(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143875
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】基板処理装置、故障兆候の判定方法、および、学習方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20250925BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20250925BHJP
G01M 13/003 20190101ALI20250925BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
G05B23/02 R
H01L21/304 643A
G01M13/003
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043355
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】生和 高明
(72)【発明者】
【氏名】平尾 司
【テーマコード(参考)】
2G024
3C223
5F157
【Fターム(参考)】
2G024AA18
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA16
2G024DA15
2G024EA01
2G024FA03
2G024FA06
3C223AA13
3C223BA01
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3C223HH22
5F157AA03
5F157AB02
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5F157CF44
5F157CF60
5F157CF92
(57)【要約】
【課題】調整バルブの故障の兆候を検出することが可能な基板処理装置、故障兆候の判定方法、および、学習方法を提供する。
【解決手段】
基板処理装置100は、配管31と、開閉バルブ33と、電動式の調整バルブ34と、振動センサ51と、判定部55aとを備える。配管31には、処理液が通過する。開閉バルブ33は、配管31の流路を開閉する。調整バルブ34は、流路を通過する処理液の流量を調整する。振動センサ51は、調整バルブ34の振動を検出する。判定部55aは、調整バルブ34が駆動している際における振動センサ51の振動検出結果に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液が通過する配管と、
前記配管の流路を開閉する開閉バルブと、
前記流路を通過する前記処理液の流量を調整する電動式の調整バルブと、
前記調整バルブの振動を検出する振動センサと、
判定部と
を備え、
前記判定部は、前記調整バルブが駆動している際における前記振動センサの振動検出結果に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する、基板処理装置。
【請求項2】
前記流路を通過する前記処理液の流量を検出する流量計と、
前記流量計の学習時流量検出結果と、前記振動センサの学習時振動検出結果とに基づいた機械学習によって生成された学習済モデルを記憶する記憶部と
を備え、
前記判定部は、
前記学習済モデルに対して前記振動センサの前記振動検出結果を入力して、前記流路を通過する前記処理液の推定流量を取得し、
前記推定流量に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記推定流量、前記振動センサが前記調整バルブの振動を検出した際における前記流量計の流量検出結果との差分を算出し、
前記差分に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記差分が所定期間内に所定回数以上、閾値を超える場合に、前記調整バルブの故障の兆候があると判定する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理する複数の処理ユニットを備え、
前記配管、前記開閉バルブ、前記調整バルブ、前記振動センサ、前記学習済モデルおよび前記流量計の各々は、前記処理ユニット毎に設けられており、
前記基板処理装置は、
複数の前記配管に接続され、前記複数の配管に前記処理液を供給する共通配管と、
前記共通配管内の圧力を検出する圧力計と
をさらに備え、
前記学習済モデルは、前記学習時流量検出結果と、前記学習時振動検出結果と、前記圧力計の学習時圧力検出結果とに基づいた機械学習によって生成されており、
前記判定部は、前記学習済モデルに対して、前記振動検出結果と、前記振動センサが前記調整バルブの振動を検出した際における前記圧力計の圧力検出結果とを入力して、前記推定流量を取得する、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記調整バルブは、モーターニードルバルブを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記調整バルブの故障の兆候があると前記判定部が判定した場合に、前記調整バルブの交換を促す報知、および/または、前記基板処理装置の点検を促す報知を行う報知部を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
配管の流路を開状態または閉状態にする工程と、
前記流路を通過する処理液の流量を調整する電動式の調整バルブを駆動する工程と、
前記調整バルブの振動を検出する工程と、
前記調整バルブが駆動している際に前記調整バルブの振動を検出した振動検出結果に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する工程と
を含む、故障兆候の判定方法。
【請求項9】
前記判定する工程に先立って、
学習済モデルに対して、前記振動検出結果を入力して、前記流路を通過する前記処理液の推定流量を取得する工程を含み、
前記学習済モデルは、前記流路を通過する前記処理液の流量を検出した学習時流量検出結果と、前記調整バルブの振動を検出した学習時振動検出結果とに基づいた機械学習によって生成されており、
前記判定する工程において、前記推定流量に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する、請求項8に記載の故障兆候の判定方法。
【請求項10】
学習用データ生成方法に従って生成された学習用データを取得する工程と、
学習プログラムに前記学習用データを入力することによって機械学習する工程と
を含み、
前記学習用データ生成方法は、
配管の流路を通過する処理液の流量を検出する流量計の学習時流量検出結果を取得する工程と、
前記流路を通過する前記処理液の流量を調整する電動式の調整バルブの振動を検出する振動センサの学習時振動検出結果を取得する工程と、
前記流量計の前記学習時流量検出結果と、前記調整バルブが駆動している際における前記振動センサの前記学習時振動検出結果とを関連付けて学習用データとして記憶部に記憶する工程と
を含む、学習方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、故障兆候の判定方法、および、学習方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理液が通過する配管と、配管の流路を開閉する開閉バルブと、配管の流路を通過する処理液の流量を調整する電動式の調整バルブと、配管を通過する処理液の流量を検出する流量計とを備えた基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、処理液が流れる配管と、配管の流路を開閉する開閉弁と、配管を流れる処理液の流量を調整する調整弁と、配管を流れる処理液の流量を検出する流量計とを備えた基板処理装置が記載されている。
【0003】
このような基板処理装置では、処理液の流量は、例えば、数ml/分以下の誤差範囲で調整される。このため、流量計の検出結果が目標流量になるように、調整バルブがフィードバック制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の基板処理装置では、流量を調整するためのフィードバック制御に起因して、調整バルブが経年劣化する。そして、調整バルブの経年劣化が進行すると、処理液の流量の立ち上がりが遅くなったり、流量のバラツキが大きく(ハンチングとも言う)なったりする。この場合、流量計の検出結果に基づいて、例えば調整バルブに異常(故障)が発生していることを知ることができる。
【0006】
しかしながら、従来の方法では、配管を流れる処理液の流量の異常が発生するまで、調整バルブの異常を検出することができなかった。このため、流量異常が基板処理中に突発的に発生し、意図せずに基板処理を中断する必要があるので、生産性が低下するという問題点がある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、調整バルブの故障の兆候を検出することが可能な基板処理装置、故障兆候の判定方法、および、学習方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、鋭意検討した結果、配管内を通過する処理液の流量に異常が起きる前に、調整バルブに振動が発生することを見出した。詳しくは、調整バルブに振動が生じた段階では流量の異常は発生しないが、調整バルブに振動が生じた後、さらに使用を続けていると調整バルブが故障し、流量の異常が生じることを見出した。
