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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001434
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】画像提供装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2668 20110101AFI20241225BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20241225BHJP
   H04N 5/76 20060101ALI20241225BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20241225BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241225BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20241225BHJP
   G06F 16/78 20190101ALI20241225BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
H04N21/2668
H04N5/77
H04N5/76
H04N5/92 010
H04N23/60 300
G07C5/00 Z
G06F16/78
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101025
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大栄 義博
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 航
(72)【発明者】
【氏名】林 雅敏
(72)【発明者】
【氏名】今村 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】那須 史尋
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 岳士
【テーマコード(参考)】
3E138
5B175
5C122
5C164
5H181
【Fターム(参考)】
3E138AA20
3E138BA20
3E138BB07
3E138CA03
3E138CA06
3E138EA02
3E138EA05
3E138MA01
3E138MB08
3E138MB10
3E138MB12
3E138MC12
3E138MD05
3E138MF08
5B175DA04
5B175FA01
5B175FB03
5C122DA03
5C122DA14
5C122EA42
5C122EA60
5C122FA01
5C122FA06
5C122FA11
5C122FH02
5C122FH14
5C122GA31
5C122HA90
5C122HB01
5C122HB05
5C164SA21S
5C164SB29S
5C164SB36S
5C164SC05P
5C164UA04S
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】第三者と撮影場所や撮影日時を調整しなくてもユーザーの運転中の車両についての画像を提供することができる画像提供装置を提供する。
【解決手段】画像提供装置200は、ドライブレコーダを備えた複数の車両100及び複数の情報入力装置300と、通信ネットワークを介して接続されている。画像提供装置200は、複数の車両100からドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、記憶装置に記憶する。画像提供装置200は、ユーザーにより情報入力装置300に入力されたユーザーの車両101を識別するための情報及び欲しい画像の条件を、情報入力装置300から受信する。画像提供装置200は、ユーザーの車両101が写っており、且つ条件に合致している画像を、記憶装置に記憶されている複数の映像のデータから抽出し、ユーザーに提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダを備えた複数の車両及び複数の情報入力装置と、通信ネットワークを介して接続されている画像提供装置であり、
処理装置と記憶装置とを備え、
前記画像提供装置の前記処理装置が、
前記複数の車両から前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、前記記憶装置に記憶することと、
