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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014370
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】清掃装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/14 20060101AFI20250123BHJP
   A47L 11/282 20060101ALI20250123BHJP
   A47L 11/24 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
A47L11/14
A47L11/282
A47L11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116869
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹田 幸市
(57)【要約】
【課題】清掃用の先端アタッチメントを床面に押しつけることなく取り外し可能な清掃装置を提供する。
【解決手段】モータにより先端接続部が規定位置から第1回転方向へ回転されることにより、清掃具が先端接続部に装着される。清掃具は、先端接続部の慣性モーメントよりも大きい慣性モーメントを有する。制御部は、第1モードではモータを第1回転方向へ回転させる。第1モードは清掃を行うためのモードである。制御部は、第2モードでは、清掃具に第1回転方向の解除力が発生するようにモータを駆動する。解除力は、係合部と被係合部との係合を解除し得る大きさを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータへ電力を供給して前記モータを駆動するように構成された駆動回路と、
清掃具が離脱可能に取り付けられるように構成され、前記モータにより第1回転方向または第2回転方向へ回転されるように構成され、前記清掃具が有する被係合部と係合するように構成された係合部を有し、離脱されている前記清掃具に対して規定位置から前記第1回転方向へ回転されることにより前記係合部が前記被係合部に係合して前記清掃具が装着されるように構成され、前記清掃具の慣性モーメントよりも小さい慣性モーメントを有する、先端接続部と、
前記モータの動作モードを、前記清掃具で清掃を行うための第1モードと、前記清掃具を前記先端接続部から離脱させるための第2モードと、に択一的に切り替えるために手動操作されるように構成されたスイッチと、
制御部であって、
前記第1モードでは、前記駆動回路を介して前記モータを前記第1回転方向へ回転させ、
前記第2モードでは、前記モータの回転により前記清掃具に解除力が発生するように前記駆動回路を制御する解除制御を実行し、前記解除力は、前記先端接続部を基準とした前記第1回転方向の相対的な力であって前記係合部と前記被係合部との係合を解除し得る大きさを有する、
ように構成された制御部と、
を備える清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第2モードでは前記モータを前記第1回転方向へ回転させるように構成されており、
前記解除制御は、前記モータのブレーキを開始するための所定のブレーキ開始要件が満たされたことに応じて、前記駆動回路を介して前記モータに第1のブレーキをかけて前記モータを減速させることにより前記清掃具に前記解除力を発生させること、を有する、
清掃装置。
【請求項3】
請求項2に記載の清掃装置であって、
前記モータの実回転速度を検出するように構成された速度検出部を備え、
前記ブレーキ開始要件は、前記速度検出部により検出された前記実回転速度が第1回転速度閾値以上であることに基づいて満たされる、
清掃装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記モータが停止状態から目標回転速度に向けて加速するように前記駆動回路を制御するように構成されており、
前記ブレーキ開始要件は、前記モータの駆動開始から閾時間が経過したことに基づいて満たされる、
清掃装置。
【請求項5】
請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記ブレーキ開始要件が満たされたことに応じて、前記モータに前記第1のブレーキをかける前の第1時間、前記駆動回路から前記モータへ前記電力を供給する経路を開放させて前記モータをフリーランさせるように、前記駆動回路を制御するように構成されている、
清掃装置。
【請求項6】
請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記モータを停止させるための第1停止要件が満たされたことに応じて、前記モータにブレーキをかけることなく、前記駆動回路から前記モータへ前記電力を供給する経路を開放させて前記モータをフリーランさせるように、前記駆動回路を制御するように構成されている、
清掃装置。
【請求項7】
請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記モータを停止させるための第1停止要件が満たされたことに応じて、前記駆動回路を介して前記モータに前記第1のブレーキよりも制動力が弱い第2のブレーキをかけるように構成されている、
清掃装置。
【請求項8】
請求項7に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記第1停止要件が満たされたことに応じて、前記モータに前記第2のブレーキをかける前の第2時間、前記駆動回路から前記モータへ前記電力を供給する経路を開放させて前記モータをフリーランさせるように、前記駆動回路を制御するように構成されている、
清掃装置。
【請求項9】
請求項5に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第1モードにおいて、前記モータを停止させるための第1停止要件が満たされたことに応じて、
前記第1時間よりも短い第2時間、前記駆動回路から前記モータへ前記電力を供給する経路を開放させて前記モータをフリーランさせるように、前記駆動回路を制御し、
前記第2時間の経過後、前記駆動回路を介して前記モータに前記第1のブレーキよりも制動力が弱い第2のブレーキをかける、
ように構成されている、
清掃装置。
【請求項10】
請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記モータは、前記電力を受けるための3つの端子を備えたブラシレスモータであり、
前記第2のブレーキは、前記3つの端子のうちのいずれか2つを電気的に短絡する二相短絡ブレーキを含む、
清掃装置。
【請求項11】
請求項2~請求項10のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記モータは、前記電力を受けるための3つの端子を備えたブラシレスモータであり、
前記第1のブレーキは、前記3つの端子を互いに電気的に短絡する三相短絡ブレーキを含む、
清掃装置。
【請求項12】
請求項1に記載の清掃装置であって、
前記解除制御は、前記モータを停止状態から前記第2回転方向へ第1の加速度で加速させるように前記駆動回路を制御することにより前記清掃具に前記解除力を発生させること、を有する清掃装置。
【請求項13】
請求項12に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第1モードでは、前記モータを駆動する際、前記第1の加速度よりも低い第2の加速度で前記モータを加速させるように構成されている、
清掃装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の清掃装置であって、
前記解除制御は、前記モータの駆動開始後、第2の停止要件が満たされたことに応じて前記モータを停止させること、を有する、
清掃装置。
【請求項15】
請求項14に記載の清掃装置であって、
前記第2の停止要件は、前記モータの実回転速度が第2回転速度閾値を超えることに基づいて満たされる、
清掃装置。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の清掃装置であって、
前記第2の停止要件は、前記モータの駆動開始時からの前記先端接続部の前記第2回転方向への回転角度が角度閾値を超えることに基づいて満たされる、
清掃装置。
【請求項17】
請求項14~請求項16のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記第2の停止要件は、前記モータの駆動開始時からの経過時間が経過時間閾値を超えることに基づいて満たされる、
清掃装置。
【請求項18】
請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記制御部は、前記第2モードでの前記モータの駆動が連続して所定回数以上行われたことに基づいて、前記動作モードを前記第1モードに切り替えるように構成されている、
清掃装置。
【請求項19】
請求項1~請求項18のいずれか1項に記載の清掃装置であって、
前記清掃装置の使用者によって把持されるように構成された把持部を備え、
前記清掃装置は、前記把持部を介して前記使用者に支持されながら使用される手持ち式である、
清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、先端アタッチメントが着脱可能な清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のスクラバーは、モータと、モータの軸に固着されたモータアダプタと、を有する。モータアダプタには回転清掃具が取り付けられる。回転清掃具は、清掃に用いられるブラシを有する。回転清掃具は、3個の係止フランジを備え、モータアダプタは、3個の係止爪を備える。
【0003】
モータアダプタに回転清掃具を装着する際は、モータアダプタを回転清掃具の所定位置に配置した状態で、モータを正方向に回転させる。これにより3個の係止フランジが3個の係止爪に嵌合し、回転清掃具がモータアダプタに取り付けられる。
【0004】
回転清掃具をモータアダプタから取り外す際は、回転清掃具と床面との接地摩擦が利用される。即ち、回転清掃具を床面に押し付けた状態で、スイッチを操作してモータを逆方向へ回転させる。これにより、3個の係止フランジと3個の係止爪との嵌合が解除され、ユーザは、回転清掃具をモータアダプタから取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-327897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記スクラバーでは、回転清掃具を取り外すためには、回転清掃具を床面に押し付けた状態でスイッチを操作する必要がある。そのため、回転清掃具の取外しに、使用者による煩雑な操作が要求される。また、回転清掃具を床面に押し付けた状態で逆回転させることは、通常作業時とは異なる動作になる。そのため、逆回転させたときのスクラバーの挙動に留意することが使用者に要求される。このような観点からも、上記スクラバーにおける回転清掃具の取外し方法は、使用者にとって煩わしい。
【0007】
本開示の1つの局面は、清掃用の清掃具(上記の回転清掃具に対応)を、床面に押しつけることなく取り外し可能な清掃装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一局面における清掃装置は、モータと、駆動回路と、先端接続部と、スイッチと、制御部とを備える。
駆動回路は、モータへ電力を供給してモータを駆動する。先端接続部は、清掃具が離脱可能に取り付けられる。先端接続部は、モータにより第1回転方向または第2回転方向へ回転される。先端接続部は係合部を有し、清掃具は被係合部を有する。先端接続部から離脱されている清掃具に対して規定位置から先端接続部が第1回転方向へ回転されることにより、係合部が被係合部に係合して、清掃具が先端接続部に装着される。先端接続部は、清掃具の慣性モーメントよりも小さい慣性モーメントを有する。スイッチは、モータの動作モードを、清掃具で清掃を行うための第1モードと、清掃具を先端接続部から離脱させるための第2モードと、に択一的に切り替えるために、手動操作される。
【0009】
制御部は、第1モードでは、駆動回路を介してモータを第1回転方向へ回転させる。制御部は、第2モードでは、解除制御を実行する。解除制御は、モータの回転により清掃具に解除力が発生するように駆動回路を制御することを含む。解除力は、先端接続部を基準とした第1回転方向の相対的な力である。解除力は、係合部と被係合部との係合を解除し得る大きさを有する。
【0010】
このような清掃装置では、第2モードでモータを作動させることによって、清掃具を床面などの外部の構造物等に押しつけることなく、清掃具を取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る清掃装置の外観を示す図である。
図2】第1実施形態に係る清掃装置の表示部を示す図である。
図3】第1実施形態に係る清掃装置に接続される先端アタッチメントを示す図である。
図4】第1実施形態の第1例に係る先端アタッチメントの下面を示す図である。
図5A】第1実施形態に係る清掃装置の先端接続部の下面を示す図である。
図5B】第1実施形態に係る清掃装置の先端接続部の斜視図である。
図6】第1実施形態に係る清掃装置の先端接続部に第1例に係る先端アタッチメントが接続している状態を示す図である。
図7】第1実施形態の第2例に係る先端アタッチメントの下面を示す図である。
図8】第1実施形態に係る清掃装置の先端接続部に第2例に係る先端アタッチメントが接続している状態を示す図である。
図9】第1実施形態に係る清掃装置の第1の爪とブラシの第2の爪との係合角度を示す図である。
図10】第1実施形態に係る清掃装置の第1の爪の径方向に沿った断面を示す図である。
図11】第1実施形態に係る清掃装置の第1の爪、及び、第1の爪に係合した第2の爪の径方向に沿った断面を示す図である。
図12】第1実施形態に係る清掃装置の第1の爪の周方向に沿った断面を示す図である。
図13】第1実施形態に係る清掃装置の第1の爪、及び第1の爪に係合した第2の爪の周方向に沿った断面を示す図である。
図14】第1実施形態に係る清掃装置の電気的構成を示すブロック図である。
図15】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するメイン処理を示すフローチャートである。
図16】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する割込み処理を示すフローチャートである。
図17】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するスイッチ操作検出処理を示すフローチャートである。
図18】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する電源管理処理を示すフローチャートである。
図19】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する主電源状態のオフ判定処理を示すフローチャートである。
図20】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する主電源状態の自動オフ判定処理を示すフローチャートである。
図21】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するモータ制御処理を示すフローチャートである。
図22】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する速度モードの設定処理を示すフローチャートである。
図23A】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードの設定処理の第1部分を示すフローチャートである。
図23B】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードの設定処理の第2部分を示すフローチャートである。
図23C】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードの設定処理の第3部分を示すフローチャートである。
図24】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードの設定処理の第3部分の変形例を示すフローチャートである。
図25】第1実施形態に係る清掃装置のモータの速度モードに応じた目標回転速度を示す図である。
図26】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードの自動オフ判定処理を示すフローチャートである。
図27】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する状態遷移処理を示すフローチャートである。
図28】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する第1出力計算処理を示すフローチャートである。
図29】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する第2出力計算処理を示すフローチャートである。
