(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143195
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20250924BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20250924BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025009977
(22)【出願日】2025-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2024042783
(32)【優先日】2024-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 昌平
(72)【発明者】
【氏名】横手 暁仁
(72)【発明者】
【氏名】青山 美嶺
(72)【発明者】
【氏名】石田 浩章
(72)【発明者】
【氏名】村山 龍臣
(72)【発明者】
【氏名】福田 正史
(72)【発明者】
【氏名】末岡 丈典
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA55
2H270LA19
2H270LA22
2H270LA90
2H270LA91
2H270LD03
2H270LD09
2H270MA07
2H270MA08
2H270MH01
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EB04
2H300EB12
2H300EC05
2H300EF03
2H300EJ09
2H300FF05
2H300GG12
2H300GG16
2H300RR21
2H300RR31
2H300RR34
2H300RR43
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】キャリブレーションの種類に適した変換を行う。
【解決手段】画像形成手段に第1キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、検知手段により出力された第1キャリブレーション用のテスト画像からの反射光の受光結果に基づく第1信号を増幅手段に増幅させ、増幅された第1信号から第1決定条件に基づき第1濃度情報を決定し、第1濃度情報に基づき画像形成手段により形成されるべき画像の階調特性を調整する。画像形成手段に第2キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、検知手段により出力された第2キャリブレーション用のテスト画像からの反射光の受光結果に基づく第2信号を増幅手段に増幅させ、増幅された第2信号から第2決定条件に基づき第2濃度情報を決定し、第2濃度情報に基づき画像形成手段により形成されるべき画像の濃度ムラを調整する。第2信号の増幅率は第1信号の増幅率よりも高い
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成されたテスト画像からの反射光を受光し、前記テスト画像からの前記反射光の受光結果に基づく信号を出力する検知手段と、
前記検知手段から出力された前記信号を増幅する増幅手段と、
前記画像形成手段により形成されるべき画像の画質を調整するためにキャリブレーションを実施する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記画像形成手段に第1キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、前記検知手段により出力された前記第1キャリブレーション用の前記テスト画像からの反射光の受光結果に基づく第1信号を前記増幅手段に増幅させ、前記増幅された第1信号から第1決定条件に基づき第1濃度情報を決定し、前記第1濃度情報に基づき前記画像形成手段により形成されるべき画像の階調特性を調整し、
前記画像形成手段に第2キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、前記検知手段により出力された前記第2キャリブレーション用の前記テスト画像からの反射光の受光結果に基づく第2信号を前記増幅手段に増幅させ、前記増幅された第2信号から第2決定条件に基づき第2濃度情報を決定し、前記第2濃度情報に基づき前記画像形成手段により形成されるべき画像の濃度ムラを調整し、
前記第2信号の増幅率は前記第1信号の増幅率よりも高い、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記テスト画像を照明する発光手段をさらに有し、
前記発光手段が第1キャリブレーション用の前記テスト画像を照明する光の量は前記発光手段が第2キャリブレーション用の前記テスト画像を照明する光の量と異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1濃度情報として出力可能な濃度範囲は、前記第2濃度情報として出力可能な濃度範囲よりも広い、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1決定条件は所定のビット数のデジタル信号を第1濃度範囲の前記第1濃度情報へ変換するために用いられる濃度変換テーブルであり、
前記第2決定条件は前記所定のビット数のデジタル信号を前記第1濃度範囲よりも狭い第2濃度範囲の前記第2濃度情報へ変換するために用いられる濃度変換テーブルである、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1キャリブレーション用の前記テスト画像は複数の異なる階調を有する画像を有し、
前記第2キャリブレーション用の前記テスト画像は単一の階調を有する画像である、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
搬送路にシートを搬送する搬送手段をさらに有し、
前記画像形成手段は前記搬送手段に搬送された前記シートに前記画像を形成し、
前記第2キャリブレーションは、前記搬送手段が前記シートを搬送する搬送方向に直交する方向の濃度ムラを調整するキャリブレーションである、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
搬送路にシートを搬送する搬送手段をさらに有し、
前記画像形成手段は前記搬送手段に搬送された前記シートに前記画像を形成し、
前記第2キャリブレーションは、前記搬送手段が前記シートを搬送する搬送方向の濃度ムラを調整するキャリブレーションである、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2濃度情報としての信号値の分解能は前記第1濃度情報としての信号値の分解能よりも高い、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成手段は、入力された画像信号を階調補正条件に基づき変換する画像処理部を有し、前記変換された画像信号に基づいて前記画像を形成し、
前記制御手段は、前記第1キャリブレーションにおいて、前記第1濃度情報に基づいて前記階調補正条件を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成手段は、入力された画像信号を補正値に基づき補正する画像処理部を有し、前記補正された画像信号に基づいて前記画像を形成し、
前記制御手段は、前記第2キャリブレーションにおいて、前記第2濃度情報に基づいて前記補正値を生成する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、読取装置が原稿を読み取ることにより読取装置のセンサから出力されるセンサ出力(輝度信号)値を濃度信号に変換し、該濃度信号に基づきシート上に画像を形成する(特許文献1)。また、異なる粒径のトナーが現像器に補給される画像形成装置は、濃度制御用の測定用画像が測定部により測定された結果(測定値)を、複数の変換特性の中から現像器内のトナー平均粒径に応じて選択された変換特性に基づいて変換している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-249503号公報