ユーザーにより前記情報入力装置に入力された前記ユーザーの車両を識別するための情報及び欲しい画像の条件を、前記情報入力装置から受信することと、
前記ユーザーの車両が写っており、且つ前記条件に合致している画像を、前記記憶装置に記憶されている複数の前記映像のデータから抽出し、前記ユーザーに提供することと、を実行する
画像提供装置。
【請求項2】
前記条件は、
前記画像の撮影日時の情報と、撮影場所の情報と、を含む、
請求項1に記載の画像提供装置。
【請求項3】
前記条件は、
背景の情報、撮影場所の標高の情報、写っている前記ユーザーの車両のアングルについての情報のいずれかを更に含む、
請求項2に記載の画像提供装置。
【請求項4】
走行履歴情報は、各時刻における前記ユーザーの車両の位置情報を記録した情報であり、
前記処理装置が、
前記ユーザーの車両から受信した前記走行履歴情報と、前記複数の車両から受信した前記映像のデータの撮影日時の情報及び撮影場所の位置情報を含む撮影情報と、を利用して前記記憶装置に記憶されている前記複数の前記映像のデータの中から前記条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータを検索することと、を実行する
請求項1または請求項2に記載の画像提供装置。
【請求項5】
前記処理装置が、
前記ユーザーの車両を識別するための情報として前記ユーザーの車両の車種、色、ナンバーのいずれかを含む情報を前記情報入力装置から受信することと、
前記ユーザーの車両の車種、色、ナンバーのいずれかを含む情報を用いて、前記映像のデータの中から前記ユーザーの車両が映っている画像を抽出することと、を実行する
請求項1または請求項2に記載の画像提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライブレコーダが開示されている。ユーザーは、撮影したい希望風景の情報をドライブレコーダに入力する。ドライブレコーダは、入力された希望風景の条件に合致した映像が撮影できる場所をユーザーの車両が通過する際、通過中に風景を録画する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-9329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両を運転しているユーザーの中には、自分が運転中の車両を、自分の車両の外側から撮影した画像が欲しいというニーズが存在する。しかし、そのような画像は撮影場所や撮影日時を調整して、第三者に撮影してもらわなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための画像提供装置は、ドライブレコーダを備えた複数の車両及び複数の情報入力装置と、通信ネットワークを介して接続されている。画像提供装置は、処理装置と記憶装置とを備えている。この画像提供装置では、前記処理装置が、前記複数の車両から前記ドライブレコーダで撮影した映像のデータを受信し、前記記憶装置に記憶する。また、この画像提供装置では、前記処理装置が、ユーザーにより前記情報入力装置に入力された前記ユーザーの車両を識別するための情報及び欲しい画像の条件を、前記情報入力装置から受信する。そして、この画像提供装置では、前記処理装置が、前記ユーザーの車両が写っており、且つ前記条件に合致している画像を、前記記憶装置に記憶されている複数の前記映像のデータから抽出し、前記ユーザーに提供する。
【発明の効果】
【0006】
画像提供装置は、第三者と撮影場所や撮影日時を調整しなくてもユーザーの運転中の車両についての画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の画像提供装置を含む、画像提供システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態の画像提供システムにおける画像提供装置と、車両と、ユーザーの車両と、情報入力装置と、の処理の流れを示すシーケンス図である。
図3図3は、実施形態の画像提供システムにおける画像提供装置が提供する画像の例を示す図である。
図4図4は、実施形態の画像提供システムにおける画像提供装置が実行する画像の抽出に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態の画像提供システムにおける画像提供装置が実行する画像の提供に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態の画像提供システムにおける情報入力装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、画像提供装置の一実施形態について、図1図6を参照して説明する。
<画像提供システム10の構成>