図30】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する慣性モーメント推定処理を示すフローチャートである。
図31】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するインバータ制御処理を示すフローチャートである。
図32】第1実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するINV制御処理を示すフローチャートである。
図33】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する割込み処理を示すフローチャートである。
図34】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するモータ制御処理を示すフローチャートである。
図35】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードの設定処理の第3部分を示すフローチャートである。
図36】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する先端接続部の逆転角度の取得処理の第1例を示すフローチャートである。
図37】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する先端接続部の逆転角度の取得処理の第2例を示すフローチャートである。
図38】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する取外しモードでの自動停止判定処理を示すフローチャートである。
図39】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する第1の自動停止判定処理を示すフローチャートである。
図40】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する第2の自動停止判定処理を示すフローチャートである。
図41】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する第3の自動停止判定処理を示すフローチャートである。
図42】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する回転方向の設定処理を示すフローチャートである。
図43】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する状態遷移処理を示すフローチャートである。
図44】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する出力計算処理を示すフローチャートである。
図45】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行する逆転角度の計算処理を示すフローチャートである。
図46】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するインバータ制御処理を示すフローチャートである。
図47】第2実施形態に係る清掃装置の制御回路が実行するINV制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態の総括]
ある実施形態は、以下の特徴1~11のうちの少なくともいずれか1つを備えている、清掃装置を提供してもよい。
・特徴1:モータ。
・特徴2:モータへ電力を供給して前記モータを駆動するように構成された駆動回路。
・特徴3:清掃具が離脱可能に取り付けられるように構成された先端接続部。
・特徴4:先端接続部は、モータにより第1回転方向または第2回転方向へ回転される。
・特徴5:先端接続部は係合部を有し、清掃具は被係合部を有する。先端接続部から離脱されている清掃具に対して規定位置から先端接続部が第1回転方向へ回転されることにより、係合部が被係合部に係合して、清掃具が先端接続部に装着される。
・特徴6:先端接続部は、清掃具の慣性モーメントよりも小さい慣性モーメントを有する。
・特徴7:モータの動作モードを第1モードと第2モードとに択一的に切り替えるために手動操作されるように構成されたスイッチ。第1モードは、清掃具で清掃を行うための動作モードである。第2モードは、清掃具を先端接続部から離脱させるための動作モードである。
・特徴8:制御部。
・特徴9:制御部は、第1モードでは、駆動回路を介してモータを第1回転方向へ回転させる。
・特徴10:制御部は、第2モードでは、解除制御を実行する。
・特徴11:解除制御は、モータの回転により清掃具に解除力が発生するように駆動回路を制御することを含む。解除力は、先端接続部を基準とした第1回転方向の相対的な力である。解除力は、係合部と被係合部との係合を解除し得る大きさを有する。
【0013】
少なくとも特徴1-11を備えている清掃装置では、第2モードでモータを作動させることによって、清掃具を床面などの外部の構造物等に押しつけることなく、清掃具を取り外すことができる。
【0014】
制御部は、第1モードでは、解除力を発生させることなくモータを第1回転方向へ回転させてもよい。あるいは、第1モードでは、第2モード時の解除力よりも小さい力が清掃具に発生することが許容されてもよい。
【0015】
ある実施形態は、上述の特徴1-11のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴12及び/または特徴13を備えていてもよい。
・特徴12:制御部は、第2モードではモータを第1回転方向へ回転させるように構成されている。
・特徴13:解除制御は、モータのブレーキを開始するための所定のブレーキ開始要件が満たされたことに応じて、駆動回路を介してモータに第1のブレーキをかけてモータを減速させることにより清掃具に解除力を発生させること、を有する。
【0016】
少なくとも特徴1-13を備えている清掃装置では、第1のブレーキによる減速によって容易に解除力を発生させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-13のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴14及び/または特徴15を備えていてもよい。
・特徴14:モータの実回転速度を検出するように構成された速度検出部。
・特徴15:ブレーキ開始要件は、速度検出部により検出された実回転速度が第1回転速度閾値以上であることに基づいて満たされる。
【0017】
少なくとも特徴1-15を備えている清掃装置は、ブレーキ開始要件を適切に判定することができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-15のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴16及び/または特徴17を備えていてもよい。
・特徴16:制御部は、第2モードにおいて、モータが停止状態から目標回転速度に向けて加速するように駆動回路を制御するように構成されている。
・特徴17:ブレーキ開始要件は、モータの駆動開始から閾時間が経過したことに基づいて満たされる。
【0018】
少なくとも特徴1-13,16,17を備えている清掃装置は、ブレーキ開始要件を適切に判定することができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-17のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴18を備えていてもよい。
・特徴18:制御部は、第2モードにおいて、ブレーキ開始要件が満たされたことに応じて、モータに第1のブレーキをかける前の第1時間、駆動回路からモータへ電力を供給する経路を開放させてモータをフリーランさせるように、駆動回路を制御するように構成されている。
【0019】
ある実施形態は、上述の特徴1-18のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴19を備えていてもよい。
・特徴19:制御部は、第1モードにおいて、モータを停止させるための第1停止要件が満たされたことに応じて、モータにブレーキをかけることなく、上記同様にモータをフリーランさせるように、駆動回路を制御するように構成されている。
【0020】
ある実施形態は、上述の特徴1-19のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴20を備えていてもよい。
・特徴20:制御部は、第1モードにおいて第1停止要件が満たされたことに応じて、駆動回路を介してモータに第1のブレーキよりも制動力が弱い第2のブレーキをかけるように構成されている。
【0021】
少なくとも特徴1-13,20を備えている清掃装置は、動作モードに応じた適切な強さのブレーキをかけることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-20のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴21を備えていてもよい。
・特徴21:制御部は、第1モードにおいて、第1停止要件が満たされたことに応じて、モータに第2のブレーキをかける前の第2時間、上記同様にモータをフリーランさせるように、駆動回路を制御するように構成されている。
【0022】
ある実施形態は、上述の特徴1-21のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴22及び/または特徴23を備えていてもよい。
・特徴22:第2時間は、第1時間よりも短い。
・特徴23:制御部は、第2時間の経過後、駆動回路を介してモータに第2のブレーキをかけるように構成されている。
【0023】
ある実施形態は、上述の特徴1-23のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴24及び/または特徴25を備えていてもよい。
・特徴24:モータは、電力を受けるための3つの端子を備えたブラシレスモータである。
・特徴25:第2のブレーキは、モータの3つの端子のうちのいずれか2つを電気的に短絡する二相短絡ブレーキを含む。
【0024】
少なくとも特徴1-13,20,24,25を備えている清掃装置は、第1モードに応じた適切な強さのブレーキをかけることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-25のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴26を備えていてもよい。
・特徴26:第1のブレーキは、モータの3つの端子を互いに電気的に短絡する三相短絡ブレーキを含む。
【0025】
少なくとも特徴1-13,26を備えている清掃装置は、第2モードに応じた適切な強さのブレーキをかけることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-26のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴27を備えていてもよい。
・特徴27:解除制御は、モータを停止状態から第2回転方向へ第1の加速度で加速させるように駆動回路を制御することにより清掃具に解除力を発生させること、を有する。
【0026】
少なくとも特徴1-13,27を備えている清掃装置では、加速によって容易に解除力を発生させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-27のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴28を備えていてもよい。
・特徴28:制御部は、第1モードでは、モータを駆動する際、第1の加速度よりも低い第2の加速度でモータを加速させるように構成されている。
【0027】
少なくとも特徴1-13,27,28を備えている清掃装置は、動作モードに応じた適切な加速度でモータを駆動開始できる。
ある実施形態は、上述の特徴1-28のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴29を備えていてもよい。
・特徴29:解除制御は、モータの駆動開始後、第2の停止要件が満たされたことに応じてモータを停止させること、を有する。
【0028】
少なくとも特徴1-13,27,29を備えている清掃装置は、第2モードにおいて適切なタイミングでモータを停止させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-29のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴30を備えていてもよい。
・特徴30:第2の停止要件は、モータの実回転速度が第2回転速度閾値を超えることに基づいて満たされる。
【0029】
少なくとも特徴1-13,27,29,30を備えている清掃装置は、第2モードにおいて適切なタイミングでモータを停止させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-30のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴31を備えていてもよい。
・特徴31:第2の停止要件は、モータの駆動開始時からの先端接続部の第2回転方向への回転角度が角度閾値を超えることに基づいて満たされる。
【0030】
少なくとも特徴1-13,27,29,31を備えている清掃装置は、第2モードにおいて適切なタイミングでモータを停止させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-31のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴32を備えていてもよい。
・特徴32:第2の停止要件は、モータの駆動開始時からの経過時間が経過時間閾値を超えることに基づいて満たされる。
【0031】
少なくとも特徴1-13,27,29,32を備えている清掃装置は、第2モードにおいて適切なタイミングでモータを停止させることができる。
ある実施形態は、上述の特徴1-32のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴33を備えていてもよい。
・特徴33:制御部は、第2モードでのモータの駆動が連続して所定回数以上行われたことに基づいて、動作モードを第1モードに切り替えるように構成されている。
【0032】
少なくとも特徴1-11,33を備えている清掃装置は、第2モードでのモータの駆動が意図せず過剰に行われるのを抑制できる。
ある実施形態は、上述の特徴1-33のうちの少なくともいずれか1つに加えて、あるいは代えて、以下の特徴34を備えていてもよい。
・特徴34:清掃装置の使用者によって把持されるように構成された把持部を備え、清掃装置は、把持部を介して使用者に支持されながら使用される手持ち式である。
【0033】
ある実施形態では、上記の特徴1-34はどのように組み合わされてもよい。ある実施形態では、上記の特徴1-34いずれかは除外されてもよい。
ある実施形態では、上記制御部は、制御回路の形態であってもよい。制御回路は、単一の電子ユニットまたは単一の電子デバイスまたは単一の回路基板に統合されてもよい。
【0034】
ある実施形態では、前記制御回路は、前記電動作業機内に個別に設けられた2つ以上の電子回路または2つ以上の電子ユニットまたは2つ以上の電子デバイスの組合せであってもよい。
【0035】
ある実施形態では、前記制御回路は、マイクロコンピュータ(または、マイクロコントローラ、または、マイクロプロセッサ)、結線論理、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け汎用品(ASSP)、(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの)プログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート電子部品、及び/または、これらの組合せを備えてもよい。
【0036】
[特定の例示的な実施形態]
[1.第1実施形態]
(1-1)清掃装置の全体構成
図1を参照して、第1実施形態の清掃装置1の構成を説明する。清掃装置1は、床面の汚れ落としやワックス磨きなどの磨き作業に用いられる。本実施形態に係る清掃装置1は、ハンディタイプである。清掃装置1は、本体部10と、竿部11と、支持部6と、ヘッド部5と、先端接続部30と、を備える。竿部11は、竿状形状又は筒状形状を有し、上下に延伸している。本体部10は、竿部11よりも大径の筒状形状を有し、上下方向に延伸している。本体部10は、竿部11の上に配置されており、内部に竿部11を収容する。また、本体部10は、内部にコントローラ50(図14参照)を収容している。
【0037】
本体部10は、本体部10の上端に、Т字形状に形成された第1把持部12を備える。第1把持部12は、清掃装置1のユーザにより把持される。本体部10は、第1把持部12の後面に配置されたトリガ14を備える。トリガ14は、第1把持部12を把持した手で引くことができるように構成されている。トリガ14は、ユーザに引かれたことに応じて、オンを示すトリガ信号を後述する制御回路60へ出力する。トリガ14は、ユーザに放されたことに応じて、オフを示すトリガ信号を制御回路60へ出力する。
