(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143445
(43)【公開日】2025-10-01
(54)【発明の名称】駆動装置、像ぶれ補正装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20250924BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20250924BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20250924BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
H04N23/68
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025114511
(22)【出願日】2025-07-07
(62)【分割の表示】P 2021063577の分割
【原出願日】2021-04-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】三好 香織
(57)【要約】
【課題】必要な推力で大きなストロークでの移動が可能な小型の駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置として像ぶれ補正部14は、固定部と、撮像素子6を保持した可動部200と、可動部200に配置された第3コイル205cと、光軸方向において所定の間隙をもって第3コイル205cを挟み込むように配置された第3上部磁石部103e及び第3下部磁石部1073と、を備え、光軸方向と直交する第1の方向に可動部200を移動させる。光軸方向から見た場合に、第1の方向において、撮影光軸4から第3上部磁石部103eの分極線103Nまでの距離が、撮影光軸4から第3下部磁石部1073の分極線までの距離よりも大きい構成とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
光学部材を保持した可動部と、
前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、
前記固定部と前記可動部の他方に、前記光学部材の光軸方向において所定の間隙をもって前記コイルを挟み込むように配置された第1磁石部および第2磁石部と、を備え、
前記光軸方向と直交する第1の方向に前記可動部を移動させる駆動装置であって、
前記光軸方向から見た場合に前記第1の方向において、前記光学部材の光軸から前記第1磁石部の分極線までの距離が、前記光軸から前記第2磁石部の分極線までの距離と異なることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
固定部と、
光学部材を保持した可動部と、
前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、
前記固定部と前記可動部の他方に、前記光学部材の光軸方向において所定の間隙をもって前記コイルを挟み込むように配置された第1磁石部および第2磁石部と、を備え、
前記光軸方向と直交する第1の方向に前記可動部を移動させる駆動装置であって、
前記第1の方向において前記第1磁石部の長さは前記第2磁石部の長さよりも小さく、
前記光軸方向から見た場合に前記第1の方向において、前記光学部材の光軸から前記第1磁石部の重心までの距離が、前記光軸から前記第2磁石部の重心までの距離よりも大きいことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
前記第2磁石部は、前記光軸方向において、前記光学部材を前記第1の方向へ移動させても前記光学部材と接触することのない位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1磁石部の前記コイルと対向する面に、前記第1の方向の中央部において、前記光軸方向および前記第1の方向と直交する方向に沿って溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1磁石部は、前記第1の方向の長さが同じ2つの磁石を有し、
前記2つの磁石は、前記第1の方向において所定の間隙を持って配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記可動部の位置を検出する検出手段を有し、
前記検出手段は、前記光軸方向において前記第2磁石部よりも前記第1磁石部に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記可動部は、前記コイルを保持するフレキシブルプリント配線基板を備え、
前記検出手段は、前記コイルの内孔において前記フレキシブルプリント配線基板に実装されていることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
固定部および可動部を有し、前記固定部と前記可動部を第1の方向に相対移動させる駆動装置であって、
前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、
前記固定部と前記可動部の他方に、前記第1の方向と直交する第2の方向において所定の間隙をもって挟み込むように配置された第1磁石部および第2磁石部と、を備え、