図1に示すように画像提供システム10は、複数の車両100と、画像提供装置200、及び複数の情報入力装置300によって構成されている。
【0009】
各車両100は、ドライブレコーダ110を備えている。ドライブレコーダ110は、撮影装置と、衛星測位システムの受信機と、通信装置と、を備えて構成されている。
ドライブレコーダ110は、車両100から見える映像を撮影して記録する。ドライブレコーダ110は、例えば、車両100の前方に設置され、運転席から見える車両100の前方の映像を撮影して記録する。ドライブレコーダ110は、例えば、車両100の後方や側方に設置され、車両100の後方や側方から見える映像を撮影して記録してもよい。つまり、ドライブレコーダ110は、車両100の外が映るように設置してあれば、車両100のどこに設置されていてもよい。
【0010】
画像提供装置200は、プログラムが記憶されている記憶装置220と、記憶装置220に記憶されているプログラムを実行して各種の処理を実行する処理装置210を備えている。処理装置210は、プロセッサを含んでいる。
【0011】
画像提供装置200は、複数のコンピュータを用いて構成され得る。例えば、画像提供装置200は、複数のサーバ装置によって構成され得る。
画像提供装置200は、複数の情報入力装置300及び複数の車両100と情報をやり取りできるように無線通信ネットワークを介して接続されている。
【0012】
情報入力装置300は、ユーザーが情報を打ち込むインプット装置と、ユーザーに対して情報を表示する表示装置と、画像提供装置200と情報をやり取りする通信装置と、を備えて構成されている。なお、ここでいうユーザーとは、画像提供システム10から画像の提供を望んでいる者のことである。情報入力装置300は、例えば、画像提供装置200と接続可能なアプリケーションが入っているスマートフォンなどのデバイスである。
【0013】
情報入力装置300は、ユーザーが入力した情報を画像提供装置200に送信し、画像提供装置200から受信した情報をユーザーに表示する。このように、情報入力装置300は、ユーザーと画像提供装置200を仲介する役割を担っている。
【0014】
画像提供システム10は、車両100のドライブレコーダ110で撮影した映像から、ユーザーの車両101が写っており、且つ、後述するユーザーが欲しい画像の条件に合致している画像を抽出し、ユーザーに提供する。ユーザーの車両101とは、ユーザーが運転している車両である。以下では、ユーザーが運転している車両をユーザーの車両101と表記して、ユーザーの車両101を撮影する車両100と区別する。ユーザーの車両101は、被写体になる車両であるためドライブレコーダ110を備えている必要はない。ユーザーの車両101は、ドライブレコーダ110を備えている複数の車両100のうちの、一台であってもよい。
【0015】
<画像提供システム10におけるデータの送受信>
次に、画像提供装置200と、車両100、ユーザーの車両101、情報入力装置300とのデータの送受信について図2を参照して説明する。
【0016】
図2の上部に示すように、各車両100は、ドライブレコーダ110が稼働している間は、ドライブレコーダ110で撮影した映像のデータ及び撮影情報を画像提供装置200に送信し続ける。撮影情報は映像のデータの撮影日時の情報及び撮影場所の位置情報を含む。これにより、画像提供装置200は映像のデータについてその映像がいつどこで撮影されたものであるのかを把握することができる。映像のデータを受信した画像提供装置200は、映像のデータを記憶装置220に記憶する。
【0017】
図2の上部に示すように、情報入力装置300は、ユーザーによって入力されたユーザーの車両101を識別するための情報である特徴情報及び欲しい画像の条件を送信する。
特徴情報は、例えば、画像提供装置200が車両100から受信した映像の中からユーザーの車両101を識別するために利用される外見的に判別できる特徴の情報である。特徴情報は、ユーザーの車両101の車種、色、ナンバーのいずれかを含む。つまり、図2においては、ユーザーは、特徴情報としてユーザーの車両101の車種、色、ナンバーのいずれかを含む情報を画像提供装置200に送信する。
【0018】
欲しい画像の条件とは、ユーザーの好みに合った画像を取得できるように、画像提供装置200が提供する画像についてユーザーが指定した条件のことである。
欲しい画像の条件は、画像の撮影日時の情報と撮影場所の情報を含む。欲しい画像の条件において、画像の撮影日時とは、ユーザーの車両101が車両100のドライブレコーダ110によって撮影された日時の情報である。画像の撮影場所の情報とは、ユーザーの車両101が車両100のドライブレコーダ110によって撮影された場所の情報である。ユーザーが入力する撮影場所の情報は、位置情報でもよいし、撮影された場所の地名の情報でもよい。ユーザーは、例えば、旅行を計画したときに、前もって画像の撮影日時の情報として旅行の日時を情報入力装置300に入力する。そして、ユーザーは、撮影場所の情報として旅行で行く場所の情報を情報入力装置300に入力する。また、ユーザーは、例えば、撮影場所の情報として過去に訪れた場所の情報を情報入力装置300に入力する。そして、ユーザーはその場所を訪れた日時の情報を情報入力装置300に入力する。