【0009】
本発明は本願発明者の新たな知見に基づくものであり、本発明の第1の態様によれば、基板処理装置は、配管と、開閉バルブと、電動式の調整バルブと、振動センサと、判定部とを備える。前記配管には、処理液が通過する。前記開閉バルブは、前記配管の流路を開閉する。前記調整バルブは、前記流路を通過する前記処理液の流量を調整する。前記振動センサは、前記調整バルブの振動を検出する。前記判定部は、前記調整バルブが駆動している際における前記振動センサの振動検出結果に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する。
【0010】
ある実施形態において、基板処理装置は、流量計と、記憶部とを備える。前記流量計は、前記流路を通過する前記処理液の流量を検出する。前記記憶部は、学習済モデルを記憶する。前記学習済モデルは、前記流量計の学習時流量検出結果と、前記振動センサの学習時振動検出結果とに基づいた機械学習によって生成されている。前記判定部は、前記学習済モデルに対して前記振動センサの前記振動検出結果を入力して、前記流路を通過する前記処理液の推定流量を取得する。前記判定部は、前記推定流量に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する。
【0011】
ある実施形態において、前記判定部は、前記推定流量と、前記振動センサが前記調整バルブの振動を検出した際における前記流量計の流量検出結果との差分を算出する。前記判定部は、前記差分に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する。
【0012】
ある実施形態において、前記判定部は、前記差分が所定期間内に所定回数以上、閾値を超える場合に、前記調整バルブの故障の兆候があると判定する。
【0013】
ある実施形態において、基板処理装置は、基板を処理する複数の処理ユニットを備える。前記配管、前記開閉バルブ、前記調整バルブ、前記振動センサ、前記学習済モデルおよび前記流量計の各々は、前記処理ユニット毎に設けられている。前記基板処理装置は、複数の前記配管に接続され、前記複数の配管に前記処理液を供給する共通配管と、前記共通配管内の圧力を検出する圧力計とをさらに備える。前記学習済モデルは、前記学習時流量検出結果と、前記学習時振動検出結果と、前記圧力計の学習時圧力検出結果とに基づいた機械学習によって生成されている。前記判定部は、前記学習済モデルに対して、前記振動検出結果と、前記振動センサが前記調整バルブの振動を検出した際における前記圧力計の圧力検出結果とを入力して、前記推定流量を取得する。
【0014】
ある実施形態において、前記調整バルブは、モーターニードルバルブを有する。
【0015】
ある実施形態において、前記調整バルブの故障の兆候があると前記判定部が判定した場合に、前記調整バルブの交換を促す報知、および/または、前記基板処理装置の点検を促す報知を行う報知部を備える。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、故障兆候の判定方法は、配管の流路を開状態または閉状態にする工程と、前記流路を通過する処理液の流量を調整する電動式の調整バルブを駆動する工程と、前記調整バルブの振動を検出する工程と、前記調整バルブが駆動している際に前記調整バルブの振動を検出した振動検出結果に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する工程とを含む。
【0017】
ある実施形態において、故障兆候の判定方法は、前記判定する工程に先立って、学習済モデルに対して、前記振動検出結果を入力して、前記流路を通過する前記処理液の推定流量を取得する工程を含む。前記学習済モデルは、前記流路を通過する前記処理液の流量を検出した学習時流量検出結果と、前記調整バルブの振動を検出した学習時振動検出結果とに基づいた機械学習によって生成されている。前記判定する工程において、前記推定流量に基づいて、前記調整バルブの故障の兆候の有無を判定する。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、学習方法は、学習用データ生成方法に従って生成された学習用データを取得する工程と、学習プログラムに前記学習用データを入力することによって機械学習する工程とを含む。前記学習用データ生成方法は、配管の流路を通過する処理液の流量を検出する流量計の学習時流量検出結果を取得する工程と、前記流路を通過する前記処理液の流量を調整する電動式の調整バルブの振動を検出する振動センサの学習時振動検出結果を取得する工程と、前記流量計の前記学習時流量検出結果と、前記調整バルブが駆動している際における前記振動センサの前記学習時振動検出結果とを関連付けて学習用データとして記憶部に記憶する工程とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、調整バルブの故障の兆候を検出することが可能な基板処理装置、故障兆候の判定方法、および、学習方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態の基板処理装置の模式的な平面図である。
【
図2】基板処理装置における処理ユニットの模式図である。
【
図4】第1実施形態の処理ユニット周辺の構成を模式的に示す図である。
【
図5】第1実施形態の基板処理装置のブロック図である。
【
図6】故障の兆候がない調整バルブを駆動した際に、振動センサが検出する振動検出結果(振動波形)の一例を示す図である。
【
図7】処理液の流量が一定になるように、故障の兆候がない調整バルブを駆動した際に、流量計が検出する流量検出結果の一例を示す図である。
【
図8】故障の兆候がある調整バルブを駆動した際に、振動センサが検出する振動検出結果(振動波形)の一例を示す図である。
【
図9】故障の兆候がある調整バルブの振動検出結果(振動波形)を学習済モデルに入力した際に得られる推定流量の一例を示す図である。
【
図10】第1実施形態の基板処理装置による調整バルブの故障兆候の有無の判定方法を示すフローチャートである。
【
図11】流量検出結果と推定流量との差分の一例を示す図である。
【
図12】流量検出結果と推定流量との差分の他の一例を示す図である。
【
図13】基板処理学習システムの構成を示す図である。
【
図14】学習用データ生成装置のブロック図である。
【
図15】第1実施形態の学習用データの生成方法を示すフローチャートである。
【
図17】第1実施形態の学習方法を示すフローチャートである。
【
図18】第2実施形態の基板処理装置の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。本実施形態では、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0022】
(第1実施形態)
図1~
図17を参照して、本発明の第1実施形態の基板処理装置100について説明する。
図1は、第1実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。
【0023】
図1に示すように、基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去、および、洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0024】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0025】
基板処理装置100は、複数の処理ユニット10と、流体キャビネット110と、複数の流体ボックス120と、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0026】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット10との間で基板Wを搬送する。処理ユニット10の各々は、処理液を基板Wに供給して、基板Wに処理を実行する。流体キャビネット110は、処理液を収容する。処理液は、例えば、薬液、リンス液、除去液および/または撥水剤を含む。流体キャビネット110は、処理液を収容する。なお、流体キャビネット110は、ガスを収容してもよい。
【0027】
複数の処理ユニット10は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット10(
図1では3つの処理ユニット10)を含む。流体ボックス120は、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット110内の処理液は、いずれかの流体ボックス120を介して、流体ボックス120に対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット10に供給される。
