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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014329
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】シート綴じ装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20250123BHJP
   B65H 31/38 20060101ALI20250123BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B65H37/04 D
B65H31/38
G03G15/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116810
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】窪田 一太朗
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA07
2H072GA08
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA01
3F054BH05
3F054BH08
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
(57)【要約】
【課題】 シートが搬送される処理トレイ上であって、シート搬送方向と直交する方向のフロント側にマニュアルによる針無し綴じ手段を設けることで、装置の小型化を図ることができるシート綴じ装置を提供することである。
【解決手段】 シートを搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたシートが載置される処理トレイ15と、該処理トレイ15上に載置されたシートに針無し綴じを施すノンステープルユニット60と、を備えたシート綴じ装置2において、前記ノンステープルユニット60を、前記処理トレイ15上に手動で載置されたシートのフロント(F)側の端部を綴じる位置に設けた。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたシートが載置される処理トレイと、該処理トレイ上に載置されたシートに針無し綴じを施す針無し綴じ手段と、を備えたシート綴じ装置において、
前記針無し綴じ手段を、前記処理トレイ上に手動で載置されたシートのフロント側の端部を綴じる位置に設けたシート綴じ装置。
【請求項2】
シートを搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたシートが載置される処理トレイと、該処理トレイ上に載置されたシートのリア側の角部に針綴じする針有り綴じ手段と、を備えたシート綴じ装置において、
前記処理トレイ上に手動で載置されたシートのフロント側の端部を綴じる針無し綴じ手段を備えたシート綴じ装置。
【請求項3】
前記処理トレイから排出されるシートが積載される昇降可能な集積トレイを備え、
前記処理トレイにシートが手動で載置される際に、前記集積トレイの積載面の前記処理トレイ側の端部の位置が、前記処理トレイのシート載置面における前記集積トレイ側の端部の位置と同一、または高くなるように前記集積トレイを上昇させる請求項1又は2に記載のシート綴じ装置。
【請求項4】
前記処理トレイ上で、シートのフロント側の端部とリア側の端部とに当接してシートを整合する一対の整合板を有し、
前記処理トレイにシートが手動で載置される際に、前記一対の整合板を、該一対の整合板の間の距離が前記処理トレイに載置される最大サイズのシートの幅よりも大きくなる位置に移動させた請求項1又は2に記載のシート綴じ装置。
【請求項5】
前記処理トレイ上で、シートのフロント側の端部とリア側の端部とに当接してシートを整合する一対の整合板と、
前記処理トレイから排出されるシートが積載される昇降可能な集積トレイと、を備え、
前記一対の整合板のリア側の整合板が前記処理トレイから前記集積トレイ側に突出している請求項1又は2に記載のシート綴じ装置。
【請求項6】