【0019】
また、欲しい画像の条件は、背景の情報、撮影場所の標高の情報、写っているユーザーの車両101のアングルについての情報のいずれかを更に含めることができる。欲しい画像の条件において、画像の撮影日時の情報と撮影場所の情報は必須の情報であるのに対し、背景の情報などは任意的に含められるものである。ユーザーは、画像の撮影日時の情報と撮影場所の情報に加えて、背景の情報などを情報入力装置300に入力することで、画像提供装置200が提供する画像についてより細かく指定することができる。
【0020】
欲しい画像の条件において、背景の情報とは、海や建物など、ユーザーの車両101の背後に写っている風景の情報である。撮影場所の標高の情報とは、ユーザーの車両101が車両100のドライブレコーダ110によって撮影された場所の標高のことである。写っているユーザーの車両101のアングルについての情報とは、例えば、画像がユーザーの車両101のどの角度を写したものであるかという情報である。
【0021】
図2の上部に示すように、画像提供装置200は、情報入力装置300から特徴情報及び欲しい画像の条件を受信した後、ユーザーの車両101から走行履歴情報を受信する。走行履歴情報とは、各時刻におけるユーザーの車両101の位置情報を記録した情報である。これにより、画像提供装置200はユーザーの車両101がいつどこを走行していたのかを把握することができる。
【0022】
ユーザーの車両101は、欲しい画像の条件としてユーザーが情報入力装置300に入力した画像の撮影日時における走行履歴情報を画像提供装置200に送信する。つまり、ユーザーの車両101はユーザーが入力した撮影日時の期間の走行履歴情報だけを画像提供装置200に送信する。
【0023】
画像提供装置200は、走行履歴情報を受信した後、記憶装置220に記憶されている車両100から受信した映像のデータの中から画像の抽出処理を行う。このとき、画像提供装置200が抽出する画像はユーザーの車両101が写っており、且つ、欲しい画像の条件に合致している画像である。画像提供装置200は、このような抽出すべき画像を車両100から受信した映像のデータの中から発見できなかった場合、画像を抽出することなく抽出処理を終了する。画像提供装置200は、抽出すべき画像を車両100から受信した映像のデータの中から発見した場合、当該画像を抽出し、抽出した画像を記憶装置220に記憶する。
【0024】
図2の下部に示すように、抽出処理を終えた画像提供装置200は、情報入力装置300にデータを送信する。このような処理は、画像提供装置200が情報入力装置300からのアクセスを感知したときに行われる。例えば、このような処理は、抽出処理が終了した後に、情報入力装置300であるスマートフォンのアプリケーションがユーザーによって操作され、アプリケーションが画像提供装置200にアクセスしたときに実行される。
【0025】
図2の下部に示すように、情報入力装置300に送信するデータの内容は、記憶装置220に条件に合致した画像が記憶されているかどうかで異なる。記憶装置220に条件に合致した画像が記憶されていない場合、画像提供装置200は情報入力装置300に条件に合致した画像が無いことを示す信号を送信する。画像提供装置200は、記憶装置220に条件に合致した画像が記憶されている場合、画像の取得を希望したユーザーに対して当該画像のデータを情報入力装置300に送信する。こうして画像提供装置200は、ユーザーに当該画像を提供する。
【0026】
図3は、画像提供装置200がユーザーに提供する画像の一例である。この画像において、画像を撮影しているのが車両100、車両100の対向車線に写っているのがユーザーの車両101である。画像提供装置200は、図3のような画像を記憶装置220から抽出し、ユーザーに対して提供する。
【0027】
以下、図4図6を参照して、ユーザーに対する上記のような画像の提供を実現するために、画像提供装置200において実行される処理の流れと、情報入力装置300において実行される処理の流れと、をより具体的に説明する。
【0028】
<画像提供装置200が実行する画像の抽出に関する処理の流れ>