【0028】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、およびセンターロボットCRを制御する。
【0029】
制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、プロセッサを有する。制御部102は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0030】
記憶部104は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0031】
記憶部104は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部104はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部104の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0032】
次に、
図2を参照して、第1実施形態の基板処理装置100における処理ユニット10を説明する。
図2は、基板処理装置100における処理ユニット10の模式図である。
【0033】
処理ユニット10は、チャンバー12と、基板保持部20とを備える。チャンバー12は、基板Wを収容する。基板保持部20は、基板Wを保持する。
【0034】
チャンバー12は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー12は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー12には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー12内に収容され、チャンバー12内で処理される。チャンバー12には、基板保持部20および後述する処理液供給部30のそれぞれの少なくとも一部が収容される。
【0035】
基板保持部20は、基板Wを保持する。基板保持部20は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの下面(裏面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持部20は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。基板保持部20は、基板Wを保持したまま基板Wを回転させる。
【0036】
例えば、基板保持部20は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持部20は、基板Wを下面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部20は、バキューム式であってもよい。
【0037】
例えば、基板保持部20は、スピンベース21と、チャック部材22と、シャフト23と、電動モーター24と、ハウジング25とを含む。チャック部材22は、スピンベース21に設けられる。チャック部材22は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース21には、複数のチャック部材22が設けられる。
【0038】
シャフト23は、中空軸である。シャフト23は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト23の上端には、スピンベース21が結合されている。基板Wは、スピンベース21の上方に載置される。
【0039】
スピンベース21は、円板状であり、基板Wを水平に支持する。シャフト23は、スピンベース21の中央部から下方に延びる。電動モーター24は、シャフト23に回転力を与える。電動モーター24は、シャフト23を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース21を回転させる。ハウジング25は、シャフト23および電動モーター24を取り囲んでいる。
【0040】
基板処理装置100は、処理液供給部30をさらに備える。処理液供給部30は、基板Wに処理液を供給する。典型的には、処理液供給部30は、基板Wの上面Waに処理液を供給する。
【0041】
処理液は、いわゆる薬液を含んでもよい。薬液は、例えば、フッ酸を含む。例えば、フッ酸は、40℃以上70℃以下に加熱されてもよく、50℃以上60℃以下に加熱されてもよい。ただし、フッ酸は、加熱されなくてもよい。また、薬液は、水または燐酸を含んでもよい。
【0042】
さらに、薬液は、過酸化水素水を含んでもよい。また、薬液は、SC1(アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(塩酸過酸化水素水混合液)または王水(濃塩酸と濃硝酸との混合物)を含んでもよい。
【0043】
処理液供給部30は、配管31と、ノズル32と、開閉バルブ33と、調整バルブ34と、流量計35とを含む。ノズル32は基板Wの上面Waに処理液を吐出する。ノズル32は、例えば、基板Wの中央部に処理液を吐出してもよいし、基板Wの中央部と周縁部との間の領域に処理液を吐出してもよい。ノズル32は、吐出口を有し、吐出口から処理液を吐出する。
【0044】
ノズル32は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。ノズル32は、制御部102によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動できる。なお、本明細書において、図面が過度に複雑になることを避けるために移動機構を省略していることに留意されたい。ノズル32は、配管31に接続される。配管31には、供給源から処理液が供給される。
【0045】
開閉バルブ33は、配管31に設けられ、配管31内の流路を開閉する。具体的には、開閉バルブ33は、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0046】
図3は、調整バルブ34の構成を示す断面図である。調整バルブ34は、配管31に設けられ、配管31の流路を通過する処理液の流量を調整する。調整バルブ34は、電動式の調整バルブである。本実施形態では、調整バルブ34は、モーターニードルバルブである。
【0047】
図3に示すように、具体的には、調整バルブ34は、ニードル341と、ステッピングモーター342と、バルブボディ343と、ケース344と、連結部材345と、シール部材346とを有する。バルブボディ343には、処理液が通過する内部流路343aが形成されている。また、バルブボディ343は、内部流路343aの一端部および他端部にそれぞれ形成される流入口343bおよび流出口343cを有する。流入口343bおよび流出口343cは、配管31に繋がっている。
【0048】
ニードル341は、内部流路343aの開度を調整する。言い換えると、ニードル341は、内部流路343aを通過する処理液の流量を調整する。ステッピングモーター342は、バルブボディ343に対してニードル341を移動させる。具体的には、ステッピングモーター342は、ニードル341を軸方向に移動させる。
【0049】
ケース344は、バルブボディ343に固定されているとともに、ステッピングモーター342および連結部材345を収容している。連結部材345は、ステッピングモーター342のモーターシャフト342aとニードル341とを連結している。シール部材346は、ケース344とニードル341との間の隙間をシールする。シール部材346は、例えば、Oリングである。シール部材346は、内部流路343aの処理液がケース344内に漏れることを抑制する。
【0050】
また、調整バルブ34は、原点(基準位置)センサ347を有する。原点センサ347は、ニードル341を原点位置(基準位置)に位置させるためのセンサである。具体的には、原点センサ347は、発光素子を有する発光部347aと、受光素子を有する受光部347bとを有する。発光部347aおよび受光部347bは、モーターシャフト342aに対してニードル341とは反対側に配置されている。ステッピングモーター342の駆動によりモーターシャフト342aが軸方向に移動し、発光部347aから受光部347bに向かう光をモーターシャフト342aが遮光する位置が、モーターシャフト342aおよびニードル341の原点位置(基準位置)である。
【0051】
ステッピングモーター342は、ニードル341を開位置と閉位置との間で移動させる。ステッピングモーター342がニードル341を軸方向に移動させることによって、バルブボディ343の内部流路343aの開度が変更される。内部流路343aの開度は、ニードル341を原点位置に位置させてから、ステッピングモーター342に入力される駆動パルス数によって調整される。
【0052】
図2に示すように、流量計35は、配管31内を通過する処理液の流量を検出する。流量計35は、特に限定されるものではないが、例えば、超音波式の流量計である。流量計35の流量検出結果は、調整バルブ34の制御(フィードバック制御)に用いられる。
【0053】