【特許文献2】特開2019-101302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力信号を出力信号へ変換する変換部は、出力可能なデータサイズに制限がある。たとえば8ビットの出力信号(たとえば濃度信号)を出力可能な変換部は、0~255の256段階でしか出力信号を出力できない。これは、出力信号値の範囲を広くすると分解能が低下し、分解能を高くすると出力可能な出力信号値の範囲が狭くなってしまうことを意味する。
【0005】
画像形成装置により形成されるべき画像の階調特性を補正する場合には、変換部は低濃度から高濃度までの広い範囲の測定用画像の濃度信号を取得できなければならない。ところで、従来の画像形成装置は、測定用画像の濃度にかかわらず、常に同じ条件で測定用画像の濃度信号を取得していた。従来の画像形成装置は、階調特性を検知するため、低濃度から高濃度までの測定用画像を測定できるような条件を用いていた。しかし、濃度ムラを検知するための測定用画像は、階調特性を検知するための測定用画像(低濃度から高濃度までの測定用画像)よりも検知すべき濃度範囲が狭い。濃度ムラを検知する場合には、この狭い濃度範囲(特定の濃度範囲)において高い分解能で濃度信号が取得されるべきであろう。したがって、従来の画像形成装置においては、濃度ムラを高精度に検知することができなかった。そこで、本発明は、キャリブレーションの種類に適した変換を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、たとえば、
画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成されたテスト画像からの反射光を受光し、前記テスト画像からの前記反射光の受光結果に基づく信号を出力する検知手段と、
前記検知手段から出力された前記信号を増幅する増幅手段と、
前記画像形成手段により形成されるべき画像の画質を調整するためにキャリブレーションを実施する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記画像形成手段に第1キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、前記検知手段により出力された前記第1キャリブレーション用の前記テスト画像からの反射光の受光結果に基づく第1信号を前記増幅手段に増幅させ、前記増幅された第1信号から第1決定条件に基づき第1濃度情報を決定し、前記第1濃度情報に基づき前記画像形成手段により形成されるべき画像の階調特性を調整し、
前記画像形成手段に第2キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、前記検知手段により出力された前記第2キャリブレーション用の前記テスト画像からの反射光の受光結果に基づく第2信号を前記増幅手段に増幅させ、前記増幅された第2信号から第2決定条件に基づき第2濃度情報を決定し、前記第2濃度情報に基づき前記画像形成手段により形成されるべき画像の濃度ムラを調整し、
前記第2信号の増幅率は前記第1信号の増幅率よりも高い、ことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャリブレーションの種類に適した変換を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】制御システムおよび画像処理システムを説明する図である。
【
図3】プロセスカラーとスキャン画像のチャネルとの関係を示す図である。
【
図5】輝度濃度変換テーブルを説明する拡大図である。
【
図9】階調補正テーブルの作成方法を示すフローチャートである。
【
図10】濃度ムラを補正するための補正値の作成方法を示すフローチャートである。
【
図12】制御システムおよび画像処理システムを説明する図である。
【
図15】階調補正テーブルの作成方法を示すフローチャートである。
【
図16】濃度ムラを補正するための補正値の作成方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
1.実施例1
1-1.画像形成システム
図1が示すように、複写機100は画像形成システムの一例である。複写機100は、画像形成装置(以下、プリンタと呼ばれる)120と、画像処理装置122と、読取装置(以下、リーダと呼ばれる)130と、操作部140とを有している。
【0011】
1-2.プリンタ
プリンタ120は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラック(Y・M・C・K)の各トナーを用いてフルカラー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。画像形成部123は、画像形成エンジンと呼ばれ、シートP上にトナー像を形成する。プリンタ制御部121は、画像処理装置122を通じて、ラスタイメージデータを受信し、画像形成部123を制御して、ラスタイメージデータに対応したトナー画像をシートP上に形成する。
図1において画像形成部123を形成している様々な部品には参照符号が付与されている。各参照符号にはYMCKの文字が付与されている。四つの色に共通する事項が説明される場合、参照符号からYMCKの文字は省略される。
【0012】
感光体ドラム1は、
図14に示されるモータM1により駆動されて回転する像担持体である。帯電ローラ2は、回転する感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。帯電ローラ2に代えて帯電ワイヤなどの他の帯電部材が採用されてもよい。露光装置3は、プリンタ制御部121または画像処理装置122から供給される画像信号に基づき感光体ドラム1の表面を露光し、静電潜像を形成する。現像ローラ4は、現像スリーブと呼ばれ、トナー容器に保持されているトナーを用いて静電潜像を現像し、トナー画像を形成する。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト6を介して、感光体ドラム1に対向している。一次転写ローラ5は、感光体ドラム1から中間転写ベルト6へトナー画像を転写する。一次転写ローラ5は、転写ブレードと呼ばれる転写部材に置換されてもよい。Yトナー画像、Mトナー画像、Cトナー画像およびKトナー画像が順番に中間転写ベルト6へ転写され、フルカラー画像が形成される。
【0013】
シートカセット7は、複数のシートPを収容する収容庫である。給送ローラ8は、シートカセット7からシートPを給送する。搬送路に設けられた複数の搬送ローラ9はシートPを二次転写ニップへ搬送する。二次転写ニップは、中間転写ベルト6と二次転写ローラ10とが、当接することで形成される。
【0014】
二次転写ローラ10は、中間転写ベルト6からシートPへトナー画像を転写する。定着装置11は、加熱フィルムと加圧ローラとを有する。シートPは、加熱フィルムと加圧ローラとにより形成される定着ニップを通過する。これにより、シートPおよびトナー画像は熱と圧力とを受け、トナー画像がシートP上に定着する。その後、シートPはシートトレイ12へ排出される。
【0015】
1-3.リーダ
リーダ130は、原稿台132、読取ユニット133、および画像処理部136を有している。原稿台132は、透光性を有する平面のガラス板である。読取ユニット133は、照明光源である発光素子134から光を原稿131に照射し、原稿131からの反射光を受光素子135で受光する。発光素子134は、たとえば、発光ダイオードである。受光素子135は、たとえばRGBのカラーフィルタの付いたラインセンサである。受光素子135は、原稿131からの反射光をカラーフィルタによりRGBの3色の色成分に分解して受光し、受光結果(読取結果)として輝度信号を画像処理部136へ出力する。読取ユニット133は、原稿131の副走査方向において、原稿131に対して相対的に移動しながら、原稿131を読み取る。なお、読取ユニット133が停止したまま、原稿131は自動ドキュメントフィーダ(ADF)によって搬送されてもよい。画像処理部136は、受光素子135から出力される輝度信号に対して所定の画像処理を施して、プリンタ120へ出力する。たとえば、所定の画像処理によって赤・緑・青(RGB)のラスタイメージデータが生成される。
【0016】
操作部140は、ユーザにより入力される指示を受け付ける入力装置と、ユーザに対して情報を表示する表示装置とを有する。入力装置は、ハードウエアキー、スイッチ、および、タッチセンサを含む。表示装置は、たとえば、液晶ディスプレイを含む。
【0017】
1-4.制御システムおよび画像処理システム