前記第2の方向から見た場合に、前記第1磁石部の分極線の位置と前記第2磁石部の分極線の位置が重ならないことを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動装置と、
前記可動部に保持された撮像素子と、を備え、
前記可動部は、前記撮像素子の結像面と略平行な平面内で移動可能であることを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の駆動装置と、
前記可動部に保持された像ぶれ補正レンズと、を備え、
前記可動部は、前記像ぶれ補正レンズの光軸と略直交する平面内で移動可能であることを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の像ぶれ補正装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石とコイルを備える駆動装置と、駆動装置を備える像ぶれ補正装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置には、光学部品を駆動する様々な駆動装置が用いられている。このような駆動装置として、高い精度で、且つ、大きなストロークで移動させることが可能なものが求められている。また、移動させる光学部品の大型化及び重量増加に対応するために、小型で推力の大きい駆動装置も求められている。
【0003】
例えば、光学部品(レンズ又は撮像素子)を光軸と直交する平面内でシフト(変位)させることにより、撮像中の手ぶれ等による像ぶれを抑制する像ぶれ補正装置には、ボイスコイルモータ方式が広く用いられている。ボイスコイルモータ方式では、可動部と固定部のいずれか一方にコイルを配置すると共に他方に磁石を配置し、コイルに電流を流すことによって生じる磁界と磁石の磁界との相互作用を利用して、固定部に対して可動部を移動させる。
【0004】
手ぶれ補正装置では、大きな手ぶれが生じても像ぶれを補正することを可能にするため、光学部品を大きなストロークで移動させる性能が求められており、同時に、駆動時には必要な推力を確保する必要がある。そこで、推力を増大させるために磁石の構成を工夫した像ぶれ補正装置が特許文献1に開示されている。特許文献1は、コイルを挟むようにして磁石を配置することによって、コイルを横切る磁束を効果的に高めた構成を開示している。
【0005】
ところで、可動部の移動を高精度に行うために、可動部の移動量の検出、つまり、可動部の位置を検出することが多い。可動部の位置検出方法の一例として、磁気式位置検出方法がある。この方法では、磁束密度の変化に応じた電気信号を出力するホール素子やMR(磁気抵抗)素子等の磁気センサを用い、磁石と磁気センサとの相対移動に伴って変化する電気信号に基づいて、磁石と磁気センサとの相対位置を検出する。その際、磁気センサにより検出可能な磁束密度が、磁気センサと磁石との相対移動に伴って線形に変化するものとして磁石と磁気センサの相対位置を算出することが一般的である。
【0006】
上述したボイスコイルモータ方式の駆動装置において、駆動用の磁石を位置検出のための磁石としても用いる構成を有する像ぶれ補正装置が特許文献2に開示されている。また、特許文献3には、磁石に切り欠きを設けるか又は磁石を2分割化することによって位置検出ストロークを確保した位置検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6172993号公報
【特許文献2】特開2007-219338号公報
【特許文献3】特開2013-246134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、駆動量(可動部の移動量)を大きくすると共に、コイルと磁石の相対移動量が大きい位置での推力を確保しようとすると、駆動方向(可動部の移動方向)における駆動装置の大型化は避けられない。また、駆動量が大きくなると、可動部が移動先で他の部位(部材)に衝突しないようにする必要があるため、必然的に駆動装置が外側に押し出されることで、手ぶれ補正装置が大型化してしまう。
【0009】
上記特許文献2に開示された駆動装置では、駆動に用いる磁石の磁気を検出することによって可動部の位置検出を行うことで、手ぶれ補正装置の小型化を図っている。しかしながら、磁気センサによる磁束密度の検出可能範囲において線形に変化する範囲は狭い。そのため、磁束密度が線形に変化する範囲のみを可動部の位置検出が可能な範囲とした場合、上記特許文献2に開示された技術は、駆動量の大きな駆動装置には不向きである。
【0010】
可動部の駆動量が大きい場合に可動部の駆動量又は位置を検出する方法としては、上記特許文献1又は特許文献3に開示されている方法を用いることができる。しかし、上記特許文献1に開示された技術では、可動部の駆動に用いる磁石とは別に位置検出に用いる磁石と備える構成のため、部品点数が増えてしまうことで、コストが嵩み、また、省スペース化も困難になる。一方、上記特許文献3に開示された技術では、磁石の体積が小さくなるため、推力を確保することは容易ではない。
【0011】