基板処理装置100は、カップ80をさらに備える。カップ80は、基板Wから飛散した処理液を回収する。カップ80は昇降する。例えば、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ80は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する処理液を回収する。また、カップ80は、処理液供給部30が基板Wに処理液を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0054】
上述したように、制御装置101は、制御部102および記憶部104を含む。制御部102は、基板保持部20、処理液供給部30および/またはカップ80を制御する。一例では、制御部102は、電動モーター24、開閉バルブ33および調整バルブ34を制御する。
【0055】
なお、
図2に示した処理ユニット10において、処理液供給部30は、1種類の処理液を基板Wに供給可能であるが、処理液供給部30は、複数種類の処理液を基板Wに供給可能であってもよい。例えば、処理液供給部30は、配管31、ノズル32、開閉バルブ33および調整バルブ34をそれぞれ複数含んでもよい。
【0056】
次に、
図4を参照して、第1実施形態の処理ユニット10についてさらに説明する。
図4は、第1実施形態の処理ユニット10の構成を模式的に示す図である。
【0057】
図4に示すように、基板処理装置100は、検出器41と、制御器42と、制御器43とを有する。
【0058】
検出器41は、流量計35の流量検出結果に基づいて、処理液の流量を検出する。そして、検出器41は、検出信号を生成する。検出信号は、処理液の流量の検出値を示す。検出器41は、検出信号を制御器42に出力する。詳しくは、検出器41は、所定のサンプリング周期に従って処理液の流量を検出する。したがって、検出器41は、所定のサンプリング周期に従って検出信号を制御器42に出力する。なお、流量計35と検出器41とによって流量センサが構成されてもよい。
【0059】
制御器42は、調整バルブ34のステッピングモーター342を駆動させて、配管31の流路の開度を制御する。具体的には、制御器42は、演算回路と、ドライバ回路とを含む。演算回路は、所定のサンプリング周期に従ってPID制御を実行する。ドライバ回路は、調整バルブ34のステッピングモーター342を駆動させる駆動電流を生成する。
【0060】
詳しくは、制御器42は、検出器41(流量センサ)から入力される検出信号と、予め設定された目標値とに基づいて、検出信号をPID制御する。そして、制御器42は、PID制御された検出信号に基づいて、調整バルブ34のステッピングモーター342を駆動させる駆動電流(パルス信号)を生成し、調整バルブ34のステッピングモーター342に入力する。これにより、調整バルブ34のステッピングモーター342は、駆動電流に基づいて回転する。この結果、ニードル341が移動して、配管31内を通過する処理液の流量が目標値となるように流路の開度が調整される。なお、目標値は、制御部102によって制御器42に設定される。
【0061】
制御器43は、開閉バルブ33を駆動させて、配管31の流路を開閉する。具体的には、制御器43は、ドライバ回路を含む。ドライバ回路は、開閉バルブ33を駆動させる駆動電流を生成する。
【0062】
詳しくは、制御器43は、制御部102から入力される開閉信号に基づいて、開閉バルブ33を駆動させる駆動電流(パルス信号)を生成し、開閉バルブ33に入力する。これにより、開閉バルブ33は、流路を開閉する。
【0063】
また、基板処理装置100は、振動センサ51と、判定装置55とを有する。振動センサ51は、調整バルブ34の振動を検出する。本実施形態では、振動センサ51は、調整バルブ34に取り付けられている。振動センサ51は、検出した振動に対応する検出信号を生成し、判定装置55に出力する。本実施形態では、検出信号は、検出した加速度を示す。振動センサ51は、例えば、加速度センサ、速度センサまたは変位センサである。本実施形態では、振動センサ51は、加速度センサである。加速度センサは、例えば、圧電素子を有する。
【0064】
判定装置55は、判定部55aおよび記憶部55bを含む。判定部55aは、プロセッサを有する。判定部55aは、例えば、中央処理演算機(CPU)を有する。または、判定部55aは、汎用演算機を有してもよい。
【0065】
記憶部55bは、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、例えば、振動センサ51の振動検出結果を含む。また、記憶部55bは、学習済モデルMを記憶する。学習済モデルMは、流量計35の学習時流量検出結果と、振動センサ51の学習時振動検出結果とに基づいた機械学習によって生成されたモデルである。なお、学習済モデルMは、レシピ毎に設けられている。学習済モデルMの詳細については、後述する。
【0066】
記憶部55bは、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部55bはリムーバブルメディアを含んでいてもよい。判定部55aは、記憶部55bの記憶しているコンピュータプログラムを実行して、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。
【0067】
次に、
図5を参照して、第1実施形態の基板処理装置100をさらに説明する。
図5は、第1実施形態の基板処理装置100のブロック図である。
【0068】
図5に示すように、制御部102は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0069】
制御部102は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数の処理ユニット10のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wを処理ユニット10から受け取って、基板Wを搬出する。
【0070】
制御部102は、基板保持部20を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部102は、基板保持部20を制御して、基板保持部20の回転数を変更することができる。具体的には、制御部102は、基板保持部20の電動モーター24の回転数を変更することによって、基板Wの回転数を変更できる。
【0071】
制御部102は、開閉バルブ33を制御して、開閉バルブ33の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部102は、制御器43に制御信号(開閉信号)を送信することによって、開閉バルブ33を開状態または閉状態にする。これにより、配管31内の処理液を通過させたり、通過させなかったりすることができる。
【0072】
また、制御部102は、制御器42を制御して、調整バルブ34の開度を調整することができる。具体的には、制御部102は、処理液の流量の目標値を示す目標流量信号を制御器42に送信することによって、調整バルブ34の開度を調整する。
【0073】
判定装置55の判定部55aは、調整バルブ34が駆動している際における振動センサ51の振動検出結果に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。
【0074】
本実施形態では、判定部55aは、学習済モデルMに対して振動センサ51の振動検出結果を入力して、配管31内を通過する処理液の推定流量を取得する。そして、判定部55aは、推定流量に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。
【0075】
また、本実施形態では、判定部55aは、推定流量と流量計35の流量検出結果との差分を算出する。そして、判定部55aは、差分に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。
【0076】
判定部55aは、調整バルブ34の故障の兆候があると判定した場合、故障兆候信号を制御部102に送信する。本実施形態では、基板処理装置100は、報知部190をさらに備える。制御部102は、調整バルブ34の故障兆候があることを示す故障兆候信号を報知部190に送信する。これにより、報知部190は、調整バルブ34の交換を促す報知、および/または、基板処理装置100の点検を促す報知をユーザに対して行う。その結果、例えば、ユーザにより調整バルブ34が新品に交換される。なお、判定部55aが制御部102を介さず直接、報知部190に対して故障兆候信号を送信してもよい。報知部190は、特に限定されるものではないが、例えば、表示パネルを有する表示装置、音を発するスピーカ、および、光を発する発光素子の少なくとも1つを有する。
【0077】
次に、
図6~
図8を参照して、振動センサ51が検出する振動検出結果(振動波形)、および、流量計35が検出する流量検出結果について説明する。
図6は、故障の兆候がない調整バルブ34を駆動した際に、振動センサ51が検出する振動検出結果(振動波形)の一例を示す図である。
図7は、処理液の流量が一定になるように、故障の兆候がない調整バルブ34を駆動した際に、流量計35が検出する流量検出結果の一例を示す図である。
