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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014346
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20250123BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A61H7/00 323J
A61H15/00 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116833
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD11
4C100AF03
4C100BA01
4C100BB05
4C100CA06
4C100CA07
4C100CA09
4C100DA05
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】座高の高い使用者であっても上半身全体をマッサージすることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】背凭れ部には、マッサージ機構が設けられており、フレームには、座部を上下方向に揺動させるための揺動機構が設けられており、制御部は、マッサージ機の電源がOFF状態となるときに揺動機構を制御して座部を上方に揺動させることでマッサージ機構の施療範囲の一部を隠すことができるように構成されており、マッサージ機の電源がON状態となるときに揺動機構を制御して座部を下方に揺動させることで隠れていたマッサージ機構の施療範囲を露出させ、使用者の上半身をマッサージ機構によりマッサージすることができるように構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに対して上下方向に揺動自在に取り付けられた座部と、
前記フレームの後部に取り付けられた背凭れ部と、制御部と、を有するマッサージ機であり、
前記背凭れ部には、上下昇降可能なマッサージ機構が設けられており、
前記フレームには、前記座部を上下方向に揺動させるための揺動機構が設けられており、
前記制御部は、
前記マッサージ機の電源がOFF状態となるときに前記揺動機構を制御して前記座部を上方に揺動させることで前記マッサージ機構の施療範囲の一部を隠すことができるように構成されており、
前記マッサージ機の電源がON状態となるときに前記揺動機構を制御して前記座部を下方に揺動させることで隠れていた前記マッサージ機構の施療範囲を露出させ、使用者の上半身を前記マッサージ機構によりマッサージすることができるように構成されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記座部は、前後方向前側に取り付けられた揺動軸を支点として、上下方向に揺動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記揺動機構は、エアセルにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記揺動機構は、左右一対設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記フレームには、前記座部の下方への揺動を規制する揺動規制部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記背凭れ部には、マッサージ機構が設けられており、
前記座部が下方に揺動することで、前記マッサージ機構により使用者の腰部又は臀部をマッサージすることができるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記制御部は、前記マッサージ機の電源がOFF状態となるときに前記マッサージ機構を収納位置まで移動させ、
前記収納位置は、前記座部が上方に揺動することで隠される施療範囲の一部の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座部に配設された袋体を用いてマッサージするとともに、昇降モードを選択することで袋体を膨張させ、座部の後部部位を前部部位に対して上昇させるように構成された椅子型マッサージ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3686130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の椅子型マッサージ機にあっては、背凭れ部の高さが決まっているため、座高の高い使用者の場合、上半身の一部(例えば、肩部)が背凭れ部からはみ出してしまい、上半身全体をマッサージすることができないという問題がある。