本発明は、必要な推力を確保しながら大きなストロークでの移動が可能な小型の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る駆動装置は、固定部と、光学部材を保持した可動部と、前記固定部と前記可動部の一方に配置されたコイルと、前記固定部と前記可動部の他方に、前記光学部材の光軸方向において所定の間隙をもって前記コイルを挟み込むように配置された第1磁石部および第2磁石部と、を備え、前記光軸方向と直交する第1の方向に前記可動部を移動させる駆動装置であって、前記光軸方向から見た場合に前記第1の方向において、前記光学部材の光軸から前記第1磁石部の分極線までの距離が、前記光軸から前記第2磁石部の分極線までの距離と異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、必要な推力を確保しながら大きなストロークでの移動が可能な小型の駆動装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る撮像装置の構成を説明する図である。
【
図2】撮像装置が備える、第1実施形態に係る像ぶれ補正部の分解斜視図である。
【
図3】
図2の像ぶれ補正装置の構成を説明する正面図及び断面図である。
【
図5】上部磁石群と下部磁石群での分極線の定義を説明する図である。
【
図6】
図4の状態から可動部が下方向に移動した状態を
図4と同様に簡略的に示す図である。
【
図7】像ぶれ補正装置での磁石位置と磁束密度の関係を本実施形態での上部磁石群と従来の磁石とで比較して示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る像ぶれ補正装置の概略構成を示す断面図である。
【
図9】
図8の状態から可動部が下方向に移動した状態を
図8と同様に簡略的に示す図である。
【
図10】従来の像ぶれ補正装置での磁石位置と磁束密度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明に係る駆動装置を、撮像装置の像ぶれ補正装置として具現化した構成について説明する。
【0016】
図1(a)は、本発明の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
図1(b)は、撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。撮像装置は、大略的に、撮像装置本体1と、撮像装置本体1に対して着脱可能な交換レンズ2から構成される。
【0017】
撮像装置本体1は、カメラシステム制御回路5、撮像素子6、画像処理部7、記憶部8、表示部9、操作検出部10、像ぶれ補正部14、ぶれ検知部15及びシャッタ機構16を備える。表示部9は、ファインダ内表示装置9aと、背面表示パネル9bを含む。交換レンズ2は、レンズ群3、レンズシステム制御回路12及びレンズ駆動部13を備える。撮像装置本体1に交換レンズ2が装着された状態では、電気接点11を通じて、カメラシステム制御回路5とレンズシステム制御回路12が通信可能に接続される。
【0018】
ぶれ検知部15は、例えば、ジャイロセンサ等である。ぶれ検知部15は、撮影光軸4と直交する平面内で互いに直交する第1の方向及び第2の方向における撮像装置のぶれを検出し、ぶれ量を示す信号をカメラシステム制御回路5へ送る。カメラシステム制御回路5は、ぶれ検知部15から取得した信号に基づき、被写体像の像ぶれを低減するための撮像素子6の目標位置を演算し、目標位置へ撮像素子6を移動させるための第1の方向と第2の方向への駆動量を算出し、像ぶれ補正部14へ送る。像ぶれ補正部14は、カメラシステム制御回路5から受信した駆動量(制御信号)に従って後述のコイル205への通電を制御し、撮像素子6をその結像面と略平行な平面内で並進させ又は撮影光軸4まわりに回転させて、撮像素子6を目標位置へ移動させる。これにより、手ぶれ等による撮像装置のぶれに起因する像ぶれを軽減(補正)することができる。なお、撮像装置を構成する各部のうち、像ぶれ補正と直接の関係のないものは公知の構成で構わないため、詳細な説明は省略する。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態に係る像ぶれ補正部14の分解斜視図である。
図3(a)は、像ぶれ補正部14の正面図(光軸方向から見た図)である。
図3(b)、
図3(a)に示す矢視A-Aでの断面図である。
【0020】
像ぶれ補正部14は、上部ヨーク101、ビス102a,102b,102c、上部磁石群103(第1磁石部)、スペーサ105a,105b,105c、下部磁石群107(第2磁石部)、下部ヨーク108及びベース板110を備える。また、像ぶれ補正部14は、FPC201、コイル205、可動枠206及びボール301a,301b,301cを備える。
【0021】
上部磁石群103は、第1上部磁石部103a、第2上部磁石部103c及び第3上部磁石部103eを有する。下部磁石群107は、第1下部磁石部1071、第2下部磁石部1072及び第3下部磁石部1073を有する。第1下部磁石部1071は下部磁石107a,107bを有し、第2下部磁石部1072は下部磁石107c,107dを有し、第3下部磁石部1073は下部磁石107e,107fを有する。
【0022】
FPC201は、フレキシブルプリント配線基板であり、位置検出素子202a,202b,202cを実装している。以下の説明では、位置検出素子202a,202b,202cを区別しない場合に「位置検出素子202」と記す。コイル205は、第1コイル205a,第2コイル205b及び第3コイル205cを含む。なお、像ぶれ補正部14を構成するこれらの各部材において、100番台の符号を付した部材は固定部を構成し、200番台の符号を付した部材は固定部に対して移動可能な可動部を構成する。