【0038】
本体部10は、第1把持部12の表面に、表示部155を備える。さらに、本体部10は、表示部155の下側に、操作部150を備える。表示部155及び操作部150は、本体部10の内部を通るリード線で制御回路60に電気的に接続されている。図2に、操作部150及び表示部155を示す。
【0039】
操作部150は、主電源/速度モード切替スイッチ153を備える。主電源/速度モード切替スイッチ153は、ユーザにより、(i)清掃装置1の主電源をオン又はオフにするため、及び、(ii)モータ70の速度モードを選択するために操作される。主電源/速度モード切替スイッチ153は、ユーザに押されたことに応じて、制御回路60へオンを示す主電源信号を出力する。主電源信号のオン状態が所定時間以上継続した場合、主電源がオンからオフ又はオフからオンへ切り替わる。また、主電源信号のオン状態が所定時間以上継続する前に、主電源信号がオンからオフへ切り替わった場合、速度モードが、設定されているモードから次のモードへ切り替わる。速度モードは、低速モード→中速モード→高速モード→低速モードの順に切り替わる。
【0040】
すなわち、ユーザが主電源/速度モード切替スイッチ153を長押しする度に、主電源がオンとオフの間で切り替わる。長押しは、ユーザが所定時間以上、主電源/速度モード切替スイッチ153を押し続けることである。ユーザが、主電源をオンにし、トリガ14を引くことによって、モータ70(図14参照)が駆動する。ユーザが、主電源をオフ又はトリガ14を放すことによって、モータ70が停止する。
【0041】
また、ユーザが主電源/速度モード切替スイッチ153を短押しする度に、速度モードが、低速モード→中速モード→高速モード→低速モードの順に切り替わる。短押しは、ユーザが、主電源/速度モード切替スイッチ153を押してから所定時間経過する前に、主電源/速度モード切替スイッチ153を放すことである。
【0042】
操作部150は、取外しモードスイッチ154を備える。取外しモードスイッチ154は、ユーザに押されることに応じて、制御回路60へオンを示す取外しモード信号を出力する。取外しモードスイッチ154は、ユーザが先端アタッチメント20を取り外す際にユーザにより押される。以下では、モータ70の正方向への回転を正転と称し、モータ70の逆方向への回転を逆転と称する。
【0043】
表示部155は、速度表示部151を備える。速度表示部151は、高速モード、中速モード、及び低速モードに対応する3つの発光ダイオード(LED)を備える。速度表示部151の3つのLEDのうち、主電源/速度モード切替スイッチ153を介して設定された速度モードに対応したLEDが点灯する。また、速度表示部151は、モータ70の逆方向への回転中に、3つのLEDを点滅させる。
【0044】
表示部155は、エラー表示部152を備える。エラー表示部152は、1つのLEDを備え、制御回路60が、清掃装置1又はバッテリパック40の保護が必要なエラーを検出した場合に、点灯する。
【0045】
本体部10は、本体部10の上面且つ第1把持部12の後ろ側に、バッテリ装着部41を備える。バッテリ装着部41には、取り外し可能なバッテリパック40がスライドして装着される。バッテリ装着部41に装着されたバッテリパック40は、コントローラ50に電気的に接続される。バッテリパック40は、充放電可能な二次バッテリを含む。二次バッテリは、例えば、リチウムイオンバッテリであり、直列接続された複数のバッテリセルを含む。
【0046】
本体部10は、本体部10の前面且つ下端に第2把持部13を備える。第2把持部13は、矩形形状に形成され、本体部10の前面から前方に突出している。第2把持部13は、ユーザにより把持される。
【0047】
ユーザは、第1把持部12及び/または第2把持部13を把持して清掃装置1を支持し且つ移動させながら、清掃装置1を使用することができる。つまり、本第1実施形態の清掃装置1は、いわゆる手持ち式(またはハンディタイプまたはハンドヘルドタイプ)の形態である。
【0048】
支持部6は、竿部11の下端に取り付けられている。支持部6は、下端側において、二股形状を有する。
ヘッド部5は、支持部6の下に配置され、支持部6の二股部分に挟まれて支持されている。ヘッド部5は、モータ70及び減速機構75(図14参照)を内蔵する。本実施形態において、モータ70は、三相のブラシレスモータである。減速機構75は、モータ70の回転軸77に接続されており、モータ70の回転速度を減速して出力する。モータ70は、竿部11及び本体部10の内部を通るリード線でコントローラ50に電気的に接続されている。
【0049】
先端接続部30は、円盤又は円柱形状に形成され、ヘッド部5の下端に配置されている。先端接続部30は、負荷軸80を有する。負荷軸80は、減速機構75を介してモータ70の回転軸77に接続されている。したがって、先端接続部30は、モータ70の駆動力を受けて回転する。すなわち、先端接続部30は、モータ70が正方向に回転している場合には、正方向へ回転し、モータ70が逆方向に回転している場合には、逆方向へ回転する。先端接続部30の下面には、着脱自在に先端アタッチメント20が取り付けられる。先端接続部30の詳細は後述する。
【0050】
先端アタッチメント20は、床面等を磨くためのツールであり、円盤形状の部材を有する。先端アタッチメント20は、円盤形状の部材の中心が、負荷軸80と一致するように、先端接続部30に取り付けられる。先端アタッチメント20は、例えば、樹脂製の円盤形状の部材に毛束が取り付けられたブラシや、ナイロンやポリエステルの不織布で円盤形状に形成されたパッドを固定するパッド台である。本実実施形態では、先端アタッチメント20は、ブラシである。
【0051】
なお、本第1実施形態では、清掃作業を行うための基本モード時は、モータ70は正方向へ回転される。つまり、清掃作業は、先端接続部30を正転させながら行う。先端アタッチメント20を取り外すための取外しモードの際も、後述するようにモータ70は正方向へ回転される。一方、後述する第2実施形態では、取外しモードでは、モータ70は逆方向へ回転される。
【0052】
(1-2)先端接続部及び先端アタッチメントの構成
図3~13を参照して先端接続部30及び先端アタッチメント20の構成について説明する。図3に、先端アタッチメント20の上面を示す。先端アタッチメント20は、第1円環部21と、第2円環部28と、第3円環部22と、を備える。第1円環部21は、最も外側の円環状の部材であり、第1円環部21の下面には、毛束が取り付けられている。第2円環部28は、第1円環部21の径方向の内側に隣接する円環状の部材であり、第1円環部21よりも下方に位置する。第2円環部28は、リブ235,245,255を有する。リブ235,245,255は、第2円環部28の周方向に沿って、等間隔で配置されている。第2円環部28は、リブ235,245,255を介して、第1円環部21にねじ止めされている。第3円環部22は、第2円環部28の径方向の内側に隣接する円環状の部材であり、第2円環部28よりも上方に位置する。
【0053】
第3円環部22には、後述する第1の爪33,34,35に係合する第2の爪23,24,25が取り付けられている。第2の爪23,24,25は、円弧形状を有する板状の部材であり、負荷軸80の周方向、すなわち、第3円環部22の周方向に沿って、径方向の内側へ突出するように、等間隔に配置されている。
【0054】
図4に、第2円環部28及び第3円環部22の下面の第1例を示す。第2の爪23,24,25は互いに同じ形状を有する。第2の爪23は、突起部231と、第1領域232と、第2領域233と、を備える。突起部231は、第2の爪23の円周方向の中央に配置されており、下方に突出している。第1領域232は、突起部231に対して正転側の領域である。第2領域233は、突起部231に対して逆転側の領域である。同様に、第2の爪24は、突起部241と、第1領域242と、第2領域243とを備え、第2の爪25は、突起部251と、第1領域252と、第2領域253と、を備える。第2の爪23と第2の爪24との間には、隙間261が形成され、第2の爪24と第2の爪25との間には、隙間262が形成され、第2の爪25と第2の爪23との間には、隙間263が形成される。
【0055】
図5A及び図5Bに示すように、先端接続部30は、外側円環部31と、内側円環部38と、を備える。外側円環部31は、外側に配置された円環状の部材である。内側円環部38は、外側円環部31の径方向の内側に隣接する円環状の部材であり、外側円環部31よりも下方に配置されている。
【0056】
内側円環部38には、第1の爪33,34,35が取り付けられている。第1の爪33,34,35は、円弧形状を有する板状の部材であり、回転軸77の周方向、すなわち、内側円環部38の周方向に沿って、径方向の外側に突出するように、等間隔に配置されている。第1の爪33,34,35は、互いに同じ形状を有する。第1の爪33,34,35の大きさは、隙間261,262,263よりも小さい。
【0057】
図5Bに示すように、第1の爪33,34,35は、外側円環部31よりも下方に配置されている。第1の爪33,34,35の周方向における逆転側の端部は、外側円環部31に接続されている。第1の爪33,34,35の周方向における正転側の端部は、外側円環部31から離れている。すなわち、上下方向において、正転側の端部と外側円環部31との間には隙間が存在する。
【0058】
図6に、第1の爪33,34,35に第2の爪23,24,25が係合している状態の先端接続部30の下面を示す。先端アタッチメント20を取り付ける際は、先端アタッチメント20を床面に置き、その上に先端接続部30を持って行く。このとき、先端接続部30の第1の爪33,34,35が先端アタッチメント20の隙間261,262,263の真上に来るように位置合わせする。その状態で、先端接続部30を下ろしていって、隙間261,262,263に第1の爪33,34,35を通す。このときの先端接続部30の位置(詳しくは先端アタッチメント20に対する相対的位置)を規定位置と称する。
【0059】
規定位置に配置された先端接続部30を正方向へ回転させることで、第1の爪33,34,35に第2の爪23,24,25が係合する。詳しくは、第1の爪33の正転側の端部から第2の爪23の第2領域233が進入し、第1の爪33の正転側の端部が第2の爪23の突起部231に接触することで、第1の爪33に第2の爪23が係合する。第1の爪33に第2の爪23が係合している状態では、第2領域233が、外側円環部31と第1の爪33との間に挟まれ、これにより係合力が生じる。この係合力によって第1の爪33に第2の爪23が係合する。同様に、第1の爪34に第2の爪24が係合し、第1の爪35に第2の爪25が係合する。これにより、先端アタッチメント20が先端接続部30に装着される。
【0060】
つまり、本第1実施形態において、第1の爪33に第2の爪23が係合することは、第1の爪33と外側円環部31との間の隙間に第2の爪23が挟まれることを意味する。換言すれば、第1の爪33に第2の爪23が係合することは、上記隙間に第2の爪23が挟まれることによって生じる、第2の爪23と第1の爪33との摩擦力(詳しくは第2の爪23と第1の爪33及び外側円環部31との摩擦力)によって、第2の爪23が第1の爪33に対して固定されることを意味する。つまり、その摩擦力が前述の係合力に対応する。第1の爪34に第2の爪24が係合すること、及び第1の爪35に第2の爪25が係合すること、についても同様である。
【0061】
先端アタッチメント20が装着されている先端接続部30が、先端アタッチメント20に対して相対的に逆方向へ係合角度Af(図9参照)に応じた角度回転されると、先端アタッチメント20が先端接続部30から離脱される。具体的には、第1の爪33,34,35が、隙間261,262,263の位置へ向かって移動して第2の爪23,24,25から離れる。これにより、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との係合が解除される。その状態から先端接続部30がさらに逆方向へ回転されて、第1の爪33,34,35が隙間261,262,263に到達すると、先端アタッチメント20が先端接続部30から取り外される。
【0062】
係合角度Afは、重なり角度A4よりも小さい。図6に示すように、重なり角度A4は、第1の爪33,34,35が、第2の爪23,24,25と重なっている領域に対応する。すなわち、重なり角度A4は、第1の爪33,34,35が第2の爪23,24,25と重なっている円弧形状の領域の角度に相当する。
【0063】
図7に、第2円環部28及び第3円環部22の下面の第2例を示す。第2例に係る第2の爪23,24,25は、第1に例に係る第2の爪23,24,25に比べて小さい。したがって、図8に示すように、第1例と比べて、重なり角度A4が小さい。すなわち、重なり角度A4は、先端アタッチメント20の形状に応じて変化する。
【0064】
図9を参照して、重なり角度A4の算出の仕方を説明する。第1角度A1は、突起部231と突起部251との間隔で、360/N度である。Nは第1の爪の数であり、本実施形態では、第1角度A1は120度である。第2角度A2は、リブ255の周方向の幅に対応する角度であり、例えば、10度である。第2角度A2が大きいほど、重なり角度A4は小さくなる。第3角度A3は、第1の爪35に対する隙間263のゆとりに対応する角度であり、例えば、10度である。第3角度A3が大きいほど、重なり角度A4は小さくなる。第3角度A3が0度であると、先端アタッチメント20を先端接続部30に取り付けることが困難になる。
【0065】
重なり角度A4は、重なり角度A4=(第1角度A1-第2角度A2-第3角度A3)/3により算出される。先端接続部30を逆方向へ重なり角度A4よりも大きく回転させることにより、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との係合が解除される。ただし、実際には、重なり角度A4に対応する領域全体が、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との係合力(又は摩擦力又は結合力)を発生しているわけではない。重なり角度A4に対応する領域全体のうちの一部が、係合力を発生し、残りの部分は、第2領域233,243,253の挿入ガイドになっている。係合角度Afは、重なり角度A4に対応する領域のうち、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との間に係合力が生じている領域に対応する。すなわち、係合角度Afは、第1の爪33,34,35が第2の爪23,24,25と重なっており、且つ、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との間で係合力が生じている領域(即ち互いに挟まれて接触している領域)に対応する。
【0066】
図10に、第1の爪33の径方向に沿った断面を模式的に示す。第1の爪33の上面は、上下方向に垂直な面に対して、角度BAで傾斜している。そのため、第1の爪33と外側円環部31のとの間隔は、径方向の内側から外側へ向かって狭くなっている。図11に模式的に示すように、第1の爪33と外側円環部31との間に、第2の爪23の第2領域233が進入すると、第1の爪33が下方に撓み、第2領域233が第1の爪33と外側円環部31とに挟まれる。これにより、第1の爪33と第2の爪23との間に係合力が生じる。
【0067】
図12に、第1の爪33の周方向に沿った断面を模式的に示す。第1の爪33は、第1部分と第2部分とを有する。第1部分は、上下方向に垂直な面に対して角度BBで傾斜しており、第2部分よりも正転側に位置する。第2部分は、上下方向に垂直な面に平行であり、外側円環部31に接続されている。第1部分と外側円環部31との間隔は、第2部分との境界から正転側の端部に向かって広くなっている。第1部分は、第2の爪23の挿入ガイドの役割をする。図13に模式的に示すように、第1部分の端部から第2の爪23の第2領域233が進入すると、第2領域233が第1部分に干渉(即ち当接)し、係合力が発生し始める。その干渉し始めた位置からさらに第2領域233の進入が進むことで、第2領域233が、第1の爪33の第2部分と外側円環部31との隙間に進入して、第1の爪33と第2の爪23との間の係合力が上昇する。係合角度Afは、この係合力を発生させている領域に対応する角度である。係合角度Afは、重なり角度A4よりも小さく、本実施形態では、重なり角度A4の半分である。
【0068】
したがって、先端接続部30を逆方向へ、係合角度Af以上且つ360度未満、回転させることで、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との係合が解除される。好ましくは、先端接続部30を逆方向へ、重なり角度A4以上且つ360度未満、回転させることで、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との係合が解除される。
【0069】
このように、本第1実施形態では、先端アタッチメント20は、係合力(即ち摩擦力)によって先端接続部30に係合される。そのため、先端アタッチメント20に、その摩擦力よりも大きな正転方向の力(先端接続部30を基準とした相対的な力)(以下、「解除力」と称する)が加わらない限り、係合状態は維持される。解除力は、第1の爪33,34,35と第2の爪23,24,25との係合を解除し得る大きさを有する。
