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特開2025-143725移動体制御システム、移動体制御システムの制御方法およびプログラム
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  • 特開-移動体制御システム、移動体制御システムの制御方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143725
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】移動体制御システム、移動体制御システムの制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20250925BHJP
   G05D 1/225 20240101ALI20250925BHJP
   G05D 1/667 20240101ALI20250925BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20250925BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250925BHJP
   G05D 1/697 20240101ALI20250925BHJP
   G05D 1/43 20240101ALN20250925BHJP
   G05D 1/46 20240101ALN20250925BHJP
【FI】
G06Q10/083
G05D1/225
G05D1/667
B65G61/00 546
G06Q50/40
G05D1/697
G05D1/43
G05D1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043105
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】川上 智朗
【テーマコード(参考)】
5H301
5L010
5L050
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA06
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301DD05
5H301DD15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG09
5H301KK02
5L010AA16
5L050CC41
(57)【要約】
【課題】状況に応じた内容の規則に基づく移動体の制御によって複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送を実現する。
【解決手段】移動体制御システムは、複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて、移動体を制御する制御手段と、予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する取得手段と、前記取得手段に取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する適用手段と、を備える。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて、移動体を制御する制御手段と、
予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段に取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する適用手段と、
を備えた、移動体制御システム。
【請求項2】
前記取得手段は、前記状況情報を繰り返し取得し、
前記適用手段は、前記制御手段の前記制御に用いられる前記規則を、予め適用されていた前記規則から、前記取得手段に新たに取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則に変更する、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項3】
前記適用手段は、前記状況情報から特定される状況が前記予め定められた状況である場合に、前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用し、
前記予め定められた状況には、予め定められた期間である状況、前記配送に用いられる移動体について定められた状況、前記配送に係る時間について定められた状況、および、前記配送の実行中に移動体が通過または滞在する領域について定められた状況のうちの少なくとも一つが含まれる、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項4】
前記取得手段は、前記状況情報を繰り返し取得し、
前記適用手段は、前記取得手段に新たに取得された前記状況情報から特定される状況が前記予め定められた状況である場合に、前記状況情報に応じた内容の前記規則を新たに適用し、
前記適用手段が前記規則を新たに適用する場合に、前記予め定められた状況に該当する内容を更新する更新手段をさらに備え、
前記更新の後の前記予め定められた状況には、前記更新の前の前記予め定められた状況とは異なる状況である第1の状況と、前記更新の前の前記予め定められた状況において発生することがある状況である第2の状況とがある、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項5】
前記規則には、何れの移動体が前記配送に用いられるかに関する規則、前記配送に係る時間に関する規則、および、前記配送の実行中または前記配送の待機中に移動体が通過または滞在する領域に関する規則のうちの少なくとも一つの規則が含まれる、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項6】
前記予め定められた状況には、複数の状況があり、
前記適用手段は、前記状況情報から特定される状況が前記複数の状況の何れかに該当する場合に、該当する状況に応じた内容の前記規則を新たに適用する、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項7】
前記取得手段は、前記状況情報を繰り返し取得し、
前記適用手段は、前記取得手段に新たに取得された前記状況情報から特定される状況が前記予め定められた状況である場合に、前記状況情報に応じた内容の前記規則を新たに適用し、
前記規則が新たに適用される場合に、前記予め定められた状況に該当する内容を、前記規則の新たな適用に用いられる前記状況情報に応じた内容に更新する更新手段をさらに備えた、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項8】
前記規則には、前記配送に用いられる移動体を示す規則、および、前記配送の実行中または前記配送の待機中に移動体が通過または滞在する領域を示す規則のうちの少なくとも一つが含まれ、
前記予め定められた状況には、少なくとも、前記配送に用いられる移動体について定められた状況が含まれ、
前記制御手段は、前記状況情報から特定される状況が前記配送に用いられる第1の移動体について定められた状況である場合に、第2の移動体の制御において、前記第1の移動体との間の物品の受け渡し、または、前記第1の移動体が位置する前記領域を用いることを制限する、請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項9】
複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて移動体を制御する制御手段を備えた移動体制御システムの制御方法であって、
予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する工程と、
取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する工程と、
を有する、移動体制御システムの制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、
予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する機能と、
複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して、移動体を制御する制御手段に用いられる規則として、取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する機能と、
を実現させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御システム、移動体制御システムの制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低速で地上を走行するモビリティや空中を飛行するドローン等の移動体が作業を行うケースが増えており、配送物を運ぶサービスや工事現場の作業補助などが社会実装されつつあり、これにより利便性が向上している。今後は、さらなる利便性向上のために、複数の移動体が、単一の移動体のみでは難しい作業を行うことが予想される。特許文献1は、ドローンとドローンが発着可能な移動体とが協調するドローンシステムとして、ドローンが移動体に着陸するにあたり、移動体が存在しているエリアの種類に基づいてドローンの着陸位置が決定されることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/149289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて移動体を制御する場合がある。このような場合において、特許文献1の技術のように、単一の規則のみが移動体の制御に用いられる場合、状況によっては、この規則が、移動体の制御に用いられることに適していない場合がある。
【0005】
本発明は、状況に応じた内容の規則に基づく移動体の制御によって複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の移動体制御システムは、複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて、移動体を制御する制御手段と、予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する取得手段と、前記取得手段に取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する適用手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、状況に応じた内容の規則に基づく移動体の制御によって複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】移動体制御システムの全体構成例を示す図である。
図2】(A)、(B)は、各装置の機能構成例を示す図である。
図3】移動体の構成を示す図である。
図4】規則管理装置、移動体制御装置および情報保持装置のハードウェア構成を示す図である。
図5】規則・状況管理テーブルを示す図である。
図6】現状管理テーブルを示す図である。
図7】領域情報を説明するための図である。
図8】領域情報を説明するための図である。
図9】(A)および(B)は、依頼人が物品の配送を依頼してから物品の配送が完了するまでの流れを示すシーケンス図である。
図10】規則適用処理の流れを示すフローチャートである。
図11】時間の経過に応じて発生する状況と、規則適用部に適用される規則との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、移動体制御システム1の全体構成例を示す図である。