図2は制御システムおよび画像処理システムを示している。プリンタ制御部121はプリンタ120の動作を制御するコントローラである。プリンタ制御部121は中央演算装置(CPU)211と記憶装置(以下、メモリと呼ばれる)212とを備える。メモリ212はリードオンリメモリ(ROM)とランダムアクセスメモリ(RAM)などを備える。
【0018】
プリンタ制御部121は、画像形成部123、操作部140、および通信回路213等に接続されている。プリンタ制御部121は、さらに、プリンタ120を動作させる駆動源(例:モータM1)、シートセンサ、環境センサ、電源等にも接続される。
【0019】
CPU211は、メモリ212に記憶されている制御プログラムを実行し、制御プログラムにしたがって画像形成部123などを制御する。メモリ212は、後述される輝度濃度変換テーブル等も記憶しうる。CPU211は、通信回路213を介して、リーダ130、画像処理装置122、および不図示の外部装置(ホストコンピュータ)と有線または無線により接続し、双方向通信を行なう。
【0020】
リーダ制御部230は、CPU231とメモリ232とを備えるコントローラである。リーダ制御部230は、通信回路233を介して、プリンタ制御部121および画像処理装置122と通信する。CPU231は、メモリ232に記憶されている制御プログラムを実行し、制御プログラムにしたがって読取ユニット133および画像処理部136を制御する。
【0021】
画像処理部136は、アナログ処理部234と、AD変換部235とを有している。ADはアナログ/デジタルの略称である。アナログ処理部234は、受光素子135で得られた電気信号に対して、プリンタ制御部121により設定されたゲイン(例:増幅率)にしたがってゲイン調整を行なう。読取ユニット133は、画像形成部123により形成されたテスト画像からの反射光を受光し、テスト画像からの反射光の受光結果に基づく信号を出力するセンサの一例である。アナログ処理部234は、センサから出力された信号を増幅する増幅手段の一例である。AD変換部235は、アナログ処理部234から出力される電気信号をアナログ-デジタル変換することで、デジタル信号を生成する。画像処理部136は、さらに、デジタル信号に対して所定の画像処理(例:シェーディング補正)等を行なって輝度信号のデータ列を生成する。これにより、2次元のRGB輝度データ(以下、スキャン画像と呼ばれる)が得られる。CPU231は、通信回路233を介してスキャン画像をプリンタ120に出力する。
【0022】
CPU231は、読取対象である原稿131の種類に応じて、発光素子134の光量とアナログ処理部234のゲインとを変更または選択する。たとえば、階調補正用のテストパターンが読み取られる場合、0以上でかつ2.3以下となる濃度が、飽和することなく0以上かつ255以下の輝度に変換されるよう、光量とゲインとが設定される。また、例えば、濃度ムラ補正用のテストパターンが読み取られる場合、0.6以上でかつ1.4以下となる濃度が、飽和することなく0以上でかつ255以下の輝度に変換されるよう、光量とゲインとが設定される。ここで、濃度は、分光反射濃度計を用いてISOstatusAの重価係数で算出される反射濃度の値が使用されてもよい。
【0023】
画像処理装置122は、画像処理制御部240、通信回路243および画像処理部244を有する。画像処理制御部240は、CPU241とメモリ242とを有するコントローラである。CPU241は、メモリ242に記憶されている制御プログラムを実行し、制御プログラムにしがって画像処理部244を制御する。CPU241は、通信回路243を介して、外部装置から入力されるプリントジョブに対して各種の画像処理を施し、YMCKの1ビットの画像信号をそれぞれ対応する露光装置3Y、3M、3C、3Kに出力する。プリントジョブはプリンタ120に対する指示を含む。指示は、たとえば、ページ記述言語(PDL)により記述されている。プリントジョブは、印刷コンテンツ(原稿)の他に、シートPの種類、片面/両面印刷、画像位置調整、倍率、回転、ページレイアウト、色処理、文字/細線処理、ヘッダ/フッタ追加、等、の各種の設定情報を含み得る。このようなプリントジョブはプリンタ制御部121または外部装置で生成される。後者の場合、ユーザがドライバソフト等を使用してプリンタ120とネットワークを介して接続されたクライアントデバイス上のユーザインタフェースで各種設定を行なう。これにより、プリントジョブが生成される。
【0024】
画像処理部244は、入力されたプリントジョブ(PDLデータ)からインタプリタおよびレンダラを経て画像データを抽出する。さらに、画像処理部244は、ラスタイメージデータ処理(RIP)により画像データをシートPの面単位でラスタライズして所定の解像度およびビット深度を持った画素の集合であるラスタイメージデータを生成する。画像処理部244は、ラスタイメージデータを色変換してYMCKの画像信号を生成し、画像信号に対して階調補正および濃度ムラ補正を適用する。さらに、画像処理部244は、露光装置3の書込解像度に合わせて画像信号の解像度を変換し、ハーフトーニングにより画像信号を二値化して露光装置3に出力する。
【0025】
1-5.輝度濃度変換
プリンタ制御部121はメモリ212に保持された輝度濃度変換テーブルを参照し、リーダ130で取得されたスキャン画像の輝度情報(輝度信号)を濃度情報(濃度信号)に変換する。輝度濃度変換テーブルは、スキャン画像におけるRGBチャネルのうちいずれかのチャネルの輝度値を入力とし、YMCKの濃度値を出力するテーブルである。
【0026】
図3はYMCKとRGBとの対応関係を示す。Kの濃度値はスキャン画像のGチャネルの輝度値をKの輝度濃度変換テーブルに入力することにより得られる。輝度濃度変換の対象となるのはYMCKの単色でプリントされた出力物から取得されたスキャン画像である。ここで、単色でプリントされた出力物とは、シートP上に形成された画像のうち、YMCKのうちの1色の色材で画像を形成されたシートPを指す。
【0027】
メモリ212は予め複数の輝度濃度変換テーブルを記憶している。CPU211は、複数の輝度濃度変換テーブルから読取対象の原稿131の種類に応じた輝度濃度変換テーブルを選択する。たとえば、階調補正用のテストパターンが読み取られる場合は階調補正用の輝度濃度変換テーブルが選択される。濃度ムラ補正用のテストパターンが読み取られる場合は濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブルが選択される。階調補正用の輝度濃度変換テーブルにおいて、0以上でかつ2.3以下の濃度は、0以上でかつ255以下の輝度に対応している。濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブルにおいて、0.6以上でかつ1.4以下の濃度は、0以上でかつ255以下の輝度に対応している。
【0028】
階調補正用のテストパターンは、さらに、階調補正用の光量およびゲインに関連付けられている。つまり、階調補正用の輝度濃度変換テーブル、階調補正用の光量およびゲインは、一つのパラメータセットを形成している。同様に、濃度ムラ補正用のテストパターンは、濃度ムラ補正用の光量およびゲインに関連付けられている。つまり、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル、濃度ムラ補正用の光量およびゲインは、一つのパラメータセットを形成している。
【0029】
図4(A)は階調補正用の輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401Kを示す。
図4(B)は濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402Y、402M、402C、402Kを示す。
図5(A)は
図4(A)の拡大図である。
図5(B)は
図4(B)の拡大図である。
【0030】
階調補正用の輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401Kの変換可能な濃度範囲は、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402Y、402M、402C、402Kの変換可能な濃度範囲よりも広い。つまり、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402Y、402M、402C、402Kの変換可能な濃度範囲は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401Kの変換可能な濃度範囲よりも狭い。
【0031】