図4は、画像提供装置200が実行する画像の抽出に関する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、ユーザーの車両101から走行履歴情報を受信した後、画像提供装置200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、画像提供装置200が図2の上部でユーザーの車両101から走行履歴情報を受信した後、図2の下部で情報入力装置300にデータを送信する前に実行する処理に相当する。つまり、この一連の処理は、画像提供装置200がユーザーの車両101から走行履歴情報を受信した後に実行する、図2の上部を参照して説明した抽出処理に相当する。
【0029】
図4に示すように、この一連の処理を開始すると、処理装置210は、まずステップS100の処理において、検索処理を行う。検索処理は、車両100から受信した映像のデータの中から、欲しい画像の条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータを検索する処理である。
【0030】
検索処理において、処理装置210は、まず、欲しい画像の条件と合致するユーザーの走行履歴情報を抽出する。前述したとおり、ユーザーの車両101はユーザーが入力した撮影日時の期間の走行履歴情報だけを画像提供装置200に送信する。そのため、検索処理において、処理装置210は、ユーザーの車両101の走行履歴情報から、撮影場所の情報や、任意的に含められた背景の情報、撮影場所の標高の情報に基づいた条件に合致する部分を抽出する。
【0031】
検索処理において、処理装置210は、次に、記憶装置220に記憶されている車両100から受信した映像のデータの中から、先ほど抽出した走行履歴情報と撮影情報が一致する映像のデータを検索する。このような検索処理により、処理装置210は、複数の車両100から受信した複数の映像のデータの中から条件に合致した画像を探す範囲を絞り込むことができる。
【0032】
次のステップS110において、処理装置210は、検索処理により絞り込んだ映像のデータがあるか否かを判定する。つまり、処理装置210は、条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータがあるか否かを判定する。ステップS110の処理において、該当する映像のデータがあると判定した場合(ステップS110:YES)には、処理はステップS120へと進む。ステップS120の処理において、処理装置210は、抽出処理を行う。抽出処理は、検索処理により絞り込んだ映像のデータの中から、ユーザーに提供する画像を抽出する処理である。
【0033】
抽出処理において、処理装置210は、検索処理により絞り込んだ映像から、ユーザーの車両101が写っている画像を抽出する。このとき、処理装置210は、ユーザーの車両101の車種、色、ナンバーのいずれかを含む先述した特徴情報を用いて映像の中からユーザーの車両101を探す。
【0034】
抽出処理において処理装置210が抽出する画像は、欲しい画像の条件を満たしている画像である。そのため、例えば、処理装置210は、欲しい画像の条件にユーザーの車両101のアングルの情報が含まれていた場合、その条件を満たす画像を抽出する。抽出処理において処理装置210が抽出する画像は、ユーザーの車両101がはっきり映っているものが好ましい。そのため、例えば、処理装置210は、ユーザーの車両101にピントが合っている画像や、ユーザーの車両101が大きく写っている画像を抽出する。
【0035】
例えば、抽出処理は、処理装置210が、検索処理により絞り込んだ映像をオペレータに示して、オペレータに画像を抽出させる処理でもよい。例えば、抽出処理は、処理装置210が、車両100から受信した映像に写っている物体を画像認識処理によって認識して、画像を抽出する処理であってもよい。この場合、画像の中のユーザーの車両101の大きさなど予め決められた条件に合致する画像を処理装置210が抽出する。こうして抽出処理が行われた後、次のステップS130において、処理装置210は抽出処理により抽出した画像のデータを記憶装置220に記憶する。画像提供装置200の処理装置210は、ステップS130の処理を終えると、この一連の処理を終了させる。
【0036】
一方、ステップS110の処理において、検索処理により絞り込んだ結果、抽出処理の対象になる映像のデータがないと判定した場合(ステップS110:NO)には、処理装置210は、この一連の処理を終了させる。つまり、条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータがない場合には、処理装置210は、画像を抽出せずにこの一連の処理を終了させる。
【0037】
<情報入力装置300からのアクセスを感知した画像提供装置200が実行する処理>