本実施形態の移動体制御システム1は、予め定められた規則に基づいて複数の移動体を制御することで、複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送を実現するシステムである。移動体制御システム1は、規則管理装置12と、移動体制御装置13と、情報保持装置14と、移動体15と、ユーザー端末21とを備える。
【0010】
規則管理装置12は、移動体15の制御に用いられる規則を管理するサーバーである。規則管理装置12は、物品を配送する移動体15の制御に用いられる規則として、発生する状況に応じた内容の規則を適用し、適用する規則の内容を移動体制御装置13に通知する。また、規則管理装置12は、ユーザー端末21から送信された物品の配送の依頼を受信すると、ユーザー端末21に対して、物品の配送に関する通知をする。
制御手段の一例としての移動体制御装置13は、移動体15を制御するサーバーである。より具体的には、移動体制御装置13は、規則管理装置12によって適用された規則に基づいて、物品の配送に用いる移動体15や移動体15による物品の配送の経路等を決定し、決定した内容にしたがって移動体15に物品の配送をさせる。
【0011】
情報保持装置14は、移動体15が物品の配送の経路として用いる領域や、移動体15が物品を配送していないときに用いる領域等に関する情報を保持するサーバーである。情報保持装置14は、領域を識別する情報を、この領域に存在する物体を識別する情報、および、この領域に物体が存在する時刻を識別する情報とともに保持する。なお、領域を識別する情報としては、領域が地球上における何れの座標に該当するかを識別する情報等が挙げられる。また、領域に存在する物体を識別する情報と、この領域に物体が存在する時刻を識別する情報とを含む、領域を識別する情報を、以下では、領域情報と称することがある。また、領域に存在する物体には、移動体15が含まれる。情報保持装置14は、規則管理装置12や移動体制御装置13から領域情報の要求を受けると、要求された領域情報を送信する。また、情報保持装置14は、移動体15に関する情報をこの移動体15に対して要求する。なお、何れの物体も存在しない領域がある場合、この領域を識別する情報のみが、領域情報として情報保持装置14に保持される。
【0012】
移動体15は、人間による直接の操作を受けることなく移動する装置である。本実施形態の移動体15は、引渡移動体15Aと、受取移動体15Bとからなる。引渡移動体15Aは、配送の対象である物品を受取移動体15Bに引き渡す。受取移動体15Bは、引渡移動体15Aから引き渡された物品を、この物品の配送先に届ける。
引渡移動体15Aと受取移動体15Bとは、種別や機能が異なってもよい。種別が異なる引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bの一例を挙げると、引渡移動体15Aとしては、例えば地上を低速で移動する地上モビリティが挙げられ、受取移動体15Bとしては、例えば空中を移動するドローンが挙げられる。また、機能が異なる引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bの一例を挙げると、引渡移動体15Aとしては、例えば物品を保管する機能を持つ移動体が挙げられ、受取移動体15Bとしては、例えば物品を受け取り配送する機能を持つ移動体が挙げられる。
【0013】
ユーザー端末21は、物品配送の依頼人11に用いられる端末装置である。ユーザー端末21は、依頼人11の操作に応じて、物品の配送の依頼を、配送対象の物品を識別する情報、物品の配送先として物品の受取人16の位置を識別する情報、および依頼人11を識別する情報とともに、規則管理装置12に送信する。また、ユーザー端末21は、規則管理装置12から物品の配送に関する情報を取得すると、取得した情報を表示する。
なお、配送対象の物品を識別する情報、物品の配送先として物品の受取人16の位置を識別する情報、および依頼人11を識別する情報を含む、物品の配送の依頼を示す情報を、以下では、依頼情報と称することがある。また、図1では、依頼人11と受取人16を別々に図示しているが、依頼人11と受取人16とは同一であってもよい。
【0014】
本実施形態では、規則管理装置12が、移動体制御装置13による移動体15の制御に用いられる規則として、発生する状況に応じた規則を適用する。そして、移動体制御装置13が、規則管理装置12によって適用されている規則に基づいて複数の移動体15を制御する。このように、発生する状況に応じた規則に基づく複数の移動体15の制御によってこの複数の移動体15の間で受け渡しされる物品の配送が実現される。
移動体制御システム1における各装置を接続するネットワークは、情報の送受信が可能に構成されたネットワークであればよい。各装置としては、規則管理装置12と、移動体制御装置13、情報保持装置14およびユーザー端末21とが挙げられる。また、各装置としては、移動体制御装置13と、情報保持装置14および移動体15とが挙げられる。また、各装置としては、移動体15と情報保持装置14とが挙げられる。また、各装置としては、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとが挙げられる。また、ネットワークは、インターネット、LAN、WAN、LTEや5G等のセルラネットワーク、無線ネットワーク、専用デジタル回線、Bluetooth(登録商標)やBluetooth Low Energy等やこれらの組み合わせでもよい。
【0015】
図2(A)および図2(B)は、移動体制御システム1に設けられている各装置の機能構成例を示す図である。
規則管理装置12は、送受信部121と、記憶部122と、規則適用部123と、更新部124と、RTC125と、状況特定部126とを有する。
取得手段の一例としての送受信部121は、規則管理装置12の外部の装置に対して、情報を送受信する。送受信部121は、物品の配送に関して適用されている規則を示す情報を、移動体制御装置13に送信する。また、送受信部121は、物品の配送の依頼を送信したユーザー端末21に対して、物品の配送に関する情報を送信する。また送受信部121は、ユーザー端末21から依頼情報を受信すると、受信した依頼情報を移動体制御装置13に送信する。
記憶部122は、移動体15の制御に用いられる規則の内容を示す情報や、発生する状況として予め定められた状況を示す情報等を記憶する。記憶部122に記憶される情報については、後に詳述する。
【0016】
適用手段の一例としての規則適用部123は、移動体15の制御に用いられる規則を適用する。規則適用部123は、移動体制御装置13や情報保持装置14に対して、定期的に、発生している状況に関する情報を要求する。そして、規則適用部123は、要求した情報や規則管理装置12において作成された情報から何れの状況が発生しているかを特定し、特定した状況が、新たな規則の適用条件を満たす状況である場合には、特定した状況に応じた内容の規則を新たに適用する。また、規則適用部123に特定された状況が新たな規則の適用条件を満たす状況であるか否かの判定は、規則適用部123に特定された状況が、予め定められた状況として記憶部122に記憶されている情報に示された状況に該当するか否かにより行われる。
【0017】
更新手段の一例としての更新部124は、新たな規則の適用条件を満たす状況に該当する内容を更新する。更新手段124は、規則適用部123により新たな規則が適用されると、規則適用部123による次の新たな規則の適用条件に該当する状況を更新する。また、本実施形態では、更新部124は、規則適用部123により新たな規則が適用されるたびに、規則適用部123による次の新たな規則の適用条件に該当する状況を更新する。この場合に、更新部124は、規則適用部123によって新たな規則が適用される契機となった状況に応じて、規則適用部123による次の新たな規則の適用条件に該当する状況の内容を決める。
RTC125は、計時によって現時点の時刻を管理する。
【0018】
状況特定部126は、移動体15が置かれた状況を特定する。状況特定部126は、状況を特定すると、特定した状況を示す情報を、規則適用部123に送信する。
状況特定部126の機能の一例を説明する。移動体制御システム1が野球場における物品の配送に用いられる場合において、状況特定部126は、野球の試合中に、ホームチームおよびビジターチームの何れのチームが守備中であるかを特定する。なお、ホームチームとは、試合が行われている野球場を本拠地とするチームである。また、ビジターチームとは、試合が行われている野球場を本拠地としないチームである。状況特定部126は、例えば、ホームチームの応援席として定められた座席にて観客が着席していることを特定した場合には、ホームチームが守備中であると特定してもよい。また、状況特定部126は、例えば、ホームチームの応援席として定められた座席にて観客が起立していることを特定した場合には、ビジターチームが守備中であると特定してもよい。この場合に、状況特定部126は、カメラやLiDAR(light detection and ranging)等であってもよい。ただし、状況特定部126は、移動体15が置かれた状況を特定する手段であれば、何れの手段であってもよい。
【0019】
移動体制御装置13は、送受信部131と、記憶部132と、決定部133と、移動体制御部134と、移動体管理部135とを有する。
送受信部131は、移動体制御装置13の外部の装置に対して、情報を送受信する。送受信部131は、物品の配送に関して適用されている規則を示す情報を、規則管理装置12から受信する。また、送受信部131は、依頼情報を規則管理装置12から受信する。また、送受信部131は、情報保持装置14に保持されている領域情報を情報保持装置14から受信する。また、送受信部131は、移動体15による物品の配送を制御するための指示を、移動体15に送信する。
記憶部132は、規則管理装置12の規則適用部123によって適用されている規則を示す情報や、移動体制御装置13が移動体15による物品の配送を実現するために決定した移動体15の制御の内容を示す情報等を記憶する。また、記憶部132は、情報保持装置14から送信された領域情報を記憶してもよい。
【0020】
決定部133は、物品の配送に何れの移動体15を用いるかを決定する。決定部133は、送受信部131を介して依頼情報を受信すると、移動体15の制御に用いられる規則として規則適用部123に適用されている規則にしたがって、依頼があった物品の配送に用いる移動体15を決定する。なお、決定部133は、送受信部131を介して情報保持装置14から領域情報を取得し、取得した領域情報から特定される各移動体15の位置や、物品の配送先としての受取人16の位置に応じて、物品の配送に用いる移動体15を決定してもよい。また、物品の配送に用いられる対象として決定部133に決定された移動体15を、以下では、対象の移動体15と称することがある。また、対象の移動体15である引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bを、それぞれ、対象の引渡移動体15A、対象の受取移動体15Bと称することがある。
【0021】
また、決定部133は、移動体15が通過または滞在する領域を決定する。決定部133は、規則適用部123に適用されている規則と、情報保持装置14から取得した領域情報とに基づいて、対象の移動体15が通過または滞在する領域を、対象の移動体15がこの領域を通過または滞在する時刻とともに決定する。移動体15が通過または滞在する領域としては、移動体15による物品の配送中に移動体15が通過または滞在する領域や、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとの物品の受け渡しにおいて引渡移動体15Aと受取移動体15Bとが滞在する領域等が挙げられる。また、移動体15が通過または滞在する領域としては、移動体15による物品の配送後に移動体15が通過する領域、移動体15による配送の待機中に移動体15が滞在する領域等が挙げられる。なお、移動体15が通過または滞在する対象として決定部133に決定された領域を、以下では、対象の領域と称することがある。