前記処理トレイ上に手動で載置されたシートに前記針無し綴じ手段にて針無し綴じを行わせるための操作手段を備える請求項1又は2に記載のシート綴じ装置。
【請求項7】
前記処理トレイから排出されるシートが積載される昇降可能な集積トレイを備え、
前記処理トレイにシートが手動で載置される際に、前記集積トレイを所定量下降させる請求項1又は2に記載のシート綴じ装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置の上に配置された画像読取装置と、
前記画像形成装置と前記読取装置の間の胴内空間に配置され、前記画像形成装置にて画像形成されたシートを綴じるシート綴じ装置と、を備えた画像形成システムにおいて、
前記シート綴じ装置は、シートを搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたシートが載置される処理トレイと、前記処理トレイから排出されるシートが積載される集積トレイと、該処理トレイ上に搬送されたシートのリア側の角部に針綴じを施す針有り綴じ手段と、前記集積トレイ側から前記処理トレイ上に手動で載置されたシートのフロント側の端部を綴じる針無し綴じ手段と、を設けた画像形成システム。
【請求項9】
前記処理トレイ上で、シートのフロント側の端部とリア側の端部とに当接してシートを整合する一対の整合板を有し、
前記一対の整合板のリア側の整合板が前記処理トレイから前記集積トレイ側に突出している請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記針無し綴じ手段は、前記処理トレイから前記集積トレイにシートを排出するための開口から挿入されて載置したシートを針無し綴じし、
前記開口の少なくともリア側を照らす照明手段を設けた請求項8に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マニュアルによる針無し綴じ手段を備えたシート綴じ装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置によって画像が形成されたシートに対して、綴じ処理をするためのシート綴じ装置が用いられている。一般に、この種のシート綴じ装置は、画像形成装置から排出された複数枚のシートを排紙経路の下流側に備わる処理トレイ上に搬出し、その一か所若しくは複数か所をステープル(針有り)綴じ処理した後、さらに下流側の集積トレイへ収納するように構成されている。
【0003】
シート綴じ装置には、前記針有り綴じ処理の他に、針を使用しないノンステープル(針無し)綴じ処理を選択可能なものがある。この種のシート綴じ装置は、排紙経路から送られたシートを処理トレイ上に搬出して綴じ処理する際に、針有り綴じか、針無し綴じかを選択することができる構成となっている。
【0004】
また、画像形成装置から排出されたシートを自動で処理トレイに集積して綴じ処理するオートモードと、シートを手差しで挿入して綴じ処理を行うマニュアルモードとを備えたシート綴じ装置が知られている。マニュアルモードの構成例としては、シートを自動で集積する処理トレイとは別に、装置の操作者から見て手前(フロント側)にシートの一端が挿入可能なスリットを有する手差し用の綴じ部を突出して設けたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-203430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示のシート綴じ装置にあっては、自動で綴じ処理を行う処理トレイとは別に、前記処理トレイから外側に突出させた手差し用のトレイを設けているので、装置が大型化するといった問題がある。
【0007】
そこで本発明は、シートが搬送される処理トレイ上であって、シート搬送方向と直交する方向のフロント側にマニュアルによる針無し綴じ手段を設けることで、装置の小型化を図ることができるシート綴じ装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のシート綴じ装置は、シートを搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたシートが載置される処理トレイと、該処理トレイ上に載置されたシートに針無し綴じを施す針無し綴じ手段と、を備えたシート綴じ装置において、