図5は、図4で示した一連の処理が終了した後、情報入力装置300からのアクセスを感知したときに、画像提供装置200が実行する一連の処理を示している。この一連の処理は、画像提供装置200の処理装置210によって実行される。この一連の処理は、図2の下部に示したように、画像提供装置200が抽出処理を終えた後、情報入力装置300にデータを送信するときに実行する処理に相当する。
【0038】
図5に示すように、この一連の処理を開始すると、ステップS200の処理において、処理装置210は抽出した画像の有無を判定する。具体的には、処理装置210は、図4におけるステップS120の抽出処理で抽出した画像のデータが記憶装置220に記憶されているかどうかを判定する。該当する画像のデータが記憶装置220に記憶されていない場合には、処理装置210は、画像がないと判定する。該当する画像のデータが記憶装置220に記憶されている場合には、処理装置210は、画像があると判定する。
【0039】
ステップS200の処理において、処理装置210が、画像があると判定した場合(ステップS200:YES)には、処理はステップS220へと進む。ステップS220の処理において、処理装置210は、情報入力装置300に当該画像のサンプル画像のデータを送信する。このとき、画像提供装置200が図4のステップS120の抽出処理で複数の画像を抽出し、記憶装置220に記憶していた場合、抽出した複数の画像すべてのサンプル画像のデータを情報入力装置300に送信する。サンプル画像とは、抽出した画像がどのようなものであるかをユーザーに対して知らせるために送信される、本来の画像の一部を加工した画像である。例えば、本来の画像の端に“SAMPLE”という文字が付された画像がサンプル画像となりえる。
【0040】
次のステップS230の処理において、処理装置210は、情報入力装置300からユーザーによる画像の取得希望を示す信号を受信したかどうかを判定する。ステップS230の処理において、処理装置210が、情報入力装置300から取得希望を示す信号を受信したと判定した場合(ステップS230:YES)には、処理はステップS240に進む。
【0041】
次のステップS240の処理において、処理装置210は、情報入力装置300に画像のデータを送信する。送信する画像のデータは、ステップS220において情報入力装置300に送信したサンプル画像のデータに対応する画像のうち、ユーザーが取得を希望した画像のデータである。このようにして、画像提供装置200は、ユーザーが取得を希望した画像のデータを情報入力装置300に送信することで、ユーザーに対して画像を提供する。
【0042】
画像提供装置200の処理装置210は、ステップS240の処理を終えると、この一連の処理を終了させる。
ステップS200の処理において、処理装置210が、該当する画像が無いと判定した場合(ステップS200:NO)には、処理はステップS210に進む。ステップS210の処理において、処理装置210は、情報入力装置300に希望する条件に合致する画像が無いことを示す信号を送信する。こうして希望する条件に合致する画像が無いことを示す信号が送信されると、処理装置210は、そのままこの一連の処理を終了させる。
【0043】
ステップS230の処理において、処理装置210が、情報入力装置300から画像の取得希望を示す信号を受信していないと判定した場合(ステップS230:NO)には、処理装置210は、この一連の処理を終了させる。つまり、処理装置210は、画像の取得希望を示す信号を受信しなかった場合、そのままこの一連の処理を終了させる。
【0044】
<情報入力装置300が実行する処理>
図6は、画像提供装置200が図4の一連の処理を終了した後、画像提供装置200にアクセスした情報入力装置300が実行する一連の処理の流れを示している。この一連の処理は、図2の下部において、情報入力装置300が画像提供装置200からデータを受信するときの処理を示している。
【0045】
図6に示すように、この一連の処理を開始すると、情報入力装置300は、まずステップS300の処理において、画像提供装置200から画像がないことを示す信号を受信したかどうかを判定する。
【0046】
ステップS300の処理において、情報入力装置300が、画像がないことを示す信号を受信していないと判定した場合(ステップS300:NO)には、処理はステップS320へと進む。
【0047】
ステップS320において、情報入力装置300は、画像提供装置200からサンプル画像のデータを受信したかどうかを判定する。ステップS320の処理において、情報入力装置300が、サンプル画像のデータを受信していないと判定した場合(ステップS320:NO)には、ステップS320の処理が繰り返される。
【0048】
ステップS320の処理において、情報入力装置300が、サンプル画像のデータを受信したと判定した場合(ステップS320:YES)には、処理はステップS330に進む。ステップS330の処理において、情報入力装置300は、画像提供装置200から受信したサンプル画像をユーザーに対して表示する。