【0070】
先端アタッチメント20に解除力が加わると、先端アタッチメント20が先端接続部30に対して相対的に正転方向へ移動し、これにより係合状態が解除される。なお、係合状態を解除し得る、先端アタッチメント20の相対的な正転方向のモーメント(即ち係合部分に解除力を発生し得るモーメント)のことを、以下、「解除モーメント」と称する。
【0071】
先端アタッチメント20に解除モーメントが発生すると、先端接続部30との係合部位に、係合力よりも大きな解除力が発生する。これにより係合状態が解除される。
先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させることができれば、先端アタッチメント20に触れることなく、且つ、先端アタッチメント20を床面から離した状態で、先端アタッチメント20を取り外すことができる。
【0072】
先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させる方法は種々考えられる。本第1実施形態では、先端アタッチメント20の慣性モーメントが、先端接続部30の慣性モーメントよりも大きい。そこで、本第1実施形態では、このような慣性モーメントの差を利用して解除モーメントを発生させ、これにより先端アタッチメント20を取り外す。具体的には、後述するように、先端アタッチメント20を取り外す際、回転中のモータ70を急減速させて、先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させる。これにより先端アタッチメント20を取り外すことができる。
【0073】
本明細書における先端接続部30の慣性モーメントとは、文字通り先端接続部30のみの慣性モーメントを意味していてもよい。あるいは、先端接続部30に加えて、モータ70の回転軸77に機械的に接続されて回転軸77の回転力を先端接続部30に伝達するための機構(減速機構75を含む)を含む、被駆動体全体の慣性モーメントを意味していてもよい。本第1実施形態では、先端接続部30単体の慣性モーメントは、被駆動体全体の慣性モーメントに近いかほぼ等しい。
【0074】
(1-3)清掃装置の電気的構成
図14を参照して、清掃装置1の電気的構成を示す。清掃装置1は、モータ70、減速機構75、先端接続部30、及び位置センサ65を備える。
【0075】
モータ70は、3つの端子70a,70b,70cを備える。これら3つの端子70a,70b,70cは、モータ70における三相の巻線に接続されている。モータ70は、これら3つの端子70a,70b,70cを介して電力を受ける。
【0076】
位置センサ65は、3つのホールセンサを含む。3つのホールセンサは、モータ70の三相の巻線に対応して配置されている。3つのホールセンサは、モータ70のロータが電気角60度回転する都度、順番に位置信号を制御回路60へ出力する。なお、別の実施形態では、モータ70は、ブラシ付きモータであってもよい。この場合、清掃装置1は、位置センサ65を備えていなくてもよい。
【0077】
更に、清掃装置1は、コントローラ50を備える。コントローラ50は、電源制御回路52、レギュレータ53、制御回路60、第1データ通信部61、第2データ通信部62、ゲート回路55、インバータ回路56、遮断スイッチ59、バッテリ電圧検出部63、電流検出回路57、及び温度検出回路58を備える。
【0078】
電源制御回路52は、バッテリパック40の正極に接続されており、電源制御信号及び主電源信号に基づいて、レギュレータ53を制御する。電源制御信号は、バッテリパック40から出力され、オン又はオフを示す。電源制御信号のオンは、バッテリパック40の残容量が所定量以上であることに対応し、電源制御信号のオフは、バッテリパック40の残容量が所定量未満であることに対応する。電源制御回路52は、電源制御信号がオン且つ主電源がオンである場合に、レギュレータ53に、コントローラ50の各回路へ供給する電力を生成させる。電源制御回路52は、電源制御信号がオフ又は主電源がオフである場合に、レギュレータ53を停止させる。
【0079】
インバータ回路56は、遮断スイッチ59を介して、バッテリパック40の正極に接続されている。インバータ回路56は、ローサイドの3個のスイッチング素子と、ハイサイドの3個のスイッチング素子を有するフルブリッジ回路である。スイッチング素子は、例えば、MOSFETである。遮断スイッチ59は、MOSFET当のスイッチング素子である。
【0080】
ゲート回路55は、制御回路60から入力されたモータ制御信号に基づいて、インバータ回路56の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。インバータ回路56は、各スイッチング素子のオン/オフに応じた電圧を、モータ70の3相の巻き線に印加する。また、ゲート回路55は、制御回路60から入力されたスイッチ制御信号に基づいて、遮断スイッチ59のオン/オフを制御する。遮断スイッチ59がオンのとき、インバータ回路56は、バッテリパック40に導通し、バッテリパック40から電力を受ける。遮断スイッチ59がオフのとき、インバータ回路56とバッテリパック40との電気的な接続が遮断される。
【0081】
バッテリ電圧検出部63は、バッテリ電圧値を検出して、検出したバッテリ電圧値を制御回路60へ出力する。バッテリ電圧値は、バッテリパック40の出力電圧の大きさに相当する。
【0082】
電流検出回路57は、バッテリ電流値を検出して、検出したバッテリ電流値を制御回路60へ出力する。バッテリ電流値は、バッテリパック40からモータ70へ流れる電流の大きさに相当する。
【0083】
温度検出回路58は、コントローラ50の回路温度を検出し、検出した回路温度を制御回路60へ出力する。
本第1実施形態の制御回路60は、CPU60a、メモリ60bを含むマイクロコンピュータを備える。メモリ60bは、例えば、ROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリを含む。制御回路60は(詳しくはCPU60aは)、メモリ60bに格納されたプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。また、制御回路60は、各種機能に応じて生成された一時的なデータをメモリ60bに保存する。
【0084】
制御回路60により実現される各種機能の一部又は全部は、プログラムの実行によって(即ち、ソフトウェア処理によって)達成されてもよいし、一つあるいは複数のハードウェアによって達成されてもよい。例えば、制御回路60は、マイクロコンピュータに代えて、又はマイクロコンピュータに加えて、複数の電子部品を含むロジック回路を備えていてもよいし、ASIC及び/又はASSPなどの特定用途向け集積回路を備えていてもよいし、任意の論理回路を構築可能な例えばFPGAなどのプログラマブルロジックデバイスを備えていてもよい。
【0085】
制御回路60は、第1データ通信部61を介して、バッテリパック40とシリアル通信を実行し、バッテリ情報を受信する。バッテリ情報は、バッテリパック40が放電可能な状態か否かや、バッテリパック40の型番等の識別データなどを含む。制御回路60は、第2データ通信部62を介して、バッテリパック40から放電許可信号又は放電禁止信号を受信する。放電許可信号は、バッテリパック40が放電可能な状態である場合に、バッテリパック40から送信される。放電禁止信号は、バッテリパック40が放電不可能な状態である場合に、バッテリパック40から送信される。
【0086】
制御回路60は、主電源信号、取外しモード信号、トリガ信号、回路温度、バッテリ電圧値、バッテリ電流値、位置信号、バッテリ情報、放電許可信号又は放電禁止信号に基づいて、モータ制御信号及びスイッチ制御信号を生成する。制御回路60は、生成したモータ制御信号及びスイッチ制御信号をゲート回路55へ出力する。モータ制御信号は、パルス幅変調(PWM)信号を含む。また、制御回路60は、主電源信号及び取外しモード信号に基づいて、速度表示部151のLEDを制御する。
【0087】
(1-4)制御回路の処理
(1-4-1)メイン処理
図15のフローチャートを参照して、制御回路60(詳しくはCPU60a)が実行するメイン処理について説明する。制御回路60は、所定の制御周期で本処理を繰り返し実行する。
【0088】
S10では、今回の処理サイクルを開始してから制御周期が経過したか判定する。制御周期は、予め設定されている。制御周期が経過したと判定した場合は(S10:YES)、S20の処理へ進み、制御周期が経過していないと判定した場合は(S10:NO)、S10の処理を繰り返し実行する。
【0089】
S20では、スイッチ操作検出処理を実行し、主電源/速度モード切替スイッチ153、取外しモードスイッチ154及びトリガ14のユーザによる操作を検出する。その後、S30の処理へ進む。スイッチ操作検出処理の詳細は後述する。
【0090】
S30では、AD変換処理を実行し、制御回路60に入力された回路温度、バッテリ電圧値、及びバッテリ電流値のアナログ値をデジタル値に変換する。その後、S40の処理へ進む。
【0091】
S40では、エラー検出処理を実行する。詳しくは、バッテリ電流値、バッテリ電圧値、回路温度、モータ70の回転速度、バッテリ情報等に基づいて、清掃装置1又はバッテリパック40を保護する必要があるエラーの発生を検出する。エラーの種類としては、モータ70に過大な電流が流れている過電流エラー、モータ70が過大な負荷を受けている過負荷エラー、回路温度が正常範囲よりも高い高温エラー、モータ70の回転速度が上限を超える速度超過エラー、バッテリパック40が放電禁止状態であるバッテリエラーなどが挙げられる。その後、S50の処理へ進む。
【0092】
S50では、モータ制御処理を実行し、モータ70の駆動を制御する。その後、S60の処理へ進む。モータ制御処理の詳細は後述する。
S60では、表示処理を実行する。詳しくは、設定されている速度モード及び回転方向に基づいて、速度表示部151のLEDを点灯、点滅、又は消灯させる。また、S40の処理においていずれかのエラーが検出された場合に、エラー表示部152のLEDを点灯させる。その後、S70の処理へ進む。
【0093】
S70では、電源管理処理を実行し、主電源状態をオン又はオフにする。電源管理処理の詳細は後述する。
(1-4-2)割込み処理
図16のフローチャートを参照して、制御回路60が実行するホールセンサ割込み処理について説明する。制御回路60は、位置センサ65に含まれるいずれかのホールセンサから位置信号が入力されると、本処理を割り込みで実行する。
【0094】
ホールセンサ割込み処理では、制御回路60は、S80で、インバータ制御処理を実行する。具体的には、インバータ回路56の6個のスイッチング素子をオン又はオフする。インバータ制御処理の詳細は後述する。
【0095】
(1-4-3)スイッチ操作検出処理
図17のフローチャートを参照して、メイン処理のS20において制御回路60が実行するスイッチ操作検出処理について説明する。
【0096】
S100では、各種スイッチの状態を取得する。すなわち、主電源/速度モード切替スイッチ153から主電源信号を取得し、取外しモードスイッチ154から取外しモード信号を取得する。さらに、トリガ14からトリガ信号を取得する。その後、S110の処理へ進む。
【0097】
S110では、各種スイッチから取得した各種信号にフィルタ処理を適用して、オン状態が一定時間以上継続した場合に、信号がオンであることを検出し、オフ状態が一定時間以上継続した場合に、信号がオフであることを検出する。すなわち、瞬時的な信号の変化は、検出しない。その後、S120の処理へ進む。
【0098】
S120では、各種スイッチの状態変化に応じた変化フラグをオンにする。詳しくは、主電源信号がオンからオフ又はオフからオンに変化した場合には、主電源変化フラグをオンにする。取外しモード信号がオンからオフ又はオフからオンに変化した場合には、取外しモード変化フラグをオンにする。トリガ信号がオンからオフ又はオフからオンに変化した場合には、トリガ変化フラグをオンにする。その後、S130の処理へ進む。
【0099】
S130では、各種スイッチがオン状態を継続している時間、又は、オフ状態を継続している時間を計測する。
(1-4-4)電源管理処理
図18のフローチャートを参照して、メイン処理のS70において制御回路60が実行する電源管理処理について説明する。
【0100】
S200では、現在の主電源状態がオフか判定する。現在の主電源状態がオンであると判定した場合は(S200:NO)、S210の処理へ進み、現在の主電源状態がオフであると判定した場合は(S200:YES)、S220の処理へ進む。
【0101】
S210では、主電源状態のオフ判定を実行して、主電源状態をオンからオフへ切り替えるかオンに維持するか判定し、本処理を終了する。主電源状態のオフ判定の詳細は後述する。
【0102】
S220では、主電源状態のオン判定を実行して、主電源状態をオフからオンへ切り替えるかオフに維持するか判定する。具体的には、主電源変化フラグがオンである場合には、主電源状態をオフからオンへ切り替える。主電源変化フラグがオフである場合には、主電源状態をオフに維持する。その後、本処理を終了する。
【0103】
(1-4-5)主電源状態のオフ判定処理
図19のフローチャートを参照して、電源管理処理のS210において制御回路60が実行する主電源状態のオフ判定処理について説明する。
【0104】
S230では、スイッチ操作による主電源状態のオフ判定処理を実行する。具体的には、主電源変化フラグがオンである場合には、主電源状態をオンからオフへ切り替える。主電源変化フラグがオフである場合には、主電源状態をオンに維持する。その後、S240の処理へ進む。
【0105】
S240では、主電源状態の自動オフ判定処理を実行する。具体的には、主電源変化フラグがオフであっても、節電のために、主電源状態をオンからオフへ切り替えるか判定し、本処理を終了する。主電源状態の自動オフ判定処理の詳細は後述する。
【0106】
(1-4-6)主電源状態の自動オフ判定処理
図20のフローチャートを参照して、主電源状態のオフ判定処理のS240において制御回路60が実行する主電源状態の自動オフ判定処理について説明する。
【0107】
S250では、ユーザによりいずれかのスイッチが操作されたか判定する。すなわち、主電源変化フラグ、取外しモード変化フラグ、及びトリガ変化フラグのいずれかがオン状態であるか判定する。少なくなくとも一つの変化フラグがオン状態であると判定した場合は(S250:YES)、S320の処理へ進み、すべての変化フラグがオフ状態であると判定した場合は(S250:NO)、S260の処理へ進む。
【0108】
S260では、主電源オンタイマを加算し、S270の処理へ進む。主電源オンタイマは、ユーザが清掃装置1を操作していない、且つ、主電源がオンである状態が継続している時間に対応する。
【0109】
S270では、取外しモードがオンに設定されているか判定する。取外しモードがオンに設定されていないと判定した場合は(S270:NO)、S280の処理へ進む。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合は(S270:YES)、S300の処理へ進む。
【0110】
S280では、主電源オンタイマの値が、第1閾値以上であるか判定する。第1閾値は、数分、例えば5分である。ユーザは、主電源をオンにした状態で、清掃装置1による作業を中断して、水まきなどの別の作業を行うことがある。この場合、ユーザが清掃装置1による作業を再開するときに、主電源がオフになっていると、ユーザが煩わしさを感じる可能性がある。一方で、ユーザが主電源をオフにすることを忘れて清掃装置1を保管した場合に、主電源をオフにしないと、バッテリパック40の電力が無駄に消費される。
【0111】
そこで、制御回路60は、ユーザが清掃装置1を操作していない状態が、作業の中断であるか判定し、作業の中断ではないと判定した場合は、主電源をオフにする。第1閾値は、清掃装置1が操作されていない状態が、作業の中断であるか判定するための閾値である。主電源オンタイマの値が第1閾値以上であると判定した場合は(S280:YES)、S290の処理へ進み、主電源オンタイマの値が第1閾値未満であると判定した場合は(S280:NO)、本処理を終了する。
【0112】
S290では、ユーザが清掃装置1を操作していない状態が第1閾値以上継続したことに応じて、現在の状態が作業の中断ではないと判定して、主電源状態をオフにする。その後、本処理を終了する。
【0113】
S300では、主電源オンタイマの値が、第2閾値以上であるか判定する。第2閾値は、第1閾値よりも小さい値であり、例えば1分である。通常、ユーザは、先端アタッチメント20を取り外すとき以外に、取外しモードをオンに設定することはない。したがって、取外しモードがオンに設定されており、且つ、ユーザが清掃装置1を操作していない場合には、現在の状態が作業の中断か判定する必要はなく、直ちに主電源をオフにすればよい。
【0114】
主電源オンタイマの値が第2閾値以上であると判定した場合は(S300:YES)、S310の処理へ進み、主電源オンタイマの値が第2閾値未満であると判定した場合は(S300:NO)、本処理を終了する。
【0115】
S310では、主電源状態をオフにし、本処理を終了する。
S320では、ユーザが清掃装置1を操作していることに応じて、主電源オンタイマをクリアする。すなわち、主電源オンタイマの値をゼロに戻す。その後、本処理を終了する。
【0116】
(1-4-7)モータ制御処理