前記針無し綴じ手段を、前記処理トレイ上に手動で載置されたシートのフロント側の端部を綴じる位置に設けた。
【0009】
また、本発明の画像形成システムは、シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置の上に配置された画像読取装置と、前記画像形成装置と前記読取装置の間の胴内空間に配置され、前記画像形成装置にて画像形成されたシートを綴じるシート綴じ装置と、を備えた画像形成システムにおいて、
前記シート綴じ装置は、シートを搬送する搬送手段と、該搬送手段によって搬送されたシートが載置される処理トレイと、前記処理トレイから排出されるシートが積載される集積トレイと、該処理トレイ上に搬送されたシートのリア側の角部に針綴じを施す針有り綴じ手段と、前記集積トレイ側から前記処理トレイ上に手動で載置されたシートのフロント側の端部を綴じる針無し綴じ手段と、を設けた。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート綴じ装置及び画像形成システムによれば、搬送手段によって搬送されてくるシートを自動で針有り綴じを行う処理トレイ上に、手動による載置によって針無し綴じを行う針無し綴じ手段をシートのフロント側の端部を綴じる位置に設けた構成となっている。これによって、前記針無し綴じ手段を前記処理トレイとは別体で設ける必要がないので、装置の小型化を図ることができる。また、針無し綴じ手段が処理トレイのフロント側に設けられているので、シートの手差し挿入が容易になるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のシート綴じ装置を備えた画像形成システムの斜視図である。
図2】上記画像形成システムの断面図である
図3】シート綴じ装置の断面図である。
図4】シート綴じ装置の内部構成を示す平面図である。
図5】シート綴じ装置の制御構成を示すブロック図である。
図6】手差しによる針無し綴じ動作のフロー図である。
図7】手差しによる針無し綴じ動作を示す断面図である。
図8】針無し綴じ処理におけるシートの整合位置を示す平面図である。
図9】シートサイズに対応して移動可能なノンステープルユニットを備えた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1及び図2は本発明のシート綴じ装置2を備えた画像形成システム10を操作側(フロント側)から見た斜視図及び断面図である。画像形成システム10は、画像形成装置1の筐体4内に給紙部5、画像形成部6、画像読取部7等を備えている。シート綴じ装置2は、画像形成部6によって画像が形成されたシートを排出する胴内空間3内に配置されている。
【0013】
画像形成装置1は、画像形成を行うための各機構を備え、プラテン30上の原稿を画像読取部7によって読み取り、給紙部5から順次搬送されてくるシートに対して画像形成部6で印刷が施される。そして、印刷が施されたシートは、胴内空間3に向けて搬送され、この胴内空間3に配置されているシート綴じ装置2によって各種の綴じ処理が実行される。
【0014】
給紙部5には、一例として複数の給紙カセット5a,5b,5cを有しており、異なるサイズのシート毎に分けて収納することができる。それぞれの給紙カセット5a,5b,5cにはシートを繰出す給紙ローラ32やシートを1枚ずつ分離する図示しない分離手段等が設けられている。
【0015】
画像形成部6には、例えば静電式の画像形成機構33が備えられている。この画像形成機構33は、感光体(ホトコンダクタ)で構成されるドラムが色成分に応じて複数配置され、各ドラムには発光器(レーザヘッドなど)や現像器等が配置されている。そして各ドラムに発光器で潜画像(静電画像)を形成し、現像器でトナーインクを付着する。この各ドラム上に付着されたたインク画像は、シート上に画像合成される。
【0016】
画像読取部7は、プラテン30と、このプラテン30に沿って往復動する読取キャリッジ34を備えている。プラテン30は透明ガラスで形成されている。読取キャリッジ34は、光源ランプ35と、原稿からの反射光を変更する反射ミラー36と、光電変換素子37とを備えている。光電変換素子37は、プラテン30上の原稿幅方向(主走査方向)に配列されたラインセンサで構成され、これと直交する副走査方向に読取キャリッジ34が往復移動することによって、線順位で原稿画像を読取ようになっている。また、プラテン30の上方には原稿を覆う原稿圧板31が搭載されている。