【0023】
図4は、
図3(b)に示すB部の拡大図である。但し、
図4は、後述する磁気回路以外の部材の図示が省略されて簡略化されている。上部ヨーク101、第3上部磁石部103e、第3下部磁石部1073及び下部ヨーク108が第3磁気回路を形成しており、第3磁気回路は、所謂、閉磁路となっている。不図示であるが、同様に、上部ヨーク101、第1上部磁石部103a、第1下部磁石部1071及び下部ヨーク108が第1磁気回路を形成している。また、上部ヨーク101、第2上部磁石部103c、第2下部磁石部1072及び下部ヨーク108が第2磁気回路を形成している。
【0024】
下部磁石107a,107b、107c,107d,107e,107fは、下部ヨーク108に対して磁力によって吸着し、且つ、接着固定されている。下部磁石群107を構成する各磁石は、隣接して配置される1組の磁石の着磁方向が光軸方向において互いに異なる向きとなるように固定されている。例えば、
図4に示されるように、第3下部磁石部1073において、下部磁石107e,107fは、互いにN極とS極の向きが光軸方向において逆となるように配置されている。第1下部磁石部1071と第2下部磁石部1072も、磁極の向きについて、第3下部磁石部1073と同様の構成となっている。
【0025】
第1上部磁石部103a、第2上部磁石部103c及び第3上部磁石部103eはそれぞれ、上部ヨーク101に対して磁力によって吸着し、且つ、接着固定されている。
【0026】
第1上部磁石部103aは、第1下部磁石部1071と対向する位置に配置され、且つ、第1下部磁石部1071と同じ着磁方向となるように両面2極着磁されている。同様に、第2上部磁石部103cは、第2下部磁石部1072と対向する位置に配置され、且つ、第2下部磁石部1072と同じ着磁方向となるように両面2極着磁されている。また、第3上部磁石部103eは、第3下部磁石部1073と対向する位置に配置され、且つ、第3下部磁石部1073と同じ着磁方向となるように両面2極着磁されている。
【0027】
図4に示されるように、第3上部磁石部103eにおいて第3下部磁石部1073と対向する面の略中央部には、円弧状の溝103jが第3上部磁石部103eの長手方向(
図4に示される「第2の方向」)に沿って設けられている。同様に、第2上部磁石部103cにおいて第2下部磁石部1072と対向する面の略中央部には、円弧状の凹部が、第2上部磁石部103cの長手方向(
図4に示される「第1の方向」)に沿って設けられている。また、第1上部磁石部103aにおいて第1下部磁石部1071と対向する面の略中央部には、円弧状の凹部が、第1上部磁石部103aの長手方向(第1の方向)に沿って設けられている。
【0028】
詳細は後述するが、第1上部磁石部103aと第1下部磁石部1071をそれぞれ上記の通りに構成することにより、第1上部磁石部103aと第1下部磁石部1071の間で光軸方向に大きい磁束密度を生じさせることができる。同様に、第2上部磁石部103cと第2下部磁石部1072の間及び第3上部磁石部103eと第3下部磁石部1073の間でそれぞれ、光軸方向に大きい磁束密度を生じさせることができる。
【0029】
こうして、上部ヨーク101と下部ヨーク108の間には強い吸着力が生じるが、上部ヨーク101と下部ヨーク108は、これらの間に配置されたスペーサ105a,105b,105cによって光軸方向において所定の間隔に保持されている。なお、上部ヨーク101と下部ヨーク108の間の間隔は、上部磁石群103と下部磁石群107の間に可動枠206とFPC201が配置されると共に一定の空隙を確保することが可能な間隔となっている。
【0030】
スペーサ105a,105b,105cは、ビス102a,102b,102cによって上部ヨーク101に固定されている。また、スペーサ105a,105b,105cは、その胴部にゴムを備えており、可動枠206の機械的端部(所謂、ストッパ)を形成している。つまり、可動枠206が必要以上に撮影光軸4と直交する面内で像ぶれ補正部14の外側へ飛び出すことのない構造となっている。
【0031】
可動枠206は、例えば、マグネシウム合金又はアルミニウム合金で形成されており、軽量で剛性が高い。可動枠206に対して、第1コイル205a、第2コイル205b、第3コイル205c及びFPC201が固定されて、可動部200が形成されている。可動部200は、3つのボール301a,301b,301cを介し、これらのボールが転動することで、移動可能にベース板110に保持される。撮像素子6は、直接的又は間接的に可動枠206に取り付けられており、可動枠206と一体的に動く。
【0032】
FPC201は、可動枠206の上部磁石群103側に配置されている。FPC201は、カメラシステム制御回路5と、撮像素子6及び像ぶれ補正部14とを電気的に接続する役割を担う。そのため、FPC201には、撮像素子6、コイル205及び位置検出素子202との電気的な接続を行うためのコネクタが実装されている。
【0033】