階調補正用の輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401Kの濃度分解能は、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402Y、402M、402C、402Kの濃度分解能よりも低い。つまり、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402Y、402M、402C、402Kの濃度分解能は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401Kの濃度分解能よりも高い。ここで、1レベルの輝度の変化に対する濃度の変化が小さいほど、濃度分解能は高い。1レベルの輝度の変化に対する濃度の変化が大きいほど、濃度分解能は低い。
【0032】
ここでは、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401と濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402とが例示されている。しかし、第3の輝度濃度変換テーブルがさらに追加されてもよい。たとえば、シートの種類(例:坪量、厚み)ごとに、輝度濃度変換テーブルが用意されてもよい。複写機100の仕向け先ごとに、輝度濃度変換テーブルが用意されてもよい。また、複数のリーダ130がプリンタ120に接続される場合、リーダ130ごとに、輝度濃度変換テーブルが設けられてもよい。この場合、CPU211またはCPU241は、シートPの種類、仕向け先またはリーダ130ごとに、対応する輝度濃度変換テーブルを選択する。
【0033】
1-6.CPUと画像処理部
図6はCPU211により実現される機能と、画像処理装置122のCPU241により実現される機能とを示している。以下で、説明されるCPU211の機能はCPU241により実現されてもよい。つまり、
図6に示す機能の一部、又は、すべてを画像処理装置122のCPU241が実行する構成としてもよい。
【0034】
画像処理部244は、色変換部601、階調補正部602、ムラ補正部603および二値化部604を有している。色変換部601は、原稿131から取得されたスキャン画像またはPDLデータが生成されたラスタイメージデータをRGB形式からYMCK形式に変換する。階調補正部602は、LUT作成部615により作成された階調補正テーブル(γLUT)を用いて、入力されたYMCKの画像信号を変換する。LUTはルックアップテーブルの略称である。ムラ補正部603は、主走査方向または副走査方向において発生する濃度ムラを低減するように生成された補正値を用いて、階調補正部602から出力される画像信号を補正する。二値化部604は、ムラ補正部603から出力される8ビットの画像信号をハーフトーニング処理によって1ビットの画像信号に変換し、露光装置3へ出力する。
【0035】
1-6-1.γLUTの作成
操作部140を通じて階調補正が指示されると、パターン生成部610は、階調補正用のテストパターンに対応する画像信号を二値化部604に出力する。これにより、シートP上に階調補正用のテストパターン(テスト画像)が形成される。なお、テスト画像が形成されたシートPはテストチャートと呼ばれてもよい。
【0036】
設定部611は、階調補正用の光量とゲインとをリーダ130に設定する。リーダ130は、テストチャートを読み取ってスキャン画像を生成する。
【0037】
選択部612は、第一変換部613を選択する。これは、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401を選択することに相当する。選択部612は、リーダ130から取得されるスキャン画像を第一変換部613に転送する。第一変換部613は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401によりスキャン画像の輝度情報を濃度情報に変換する。
図3が示すように、輝度濃度変換テーブル401Yは、Bチャネルの輝度情報をYの濃度情報に変換する。輝度濃度変換テーブル401Mは、Gチャネルの輝度情報をMの濃度情報に変換する。輝度濃度変換テーブル401Cは、Rチャネルの輝度情報をCの濃度情報に変換する。輝度濃度変換テーブル401Kは、Gチャネルの輝度情報をKの濃度情報に変換する。LUT作成部615は、シートP上に形成される画像の階調特性が理想的な階調特性となるように、画像信号を変換するためのγLUTを作成する。γLUTは、YMCKのそれぞれについて作成される。LUT作成部615は、YMCKのそれぞれのγLUTを階調補正部602に設定する。
【0038】
1-6-2.濃度ムラ補正用の補正値の作成
操作部140を通じて濃度ムラ補正が指示されると、パターン生成部610は、濃度ムラ補正用のテストパターンに対応する画像信号を二値化部604に出力する。これにより、シートP上に濃度ムラ補正用のテストパターン(テスト画像)が形成される。
【0039】
設定部611は、濃度ムラ補正用の光量とゲインとをリーダ130に設定する。リーダ130は、テストチャートを読み取ってスキャン画像を生成する。なお、本開示においては、光量とゲインの両方が変更される構成が採用されているが、少なくともゲインが変更される構成が採用されればよい。この構成においては階調補正用のゲインと濃度ムラ補正用のゲインとが異なり、階調補正用の光量と濃度ムラ補正用光量が同じである。
【0040】
選択部612は、第二変換部614を選択する。これは、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402を選択することに相当する。選択部612は、リーダ130から取得されるスキャン画像を第二変換部614に転送する。第二変換部614は、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402によりスキャン画像の輝度情報を濃度情報に変換する。
図3が示すように、輝度濃度変換テーブル402Yは、Bチャネルの輝度情報をYの濃度情報に変換する。輝度濃度変換テーブル402Mは、Gチャネルの輝度情報をMの濃度情報に変換する。輝度濃度変換テーブル402Cは、Rチャネルの輝度情報をCの濃度情報に変換する。輝度濃度変換テーブル402Kは、Gチャネルの輝度情報をKの濃度情報に変換する。補正値作成部616は、シートP上に形成される画像の濃度のムラが低減されるような補正値を作成する。補正値は、主走査方向における位置またはブロックごとに作成される。ムラ補正部603は、主走査方向における各画素に対応する補正値を用いて画像信号を補正する。なお、後述される実施例2では、副走査方向における濃度ムラを低減するための補正値が作成される。
【0041】
1-7.ユーザインタフェース(UI)
図7は、操作部140の表示装置に表示されるUIを示している。ボタン701は、原稿131についてコピーの実行を複写機100に指示するためのボタンである。ボタン702は、階調補正の実行を複写機100に指示するためのボタンである。ボタン703は、主走査方向における濃度ムラの補正の実行を複写機100に指示するためのボタンである。ボタン704は、副走査方向における濃度ムラの補正の実行を複写機100に指示するためのボタンである。副走査方向における濃度ムラの補正は実施例2で詳細に説明される。
【0042】
1-8.テストパターン
図8(A)は階調補正用のテストパターン801を示す。テストパターン801はYMCKの各色について各々異なるn階調のパッチ画像を含む。ここでは、一例として、nは10と仮定されている。
【0043】
図8(B)は濃度ムラ補正用のテストパターン802を示す。テストパターン802はYMCKの各色について主走査方向に延びる一定の階調のパッチ画像を含む。
【0044】
1-9.フローチャート
1-9-1.階調補正
図9はCPU211により実行されるγLUTの作成方法を示している。上述されたように、γLUTは、YMCKの各色について入力画像信号に対する出力濃度の関係(以下、階調特性と呼ばれる)を一定に保つためのテーブルである。以下の各ステップは、CPU241により実行されてもよい。その場合、以下の説明においてCPU211はCPU241と読み替えられる。
【0045】
S901でCPU211は、操作部140の表示装置にメニュー画面を表示する。
図7が示すように、メニュー画面は、階調補正の実行を指示するためのボタン701を有している。CPU211は、ボタン701がユーザにより押されたことを検知すると、S901からS902に進む。
【0046】