図8は、故障の兆候がある調整バルブ34を駆動した際に、振動センサ51が検出する振動検出結果(振動波形)の一例を示す図である。
【0078】
故障の兆候がない調整バルブ34(例えば、新品の調整バルブ34)を駆動した場合、振動センサ51が検出する振動検出結果(振動波形)は、
図6に示すようになる。具体的には、例えば、調整バルブ34のニードル341を所定位置(例えば、全閉位置)から原点位置に移動させた場合、ニードル341の移動開始時Ta1において動作の開始トルクがかかるため、振動(加速度)が大きくなる。その後、所定位置(例えば、全閉位置)との原点位置との間において、振動(加速度)の大きさは略一定の範囲に収まる。そして、ニードル341の移動停止時Ta2において動作の停止トルクがかかるため、振動(加速度)が大きくなる。
【0079】
また、処理液の流量が一定になるように、故障の兆候がない調整バルブ34を駆動した場合、流量計35が検出する流量検出結果は、
図7に示すようになる。具体的には、例えば、開閉バルブ33を閉状態から開状態にする(時刻Tb1~Tb2)。そして、処理液の流量が一定(F1)になるように、故障の兆候がない調整バルブ34をフィードバック制御する(時刻Tb2~Tb3)。その後、開閉バルブ33を開状態から閉状態にする(時刻Tb3~Tb4)。この場合、調整バルブ34のフィードバック制御によって、処理液の流量が略一定になる。
【0080】
一方、故障の兆候がある調整バルブ34を駆動した場合、振動センサ51が検出する振動検出結果(振動波形)は、
図8に示すようになる。具体的には、例えば、調整バルブ34のニードル341を所定位置(例えば、全閉位置)から原点位置に移動させた場合、ニードル341の移動開始時Ta1において動作の開始トルクがかかるため、振動(加速度)が大きくなる。その後、所定位置(例えば、全閉位置)との原点位置との間において、振動(加速度)の大きさは略一定の範囲に収まるが、突発的に大きくなることがある。言い換えると、ニードル341を一定速度で移動させている途中で、突発的に振動(加速度)が大きくなることがある。なお、突発的に大きくなる振動(加速度)の大きさは、ニードル341の移動開始時Ta1または移動停止時Ta2における振動(加速度)の大きさと同程度になる。
【0081】
また、処理液の流量が一定になるように、故障の兆候がある調整バルブ34を駆動した場合、流量計35が検出する流量検出結果は、
図7に示すようになる。つまり、故障の兆候がある調整バルブ34を用いた場合であっても、故障の兆候がない調整バルブ34を用いた場合と同様の流量検出結果が得られる。
【0082】
次に、
図9を参照して、学習済モデルMに振動センサ51の振動検出結果を入力して得られる推定流量について説明する。
図9は、故障の兆候がある調整バルブ34の振動検出結果(振動波形)を学習済モデルMに入力した際に得られる推定流量の一例を示す図である。
【0083】
故障の兆候がない調整バルブ34の振動検出結果(
図6参照)を学習済モデルMに入力すると、
図7に示すような推定流量が出力される。つまり、フィードバック制御(時刻Tb2~Tb3)によって処理液の推定流量が略一定になると推定される。
【0084】
その一方、故障の兆候がある調整バルブ34の振動検出結果(
図8参照)を学習済モデルMに入力すると、
図9に示すような推定流量が出力される。具体的には、フィードバック制御(時刻Tb2~Tb3)を実行したとしても、処理液の推定流量にばらつきが生じると推定される。
【0085】
次に、
図10~
図12を参照して、第1実施形態の基板処理装置100による調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する方法について説明する。
図10は、第1実施形態の基板処理装置100による調整バルブ34の故障兆候の有無の判定方法を示すフローチャートである。
図11は、流量検出結果と推定流量との差分の一例を示す図である。
図12は、流量検出結果と推定流量との差分の他の一例を示す図である。なお、本実施形態では、調整バルブ34の故障の兆候の有無の判定は、あるレシピを用いて基板Wを処理している間に行われる。
【0086】
ステップS1において、制御部102は、制御器43を制御して、開閉バルブ33を閉状態から開状態にする。これにより、配管31内を処理液が流れる。
【0087】
次に、ステップS2において、制御部102は、制御器42を制御して、調整バルブ34の開度を調整する。具体的には、制御部102は、制御器42に目標流量信号を送信する。また、制御器42は、流量計35の流量検出結果を受信する。そして、制御器42は、目標流量信号および流量検出結果に基づいて、配管31内を流れる処理液の流量が目標流量と一致するように調整バルブ34を駆動する。このとき、調整バルブ34のステッピングモーター342は、ニードル341を軸方向に移動させる。
【0088】
次に、ステップS3において、判定部55aは、振動センサ51が検出した調整バルブ34の振動検出結果を受信する。また、判定部55aは、流量計35が検出した流量検出結果を受信する。
【0089】
次に、ステップS4において、判定部55aは、学習済モデルMに対して振動検出結果を入力する。このとき、判定部55aは、後述する制御性能に影響する因子情報と、制御パラメータ情報と、時系列データ(振動検出結果を含む)とを学習済モデルMに入力してもよい。
【0090】
次に、ステップS5において、判定部55aは、学習済モデルMから推定流量を取得する。具体的には、調整バルブ34に故障の兆候がない場合、推定流量は、例えば
図7の時刻Tb2~Tb3に示したように、略一定になる。その一方、調整バルブ34に故障の兆候がある場合、推定流量は、例えば
図9の時刻Tb2~Tb3に示したように、ばらつきが大きくなる。
【0091】
次に、ステップS6において、判定部55aは、ステップS3で受信した流量検出結果とステップS5で取得した推定流量との差分を算出する。
【0092】
具体的には、調整バルブ34に故障の兆候がない場合、流量検出結果および推定流量の両方が、例えば
図7の時刻Tb2~Tb3に示したように略一定である。このため、流量検出結果と推定流量との差分は、例えば
図11に示すように、略ゼロで一定になる。
【0093】
その一方、調整バルブ34に故障の兆候がある場合、流量検出結果は略一定である一方、推定流量はばらつきが大きくなる。このため、流量検出結果と推定流量との差分は、例えば
図12に示すように大きくなる。具体的には、差分の平均値が大きくなったり、差分のばらつきが大きくなったりする。
【0094】
次に、ステップS7において、判定部55aは、差分に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。例えば、判定部55aは、差分が所定期間内に所定回数以上、閾値を超える場合に、故障の兆候があると判定する。閾値は、
図11に示した差分よりも大きい値である。所定回数は、1回でもよい。ただし、ノイズによる誤判定を抑制するために、所定回数は、複数回であることが好ましい。
【0095】
また、例えば、判定部55aは、差分の平均値が閾値を超える場合に、故障の兆候があると判定してもよい。閾値は、
図11に示した差分よりも大きい値である。
【0096】
ステップS7で、故障の兆候があると判定部55aが判定した場合、ステップS8に進む。
【0097】
次に、ステップS8において、故障の兆候があることを報知する。具体的には、判定部55aは、故障兆候信号を制御部102に送信する。制御部102は、報知部190に故障兆候信号を報知部190に送信する。これにより、報知部190は、調整バルブ34の故障兆候があることをユーザに対して報知する。なお、判定部55aが制御部102を介さずに報知部190に対して故障兆候信号を送信してもよい。その後、処理は、ステップS9に進む。
【0098】
一方、ステップS7で、故障の兆候がないと判定部55aが判定した場合、処理は、ステップS9に進む。
【0099】
次に、ステップS9において、制御部102は、開閉バルブ33を開状態にしてから所定時間が経過したか否かを判定する。
【0100】
ステップS9で、開閉バルブ33を開状態にしてから所定時間が経過していないと制御部102が判定した場合、処理は、ステップS2に戻る。
【0101】
一方、ステップS9で、開閉バルブ33を開状態してから所定時間が経過したと制御部102が判定した場合、処理は、ステップS10に進む。
【0102】
次に、ステップS10において、制御部102は、制御器43を制御して、開閉バルブ33を開状態から閉状態にする。
【0103】
以上のようにして、調整バルブ34の故障兆候の有無の判定が終了する。
【0104】
本実施形態では、上記のように、判定部55aは、調整バルブ34が駆動している際における振動センサ51の振動検出結果に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。従って、調整バルブ34の故障の兆候を検出できる。つまり、配管31を流れる処理液の流量の異常が発生する前に、調整バルブ34の異常の兆候を検出でき、調整バルブ34を新品に交換することが可能となる。よって、流量異常が突発的に発生することを抑制できるので、意図せずに基板処理を中断することを抑制できる。その結果、生産性が低下することを抑制できる。