FPC201には、第1コイル205a、第2コイル205b及び第3コイル205cのそれぞれの巻き線の内側に(内孔に)入れ子となるように、位置検出素子202a,202b,202cが実装されている。位置検出素子202には、例えば、ホール素子等が用いられ、第1磁気回路、第2磁気回路及び第3磁気回路を利用して、固定部に対する可動部200の位置を検出する。なお、位置検出素子202には、磁気抵抗素子を用いることもできる。
【0034】
位置検出素子202による磁束検出位置は、下部磁石群107よりも上部磁石群103に近い。つまり、位置検出素子202と上部磁石群103との間の距離は、位置検出素子202と下部磁石群107との間の距離よりも短くなっており、このような構成としている理由については後述する。
【0035】
像ぶれ補正部14では、コイル205に電流を流すと、フレミング左手の法則に従った力が発生することにより、可動部200を固定部に対して動かすことができる。第1磁気回路、第2磁気回路及び第3磁気回路のそれぞれに1つのコイルが挿入されて3つの駆動部が形成されており、各駆動部を独立して駆動することができる。可動部200の駆動時には、一般的に、位置検出素子202の出力信号(ホール素子信号)に基づいてフィードバック制御が行われる。これにより、高い精度で可動部200を撮影光軸4と直交する平面内で並進させ、また、撮影光軸4まわりに回転させることができる。なお、可動部200を撮影光軸4まわりに回転させるためには、位置検出素子202a,202bの出力信号値が逆位相となるように制御すればよい。像ぶれ補正部14の駆動制御には、公知の制御方法を用いることが可能であるため、より詳細な説明は省略する。
【0036】
次に、上部磁石群103と下部磁石群107を構成する各磁石の外形形状について説明する。
図4に示す駆動部は、第3磁気回路を形成する第3上部磁石部103eと第3下部磁石部1073(下部磁石107e,107f)の間に第3コイル205cが挿入されて構成されており、第3コイル205cに通電を行うと可動部200は第1の方向に駆動される。
【0037】
第3上部磁石部103eは、撮像素子6が必要移動量を移動した際に衝突(接触)しない場所に配置する必要があり、撮影光軸4からの最短距離を‘103L’とした位置に配置されている。一方、第3下部磁石部1073は、撮影光軸4からの最短距離が‘107L’となる位置に配置される。ここで、第3下部磁石部1073は、第3上部磁石部103eとは異なり、光軸方向での位置では撮像素子6と重ならない。つまり、第3下部磁石部1073は、撮像素子6の移動量に関わらず撮像素子6と干渉することはないため、103L>107L、とすることができる。
【0038】
一方、像ぶれ補正部14には、小型化が求められる。そこで、像ぶれ補正部14の最外形サイズに関わる距離として、撮影光軸4から第3上部磁石部103e及び第3下部磁石部1073へのそれぞれの最外距離を‘103K’及び‘107K’とすると、これらはほぼ等しい。
【0039】
これらのことからわかるように、本実施形態では、第3下部磁石部1073の第1の方向の長さは、第3上部磁石部103eの第1の方向の長さよりも長くなっている。また、第3下部磁石部1073を構成する下部磁石107eの第1の方向長さ‘107h’と下部磁石107fの第1の方向長さ‘107i’は、107h<107i、の関係となっている。
【0040】
図5は、上部磁石群103と下部磁石群107での分極線の定義を、第3下部磁石部1073を例として説明する図である。
図5に示す曲線Bcは、下部磁石107e,107fの位置に対する磁束密度の変化を示す磁束密度カーブを表している。磁束密度がゼロ(0)の位置を境にして、N極側とS極側に分かれる。第3下部磁石部1073の分極線107Nは、曲線BcのN極とS極の境を通る線となる。つまり、第3下部磁石部1073の分極線107Nは、下部磁石107e,107fの外形当接位置ではなく、下部磁石107f内の架空位置にくる。また、分極線107Nは、第3下部磁石部1073の重心位置の近傍を通る。
【0041】
第3上部磁石部103eの分極線103Nは、
図5での定義にしたがって、
図4に示されるように第1の方向において第3上部磁石部103eの略中心に位置する。つまり、第3上部磁石部103eの分極線103Nは、第3上部磁石部103eの重心位置の近傍を通る。よって、第3上部磁石部103eの分極線103Nと第3下部磁石部1073の分極線107Nは、光軸方向から見た場合に一致せずに第1の方向でずれており、このように構成されている理由について次に説明する。
【0042】
図6は、
図4の状態から可動部200が下方向(第1の方向を下側)に移動した状態を、
図4と同様に簡略的に示す図である。可動部200が下方向に移動すると、第1上部磁石部103a及び第3下部磁石部1073に対する第3コイル205cの相対位置が変化する。
【0043】
ここで、
図10に、従来の上部磁石部の分極線と下部磁石部の分極線とが光軸方向から見た場合に一致している構成での、磁石位置と磁束密度の関係を説明するグラフを示す。曲線Bfは磁束密度カーブを表しており、線形に変化する範囲Lfは、一般的に磁気センサにより可動部の位置検出に用いられる磁束の範囲を表している。
【0044】
従来の磁石部では、中心位置(横軸の磁石位置がゼロ(0))に分極線があり、中心位置と端部(第1の方向の端部)では磁束密度が小さくなり、磁束密度の小さい領域に対向しているコイル巻線では推力は小さくなる。仮にコイルが磁石の分極線を越えた場合、超えた領域と対向するコイル巻線には、駆動したい方向とは逆向きの力が発生する。つまり、可動部200の移動量が大きくなると、推力が低下してしまう。
