(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014361
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】チェーンテンショナ機構
(51)【国際特許分類】
F02B 67/06 20060101AFI20250123BHJP
F16H 7/08 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
F02B67/06 A ZHV
F16H7/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116855
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恭平
(72)【発明者】
【氏名】友利 大亮
(72)【発明者】
【氏名】大場 裕哉
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA08
3J049BB02
3J049BB13
3J049BB17
3J049BB23
3J049BB26
3J049BB35
3J049BC03
3J049CA02
(57)【要約】
【課題】圧力室への気泡の侵入を抑制し、かつ、エンジンのタイミングチェーンのテンションが低下することを抑制することが可能なチェーンテンショナ機構を提供する。
【解決手段】エンジンのクランクシャフトに巻き掛けられたチェーンに張力を付与する油圧式のチェーンテンショナ8と、エンジンに潤滑もしくは冷却のためのオイルを供給するための油路26から分岐し、チェーンテンショナ8にオイルを供給するための分岐油路28と、を備え、エンジンが作動することにより油圧を発生させる油圧源から供給されたオイルによってチェーンテンショナ8がチェーンに張力を付与するチェーンテンショナ機構であって、油路26には、分岐油路28に分岐している地点より下流側に、油路26を選択的に開閉するバルブ29が設けられ、バルブ29は、エンジンが停止した場合に閉じられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと共に駆動力源を構成しているエンジンのクランクシャフトに巻き掛けられたチェーンに張力を付与する油圧式のチェーンテンショナと、
前記エンジンに潤滑もしくは冷却のためのオイルを供給するための油路から分岐し、前記チェーンテンショナにオイルを供給するための分岐油路と、を備え、
前記エンジンが作動することにより油圧を発生させる油圧源から供給されたオイルによって前記チェーンテンショナが前記チェーンに張力を付与するように構成されたチェーンテンショナ機構であって、
前記油路には、前記分岐油路に分岐している地点より下流側に、前記油路を選択的に開閉するバルブが設けられ、
前記バルブは、前記エンジンが停止した場合に閉じられる
ことを特徴とするチェーンテンショナ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのタイミングチェーンなどのチェーンに張力を付与するチェーンテンショナ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、そのようなチェーンを押圧するためのプランジャを備えたチェーンテンショナにおいて、エンジンの始動時に、チェーンが振動することによってチェーンを押圧するレバーとの間における異音の発生を抑制することを目的とした油圧式チェーンテンショナ装置が開示されている。特許文献1のチェーンテンショナ装置は、垂直方向で上下に延在するテンショナーボディと、テンショナーボディに形成され、上方が塞がれ、かつ下方が解放するシリンダ室と、シリンダ室の内面に接触することによりシリンダ室との間で圧力室を形成し、上下方向に移動可能なチェーン押圧用の有底円筒状のプランジャと、を備えている。また、特許文献1では、エンジンによって作動される油圧ポンプからエンジンの各部にオイルを供給するためのオイルギャラリがシリンダブロック内に形成され、そのオイルギャラリを介して圧力室にオイルが供給されるように構成されている。そのオイルギャラリと圧力室との間には、オイルギャラリから供給されたオイルを貯留する油溜めが形成されている。
【0003】
具体的には、特許文献1の油溜めは、圧力室より垂直方向で上側に設けられており、また、油溜めの上部がオイルギャラリと連通している。また、油溜めの下部がテンショナーボディに形成された圧油供給路に連通しており、その圧油供給路からシリンダ室に設けられた給油通路を介して圧力室にオイルが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載された装置のように、チェーンテンショナ装置と油路との間に油溜めを設けることにより、圧力室から排出されたオイルの量に応じて油溜めから圧力室にオイルが供給される。そのため、エンジンの停止に伴い油圧ポンプが停止したとしても、圧力室内の油圧の低下を抑制することができる。例えば、エンジンを停止した状態で車両が走行する場合、特に、ハイブリッド車両のように、エンジンを停止してモータのみで走行するEVモードで車両が走行している場合には、エンジンを逆回転させる方向のトルクが慣性力などによって生じる。それにより、チェーンがプランジャを圧力室側に押し込む力が変化し、プランジャが往復動する場合がある。そのようなプランジャの往復動によって圧力室内のオイルが排出された場合であっても、その排出されたオイルの量に応じた量のオイルが油溜めから圧力室に供給することができる。そのため、停止しているエンジンが始動するときに、チェーンが振動してヘッドカバーに接触することなどによる異音の発生や、エンジンの排気および燃費の悪化なども抑制することができる。