そこで本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、座高の高い使用者であっても上半身全体をマッサージすることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フレームと、前記フレームに対して上下方向に揺動自在に取り付けられた座部と、前記フレームの後部に取り付けられた背凭れ部と、制御部と、を有するマッサージ機であり、前記背凭れ部には、上下昇降可能なマッサージ機構が設けられており、前記フレームには、前記座部を上下方向に揺動させるための揺動機構が設けられており、前記制御部は、前記マッサージ機の電源がOFF状態となるときに前記揺動機構を制御して前記座部を上方に揺動させることで前記マッサージ機構の施療範囲の一部を隠すことができるように構成されており、前記マッサージ機の電源がON状態となるときに前記揺動機構を制御して前記座部を下方に揺動させることで隠れていた前記マッサージ機構の施療範囲を露出させ、使用者の上半身を前記マッサージ機構によりマッサージすることができるように構成されていることを特徴とする。
このような構成とすることにより、座部が下方に揺動することで、座高の高い使用者であっても背凭れ部から上半身の一部が露出することなく、上半身全体をマッサージすることができる。
【0006】
また、前記座部は、前後方向前側に取り付けられた揺動軸を支点として、上下方向に揺動自在に取り付けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、座部の後側を座部の前側よりも下方向に揺動させることで座部に深く着座することができる。
【0007】
また、前記揺動機構は、エアセルにより構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、簡単な構造で座部を上下方向に揺動させることができる。
【0008】
また、前記揺動機構は、左右一対設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、座部を安定して上下方向に揺動させることができる。
【0009】
また、前記フレームには、前記座部の下方への揺動を規制する揺動規制部が設けられていることが好ましい。
このような構成とすることにより、座部が必要以上に下方に下がってしまうのを防ぐことができる。
【0010】
また、前記背凭れ部には、マッサージ機構が設けられており、前記座部が下方に揺動することで、前記マッサージ機構により使用者の腰部又は臀部をマッサージすることができるように構成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、座部を下方に揺動させることで、座高の高い使用者であっても座高の低い使用者であっても、腰部から肩部にかけて上半身全体をマッサージすることができる。
【0011】
前記制御部は、前記マッサージ機の電源がOFF状態となるときに前記マッサージ機構を収納位置まで移動させ、前記収納位置は、前記座部が上方に揺動することで隠される施療範囲の一部の範囲内であることが好ましい。
このような構成とすることで、マッサージ機を動作させないとき(電源がOFF状態のとき)、使用者がマッサージ機に着座した際にマッサージ機構が使用者に当接し、不快な思いをすることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、座高の高い使用者であっても背凭れ部から上半身の一部が露出することなく、上半身全体をマッサージすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るマッサージ機を左から見た図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマッサージ機を左から見た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る座部を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るマッサージ機のブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係るマッサージ機のフレームを示す図であり、(a)は左から見た図であり、(b)は平面図であり、(c)は斜視図である。