【0105】
また、上記のように、判定部55aは、学習済モデルMに対して振動センサ51の振動検出結果を入力して配管31内を通過する処理液の推定流量を取得し、推定流量に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。従って、調整バルブ34の故障の兆候の有無を容易に判定できる。
【0106】
また、上記のように、判定部55aは、推定流量と流量検出結果との差分を算出し、差分に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する。従って、調整バルブ34に故障の兆候がない場合には、
図11に示したような差分が得られる一方、調整バルブ34に故障の兆候がある場合には、
図12に示したような差分が得られる。よって、調整バルブ34の故障の兆候の有無をより容易に判定できる。
【0107】
また、上記のように、判定部55aは、差分が所定期間内に所定回数以上、閾値を超える場合に、故障の兆候があると判定する。従って、各検出結果のノイズに起因する誤判定を抑制できる。
【0108】
また、上記のように、調整バルブ34は、モーターニードルバルブを有する。モーターニードルバルブは、故障する前に振動するという兆候が現れやすいので、モーターニードルバルブを有する調整バルブ34を用いる場合に本発明を適用することは、特に効果的である。
【0109】
また、上記のように、調整バルブ34の故障の兆候があると判定部55aが判定した場合に、故障の兆候があることを報知する報知部190を備える。従って、調整バルブ34の故障の兆候があることをユーザに対して報知できる。よって、ユーザは、調整バルブ34に故障の兆候があることを容易に知ることができる。
【0110】
次に、
図13~
図17を参照して、基板処理学習システム1000について説明する。
図13は、基板処理学習システム1000の構成を示す図である。
【0111】
図13に示すように、基板処理学習システム1000は、基板処理装置100と、学習用データ生成装置400と、学習装置500とを備える。
【0112】
基板処理装置100は、学習用データを生成するために、基板Wを処理液で処理する。以下、理解を容易にするために、学習用データを生成するときのことを「学習時」と記載することがある。また、学習用データを生成する際に基板処理装置100の各部が検出する結果に対して「学習時」を付すことがある。
【0113】
基板処理装置100は少なくとも、学習時に流量計35が検出した学習時流量検出結果と、学習時に振動センサ51が検出した学習時振動検出結果とを学習用データ生成装置400に送信する。具体的には、基板処理装置100は少なくとも、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果の時系列データを学習用データ生成装置400に送信する。本実施形態では、基板処理装置100は、制御性能に影響する因子情報と、制御パラメータ情報と、時系列データとを学習用データ生成装置400に送信する。本実施形態では、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果は、故障の兆候がある調整バルブ34を用いた際における、流量計35および振動センサ51の検出結果を含んでいない。言い換えると、本実施形態では、故障の兆候がない調整バルブ34(例えば、新品の調整バルブ34)を用いて、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果が取得される。
【0114】
制御性能に影響する因子は、例えば、生産レシピ番号、ニードル341の位置、目標流量値、流量計35の流量検出結果、調整バルブ34の一次(上流側)圧力値、処理液の温度、および、開閉バルブ33の開閉信号を含む。
【0115】
制御パラメータは、例えば、PID制御の周期、および、制御開始時のニードル341の位置を含む。
【0116】
時系列データは、例えば、制御パラメータに基づいて制御周期毎に演算されるニードル341の操作量(移動量)の時系列データと、振動センサ51の振動検出結果の時系列データとを含む。
【0117】
なお、基板処理装置100は、制御性能に影響する因子情報、制御パラメータ情報、および、時系列データを記憶部104に記憶しているか、または、これらの情報等の一部を検出するセンサを有している。
【0118】
学習用データ生成装置400は、学習時流量検出結果と学習時振動検出結果とを関連付けて、学習用データ410を生成する。本実施形態では、学習用データ生成装置400は、制御性能に影響する因子情報と、制御パラメータ情報と、時系列データとを関連付けて学習用データ410を生成する。学習用データ生成装置400は、生成した学習用データ410を学習装置500に送信する。
【0119】
学習装置500は、学習用データ410に含まれるデータに対して前処理を行う。例えば、学習装置500は、開閉バルブ33および調整バルブ34に対する制御信号をアナログ化処理する。また、例えば、正規分布に基づきノイズと判断できる値を除去したり、正規分布に近づくように値を補完したりする。
【0120】
また、学習装置500は、学習用データ410に含まれる各データについて、配管31に流れる処理液の流量(目的変数)に対する影響指数を抽出する。そして、学習装置500は、学習用データ410に含まれるデータのうち影響指数の小さいデータを、学習用データ410から削除する。影響指数を抽出する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、多変量解析によって行われる。多変量解析は、例えば、単回帰分析または重回帰分析を含む。
【0121】
そして、学習装置500は、学習用データ410に基づいた機械学習によって、学習済モデルMを生成する。詳しくは、学習装置500は、学習プログラムに学習用データ410を入力することによって学習済モデルMを生成する。学習装置500は、生成した学習済モデルMを基板処理装置100に送信する。
【0122】
続いて、
図14を参照して学習用データ生成装置400をさらに説明する。
図14は、学習用データ生成装置400を示すブロック図である。
【0123】
図14に示すように、学習用データ生成装置400は、制御装置401を備える。制御装置401は、制御部402と、記憶部403とを含む。
【0124】
制御部402は、プロセッサを有する。制御部402は、例えば、CPUまたはMPUを有する。あるいは、制御部402は、汎用演算機を有してもよい。制御部402は、NPUをさらに有してもよい。
【0125】
記憶部403は、制御プログラム431およびデータを記憶する。制御プログラム431は、コンピュータプログラムである。記憶部403は、主記憶装置を有する。記憶部403は、補助記憶装置をさらに有してもよい。記憶部403はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部402は、記憶部403に記憶されている制御プログラム431およびデータに基づいて、各種処理を実行する。
【0126】
記憶部403は、データ生成プログラム432をさらに記憶する。制御部402は、基板処理装置100から取得した学習時流量検出結果および学習時振動検出結果を記憶部403に記憶させる。本実施形態では、制御部402は、基板処理装置100から取得した制御性能に影響する因子情報、制御パラメータ情報および時系列データを記憶部403に記憶させる。
【0127】
データ生成プログラム432は、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果等を関連付けて学習用データ410を生成するためのプログラムである。本実施形態では、データ生成プログラム432は、制御性能に影響する因子情報、制御パラメータ情報および時系列データ等を関連付けて学習用データ410を生成するためのプログラムである。
【0128】
制御部402は、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果等を関連付けて学習用データ410を生成し、記憶部403に記憶させる。本実施形態では、制御部402は、制御性能に影響する因子情報、制御パラメータ情報および時系列データ等を関連付けて学習用データ410を生成し、記憶部403に記憶させる。
【0129】
学習用データ生成装置400は、表示部404と、入力部405とをさらに備える。
【0130】
表示部404は、各種画面や各種情報を表示する。表示部404は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。表示部404は、制御部402に各種データを入力するための入力画面を表示してもよい。
【0131】
入力部405は、ユーザからの入力を受け付けて、制御部402に各種情報を出力する。入力部405は、例えば、タッチパネルおよびポインティングデバイスを含む。入力部405は、学習用データ410を生成する指示の入力を受け付けてもよい。
【0132】
続いて、
図14および
図15を参照して、第1実施形態の学習用データ410の生成方法を説明する。