図21のフローチャートを参照して、メイン処理のS50において制御回路60が実行するモータ制御処理について説明する。
【0117】
S400では、速度モードの設定処理を実行して、高速モード、中速モード、及び低速モードのいずれかを速度モードに設定し、S410の処理へ進む。速度モード設定処理の詳細は後述する。
【0118】
S410では、取外しモードの設定処理を実行して、取外しモードのオンまたはオフの設定などを行い、S420の処理へ進む。取外しモードは、先端アタッチメント20を取り外すためのモードである。取外しモードがオンに設定されると、制御回路60は、先端アタッチメント20を取り外すための制御、即ち、先端アタッチメント20に前述の解除モーメントを発生させるための制御を行う。なお、前述の基本モードは、取外しモードがオフに設定されている状態に対応する。取外しモードの設定処理の詳細は後述する。
【0119】
なお、本第1実施形態では、清掃装置1の動作モードが、取外しモードまたは基本モードに設定される。基本モードは、取外しモードがオフに設定されている状態に対応し、取外しモードは、取外しモードがオンに設定されている状態に対応する。さらに、本第1実施形態では、基本モードにおいて、複数種類の制御モードのうちのいずれかでモータ70が制御される。複数種類の制御モードは、本第1実施形態では、駆動モード、停止モード、第1ブレーキモード及び第2ブレーキモードを有する(図32参照)。
【0120】
S420では、状態遷移処理を実行して、モータ70の制御モードを、駆動モード、停止モード、第1ブレーキモードまたは第2ブレーキモードに設定し、本処理を終了する。状態遷移処理の詳細は後述する。
【0121】
(1-4-8)速度モードの設定処理
図22のフローチャートを参照して、モータ制御処理のS400において制御回路60が実行する速度モードの設定処理について説明する。
【0122】
S430では、主電源状態がオフかオンか判定する。主電源状態がオンと判定した場合は(S430:YES)、S440の処理へ進む。主電源状態がオフと判定した場合は(S430:NO)、S480の処理へ進む。
【0123】
S440では、主電源/速度モード切替スイッチ153がオンからオフに変化したか判定する。すなわち、ユーザが主電源/速度モード切替スイッチ153から手を離したか判定する。詳しくは、主電源/速度モード切替スイッチ153が、オンからオフに切り替わった直後であるか判定する。S440において、主電源/速度モード切替スイッチ153が、オンからオフに切り替わった直後であると判定した場合は、(S440:YES)、S450の処理へ進む。S440において、主電源/速度モード切替スイッチ153が、オンからオフに切り替わった直後ではないと判定した場合は(S440:NO)、本処理を終了する。
【0124】
S450では、主電源/速度モード切替スイッチ153が短押しされたか判定する。具体的には、S130において計測した、主電源/速度モード切替スイッチ153のオン状態の継続時間に基づいて、主電源/速度モード切替スイッチ153が短押しされたか判定する。主電源/速度モード切替スイッチ153が短押しされたと判定した場合は(S450:YES)、S460の処理へ進む。主電源/速度モード切替スイッチ153が短押しされていないと判定した場合は(S450:NO)、本処理を終了する。
【0125】
S460では、現在設定されている速度モードを次の速度モードに変更し、S470の処理へ進む。
S470では、S460において変更した速度モードを、メモリ60bに保存し、本処理を終了する。
【0126】
S480では、メモリ60bに保存されている速度モードを、モータ70の制御に用いる速度モードに設定し、本処理を終了する。
(1-4-9)取外しモードの設定処理
図23A~23Cのフローチャートを参照して、モータ制御処理のS410において制御回路60が実行する取外しモードの設定処理について説明する。
【0127】
まず、S500~S560の処理では、取外しモードの切替要求をオン又はオフに設定する処理を実行する。
S500では、主電源状態がオンか判定する。主電源状態がオンであると判定した場合(S500:YES)、S510の処理へ進み、主電源状態がオフであると判定した場合(S500:NO)、S540の処理へ進む。
【0128】
S510では、取外しモード変化フラグに基づいて、取外しモードスイッチ154がオフからオンに変化したか判定する。取外しモードスイッチ154がオフからオンに変化したと判定した場合は(S510:YES)、S520の処理へ進み、取外しモードスイッチ154がオフのままであると判定した場合は(S510:NO)、S570の処理へ進む。
【0129】
S520では、清掃装置1又はバッテリパック40の保護が動作しているか判定する。すなわち、S40において、いずれかのエラーが検出されているか判定する。清掃装置1又はバッテリパック40の保護が動作していると判定した場合(S520:YES)、S570の処理へ進む。清掃装置1又はバッテリパック40の保護が動作していないと判定した場合(S520:NO)、S530の処理へ進む。
【0130】
S530では、取外しモードの切替要求をオンにし、S570の処理へ進む。
S540では、主電源状態がオフであることに応じて、モータ停止要求をオフにし、S550の処理へ進む。
【0131】
S550では、ユーザが次に清掃装置1を使用するときに、正転で作業が開始されるように、取外しモードをオフに設定し、S560の処理へ進む。
S560では、取外しモードの切替要求をオフにし、S570の処理へ進む。
【0132】
続いて、S570~S610では、取外しモードの切替要求に基づいて、取外しモードの切替処理を実行する。
S570では、取外しモードの切替要求がオンか判定する。取外しモードの切替要求がオンであると判定した場合は(S570:YES)、S580の処理へ進み、取外しモードの切替要求がオフであると判定した場合は(S570:NO)、S620の処理へ進む。
【0133】
S580では、モータ70の回転速度が停止判定閾値未満か判定する。安全のため、モータ70の回転中には、回転方向を切り替えない。S580では、モータ70が停止していると見なせる状態であるか判定する。停止判定閾値は、モータ70が停止していると見なせる程度に小さい。回転速度が停止判定閾値未満であると判定した場合は(S580:YES)、S590の処理へ進む。回転速度が停止判定閾値以上であると判定した場合は(S580:NO)、回転方向を切替えないで、S620の処理へ進む。
【0134】
S590では、トリガ14がオフ(即ちトリガ信号がオフ)であるか判定する。トリガ14がオフであると判定した場合は(S590:YES)、S600の処理へ進み、トリガ14がオン(即ちトリガ信号がオン)であると判定した場合は(S590:NO)、S620の処理へ進む。
【0135】
S600では、取外しモードを、現在設定されている状態と異なる状態へ切り替える。すなわち、現在の取外しモードがオフに設定されている場合は、取外しモードをオンに切換える。現在の取外しモードがオンに設定されている場合は、取外しモードをオフに切換える。その後、S610の処理へ進む。
【0136】
S610では、取外しモードの切り替えを終了したので、取外しモードの切替要求をオフにし、S620の処理へ進む。
続いて、S620~S680では、モータ停止要求をオン又はオフに設定する処理を実行する。
【0137】
S620では、モータ停止要求がオフか判定する。モータ停止要求がオフであると判定した場合は(S620:YES)、S630の処理へ進み、モータ停止要求がオンであると判定した場合は(S620:NO)、S660の処理へ進む。
【0138】
S630では、取外しモードの切替要求がオンか判定する。取外しモードの切替要求がオンであると判定した場合は(S630:YES)、S640の処理へ進み、取外しモードの切替要求がオフであると判定した場合は(S630:NO)、S690の処理へ進む。
【0139】
S640では、回転速度が停止判定閾値以上であるか判定する。回転速度が停止判定閾値以上であると判定した場合は(S640:YES)、S650の処理へ進み、回転速度が停止判定閾値未満であると判定した場合は(S640:NO)、S690の処理へ進む。
【0140】
S650では、モータ停止要求をオンにする。これにより、後述する状態遷移処理において、モータ70の停止処理が実行されて、回転速度が停止判定閾値未満になる。ひいては、S600において、回転方向が切り替えられる。その後、S690の処理へ進む。
【0141】
S660では、回転速度が停止判定閾値未満か判定する。回転速度が停止判定閾値未満であると判定した場合は(S660:YES)、S670の処理へ進み、回転速度が停止判定閾値以上であると判定した場合は(S660:NO)、S690の処理へ進む。
【0142】
S670では、トリガ14がオフか判定する。トリガ14がオフであると判定した場合は(S670:YES)、S680の処理へ進み、トリガ14がオンであると判定した場合は(S670:NO)、S690の処理へ進む。
【0143】
S680では、モータ70が停止し、且つ、ユーザがモータ70の再始動を要求していないため、モータ停止要求をオフにし、S690の処理へ進む。
続いて、S690~S740では、取外しのためにブレーキをかけるべき要件が満たされている場合にモータ停止要求をオンに設定する処理を実行する。
【0144】
S690では、制御回路60は、回転速度閾値算出処理を実行する。回転速度閾値算出処理では、第1回転速度閾値を算出する。第1回転速度閾値は、先端アタッチメント20を取り外すために必要なモータ70の回転速度に対応する。
【0145】
本第1実施形態では、回転中のモータ70にブレーキをかけて急減速させることにより、先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させて(つまり前述の解除力を発生させて)、先端アタッチメント20を取り外す。このようにブレーキによって先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させるためには、必要な減速度を発生させるためにも、モータ70の回転速度がある程度のレベルに達した状態でブレーキをかける必要がある。
【0146】
「ある程度のレベル」は、主に、先端アタッチメント20の慣性モーメントに依存する。より詳しくは、「ある程度のレベル」は、先端アタッチメント20の慣性モーメントと先端接続部30の慣性モーメントとの差、換言すれば先端接続部30の慣性モーメントを基準とした先端アタッチメント20の相対的な慣性モーメント、に依存する。以下の説明において、単に「慣性モーメント」と言うときは、特にことわりの無い限り、前述の先端アタッチメント20の相対的な慣性モーメントを意味するものとする。
【0147】
慣性モーメントが小さいほど、先端アタッチメント20を取り外すのに必要なブレーキトルクが大きくなる。換言すれば、慣性モーメントが小さいほど、ブレーキ開始時に要求される「ある程度のレベル」の回転速度が高くなる。この「ある程度のレベル」の回転速度に対応するのが、第1回転速度閾値である。
【0148】
本第1実施形態では、モータ70が駆動される際、目標回転速度が設定される。動作モードが基本モードに設定されている場合(つまり取外しモードがオフに設定されている場合)は、設定されている速度モードに応じて目標回転速度が設定される。そして、その目標回転速に応じた電力がモータ70に供給されてモータ70が駆動される。これにより、モータ70の実回転速度は、駆動開始後、目標回転速度に向けて上昇(即ち加速)していき、目標回転速度またはその近傍に到達する。
【0149】
図25に例示するように、本第1実施形態では、基本モード時の目標回転速度は、駆動開始時から、規定最大速度に向けて徐々に増加していく。速度モードに応じて異なるのは、詳しくは、規定最大速度である。高速モード時の規定最大速度が最も高く、低速モード時の規定最大速度が最も低い。速度モード毎の目標回転速度は、例えば、メモリ60bに予め格納されていてもよい。なお、目標回転速度は、駆動開始時から規定最大速度に設定されてもよい。ただし、本第1実施形態では、目標回転速度を、駆動開始時から規定最大速度まで徐々に増加させている。
【0150】
なお、図25に例示した目標回転速度は、取外しモードがオフに設定されている基本モードの目標回転速度である。
取外しモード時の目標回転速度(詳しくはその規定最大速度)は、どのように設定されてもよい。取外しモード時の目標回転速度は、例えば、高速モード時の規定最大速度より高くてもよいし、(ii)何れかの速度モードにおける規定最大速度と同じであってもよいし、(iii)低速モード時の規定最大速度から高速モード時の規定最大速度までの間における所定の速度であってもよいし、(iv)低速モード時の規定最大速度よりも低くてもよい。
【0151】
また例えば、取外しモードにおいても速度モードの設定が有効化されてもよい。この場合、取外しモード時の目標回転速度は、基本モード時より高くてもよいし、基本モード時と同じであってもよいし、基本モード時よりも低くてもよい。また、取外しモードにおいても、目標回転速度は、規定最大速度に向けて徐々に増加してもよい。
【0152】
取外しモードにおいては、目標回転速度が高いほど、取外しの際に急減速期間を長く発生させることができ、これにより先端アタッチメント20に大きな逆トルク(延いては解除モーメント)を長く発生させることができる。そのため、目標回転速度が高いほど先端アタッチメント20を取り外しやすくなると言える。
【0153】
ただし、本第1実施形態において先端アタッチメント20の取外しに最も重要なのは、目標回転速度よりもむしろ、解除モーメントを発生し得る減速度である。なぜなら、目標回転速度がどれだけ高くても、減速度が低ければ解除モーメントを発生させることができないからである。
【0154】
そのため、先端アタッチメント20を確実に取り外すためには、少なくとも、十分な減速度を発生させることが必要である。そして、より望ましくは、減速時間を必要十分に確保するために目標回転速度を適宜設定することがより効果的であると言える。
【0155】
本第1実施形態では、どの速度モードであっても、規定最大速度は少なくとも上記「ある程度のレベル」の回転速度よりも高く設定される。なお、いずれかの速度モード(例えば低速モード)では規定最大速度が「ある程度のレベル」より低く設定されてもよい。
【0156】
第1回転速度閾値は、例えば固定値であってもよい。つまり、S690では、予め決められた所定の値であってもよい。この固定値は、例えば、設計上の慣性モーメントに基づいて理論的に導出されてもよい。
【0157】
あるいは、第1回転速度閾値は、例えば、慣性モーメントの推定値に基づいて動的に算出してもよい。つまり、先端アタッチメント20を実際に動作させ、その動作中に得られる各種パラメータに基づいて慣性モーメントを推定し、その推定された慣性モーメント(以下、「推定慣性モーメント」と称する)に基づいて第1回転速度閾値を算出してもよい。具体的には、推定慣性モーメントが小さいほど第1回転速度閾値が高くなるように、第1回転速度閾値を算出してもよい。
【0158】
図23CのS690は、推定慣性モーメントに基づいて第1回転速度閾値を算出する例を示している。即ち、S691で、慣性モーメントの推定が完了しているか否か判断する。後述するように、慣性モーメントの推定が完了している場合は、推定状態が「完了」に設定され、推定が完了していない場合は、推定状態が「未完了」に設定される。したがって、設定されている推定状態に基づいて、慣性モーメントの推定が完了しているか否かを判定できる。慣性モーメントを推定する処理の詳細については後述する。
【0159】
慣性モーメントの推定が完了していない場合は(S691:NO)、S694で、第1回転速度閾値を基準閾値に設定し、S700に移行する。基準閾値は、本第1実施形態では前述の固定値である。
【0160】
慣性モーメントの推定が完了している場合は(S691:YES)、S692で、推定慣性モーメントの、対基準比率[%]を算出する。対基準比率とは、推定慣性モーメントと基準慣性モーメントとの比率であり、例えば「推定慣性モーメント/基準慣性モーメント×100」の演算で得られる。基準慣性モーメントは、例えば前述の設計上の慣性モーメントに対応する。
【0161】
対基準比率には上限及び/または下限を設定してもよい。例えば、算出された対基準比率が上限値(例えば150%)を超えた場合は一律に150%として扱ってもよい。また例えば、算出された対基準比率が下限値(例えば50%)未満である場合は一律に50%として扱ってもよい。
【0162】
S693では、S692で算出された対基準比率に基づいて第1回転速度閾値を計算する。具体的には、第1回転速度閾値は例えば、「基準閾値/対基準比率[%]×100」の演算で算出してもよい。推定慣性モーメントが大きいほど、対基準比率が大きくなってそれにより第1回転速度閾値は低くなる。S693の処理後はS700に移行する。
【0163】
S700では、取外しモードがオンに設定されているか否か判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合は(S700:YES)、S710の処理へ進み、取外しモードがオフに設定されていると判定した場合は(S700:NO)、本処理を終了する。
【0164】
S710では、モータ70の制御モードが駆動モードに設定されているか判定する。制御モードが駆動モードに設定されていると判定した場合は(S710:YES)、S720の処理へ進み、制御モードが駆動モードに設定されていないと判定した場合は(S710:NO)、本処理を終了する。
【0165】