【0017】
画像形成部6は、画像読取部7で読み取った画像データを給紙部5から搬送されてくるシートに転写した後、この転写済みのシートをシート綴じ装置2に向けて排出する。
【0018】
図3に示すように、シート綴じ装置2は、画像形成部6からのシートを搬送する搬送経路13、この搬送経路13の上流側に配置されている搬入ローラ対21及び下流側に配置されている搬出ローラ対22からなる搬送手段と、搬送経路13の下流側に設けられる開口(搬送口)14と、この搬送口14の下流側に配置され、前記搬出ローラ対22によって排出されるシートが積載される処理トレイ15と、処理トレイ15上のシートを集積トレイ12に排出する方向とは反対方向に掻き込む掻き込みローラ25と、この掻き込みローラ25によって掻き込まれたシートに対して各種の綴じ処理を行う綴じ処理部20と、を備えている。
【0019】
図4は、シート綴じ装置2の主要構成を平面視で示したものである。前記処理トレイ15上には、前記掻き込みローラ25によって掻き込まれたシートの後端部を整合する後端規制板26と、処理トレイ15上のシートの搬送方向CDと直交するシート幅方向の両端部に当接して整合する一対のサイド整合板27(図4参照)と、シートを検出する複数のセンサが配置されている。綴じ処理部20は、針有り綴じ手段(ステープルユニット)50と針無し綴じ手段(ノンステープルユニット)60とを有している。前記一対のサイド整合板27は、シートの搬送方向CDと直交するフロント(F)側を規制するF側整合板27aと、リア(R)側を規制するR側整合板27bとからなっている。前記F側整合板27a及びR側整合板27bは、処理トレイ15上で移動可能に配置されているが、それぞれの下流側端部が集積トレイ12側に突出する突出部28となっている。通常、処理トレイ15はシート綴じ装置2内に配置されており、外部からは見づらい構造となっているが、前記突出部28を設けることで、後述するように、集積トレイ12から手差し動作(手動)によってシートを挿入する際の目印となる。特に、操作側から見て奥まっているR側整合板27bに突出部28を設けることでシートを容易に処理トレイ15に載置させることができる。
【0020】
画像形成部6によって画像形成されたシートは、シート綴じ装置2の搬送経路13にて案内されて処理トレイ15に順次搬出される。処理トレイ15上に搬出されたシートは1枚毎に掻き込みローラ25、後端規制板26及び一対のサイド整合板27によって整合され、所定の綴じ位置に位置決めされる。そして、位置決めされたシートに対してステープルユニット50及びノンステープルユニット60のうちいずれか一方で綴じ処理が施される。綴じ処理されたシートは、排出ローラ対23によって集積トレイ12に排出される。
【0021】
集積トレイ12は上下方向に昇降する構成となっており、シートの集積量が増加するに従って下降する。これによって、排紙口の位置とシート最上面との間隔を常に一定に保つことができ、良好な排紙整列性を実現している。また、後述するように、手差し(マニュアル)動作によって処理トレイ15上にシートを載置する際には、集積トレイ12の上流側端部(後端)を処理トレイ15の下流側端部(先端)と同じ高さ位置、すなわち、集積トレイ12の上面(積載面)12aと処理トレイ15の上面(載置面)15aとが連続する位置(手差し挿入位置)に上昇させる(図7(b)参照)。なお、前記手差し挿入位置は、第2の排出ローラ対23bを越えて上昇させた位置、すなわち集積トレイ12の後端が処理トレイ15の先端より若干高い位置に設定してもよい。これによって、集積トレイ12側から処理トレイ15側へのシートの手差し挿入を容易にすることができる。
【0022】
次に、図3及び図4を参照しつつ、ステープルユニット50及びノンステープルユニット60について説明する。ノンステープルユニット60は画像形成システム10を使用者が操作する側、すなわちシート綴じ装置2の手前側(フロント(F)側)に設けられており、ステープルユニット50は画像形成システム10を使用者が操作する側と反対側、すなわちシート綴じ装置2の奥側(リア(R)側)に設けられている。