図7】マッサージ機の電源ONからOFFまでの一連の流れを示すフロー図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機のフレームを示す平面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機を左から見た図であり、(a)は揺動機構を駆動させる前の状態を示す図であり、(b)は揺動機構を駆動させた状態を示す図である。
図10】本発明の他の実施形態に係るマッサージ機を左から見た図であり、(a)は揺動機構を駆動させる前の状態を示す図であり、(b)は揺動機構を駆動させた状態を示す図である。
【0014】
[マッサージ機の全体構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の斜視図である。図2は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1を左から見た図である。より詳しくは、揺動機構Eを駆動させる前(座部3が下方向に揺動した状態)の状態である。図3は本発明の一実施形態に係るマッサージ機1を左から見た図である。より詳しくは、揺動機構Eを駆動させた後(座部3が上方向に揺動した状態)の状態である。図4は本発明の一実施形態に係る座部3を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は斜視図である。なお、背凭れ部4に設けられたマッサージ機構6の施療範囲Wがわかるように背凭れ部4の内部を可視化している。
【0015】
図1図6に示すとおり、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1は、使用者が着座する座部3と、座部3の後部に設けられた使用者が凭れる背凭れ部4と、座部3の前部に設けられたフットレスト部5と、座部3の側部に取り付けられた肘掛部2と、で構成されている。また、マッサージ機1は、使用者に対してマッサージを行なうマッサージ部M(マッサージ機構6、臀部マッサージ部3a、脚マッサージ部5a)と、マッサージ機1が有する機能を制御する制御部7と、マッサージ機1の各種操作を行うためのコントローラ8と、を有している。なお、マッサージ部Mの配置は一例であり、この限りではない。
【0016】
[座部の構成]
図4に示すとおり、座部3は、左右方向に横長の長方形の部材で構成されている。座部3の上面には、座部3に着座した使用者の臀部をマッサージするための臀部マッサージ部3a(マッサージ部M)が左右一対設けられている。臀部マッサージ部3aは、空気の給排気により膨張収縮するエアセルで構成されている。なお、臀部マッサージ部3aは、左右それぞれ独立して膨張収縮することができるように構成されていることが好ましい。
また、座部3に配置するマッサージ部Mの構成は一例であり、この限りではない。例えば、大腿部をマッサージするための大腿部マッサージ部(図示せず)を設けてもよいし、臀部マッサージ部3aの大きさを変え、前後左右で対となるように合計4つ設けてもよい。
【0017】
座部3の左右両側(より詳しくは、座部3の左右両側であって前後方向前側)には、第1揺動軸C1が設けられている。座部3は、第1揺動軸C1を支点として、上下方向に揺動自在となっている。第1揺動軸C1を支点とすることで、座部3の後側を座部3の前側よりも下方向に揺動させることができ、使用者が座部3に深く着座することができる。つまり、座部3は、後方に向かって下向きに傾斜した状態となっている(図2参照)。第1揺動軸C1は、フレームF(より詳しくは、第2フレームF2)に設けられた孔H1に挿入されている。フレームFについては、後述する。
なお、第1揺動軸C1は、揺動機構Eの一部を構成するものである。揺動機構Eについては、後述する。
【0018】
[背凭れ部の構成]
図1~3に示すとおり、背凭れ部3は、使用者の上半身を支持する。背凭れ部4は、身長方向に長い長方形の部材で構成されている。背凭れ部4の内部には、ガイドレール16が設けられており(図1参照)、ガイドレール16を介してマッサージ部Mとしてのマッサージ機構6が設けられている。マッサージ機構6がガイドレール16に沿って上下に移動することにより、施療範囲W(W1,W2)をマッサージすることができるようになっている。
【0019】
より詳しくは、座部3が下方に揺動することで、座部3が上方にあるときには隠れていたマッサージ機構6の施療範囲W2が露出し、使用者の腰部又は臀部をマッサージすることができる。そうすることで、座高の高い使用者であっても座高の低い使用者であっても、上半身が背凭れ部4からはみ出てしまうのを防ぐことができ、腰部から肩部にかけて使用者の上半身全体をマッサージすることができる。
【0020】