S902でCPU211(パターン生成部610)は、画像形成部123を制御し、テストパターン801をシートP上に形成する。具体的には、パターン生成部610は、テストパターン801の元になる画像信号を二値化部604に供給する。二値化部604は、入力された画像信号を二値化して露光装置3へ供給する。これにより、シートP上にテストパターン801が形成される。テストパターン801が形成されたシートP(テストチャート)はシートトレイ12に排出される。
【0047】
S903でCPU211は操作部140の表示装置にガイダンスを表示する。このガイダンスは、原稿台132上にテストチャートを載置すべきこと、原稿台132上におけるテストチャートの向きなど、をユーザに示すメッセージと画像などを含む。また、ガイダンスは、テストチャートの読み取り開始を指示するためのボタンをユーザが押すべきことを示すメッセージまたは画像を含んでもよい。このボタンは、ユーザが原稿台132上へテストチャートを載置することを完了したことを示すボタンであってもよい。
【0048】
S904でCPU211は操作部140を通じて読取指示が入力されたかどうかを判定する。読取指示が入力されると、CPU211は、S904からS905に進む。
【0049】
S905でCPU211(設定部611)は、階調補正用の光量とゲインとをリーダ130に設定する。
【0050】
S906でCPU211は、リーダ130にテストパターン801を読み取らせる。リーダ130は、テストパターン801についてのスキャン画像を生成し、転送する。プリンタ制御部121は、通信回路213によってスキャン画像を取得し、スキャン画像をメモリ212に格納する。
【0051】
S907でCPU211(選択部612)は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401(第一変換部613)を選択する。
【0052】
S908でCPU211(第一変換部613)は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401でスキャン画像の輝度情報(輝度値)を濃度情報(濃度値)に変換する。
【0053】
S909でCPU211(LUT作成部615)は濃度の統計値を演算する。
図8(A)が示すように、テストパターン801は、それぞれ階調が異なるN個のパッチ画像を含む。そこで、LUT作成部615は、一つのパッチ画像(一つの階調)につき、M個の位置で濃度値を取得し、M個の濃度値から統計値(例:平均値)を演算する。この処理は、YMCKのそれぞれについて実行される。一つの色につきN個の統計値が得られる。
【0054】
S910でCPU211(LUT作成部615)は、γLUTを生成する。たとえば、LUT作成部615は、濃度についてN個の統計値、テストパターン801を生成するために使用された入力画像信号、および、階調ターゲットから、γLUTを生成する。
【0055】
S911でCPU211(LUT作成部615)は、YMCKの各色ごとのγLUTをメモリ212に保存する。これにより、階調補正部602はγLUTを参照可能となる。
【0056】
S912でCPU211は階調補正(γLUTの作成処理)の完了をユーザに通知する。たとえば、CPU211は操作部140の表示装置に階調補正が完了したことを示すメッセージを表示してもよい。
【0057】
1-9-2.主走査方向における濃度ムラ補正
主走査方向における濃度ムラ補正は、一定の入力画像信号に対する主走査方向における濃度を均一に保つために補正値を用いて画像信号を補正する処理である。具体的には、主走査方向における濃度プロファイルが均一になるように画像信号が補正される。濃度ムラ補正では所定範囲の濃度を高分解能で検知することが求められる。そのため、濃度ムラ補正用の光量、ゲイン、および輝度濃度変換テーブル402がセットで使用される。本実施例ではYMCK各色のパッチ画像がK個のブロックに分割され、ブロックごとに濃度値が演算される。Kは、たとえば、30である。
【0058】
図10はCPU211により実行される補正値の作成方法を示している。以下の各ステップは、CPU241により実行されてもよい。その場合、以下の説明においてCPU211はCPU241と読み替えられる。
【0059】
S1001でCPU211は、操作部140の表示装置にメニュー画面を表示する。
図7が示すように、メニュー画面は、濃度ムラ補正の実行を指示するためのボタン703を有している。CPU211は、ボタン703がユーザにより押されたことを検知すると、S1001からS1002に進む。
【0060】
S1002でCPU211(パターン生成部610)は、画像形成部123を制御し、テストパターン802をシートP上に形成する。具体的には、パターン生成部610は、テストパターン802の元になる画像信号を二値化部604に供給する。二値化部604は、入力された画像信号を二値化して露光装置3へ供給する。これにより、シートP上にテストパターン802が形成される。テストパターン802が形成されたシートP(テストチャート)はシートトレイ12に排出される。
【0061】
S1003でCPU211は操作部140の表示装置にガイダンスを表示する。このガイダンスは、原稿台132上にテストチャートを載置すべきこと、原稿台132上におけるテストチャートの向きなどをユーザに示すメッセージと画像などを含む。また、ガイダンスは、テストチャートの読み取り開始を指示するためのボタンをユーザが押すべきことを示すメッセージまたは画像を含んでもよい。このボタンは、ユーザが原稿台132上へテストチャートを載置することを完了したことを示すボタンであってもよい。
【0062】
S1004でCPU211は操作部140を通じて読取指示が入力されたかどうかを判定する。読取指示が入力されると、CPU211は、S1004からS1005に進む。
【0063】
S1005でCPU211(設定部611)は、濃度ムラ補正用の光量とゲインとをリーダ130に設定する。
【0064】
S1006でCPU211は、リーダ130にテストパターン801を読み取らせる。リーダ130は、テストパターン802についてのスキャン画像を生成し、通信回路233を用いてスキャン画像をプリンタ制御部121へ転送する。プリンタ制御部121は、通信回路213によってスキャン画像を取得し、スキャン画像をメモリ212に格納する。
【0065】
S1007でCPU211(選択部612)は、濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402(第二変換部614)を選択する。
【0066】
S1008でCPU211(第二変換部614)は、濃度補正用の輝度濃度変換テーブル402でスキャン画像の輝度情報(輝度値)を濃度情報(濃度値)に変換する。
【0067】
S1009でCPU211(補正値作成部616)は濃度の統計値を演算する。
図8(B)が示すように、テストパターン802は、主走査方向と平行に延在するYMCKごとのパッチ画像を有する。補正値作成部616は、各パッチ画像をK個の小領域(ブロック)に分割する。補正値作成部616は、一つのブロック(主走査位置)につき、J個の位置で濃度値を取得し、J個の濃度値から統計値(例:平均値)を演算する。この処理は、YMCKのそれぞれについて実行される。一つの色につきK個の統計値が得られる。
【0068】
S1010でCPU211(補正値作成部616)は、ブロックごとの画像信号の補正値を演算する。たとえば、補正値作成部616は、濃度についてK個の統計値と階調ターゲットとから、ブロックごとの画像信号の補正値を演算する。補正値は、YMCKの色ごとに演算される。
【0069】
S1011でCPU211(補正値作成部616)は、YMCKの色ごとの補正値をメモリ212に保存する。これにより、ムラ補正部603は、補正値を参照可能となる。補正値は、主走査方向に並んだ画素ごとにメモリ212に記憶されてもよい。
【0070】
S1012でCPU211は濃度ムラ補正(補正値の作成)の完了をユーザに通知する。たとえば、CPU211は操作部140の表示装置に濃度ムラ補正が完了したことを示すメッセージを表示してもよい。
【0071】
1-10.その他
実施例1によれば、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401と濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402とが用意されている。階調補正用の輝度濃度変換テーブル401では、濃度範囲の広さが濃度分解能よりも優先されている。濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402では、濃度分解能が濃度範囲の広さよりも優先されている。CPU211は二つの輝度濃度変換テーブルを使い分けることで、広い濃度範囲と、高い濃度分解能とを両立することが可能となる。