決定部133は、対象の移動体15を識別する情報と、対象の領域を識別する情報と、対象の移動体15が対象の領域を通過または滞在する時刻を識別する情報とを関連付けた情報を、新たな領域情報として作成する。そして、決定部133は、作成した新たな領域情報を、送受信部131を介して情報保持装置14に送信する。
【0022】
なお、決定部133は、物体が存在する領域に関する領域情報と、物体が存在しない領域に関する領域情報とを含む全ての領域情報を情報保持装置14から取得し、取得した領域情報から、対象の移動体15や対象の領域を決定してもよい。また、決定部133は、予め定められた範囲の領域を識別する情報を予め有し、この情報と、物体が存在する領域に関する情報として情報保持装置14から取得した領域情報とから、対象の移動体15や対象の領域を決定してもよい。また、予め定められた範囲としては、移動体15が移動または滞在する可能性がある範囲等が挙げられる。
【0023】
移動体制御部134は、移動体15を制御する。移動体制御部134は、決定部133に作成された領域情報を送受信部131を介して対象の移動体15に送信することで、対象の移動体15が対象の領域を通過または滞在するように、対象の移動体15を制御する。
【0024】
移動体管理部135は、移動体15を管理する。移動体管理部135による管理の対象としては、移動体15による物品の配送に関する時間や、移動体15の状況等が挙げられる。また、移動体15による物品の配送に関する時間としては、移動体15が物品の配送を開始してから完了するまでの時間、移動体15による物品の配送における移動に要する時間等が挙げられる。また、移動体15による物品の配送に関する時間は、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとの物品の受け渡しに要する時間や、受取移動体15Bから受取人16への物品の引き渡しに要する時間等であってもよい。また、移動体15の状況としては、移動体15の不具合の有無の状況、移動体15が物品の配送中であるか否かの状況等が挙げられる。
【0025】
移動体管理部135は、RTC等の計時手段を有する。また、移動体管理部135は、予め定められた時間ごとに、対象の移動体15による配送の進捗状況の報告を対象の移動体15に要求する。また、移動体管理部135は、対象の移動体15から報告を受けるたびに、この報告から特定される状況によって、対象の移動体15による物品の配送に関する上記の時間を特定する。そして、移動体管理部135は、対象の移動体15による物品の配送に関する時間を特定するたびに、特定した時間を識別する情報を、対象の移動体15を識別する情報に関連付けて規則管理装置12に送信する。なお、対象の移動体15による物品の配送に関して移動体管理部135に特定された時間を識別する情報を、以下では、配送時間情報と称することがある。
【0026】
また、移動体管理部135は、予め定められた時間ごとに、移動体15の状況の報告を移動体15に要求する。そして、移動体管理部135は、移動体15から報告を受けるたびに、この報告から特定される移動体15の状況を識別する情報を、この移動体15を識別する情報とともに規則管理装置12に送信する。
なお、配送の進捗状況の報告や移動体15の状況の報告等の移動体管理部135による要求の間隔として予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば1秒である。また、対象の移動体15による物品の配送に関する時間や、移動体15の状況を識別する情報等の、移動体15を識別する情報が関連付けられた態様により移動体管理部135から規則管理装置12に送信される情報を、以下では、移動体情報と称することがある。
【0027】
情報保持装置14は、送受信部141と、記憶部142と、領域管理部143と、応答部144とを有する。
送受信部141は、情報保持装置14の外部の装置に対して、情報を送受信する。送受信部141は、規則管理装置12や移動体制御装置13に対して、領域情報を送信する。また、送受信部141は、移動体15の位置を示す情報を移動体15から取得する。
記憶部142は、領域情報を、領域ごとに記憶する。なお、記憶部142に記憶される領域情報については、後に詳述する。
【0028】
領域管理部143は、領域を管理する。領域管理部143に管理される対象の領域は、地球上に存在する全ての領域であってもよいし、予め定められた範囲の領域であってもよい。予め定められた範囲としては、例えば、移動体15が移動または滞在する可能性がある範囲等が挙げられる。領域管理部143は、予め定められた時間ごとに、移動体15の位置の報告を移動体15に要求する。また、領域管理部143は、移動体15から報告を受けるたびに、受けた報告から移動体15が位置する領域を特定する。そして、領域管理部143は、特定した領域を識別する情報に、移動体15を識別する情報と、特定した領域に移動体15が位置する時刻を識別する情報とを関連付けることで、新たな領域情報を作成し、作成した領域情報を記憶部142に記憶させる。
なお、領域管理部143は、移動体15のみならず、例えば人間や自動車等の移動体15とは異なる他の物体の位置も管理対象とし、他の物体が位置する領域に関する領域情報を作成してもよい。
【0029】
応答部144は、規則管理装置12や移動体制御装置13からの要求に応答する。応答部144は、規則管理装置12や移動体制御装置13からの領域情報の要求を送受信部141を介して受けると、要求された領域情報を記憶部142から抽出し、抽出した領域情報を、送受信部141を介して要求元に送信する。
【0030】
移動体15は、送受信部151と、記憶部152と、検出部153と、駆動部154と、移動制御部155と、受け渡し部156と、状況管理部157とを有する。
送受信部151は、移動体15の外部の装置に対して情報を送受信する。送受信部151は、物品の配送の内容を示す情報としての領域情報を、移動体制御装置13から受信する。また、送受信部151は、移動体15による物品の配送の進捗状況や、移動体15の状況を示す情報を、移動体制御装置13に送信する。また、送受信部151は、移動体15の位置を示す情報を、情報保持装置14に送信する。
記憶部152は、移動体制御装置13から送信された領域情報を記憶する。
【0031】
検出部153は、移動体15の周囲の構造や、移動体15の位置を検出する。検出部153は、撮像素子等の撮像手段と、距離を測定する測定手段とを有し、移動体15の周辺の構造を検出する。測定手段としては、複数の撮像素子を用いて光の位相差により距離を測定する手段等が挙げられる。また、周辺の構造としては、地形や、障害物等の物体の構造等が挙げられる。障害物としては、建物の壁等が挙げられる。また、検出部153は、検出した構造から、移動体15の位置を検出する。また、検出部153は、撮影した画像に移動体15とは異なる物体が示されている場合において、画像と画像に示された物体との関係を機械学習し、機械学習の結果に基づいて、撮影した画像に示された物体の種類やこの物体の位置を検出してもよい。すなわち、検出部153が検出する物体は、移動体15のみに限定されない。検出部153は、検出の結果に基づいて、記憶部152に記憶されている領域情報を更新する。より具体的には、検出部153は、記憶部152に記憶されている領域情報のうちの、検出した物体が位置する領域が示された領域情報について、検出した物体および検出した時刻を更新する。また、検出部153は、検出した物体の位置を示す情報を、送受信部151を介して、移動体制御装置13に送信する。この場合に、検出部153は、検出結果に基づいて更新した領域情報を移動体制御装置13に送信してもよい。
【0032】
検出部153による構造の検出や位置の検出は、LiDAR(light detection and ranging)や、構造が検出された物体の点群情報を基にした自己位置推定機能を有する手段等により実現されてもよい。また、検出部153は、GPS(Global Positioning System)などの自己位置検出機能と、地磁気センサーなどの方向検出機能を有してもよい。方向検出機能は、IMU(Inertial Measurement Unit)などの慣性計測装置を用いて角速度を測定し、回転量を算出して方向を検出する手法により実現されてもよい。また、検出部153は、IMUにより測定された加速度から算出された移動量に基づいて、回転量と合わせて自己位置推定を行ってもよい。
駆動部154は、モーターなどの駆動装置からなり、移動体15の推進力を発生させる。
【0033】
移動制御部155は、移動体15の走行や方向転換等、移動体15の移動を制御する。移動制御部155は、駆動部154が複数設けられている場合において、駆動部154ごとの出力を制御することで、移動体15の方向を制御してもよい。また、移動制御部155は、移動体15が、物品の配送の内容を示す情報として記憶部152に記憶されている領域情報から特定される領域を通過または滞在するように、移動体15を制御する。また、領域情報が検出部153による検出結果を踏まえて更新されている場合、移動制御部155は、更新後の領域情報に基づいて移動体15を制御する。また、移動制御部155は、インターネットを介して移動体15が通過または滞在する領域に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて移動体15を制御してもよい。
移動制御部155による制御の一例を説明する。移動制御部155は、移動体制御装置13から送信され記憶部152に記憶されている領域情報から特定される領域を移動体15が通過または滞在するようにする。この場合において、移動制御部155は、検出部153に検出された障害物の位置と移動体15の位置との関係から、移動体15が障害物から一定の間隔を保って移動するように移動体15を制御する。これにより、人物が移動体15を直接操作することなく、移動体15の移動が実現される。
【0034】
受け渡し部156は、モーターやステージやハンドのような駆動装置からなり、物品を渡しやすいように設置したり、物品を受け取ったりすることができる機構を有する。受け渡し部156は、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとで機構や形状が異なっていてもよく、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとの物品の受け渡しを可能な組み合わせを有する。
状況管理部157は、移動体15に関する状況を管理する。移動体15に関する状況としては、移動体15の不具合の有無の状況、移動体15が物品の配送中であるか否かの状況、移動体15による配送の進捗状況等が挙げられる。状況管理部157は、移動体15の不具合の有無を特定する不図示のセンサーを有してもよい。また、状況管理部157は、記憶部152に記憶されている領域情報と検出部153に検出された移動体15の位置との関係から、移動体15が物品の配送中であるか否かや、移動体15による配送の進捗状況を特定してもよい。状況管理部157は、移動体15に関する状況の報告を移動体制御装置13から要求されるたびに、移動体15に関する状況を特定し、特定した状況を示す情報を、移動体制御装置13に送信する。また、状況管理部157は、RTC等の計時手段を有し、移動体15に関して特定した状況を示す情報を、移動体15に関する状況を特定した時刻を識別する情報を関連付けて、移動体制御装置13に送信してもよい。
【0035】
ユーザー端末21は、送受信部211と、記憶部212と、表示部213と、操作受付部214と、制御部215とを有する。
送受信部211は、依頼情報を規則管理装置12に送信する。また、送受信部211は、物品の配達に関する通知を、規則管理装置12から受信する。
記憶部212は、配達の依頼の履歴としての依頼情報や、配達に関して規則管理装置12から受信した通知等を記憶する。
表示部213は、情報を表示する。