背凭れ部4の前面はカバー部材により覆われており、マッサージ機構6は、カバー部材を介して座部3に着座した使用者の胴体背面(例えば、肩部や腰部など)をマッサージすることができるようになっている。なお、図示していないが、背凭れ部4の各所にマッサージ部Mとしてのエアセルを設けてもよい。
【0021】
背凭れ部4の側部、中央より下側には、左右方向に伸びる第2揺動軸C2が左右対となって設けられている。第2揺動軸C2は、後述するフレームF(より詳しくは、第4フレームF4)に設けられた孔H2に挿入されている。つまり、背凭れ部4は、第2揺動軸C2を支点としてフレームFに対して前後方向に揺動することができるようになっている。
なお、図示していないが、背凭れ部4の前後方向への揺動は、アクチュエータを駆動させることで行われる。アクチュエータの駆動は、制御部7により制御される。制御部7については、後述する。
【0022】
[揺動機構の構成]
図2、3、6に示すとおり、揺動機構Eは、座部3をフレームFに対して上下方向に揺動させるためのものである。揺動機構Eは複数の部材が組み合わされて構成されている。より詳しくは、揺動機構Eは、揺動規制部21の上面に取り付けられたエアセル20と、座部3の左右両側に取り付けられた第1揺動軸C1と、で構成されている。揺動機構Eにエアセル20を採用することにより、簡単な構造で座部3を上下方向に揺動させることができる。
【0023】
エアセル20は、フレームFに取り付けられた板状の揺動規制部21に対して左右一対取り付けられている(図6(b)参照)。エアセル20を左右一対設けることで、座部3を安定して上下方向に揺動させることができる。また、エアセル20は、前後方向前側を支点として膨張収縮するように取り付けられている。第1揺動軸C1の取付位置とエアセル20の取付位置を接近させることで、てこの原理(支点、力点、作用点)により、エアセル20の膨張量を最大限確保することができ、座部3の上下方向への揺動範囲を確保することができる。
【0024】
揺動機構Eは、制御部7により制御される。詳しくは、マッサージ機1の電源がOFF状態となるときには、制御部7は、揺動機構Eを制御(より詳しくは、エアセル20を膨張させる)し、座部3を上方に揺動させることで露出していたマッサージ機構6の施療範囲Wの一部(施療範囲W2)を隠すことができる。また、マッサージ機1の電源がON状態となるときには、制御部7は、揺動機構Eを制御(より詳しくは、エアセル20を収縮させる)して、座部3を下方に揺動させることで隠れていたマッサージ機構6の施療範囲W2を露出させる。そうすることで、腰部から臀部にかけて使用者の上半身をマッサージ機構6によりマッサージすることができる。
【0025】
[フットレスト部の構成]
図1に示すとおり、フットレスト部5には、使用者の脚部を挿入可能な凹部5bが左右対となるように設けられている。凹部5bの左右両側の内壁には、使用者の脚部をマッサージするための脚マッサージ部5a(マッサージ部M)がそれぞれ設けられている。脚マッサージ部5aは、空気の給排気により膨張収縮するエアセルで構成されている。より詳しくは、脚マッサージ部5aは、右側の凹部5bの左右両側の内壁にそれぞれ1つずつ、左側の凹部5bの左右両側の内壁にそれぞれ1つずつ設けられている。各脚マッサージ部5aは、それぞれ独立して膨張収縮することができるように構成されていることが好ましい。また、凹部5bの底面に使用者の足裏をマッサージするための足裏マッサージ部(図示せず)を設けてもよい。
【0026】
フットレスト部5は、座部3の前側に取り付けられている。より詳しくは、フットレスト部5は、左右方向に伸びる軸(図示せず)を介して、座部3に対して取り付けられている。なお、図示していないが、フットレスト部5の背面には、アクチュエータが取り付けられている。アクチュエータを駆動させることにより、左右方向に伸びる軸を支点として、フットレスト部5を座部3に対して上下方向に揺動させることができる。アクチュエータの駆動は、制御部7により制御される。制御部7については、後述する。なお、フットレスト部5には、座部3に対して前後方向に移動可能な伸長手段(図示せず)を設けてもよい。
【0027】
[制御部の構成]
図5は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1のブロック図である。
図5に示すとおり、マッサージ機1には、マッサージ機構6や給排気装置9を動作させるためのマイクロコンピュータ等からなる制御部7が設けられている。この制御部7は、座部3の下方に設けられており、使用者が操作するコントローラ8と接続されている。使用者がコントローラ8を操作することで各種マッサージ動作が行われるようになっている。
【0028】
[給排気装置の構成]