【0072】
二つの輝度濃度変換テーブルを使い分ける限りにおいて、実施例1は変形されてもよい。たとえば、スキャン画像のビット深度、輝度濃度変換テーブルのビット深度、階調補正用のテストパターン801、濃度ムラ補正用のテストパターン802、階調ターゲット、主走査方向のブロック数などが変更されてもよい。実施例1では、単一の階調のテストパターン802を用いて、主走査方向における濃度ムラ補正のための補正値が演算されている。しかし、複数の階調のそれぞれで補正値が演算されてもよい。この場合、テストパターン802は、色ごとに、複数の階調のパッチ画像を有することになろう。また、各階調に対応した輝度濃度変換テーブル402が利用されてもよい。
【0073】
階調補正の起動条件と濃度ムラ補正の起動条件は、ユーザにより指示を必要としなくてもよい。たとえば、起動条件は、画像形成に関与する部品(例:プロセスカートリッジ、露光装置3)が交換されたことであってもよい。起動条件は、累計プリント枚数が閾値枚数を超えたこと、であってもよい。起動条件は、センサが所定状態を検出したことなど、であってもよい。
【0074】
2.実施例2
実施例2では、画像形成装置に対して直列に接続された読取装置を用いて行われる階調補正と副走査方向におおける濃度ムラ補正が説明される。
【0075】
図11は画像形成システム1100を示す。
図12は制御システムおよび画像処理システムを示す。画像形成システム1100は、画像処理装置122、プリンタ120、読取装置(以下、センシングユニットと呼ばれる)1110を有している。実施例2の大部分は実施例1と共通している。そのため、共通部分の説明は省略される。以下では実施例2における特有の内容が中心に説明される。
【0076】
図11が示すように、センシングユニット1110は読取ユニット133を有している。読取ユニット133は、プリンタ120からセンシングユニット1110へ排出され、搬送ローラ19により搬送路を搬送されるシートPから画像を読み取る。上述されたように、読取ユニット133は、発光素子134、結像光学系137、および受光素子135を有している。シートPは、センシングユニット1110に設けられたシートトレイ12に排出される。実施例1のリーダ130は、読取ユニット133を副走査方向に移動させながら、読取ユニット133にシートPを読み取らせている。センシングユニット1110は、読取ユニット133を固定したまま、読取ユニット133にシートPを読み取らせる。いずれにしても、読取ユニット133とシートP(原稿131)とが相対的に副走査方向に移動することは共通している。
【0077】
プリンタ120において、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ回転位相センサ21Y、21M、21C、21Kを有している。回転位相センサ21は、感光体ドラム1の回転位相を検知し、プリンタ制御部121に検知結果を送信する。プリンタ制御部121は、プリントジョブを受信すると、画像先端に於ける感光体ドラム1の回転位相が0となるように、感光体ドラム1を回転駆動して回転位相を調整する。
【0078】
回転位相センサ21は、たとえば、プリンタ120に取り付けられたフォトインタラプタと感光体ドラム1のシリンダに取り付けられた遮光板と、を有する。フォトインタラプタは、発光素子と受光素子とを有する。遮光板は、発光素子と受光素子との間を通過することで、発光素子から受光素子に向かう光を遮光する。よって、回転位相センサ21は、フォトインタラプタが遮光状態にあるか透光状態にあるかに基づき回転位相を検知する。フォトインタラプタが遮光状態にある場合、回転位相センサ21は1を出力する。フォトインタラプタが透光状態にある場合、回転位相センサ21は0を出力する。
【0079】
感光体ドラム1の回転位相は0から2πまでの値をとる。プリンタ制御部121は、回転位相センサ21の出力が0から1に立ち上がるときに感光体ドラム1の回転位相を0と判定する。感光体ドラム1が360度回転するたびに回転位相は2πだけ進む。
【0080】
図13は、CPU211の機能と画像処理装置122の機能とを示している。
図14は、副走査方向における濃度ムラ補正用のテストパターン1400を示す。位相制御部1311は、回転位相センサ21の検知結果に基づき感光体ドラム1の回転位相を判定する。感光体ドラム1上における画像の先端と回転位相の0とを一致させるために、位相制御部1311は、回転位相センサ21により検知される回転位相を監視する。位相制御部1311は、回転位相センサ21により検知される回転位相が0となるように、モータM1を制御する。さらに、回転位相が0となるタイミングで、位相制御部1311は、パターン生成部610にテストパターン1400の元になる画像信号の出力を指示する。これにより、副走査方向におけるテストパターン1400の先端と回転位相の0(基準位相またはホームポジションと呼ばれてもよい)とが一致する。
図14が示すように、テストパターン1400は、副走査方向に対して平行の延在する一定階調(例:50%)のパッチ画像を含む。パッチ画像は、YMCKの色ごとに形成される。
【0081】
設定部611は、副走査方向における濃度ムラ補正用の光量とゲインをセンシングユニット1110のリーダ制御部230に設定する。副走査方向における濃度ムラ補正用の光量とゲインは、副走査方向における濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402に紐づけられて、メモリ212に記憶されている。主走査方向における濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402と、副走査方向における濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402とは異なっていてもよい。リーダ制御部230は、実施例1と同様に、設定された光量で発光素子134を点灯させる。また、リーダ制御部230は、画像処理部136のアナログ処理部234にゲインを設定する。画像処理部136は、テストパターン1400のスキャン画像を生成し、プリンタ制御部121へ送信する。
【0082】
CPU211(選択部612)は、副走査方向における濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402(第二変換部614)を選択する。第二変換部614は、副走査方向における濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402を用いて、テストパターン1400のスキャン画像の輝度情報を濃度情報に変換する。補正値作成部616は、濃度情報に基づき回転位相ごとの補正値を作成し、メモリ212に記憶する。ムラ補正部603は、回転位相に応じた補正値をメモリ212から読み出して、画像信号を補正する。
【0083】
2-1.階調補正のフローチャート
図15はCPU211により実行されるγLUTの作成方法を示している。以下の各ステップは、CPU241により実行されてもよい。その場合、以下の説明においてCPU211はCPU241と読み替えられる。
【0084】
S1501でCPU211は、操作部140の表示装置にメニュー画面を表示する。
図7が示すように、メニュー画面は、階調補正の実行を指示するためのボタン701を有している。CPU211は、ボタン701がユーザにより押されたことを検知すると、S1501からS1502に進む。
【0085】
S1502でCPU211(パターン生成部610)は、画像形成部123を制御し、テストパターン801をシートP上に形成する。具体的には、パターン生成部610は、テストパターン801の元になる画像信号を二値化部604に供給する。二値化部604は、入力された画像信号を二値化して露光装置3へ供給する。これにより、シートP上にテストパターン801が形成される。テストパターン801が形成されたシートP(テストチャート)はシートトレイ12に排出される。
【0086】
S1503でCPU211(設定部611)は、階調補正用の光量とゲインとをリーダ130に設定する。
【0087】