【0006】
しかしながら、EVモードの継続時間が長い場合には、油溜めに滞留しているオイルが減少し、油路から油溜めの空間に空気が混入する場合がある。油溜めに空気が混入した場合には、車両の振動などによってその空気が気泡となり、油溜めから圧力室に侵入する可能性がある。そのような状態でエンジンが始動した場合には、圧力室内の油圧が不足してしまいチェーンの押圧力が不十分になる可能性がある。その結果、チェーンに比較的大きな振動もしくは脈動が生じてしまい、チェーンのヘッドカバーへの接触が生じることによる異音などが生じる可能性があった。
【0007】
本発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、油圧ポンプが停止している場合であっても、圧力室への気泡の侵入を抑制し、かつ、エンジンのタイミングチェーンのテンションが低下することを抑制することが可能なチェーンテンショナ機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、モータと共に駆動力源を構成しているエンジンのクランクシャフトに巻き掛けられたチェーンに張力を付与する油圧式のチェーンテンショナと、前記エンジンに潤滑もしくは冷却のためのオイルを供給するための油路から分岐し、前記チェーンテンショナにオイルを供給するための分岐油路と、を備え、前記エンジンが作動することにより油圧を発生させる油圧源から供給されたオイルによって前記チェーンテンショナが前記チェーンに張力を付与するように構成されたチェーンテンショナ機構であって、前記油路には、前記分岐油路に分岐している地点より下流側に、前記油路を選択的に開閉するバルブが設けられ、前記バルブは、前記エンジンが停止した場合に閉じられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るチェーンテンショナ機構では、エンジンにオイルを供給する油路から分岐して、チェーンテンショナにオイルを供給するための分岐油路が設けられている。その油路における分岐油路より下流側に、エンジンの停止時にその油路を閉じるバルブが設けられている。そのため、例えば、エンジンを停止してモータの出力のみで車両が走行しているときには、そのバルブによって油路が遮断されるので、オイルが油路におけるバルブより下流側に流れることが抑制される。言い換えれば、油圧源から分岐油路を含めたそのバルブより上流側の油路にオイルが滞留することになる。すなわち、バルブより上流側の油路が、実質的に貯留室として機能するので、油圧源からのオイルの供給がない状態でチェーンテンショナからオイルが排出されるとしても、その油路および分岐油路からオイルが供給されるので、エンジンの始動時にチェーンテンショナにおいて油圧の不足が生じることを抑制することができる。つまり、チェーンテンショナを迅速に作動させることができるので、エンジン始動時のチェーンの振動や脈動によって生じる音の発生を抑制することができる。また、油路を閉じているので、油路から分岐して形成された貯留室のみにオイルが溜まっている状態と比較して、オイルが溜まっている部分への空気の侵入を抑制することができる。すなわち、チェーンテンショナに空気が侵入することを抑制することができる。さらに、オイルを貯留するための空間を設ける必要がないので、設計上の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のチェーンテンショナ機構が適用されたチェーン駆動機構の一例を模式的に示す図である。
【
図3】本発明のチェーンテンショナ機構における油路の構成を説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明を実施した場合の一例に過ぎないのであって、本発明を限定するものではない。
【0012】
エンジンにおけるバルブを開閉するチェーン駆動機構を
図1に模式的に示してある。ここで説明するエンジンは、ハイブリッド車両の駆動力源を構成するものであり、したがってそのハイブリッド車両はエンジンと併せてモータ(もしくはモータ・ジェネレータ:図示せず)を駆動力源として備えている。そして、そのハイブリッド車両は、エンジンのトルクで走行するエンジンモード、ならびにモータのトルクで走行するEVモード、エンジンおよびモータの両方のトルクで走行するHVモードを設定できる。なお、EVモードでは、燃費(エネルギ効率)の向上のためにエンジンを停止させる。
【0013】
図1に示すチェーン駆動機構は、クランクシャフト1の回転角度(クランク角度)に応じて図示しない排気バルブおよび吸気バルブを開閉させるための機構である。クランクシャフト1によって回転させられる駆動スプロケット2が設けられており、また排気バルブ用の第1の従動スプロケット3および吸気バルブ用の第2の従動スプロケット4が設けられている。そして、これらのスプロケット2,3,4にタイミングチェーン(以下、単にチェーンと記すことがある)5が巻き掛けられている。チェーン5には、円筒形のローラをサイドリンクでつなぎ合わせたローラチェーンが用いられているが、それ以外のチェーンであってもよい。
