a側に向けて突出するように設けられてもよい。
【0259】
また、上記実施の形態1では、抑制部80の突出長さは、遠心分離操作後に抑制部80と第2分離成分S2とが接触することを抑制可能な長さに設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、遠心分離操作後に抑制部80と第2分離成分S2とが接触可能な長さに設定されてもよい。
【0260】
また、上記実施の形態2では、抑制部80は、支持部40の第3開口部120側の部分から分離インサート110の内側及び底端部11b側に向けて突出するように設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、第1分離成分S1の分取作業において、第3開口部120が仕切部30よりも上方に位置するように容器10を傾けた場合に、抑制部80によって第2内部空間IS2内の分離対象液LSが第3開口部120を介して第1内部空間IS1へ流れることを抑制できる場合には、抑制部80は、支持部40の第3開口部120側の部分から分離インサート110の内側のみに向けて突出するように設けられてもよい(つまり、第2抑制部82を省略してもよい。)。さらには、第1抑制部81の底端部11b側の部分の一部を省略してもよい。
【0261】
また、上記実施の形態2では、抑制部80は、分離インサート110に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、図21図22に示すように、容器10に設けられてもよい。
【0262】
この場合には、例えば、図21に示すように、分離インサート110の抑制部80及び支持部40の一部を省略すると共に、容器10の部分のうち第3開口部120側の近傍部分から底端部11bに至る部分(以下、「設置対象部分」と称する)に抑制部80が設けられてもよい。
【0263】
また、図22に示すように、分離インサート110の抑制部80及び支持部40の一部を省略すると共に、分離インサート110と容器10の設置対象部分との相互間に分離対象液LSが流れにくくなるように、設置対象部分を傾斜状に形成することにより、抑制部80が設けられてもよい。
【0264】
このような構成により、抑制部80が容器10に設けられた場合でも、遠心分離操作後に、第2分離成分S2が第2内部空間IS2から第1内部空間IS1へ流れることを抑制でき、第1分離成分S1の分取作業を正確に行うことが可能となる。
【0265】
(付記)
付記1の分離インサートは、容器に収容される分離インサートであり、試料を含む分離対象液が収容された前記容器に対して遠心分離操作が行われた際に、当該分離インサートを介して前記試料の成分を、第1分離成分と、前記第1分離成分以外の成分である第2分離成分とに分離するための分離インサートであって、前記容器は、開口が設けられる開口端部と、前記開口端部と対向するように設けられる底端部とを有し、当該分離インサートは、前記容器の内部空間を、前記開口端部側の空間である第1内部空間であって、前記遠心分離操作後に前記第1分離成分が収容される第1内部空間と、前記底端部側の空間である第2内部空間であって、前記遠心分離操作後に前記第2分離成分が収容される第2内部空間とに仕切るための仕切手段と、前記仕切手段を前記容器に対して支持するための支持手段と、前記仕切手段に設けられる第1開口部であり、前記遠心分離操作中において、当該第1開口部を介して前記第1内部空間又は前記第2内部空間のいずれか一方から他方へ前記分離対象液が流れることを可能とする第1開口部と、前記仕切手段に設けられる第2開口部であり、前記遠心分離操作中において、前記第2内部空間に位置する空気を当該第2開口部を介して前記第2内部空間から前記第1内部空間へ移動可能とする第2開口部と、前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる促進手段であり、前記遠心分離操作中において、前記第2開口部を介して前記空気が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ移動することを促進させるための促進手段と、を備える。
【0266】
付記2の分離インサートは、付記1に記載の分離インサートにおいて、前記促進手段は、前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる外側促進手段であり、当該分離インサートの外側に向けて突出するように設けられた外側促進手段、又は/及び前記仕切手段又は/及び前記支持手段に設けられる内側促進手段であり、当該分離インサートの内側に向けて突出するように設けられた内側促進手段を備える。
【0267】
付記3の分離インサートは、付記2に記載の分離インサートにおいて、複数の前記第2開口部を、前記仕切手段の外縁部において相互に間隔を隔てて設け、前記複数の第2開口部のうち、隣接する第2開口部同士の相互間にわたって前記外側促進手段又は/及び内側促進手段を配置した。
【0268】
付記4の分離インサートは、付記3に記載の分離インサートにおいて、前記外側促進手段の前記底端部側の端部が前記第2開口部に近づくにつれて前記開口端部側に位置するように、前記外側促進手段を構成した。
【0269】
付記5の分離インサートは、付記2から4のいずれか一項に記載の分離インサートにおいて、当該分離インサートが前記容器に収容されている収容状態において、前記外側促進手段と前記容器の内壁とが接触可能となるように、前記外側促進手段を構成した。
【0270】