図5に示すとおり、給排気装置9は、エアセル20や各マッサージ部3a,5aにエアを給気するためのポンプ9aと、エアセル20や各マッサージ部3a,5aとポンプ9aとを接続するバルブ9bとで構成されている。バルブ9bをON,OFFすることで、エアセル20や各マッサージ部3a,5aにエアを吸排気させることができる。
つまり、バルブ9bをONにするとすることで、エアの流路を確保することができ、エアセル20や各マッサージ部3a,5aにエアを吸気させることができる。また、バルブ9bをOFFすることで、エアセル20や各マッサージ部3a,5aに入っているエアを排気させることができる。なお、少なくともエアセル20に接続されたバルブ9bは、保持弁で構成されている。バルブ9bを保持弁で構成することで、マッサージ機1の電源をOFFにしても、バルブ9bの働きにより、エアセル20や各マッサージ部3a,5aからエアは排気せず、膨張状態を維持することができる。
【0029】
[フレームの構成]
図6は、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1のフレームFを示す図であり、(a)は左から見た図であり、(b)は平面図であり、(c)は斜視図である。
図6に示すとおり、フレームFは、複数の部材が組み合わされて構成されている。より詳しくは、フレームFは、前後方向に伸びる棒状の第1フレームF1と、上下方向に伸びる棒状の第2フレームF2と、前後方向に伸びる棒状の第3フレームF3と、上下方向に伸びる棒状の第4フレームF4と、左右方向に伸びる棒状の第5フレームF5と、からなる。
【0030】
第1フレームF1は、所定間隔を空けて左右で一対設けられている。左右一対の第1フレームF1の間には、第5フレームF5が設けられている。より詳しくは、第5フレームF5は、第1フレームF1の前側と後側にそれぞれ設けられている(第5フレームF5は、前後で一対設けられている)。
つまり、第1フレームF1と第5フレームF5とがローマ数字の2の型となるように互いに組み合わせられている。
【0031】
そして、第1フレームF1の前側には、上下方向に伸びる第2フレームF2が左右に取り付けられている。より詳しくは、第1フレームF1の上面であって、第1フレームF1と前側の第5フレームF5とが接合する箇所に第2フレームF2が取り付けられている。第2フレームF2の上方には左右方向に挿通した孔H1が設けられている。この孔H1に座部3に設けられた第1揺動軸C1が挿通される。
つまり、揺動機構Eを駆動させると、孔H1に挿通された第1揺動軸C1を介して、座部3が上下方向に揺動することになる。
【0032】
また、第1フレームF1の後側には、上下方向に伸びる第4フレームF4が左右に取り付けられている。より詳しくは、第1フレームF1の上面であって、第1フレームF1と後側の第5フレームF5とが接合する箇所に第4フレームF4が取り付けられている。第4フレームF4の上方には左右方向に挿通した孔H2が設けられている。この孔H2に、背凭れ部4に設けられた第2揺動軸C2が挿通される。マッサージ機1には、背凭れ部4を前後方向にリクライニングさせるためのアクチュエータ(図示せず)が設けられており、アクチュエータ(図示せず)の駆動を制御部7で制御することにより、孔H2に挿通された第2揺動軸C2を介して、背凭れ部4を前後方向にリクライニングさせることができる。
【0033】
第2フレームF2と第4フレームF4との間には、前後方向に伸びる第3フレームF3が設けられている。第3フレームF3を設けることにより、フレームFの強度を確保することができる。
また、第3フレームF3の前後方向前側の上面には、座部3の揺動を規制する(より詳しくは、座部3が必要以上に下方に下がってしまうのを規制する)ための揺動規制部21が設けられている。揺動規制部21は、板状の部材で構成されている。揺動規制部21は、金属製の部材で構成されていることが好ましい。揺動規制部21を金属製の部材で構成することにより、座部3と座部3に着座した使用者の荷重をしっかりと受けることができる。
【0034】
揺動規制部21の上面には、座部3を上下方向に揺動させるためのエアセル20(揺動機構Eを構成する一部)が左右一対設けられている。エアセル20は、前後方向前側を支点として膨張収縮することができるように揺動規制部21に対して取り付けられている。エアセル20を左右一対設けることで、エアセル20の大きさをコンパクトにしつつ、座部3を安定して上下方向に揺動させることができる(図6(b)参照)。
なお、エアセル20の形状や個数は一例であり、この限りではない。例えば、図8に示すように1枚の大きなエアセルで構成してもよいし、エアセル20を3つ設けるようにしてもよい。また、エアセル20でなくてもよく、座部3を上下方向に揺動させることができるような構成であれば、例えば、バネやアクチュエータ(図示せず)など、どのようなものであってもよい。