操作受付部214は、タッチパネルやキーボタンなどで構成されており、依頼人11によるデータの入力に用いられる。本実施形態では、依頼人11が、表示部213に表示された情報に応じて操作受付部214を操作することで、ユーザー端末21への情報の入力や、物品の配達の依頼が行われる。なお、表示部213と操作受付部214とは、タッチパネル等の一体として構成された機能部であってもよい。
制御部215は、ユーザー端末21における各種サービスの管理や、情報入力、情報確認などを行い、通信処理を制御する。
【0036】
図3は、引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bの構成を示す図である。なお、図3に示す例は、移動体15の構成の一例であり、これに限定するものではない。
図3に示すように、引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bには、少なくとも2つ以上の駆動部154が設けられている。また、移動制御部155、各駆動部154の出力変更や、軸の回転駆動による駆動部154の方向変更により、移動体15が移動する方向を制御する。また、駆動部154は、車輪もしくはプロペラ等の回転軸の回転により前進や後退をする。また、図3に示す例では、引渡移動体15Aの受け渡し部156は、物品を引き渡しやすいように引渡移動体15Aの内部から上部に物品を持ち上げて引渡移動体15Aの外側に物品を配置する機構を有する。また、受取移動体15Bの受け渡し部156は、物品を引渡移動体15Aから受け取りつつ、受取人16に物品を渡せるよう、三本のアームで荷物を受け渡しできる形状となっている。
以上のように、移動体15は、例えばSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を搭載する。そして、移動体15は、検出部153による検出結果や、インターネットを介して取得した情報を基に、人間の手を直接介することなく、移動体15を制御する。
【0037】
図4は、規則管理装置12、移動体制御装置13および情報保持装置14のハードウェア構成を示す図である。規則管理装置12、移動体制御装置13および情報保持装置14は、CPU201、記憶装置202、メモリ203、操作I/F204、および通信I/F205を備える。CPU201は、自装置全体を制御する。CPU201は、記憶装置202からプログラムをメモリ203にロードし、実行することで各種制御を実現する。記憶装置202は、OS(Operating System)やプログラム、管理データ、外部システムや装置等から収集したデータ等を格納する。メモリ203は、CPU201のワークエリア等として機能する。操作I/F204は、接続されたディスプレイなどの出力装置に各種データやプログラムなどの実行結果を出力したり、接続された入力装置からの入力を受け付けたりする。通信I/F205は、外部のシステムや装置と通信を行うためのネットワークインターフェースである。
【0038】
図5は、規則・状況管理テーブルを示す図である。規則・状況管理テーブルは、移動体15の制御に用いられる規則や、発生する状況等を管理するためのテーブルである。規則・状況管理テーブルは、規則管理装置12の記憶部122に記憶されている。
なお、以下では、移動体15が位置する領域および物品の配送先が何れも野球場であるものとする。また、移動体15が野球場内を通って物品を配送する場合において、移動体15の制御に用いられる規則や発生する状況が規則・状況管理テーブルに示されているものとする。また、規則・状況管理テーブルに示された「…」は、記載を省略することを意味する。
【0039】
また、規則・状況管理テーブルは、全ての移動体15に共通の内容であってもよいし、移動体15について予め区分けされたグループごとに異なる内容であってもよいし、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとで異なる内容であってもよい。また、規則・状況管理テーブルは、野球場において用いられる移動体15と、野球場以外の場所で用いられる移動体15とで異なる内容である等、移動体15が用いられる環境ごとに異なる内容であってもよい。
【0040】
規則・状況管理テーブルの内容について、具体的に説明する。規則・状況管理テーブルには、「No」および「情報」が示されている。また、「情報」は、「規則」および「状況」に区分けされている。また、「規則」は、「移動体」、「経路」、「受け渡し領域」、「時間」、「待機領域」に区分けされている。また、「状況」は、「発生状況」、「種類」、「包括」、「変更状況」に区分けされている。
「情報」は、規則・状況管理テーブルに記憶されている情報である。
「No」は、規則・状況管理テーブルに示された「情報」を識別する番号である。図示の例では、規則・状況管理テーブルの「情報」には、「1」乃至「13」の番号が関連付けられており、この番号によって、規則・状況管理テーブルに示された「情報」が識別される。
【0041】
なお、規則・状況管理テーブルにおいて特定の「No」が関連付けられた「情報」を説明する場合、この「情報」を、この「情報」が関連付けられた「No」とともに称することがある。一例を挙げると、規則・状況管理テーブルにおける「No」の「1」が関連付けられた「規則」を説明する場合、「規則1」と称することがある。また、他の一例を挙げると、規則・状況管理テーブルにおける「No」の「7」が関連付けられた「移動体」を説明する場合、「移動体7」と称することがある。
【0042】
「規則」は、物品の配送に関する移動体15の制御に用いられる規則である。
「移動体」は、物品の配達に何れの引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bを用いるかを示す規則である。「移動体」の一例を説明する。
「移動体1」に示された「最短距離」は、配送先までの距離が最も短い領域に位置する引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bを、物品の配達に用いることを意味する規則である。「移動体1」は、何れの移動体15が配送に用いられるかに関する規則の一例である。
「経路」は、物品の配達に何れの経路を用いるかを示す規則である。「経路」の一例を説明する。「経路1」に示された「最短距離」は、対象の移動体15から配送先までの距離が最も短い経路の領域を、物品の配達に用いることを意味する規則である。「経路1」は、配送の実行中に移動体15が通過する領域に関する規則の一例である。
「受け渡し領域」は、対象の引渡移動体15Aと対象の受取移動体15Bとの物品の受け渡しに何れの領域を用いるかを示す規則である。「受け渡し領域」の一例を説明する。「受け渡し領域1」に示された「移動体非同一領域」は、何れかの移動体15が位置する領域と同一ではない領域を、対象の引渡移動体15Aと対象の受取移動体15Bとの物品の受け渡しに用いることを意味する規則である。「受け渡し領域1」は、配送の実行中に移動体15が滞在する領域に関する規則の一例である。
【0043】
「時間」は、移動体15の作業に要する時間を示す規則である。「時間」の一例として、「時間1」に示された「配3、移2、受0.5、渡0.5」について説明する。「配3」は、移動体15が配達を開始してから完了するまでに要する時間の上限が3分であることを意味する規則である。また、「移2」は、移動体15の配達における移動に要する時間の上限が2分であることを意味する規則である。また、「受0.5」は、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとの物品の受け渡しに要する時間の上限が0.5分(30秒)であることを意味する規則である。また、「渡0.5」は、受取移動体15Bから受取人16への物品の引き渡しに要する時間の上限が0.5分(30秒)であることを意味する規則である。「時間1」は、配送に係る時間に関する規則の一例である。
なお、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとの物品の受け渡しに要する時間としては、引渡移動体15Aに保持されている配送対象の物品が受取移動体15Bに渡されてから受取移動体15Bが受取人16に向かって移動を開始するまでの時間が挙げられる。また、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとの物品の受け渡しに要する時間は、引渡移動体15Aと受取移動体15Bとが共通の領域に存在する時間であってもよい。
【0044】
「待機領域」は、移動体15が配送の待機中に何れの領域で待機するかを示す規則である。「待機領域」の一例を説明する。「待機領域1」に示された「移動体非同一領域」は、何れかの移動体15が位置する領域と同一ではない領域を、移動体15が配送の待機中に用いることを意味する規則である。「待機領域1」は、配送の待機中に移動体15が滞在する領域に関する規則の一例である。
なお、「規則」に「‐」は、適用される規則が存在しないことを意味する。ただし、規則・状態管理テーブルにおける「規則」には、全ての項目に適用される規則が示されてもよい。
【0045】
「状況」は、移動体15が置かれる状況である。規則・状況管理テーブルにおいて、「状況」は、上述した「規則」に関連付けられて示されている。
「発生状況」は、規則・状況管理テーブルにおいて関連付けられた「規則」が適用されているときに発生している状況である。「発生状況」の一例を説明する。「発生状況1」に示された「14時~16時59分(野球試合中)」は、時刻が14時から16時59分までの時間帯に属し、野球の試合中である状況を意味する。
「種類」は、規則・状況管理テーブルにおいて関連付けられた「発生状況」の種類を識別する情報である。図示の例では、「種類」に示された英文字によって、「発生状況」の種類が識別される。なお、規則・状態管理テーブルにおいては、「発生状況2」および「発生状況3」のように、それぞれ異なる「発生状況」に関連付けられる「種類」として、同一の「種類」が付される場合がある。
【0046】
「包括」は、規則・状態管理テーブルにおいて関連付けられた「発生状況」が、関連付けられていない「発生状況」に包括される状況であるか否かを示す情報である。「包括」に英文字が示されることは、この「包括」に関連付けられた「発生状況」が、この「包括」と同じ英文字が「種類」に示された「発生状況」に包括される状況であることを意味する。また、「包括」に「‐」が示された「発生状況」は、包括される状況が存在しない状況であることを意味する。
【0047】
「発生状況」と「包括」との関係の一例を説明する。「発生状況3」に示された「HT守備中」は、「包括」である「A」が「種類」に示された「14時~16時59分(野球試合中)」に包括される状況であることを意味する。なお、「HT守備中」は、野球の試合中においてホームチーム(HT)の守備中である状況を意味する。
「発生状況」と「包括」との関係の他の一例を説明する。「発生状況5」に示された「エリア使用中」は、「包括」である「B」が「種類」に示された「非守備中」、「HT守備中」および「VT守備中」に包括される状況であることを意味する。すなわち、「HT守備中」は、「エリア使用中」を包括する状況である。また、「14時~16時59分(野球試合中)」は、「HT守備中」および「エリア使用中」を包括する状況である。なお、「エリア使用中」は、対象の移動体15の配送に用いられる領域が、この移動体15とは異なる物体に使用されている状況を意味する。
【0048】
「変更状況」は、新たな規則の適用条件を満たす状況である。そのため、「変更状況」は、新たな規則が適用される条件として予め定められた状況として捉えられる。また、「変更状況」は、適用される規則を変更する条件として予め定められた状況としても捉えられる。