【0045】
これに対して、像ぶれ補正部14では、第3上部磁石部103eの分極線103Nと第3下部磁石部1073の分極線107Nを、光軸方向から見た場合に一致させない構成としている。具体的には、光軸方向から見た場合に第1の方向において、撮影光軸4からの分極線103Nまでの距離は、撮影光軸4から分極線107Nまでの距離よりも大きい。
【0046】
これにより、
図6に示されるように、第3コイル205cが第3上部磁石部103eの端からはみ出した状態でも、第3コイル205cは第3下部磁石部1073と対向した位置にある。特に、第3コイル205cは、第3下部磁石部1073の下部磁石107fとは磁束密度の高い領域において対向している。よって、像ぶれ補正部14は、可動部200が移動した状態でも大きな推力を維持することが可能となっている。
【0047】
また、前述したように、第3上部磁石部103eの中央部には、第2の方向(第1の方向及び光軸方向と直交する方向)に沿って円弧状の溝103jが設けられており、その理由について、以下に詳細に説明する。
【0048】
図7は、位置検出素子202cで検出される磁束密度の磁石位置に対する変化の様子を説明するグラフである。
図7に示す曲線Bcは、第3上部磁石部103eの位置に対する磁束密度の変化を示している。一方、曲線Bfは、
図10に示される曲線Bfと同じであり、従来例に係る溝103jを有さない磁石903の位置に対する磁束密度の変化を示している。曲線Bcにおいて概ね直線性のある範囲Lcが、第3上部磁石部103eを用いた本実施形態に係る像ぶれ補正部14において位置検出が可能ストロークとなる。また、曲線Bfにおいて概ね直線性のある範囲Lfが、磁石903を用いた従来の像ぶれ補正装置において位置検出が可能なストロークとなる。範囲Lcと範囲Lfとを比較すると、範囲Lcが範囲Lfよりも広いことがわかる。つまり、像ぶれ補正部14は、可動部200を大きく移動させても、その位置を検出することが可能な構成となっている。
【0049】
このように、磁石に溝103jを設けることによって可動部200の位置検出範囲を広くすることができるが、溝103jは、下部磁石群107側ではなく、上部磁石群103に設けられている。その理由は、第1の方向長さが上部磁石群103に比べて長い下部磁石群107は、磁石を最大限大きくすることで、磁界を大きくして推力を確保する役割を果たすからである。そして、位置検出範囲を広げる役割を第1の方向長さが下部磁石群107よりも短い上部磁石群103に担わせるために、上部磁石群103に溝103jが設けられている。
【0050】
ところで、像ぶれ補正部14では、位置検出素子202は下部磁石群107よりも上部磁石群103に近い位置に配置されている(
図4参照)。これによって、
図7に示されるBcのような特性の磁束を位置検出素子202で検出することが可能になる。仮に位置検出素子202を下部磁石群107に近い位置に設けた場合には、
図7の曲線Bfのような特性の磁束を検出してしまうため、直線性のある範囲が狭くなり、大きなストロークの検出には不向きとなる。
【0051】
上記説明の通り、第1実施形態に係る像ぶれ補正部14では、可動部200の位置検出範囲を広げることができ、換言すれば、可動部200を駆動するストロークを大きくすることができる。その際に、推力を十分に大きくしながら、像ぶれ補正部14の小型化を実現することができる。
【0052】
なお、像ぶれ補正部14の特徴的構成について、第3上部磁石部103e、第3下部磁石部1073及び第3コイル205cからなる駆動部を例として詳細に説明したが、残る2つの駆動部(磁気回路)についても同様である。つまり、第1上部磁石部103aと第2下部磁石部1072(下部磁石107a,107b)の間に生じる磁界中に第1コイル205aが挿入された駆動部では、第1コイル205aへの通電により第2の方向に推力が発生する。同様に、第2上部磁石部103cと第2下部磁石部1072(下部磁石107c,107d)の間に生じる磁界中に第2コイル205bが挿入された駆動部でも、第2コイル205bへの通電により第2の方向に推力が発生する。これらの駆動部での磁石の長さや切り欠きの関係は、第3上部磁石部103e、第3下部磁石部1073及び第3コイル205cにより構成される駆動部での磁石の長さや切り欠きの関係と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態に係る像ぶれ補正部について説明する。第2実施形態に係る像ぶれ補正部は、第1実施形態に係る像ぶれ補正部14と比較すると、上部磁石群及び下部磁石群の構成のみが異なっており、以下の説明ではこの相違点を中心に説明を行うこととし、像ぶれ補正部14と共通する構成についての説明を省略する。
【0054】
図8は、第2実施形態に係る像ぶれ補正部14Aでの第3上部磁石部4033と第3下部磁石部4073の構成を、
図4と同様に示す断面図である。なお、像ぶれ補正部14Aは3つの駆動部(磁気回路)を有し、
図8にはその代表として第3上部磁石部4033、第3下部磁石部4073及び第3コイル205cから構成される駆動部を例示している。また、
図8では、第1実施形態に係る像ぶれ補正部14を構成する部材と同じ部材については同じ符号を付している。
【0055】