【0014】
駆動スプロケット2と第1の従動スプロケット3との間にチェーンテンショナスリッパ(以下、単にスリッパと記す)6が設けられている。スリッパ6は、全体として環状をなすチェーン5の一部をその内周側(走行方向に交差する方向)に押圧してチェーン5に張力を付与するためのものである。すなわち、スリッパ6は、
図1に示すようにチェーン5の内周側に向けて凸となるように弓状に湾曲したガイド片であり、チェーン5を入り込ませるガイド溝を有している。このスリッパ6は、
図1における下側の部分でピン7によって回転可能にエンジンに取り付けられている。
【0015】
上記のスリッパ6をチェーン5側に押圧するチェーンテンショナ(以下、単にテンショナと記すことがある)8が、スリッパ6の背面側(チェーン5とは反対側)に配置されている。テンショナ8の一例を
図2に断面図で示してある。テンショナ8は、テンショナ8を固定するためのフランジ部9と一体化されているシリンダ部10の内部にプランジャ11をその軸線方向に移動可能に挿入し、シリンダ部10の内部に供給した油圧によってプランジャ11を突出させてスリッパ6を押圧するように構成されている。より具体的に説明すると、シリンダ部10は、スリッパ6側に開口した底のある円筒状の部材であり、これに対してプランジャ11はシリンダ部10の内周面にほぼ密接して摺動するようにシリンダ部10に挿入された軸状の部材である。
【0016】
プランジャ11を挿入することによりシリンダ部10の底部側に形成されている空間部分が高圧油室12であり、ここにスプリング13が収容されている。このスプリング13は圧縮スプリングであって、プランジャ11に対してシリンダ部10から押し出す方向に弾性力を作用させている。一方、プランジャ11の内部には、低圧油室14が形成されている。この低圧油室14は上記の高圧油室12側に開口しており、その開口部分には逆止弁15が設けられている。
【0017】
この逆止弁15は、低圧油室14から高圧油室12に向けた油圧の流れを許容し、それとは反対方向の油圧の流れを阻止する弁機構である。その一例は
図2に示すボール弁であり、低圧油室14における高圧油室12側の開口端に球体16を配置し、その球体16をリテーナ17で保持したスプリング18によって低圧油室14の開口端に押し付けた構成となっている。したがって、高圧油室12の油圧が低圧油室14の油圧より高い場合には、逆止弁15は閉じたままとなり、これとは反対に高圧油室12の油圧が低圧油室14の油圧より低くなり、その圧力差がスプリング18の弾性力以上になると、球体16がスプリング18を圧縮する方向に押し戻されて低圧油室14の開口端を開く。
【0018】
軸線方向でプランジャ11の中間部には、低圧油室14をプランジャ11の外周面に連通させる吸入排出孔19が形成されている。この吸入排出孔19は、プランジャ11がチェーン5の張力の変化によって軸線方向に移動することにより、プランジャ11と同様に移動する。その吸入排出孔19の移動範囲をカバーするように、プランジャ11の外周面とシリンダ部10の内周面との間に、僅かなスペースであるヘッダ部20が設けられている。このヘッダ部20は、シリンダ部10の内径を部分的に拡大した部分であり、あるいはプランジャ11の外径を部分的に小さくした部分である。このヘッダ部20に連通する供給孔21がシリンダ部10に形成されている。
【0019】
供給孔21には、管路22を介して油圧源23が接続されている。油圧源23は、上記のテンショナ8に油圧を供給するためのものであり、クランクシャフト1に接続されていてエンジンによって駆動される油圧ポンプを主体にして構成されている。この油圧源23は、例えば油圧ポンプとして容量可変式のポンプが採用されており、エンジンの運転状態に応じて吐出圧を調整できるように構成された機械式のオイルポンプである。
【0020】
上述した駆動スプロケット2と第2の従動スプロケット4との間には、
図1に示すように、チェーン5をその内周側に湾曲させて駆動スプロケット2および第2の従動スプロケット4に対する巻き掛け角度を増大させるようにガイドする固定ガイド24が設けられている。この固定ガイド24は、上記のスリッパ6とは反対方向に弓状に湾曲したガイド片であり、チェーン5を入り込ませて案内するガイド溝を有している。そして、固定ガイド24はエンジンの所定箇所に固定されている。
【0021】
各従動スプロケット3,4に巻き掛かっているチェーン5の上側には、それらを覆うようにヘッドカバー25が配置されている。また、このヘッドカバー25は、エンジンの全体を覆う、金属もしくは合成樹脂を素材とした薄い板状の部材によって構成されており、エンジンが駆動し、あるいはチェーン5が走行している場合にはエンジンなどと共に振動する。
【0022】
供給孔21に油圧源23から発生した油圧を供給するための油路26を
図3に模式的に示してある。
図3に示すように、油路26は、エンジンのシリンダとクランクシャフトを収容するクランクケースからなるシリンダブロック27に形成されており、テンショナ側に油圧を供給するための給油通路である分岐油路28を有している。分岐油路28は、油路26と比較して断面積が小さく形成されており、油圧源から供給されたオイルが油路26から流入し、油路26とは反対側に連通する管路22にオイルを供給するように構成されている。