「変更状況」の内容を具体的に説明する。「変更状況1」に示された「14時~16時59分以外」は、時刻が14時から16時59分までの時間帯とは異なる時間帯に属する状況を意味する。「変更状況1」は、予め定められた期間である状況の一例である。また、「変更状況6」に示された「エリア使用中」は、対象の移動体15の配送に用いられる領域が、この移動体15とは異なる移動体15に使用されている状況を意味する。「変更状況6」は、配送の実行中に移動体15が通過または滞在する領域について定められた状況の一例である。また、「変更状況9」および「変更状況10」に示された「時間超過」は、対象の移動体15の配送に関する時間が、「時間1」に示された時間を超過する状況を意味する。「変更状況9」および「変更状況10」は、配送に用いられる移動体について定められた状況の一例である。また、「変更状況9」および「変更状況10」は、配送に係る時間について定められた状況の一例である。
【0049】
本実施形態では、移動体制御システム1の管理者が、規則・状態管理テーブルにおいて、「発生状況」と、この「発生状況」が発生した場合に適用されることが望ましい「規則」とを、それぞれ関連付けて設定する。さらに、管理者は、規則・状態管理テーブルにおいて、「規則」および「発生状況」と、発生した場合には新たな規則が適用されることが望ましい「変更状況」とを関連付けて設定する。
【0050】
図6は、適用中管理テーブルを示す図である。適用中管理テーブルは、移動体15の制御に用いられるものとして適用中である規則を管理するためのテーブルである。適用中管理テーブルは、規則管理装置12の記憶部122に記憶されている。
本実施形態では、規則・状態管理テーブル(図5参照)に示された「情報」のうちの、規則適用部123により適用中である「規則」が示された「情報」が、適用中管理テーブルに示される。
【0051】
図6では、適用中管理テーブルに、「規則1」、「規則3」、「規則9」および「規則10」が示されている。これは、規則適用部123により、「規則1」、「規則3」、「規則9」および「規則10」が適用されていることを意味する。また、適用中管理テーブルには、「発生状況1」、「発生状況3」、「発生状況9」および「発生状況10」が示されている。これは、「発生状況1」、「発生状況3」、「発生状況9」および「発生状況10」に示す状況が発生していることを意味する。また、適用中管理テーブルには、「変更状況1」、「変更状況3」、「変更状況9」および「変更状況10」が示されている。これは、「変更状況1」、「変更状況3」、「変更状況9」および「変更状況10」に示す状況が、新たな規則の適用条件を満たす状況であることを意味する。
また、詳細については後述するが、適用中管理テーブルの「変更状況」に示された状況が発生した場合、更新部124は、新たに適用された規則を適用中管理テーブルに書き込むことで、適用中管理テーブルを更新する。また、更新部124は、既に適用されていた規則のうち、新たな規則の適用に伴って適用を継続しない規則がある場合には、適用を継続しない規則を適用中管理テーブルから消去する。
【0052】
次に、情報保持装置14に保持されている領域情報について説明する。図7および図8は、領域情報を説明するための図である。
領域情報から特定される各領域は、地球上の領域のうちの、緯度、経度および高さからなる3次元において予め定められた範囲ごとに区画された領域である。区画された各領域は、地球上における何れの領域であるかを識別する情報とともに記憶部142に記憶されている。ここで、区画された一つの領域100について説明する。領域100は、座標101を中心として、北緯20度、東経140度、高さHからなり、緯度方向の幅をD、経度方向の幅をW、高さ方向の幅をTとして規定された領域である。なお、領域は、特定の座標を中心として区画されるものに限定されず、例えば領域の角部や、領域における底面の中心部を中心としてもよい。また、区画された各領域の形状は、直方体に限定されず、略直方体であってもよく、地球のような球体表面上の領域が区画されることを踏まえて、底面よりも天面の方が広い領域であってもよい。また、領域の区画の基準になる次元は、緯度、経度および高さの3次元に限定されず、例えば、平面直角座標系等の2次元などであってもよい。
【0053】
記憶部142には、上述した一つの領域100を含む各領域を識別する情報が、対象の領域に存在する物体を識別する情報と、対象の領域に物体が存在する時刻を識別する情報とにそれぞれ関連付けられて、領域情報として記憶されている。情報保持装置14には、例えばカメラやLiDARなどの検出手段が設けられ、領域管理部143は、この検出手段による検出の結果を領域情報に入力することで領域情報を更新してもよい。また、領域情報は、移動体制御装置13等の情報保持装置14の外部の装置との間で、情報共有される。
なお、領域情報として管理される領域は、移動体15が位置する領域よりも小さく区画されてもよいし、移動体15が位置する領域よりも大きく区画されてもよい。
【0054】
移動体制御装置13の決定部133は、上述した領域情報を用いて、移動体15が通過または滞在する領域を含む、物品の配送の内容を決定する。ここで、領域情報から、移動体15が通過または滞在する候補としての領域に他の物体が存在することが特定される場合がある。この場合であっても、移動体15が候補の領域を通過または滞在する時刻に対して、他の物体が候補の領域に存在する時刻が過去または未来である場合には、決定部133は、この候補の領域を、移動体15が通過または滞在する領域として決定することができる。すなわち、決定部133は、物体が存在する領域のみならず、物体が領域に存在する時刻も踏まえて、移動体15に通過または滞在させる領域を決定する。
【0055】
次に、依頼人11が物品の配送を依頼してから物品の配送が完了するまでの流れを説明する。図9(A)および図9(B)は、依頼人11が物品の配送を依頼してから物品の配送が完了するまでの流れを示すシーケンス図である。
ユーザー端末21は、依頼人11の操作を受けると、規則管理装置12に依頼情報を送信することで、物品の配送を依頼する(S101)。
規則管理装置12は、ユーザー端末21から受信した依頼情報、および、適用している規則を示す情報を、移動体制御装置13に送信する(S102)。このとき、規則管理装置12が規則を示す情報として移動体制御装置13に送信する情報は、適用中管理テーブル(図6参照)に示されている情報である。
【0056】
移動体制御装置13は、情報保持装置14に対して、領域情報を要求する(S103)。移動体制御装置13による要求の対象である領域情報は、情報保持装置14の記憶部142に記憶されている全ての領域情報であってもよいし、特定の領域情報に限られてもよい。特定の領域情報としては、依頼があった物品の配送に用いられる可能性がある領域に関する領域情報等が挙げられる。また、依頼があった物品の配送に用いられる可能性がある領域としては、各移動体15の位置から物品の配送先までの範囲を含む領域等が挙げられる。
情報保持装置14は、移動体制御装置13から要求された領域情報を記憶部142から抽出し、抽出した領域情報を移動体制御装置13に送信する(S104)。
【0057】
移動体制御装置13は、情報保持装置14から受信した領域情報と、適用中である規則とに基づいて、物品の配送の内容を決定する(S105)。移動体制御装置13に決定される物品の配送の内容としては、物品の配送に何れの移動体15が用いられるかや、移動体15が通過または滞在する領域として何れの領域が用いられるか等が挙げられる。
移動体制御装置13は、配送の内容を示す領域情報を、配送の内容の指示として、対象の移動体15である引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bに送信する(S106A、S106B)。このとき、対象の引渡移動体15Aには、対象の受取移動体15Bを識別する情報と、現在地から物品の受け渡しまでに対象の引渡移動体15Aが通過または滞在する領域を示す情報とが含まれる。また、このとき、対象の受取移動体15Bには、対象の引渡移動体15Aを識別する情報と、現在地から引渡移動体15Aとの物品の受け渡しを経て受取人16へ配達するまでに対象の受取移動体15Bが通過または滞在する領域を示す情報とが含まれる。
【0058】
対象の引渡移動体15Aと対象の受取移動体15Bは、移動体制御装置13からの配送の指示にしたがって、合流し、物品の受け渡しを行う(S107)。この合流は、対象の受取移動体15Bが対象の引渡移動体15Aの滞在する領域に移動することで実現してもよいし、対象の引渡移動体15Aと対象の受取移動体15Bとが互いに近づくことで実現してもよい。
対象の受取移動体15Bは、移動体制御装置13からの配送の指示にしたがって、受取人16に物品を配送する(S108)。また、対象の受取移動体15Bは、受取人16への物品の配送が完了すると、配送が完了したことを移動体制御装置13に通知する(S109)。
移動体制御装置13は、対象の受取移動体15Bから配送が完了したことの通知を受けると、配送が完了したことを規則管理装置12に通知する(S110)。
規則管理装置12は、移動体制御装置13から配送が完了したことの通知を受けると、配送が完了したことをユーザー端末21に通知する(S111)。
【0059】
次に、規則適用処理について説明する。規則適用処理は、規則管理装置12が新たに規則を適用する処理である。図10は、規則適用処理の流れを示したフローチャートである。
本実施形態では、予め定められた時間ごとに規則適用処理が開始される。予め定められた時間は、何れの時間であってもよいが、例えば1秒である。また、本実施形態では、規則管理装置12のCPU201が、記憶装置202に記憶されたプログラムをメモリ203にロードして実行することで、規則適用処理における各処理が実現される。
【0060】
規則管理装置12の規則適用部123は、規則管理装置12が新たに状況情報を取得したか否かを判定する(S201)。状況情報は、発生している状況を示す情報である。規則適用部123は、状況情報により、この状況情報から特定される状況が、適用中管理テーブル(図6参照)に示された「変更状況」であるか否かを判定する。そのため、状況情報は、適用中管理テーブルに示された「変更状況」の発生の有無に関する情報としても捉えられる。また、状況情報としては、RTC125の計時により特定された時刻を示す情報、状況特定部126に特定された状況を示す情報、移動体管理部135から送受信部121に送信される配送時間情報および移動体情報等が挙げられる。また、状況情報には、情報保持装置14から送受信部121に送信される領域情報も含まれる。そのため、送受信部121、RTC125、および状況特定部126、は何れも、状況情報を取得する取得手段として捉えられる。また、RTC125の計時、状況特定部126による状況の特定、移動体管理部135から送受信部121への配送時間情報や移動体情報の送信、情報保持装置14から送受信部121への領域情報の送信は、上述の通り、定期的に行われる。そのため、規則管理装置12は、状況情報を繰り返し取得する。
【0061】
規則管理装置12が新たに状況情報を取得していない場合(S201にてNO)、規則適用処理が終了する。この場合、規則適用部123による新たな規則の適用は行われない。
また、規則管理装置12が新たに状況情報を取得した場合(S201にてYES)、規則適用部123は、新たに取得された状況情報から特定される状況が、適用中管理テーブル(図6参照)に示された「変更状況」に該当するか否かを判定する(S202)。新たに取得された状況情報から特定される状況が「変更状況」に該当しない場合(S202にてNO)、規則適用処理が終了する。この場合、規則適用部123による新たな規則の適用は行われない。
【0062】
一方で、新たに取得された状況情報から特定される状況が「変更状況」に該当する場合(S202にてYES)、規則適用部123は、状況情報から特定される状況に応じた内容の規則を新たに適用する(S203)。より具体的には、規則適用部123は、規則・状況管理テーブル(図5参照)を参照する。そして、規則適用部123は、新たに取得された状況情報から特定される状況に該当する「発生状況」が関連付けられた「規則」を、移動体制御装置13による移動体15の制御に用いられる新たな規則として適用する。
【0063】