第3上部磁石部4033は上部磁石403e,403fで構成され、第3下部磁石部4073は下部磁石407e,407fから構成されている。第3上部磁石部4033と第3下部磁石部4073により形成される磁界の中に配置された第3コイル205cに通電を行うことにより、可動部200を第1の方向に移動させる推力が発生する。
【0056】
上部磁石403eと上部磁石403fには同一の磁石が用いられており、上部磁石403eと上部磁石403fは互いに第1の方向において着磁方向が逆となるように上部ヨーク101に配置されている。よって、上部磁石403eと上部磁石403fは、第1の方向の長さは同じである。また、上部磁石403eと上部磁石403fは、第1の方向において一定の間隔(隙間)を持って上部ヨーク101に保持されている。上部磁石403eと上部磁石403fの第1の方向の長さは同じであるため、第3上部磁石部4033の分極線403Nは、上部磁石403eと上部磁石403fのほぼ中央となる。上部磁石403fは、撮像素子6が必要移動量を移動した際に衝突(接触)しない場所に配置する必要があり、撮影光軸4からの距離を‘403L’とした位置に配置されている。
【0057】
一方、第3下部磁石部4073を構成する下部磁石407fは、撮影光軸4からの距離を‘407L’とした位置に配置される。第3下部磁石部4073は、第3上部磁石部4033とは異なり、光軸方向での位置では撮像素子6と重ならないため、撮像素子6の移動量に関わらず撮像素子6と干渉することはなく、403L>407L、となっている。
【0058】
像ぶれ補正部14Aについても、小型化が求められる。そこで、像ぶれ補正部14と同様に、像ぶれ補正部14Aでも、撮影光軸4から上部磁石403e及び下部磁石407eへのそれぞれの最外距離を‘403K’及び‘407K’とすると、これらはほぼ等しく、403K≒407K、となっている。また、下部磁石407eと下部磁石407fには同一の磁石が用いられており、よって、下部磁石407eの第1の方向の長さ‘407h’と下部磁石407fの第1の方向の長さ‘407i’は同じである。
【0059】
下部磁石407eと下部磁石407fは互いに第1の方向において着磁方向が逆となるように、且つ、第1の方向において接触するように下部ヨーク108に配置されている。そのため、第3下部磁石部4073の分極線407Nは、下部磁石407eと下部磁石407fとの接触面にほぼ等しい位置にくる。その結果、第3上部磁石部4033の分極線403Nと第3下部磁石部4073の分極線407Nは、光軸方向から見た場合に一致せずに第1の方向においてずれている。
【0060】
分極線403Nと分極線407Nを光軸方向から見た場合に一致させていない理由について
図9を参照して説明する。
図9は、
図8の状態から可動部200が下方向に移動した状態を、
図8と同様に簡略的に示す図である。
図9の状態のように、第3コイル205cは、その全領域が第3上部磁石部4033と対向しない状態になっても、その略全領域が第3下部磁石部4073とは磁束密度の高い範囲で対向している。これにより、像ぶれ補正部14Aでも、高い推力を維持することができる。
【0061】
さて、上部磁石403eと上部磁石403fが第1の方向において一定の間隙を持って配置されているのは、第1実施形態と同様に、可動部200の位置を検出することが可能な範囲を広げることができるからである。換言すれば、可動部200の移動を制御することができるストロークを広げることができるからであるが、このような構成は公知であるため、詳細な説明は割愛する。
【0062】
像ぶれ補正部14Aは、第1実施形態に係る像ぶれ補正部14と比較すると、上部磁石部の磁石の全体積が減少し、また、磁束密度がリニアに変化する範囲が狭くなる。しかし、上部磁石403e,403fの形状が単純であって第3上部磁石部103eのように溝103jを設ける必要がないため、検出ストロークが短くともよい用途に有効である。また、第3上部磁石部4033での磁石の体積減少による推力の低下を、第3下部磁石部4073の体積を増加させて補うことによって、必要な駆動力を確保することができる。なお、像ぶれ補正部14Aでも、像ぶれ補正部14と同様に、位置検出範囲を広げる役割を第3上部磁石部4033に担わせているため、位置検出素子202cを第3下部磁石部4073よりも第3上部磁石部4033に近い位置に配置している。
【0063】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0064】
例えば、第1実施形態の上部磁石部の構成と第2実施形態の下部磁石部の構成を組み合わせてもよく、逆に、第2実施形態の上部磁石部の構成と第1実施形態の下部磁石部の構成を組み合わせてもよい。また、像ぶれ補正部14では、上部磁石群を構成する上部磁石部に溝を設け、且つ、N極とS極を一体的に両面に着磁した磁石を用いたが、同様の構造を、エッジが切り欠かれた2つの磁石を接触させることによって実現してもよい。更に、同等の構成を有する3つの駆動部から構成された像ぶれ補正部について説明したが、3つの駆動部は全てが同じである必要はない。
【0065】
本発明に係る駆動装置は、可動部と固定部の一方にコイルを、他方に磁石を配置することによって実現される。上記実施形態では、可動部の重量をできるだけ小さくするために、可動部にコイルを配置し、固定部に磁石を配置したが、磁石とコイルの配置をこれとは逆にすることも可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る駆動装置の適用例として撮像装置の像ぶれ補正部を取り上げ、その際、像ぶれ補正に用いる光学部材の具体例を撮像素子とした。これに限らず、本発明に係る駆動装置は、交換レンズに設けられる像ぶれ補正レンズを撮影光軸と略直交する平面内で駆動する像ぶれ補正部に適用することができる。