【0049】
次のステップS340の処理において、情報入力装置300は、ステップS330で表示したサンプル画像に対してユーザーが取得を希望する意志を示す操作をしたかどうかを判定する。つまり、情報入力装置300は、画像提供装置200から受信したサンプル画像を表示した後、表示したサンプル画像に対応する画像の取得を希望するか否かを問い合わせる。
【0050】
例えば、情報入力装置300は、表示装置上にメッセージを表示して画像の取得を希望するか否かの回答を求める。この問合せに対して、ユーザーが取得を希望する意志を示す操作を行った場合には、情報入力装置300は、ユーザーが画像の取得を希望したと判定する。一方で、ユーザーが取得を希望しない意志を示す操作を行った場合には、情報入力装置300は、ユーザーが画像の取得を希望しなかったと判定する。
【0051】
また、複数のサンプル画像のデータを画像提供装置200から受信した場合、情報入力装置300は、例えば、ユーザーに対して表示した複数のサンプル画像に対応する複数の画像の中から取得を希望する画像を選んでもらうという構成を採用してもよい。このとき、ユーザーが取得したい画像を選択した場合、情報入力装置300は選択した画像について取得を希望したと判定する。ユーザーがどの画像も選択しなかった場合、情報入力装置300はユーザーが画像の取得を希望しなかったと判定する。
【0052】
ステップS340の処理において、ユーザーが画像の取得を希望したと情報入力装置300が判定した場合(ステップS340:YES)には、処理はステップS350へと進む。ステップS350の処理において、情報入力装置300は、画像の取得希望を示す信号を画像提供装置200に送信する。信号を送信した情報入力装置300は、この一連の処理を終了させる。なお、信号を送信した後、情報入力装置300は画像提供装置200から画像のデータを受信し記憶する。
【0053】
ステップS300の処理において、情報入力装置300が、希望する条件に合致する画像がないことを示す信号を受信したと判定した場合(ステップS300:YES)には、処理はステップS310へと進む。ステップS310の処理において、情報入力装置300は、ユーザーに対して希望する条件に合致する画像が無い旨を表示する。こうして希望する条件に合致する画像が無い旨が表示されると、情報入力装置300はそのままこの一連の処理を終了させる。
【0054】
ステップS340の処理において、ユーザーが画像の取得を希望しなかったと情報入力装置300が判定した場合(ステップS340:NO)には、情報入力装置300は、この一連の処理を終了させる。すなわち、この場合、情報入力装置300は、ステップS350の処理を実行せずに、この一連の処理を終了させる。
【0055】
<本実施形態の作用>
画像提供装置200は、複数の車両100のドライブレコーダ110が撮影した複数の映像の中から、ユーザーの車両101が写っていて且つ欲しい画像の条件にあった画像を抽出し、ユーザーに提供する。
【0056】
<本実施形態の効果>
(1)画像提供装置200は、第三者と撮影場所や撮影日時を調整しなくてもユーザーが運転して走行しているユーザーの車両101についての画像を、ユーザーに提供することができる。
【0057】
(2)画像を抽出するために用いる条件は、背景の情報、撮影場所の標高の情報、写っているユーザーの車両101のアングルについての情報のいずれかを含む。そのため、ユーザーは、欲しい画像の条件として背景の情報や、撮影場所の標高、写っているユーザーの車両101のアングルを指定して希望する条件に合致した画像を絞り込むことができる。
【0058】
(3)走行履歴情報は、各時刻におけるユーザーの車両101の位置情報を記録した情報である。処理装置210は、ユーザーの車両101から受信した走行履歴情報と、複数の車両100から受信した撮影情報と、を利用して検索処理を実行する。検索処理では、処理装置210は、これらの情報に基づいて記憶装置220に記憶されている複数の映像のデータの中から条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータを検索する。そのため、画像提供装置200は、ユーザーの車両101の走行履歴情報と、撮影情報とを照合して、複数の車両100から受信した複数の映像のデータの中からユーザーの車両101が写っている可能性のある映像のデータを絞り込むことができる。つまり、画像提供装置200は、条件に合致した画像を検索する範囲を絞り込むことができる。これにより、画像提供装置200は、条件に合致する画像を速やかに抽出できる。
【0059】