なお、規則適用部123が新たに規則を適用する場合において、既に適用されていた規則の適用が継続される場合と継続されない場合とがある。既に適用されていた規則の適用が継続される場合としては、既に適用されていた規則に加えて、新たに適用される規則に基づいて物品の配送の内容が移動体制御装置13に決定されることが好ましい場合が挙げられる。また、既に適用されていた規則の適用が継続されない場合としては、既に適用されていた規則と新たに適用される規則とが相反する内容である等、両方の規則に基づく移動体制御装置13による配送の内容の決定が困難である場合などが挙げられる。また、既に適用されていた規則の適用が継続されないことは、規則適用部123が、予め適用されていた規則から、取得手段に取得された状況情報に応じた内容の規則に変更することとしても捉えられる。
【0064】
更新部124は、適用中管理テーブルの内容を更新する(S204)。より具体的には、規則適用部123は、規則・状況管理テーブルに示されている「情報」のうちの、S203において新たに適用した「規則」を含む「情報」を、適用中管理テーブルに書き込む。これにより、適用中管理テーブルに示された「変更状況」も更新される。なお、新たな規則の適用に伴い、既に適用されていた規則の適用が継続されない場合、更新部124は、適用中管理テーブルから、適用が継続されない「規則」を含む「情報」を消去する。
【0065】
更新部124は、適用している最新の規則を移動体制御装置13に通知する(S205)。より具体的には、更新部124は、S204において更新した最新の適用中管理テーブルに示された情報を、送受信部121を介して移動体制御装置13に送信することで、適用している最新の規則を通知する。
【0066】
以上の通り、規則適用部123は、状況情報に応じた内容の規則を適用する。そして、移動体制御部134は、適用された規則に基づいて、移動体15を制御する。これにより、状況に応じた内容の規則に基づく移動体15の制御によって複数の移動体15の間で受け渡しされる物品の配送を実現することができる。
また、規則適用部123は、移動体制御装置13の制御に用いられる規則を、予め適用されていた規則から、状況情報に応じた内容の規則に変更する。この場合、状況に関わらず予め適用されていた規則が継続して適用される場合に比べて、状況に適していない内容の規則に基づいて移動体15が制御されることを抑制できる。
【0067】
また変更状況は、予め定められた期間である状況、配送に用いられる移動体15について定められた状況、配送に係る時間について定められた状況、及び、配送の実行中または配送の待機中に移動体15が通過または滞在する領域について定められた状況である。この場合、該当する状況に応じた内容の規則に基づく移動体15の制御を実現することができる。
なお、適用中管理テーブルにおいて、新たな規則の適用条件として予め定められた「変更状況」は、上述した全ての状況の例を含むことに限定されない。「変更状況」には、上述した状況の例の少なくとも一つが含まれればよい。
【0068】
また、規則適用部123に適用される規則は、何れの移動体15が配送に用いられるかに関する規則、配送に係る時間に関する規則、および、配送の実行中または配送の待機中に移動体が通過または滞在する領域に関する規則である。この場合、状況に応じた内容の規則に基づく移動体15の制御によって複数の移動体15の間で受け渡しされる物品の配送を実現することができる。
なお、規則適用部123に適用される規則は、上述した全ての規則の例を含むことに限定されない。規則適用部123に適用される規則には、上述した規則の例の少なくとも一つが含まれればよい。
【0069】
また、適用中管理テーブルに示された「変更状況」には、複数の状況があり、規則適用部123は、状況情報から特定される状況が「変更状況」である複数の状況の何れかに該当する場合に、該当する状況に応じた内容の規則を新たに適用する。この場合、状況情報から特定される状況が「変更状況」である複数の状況の何れに該当するかに関わらず単一の内容の規則が新たに適用される場合に比べて、移動体制御装置13による、状況に適した内容の規則に基づく移動体15の制御を実現することができる。
【0070】
次に、時間の経過に応じて発生する状況と、規則適用部123に適用される規則との関係について説明する。図11は、時間の経過に応じて発生する状況と、規則適用部123に適用される規則との関係を示す図である。
図11(A)には、時刻が属する時間帯と、規則適用部123に適用される規則との関係が示されている。まず、時刻が14時から16時59分までの時間帯であるときに発生している状況は、規則・状況管理テーブルの「発生状況1」に示された「14時~16時59分(野球試合中)」である。このとき、規則適用部123によって、規則・状況管理テーブルに示された「規則1」が適用されている。より具体的には、「移動体1」、「経路1」、「受け渡し領域1」、「時間1」、および「待機領域1」の規則が適用されている。また、この場合、適用中管理テーブルにおいて「情報1」が管理される。
【0071】
次に、時刻が経過して17時になる。このときに発生している状況は、規則・状況管理テーブルの「発生状況11」に示された「17時~18時59分」である。このとき、規則適用部123は、適用される規則を、「規則1」から「規則11」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報1」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報11」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。これにより、適用中管理テーブルにおいて管理される内容が更新される。
このように、規則適用部123は、時刻の経過に応じた内容の規則を適用する。この場合、移動体制御装置13による、時刻に適した内容の規則に基づく移動体15の制御を実現することができる。
【0072】
次に、時刻が経過して19時になる。このときに発生している状況は、規則・状況管理テーブルの「発生状況12」に示された「19時~20時59分」である。このとき、規則適用部123は、適用する規則を、「規則11」から「規則12」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報11」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報12」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
次に、時刻が経過して21時になる。このときに発生している状況は、規則・状況管理テーブルの「発生状況13」に示された「21時~23時59分」である。このとき、規則適用部123は、適用する規則を、「規則12」から「規則13」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報12」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報13」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
【0073】
また、図11(B)には、14時から16時59分までの時間帯、すなわち野球の試合中において発生する状況と、規則適用部123に適用される規則との関係が示されている。まず、14時から時刻t1までにおいては、規則適用部123によって、規則・状態管理テーブルに示された「規則2」が適用されている。また、この場合、適用中管理テーブルにおいて「情報2」が管理される。なお、「情報2」のうちの「発生状況2」に示された「非守備中」は、野球の試合において、何れのチームの守備中でもない状況を意味する。また、「情報2」のうちの「変更状況2」に示された「守備中」は、野球の試合において、何れかのチームが守備中である状況を意味する。
【0074】
次に、時刻がt1であるときに、野球の試合においてホームチーム(HT)の守備が開始されるものとする。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況2」、および、規則・状態管理テーブルに示された「発生状況3」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則2」から「規則3」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報2」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報3」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。なお、このとき、「規則1」が継続して適用されているとともに、適用中管理テーブルにおいて「情報1」が管理されている。
このように、更新部124は、規則適用部123が規則を新たに適用する場合に、適用中管理テーブルにおける「変更状況」に該当する内容を更新する。そして、更新の後の「変更状況」には、更新の前の「変更状況」とは異なる状況である第1の状況と、更新の前の「変更状況」において発生することがある第2の状況とがある。更新の前の「変更状況」としては、「変更状況2」である「守備中」が挙げられる。また、第1の状況としては、「変更状況3」である「HT非守備中」が挙げられる。また、第2の状況としては、「変更状況5」乃至「変更状況10」等の、「発生状況3」である「HT守備中」に包括される状況が「発生状況」および「変更状況」に示された状況が挙げられる。
この場合、変更状況が一つのみである場合に比べて、規則適用部123による新たな規則の適用を伴う状況に多様性を持たせることができる。
【0075】
次に、時刻がt2であるときに、野球の試合において攻守交替のため何れのチームの守備も行われなくなる。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況3」、および、規則・状態管理テーブルに示された「発生状況2」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則3」から「規則2」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報3」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報2」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
次に、時刻がt3であるときに、野球の試合においてビジターチーム(VT)の守備が開始される。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況2」、および、規則・状態管理テーブルに示された「発生状況4」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則2」から「規則4」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報2」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報4」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
次に、時刻がt4であるときに、野球の試合において攻守交替のため何れのチームの守備も行われなくなる。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況4」、および、規則・状態管理テーブルに示された「発生状況2」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則4」から「規則2」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報4」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報2」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
【0076】