【0066】
更に、本発明に係る駆動装置は、可動部を平面内で移動させる用途であれば、撮像装置に限られずに適用が可能である。例えば、本発明に係る駆動装置の適用例として、X-Yステージ等が挙げられる。本発明に係る駆動装置が適用される機器に応じて、駆動装置には、1つ又は任意の複数の駆動部を備えた構成が採用され得る。
【符号の説明】
【0067】
1 撮像装置本体
2 交換レンズ
14,14A 像ぶれ補正部
15 ぶれ検知部
103e 第3上部磁石部
103j 溝
103N,107N 分極線
107e,107f 下部磁石
201 FPC
202 位置検出素子
1073 第3下部磁石部
205 コイル
【手続補正書】
【提出日】2025-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係る駆動装置は、固定部と、光学部材を保持した可動部と、前記可動部に配置されたコイルと、前記光学部材の光軸方向において所定の間隙をもって前記コイルを挟み込むように前記固定部に配置された第1磁石部および第2磁石部と、を備え、前記光軸方向と直交する第1の方向に前記可動部を移動させる駆動装置であって、前記光軸方向から見た場合に前記第1の方向において、前記光学部材の光軸から前記第1磁石部の分極線までの距離が、前記光軸から前記第2磁石部の分極線までの距離よりも長く、前記第1磁石部は前記第1の方向から見た場合に前記光学部材と少なくとも一部が重なる位置に配置され、前記第2磁石部は前記第1の方向から見た場合に前記光学部材と重ならない位置に配置され、前記第2磁石部は前記第1の方向における長さが前記第1磁石部よりも長いことを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
光学部材を保持した可動部と、
前記可動部に配置されたコイルと、
前記光学部材の光軸方向において所定の間隙をもって前記コイルを挟み込むように前記固定部に配置された第1磁石部および第2磁石部と、を備え、
前記光軸方向と直交する第1の方向に前記可動部を移動させる駆動装置であって、
前記光軸方向から見た場合に前記第1の方向において、前記光学部材の光軸から前記第1磁石部の分極線までの距離が、前記光軸から前記第2磁石部の分極線までの距離よりも長く、
前記第1磁石部は前記第1の方向から見た場合に前記光学部材と少なくとも一部が重なる位置に配置され、
前記第2磁石部は前記第1の方向から見た場合に前記光学部材と重ならない位置に配置され、
前記第2磁石部は前記第1の方向における長さが前記第1磁石部よりも長いことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記第1磁石部の前記コイルと対向する面に、前記第1の方向の中央部において、前記光軸方向および前記第1の方向と直交する方向に沿って溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1磁石部は、前記第1の方向の長さが同じ2つの磁石を有し、
前記2つの磁石は、前記第1の方向において所定の間隙を持って配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記可動部の位置を検出する検出手段を有し、
前記検出手段は、前記光軸方向において前記第2磁石部よりも前記第1磁石部に近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記可動部は、前記コイルを保持するフレキシブルプリント配線基板を備え、
前記検出手段は、前記コイルの内孔において前記フレキシブルプリント配線基板に実装されていることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第1磁石部の前記第1の方向における前記光学部材に近い側の端を第1の端、前記第2磁石部の前記第1の方向における前記光学部材に近い側の端を第2の端、前記第1磁石部の前記第1の方向における前記光学部材から遠い側の端を第3の端、前記第2磁石部の前記第1の方向における前記光学部材から遠い側の端を第4の端、とした場合に、前記光軸方向から見た場合に前記第1の方向において、前記光学部材に近い側から前記第2の端、前記第1の端、前記第3の端、前記第4の端の順となるように、前記第1磁石部及び前記第2磁石部が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置と、
前記可動部に保持された前記光学部材である撮像素子と、を備え、
前記可動部は、前記撮像素子の結像面と略平行な平面内で移動可能であることを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置と、
前記可動部に保持された前記光学部材である像ぶれ補正レンズと、を備え、
前記可動部は、前記像ぶれ補正レンズの光軸と略直交する平面内で移動可能であることを特徴とする像ぶれ補正装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の像ぶれ補正装置を備えることを特徴とする撮像装置。