【0035】
なお、各フレームF1~F5の組み合わせ方は一例であり、この限りではない。例えば、第3フレームF3を第2フレームF2から第4フレームF4に向かって上方又は下方に傾斜するように構成してもよいし、左右の第2フレームF2の間などに別のフレーム(第六フレーム(図示せず)など)をさらに組み合わせてもよい。
【0036】
図8は、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機1のフレームFを示す平面図である。図6との違いは、揺動機構Eを構成するエアセル20の大きさや個数であり、フレームF自体の構成は図6と同じため、説明を省略する。
図8に示すとおり、他の実施形態においては、座部3を上下方向に揺動させるためのエアセル20は1つである。エアセル20は、左右方向に長寸の長方形の形状をなしている。エアセル20は、前後方向前側を支点として膨張するようにフレームFに設けられた揺動規制部21の上面に取り付けられている。本実施形態におけるエアセル20よりも大きいなエアセルであるため、エアセル20の膨張量を十分に確保することができる。
【0037】
図7は、マッサージ機1の電源ONからOFFまで(マッサージコースの開始から終了まで)の一連の流れを示すフロー図である。
図7に示すとおり、使用者は、マッサージ機1に着座した後にマッサージ機1の電源をONにし、マッサージコースを選択することができる状態にする(S1)。マッサージ機1の電源がON状態となるとき、制御部7は、揺動機構Eを制御(より詳しくは、膨張状態を維持していたエアセル20を収縮させる)し、座部3を下方に揺動させる(S2)。そうすることで、隠れていたマッサージ機構6の施療範囲W2が露出する。その状態で、マッサージコースを開始することで、使用者の上半身をマッサージ機構6によりマッサージすることができる(S3)。
【0038】
マッサージコースが終了すると(S4)、制御部7は、揺動機構Eを制御(より詳しくは、収縮していたエアセル20を膨張させる)し、座部3を上方に揺動させ、露出していたマッサージ機構6の施療範囲W2を隠す(S5)。そして、マッサージ機1の電源がOFF状態となり(S6)、揺動機構Eが制御(エアセル20の膨張を維持する)される(S7)。
なお、S5とS6を実行するタイミングは、一例であり、この限りではない。例えば、S5を先に実行した後にS6を実行するように構成してもよいし、S6を先に実行した後にS5を実行するように構成してもよい。また、S5とS6が略同時に実行されるように構成してもよい。
【0039】
なお、制御部7は、マッサージコースの終了(S4)にあわせて、マッサージ機1の電源がOFF状態となるときにマッサージ機構6を収納位置まで移動させる。なお、マッサージコース終了後のエアセル20が膨張するタイミング(S5)にあわせて移動させてもよいし、電源がOFF状態となるとき(電源がOFF状態になる前後を含む)に移動させてもよい。つまり、S4の後~S7までの間であれば、どのタイミングであってもよい。
収納位置は、座部3が上方に揺動することで隠される施療範囲Wの一部の範囲内である(図3参照)。より詳しくは、マッサージ機構6の施療範囲Wのうち、施療範囲W2のことを指す。そうすることで、マッサージ機1を動作させないとき(電源がOFF状態のとき)、使用者がマッサージ機1に着座した際にマッサージ機構6が使用者に当接し、不快な思いをすることを防ぐことができる。
【0040】
[他の実施例1]
図9は、本発明の他の実施形態1に係るマッサージ機を左から見た図であり、(a)は揺動機構Eを駆動させる前の状態を示す図であり、(b)は揺動機構Eを駆動させた状態を示す図である。より詳しくは、揺動機構Eを駆動させることで座部3の前後方向前側を支点として座部3を上下方向に揺動させるものである。
【0041】
図9に示すとおり、揺動機構Eは、揺動規制部21に対して設けられている。より詳しくは、板状の部材で構成された揺動規制部21は、マッサージ機1の接地面と略水平となるようにフレームF(図示せず)に取り付けられている。揺動規制部21の上面には、座部3の上下方向への揺動をガイドするためのガイド部材32が設けられ、ガイド部材32の前方には、座部3を上下方向に揺動させるためのエアセル20が設けられている。
【0042】
ガイド部材32は、上下方向に長寸の板状の部材であり、より詳しくは、後方から前方に向かってやや湾曲した形状をなしている。ガイド部材32の中央には、上下方向に長寸の孔H3が設けられている。孔H3には、座部3の側部の後側に設けられた第三揺動軸C3が挿通される。座部3には、合計4つ揺動軸(第1揺動軸C1、第三揺動軸C3)が設けられている。詳しくは、座部3の側部であって、座部3の前側に左右一対設けられた第1揺動軸C1と、後側に左右一対設けられた第三揺動軸C3である。第1揺動軸C1は、フレームFに対して取り付けられており、第三揺動軸C3は、ガイド部材32に設けられた孔H3に挿通されている。