このように、本実施形態では、時刻の経過に伴う状況の変化に応じて、適した規則が異なる場合がある。付言すると、野球の試合においては、守備中であるチームよりも攻撃中であるチームに対して応援者から声援が送られやすい分だけ、攻撃中であるチームの応援者よりも、守備中であるチームの応援者の方が、物品の配送を依頼しやすい場合がある。そこで、本実施形態では、規則適用部123が、ホームチームおよびビジターチームの何れが守備中であるかに応じて、適用する規則を異ならせている。これにより、守備中であるチームの応援者からの物品の配送の依頼に対して、効率的な配送が実現されるように、移動体制御装置13による移動体15の制御に用いられる規則が適用される。
【0077】
なお、図11(B)に示す何れの時刻も、14時から16時59分までの時間帯に属する。そのため、図11(B)に示す時刻の経過によって何れの状況が発生しているかに関わらず、「規則1」が適用されているとともに、適用中管理テーブルにおいて「情報1」が管理されている。
【0078】
また、図11(C)には、14時から時刻t1までの時間帯、すなわち野球の試合中において何れのチームの守備も行われていないときに発生する状況と、規則適用部123に適用される規則との関係が示されている。まず、14時から時刻t11までにおいては、規則適用部123によって、規則・状態管理テーブルに示された「規則6」、「規則9」および「規則10」が適用されている。また、この場合、適用中管理テーブルにおいて、「情報6」、「情報9」および「情報10」が管理されている。
また、14時から時刻t11までに、依頼人11に依頼された物品の配送に関して、対象の移動体15によって作業c1および作業c2が行われるものとする。また、この作業c1に要した時間および作業c2に要した時間である時間T1は、規則・状態管理テーブルに示された「時間1」として定められた上限の時間よりも短いものとする。この場合、作業c1および作業c2に時間T1を要したことは、適用中管理テーブルに示された「変更状況9」および「変更状況10」に該当しない。
【0079】
次に、時刻t11において、対象の移動体15の配送に用いられる領域が、この移動体15とは異なる物体に使用されている状況が発生したものとする。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況6」、および、規則・状態管理テーブルに示された「発生状況5」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則6」から「規則5」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報6」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報5」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。この場合であっても、「規則9」および「規則10」の適用が継続されるとともに、適用中管理テーブルにおいて「情報9」および「情報10」の管理が継続されている。
【0080】
また、時刻t11から時刻12までに、依頼人11に依頼された物品の配送に関して、対象の移動体15によって作業c3が行われるものとする。また、この作業c3に要した時間T2は、規則・状態管理テーブルに示された「時間1」として定められた上限の時間よりも長いものとする。この場合であっても、規則適用部123によって「規則5」のうちの「時間5」が適用されているため、作業c3に時間T2を要したことは、適用中管理テーブルに示された「変更状況9」および「変更状況10」に該当しない。付言すると、「時間5」に示された「使用中の時間を加算」は、「時間1」として定められた時間に対して、「規則5」が適用されている時間が加算して得られた値が、移動体15の作業に要する時間の上限値になることを意味する規則である。
【0081】
次に、時刻t12において、対象の移動体15が配送に用いる領域として時刻t11の時点で使用されていた領域が空いたものとする。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況5」、および、規則・状態管理テーブルに示された「発生状況6」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則5」から「規則6」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報5」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報6」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
【0082】
次に、時刻t13において、依頼人11に依頼された物品の配送に関して、対象の移動体15によって作業c4が行われており、対象の移動体15に不具合が発生して対象の移動体15が作業c4を行っている領域に停止しているものとする。また、この作業c4に要した時間T3は、時間1に定められた上限の時間よりも長いものとする。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況9」、「変更状況10」、および規則・状態管理テーブルに示された「発生状況7」、「発生状況8」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則9」および「規則10」から、「規則7」および「規則8」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報9」および「情報10」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報7」および「情報8」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
なお、作業c4を行った対象の移動体15、すなわち不具合が発生した移動体15を、以下では、特定の移動体15と称する。また、特定の移動体15が不具合の発生により停止している領域を、以下では、停止領域と称する。
【0083】
ここで、時刻13から時刻14までに、依頼人11から新たな物品の配送が依頼されたものとする。この場合、移動体制御装置13は、適用されている「規則7」のうちの「移動体7」の規則にしたがって、特定の移動体15以外の移動体15を、物品の配送に用いる移動体15として新たに決定する。付言すると、「移動体7」に示された「不具合以外」は、不具合が発生した移動体15以外の移動体15を物品の配送に用いることを意味する規則である。なお、新たに決定された移動体15を、以下では、新たな対象の移動体15と称する。また、移動体制御装置13は、適用されている「規則8」のうちの「経路8」、「受け渡し領域8」、および「待機領域8」の規則にしたがって、新たな対象の移動体15が物品の配送に関して通過または滞在する領域を、停止領域以外の領域に決定する。付言すると、「経路8」、「受け渡し領域8」、および「待機領域8」に示された「停止中エリア以外」は、移動体15が通過または滞在する領域を、停止領域以外の領域にすることを意味する規則である。
【0084】
このように、移動体制御装置13は、状況情報から特定される状況が特定の移動体15について定められた「変更状況」である場合、新たな対象の移動体15の制御において、特定の移動体15との間の物品の受け渡し、又は、停止領域を用いることを制限する。ここで、特定の移動体15は、第1の移動体として捉えられる。また、新たな対象の移動体15は、第2の移動体として捉えられる。
この場合、第2の移動体15による物品の配送が第1の移動体15によって妨げられることを抑制できる。
【0085】
なお、本実施形態では、規則管理装置12が新たな規則を適用することで、新たな対象の移動体15の制御において、特定の移動体15との間の物品の受け渡し、または、停止領域が用いられることが制限されているが、これに限定されない。
状況情報から特定される状況が特定の移動体15について定められた「変更状況」であることが移動体制御装置13に通知されてもよい。そして、移動体制御装置13は、この通知を受けると、新たな対象の移動体15の制御において、特定の移動体15との間の物品の受け渡し、または、停止領域を用いることを制限してもよい。すなわち、新たな対象の移動体15の制御において、特定の移動体15との間の物品の受け渡し、または、停止領域を用いることの制限は、規則の適用によらず実現されてもよい。
【0086】
次に、時刻t14において、特定の移動体15が停止領域から離れたものとする。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況8」および規則・状態管理テーブルに示された「発生状況10」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則8」から、「規則10」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報8」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報10」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
次に、時刻t15において、特定の移動体15の不具合が解消したものとする。この状況は、適用中管理テーブルに示された「変更状況7」および規則・状態管理テーブルに示された「発生状況9」に該当する。この場合、規則適用部123は、適用する規則を、「規則7」から、「規則9」に変更する。また、更新部124は、適用中管理テーブルに示された「情報7」を消去し、規則・状態管理テーブルに示された「情報9」を、適用中管理テーブルに新たに書き込む。
【0087】
このように、本実施形態では、移動体15の状態によって状況が変わり得るところ、規則・状況管理テーブルには、移動体15の状態によって変わり得る状況ごとに「規則」および「状況」が定められている。そして、規則管理装置12は、移動体15の状態によって変わり得る状況に応じた内容の規則を適用するとともに、適用中管理テーブルに示された「変更状況」の内容を更新する。
また、図11(C)に示す何れの時刻も、14時から16時59分までの時間帯、より具体的には14時から時刻t1までの時間帯に属する。そのため、図11(C)に示す時刻の経過によって何れの状況が発生しているかに関わらず、「規則1」、および、図11(B)に示す何れかの規則が適用されている。また、図11(C)に示す時刻の経過によって何れの状況が発生しているかに関わらず、適用中管理テーブルにおいて、「情報1」、および、図11(B)に示す何れかの規則に関連付けられた「状況」が管理されている。
【0088】
このように、規則適用部123により新たな規則が適用されると、適用中管理テーブルにおける「変更状況」が更新されるが、この更新の内容は、新たな規則が適用される契機となった状況に該当する「発生状況」に応じて定められる。そして、新たな規則が適用される契機となった状況は、規則管理装置12に取得された状況情報であって、規則適用部123による新たな規則の適用に用いられた状況情報である。すなわち、更新部124は、規則が新たに適用される場合に、「変更状況」に該当する内容を、規則の新たな適用に用いられる状況情報に応じた内容に更新する。
この場合、新たに規則が適用される契機となった状況に応じて、移動体15の将来の制御に用いられる規則の適用条件を満たす状況を定めることができる。
【0089】
なお、本実施形態では、規則管理装置12は、ユーザー端末21から物品の配送の依頼を受けると、何れの規則を適用しているかを移動体制御装置13に通知しているが、これに限定されない。規則管理装置12は、新たに規則を適用した際にこの規則を移動体制御装置13に通知すればよく、ユーザー端末21から物品の配送の依頼を受けた際に適用している規則を移動体制御装置13に通知しなくてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、ユーザー端末21が、規則管理装置12に対して物品の配送を依頼しているが、これに限定されない。ユーザー端末21は、移動体制御装置13に物品の配送を依頼してもよい。