図15は、第1実施形態の学習用データ410の生成方法を示すフローチャートである。学習用データ410の生成方法は、ステップS101およびステップS102を含む。
【0133】
図15に示すように、ステップS101において、学習用データ生成装置400(制御部402)は、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果を取得する。具体的には、制御部402は、基板処理装置100から学習時流量検出結果および学習時振動検出結果を取得する。本実施形態では、制御部402は、制御性能に影響する因子情報と、制御パラメータ情報と、時系列データとを取得する。なお、本実施形態では、制御部402は、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果を1つの工程(ステップS101)で取得するが、学習時流量検出結果および学習時振動検出結果を別々の工程で取得してもよい。
【0134】
次に、ステップS102において、制御部402は、学習時流量検出結果と学習時振動検出結果とを関連付けて学習用データ410として記憶部403に記憶する。本実施形態では、制御部402は、制御性能に影響する因子情報と、制御パラメータ情報と、時系列データとを関連付けて学習用データ410として記憶部403に記憶する。
【0135】
以上のようにして、学習用データ410の生成が終了する。
【0136】
続いて、
図16を参照して学習装置500をさらに説明する。
図16は、学習装置500を示すブロック図である。
図16に示すように、学習装置500は、制御装置501を備える。制御装置501は、制御部502と、記憶部503とを含む。
【0137】
制御部502は、プロセッサを有する。制御部502は、例えば、CPUまたはMPUを有する。あるいは、制御部502は、汎用演算機を有してもよい。制御部502は、NPUをさらに有してもよい。
【0138】
記憶部503は、制御プログラム531およびデータを記憶する。制御プログラム531は、コンピュータプログラムである。記憶部503は、主記憶装置を有する。記憶部503は、補助記憶装置をさらに有してもよい。記憶部503はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部502は、記憶部503に記憶されている制御プログラム531およびデータに基づいて、各種処理を実行する。
【0139】
記憶部503は、学習プログラム532をさらに記憶する。制御部502は、学習用データ生成装置400から取得した学習用データ410を記憶部503に記憶させる。
【0140】
学習プログラム532は、学習用データ410から一定の規則を見出し、見出した規則を表現する学習済モデルMを生成するための機械学習アルゴリズムを実行するためのプログラムである。制御部502が学習プログラム532を実行することによって、学習用データ410に基づいた機械学習により、推論プログラムのパラメータが調整される。この結果、学習済モデルMが生成される。制御部502は、生成した学習済モデルMを記憶部503に記憶させる。
【0141】
機械学習アルゴリズムは、教師あり学習であれば、特に限定されず、例えば、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、または、ニューラルネットワークである。したがって、学習済モデルMは、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、または、ニューラルネットワークを含む。
【0142】
例えば、ニューラルネットワークは、入力層、単数または複数の中間層、および、出力層を含む。具体的には、ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、または、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)であり、ディープラーニングを行う。例えば、ディープニューラルネットワークは、入力層、複数の中間層、および、出力層を含む。
【0143】
学習装置500は、表示部504と、入力部505とをさらに備える。
【0144】
表示部504は、各種画面や各種情報を表示する。表示部504は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイである。表示部504は、制御部502に各種データを入力するための入力画面を表示してもよい。
【0145】
入力部505は、ユーザからの入力を受け付けて、制御部502に各種情報を出力する。入力部505は、例えば、タッチパネルおよびポインティングデバイスを含む。入力部505は、学習済モデルMを生成する指示の入力を受け付けてもよい。
【0146】
続いて、
図16および
図17を参照して、第1実施形態の学習方法を説明する。
図17は、第1実施形態の学習方法を示すフローチャートである。学習用データ410の学習方法は、ステップS201~ステップS205を含む。
【0147】
図17に示すように、ステップS201において、制御部502は、記憶部503から学習用データ410を取得する。
【0148】
次に、ステップS202において、制御部502は、学習用データ410に対して前処理を行う。
【0149】
次に、ステップS203において、制御部502は、学習用データ410に含まれるデータのうち影響指数の小さいデータを、学習用データ410から削除する。
【0150】
次に、ステップS204において、制御部502は、学習プログラム532に学習用データ410を入力することによって機械学習する。
【0151】
ステップS205において、制御部502は、複数の学習済パラメータ(係数)を適用したモデル(1以上の関数)を、学習済モデルMとして生成する。制御部502は、生成した学習済モデルMを記憶部503に記憶させる。
【0152】
(第2実施形態)
次に、
図18を参照して、本発明の第2実施形態の基板処理装置100について説明する。
図18は、第2実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。第2実施形態では、基板処理装置100が、複数の処理ユニット10に処理液を供給する共通配管600と、共通配管600内の圧力を検出する圧力計730とを備える例について説明する。なお、
図18では、図面簡略化のため、基板処理装置100が備える処理ユニット10のうち2つの処理ユニット10のみを描いている。
【0153】
図18に示すように、基板処理装置100は、複数の処理ユニット10と、共通配管600とを備える。複数の処理ユニット10は、互いに同じ構成を有する。配管31、開閉バルブ33、調整バルブ34、振動センサ51、流量計35、および、学習済モデルMの各々は、処理ユニット10毎に設けられている。本実施形態では、配管31、開閉バルブ33、制御器43、調整バルブ34、制御器42、振動センサ51、判定部55a、流量計35、検出器41、および、学習済モデルMの各々は、処理ユニット10毎に設けられている。
【0154】
共通配管600は、供給源に接続され、供給源から処理液が供給される。共通配管600は、複数の処理ユニット10の配管31に処理液を供給する。共通配管600は、上流配管600a、中流配管600bおよび下流配管600cを有する。上流配管600aは、供給源に接続される。中流配管600bは、上流配管600aの下流に位置し、複数の処理ユニット10の配管31に接続される。以下、理解を容易にするために、中流配管600bの最上流に接続される処理ユニット10を処理ユニット10aと記載し、中流配管600bの最下流に接続される処理ユニット10を処理ユニット10bと記載することがある。下流配管600cは、中流配管600bの下流に位置する。下流配管600cは、供給源に接続され、処理液を供給源に戻す。
【0155】
基板処理装置100は、開閉バルブ610と、圧力調整バルブ620とを備える。開閉バルブ610は、上流配管600aに設けられ、上流配管600a内の流路を開閉する。具体的には、開閉バルブ610は、例えば、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータ(図示しない)とを含む。
【0156】
圧力調整バルブ620は、下流配管600cに設けられ、下流配管600c内の処理液の圧力を調整する。具体的には、圧力調整バルブ620は、例えば、弁座が内部に設けられたバルブボディ(図示しない)と、弁座を開閉する弁体と、弁体の位置を調整する調整スプリング(図示しない)とを含む。
【0157】
基板処理装置100は、配管710と、レギュレータ720とを備える。配管710は、気体(例えば、空気)の供給源と圧力調整バルブ620とを接続する。本実施形態では、レギュレータ720は、電空レギュレータである。レギュレータ720は、配管710に設けられ、圧力調整バルブ620に供給する空気圧を調整する。レギュレータ720から圧力調整バルブ620に供給される空気は、圧力調整バルブ620の調整スプリングに作用し、弁体の位置が調整される。
【0158】