(4)処理装置210は、ユーザーの車両101を識別するための情報としてユーザーの車両101の車種、色、ナンバーのいずれかを含む情報を情報入力装置300から受信する。そして、処理装置210は、ユーザーの車両101の車種、色、ナンバーのいずれかを含む情報を用いて、映像のデータの中からユーザーの車両101が映っている画像を抽出する。ユーザーの車両101の車種、色、ナンバーの情報は、いずれもユーザーの車両101を特定する手がかりになり得る。画像提供装置200は、ユーザーの車両101の車種、色、ナンバーのいずれかを含む情報を用いて複数の映像のデータの中から画像を抽出する。そのため、画像提供装置200はユーザーに対してユーザーの車両101が映っている画像を提供できる。
【0060】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0061】
・ステップS240の処理において、処理装置210は、例えば、ユーザーが取得を希望した画像を紙に印刷し、その紙を郵送することでユーザーに画像を提供することもできる。ステップS240の処理において、処理装置210は、例えば、ユーザーが取得を希望した画像のデータをユーザーに対して電子メールで送るなど他の電磁的方法によって画像を提供してもよい。
【0062】
・上記の画像提供システム10において、画像提供装置200は、ユーザーに対して静止画である画像を提供している。これに対して、画像提供装置200は、ユーザーの希望の条件に合致した動画を提供してもよい。この場合、図4で説明した一連の処理のうちのステップS120において、画像提供装置200はユーザーの車両101が映っており、且つ、ユーザーの希望の条件に合致した動画のデータを抽出する。
【0063】
・上記の画像提供システム10において、図5のステップS220~ステップS240で示したように、画像提供装置200は、サンプル画像のデータを送信する。その後、画像提供装置200は、情報入力装置300から画像の取得希望を示す信号を受信してから画像をユーザーに提供した。これに対し、画像提供装置200は、ステップS220とステップS230の処理を行わずに、情報入力装置300に対して画像のデータを送信して、図5で説明した一連の流れを終了させてもよい。つまり、画像提供装置200は、ユーザーが画像の取得を希望するか否かを確認せずに画像を提供してもよい。
【0064】
・上記の画像提供システム10において、画像提供装置200は、ユーザーの車両101の走行履歴情報と、映像のデータの撮影情報を用いて、映像のデータの中から条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータを検索した。これに対し、画像提供装置200は、ユーザーの車両101のナンバーの情報を用いて条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータを検索することもできる。このとき、画像提供装置200は、まず、複数の車両100から受信した複数の映像のデータを画像識別処理により識別する。次に、識別した複数の映像のデータの中からユーザーの車両101のナンバーの情報と一致するナンバープレートが映っている映像のデータを抽出する。その後、画像提供装置200は、抽出した映像の中のユーザーの車両101に対してトラッキング技術を用いることで、ナンバーが映っていない映像についてもユーザーの車両101が映っていることを認識し、抽出する。このようにして、画像提供装置200は条件に合致する画像が抽出できる可能性がある映像のデータを検索することができる。
【0065】
・画像提供装置200は、ユーザーへの提供履歴から、ユーザーが気に入りそうな画像の条件を推測し、抽出することもできる。ユーザーへの提供履歴とは、同一のユーザーについての過去の欲しい画像の条件の履歴や提供済みの画像の履歴のことである。画像提供装置200の処理装置210は、前述した提供履歴を記憶装置220に蓄積する。次に、処理装置210は提供履歴からユーザーが気に入りそうな画像の条件を推測する。例えば、処理装置210は、同一のユーザーの過去の欲しい画像の条件の履歴から一致点を探し、ユーザーが気に入りそうな画像の条件を推測する。例えば、処理装置210は、同一のユーザーについて過去に提供した画像の履歴から特徴を識別し、複数の画像の特徴の一致点を探すことでユーザーが気に入りそうな画像の条件を推測する。その後、処理装置210は、記憶装置220に記憶されている映像のデータの中から、ユーザーの車両が写っており、且つ、推測したユーザーが気に入りそうな画像の条件に合致する画像を抽出する。
【符号の説明】
【0066】
10…画像提供システム、100…車両、101…ユーザーの車両、110…ドライブレコーダ、200…画像提供装置、210…処理装置、220…記憶装置、300…情報入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6