【0023】
ステープルユニット50は、図3及び図4に示したように、シートの所定の綴じ位置に針を打ち込むドライバ部51と、シートに打ち込まれた針の先端を折り曲げるクリンチャ部52とを有している。また、ステープルユニット50のドライバ部51には、シートを綴じるための複数の針を収納する針カートリッジ(図示せず)が取り付けられている。本実施形態におけるステープルユニット50は、最大で50枚のシートの綴じが可能であって、ドライバ部51とクリンチャ部52の間隔は50枚程度までのシートが挿入可能な間隔になっている。
【0024】
綴じ処理部20は、処理トレイ15の上流側に設けられている支持板55によって支持されている。支持板55には、シートの搬送方向CDと直交する方向に延びるガイドレール56が設けられており、このガイドレール56に沿って、ステープルユニット50が往復移動可能に配置されている。ノンステープルユニット60は、前記支持板55のフロント側に固定配置されている。
【0025】
綴じ処理部20における綴じ処理は、シートが後端規制板26及び一対のサイド整合板27によって規制された状態で行われる。そして、ステープルユニット50によってシート束の一端部を綴じる場合は、支持板55のリア側(図中の奥側)に移動して針有り綴じ処理を施す。また、二か所綴じを行う場合は、シートの幅方向の中央位置を挟んで対向する位置に移動しながら針有り綴じ処理を施す。図4中の符号S8は、ステープルユニット50がホームポジション(HP)にあることを検出するHPセンサであり、この位置を基準としてステープルユニット50が所定の綴じ位置に移動する。
【0026】
ノンステープルユニット60は、一対の歯型でシートを挟み込み、加圧することによってシートを変形させ、シートの繊維を絡めて綴じる、いわゆる圧着綴じ機能を備えたものである。この圧着綴じの他に、針を用いない綴じ方法としては半抜き加工綴じ、切曲げ綴じ、切り曲げてさらに穴に通す貫通綴じなどがある。ノンステープルユニット60は、前述したように支持板55のフロント側で、ステープルユニット50の移動範囲よりも外側に配置されている。
【0027】
圧着綴じによるノンステープルユニット60では、簡単な構成でシートを綴じることができる。ただし、綴じられるシートの枚数が通常の厚みで5枚程度であって、ステープルユニット50に比べて少ない。したがって、一対の歯型の間隔は、ステープルユニット50のドライバ部51とクリンチャ部52の間隔よりも狭くなっている。
【0028】
図5は、画像形成装置1及びシート綴じ装置2からなる画像形成システム10の制御系を示すブロック図である。シート綴じ装置2の制御部CONは、CPU,ROM,RAM等が内蔵された1チップマイコンを備え、操作パネルCPを介して、画像形成装置1との間でシートの枚数やサイズ等の属性情報やシートに対する綴じ処理の選択情報等の各種情報を送受信する。
【0029】
図3に示したように、駆動手段としては、搬入ローラ対21及び搬出ローラ対22を駆動する搬送モータM1、第1排出ローラ23aを駆動する第1排出モータM2、第2排出ローラ23bを駆動する第2排出モータM3、掻き込みローラ25を駆動する掻き込みモータM4、集積トレイ12を昇降させる昇降モータM5及び第1排出ローラ23aを離間させる離間ソレノイドSOLを備えている。また、図4に示したように、F側整合板27a及びR側整合板27bをそれぞれスライド移動するF側整合モータM6及びR側整合モータM7、ステープルユニット50を駆動するステープルモータM8、ステープルモータを移動させるステープル移動モータM9、ノンステープルユニット60を駆動するノンステープルモータM10を有している。
【0030】
また、検出手段としては、図3に示したように、搬送経路13を通過するシートの後端を検出する搬送検出センサS1、集積トレイ12の昇降ホームポジションを検出する集積トレイHPセンサS2を備えている。また、図4に示すように、後端規制板26に配置されるシートセットセンサS3、F側整合板27aのホームポジション(HP)を検出するF側整合板HPセンサS4、R側整合板27bのホームポジション(HP)を検出するR側整合板HPセンサS5、F側のシート端部を検出するF側シート検出センサS6、R側のシート端部を検出するR側シート検出センサS7、ステープルユニット50のホームポジション(HP)を検出するステープルユニットHPセンサS8を備えている。