基板処理装置100は、圧力計730と、圧力調整バルブ制御器740と、温度計750とを備える。圧力計730は、上流配管600aに設けられ、上流配管600a内の処理液の圧力を検出する。圧力計730の圧力検出結果(圧力検出信号)は、圧力調整バルブ制御器740に送信される。また、本実施形態では、圧力計730の圧力検出結果は、各処理ユニット10の判定装置55にも送信される。
【0159】
圧力調整バルブ制御器740は、レギュレータ720を駆動させて圧力調整バルブ620に供給する空気圧を制御する。具体的には、圧力調整バルブ制御器740は、演算回路を含む。演算回路は、所定のサンプリング周期に従ってPID制御を実行する。圧力調整バルブ制御器740は、圧力計730から入力される圧力検出信号と、予め設定された目標圧力値とに基づいて、圧力検出信号をPID制御する。そして、圧力調整バルブ制御器740は、PID制御された圧力検出信号に基づいて、制御信号を生成してレギュレータ720に入力する。
【0160】
温度計750は、上流配管600a内の処理液の温度、および、下流配管600c内の処理液の温度を検出する。温度計750の温度検出結果は、制御部102に送信される。また、本実施形態では、温度計750の温度検出結果は、各処理ユニット10の判定装置55にも送信される。
【0161】
本実施形態では、学習済モデルMは、流量計35の学習時流量検出結果と、振動センサ51の学習時振動検出結果と、圧力計730の学習時圧力検出結果とに基づいた機械学習によって生成されている。また、学習済モデルMは、流量計35の学習時流量検出結果と、振動センサ51の学習時振動検出結果と、圧力計730の学習時圧力検出結果と、温度計750の学習時温度検出結果とに基づいた機械学習によって生成されていてもよい。本実施形態では、学習済モデルMは、上述した制御性能に影響する因子情報、制御パラメータ情報、および、時系列データに加え、圧力計730の学習時圧力検出結果と、温度計750の学習時温度検出結果とに基づいた機械学習によって生成されていてもよい。
【0162】
また、本実施形態では、判定部55aは、学習済モデルMに対して、振動センサ51の振動検出結果と、調整バルブ34が駆動している際における圧力計730の圧力検出結果とを入力して、推定流量を取得する。また、判定部55aは、学習済モデルMに対して、振動センサ51の振動検出結果と、調整バルブ34が駆動している際における圧力計730の圧力検出結果と、調整バルブ34が駆動している際における温度計750の温度検出結果とを入力して、推定流量を取得してもよい。本実施形態では、判定部55aは、学習済モデルMに対して、上述した制御性能に影響する因子情報、制御パラメータ情報、および、時系列データに加え、圧力計730の学習時圧力検出結果と、温度計750の学習時温度検出結果とに基づいた機械学習によって生成されていてもよい。
【0163】
また、本実施形態では、学習用データ410には、圧力計730の学習時圧力検出結果が含まれている。また、学習用データ410には、圧力計730の学習時圧力検出結果と、温度計750の学習時温度検出結果とが含まれていてもよい。
【0164】
本実施形態では、上記のように、判定部55aは、学習済モデルMに対して、振動センサ51の振動検出結果と、調整バルブ34が駆動している際における圧力計730の圧力検出結果とを入力して、推定流量を取得する。従って、例えば、処理ユニット10aの調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する判定部55a(以下、処理ユニット10aの判定部55aと記載することがある)は、共通配管600周辺の機器(開閉バルブ610、圧力調整バルブ620等)または他の処理ユニット10(処理ユニット10b等)の異常を検出することも可能である。
【0165】
具体的には、例えば、処理ユニット10aの調整バルブ34に故障の兆候がない場合であって、共通配管600周辺の機器または他の処理ユニット10に異常が発生した場合、複数の処理ユニット10に接続された共通配管600内の処理液の圧力が高くまたは低くなる。この場合、圧力計730の圧力検出結果を学習済モデルMに入力することにより取得される推定流量は、例えば、
図9に示すようになる。その一方、処理ユニット10aの調整バルブ34はフィードバック制御されているため、流量計35の流量検出結果は、例えば、
図7に示すようになる。このため、推定流量と流量計35の流量検出結果との差分は、例えば、
図12に示したようになる。よって、処理ユニット10aの判定部55aは、調整バルブ34の故障の兆候がある、または、処理液を供給する系統(共通配管600周辺の機器、および、全ての処理ユニット10)に関連するいずれかの機器に異常が発生している、と判定する。そして、ユーザは、例えば、共通配管600周辺の機器、および/または、他の処理ユニット10を点検する。
【0166】
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様、処理ユニット10aの調整バルブ34に故障の兆候がある場合、処理ユニット10aの判定部55aは、故障の兆候を検出できる。
【0167】
第2実施形態のその他の構成、効果、学習用データ410の生成方法、および、学習方法は、第1実施形態と同様である。
【0168】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0169】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0170】
例えば、上記実施形態では、調整バルブ34の故障の兆候の有無の判定を、基板Wを処理している間に行う例について説明したが、本発明はこれに限らない。調整バルブ34の故障の兆候の有無の判定を、基板Wを処理していないときに行ってもよい。
【0171】
また、上記実施形態では、学習済モデルMを用いて調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、学習済モデルMを用いずに、
図8に示したような振動検出結果から故障の兆候の有無を判定してもよい。この場合、例えば、基板Wを処理していない、または、フィードバック制御していないときに、ニードル341を移動させて
図8に示したような振動検出結果(振動波形)を取得し、その振動波形うち、移動開始時Ta1と移動停止時Ta2とを除く期間の振動の大きさが閾値以上になるか否かを判定することによって、故障の兆候があるか否かを判定してもよい。
【0172】
また、上記実施形態では、推定流量と流量検出結果との差分に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、流量検出結果を用いず、
図9に示したような推定流量を示す波形に基づいて、調整バルブ34の故障の兆候の有無を判定してもよい。
【0173】
また、上記実施形態では、判定部55aと制御部102とを別々に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、制御部102が判定部55aを兼ねてもよい。また、判定部55aの一部の機能を制御部102が行ってもよい。これらの場合、制御部102は、本発明の「判定部」の一例である。
【0174】
また、上記実施形態では、学習用データ410に対する前処理および影響指数の抽出を学習装置500が行う例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、学習用データ410に対する前処理および影響指数の抽出の少なくとも一方を学習用データ生成装置400が行ってもよい。
【0175】
また、上記実施形態では、学習用データ生成装置400と学習装置500とを別々に設ける例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、学習用データ生成装置400および学習装置500の両方の機能を有する1つの装置を設けてもよい。
【0176】
また、上記実施形態では、供給源からの処理液をそのまま基板Wに供給する例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1供給源からの第1処理液と、第2供給源からの第2処理液とを混合して混合処理液を生成し、混合処理液を基板Wに供給してもよい。つまり、本発明では、混合される前の処理液が通過する配管に設けられる調整バルブの故障の兆候の有無を判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、基板を処理する分野に有用である。
【符号の説明】
【0178】
10、10a、10b :処理ユニット
31 :配管
33 :開閉バルブ
34 :調整バルブ
35 :流量計
51 :振動センサ
55a :判定部
55b :記憶部
100 :基板処理装置
190 :報知部
600 :共通配管
730 :圧力計
M :学習済モデル
S1 :ステップ(開状態または閉状態にする工程)
S2 :ステップ(駆動する工程)
S3 :ステップ(振動を検出する工程)
S5 :ステップ(推定流量を取得する工程)
S7 :ステップ(判定する工程)
S101 :ステップ(学習時流量検出結果を取得する工程、学習時振動検出結果を取得する工程)
S102 :ステップ(記憶する工程)
S201 :ステップ(学習用データを取得する工程)
S204 :ステップ(機械学習する工程)
W :基板