つまり、座部3は、第1揺動軸C1を支点として座部3を上下方向に揺動させることができるようになっており、第三揺動軸C3は、座部3の上下方向の揺動をガイドすることができるようになっている。
【0043】
座部3は、揺動規制部21よりも上方に取り付けられている。より詳しくは、座部3は、座部3の前側に取り付けられた第1揺動軸C1によって、前側から後側に向かって下方に傾斜するようにフレームFに対して取り付けられている。座部3は、揺動規制部21によって、必要以上に座部3が下方に傾斜しないようになっている。そのため、揺動機構Eのエアセル20を膨張させると、座部3は、第1揺動軸C1を支点として座部3の後側が上方へ揺動し、背凭れ部4に設けられたマッサージ機構6の施療範囲の一部を隠すことができる。
【0044】
つまり、マッサージ機1の電源がOFF状態となるときには、制御部7により、揺動機構E(より詳しくは、エアセル20)の駆動が制御され、エアセル20が膨張することにより、座部3を上方に揺動させる。そうすることで、マッサージ機構6の施療範囲の一部を隠すことができる。また、マッサージ機1の電源がON状態となるときには、制御部7により、揺動機構E(より詳しくは、エアセル20)の駆動が制御され、エアセル20が収縮することにより、座部3を下方に揺動させる。そうすることで、隠れていたマッサージ機構1の施療範囲を露出させ、使用者の上半身をマッサージ機構6によりマッサージすることができる。
【0045】
[他の実施例2]
図10は、本発明の他の実施形態に係るマッサージ機1を左から見た図であり、(a)は揺動機構Eを駆動させる前の状態を示す図であり、(b)は揺動機構Eを駆動させた状態を示す図である。より詳しくは、揺動機構Eを駆動させることで座部3の背凭れ部4に対する傾倒角度を維持したまま、座部3全体を上下方向に揺動させるものである。
【0046】
図10に示すとおり、揺動機構Eは、揺動規制部21に対して設けられている。より詳しくは、板状の部材で構成された揺動規制部21は、前側から後側に向かって下方に傾斜するようにフレームF(図示せず)に対して取り付けられている。揺動規制部21の上面には、座部3の上下方向への揺動をガイドするためのガイド部材32が前後左右に一対(合計4つ)設けられ、ガイド部材32の間に座部3を上下方向に揺動させるためのエアセル20が設けられている。
【0047】
ガイド部材32は、上下方向に長寸の板状の部材である。ガイド部材32の中央には、上下方向に長寸の孔H3が設けられている。孔H3には、座部3の側部に設けられた第1揺動軸C1が挿通される。座部3には、合計4つの第1揺動軸C1が設けられている。詳しくは、座部3の側部であって、座部3の前側に左右一対設けられており、後側に左右一対設けられている。
つまり、座部3は、4つの第1揺動軸C1により、上下方向の揺動がガイドされるようになっている。
【0048】
揺動規制部21は、フレームFに対して傾斜して設けられているため、揺動機構Eのエアセル20を膨張させると、座部3は、背凭れ部4に対する傾倒角度を維持したまま上方へ揺動し、背凭れ部4に設けられたマッサージ機構6の施療範囲Wの一部(施療範囲W2)を隠すことができる。
つまり、マッサージ機1の電源がOFF状態となるときには、制御部7により、揺動機構E(より詳しくは、エアセル20)の駆動が制御され、エアセル20が膨張することにより、座部3を上方に揺動させる。そうすることで、マッサージ機構6の施療範囲Wの一部(施療範囲W2)を隠すことができる。
【0049】
また、マッサージ機1の電源がON状態となるときには、制御部7により、揺動機構E(より詳しくは、エアセル20)の駆動が制御され、エアセル20が収縮することにより、座部3を下方に揺動させる。そうすることで、隠れていたマッサージ機構1の施療範囲W(施療範囲W2)を露出させ、使用者の上半身をマッサージ機構6によりマッサージすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、座高の高い使用者であっても背凭れ部から上半身の一部が露出することなく、上半身全体をマッサージすることができるマッサージ機に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
マッサージ機 1
座部 3
背凭れ部 4
マッサージ機構 6
制御部 7
揺動機構 E
フレーム F
施療範囲 W,W1,W2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10