S720では、モータ70の実回転速度が、S690において算出された第1回転速度閾値以上か判定する。実回転速度が第1回転速度閾値以上であると判定した場合は(S720:YES)、S730の処理へ進み、実回転速度が第1回転速度閾値未満であると判定した場合は(S720:NO)、本処理を終了する。
【0166】
S730では、モータ停止要求をオンにし、S740の処理へ進む。
S740では、取外しモードの自動オフ判定処理を実行する。具体的には、先端アタッチメント20が清掃装置1から外れたと推測できるか判定し、先端アタッチメント20が清掃装置1から外れたと推測できる場合に、ユーザの取外しモードスイッチ154の操作なしに、取外しモードをオフへ自動的に変更する。取外しモードの自動オフ判定処理の詳細は後述する。その後、本処理を終了する。
【0167】
なお、図23Cでは、第1回転速度閾値とモータ70の実回転速度とに基づいて、ブレーキをかけるタイミング(即ちモータ停止要求をオンに設定するタイミング)が判断された。しかし、ブレーキをかけるタイミングはどのように判断されてもよい。例えば、モータ70が駆動を開始してからの経過時間に基づいて判断されてもよい。図24は、その経過時間に基づいてブレーキをかけるタイミングを判断する例を示している。図24は、図23Cの変形例である。つまり、図23Cの処理に代えて図24の処理が実行されてもよい。
【0168】
制御回路60は、図24の処理に移行すると、S750で、自動停止時間を規定時間に設定する。規定時間は、モータ70の駆動開始後、実回転速度が前述の「ある程度のレベル」に達するのに要する時間の推定値に対応する。規定時間はどのように推定されてもよい。規定時間は、例えば慣性モーメント(即ち推定慣性モーメントまたは設計上の慣性モーメント)に基づいて推定してもよい。続くS700,S710の処理は図23Cと同様である。
【0169】
続くS760では、モータ駆動開始から自動停止時間(即ち規定時間)が経過したか否か判断する。モータ駆動開始から自動停止時間が経過したと判定した場合は(S760:YES)、S730の処理へ進み、モータ駆動開始から自動停止時間が経過していないと判定した場合は(S760:NO)、本処理を終了する。S730,S740の処理は図23Cと同様である。
【0170】
なお、図23Cに示した実回転速度に基づくブレーキタイミング判断と、図24に示した経過時間に基づくブレーキタイミング判断が、併用されてもよい。例えば、実回転速度が第1回転速度閾値以上であるか、若しくはモータ駆動開始から自動停止時間が経過した場合に、モータ停止要求をオンに設定してもよい。また例えば、実回転速度が第1回転速度閾値以上であって、且つ、モータ駆動開始から自動停止時間が経過した場合に、モータ停止要求をオンに設定してもよい。
【0171】
(1-4-10)取外しモードの自動オフ判定処理
次に、図26のフローチャートを参照して、S740(図23C参照)の取外しモードの自動OFF判定処理の詳細について説明する。この処理は、取外しモードがオンに設定された後、取外しモードをオフに設定すべき状況が生じた場合には自動的に取外しモードをオフに設定する
S780では、取外しモードがオンに設定されているか否か判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合は(S780:YES)、S790の処理へ進む。取外しモードがオフに設定されていると判定した場合は(S780:NO)、S810の処理へ進む。
【0172】
S790では、今回の制御周期で制御モードが停止モードに切り替わったか否か判定する。制御モードが停止モードに切り替わった場合はS800の処理へ進み、制御モードが停止モードに切り替わっていない場合(つまり停止モード以外の何れかに設定されている場合)は、S820の処理へ進む。
【0173】
S800では、現在算出されている取外しモードでの駆動回数に「1」加算して、S820の処理へ進む。つまり、駆動回数を更新する。駆動回数とは、モータが駆動された回数である。1回の駆動は、モータ70が回転を開始してから停止するまでに相当する。
【0174】
S810では、取外しモードでの駆動回数を「0回」に設定して、S820の処理へ進む。つまりS810では、駆動回数をリセットする。
S820では、現在算出されている取外しモードでの駆動回数が所定回数以上であるか判定する。この判定は、換言すれば、先端アタッチメント20が先端接続部30から外れたか否かの判定である。取外しモードでの駆動回数が所定回数に到達した場合には、第1の爪33,34,35と、第2の爪23,24,25との係合が解除され、先端アタッチメント20が先端接続部30から外れたと推定できる。所定回数はどのように決められてもよい。所定回数は、例えば1回でもよいし、2回以上であってもよい。
【0175】
取外しモードでの駆動回数が所定回数以上であると判定した場合は(S820:YES)、S830の処理へ進み、取外しモードでの駆動回数が所定回数未満であると判定した場合は(S820:NO)、本処理を終了する。
【0176】
S830では、モータ70が完全に停止しているか否か判定する。この判定は、例えば、3つのホールセンサそれぞれからの位置信号に基づいて行うことができる。例えば、所定時間以上継続して3つの位置信号のいずれも変化していない場合に、モータ70が完全に停止していると判定することができる。
【0177】
モータ70が完全に停止している場合は(S830:YES)、S840の処理へ進み、モータ70が完全に停止していない場合は(S830:NO)、本処理を終了する。
S840では、取外しモードをオフに設定する。その後、本処理を終了する。
【0178】
(1-4-11)状態遷移処理
図27のフローチャートを参照して、S420(図21参照)の状態遷移処理の詳細を説明する。
【0179】
図27に示すように、S860では、慣性モーメント推定処理を実行する。具体的には、前述の慣性モーメントを推定する。S860の処理の詳細は後述する。
S870では、主電源状態がオンか判定する。主電源状態がオンであると判定した場合は(S870:YES)、S880の処理へ進み、主電源状態がオフであると判定した場合は(S870:NO)、S950の処理へ進む。
【0180】
S880では、清掃装置1又はバッテリパック40の保護が動作しているか判定する。清掃装置1又はバッテリパック40の保護が動作していると判定した場合(S880:YES)、S950の処理へ進む。清掃装置1又はバッテリパック40の保護が動作していないと判定した場合(S880:NO)、S890の処理へ進む。
【0181】
S890では、トリガ14がオンか判定する。トリガ14がオンであると判定した場合(S890:YES)、S900の処理へ進み、トリガ14がオフであると判定した場合(S890:NO)、S940の処理へ進む。
【0182】
S900では、モータ停止要求がオフか判定する。モータ停止要求がオフであると判定した場合(S900:YES)、S910の処理へ進み、モータ停止要求がオンであると判定した場合(S900:NO)、S940の処理へ進む。
【0183】
S910では、モータ70の制御モードを駆動モードに設定し、S920の処理へ進む。
S920では、フリーランタイマをリセットする。フリーランタイマは、モータ70のフリーランが行われている時間を計測する。フリーランとは、モータ70にブレーキをかけることなくモータ70を惰性で回転させることを意味する。フリーランにおいては、制御回路60はインバータ回路56の制御を停止する。そのため、フリーランにおいては、インバータ回路56における6個のスイッチング素子が全てオフしている。
【0184】
S930では、第1出力計算処理を実行する。第1出力計算処理では、駆動モード時における出力デューティ比を算出する。出力デューティ比は、前述のPWM信号のデューティ比である。第1出力計算処理の詳細は後述する。
【0185】
S940では、第2出力計算処理を実行する。第2出力計算処理では、モータ70を停止させるための制御モードの設定を行う。具体的には、制御モードが、第1ブレーキモード、第2ブレーキモードまたは停止モードに設定される。第2出力計算処理の詳細は後述する。
【0186】
S950では、モータ70の制御モードを停止モードに設定し、S960の処理へ進む。
S960では、制御モードが停止モードであることに応じて、モータ70の停止処理を実行して、S970の処理へ進む。
【0187】
S970では、出力デューティ比を初期化(例えば0に設定)して、本処理を終了する。
(1-4-12)第1出力計算処理
次に、図28のフローチャートを参照して、S930(図27参照)の第1出力計算処理の詳細について説明する。
【0188】
S105では、取外しモードがオンに設定されているか否か判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合は(S105:YES)、S115の処理へ進む。取外しモードがオフに設定されていると判定した場合(S105:NO)、S135の処理へ進む。
【0189】
S115では、取外しモードがオンに設定されている場合の目標回転速度を設定する。
S125では、S115で設定された目標回転速度に基づいて、PWM信号の出力デューティ比を算出する。その後、本処理を終了する。S125では、出力デューティ比は、例えば、目標回転速度と実回転速度との差に基づいて、その差がゼロになるように、比例積分制御により算出されてもよい。つまり、速度フィードバック制御が行われてもよい。ただし、実回転速度を参照しないオープン制御が行われてもよい。その場合、出力デューティ比は、目標回転速度に応じて決定されてもよい。
【0190】
S135では、慣性モーメントの推定が完了しているか否か判断する。慣性モーメントの推定が完了している場合は(S135:YES)、S145に移行する。慣性モーメントの推定が完了していない場合は(S135:NO)、S165に移行する。
【0191】
S145では、設定されている速度モードに応じた目標回転速度を設定する。ここで設定されるのは、基本モード時の目標回転速度であり、例えば前述の図25に示す設定情報に従って設定される。
【0192】
S155では、S145で設定された目標回転速度に基づいて、S125と同様の方法で、PWM信号の出力デューティ比を算出する。その後、本処理を終了する。
S165では、推定用モータ印加電圧を算出する。推定用モータ印加電圧は、慣性モーメントを推定するためにモータ70に印加すべき一定の値の電圧である。本第1実施形態では、基本モードでの駆動開始直後のごく短時間を利用して、慣性モーメントを推定する。この短時間において、モータ70に一定の値の推定用モータ印加電圧を印加する。その時のモータ70の動作状態に基づいて、後述するように、慣性モーメントが推定される。
【0193】
S175では、S165で算出された推定用モータ印加電圧に基づいて、PWM信号の出力デューティ比を算出する。その後、本処理を終了する。つまり、S175では、モータ70に推定用モータ印加電圧が印加されるように、出力デューティ比が算出される。ここでは、例えば、推定用モータ印加電圧に対応した一定の出力デューティ比を算出するかもしくは予め設定されていてもよい。しかし、バッテリ電圧が変動すると、出力デューティ比が一定であってもモータ70に実際に印加される電圧は変化する。そこで、バッテリ電圧が変動してもモータ70に実際に印加される電圧が推定用モータ印加電圧に維持されるように、バッテリ電圧に基づいて出力デューティ比を算出してもよい。例えば、バッテリ電圧が低くなるほど出力デューティ比を高めることで、結果として、バッテリ電圧によらずモータ70に一定の推定用モータ印加電圧が印加されるようにしてもよい。
【0194】
(1-4-13)第2出力計算処理
次に、図29のフローチャートを参照して、S940(図27参照)の第2出力計算処理の詳細について説明する。
【0195】
S205では、取外しモードがオンに設定されているか否か判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合は(S205:YES)、S215の処理へ進む。取外しモードがオフに設定されていると判定した場合(S205:NO)、S285の処理へ進む。
【0196】
S215では、先端アタッチメント20を取り外すためのブレーキ力を設定する。換言すれば、先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させるのに必要なブレーキ力を設定する。具体的には、推定慣性モーメントに基づいてブレーキ力を設定する。本第1実施形態では、ブレーキ力は0%から100%の間で設定される。0%は、ブレーキをかけないことに対応する。ブレーキ力100%は、モータ70を最も強く制動することに対応する。ブレーキ力が100%に設定されている場合、本第1実施形態では、三相短絡ブレーキによってモータ70にブレーキがかけられる。
【0197】
S215では、例えば、推定慣性モーメントが小さいほど、ブレーキ力が大きな値に設定される。具体的には、S215では、ブレーキ力は、先端アタッチメント20を取り外し得る範囲内(例えば100%~50%の間)で設定される。
【0198】
なお、S215の時点で慣性モーメントがまだ推定されていない場合もあり得る。その場合は、ブレーキ力を例えば設計上の慣性モーメントに基づいて設定してもよい。あるいは、後述するS226と同様にブレーキ力を設定してもよい。
【0199】
S225では、推定慣性モーメントに応じてフリーラン時間を設定する。本第1実施形態では、取り外しのためのブレーキの開始前に、モータ70をフリーランさせる。そのフリーランさせる時間が、フリーラン時間である。例えば、推定慣性モーメントが小さいほど短くなるようにフリーラン時間が設定されてもよい。フリーラン時間は、例えば0.1秒~0.5秒の範囲内で設定されてもよい。S225の処理後は、S235に移行する。
【0200】
S285では、通常駆動時(即ち取外しモードがオフされている基本モード時)のブレーキ力を設定する。ここでは、例えば0%より大きい所定のブレーキ力(例えば50%)を設定してもよいし、例えば0%のブレーキ力を設定してもよい。0%のブレーキ力を設定するということは、ブレーキをかけずに惰性で回転させながら停止させることを意味する。
【0201】
S295では、フリーラン時間を設定する。その後、S235に移行する。S295で設定されるフリーラン時間は、S225で設定されるフリーラン時間と同じであってもよいし異なっていてもよい。例えば、S295では取外しモードがオフに設定されていることから、S225よりも短い時間(例えば1秒)が設定されてもよい。
【0202】
S235では、フリーランタイマをカウントアップする。フリーランタイマは、フリーランが行われている時間を計測するための計時手段である。
S245では、現在のフリーランタイマの値(計測時間)が、設定されているフリーラン時間以上であるか否か判定する。フリーランタイマの値がフリーラン時間以上である場合(S245:YES)、S255の処理へ進む。フリーランタイマの値がフリーラン時間未満である場合(S245:NO)、S275の処理へ進む。
【0203】
S255では、設定されているブレーキ力に応じて制御モードを設定する。具体的には、ブレーキ力が第1ブレーキ閾値以上の場合は制御モードを第1ブレーキモードに設定し、ブレーキ力が第1ブレーキ閾値未満且つ第2ブレーキ閾値より大きい場合は制御モードを第2ブレーキモードに設定し、ブレーキ力が第2ブレーキ閾値以下である場合は制御モードを停止モードに設定する。第1、第2ブレーキ閾値はどのように決定されてもよい。本第1実施形態では、第1ブレーキ閾値は100%であり、第2ブレーキ閾値は0%である。
【0204】
S265では、出力デューティ比を初期化(例えば0%に設定)して、本処理を終了する。制御モードが駆動モード以外のときは、モータ70にブレーキをかけるかまたはフリーランで停止させることになる。そのため、出力デューティ比は初期化される。
【0205】
S275では、制御モードを停止モードに設定する。その後、本処理はS265に移行する。
ここまで、図27図29について、慣性モーメントの推定が行われることを前提に説明した。しかし、慣性モーメントを推定することは必須ではなく、慣性モーメントの推定が行われないように構成されていてもよい。
【0206】
この場合、図27から、S860の処理が省かれる。
加えて、図28から、S135,S165及びS175が省かれる。この場合、S105で否定判定された場合はS145に移行する。
【0207】
さらに加えて、図29において、S215、S225の処理の代わりに、S226,S227の処理が実行される。
S226では、取外しモードに対応した所定のブレーキ力を設定する。ここで設定されるブレーキ力は、解除モーメントを発生させることが可能などのような大きさであってもよい。本第1実施形態では、S226ではブレーキ力が例えば100%に設定される。つまり、S215で設定され得る範囲内における最大値が設定される。
【0208】
S227では、予め決められた所定のフリーラン時間が設定される。本第1実施形態では、S227では、フリーラン時間が例えば0.1秒に設定される。つまり、S225で設定され得る範囲内における最小値が設定される。
【0209】
図27及び図29では、モータ70を停止させる際にモータ70をフリーランさせている。しかし、フリーランを行うことは必須ではなく、フリーランが省かれてもよい。この場合、図27からS920が省かれ、図29からS225,S235,S245,S275,S295,S227が省かれる。そして、S215の後、S295の後、及びS226の後は、S255に移行する。