S1504でCPU211は、センシングユニット1110にテストパターン801を読み取らせる。センシングユニット1110は、テストパターン801についてのスキャン画像を生成し、通信回路233を用いてスキャン画像をプリンタ制御部121へ転送する。プリンタ制御部121は、通信回路213によってスキャン画像を取得し、スキャン画像をメモリ212に格納する。
【0088】
S1505でCPU211(選択部612)は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401(第一変換部613)を選択する。
【0089】
S1506でCPU211(第一変換部613)は、階調補正用の輝度濃度変換テーブル401でスキャン画像の輝度情報(輝度値)を濃度情報(濃度値)に変換する。
【0090】
S1507でCPU211(LUT作成部615)は濃度の統計値を演算する。
図8(A)が示すように、テストパターン801は、それぞれ階調が異なるN個のパッチ画像を含む。そこで、LUT作成部615は、一つのパッチ画像(一つの階調)につき、M個の位置で濃度値を取得し、M個の濃度値から統計値(例:平均値)を演算する。この処理は、YMCKのそれぞれについて実行される。一つの色につきN個の統計値が得られる。
【0091】
S1508でCPU211(LUT作成部615)は、濃度についてN個の統計値、テストパターン801を生成するために使用された入力画像信号、および、階調ターゲットから、γLUTを生成する。
【0092】
S1509でCPU211(LUT作成部615)は、YMCKの色ごとのγLUTをメモリ212に保存する。これにより、階調補正部602は、γLUTを参照可能となる。
【0093】
S1510でCPU211は階調補正(γLUTの作成処理)の完了をユーザに通知する。たとえば、CPU211は操作部140の表示装置に階調補正が完了したことを示すメッセージを表示してもよい。
【0094】
2-2.副走査方向における濃度ムラ補正
感光体ドラム1の回転位相に同期して周期的な濃度ムラが発生することがある。そこで、感光体ドラム1の回転位相ごとの画像信号の補正値が作成される。これにより、副走査方向における濃度プロファイルが均一になる。副走査方向における濃度ムラ補正においても、所定範囲の濃度が高分解能で検知される必要がある。そのため、濃度ムラ補正用の光量、ゲイン、および輝度濃度変換テーブルがセットで使用される。実施例2ではテストパターン1400におけるYMCK各色のパッチ画像がL個のブロック(副走査位置または回転位相)に分割される。Lは、たとえば、60である。
【0095】
図16はCPU211により実行される補正値の作成方法を示している。以下の各ステップは、CPU241により実行されてもよい。その場合、以下の説明においてCPU211はCPU241と読み替えられる。
【0096】
S1601でCPU211は、操作部140の表示装置にメニュー画面を表示する。
図7が示すように、メニュー画面は、濃度ムラ補正の実行を指示するためのボタン703を有している。CPU211は、ボタン703がユーザにより押されたことを検知すると、S1601からS1602に進む。
【0097】
S1602でCPU211(パターン生成部610)は、画像形成部123を制御し、テストパターン1400をシートP上に形成する。具体的には、パターン生成部610は、テストパターン1400の元になる画像信号を二値化部604に供給する。二値化部604は、入力された画像信号を二値化して露光装置3へ供給する。これにより、シートP上にテストパターン1400が形成される。テストパターン1400が形成されたシートP(テストチャート)はセンシングユニット1110に排出される。
【0098】
S1603CPU211(設定部611)は、副走査方向における濃度ムラ補正用の光量とゲインとをセンシングユニット1110に設定する。S1604でCPU211は、センシングユニット1110にテストパターン1400を読み取らせる。センシングユニット1110は、テストパターン1400についてのスキャン画像を生成し、通信回路233を用いてスキャン画像をプリンタ制御部121へ転送する。プリンタ制御部121は、通信回路213によってスキャン画像を取得し、スキャン画像をメモリ212に格納する。
【0099】
S1605でCPU211(選択部612)は、副走査方向における濃度ムラ補正用の輝度濃度変換テーブル402(第二変換部614)を選択する。S1606でCPU211(第二変換部614)は、濃度補正用の輝度濃度変換テーブル402でスキャン画像の輝度情報(輝度値)を濃度情報(濃度値)に変換する。
【0100】
S1607でCPU211(補正値作成部616)は濃度の統計値を演算する。
図14が示すように、テストパターン1400は、副走査方向に対して平行に延在するYMCKごとのパッチ画像を有する。補正値作成部616は、各パッチ画像をL個の小領域(ブロック)に分割する。補正値作成部616は、一つのブロック(主走査位置)につき、J個の位置で濃度値を取得し、J個の濃度値から統計値(例:平均値)を演算する。この処理は、YMCKのそれぞれについて実行される。一つの色につきL個の統計値が得られる。
【0101】
S1608でCPU211(補正値作成部616)は、濃度についてL個の統計値と階調ターゲットとから、ブロックごとの画像信号の補正値を演算する。補正値は、YMCKの色ごとに演算される。
【0102】
S1609でCPU211(補正値作成部616)は、YMCKの色ごとの補正値をブロック番号、回転位相または副走査位置と関連付けてメモリ212に保存する。これにより、ムラ補正部603は、ブロック番号、回転位相または副走査位置に基づき補正値を参照可能となる。補正値は、副走査方向に並んだ画素ごとにメモリ212に記憶されてもよい。
【0103】
S1610でCPU211は濃度ムラ補正(補正値の作成)の完了をユーザに通知する。たとえば、CPU211は操作部140の表示装置に濃度ムラ補正が完了したことを示すメッセージを表示してもよい。
【0104】
2-3.その他
実施例2においても実施例1で説明された効果が期待される。つまり、CPU211は二つの輝度濃度変換テーブルを使い分けることで、広い濃度範囲と、高い濃度分解能とを両立することができる。
【0105】
CPU211は、センシングユニット1110によりテストパターン1400から検知される濃度プロファイルを周波数解析してもよい。CPU211は、周波数解析により求められた特定の周波数の濃度ムラのみを補正する補正値を作成してもよい。また、CPU211は、階調補正と副走査方向における濃度ムラ補正に加えて、主走査方向における濃度ムラ補正を実行してもよい。
【0106】
3.他の実施例
プリンタ120および画像形成部123は色材(例:トナー)を用いてシートPに画像を形成する画像形成手段の一例である。第一変換部613、第二変換部614、輝度濃度変換テーブル401、402は、第一変換条件および第二変換条件の一例である。これらは、プリンタ120により画像を形成されたシートPに光を照射し、シートまたは画像からの反射光を受光して輝度情報を生成する読取装置(例:リーダ130、センシングユニット1110)から取得された当該輝度情報を濃度情報に変換する。なお、発光素子134は、画像形成部123により形成されたテスト画像に光を照射する照射手段として機能する。受光素子135はテスト画像からの反射光を受光し、テスト画像からの反射光の受光結果に基づく信号を出力する出力手段として機能する。CPU211、241などは制御手段として機能する。画像形成部123により形成されるべき画像の階調特性を補正する第一のキャリブレーションが実行される場合がある。この場合、CPU211、241は、画像形成部123により形成される第一テスト画像からの反射光の受光結果に基づく第一信号を第一変換条件に基づき変換し、該変換された第一信号に基づいて階調特性を補正してもよい。画像形成部123により形成されるべき画像の所定方向の濃度ムラを補正する第二のキャリブレーションが実行される場合がある。この場合、CPU211、241は、画像形成部123により形成される第二テスト画像からの反射光の受光結果に基づく第二信号を第二変換条件に基づき変換し、該変換された第二信号に基づいて濃度ムラを補正する。
図4(A)および
図4(B)が例示するように、第一変換条件において輝度情報から変換可能な濃度情報の範囲は、第二変換条件において輝度情報から変換可能な濃度情報の範囲よりも広い。
図5(A)および
図5(B)が例示するように、第二変換条件において輝度情報から変換可能な濃度情報の分解能は、第一変換条件において輝度情報から変換可能な濃度情報の分解能よりも高い。このように、複数の変換条件により、広い濃度範囲と、高い濃度分解能とを両立することが可能となる。