【0031】
ステープルユニット50は、処理トレイ15上で整合させたシートの角部に移動して一か所綴じする動作と、シートの搬送方向CDと直交する方向に沿って移動しながら2か所綴じする動作とを選択することができる。
【0032】
ノンステープルユニット60は、前記ステープルユニット50と同様に処理トレイ15上にあって、シートの搬送方向CDと直交するフロント(F)側に設けられている。このノンステープルユニット60では、処理トレイ15上に自動で搬送され、または、手差し(マニュアル)動作によって処理トレイ15上に載置されたシートに対して針無し綴じを施すように構成されている。
【0033】
本実施形態のシート綴じ装置2は、上記ノンステープルユニット60を手動によって起動させるためのマニュアル操作手段(操作ボタン)61(図1参照)を備えており、この操作ボタン61を押す(ON)ことによって、処理トレイ15上に手差しで載置されたシート束に対して、ノンステープルユニット60による針無し綴じ処理を行うことができる。以下に示す操作ボタン61による操作は一例であり、押圧回数やスイッチの種類、配置位置等についてはこれに限定されるものではない。
【0034】
前記ノンステープルユニット60をマニュアルで使用する際には、操作ボタン61のON後に、集積トレイ12側から処理トレイ15に向けてシートを載置することによって開始される。
【0035】
図6はマニュアルによってシートに針無し綴じを実行するための操作フロー図、図7はシートの搬送動作を示す断面図、図8はシートの規制動作を示す平面図である。図7(a)に示すように、最初にシート綴じ装置2の操作ボタン61を1回押してONにする(図6(ST01))。操作ボタン61がONになると、離間ソレノイドSOLが駆動して、第1排出ローラ23aが第2排出ローラ23bから離間する。集積トレイ12は、シート綴じ装置2の底部に配置されている集積トレイHPセンサS2から処理トレイ15と同じ高さになるまで上昇する。このとき、図8(a)に示すように、一対のサイド整合板27は、F側整合板27aがF側整合板HPセンサS4で、R側整合板27bがR側整合板HPセンサS5でそれぞれ検出される位置に待機している。F側整合板HPセンサS4及びR側整合板HPセンサS5の配置位置は、シート綴じ装置2によって綴じ処理が可能な最大サイズのシートに合わせて設定されている(図4参照)。また、前記第1排出ローラ23aと第2排出ローラ23bとが対向する搬送口14の近傍に配置されている照明手段(ガイドランプ)62が点灯する(図6(ST02))。このガイドランプ62は、前記搬送口14の少なくともリア(R)側を照らす位置に設けることで、操作者側から見て奥まったシートのリア(R)側の挿入位置の視認性を向上させることができる。これによって、マニュアルによるシートの挿入が容易となる。また、図4に示したように、リア側整合板27bの突出部28を照らすような位置に設けることで、手差しによってシートを集積トレイ12側から挿入する際の目印となる。
【0036】
図7(b)に示すように、集積トレイ12は、積載面12aと処理トレイ15の載置面15aとが平面で連続する位置または積載面12aが処理トレイ15の載置面15aより僅かに高い手差し挿入位置で停止する。これによって、集積トレイ12の積載面12aにシートを置いて処理トレイ15に向けて手動で移動させれば、シートを搬送口14から挿入して処理トレイ15に載せることができ、処理トレイ15上へのシートの載置が容易になる。
【0037】
次に、集積トレイ12から処理トレイ15にかけて綴じ処理を行うシート束P(5枚以内)をマニュアルで載置する(図6(ST03))。シート束Pの載置が完了したら、操作ボタン61の2回目の押圧操作を行う(図6(ST04))。なお、シート束Pの載置の完了は搬送口14から挿入されたシートの先端がシートセットセンサS3に検出したことで判断される。シートセットセンサS3は、後端規制板26によって規制される位置まで到達したことを検出する。シート束Pの載置が完了すると、図8(b)に示したように、R側整合板27bがF側整合板27a側に向けて移動し、シート束PをF側に寄せて規制する。これによって、F側シート検出センサS6がONとなり、R側整合板27bを停止する(図6(ST05))。そして、シート束Pの端部がノンステープルユニット60による針無し綴じ位置に移動する。この状態で、操作ボタン61の3回目の押圧操作(図6(ST06))を行うことで、ノンステープルユニット60による針無し綴じ処理が実行される(図6(ST07))。