【0210】
(1-4-14)慣性モーメント推定処理
次に、図30のフローチャートを参照して、S860(図27参照)の慣性モーメント推定処理の詳細について説明する。
【0211】
S305では、主電源状態がオンに設定されているか否か判定する。主電源状態がオンに設定されている場合(S305:YES)、S315の処理へ進む。主電源状態がオフに設定されている場合(S305:NO)、S365の処理へ進む。
【0212】
S315では、今回の制御タイミングで取外しモードがオンからオフに切り替わったか否か判定する。取外しモードがオンからオフに切り替わっていない場合は、S325に移行する。取外しモードがオンからオフに切り替わった場合は、S365に移行する。
【0213】
S365では、慣性モーメントの推定状態を「未完了」に設定する。その後、本処理を終了する。つまり、本第1実施形態では、モータ70の正転駆動が開始される度に慣性モーメントの推定が繰り返される。そのため、慣性モーメントの推定が完了した後、一旦取外しモードで駆動されてその後取外しモードが解除された場合は、慣性モーメントの推定状態を「未完了」に変更して、あらためて推定を行う。
【0214】
S325では、慣性モーメントの推定が完了しているか否か判定する。慣性モーメントの推定が完了している場合(つまり推定状態が「完了」である場合)は、本処理を終了する。慣性モーメントの推定が未完了の場合は、S335に移行する。
【0215】
S335では、正方向への駆動開始から所定時間経過したか否か判定する。正方向への駆動開始から所定時間経過した場合は、S345に移行する。正方向への駆動開始からまだ所定時間経過していない場合は、本処理を終了する。
【0216】
S345では、現在のモータ70の実回転速度から、慣性モーメントを算出(即ち推定)する。正転開始後、慣性モーメントの推定が完了するまでは、モータ70には、一定の推定用モータ印加電圧が印加され続ける(図28のS165~S175参照)。そのため、正転開始から所定時間経過後の実回転速度は、慣性モーメントに依存する。例えば、慣性モーメントが大きいほど、所定時間経過後の実回転速度は低い。そこで、S345では、例えば、実回転速度が低いほど低くなるように、実回転速度に基づいて慣性モーメントを推定する。S345での慣性モーメントの算出(推定)が完了すると、S355に移行する。
【0217】
S355では、慣性モーメントの推定状態を「完了」に設定する。その後、本処理を終了する。
(1-4-15)インバータ制御処理
図31のフローチャートを参照して、S80(図16参照)のインバータ制御処理の詳細について説明する。
【0218】
S405では、設定されている制御モードを取得し、S415の処理へ進む。
S415では、算出された出力デューティ比を取得し、S425の処理へ進む。
S425では、位置センサ65から出力された位置信号に基づいて、ロータの位置を取得し、S435の処理へ進む。
【0219】
S435では、INV制御処理を実行して、本処理を終了する。INV制御処理の詳細は、図32に示す通りである。
(1-4-16)INV制御処理
図32に示すように、INV制御処理では、S505で、現在設定されている制御モードを判定する。
【0220】
現在の制御モードが第1ブレーキモードである場合、本処理はS515に移行する。S515では、三相短絡ブレーキ処理を実行する。即ち、インバータ回路56における、ローサイドの3つのスイッチング素子を全てオンさせるためのモータ制御信号を出力する。ローサイドの3つのスイッチング素子がオンすると、モータ70の3つの端子70a,70b,70cが互いに電気的に短絡する。これによりモータ70に三相短絡ブレーキがかかり、モータ70に強い制動力が加えられる。これによりモータ70が急減速する。S515の処理後は本処理を終了する。
【0221】
S505で、現在の制御モードが第2ブレーキモードである場合、本処理はS525に移行する。S525では、二相短絡ブレーキのためのパラメータを設定する。具体的には、二相通電用のブレーキ位相角を、設定されているブレーキ力に応じて設定する。その後S535に移行する。S535では、二相短絡ブレーキ処理を実行する。即ち、インバータ回路56における、ローサイドの3つのスイッチング素子のうちのいずれか2つをオンさせるためのモータ制御信号を出力する。これにより、モータ70の3つの端子70a,70b,70cのうちのいずれか2つが互いに電気的に短絡する。これによりモータ70に二相短絡ブレーキがかかり、モータ70が減速する。S535の処理後は本処理を終了する。
【0222】
S505で、現在の制御モードが停止モードである場合、本処理はS545に移行する。S545では、フリーラン停止処理を実行する。即ち、モータ70にブレーキをかけることなく、インバータ回路56の制御を停止して(つまり6個のスイッチング素子を全てオフして)、モータ70を自然に停止させる。S545の処理後は本処理を終了する。
【0223】
S505で、現在の制御モードが駆動モードである場合、本処理はS555に移行する。S555では、モータ駆動処理を実行する。具体的には、S405~S425で取得した制御モード、出力デューティ比、及び位置信号に基づいて、PWM信号を含むモータ制御信号を生成し、そのモー制御PWM信号をゲート回路55へ出力する。これによりモータ70を駆動させる。S555の処理後は本処理を終了する。
【0224】
(1-4-17)用語の対応
上記第1実施形態において、先端アタッチメント20は実施形態の総括における清掃具の一例に相当する。正方向または正転方向は実施形態の総括における第1回転方向の一例に相当する。逆方向または逆転方向は実施形態の総括における第2回転方向の一例に相当する。第1の爪33,34,35の各々は実施形態の総括における係合部の一例に相当する。第2の爪23,24,25の各々は実施形態の総括における被係合部の一例に相当する。基本モードは実施形態の総括における第1モードの一例に相当する。取外しモードは実施形態の総括における第2モードの一例に相当する。取外しモードスイッチ154は実施形態の総括におけるスイッチの一例に相当する。ゲート回路55とインバータ回路56との組み合わせは実施形態の総括における駆動回路の一例に相当する。メイン処理のうちの、取外しモードにおいて実行される、先端アタッチメント20を取り外すための(即ちモータ70を減速させるための)処理は、実施形態の総括における解除制御の一例に相当する。第1ブレーキモードで実行される三相短絡ブレーキは実施形態の総括における第1のブレーキの一例に相当する。第2ブレーキモードで実行される二相短絡ブレーキは実施形態の総括における第2のブレーキの一例に相当する。位置センサ65及び制御回路60の組み合わせは実施形態の総括における速度検出部の一例に相当する。自動停止時間は実施形態の総括における閾時間の一例に相当する。S225及びS227で設定されるフリーラン時間は実施形態の総括における第1時間の一例に相当する。S295で設定されるフリーラン時間は実施形態の総括における第2時間の一例に相当する。基本モード時にトリガ14がオフされることは実施形態の総括における第1停止要件の一例に相当する。
【0225】
[2.第2実施形態]
第2実施形態の清掃装置について説明する。第2実施形態の清掃装置は、第1実施形態の清掃装置1と比較して、構造面では基本的に同じである。電気的構成についても、図14と基本的に同じである。第2実施形態の清掃装置が第1実施形態の清掃装置1と異なるのは、主に、制御回路60が実行する処理である。
【0226】
第2実施形態の制御回路60も、基本的に、図15のメイン処理を実行する。ただし、その詳細内容が部分的に第1実施形態と異なる。
第1実施形態では、先端アタッチメント20の取り外しは、正転中のモータ70を急減速させることにより行われた。これに対し、本第2実施形態では、先端アタッチメント20の取り外しは、モータ70を逆方向へ回転させることにより行われる。詳しくは、先端アタッチメント20を取り外す際は、モータ70を、停止状態から逆方向へ急加速させる。この急加速により、先端アタッチメント20に解除モーメントを発生させ、それにより先端アタッチメント20を取り外す。
【0227】
以下、第2実施形態の制御回路60が実行する各種処理について、基本的に第1実施形態と異なる箇所に絞って説明する。
(2-1)割込み処理
図33のフローチャートを参照して、第2実施形態のホールセンサ割込み処理について説明する。第2実施形態のホールセンサ割込み処理は、図16に示す第1実施形態のホールセンサ割込み処理と比較して、S90の逆転角度の計算処理が追加されていることが異なる。S90の逆転角度の計算処理は、S80のインバータ制御処理の後に実行される。
【0228】
逆転角度の計算処理では、制御回路60は、先端接続部30の逆転角度θを算出する。逆転角度θは、先端接続部30が逆方向へ回転した角度である。逆転角度の計算処理の詳細は後述する。
【0229】
なお、第1実施形態の図17図20の処理は、本第2実施形態でも実行される。
(2-2)モータ制御処理
図34のフローチャートを参照して、第2実施形態のモータ制御処理について説明する。モータ制御処理は、メイン処理におけるS50の処理である。第2実施形態のモータ制御処理は、図21に示す第1実施形態のモータ制御処理と比較して、S411の回転方向の設定処理が追加されていることが異なる。
【0230】
S411の回転方向の設定処理は、S410の取外しモードの設定処理の後に実行される。回転方向の設定処理では、モータ70の回転方向を正転または逆転に設定する。S411の回転方向の設定処理の実行後はS420に移行する。回転方向の設定処理の詳細は後述する。
【0231】
なお、第1実施形態の図22の速度モードの設定処理は、本第2実施形態でも実行される。
(2-3)取外しモードの設定処理
図34のモータ制御処理におけるS410の取外しモードの設定処理は、図23A図23Cに示した第1実施形態の取外しモードの設定処理と大きく類似している。具体的には、第1部分(図23A)及び第2部分(図23B)については、本第2実施形態でも同様に実行される。一方、第3部分については、図23Cと部分的に異なる。
【0232】
第1実施形態の図23Cでは、回転速度閾値とモータ70の実回転速度とに基づいて、あるいは駆動開始からの経過時間に基づいて、ブレーキをかけるタイミング(即ちモータ停止要求をオンに設定するタイミング)が判断された。
【0233】
これに対し、本第2実施形態では、取外しモードにおいてモータ70を自動で停止させるべき状態か否かを判定する。そして、自動で停止させるべき状態であると判定された場合に、モータ停止要求をオンに設定する。具体的には、図23Cに代えて、図35に示す処理が実行される。
【0234】
制御回路60は、図35の処理に移行すると、S605で、先端接続部30の逆転角度の取得処理を実行し、逆転角度θを取得して、S615の処理へ進む。先端接続部30の逆転角度の取得処理の詳細は後述する。
【0235】
S615では、取外しモードでの自動停止判定処理を実行し、取外しモードでの自動停止判定をオンまたはオフに設定して、S625の処理へ進む。取外しモードでの自動停止判定処理の詳細は後述する。
【0236】
S625では、取外しモードがオンに設定されているか否か判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合は(S625:YES)、S635の処理へ進み、取外しモードがオフに設定されていると判定した場合は(S625:NO)、本処理を終了する。
【0237】
S635では、モータ70の制御モードが駆動モードに設定されているか判定する。制御モードが駆動モードに設定されていると判定した場合は(S635:YES)、S645の処理へ進み、制御モードが駆動モードに設定されていないと判定した場合は(S635:NO)、本処理を終了する。
【0238】
S645では、S615の処理結果に基づいて、取外しモードでの自動停止判定がオンに設定されているか否か判定する。取外しモードでの自動停止判定がオンに設定されていると判定した場合は(S645:YES)、S655の処理へ進み、取外しモードでの自動停止判定がオフに設定されていると判定した場合は(S645:NO)、本処理を終了する。
【0239】
S655では、第1実施形態のS730と同様、モータ停止要求をオンにする。続くS665では、第1実施形態のS740と同様、取外しモードの自動オフ判定処理を実行する。その後、本処理を終了する。
【0240】
(2-4)接続部の逆転角度の取得処理の第1例
図36のフローチャートを参照して、S605(図35参照)の接続部の逆転角度の取得処理の第1例について説明する。
【0241】
S705では、取外しモードがONに設定されているか判定する。取外しモードがONに設定されていると判定した場合は(S705:YES)、S715の処理へ進む。取外しモードがOFFに設定されていると判定した場合は(S705:NO)、S735の処理へ進む。
【0242】
S715では、逆転角度θの取得要求をオンにする。これにより、後述する逆転角度の計算処理(図45参照)において逆転角度θが算出される。その後、S725の処理へ進む。
【0243】
S725では、逆転角度の計算処理(図45参照)において算出された逆転角度θを取得し、本処理を終了する。
S735では、逆転角度θの取得要求をオフにし、S745の処理へ進む。
【0244】
S745では、逆転角度θを0度に設定し、本処理を終了する。
(2-5)接続部の逆転角度の取得処理の第2例
図37のフローチャートを参照して、S605(図35参照)の接続部の逆転角度の取得処理の第2例について説明する。第2例は、モータ70がブラシ付きモータである場合の処理を例示している。なお、モータ70がブラシ付きモータである場合は、制御回路60は、ホールセンサ割込み処理(図33参照)においてS90の逆転角度の計算処理を実行しない。
【0245】
S805では、取外しモードがオンに設定されているか判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合(S805:YES)、S815の処理へ進み、取外しモードがオフに設定されていると判定した場合(S805:NO)、S855の処理へ進む。
【0246】
S815では、モータ70の回転速度を算出又は推定する。詳しくは、本第2実施形態では例えば、印加電圧値と出力デューティ比とから、モータ70の回転速度を算出又は推定する。その後、S125の処理へ進む。
【0247】
印加電圧値は、モータ70の巻線に印加される電圧の大きさに対応する。印加電圧値は、印加電圧値=バッテリパック40の出力電圧値×出力デューティ比÷100、の演算により推定される。出力デューティ比は、制御回路60がゲート回路55へ出力するPWM信号のデューティ比である。
【0248】
S825では、S815で推定又は算出したモータ70の回転速度に基づいて、先端接続部30の回転速度を算出又は推定する。具体的には、モータ70の回転速度と、減速機構75のギヤ比とから、先端接続部30の回転速度を算出又は推定する。その後、S835の処理へ進む。
【0249】
S835では、先端接続部30の回転速度に基づいて、第1変位角Δθ1を算出する。第1変位角Δθ1は、制御周期当たりの先端接続部30の回転角に対応する。例えば、先端接続部30の回転速度が300rpm、制御周期が1msの場合、第1変位角Δθ1=360度×300÷60000=1.8度である。その後、S845の処理へ進む。
【0250】
S845では、現在算出されている逆転角度θに、第1変位角Δθ1を加算し、本処理を終了する。つまり、S845では、逆転角度θを更新する。
S855では、逆転角度θを0度に設定し、本処理を終了する。
【0251】
(2-6)取外しモードでの自動停止判定処理
図38のフローチャートを参照して、S615(図35参照)の取外しモードでの自動停止判定処理について説明する。取外しモードでの自動停止判定処理は、取外しモード中に、先端アタッチメント20が取り外れたと推定された場合にモータ70を自動的に停止させる(詳しくは自動停止判定をオンに設定する)処理である。
【0252】
図38に示すように、S905では、第1の自動停止判定処理を実行する。第1の自動停止判定処理は、先端接続部30の逆転角度θに基づいて行われる。第1の自動停止判定処理の詳細は後述する。
【0253】
S915では、第2の自動停止判定処理を実行する。第2の自動停止判定処理は、モータ70の回転速度(実回転速度)に基づいて行われる。第2の自動停止判定処理の詳細は後述する。
【0254】
S925では、第3の自動停止判定処理を実行する。第3の自動停止判定処理は、モータ70の駆動開始からの時間経過に基づいて行われる。第3の自動停止判定処理の詳細は後述する。
【0255】
第1~第3の自動停止判定処理の詳細について、以下、図39図41を参照して説明する。
(2-6-1)第1の自動停止判定処理
まず、S905の第1の自動停止判定処理の詳細について、図39を参照して説明する。図39に示すように、第1の自動停止判定処理では、S1010で、取外しモードがオンに設定されているか判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合(S1010:YES)、S1020の処理へ進み、取外しモードがオフに設定されていると判定した場合(S1010:NO)、S1090の処理へ進む。
【0256】
S1020では、取外しモードでの自動停止判定がオフに設定されているか否か判定する。取外しモードでの自動停止判定がオフに設定されていると判定した場合(S1020:YES)、S1030の処理へ進み、取外しモードでの自動停止判定がオンに設定されていると判定した場合(S1020:NO)、S1060の処理へ進む。