【0107】
輝度濃度変換テーブル401は輝度を濃度に変換する第一変換テーブルの一例である。輝度濃度変換テーブル402は輝度を濃度に変換する第二変換テーブルの一例である。
図4(A)および
図4(B)が例示するように、第二変換テーブルにおける最大濃度と最小濃度との差は、第一変換テーブルにおける最大濃度と最小濃度との差よりも小さい。
【0108】
LUT作成部615はシートPに形成される第一テスト画像(例:テストパターン801)について読取装置により取得された第一読取結果に基づき画像形成手段に適用される第一画像形成条件(例:γLUT)を作成する第一作成手段の一例である。補正値作成部616はシートPに形成される第二テスト画像(例:テストパターン802、1400)について読取装置により取得された第二読取結果に基づき画像形成手段に適用される第二画像形成条件(例:補正値)を作成する第二作成手段の一例である。LUT作成部615は、第一変換条件(例:第一変換部613)を用いて第一読取結果である第一テスト画像についての輝度情報を濃度情報に変換し、当該濃度情報に基づき第一画像形成条件を作成してもよい。補正値作成部616は、第二変換条件(例:第二変換部614)を用いて第二読取結果である第二テスト画像についての輝度情報を濃度情報に変換し、当該濃度情報に基づき第二画像形成条件を作成してもよい。
【0109】
第一画像形成条件は、画像の階調特性を補正するための第一画像処理条件(例:γLUT)を含んでもよい。第二画像形成条件は、画像の濃度ムラを低減するための第二画像処理条件(例:濃度の補正値)を含んでもよい。
【0110】
第一画像処理条件は、画像信号を入力とし、階調特性を補正された画像信号を出力とする、階調補正テーブル(例:γLUT)を含んでもよい。第二画像処理条件は、シートPにおいて画像を形成される位置またはブロックごとの濃度の補正値を含んでもよい。
【0111】
実施例2で説明されたように、濃度の補正値は、シートPの搬送方向と平行な第一方向(例:副走査方向)における濃度のムラを低減するための補正値を含んでもよい。実施例1で説明されたように、濃度の補正値は、シートの搬送方向Pに対して直交する第二方向(例:主走査方向)における濃度のムラを低減するための補正値を含んでもよい。
【0112】
階調補正部602は、階調補正テーブル(例:γLUT)を用いて、画像の元になる画像信号の階調特性を補正する階調補正手段として機能する。ムラ補正部603は、濃度の補正値を用いて画像の元になる画像信号を補正する濃度補正手段として機能する。
【0113】
設定部611は、リーダ130に設けられた発光素子134の光量と、リーダ130に設けられた受光素子135のゲインとを設定する設定手段として機能する。S905とS1503に関連して説明されたように、設定部611は、第一テスト画像を読み取る際に第一光量と第一ゲインとをリーダ130に設定する。S1005とS1603に関連して説明されたように、設定部611は、第二テスト画像を読み取る際に第二光量と第二ゲインとをリーダ130に設定するように構成されていてもよい。
【0114】
選択部612は第一変換条件または第二変換条件を選択する選択手段として機能する。選択部612は、画像形成手段(例:画像形成部123、画像処理部244)に適用される第一画像形成条件を作成する際に、第一変換条件を選択する。選択部612は、画像形成手段(例:画像形成部123、画像処理部244)に適用される第二画像形成条件を作成する際に、第二変換条件を選択する。このように、複数の輝度濃度変換テーブルは、用途に応じて使い分けられる。
【0115】
選択部612は、画像の濃度を調整する複数の調整モードのうち第一調整モード(例:階調補正)が指定されると、第一変換条件を選択してもよい。選択部612は、画像の濃度を調整する複数の調整モードのうち第二調整モード(例:濃度ムラ補正)が指定されると、第二変換条件を選択してもよい。
【0116】
読取装置は、シートの搬送方向において画像形成手段よりも下流側に設けられ、搬送されるシートから画像を読み取るインライン型の画像センサ(例:センシングユニット1110、受光素子135)を含んでもよい。
【0117】
読取装置は、プリンタ120から排出され、ユーザにより載置されたシートPから画像を読み取るオフライン型の画像センサ(例:リーダ130、受光素子135)を含んでもよい。
【0118】
プリンタ制御部121、CPU211、リーダ制御部230、CPU231、画像処理制御部240およびCPU241などは、画像形成手段により形成されるべき画像の画質を調整するためにキャリブレーションを実施する制御手段(コントローラ)の一例である。コントローラは、画像形成部123に第1キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、読取ユニット133により出力された第1キャリブレーション用のテスト画像からの反射光の受光結果に基づく第1信号をアナログ処理部234に増幅させ、増幅された第1信号から第1決定条件に基づき第1濃度情報を決定し、第1濃度情報に基づき画像形成部123により形成されるべき画像の階調特性を調整してもよい。コントローラは、画像形成部123に第2キャリブレーション用のテスト画像を形成させ、読取ユニット133により出力された第2キャリブレーション用のテスト画像からの反射光の受光結果に基づく第2信号をアナログ処理部234に増幅させ、増幅された第2信号から第2決定条件に基づき第2濃度情報を決定し、第2濃度情報に基づき画像形成部123により形成されるべき画像の濃度ムラを調整してもよい。第2信号の増幅率は第1信号の増幅率よりも高い。
【0119】
読取ユニット133はテスト画像を照明する発光素子134を有してもよい。発光素子134が第1キャリブレーション用のテスト画像を照明する光の量は、発光素子134が第2キャリブレーション用のテスト画像を照明する光の量と異なってもよい。
【0120】
第1濃度情報として出力可能な濃度範囲は、第2濃度情報として出力可能な濃度範囲よりも広くてもよい。
【0121】
メモリ212は様々な輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401K、402Y、402M、402C、402Kを記憶している。第1決定条件は、所定のビット数のデジタル信号を第1濃度範囲の第1濃度情報へ変換するために用いられる濃度変換テーブル(例:輝度濃度変換テーブル401Y、401M、401C、401K)であってもよい。第2決定条件は、所定のビット数のデジタル信号を第1濃度範囲よりも狭い第2濃度範囲の第2濃度情報へ変換するために用いられる濃度変換テーブル(例:輝度濃度変換テーブル402Y、402M、402C、402K)であってもよい。
【0122】
図8(A)が示すように、第1キャリブレーション用のテスト画像(例:テストパターン801)は複数の異なる階調を有する画像を有してもよい。
図8(B)が示すように、第2キャリブレーション用のテスト画像(例:テストパターン802、1400)は単一の階調を有する画像であってもよい。
【0123】
搬送ローラ9は、搬送路にシートPを搬送する。画像形成部123は、搬送ローラ9により搬送されたシートPに画像を形成する。ここで、第2キャリブレーションは、搬送ローラ9がシートPを搬送する搬送方向に直交する方向の濃度ムラを調整するキャリブレーションであってもよい。第2キャリブレーションは、搬送ローラ9がシートPを搬送する搬送方向の濃度ムラを調整するキャリブレーションであってもよい。
【0124】
第2濃度情報としての信号値の分解能は第1濃度情報としての信号値の分解能よりも高くてよい。
【0125】
画像形成部123は、入力された画像信号を階調補正条件に基づき変換する画像処理部244を有してもよい。画像形成部123は、変換された画像信号に基づいて画像を形成する。コントローラ(例:CPU211、241)は、第1キャリブレーションにおいて、第1濃度情報に基づいて階調補正条件を生成してもよい。
【0126】
画像形成部123は、入力された画像信号を補正値に基づき補正する画像処理部244を有してもよい。画像形成部123は、補正された画像信号に基づいて画像を形成してもよい。コントローラ(例:CPU211、241)は、第2キャリブレーションにおいて、第2濃度情報に基づいて補正値を生成してもよい。
【0127】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0128】
120:プリンタ、画像形成部123、130:リーダ、613:第一変換部、614:第二変換部