付記6の分離インサートは、付記3に記載の分離インサートにおいて、前記内側促進手段の突出長さを、前記第2開口部から離れるにつれ、且つ前記仕切手段に近づくにつれて長くした。
【0271】
付記7の分離インサートは、付記1から4のいずれか一項に記載の分離インサートにおいて、前記第1開口部の近傍に設けられる抑制手段であり、前記遠心分離操作後に、前記第2分離成分が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備える。
【0272】
付記8の分離インサートは、付記7に記載の分離インサートにおいて、略筒状の前記支持手段を、前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設け、略筒状の前記抑制手段を、前記支持手段内において前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設けた。
【0273】
付記9の分離インサートは、付記8に記載の分離インサートにおいて、前記抑制手段の内径を、前記第1開口部の直径と略同一とし、前記抑制手段の突出長さを、前記支持手段の突出長さよりも短い長さであり、且つ前記遠心分離操作後に前記抑制手段と前記第2分離成分とが接触することを抑制可能な長さとした。
【0274】
付記10に記載の分離インサートは、付記7に記載の分離インサートにおいて、前記第1開口部を、前記仕切手段の外縁部に設け、略筒状の前記支持手段を、前記仕切手段から前記底端部側に向けて突出するように設け、前記抑制手段を、前記支持手段の前記第1開口部側の部分から当該分離インサートの内側又は/及び前記底端部側に向けて突出するように設けた。
【0275】
付記11に記載の分離インサートは、付記10に記載の分離インサートにおいて、前記支持手段の前記第1開口部側の部分の外面に対する前記抑制手段における当該分離インサートの内側の面の角度を、前記第1分離成分の分取作業時において前記容器を傾斜する角度以上とした。
【0276】
付記12に記載の分離インサートは、付記10に記載の分離インサートにおいて、前記仕切手段は、前記第2内部空間側に設けられる前記促進手段と、前記第1内部空間側に設けられる成分移動促進手段であり、前記遠心分離操作中において、前記第1開口部を介して前記第2分離成分が前記第1内部空間から前記第2内部空間へ移動することを促進させるための成分移動促進手段と、を備える。
【0277】
付記13に記載の分離インサートは、付記7に記載の分離インサートにおいて、前記仕切手段、前記支持手段、前記促進手段、又は/及び前記抑制手段を、透明材料で構成した。
【0278】
付記14に記載の分離器具は、開口が設けられる開口端部と、前記開口端部と対向するように設けられる底端部とを有する容器と、付記1から4のいずれか一項に記載の分離インサートと、を備える。
【0279】
付記15に記載の分離器具は、付記14に記載の分離器具において、前記分離インサート又は前記容器のいずれか一方に設けられる抑制手段であって、前記遠心分離操作後に、前記第2分離成分が前記第2内部空間から前記第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備える。
【0280】
(付記の効果)
付記1に記載の分離インサート、又は付記7に記載の分離器具によれば、当該分離インサートが、仕切手段又は/及び支持手段に設けられる促進手段であり、遠心分離操作中において、第2開口部を介して空気が第2内部空間から第1内部空間へ移動することを促進させるための促進手段を備えるので、従来技術(上面に空気又は流体を通過可能とする開口が単に設けられた筒状のインサート)に比べて、遠心分離操作時に空気が第2内部空間から第1内部空間へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを防止できる。よって、遠心分離操作後に上記空気により第1分離成分が懸濁されることを回避でき、第1分離成分の分取作業を効率的に行うことが可能となる。
【0281】
付記2に記載の分離インサートによれば、促進手段は、仕切手段又は/及び支持手段に設けられる外側促進手段、又は/及び仕切手段又は/及び支持手段に設けられる内側促進手段を備えるので、遠心分離操作中に第2内部空間における支持手段の外側にある空気を第1内部空間へ効果的に移動させることができ、又は/及び遠心分離操作中に第2内部空間における支持手段の内側にある空気を第1内部空間へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0282】
付記3に記載の分離インサートによれば、複数の第2開口部を、仕切手段の外縁部において相互に間隔を隔てて設け、複数の第2開口部のうち、隣接する第2開口部同士の相互間にわたって外側促進手段又は/及び内側促進手段を配置したので、複数の第2開口部を仕切手段の外縁部に設ける場合にも、遠心分離操作中に空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させることができ、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0283】
付記4に記載の分離インサートによれば、外側促進手段の底端部側の端部が第2開口部に近づくにつれて開口端部側に位置するように、外側促進手段を構成したので、遠心分離操作中に第2内部空間の空気を第2開口部に誘導させやすくなるため、当該空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させることができる。