【0257】
S1030では、慣性モーメント(即ち推定慣性モーメントまたは設計上の慣性モーメント)に応じて角度閾値を設定する。角度閾値は、逆転方向への急加速によって先端アタッチメント20を取り外すために必要な、先端接続部30の逆転開始時からの回転角度である。取外しに必要な回転角度は、慣性モーメントによって異なる。慣性モーメントが小さいほど、取外しに必要な回転角度は大きくなる。また、取外しに必要な回転角度は、逆転開始時の加速度によっても異なる。逆転開始時の加速度が大きいほど、取外しに必要な回転角度は小さくなる。換言すれば、慣性モーメントが小さいほど、減速開始時に必要な加速度及び角度閾値は大きくなる。
【0258】
そのため、S1030では、少なくとも慣性モーメントに基づいて、角度閾値を算出する。なお、慣性モーメントの推定を行わないように構成されている場合は、S1030では、予め決められた値(例えば設計上の慣性モーメントに基づいて予め決められた値)が角度閾値に設定される。
【0259】
S1040では、現在算出されている逆転角度θが、S1030で設定された角度閾値より大きいか否か判定する。逆転角度θが角度閾値より大きいと判定した場合(S1040:YES)、S1050に進み、逆転角度θが角度閾値以下と判定した場合(S1040:NO)、本処理を終了する。
【0260】
S1050では、取外しモードでの自動停止判定をオンに設定する。その後、本処理を終了する。
S1060では、第1実施形態のS830(図26参照)と同様に、モータ70が完全に停止しているか否か判定する。モータ70が完全に停止している場合は(S1060:YES)、S1070の処理へ進み、モータ70が完全に停止していない場合は(S1060:NO)、本処理を終了する。
【0261】
S1070では、トリガ14がオフされているか否か判断する。この判断は例えばトリガ信号に基づいて行ってもよい。トリガ14がオフされている場合(S1070:YES)、S1080に進み、トリガ14がオンされている場合(S1070:NO)、本処理を終了する。
【0262】
S1080では、取外しモードでの自動停止判定をオフに設定する。その後、本処理を終了する。
S1090では、取外しモードでの自動停止判定をオフに設定する。その後、本処理を終了する。
【0263】
(2-6-2)第2の自動停止判定処理
次に、S915の第2の自動停止判定処理の詳細について、図40を参照して説明する。図40は、図39と比較して、S1110及びS1120が異なる。即ち、図40では、図39におけるS1030及びS1040が、S1110及びS1120に変更されている。S1110及びS1120以外の処理は図39と同じである。
【0264】
S1110では、慣性モーメント(即ち推定慣性モーメントまたは設計上の慣性モーメント)に応じて第2回転速度閾値を設定する。
第2回転速度閾値は、逆転方向への急加速によって先端アタッチメント20を取り外すために必要な、モータ70の逆転方向の回転速度またはその近傍に対応する。つまり、本第2実施形態では、取外しモードにおいてモータ70の回転速度が第2回転速度閾値に到達すれば先端アタッチメント20が取り外されたと見做す。換言すれば、第2回転速度閾値は、先端アタッチメント20が取り外されたと見做すことができる程度の回転速度に設定される。
【0265】
前述の角度閾値と同様、第2回転速度閾値は、慣性モーメントによって異なる。慣性モーメントが小さいほど、取外しに必要な回転速度は大きくなる。また、取外しに必要な回転速度は、逆転開始時の加速度によっても異なる。逆転開始時の加速度が大きいほど、取外しに必要な回転速度は小さくなる。換言すれば、慣性モーメントが小さいほど、減速開始時に必要な加速度及び第2回転速度閾値は大きくなる。
【0266】
第2回転速度閾値は、例えば、逆転開始時からのモータ70の加速度と前述の角度閾値とに基づいて設定してもよい。例えば、逆転開始時から制御回転速度を時間積分した値が、時間T0経過時に角度閾値に達したとする。この場合、時間TO経過時の制御回転速度を、第2回転速度閾値として設定してもよい。なお、慣性モーメントの推定を行わないように構成されている場合は、S1110では、予め決められた値が第2回転速度閾値に設定される。
【0267】
S1120では、現在のモータ70の実回転速度が、S1110で設定された第2回転速度閾値より大きいか否か判定する。実回転速度が第2回転速度閾値より大きいと判定した場合(S1120:YES)、S1050に進み、実回転速度が第2回転速度閾値以下と判定した場合(S1120:NO)、本処理を終了する。
【0268】
(2-6-3)第3の自動停止判定処理
次に、S925の第3の自動停止判定処理の詳細について、図41を参照して説明する。図41は、図39と比較して、S1160及びS1170が異なる。即ち、図41では、図39におけるS1030及びS1040が、S1160及びS1170に変更されている。S1160及びS1170以外の処理は図39と同じである。
【0269】
S1160では、慣性モーメント(即ち推定慣性モーメントまたは設計上の慣性モーメント)に応じて経過時間閾値を設定する。
経過時間閾値は、逆転方向への急加速によって先端アタッチメント20を取り外すために必要な、モータ70の逆転方向の回転時間またはその近傍に対応する。つまり、本第2実施形態では、取外しモードにおいてモータ70の逆転時間が経過時間閾値に到達すれば先端アタッチメント20が取り外されたと見做す。換言すれば、経過時間閾値は、先端アタッチメント20が取り外されたと見做すことができる程度の逆転時間に設定される。
【0270】
前述の角度閾値と同様、経過時間閾値は、慣性モーメントによって異なる。慣性モーメントが小さいほど、取外しに必要な逆転時間は大きくなる。また、取外しに必要な逆転時間は、逆転開始時の加速度によっても異なる。逆転開始時の加速度が大きいほど、取外しに必要な逆転時間は小さくなる。換言すれば、慣性モーメントが小さいほど、減速開始時に必要な加速度及び経過時間閾値は大きくなる。
【0271】
経過時間閾値は、例えば、逆転開始時からのモータ70の加速度と前述の角度閾値とに基づいて設定してもよい。具体的には、例えば、前述の時間TOを経過時間閾値として設定してもよい。なお、慣性モーメントの推定を行わないように構成されている場合は、S1160では、予め決められた値が経過時間閾値に設定される。
【0272】
S1170では、モータ70の逆転開始時からの駆動時間が、S1160で設定された経過時間閾値より大きいか否か判定する。逆転開始時からの駆動時間が経過時間閾値より大きいと判定した場合(S1170:YES)、S1050に進み、逆転開始時からの駆動時間が経過時間閾値以下と判定した場合(S1170:NO)、本処理を終了する。
【0273】
(2-7)回転方向の設定処理
図42のフローチャートを参照して、S411(図34参照)の回転方向の設定処理について説明する。回転方向の設定処理は、モータ70の回転方向を正転または逆転に設定する処理である。
【0274】
図42に示すように、S1210で、取外しモードがオンに設定されているか判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合(S1210:YES)、S1220の処理へ進み、取外しモードがオフに設定されていると判定した場合(S1210:NO)、S1230の処理へ進む。
【0275】
S1220では、モータ70の回転方向を逆転に設定する。その後、本処理を終了する。
S1230では、モータ70の回転方向を正転に設定する。その後、本処理を終了する。
(2-8)状態遷移処理
図43のフローチャートを参照して、本第2実施形態の状態遷移処理について説明する。
【0276】
図43の状態遷移処理において、S870,S880,S890,S900,S910,S950,S960,S970については、図27に示した第1実施形態の状態遷移処理と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0277】
ただし、本第2実施形態では、S890でトリガ14がオフされていると判定された場合、及び、S900でモータ停止要求がオンに設定されていると判定された場合は、S950に移行する。
【0278】
本第2実施形態では、S910で制御モードが駆動モードに設定された後、S1300に移行する。S1300では、出力計算処理を実行する。出力計算処理の詳細は、図44に示す通りである。
【0279】
(2-9)出力計算処理
図44に示すように、出力計算処理に移行すると、S1310で、取外しモードがオンに設定されているか判定する。取外しモードがオンに設定されていると判定した場合(S1310:YES)、S1320の処理へ進み、取外しモードがオフに設定されていると判定した場合(S1310:NO)、S1360の処理へ進む。
【0280】
S1320では、取外しモードがオンに設定されている場合の目標回転速度(詳しくは規定最大速度)を設定する。
S1330では、取外しモードにおけるモータ70の加速度A1を設定する。加速度A1は、後述する加速度A2よりも大きい。加速度A1は、当該加速度A1による加速によって解除モーメントが発生する大きさを有する。換言すれば、加速度A1は、当該加速度A1による加速によって先端アタッチメント20が取り外され得る大きさを有する。加速度A1は、例えば慣性モーメントに基づいて理論的に算出されてもよいし、実験的に求められてもよい。
【0281】
S1340では、S1330で設定された加速度A1に応じた印加電圧を計算する。つまり、加速度A1でモータ70を起動させるためにモータ70に印加すべき印加電圧を計算する。
【0282】
S1350では、S1340で算出された印加電圧をモータ70に印加するための、PWM信号の出力デューティ比を算出する。その後、本処理を終了する。
S1360では、設定されている速度モードに応じた目標回転速度(詳しくは規定最大速度)を設定する。
【0283】
S1370では、取外しモードオフ時(即ち基本モード時)のモータ70の加速度A2を設定する。加速度A2は、前述の加速度A1よりも小さい。加速度A2は、当該加速度A2による加速によっては解除モーメントが発生しない程度の大きさを有する。加速度A2は、理論的に算出されてもよいし、実験的に求められてもよい。
【0284】
S1380では、S1370で設定された加速度A2に応じた印加電圧を計算する。つまり、加速度A2でモータ70を起動させるためにモータ70に印加すべき印加電圧を計算する。
【0285】
S1390では、S1380で算出された印加電圧をモータ70に印加するための、PWM信号の出力デューティ比を算出する。その後、本処理を終了する。
(2-10)回転角度の計算処理
図45のフローチャートを参照して、S90(図33参照)の回転角度の計算処理の詳細について説明する。
【0286】
S1410では、先端接続部30の逆転角度θの取得要求がオンか否か判定する。逆転角度θの取得要求がオンである場合(S1410:YES)、S1420の処理へ進み、逆転角度θの取得要求がオフである場合(S1410:NO)、本処理を終了する。
【0287】
S1420では、位置センサ65から出力された位置信号が期待通りか判定する。具体的には、モータ70の回転方向に基づいて、3つのホールセンサから期待通りの順番で位置信号が出力されているか判定する。位置信号が期待通りであると判定した場合は(S1420:YES)、S1430の処理へ進み、位置信号が期待通りでないと判定した場合は(S1420:NO)、S1440の処理へ進む。
【0288】
S1430では、現在算出されている逆転角度θに、第2変位角Δθ2を加算する。第2変位角Δθ2は、連続する2つの位置信号の出力間に、先端接続部30が回転した角度に対応する。例えば、モータ70が4極モータである場合、機械角360度は、電気角360度×2に対応する。さらに、減速機構75のギヤ比が20である場合、先端接続部30の1回転は、ロータの20回転に対応する。この場合、第2変位角Δθ2は電気角60度(すなわち、位置信号の出力間)に対応するので、先端接続部30が第2変位角θ2変位する間に、モータは機械角で30度変位する。モータが30度変位すると、先端接続部30は、30度÷20(ギヤ比)だけ変位する。したがって、第2変位角Δθ2は1.5度になる。S1430の処理後、本処理を終了する。
【0289】
S1440では、現在算出されている逆転角度θから、第2変位角Δθ2を減算する。位置信号が期待通りでない場合、ロータは反対方向へ回っていると考えられる。よって、現在の逆転角度θから第2変位角Δθ2を減算する。その後、本処理を終了する。
【0290】
(2-11)インバータ制御処理
図46のフローチャートを参照して、本第2実施形態のインバータ制御処理(図33のS80)について説明する。
【0291】
S405では、図31のS405と同様、設定されている制御モードを取得する。その後、S1510の処理へ進む。
S1510では、設定されている回転方向を取得し、S415の処理へ進む。
【0292】
S415では、図31のS415と同様、算出された出力デューティ比を取得し、S425の処理へ進む。
S425では、図31のS425と同様、位置センサ65から出力された位置信号に基づいて、ロータの位置を取得する。その後、S1520の処理へ進む。
【0293】
S1520では、INV制御処理を実行して、本処理を終了する。本第2実施形態のINV制御処理の詳細は、図47に示す通りである。
(2-12)INV制御処理
図47に示すように、本第2実施形態のINV制御処理では、S1610で、現在設定されている制御モードを判定する。
【0294】
現在の制御モードが停止モードである場合、本処理はS1620に移行する。S1620では、図32のS545と同様に、フリーラン停止処理を実行する。S1620の処理後は本処理を終了する。
【0295】
S1610で、現在の制御モードが駆動モードである場合、本処理はS1630に移行する。S1630では、モータ駆動処理を実行する。具体的には、S405,S1510,S415,S425で取得した制御モード、回転方向、出力デューティ比、及び位置信号に基づいて、PWM信号を含むモータ制御信号を生成し、そのモータ制御PWM信号をゲート回路55へ出力する。これによりモータ70を駆動させる。S1630の処理後は本処理を終了する。
【0296】
(2-13)用語の対応
上記第2実施形態において、S1330で設定される加速度A1は実施形態の総括における第1の加速度の一例に相当する。S1370で設定される加速度A2は実施形態の総括における第2の加速度の一例に相当する。
【0297】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0298】
(3-1)慣性モーメントの推定はどのような方法で行われてもよい。例えば、推定用モータ印加電圧がモータ70に印加されているときのモータ電流値を取得して、そのモータ電流値に基づいて推定してもよい。モータ電流値は、モータ70を流れる電流の大きさに対応する。モータ電流値は、例えば、モータ電流値=バッテリ電流値÷出力デューティ比×100により推定される。慣性モーメントが大きいほど、モータ電流値が大きくなることが予測される。そこで、モータ電流値が大きいほど大きな値になるように慣性モーメントを推定してもよい。
【0299】
(3-2)第1実施形態のINV制御処理において、第1ブレーキモードは、三相短絡ブレーキに限らない。例えば、三相短絡と二相短絡の組合せであってもよいし、二相短絡であってもよいし、三相短絡及び二相短絡以外のブレーキ駆動方法でもよい。第2ブレーキモードよりも強いブレーキをかけることが可能などのようなブレーキ駆動方法を採用してもよい。
【0300】
第2ブレーキモードについても、二相短絡ブレーキに限らない。例えば、三相短絡と二相短絡の組合せであってもよいし、三相短絡及び二相短絡以外のブレーキ駆動方法でもよい。第1ブレーキモードよりも弱いブレーキをかけることが可能などのようなブレーキ駆動方法を採用してもよい。
【0301】
(3-3)上記各実施形態では、清掃装置1は、手持ち式であったが、清掃装置1は、手持ち式の形態に限定されない。清掃装置1は、例えば、車輪を備えた手押し式であってもよい。
【0302】
(3-4)上記各実施形態では、清掃装置1は、バッテリ装着部41を備えていたが、バッテリ装着部41に代えてあるいは加えて、電源コードを備えていてもよい。すなわち、清掃装置1は、商用電源等の外部電源に電源コードを接続して、外部電源から電力を受けてもよい。
【0303】
(3-5)上記各実施形態では、先端接続部30は3つの第1の爪を備えていたが、1つ、2つ又は4つ以上の第1の爪を備えていてもよい。先端アタッチメント20は、3つの第2の爪を備えていたが、1つ、2つ又は4つ以上の第2の爪を備えていてもよい。
【0304】
(3-6)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0305】
1…清掃装置、12…第1把持部、13…第2把持部、14…トリガ、20…先端アタッチメント、23~25…第2の爪、30…先端接続部、33~35…第1の爪、50…コントローラ、55…ゲート回路、56…インバータ回路、60…制御回路、60a…CPU、60b…メモリ、65…位置センサ、70…モータ、70a,70b,70c…端子、154…取外しモードスイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47