【0023】
油路26の分岐油路28が形成されている地点より所定の距離だけ下流側には、電磁バルブ29が設けられている。電磁バルブ29は、電力が流れることによってバルブが開閉するように構成されており、従来知られている電磁バルブの構成と同様の構成であって良い。すなわち、電気信号によってソレノイドに電流が流れることによりプランジャが作動し、その動きに応じてバルブが閉じるもしくは開くように構成されている。この電磁バルブ29は、通電されていないときはバルブが開いた状態に維持される、いわゆるノーマルオープンタイプの電磁バルブ29である。なお、所定の距離は、予め実験やシミュレーションなどに基づいて定められて良く、電磁バルブ29が閉弁することによって油路26および分岐油路28に滞留するオイルの量などに基づいて設定されて良い。
【0024】
電磁バルブ29は、エンジンが作動しているときには開弁し、エンジンが停止しているときには閉弁するように構成されている。すなわち、車両の走行モードがエンジンモード、あるいは、HVモードであるときには、通電されず、バルブが開いた状態で維持される。一方で、車両の走行モードがEVモードである場合には、電磁バルブ29に通電されて、バルブが閉じた状態に維持される。そのため、エンジンが作動している間は、油圧源23から分岐油路28および管路22を介してテンショナ8の低圧油室14にオイルが供給される。
【0025】
反対に、エンジンが停止している場合には、低圧油室14やエンジンの各部位へのオイルの供給が遮断される。一方で、エンジンの停止に伴い、テンショナ8によってチェーン5に張力を付与する必要がなく、また、チェーン5からプランジャ11へ作用する押圧力も小さくなる。そして、電磁バルブ29が閉弁される直前まで供給されていたオイルは、油路26や分岐油路28、低圧油室14などに滞留することになる。上述したように、EVモードの継続時間が長い場合には、クランクシャフトに入力されるトルクによってチェーン5がプランジャ11を押圧する力に変動が生じる。
【0026】
プランジャ11は、高圧油室12の油圧およびスプリング13の押圧力に応じてチェーン5を押圧しているので、張力が小さくなってチェーン5からプランジャ11に入力される押圧力が小さくなった場合には、プランジャ11がチェーン5側に移動し、その移動した量に応じてオイルが低圧油室14から高圧油室12に移動する。反対に、張力大きくなってチェーン5からプランジャ11に入力される押圧力が大きい場合には、高圧油室12内の圧力が高くなる。その押圧力が高圧油室12の油圧およびスプリング13の押圧力より大きくなった場合には、高圧油室12内のオイルがシリンダ部10とプランジャ11との隙間より外部に排出され、それらの力が釣り合う位置までプランジャ11がスプリング13側に移動する。このように、油圧源からの油圧の供給がない状態でチェーン5の張力が変化した場合には、プランジャ11に往復動が生じて低圧油室14および高圧油室12に滞留しているオイルが次第に排出される。
【0027】
上述した構成では、そのような場合に、電磁バルブ29が閉弁していることによって、電磁バルブ29より上流側の油路26および分岐油路28に滞留しているオイルが、低圧油室14および高圧油室12のオイルの減少量に応じて供給されることになる。すなわち、分岐油路28および油路26が実質的にオイルの貯留室として機能するので、低圧油室14および高圧油室12をオイルで満たした状態にすることができる。そのため、停止しているエンジンの始動時に、テンショナ8を迅速に作動させることができるので、チェーン5の振動や脈動を抑制することができる。したがって、チェーン5がヘッドカバー25に衝突してヘッドカバー25が振動し、あるいは音を発することを防止もしくは抑制することができる。また、電磁バルブ29を閉じることによって油路26および分岐油路28を、実質的にオイルを貯留する貯留室として機能させることができるので、貯留室を省略することができる。そのため、その貯留室を設けるためのスペースを設ける必要がなく、設計の自由度を向上させることができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した例に限定されないのであって、本発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。例えば、油路26における分岐油路28が設けられている地点より所定の距離だけ下流側に設けられている電磁バルブ29に替えて、ワンウェイバルブ(逆止弁)を用いても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 クランクシャフト
2 駆動スプロケット
3 第1の従動スプロケット
4 第2の従動スプロケット
5 チェーン
6 スリッパ
7 ピン
8 テンショナ
9 フランジ部
10 シリンダ部
11 プランジャ
12 高圧油室
13 スプリング
14 低圧油室
15 逆止弁
16 球体
17 リテーナ
18 スプリング
19 吸入排出孔
20 ヘッダ部
21 供給孔
22 管路
23 油圧源
24 固定ガイド
25 ヘッドカバー
26 油路
27 シリンダブロック
28 分岐油路
29 電磁バルブ