【0284】
付記5に記載の分離インサートによれば、収容状態において、外側促進手段と容器の内壁とが接触可能となるように、外側促進手段を構成したので、例えば、外側促進手段の開口端部側から底端部側に至る長さが比較的長い場合に、遠心分離操作中に空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0285】
付記6に記載の分離インサートによれば、内側促進手段の突出長さを、第2開口部から離れるにつれ、且つ仕切手段に近づくにつれて長くしたので、遠心分離操作中に空気を第2内部空間から第1内部空間へ効果的に移動させやすくなるため、遠心分離操作後に第2内部空間に空気が残ることを一層防止できる。
【0286】
付記7に記載の分離インサートによれば、第1開口部の近傍に設けられる抑制手段であり、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを抑制するための抑制手段を備えるので、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを抑制でき、第1分離成分の分取を正確に行うことが可能となる。
【0287】
付記8に記載の分離インサートによれば、略筒状の支持手段を、仕切手段から底端部側に向けて突出するように設け、略筒状の抑制手段を、支持手段内において仕切手段から底端部側に向けて突出するように設けたので、抑制手段を仕切手段から開口端部側に向けて突出するように設ける場合に比べて、遠心分離操作中に、第1分離成分と第2分離成分との分離が抑制手段によって阻害されること(例えば、遠心分離操作中に、抑制手段の近傍に第2分離成分が堆積すること等)を抑制でき、当該分離を効率的に行うことができる。
【0288】
付記9に記載の分離インサートによれば、抑制手段の内径を、第1開口部の直径と略同一とし、抑制手段の突出長さを、支持手段の突出長さよりも短い長さであり、且つ遠心分離操作後に抑制手段と第2分離成分とが接触することを抑制可能な長さとしたので、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを効果的に抑制でき、第1分離成分の分取を正確に行うことが可能となる。
【0289】
付記10に記載の分離インサートによれば、第1開口部を、仕切手段の外縁部に設け、略筒状の支持手段を、仕切手段から底端部側に向けて突出するように設け、抑制手段を、支持手段の第1開口部側の部分から当該分離インサートの内側又は/及び底端部側に向けて突出するように設けたので、第1分離成分の分取作業において、第1開口部が仕切手段よりも上方に位置するように容器を傾けた際に、抑制手段によって第2内部空間内の分離対象液が第1開口部を介して第1内部空間へ流れることを抑制でき、当該分取作業を一層効率的に行うことが可能となる。
【0290】
付記11に記載の分離インサートによれば、支持手段の第1開口部側の部分の外面に対する抑制手段における当該分離インサートの内側の面の角度を、第1分離成分の分取作業時において容器を傾斜する角度以上としたので、容器を傾斜する角度よりも下回る場合に比べて、第1分離成分の分取作業時に第2内部空間内の分離対象液が第1開口部を介して第1内部空間へ流れることを抑制でき、抑制手段を効果的に機能させることができる。
【0291】
付記12に記載の分離インサートによれば、仕切手段は、第2内部空間側に設けられる促進手段と、第1内部空間側に設けられる成分移動促進手段と、を備えるので、成分移動促進手段によって遠心分離操作時に第2分離成分が第1内部空間から第2内部空間へ移動しやすくなることから、遠心分離操作後に第1内部空間に第2分離成分が残ることを防止できる。また、支持手段の構成を簡素化することができ、支持手段の製造性を高めることができる。
【0292】
付記13に記載の分離インサートによれば、仕切手段、支持手段、促進手段、又は/及び抑制手段を、透明材料で構成したので、遠心分離操作中に、試料の分離状況を把握でき、分離インサートの使用性を高めることができる。
【0293】
付記15に記載の分離器具によれば、分離インサート又は容器のいずれか一方に設けられる抑制手段を備えるので、遠心分離操作後に、第2分離成分が第2内部空間から第1内部空間へ流れることを抑制でき、第1分離成分の分取作業を正確に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0294】
1 分離器具
10 容器
11 容器本体
11a 開口端部
11b 底端部
11c 側壁部
11d 底側部分
12 開口
13 蓋部
20 分離インサート
30 仕切部
31 屈曲点
40 支持部
50 第1開口部
60 第2開口部
61 仕切側第2開口部
62 支持側第2開口部
70 促進部
71 外側促進部
71a 底端部側の端部
72 内側促進部
72a 傾斜部分
72b 傾斜部分
80 抑制部
81 第1抑制部
82 第2抑制部
90 別の容器
100 分離器具
110 分離インサート
120 第3開口部
121 仕切側第3開口部
122 支持側第3開口部
130 成分移動促進部
140 内径調整部
IS 内部空間
IS1 第1内部空間
IS2 第2内部空間
LS 分離対象液
LS1 密度勾配溶液
LS2 試料及び希釈液
S1 第1分離成分
S2 第2分離成分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22