【0038】
図7(c)に示すように、針無し綴じ処理が終了すると、離間ソレノイドSOLがOFFとなり、第1排出ローラ23aが第2排出ローラ23bに庄接する。これと同時に、集積トレイ12が処理トレイ15よりも低い位置に下降する。そして、第1排出ローラ23aと第2排出ローラ23bとによって挟持されたシート束Pを集積トレイ12に向けて排出する。このシート束Pの排出が完了した時点でガイドランプ62が消灯する(図6(ST08))。最後に集積トレイ12から綴じ処理済のシート束を取り出して終了する(図6(ST09))。なお、前記集積トレイ12の下流側に、積載面12aを延長させるサブトレイ12bを引き出し可能に設けることで、大サイズのシートにも対応することができる。
【0039】
本実施形態におけるノンステープルユニット60は、処理トレイ15のフロント(F)の端部にあり、ステープルユニット50の移動範囲の外側に位置している。このため、A4等の普通サイズのシート束P1に針有り綴じをする場合の障害とはならない。しかしながら、大サイズのシートを5枚以上束ねて針有り綴じを行う場合には、シートの挿入枚数に制限があるノンステープルユニット60が邪魔になる場合がある。図9(b)は、これを改善するための構成であり、ノンステープルユニット60の綴じ口が支持板55側に収容可能となるように回転可能とすることで、大サイズのシート束P2に対する針有り綴じ処理が可能となる。
【0040】
次に、上記手差しによらず、自動で針有り綴じ又は針無し綴じを行う場合の動作について簡単に説明する。最初に、ステープルユニット50によって針有り綴じ処理を行う場合は、先ず、画像形成装置1からシート綴じ装置2に向けてシートの搬送、排出動作が実行される。このシートの搬送、排出動作では、画像形成装置1からシート受け渡し信号に基づき搬送モータM1を駆動する。これによって、搬入ローラ対21と搬出ローラ対22が回転して、画像形成装置1からのシートを処理トレイ15にシートが搬出される。
【0041】
次に、シートの整合動作では、シートの後端が搬送検出センサS1で検出されると、掻き込みモータM4が駆動する。これによって、掻き込みローラ25が回転しながら処理トレイ15上に搬出されたシートに接触してシートを後端規制板26に向けて移送する。移送されるシートは、その後端を後端規制板26に当接させることで整合される。
【0042】
シートの前後方向を整合させた後に、F側及びR側の整合モータM6,M7を駆動する。F側及びR側の整合モータM6,M7の駆動によって、一対のサイド整合板27がシートサイズに応じた位置まで移動してシートの幅方向を整合する。
【0043】
そして、搬出されるシートが1枚毎に順次整合され、処理トレイ15上で所定の枚数のシート束が整合されると、ステープル移動モータM9を駆動し、一端部を綴じる場合は、支持板55のリア側にステープルユニット50を移動して針有り綴じ処理を施す。また、二か所綴じを行う場合シートの幅方向の中央位置を挟んで対向する位置に移動しながら針有り綴じ処理を施す。綴じ処理が終了すると第1、第2の排出モータM2、M3を駆動して排出ローラ対23によってシート束を集積トレイ12に排出する。
【0044】
一方、ノンステープルユニット60によって針無し綴じ処理を行う場合は、処理トレイ15上で所定の枚数のシート束が整合されるまでは、針有り綴じ処理と同様である。本実施形態における自動の針無し綴じ処理では、処理トレイ15上で所定の枚数のシートが整合されると、F側及びR側の整合モータM6,M7を駆動し、一対のサイド整合板27によって整合したシート束をフロント(F)側に移動させる。そして、シート束がF側シート検出センサS6で検出される位置まで移動すると、F側及びR側の整合モータM6,M7の駆動を停止する。これによって、シート束の端部がノンステープルユニット60による針無し綴じ位置に移動する。この状態で、ノンステープルユニット60による針無し綴じ処理が実行される。針無し綴じ処理が終了すると第1、第2の排出モータM2、M3を駆動して排出ローラ対23によってシート束を集積トレイ12に排出する。なお、自動で処理トレイ15上に搬送されたシートに針無し綴じを施す場合は、マニュアル操作で針無し綴じを行う場合と同様に綴じられるシート枚数は、針有綴じの場合よりも少ない枚数となる。