【0091】
また、本実施形態では、規則管理装置12が規則・状態管理テーブルに示された「規則6」等の規則を適用することにより、対象の移動体15が既に使用されている領域を通過または滞在することを抑制するようにしているが、これに限定されない。
例えば、移動体制御装置13が、既に使用されている領域を新たに用いることなく配送の経路を決定することで、対象の移動体15が既に使用されている領域を通過または滞在することを抑制するようにしてもよい。また、例えば、移動体15が、既に使用されている領域を通過または滞在しないように移動することで、対象の移動体15が既に使用されている領域を通過または滞在することを抑制するようにしてもよい。すなわち、対象の移動体15が既に使用されている領域を通過または滞在することを抑制する手段は、規則管理装置12による規則の適用に限定されない。
【0092】
また、本実施形態では、予め定められた時間ごとに規則適用処理(図10参照)が開始されることを説明したが、これに限定されない。
例えば、規則管理装置12に状況情報が取得されることにより、規則適用処理が開始されてもよい。
【0093】
また、規則管理装置12は、最初に規則を適用する場合、すなわち、何れの規則も適用されていない場合には、規則・状況管理テーブルに記憶されている規則のうちの、現在の状況に該当する「発生状況」に関連付けられた規則を全て適用してもよい。
また、規則管理装置12は、新たな規則を適用する場合、この規則の適用前に、全ての規則の適用を一旦取り消してから、新たな規則を適用してもよい。言い換えると、規則管理装置12は、新たな規則を適用する場合、この規則の適用前に、規則の適用をリセットしてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、移動体制御装置13が、対象の移動体15に対して、配送の経路を指示しているが、これに限定されない。移動体制御装置13は、対象の移動体15に対して、配送先としての領域を通知する一方で、配送の経路を通知しなくてもよい。この場合、移動体15は、領域情報を生成し又は取得することにより、領域情報を有してもよい。そして、対象の移動体15が、領域情報および配送先に基づいて、自ら配送の経路や配送の時刻を決定してもよい。
【0095】
また、規則適用部123に適用される規則の内容は、上述した例に限定されない。例えば、個別の移動体15や個別の配送経路が規則として定められてもよい。
また、移動体制御装置13は、適用されている規則に基づいて物品の配送の内容を決定した後、規則適用部123によって新たな規則が適用された場合には、新たな規則に基づいて、決定した配送の内容を修正してもよい。
【0096】
また、本実施形態では、規則管理装置12は、移動体制御装置13や情報保持装置14から移動体15の状況に関する情報を取得することで、移動体15の状況を特定しているが、これに限定されない。規則管理装置12は、移動体15の状況に関する報告を移動体15に対して直接要求し、要求した移動体15から受けた報告により移動体15の状況を特定してもよい。また、規則管理装置12は、情報の要求先から移動体15の状況に関する報告が予め定められた時間ないことにより、移動体15に不具合が発生した等の移動体15の状況を特定してもよい。情報の要求先としては、移動体制御装置13、情報保持装置14、移動体15等が挙げられる。
【0097】
また、本実施形態の領域情報には、領域情報を識別する情報に、この領域に存在する物体を識別する情報と、この領域に物体が存在する時刻を識別する情報とが関連付けられることを説明したが、これに限定されない。領域情報には、領域情報を識別する情報に、この領域に進入可能である物体を識別する情報と、この領域に物体が進入可能である時刻を識別する情報とが関連付けられてもよい。そして、移動体制御装置13の決定部133は、領域情報から、物体が進入可能である領域および物体が領域に進入可能である時刻を特定し、特定した結果を踏まえて、移動体15が通過または滞在する領域を含む、物品の配送の内容を決定してもよい。
【0098】
また、上述した例では、時点が属する時間帯が最も包括的な「変更状況」であることを説明したが、これに限定されない。
例えば、移動体15の経年劣化を検知する不図示のセンサーが移動体制御システム1に設けられ、このセンサーによって移動体15の経年劣化が特定された状況が、時点が属する時間帯よりも包括的な「変更状況」として定められてもよい。このように、適用中管理テーブルにおいて管理される「変更状況」は、何れの状況として定められるものであってもよい。
【0099】
また、上述した例では、移動体制御システム1が野球場において用いられているが、これに限定されない。移動体制御システム1は、野球場のような広域の領域のみならず、アウトレットモールやマンションのような狭域の領域における小規模配送などに応用されてもよい。また、移動体制御システム1は、閉じられた領域のみならず、移動範囲が制限されない開放された領域における配送に用いられてもよい。
【0100】
また、引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bは、上述した種類に限定されない。引渡移動体15Aおよび受取移動体15Bは、例えば、水中を移動する移動体、空中を移動する移動体、地上を移動する移動体のうちのそれぞれ異なる移動体であってもよい。また、移動体15は、4足歩行型の移動体等であってもよい。
【0101】
また、本実施形態では、移動体制御装置13と情報保持装置14とが別々の装置であるが、これに限定されない。移動体制御装置13と情報保持装置14とは、一つの装置であってもよい。
また、本実施形態では、規則管理装置12と移動体制御装置13とが別々の装置であるが、これに限定されない。規則管理装置12と移動体制御装置13とは、一つの装置であってもよい。
また、本実施形態では、規則管理装置12と情報保持装置14とが別々の装置であるが、これに限定されない。規則管理装置12と情報保持装置14とは、一つの装置であってもよい。
また、規則管理装置12と、移動体制御装置13と、情報保持装置14とは、一つの装置であってもよい。
【0102】
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。
従って、本発明について上述した機能処理をコンピュータで実現するために、このコンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバーに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
【0103】
本実施形態の開示は、以下の撮像装置の構成を含む。
(構成1)
複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて、移動体を制御する制御手段と、
予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する取得手段と、
前記取得手段に取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する適用手段と、
を備えた、移動体制御システム。
(構成2)
前記取得手段は、前記状況情報を繰り返し取得し、
前記適用手段は、前記制御手段の前記制御に用いられる前記規則を、予め適用されていた前記規則から、前記取得手段に新たに取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則に変更する、構成1に記載の移動体制御システム。
(構成3)
前記適用手段は、前記状況情報から特定される状況が前記予め定められた状況である場合に、前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用し、
前記予め定められた状況には、予め定められた期間である状況、前記配送に用いられる移動体について定められた状況、前記配送に係る時間について定められた状況、および、前記配送の実行中に移動体が通過または滞在する領域について定められた状況のうちの少なくとも一つが含まれる、構成1又は構成2に記載の移動体制御システム。
(構成4)
前記取得手段は、前記状況情報を繰り返し取得し、
前記適用手段は、前記取得手段に新たに取得された前記状況情報から特定される状況が前記予め定められた状況である場合に、前記状況情報に応じた内容の前記規則を新たに適用し、
前記適用手段が前記規則を新たに適用する場合に、前記予め定められた状況に該当する内容を更新する更新手段をさらに備え、
前記更新の後の前記予め定められた状況には、前記更新の前の前記予め定められた状況とは異なる状況である第1の状況と、前記更新の前の前記予め定められた状況において発生することがある状況である第2の状況とがある、構成1乃至構成3の何れか一項に記載の移動体制御システム。
(構成5)
前記規則には、何れの移動体が前記配送に用いられるかに関する規則、前記配送に係る時間に関する規則、および、前記配送の実行中または前記配送の待機中に移動体が通過または滞在する領域に関する規則のうちの少なくとも一つの規則が含まれる、構成1乃至構成4の何れか一項に記載の移動体制御システム。
(構成6)
前記予め定められた状況には、複数の状況があり、
前記適用手段は、前記状況情報から特定される状況が前記複数の状況の何れかに該当する場合に、該当する状況に応じた内容の前記規則を新たに適用する、構成1乃至構成5の何れか一項に記載の移動体制御システム。
(構成7)
前記取得手段は、前記状況情報を繰り返し取得し、
前記適用手段は、前記取得手段に新たに取得された前記状況情報から特定される状況が前記予め定められた状況である場合に、前記状況情報に応じた内容の前記規則を新たに適用し、
前記規則が新たに適用される場合に、前記予め定められた状況に該当する内容を、前記規則の新たな適用に用いられる前記状況情報に応じた内容に更新する更新手段をさらに備えた、構成1乃至構成6の何れか一項に記載の移動体制御システム。
(構成8)
前記規則には、前記配送に用いられる移動体を示す規則、および、前記配送の実行中または前記配送の待機中に移動体が通過または滞在する領域を示す規則のうちの少なくとも一つが含まれ、
前記予め定められた状況には、少なくとも、前記配送に用いられる移動体について定められた状況が含まれ、
前記制御手段は、前記状況情報から特定される状況が前記配送に用いられる第1の移動体について定められた状況である場合に、第2の移動体の制御において、前記第1の移動体との間の物品の受け渡し、または、前記第1の移動体が位置する前記領域を用いることを制限する、構成1乃至構成7の何れか一項に記載の移動体制御システム。
(構成9)
複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して定められた規則に基づいて移動体を制御する制御手段を備えた移動体制御システムの制御方法であって、
予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する工程と、
取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する工程と、
を有する、移動体制御システムの制御方法。
(構成10)
コンピュータに、
予め定められた状況の発生の有無に関する状況情報を取得する機能と、
複数の移動体の間で受け渡しされる物品の配送に関して、移動体を制御する制御手段に用いられる規則として、取得された前記状況情報に応じた内容の前記規則を適用する機能と、
を実現させるための、プログラム。
【0104】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
11 依頼人
12 規則管理装置
13 移動体制御装置
14 情報保持装置
15 移動体
16 受取人
21 ユーザー端末

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11