【0045】
上述した本実施形態では、ステープルユニット50については、オートで駆動する例について簡単に説明したが、このステープルユニット50についても、手動によって処理トレイ15に載置されたシートに針有り綴じを施すことも可能である。その場合は、図9(a)に示したように、ステープルユニット50を処理トレイ15のリア(R)側における最大サイズの綴じ位置またはそれよりもリア(R)側の位置に移動させ、図7に示したように、集積トレイ12側から処理トレイ15側に向けてシートを手差し挿入する。その後に、F側整合板27aをR側整合板27b側に移動し、R側シート検出センサS7がシートを検出したならばF側整合板27aを停止する。これによって、シート束はマニュアルによる針綴じ位置に移動する。そして、ステープルユニット50にてシート端部が綴じられると、排出ローラ対23によってシート束が集積トレイ12に排出される。
【0046】
上記実施形態では、集積トレイ12を処理トレイ15と上面同士が平面で連続する位置または処理トレイ15の上面より僅かに高い手差し挿入位置まで上昇させ、集積トレイ12の積載面12aを搬送口14に対する挿入ガイドとして使用できるようにしたが、集積トレイ12を下降させてシートが挿入される搬送口14の周辺から退避させてもよい。これによって、搬送口14の周辺の空間が広くなり、手動で搬送口14からのシートの挿入がし易くなる。
【0047】
上述したように、ステープルユニット50には針カートリッジが取り付けられるため、ノンステープルユニット60に比べて、その形状が大きくなる。したがって、ステープルユニット50に比べて小さいノンステープルユニット60をフロント側に配置することで、画像形成装置1のフロント側に対する出っ張りをなくす、または出っ張りを抑えることができる。また、上記実施形態では、ステープルユニット50とノンステープルユニット60を処理トレイ15のリア側とフロント側とに振り分けて配置し、オートモードとマニュアルモードのいずれにおいても、処理トレイ15上のシートを綴じるように構成されている。これによって、シート綴じ装置2自体が小型化され、画像形成装置1の胴内空間3に収容配置することが可能となった。
【符号の説明】
【0048】
M1 搬送モータ
M2 第1排出モータ
M3 第2排出モータ
M4 掻き込みモータ
M5 昇降モータ
M6 F側整合モータ
M7 R側整合モータ
M8 ステープルモータ
M9 ステープル移動モータ
M10 ノンステープルモータ
S1 搬送検出センサ
S2 集積トレイHPセンサ
S3 シートセットセンサ
S4 F側整合板HPセンサ
S5 R側整合板HPセンサ
S6 F側シート検出センサ
S7 R側シート検出センサ
S8 ステープルユニットHPセンサ
SOL 離間ソレノイド
CON 制御部
CP 操作パネル
1 画像形成装置
2 シート綴じ装置
3 胴内空間
4 筐体
5 給紙部
5a,5b,5c 給紙カセット
6 画像形成部
7 画像読取部
10 画像形成システム
12 集積トレイ
12a 積載面
12b サブトレイ
13 搬送経路(搬送手段)
14 搬送口
15 処理トレイ
15a 載置面
20 綴じ処理部
21 搬入ローラ対
22 搬出ローラ対
23 排出ローラ対
23a 第1排出ローラ
23b 第2排出ローラ
25 掻き込みローラ
26 後端規制板
27 サイド整合板
27a F側整合板(フロント側整合板)
27b R側整合板(リア側整合板)
28 突出部
30 プラテン
31 原稿圧板
32 給紙ローラ
33 画像形成機構
34 読取キャリッジ
35 光源ランプ
36 反射ミラー
37 光電変換素子
50 ステープルユニット(針有り綴じ手段)
51 ドライバ部
52 クリンチャ部
55 支持板
56 ガイドレール
60 ノンステープルユニット(針無し綴じ手段)
61 操作ボタン
62 ガイドランプ(照明手段)
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9