(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025143879
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20250925BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20250925BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043365
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】黒須 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】結城 明彦
(72)【発明者】
【氏名】下村 和也
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA02
2H087KA03
2H087MA12
2H087MA18
2H087PA15
2H087PA16
2H087PB20
2H087QA03
2H087QA07
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
2H087SA43
2H087SA47
2H087SA49
2H087SA52
2H087SA55
2H087SA56
2H087SA57
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA71
2H087SA72
2H087SA76
2H087SB07
2H087SB16
2H087SB17
2H087SB22
2H087SB24
2H087SB33
2H087SB34
2H087SB41
2H087SB44
(57)【要約】
【課題】小型かつ高変倍比で高い光学性能を有するズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、ズーミングのためには不動の正の第1レンズ群L1と、ズーミングのために移動する複数の中間レンズ群L2~L4と、ズーミングのためには移動しない最終レンズ群L5とにより構成されている。中間レンズ群は、負の屈折力のレンズ群と正の屈折力のレンズ群とを含む。中間レンズ群の全ての正のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動する。中間レンズ群のうち最も負の屈折力が強い第Nレンズ群は、2つの負レンズと1つの正レンズとを含む。-3.1×10
-3≦(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)≦-1.0×10
-3、3.6≦ft/f1≦7.0および35≦ft/fw≦70を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、ズーミングのためには移動しない正の屈折力の第1レンズ群と、ズーミングのために移動する複数の中間レンズ群と、ズーミングのためには移動しない最も像側に配置された最終レンズ群とにより構成され、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記中間レンズ群は、少なくとも1つの負の屈折力のレンズ群と少なくとも1つの正の屈折力のレンズ群とを含み、
前記中間レンズ群に含まれる全ての正の屈折力のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動し、
前記中間レンズ群において最も負の屈折力が強い第Nレンズ群は、少なくとも2つの負レンズと少なくとも1つの正レンズとを含み、
前記第Nレンズ群において、前記少なくとも1つの正レンズのd線を基準とするアッベ数の平均をνdp、該少なくとも1つの正レンズのg線とF線における部分分散比の平均をθgFp、前記少なくとも2つの負レンズのd線を基準とするアッベ数の平均をνdn、該少なくとも2つの負レンズのg線とF線における部分分散比の平均をθgFn、前記ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、前記ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
-3.1×10-3≦(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)≦-1.0×10-3
3.6≦ft/f1≦7.0
35≦ft/fw≦70
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第Nレンズ群の焦点距離をfnとするとき、
5.0≦|f1/fn|≦9.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第Nレンズ群の広角端および望遠端での横倍率をそれぞれβNwおよびβNt、前記ズームレンズの変倍比をZwtとするとき、
0.1≦(βNt/βNw)/Zwt≦0.5
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群における最も物体側のレンズは負レンズであり、
該負レンズの焦点距離をf11とするとき、
-1.0≦f11/f1≦-3.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第Nレンズ群に含まれる全ての前記正レンズのd線における屈折率の平均をNdnとするとき、
1.83≦Ndn≦2.20
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第Nレンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、1つの負レンズ、1つの正レンズ、2つの負レンズ、1つの正レンズおよび1つの負レンズにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、前記第1レンズ群、ズーミングのために移動する負の屈折力の第2レンズ群、ズーミングのために移動する正の屈折力の第3レンズ群、ズーミングのために移動する正の屈折力の第4レンズ群および正の屈折力の前記最終レンズ群としての第5レンズ群により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、前記第1レンズ群、ズーミングのために移動する負の屈折力の第2レンズ群、ズーミングのために移動する正の屈折力の第3レンズ群、ズーミングのために移動する負の屈折力の第4レンズ群、ズーミングのために移動する正の屈折力の第5レンズ群および負の屈折力の前記最終レンズ群としての第6レンズ群により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、前記第1レンズ群、ズーミングのために移動する負の屈折力の第2レンズ群、ズーミングのために移動する正の屈折力の第3レンズ群、ズーミングのために移動する正の屈折力の第4レンズ群および負の屈折力の前記最終レンズ群としての第5レンズ群により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のズームレンズと、
前記ズームレンズを通して被写体を撮像する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像に好適なズームレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のイメージセンサを搭載したカメラに装着するズームレンズとして、小型軽量かつ広画角で、高変倍比と高い光学性能を有するズームレンズとして、最も物体側に正の屈折力のレンズ群を有するポジティブリード型のズームレンズが知られている。特許文献1には、物体側から像側へ順に、ズーミングのためには移動しない正の屈折力の第1レンズ群と、ズーミングのために移動する中間レンズ群と、ズーミングのためには移動しない最終レンズ群とを有するズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポジティブリード型のズームレンズにおいて、小型軽量かつ広画角で、高変倍比と全ズーム域での高い光学性能を実現するためには、ズーミングのために移動する中間レンズ群の構成が適切であることが必要である。特許文献1のズームレンズでは、広角端での半画角をより大きく設定し、かつ変倍比をさらに増加させると、全ズーム域での色収差が増加する。
【0005】
本発明は、高変倍比と全ズーム域での高い光学性能を有するズームレンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、ズーミングのためには移動しない正の屈折力の第1レンズ群と、ズーミングのために移動する複数の中間レンズ群と、ズーミングのためには移動しない最も像側に配置された最終レンズ群とにより構成され、ズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。中間レンズ群は、少なくとも1つの負の屈折力のレンズ群と少なくとも1つの正の屈折力のレンズ群とを含む。該中間レンズ群に含まれる全ての正の屈折力のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動する。中間レンズ群における少なくとも1つの負の屈折力のレンズ群のうち最も負の屈折力が強い第Nレンズ群は、少なくとも2つの負レンズと少なくとも1つの正レンズとを含む。
【0007】
第Nレンズ群において、少なくとも1つの正レンズのd線を基準とするアッベ数の平均をνdp、少なくとも1つの正レンズのg線とF線における部分分散比の平均をθgFp、少なくとも2つの負レンズのd線を基準とするアッベ数の平均をνdn、少なくとも2つの負レンズのg線とF線における部分分散比の平均をθgFn、ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、
-3.1×10-3≦(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)≦-1.0×10-33.6≦ft/f1≦7.0
35≦ft/fw≦70
なる条件を満足することを特徴とする。なお、上記ズームレンズを備えた撮像装置も、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高変倍比と全ズーム域での高い光学性能を有するズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端での断面図。
【
図2】実施例1のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(A)広角端および(B)望遠端での収差図。
【
図3】実施例2のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端での断面図。
【
図4】実施例2のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(A)広角端および(B)望遠端での収差図。
【
図5】実施例3のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端での断面図。
【
図6】実施例3のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(A)広角端および(B)望遠端での収差図。
【
図7】実施例4のズームレンズの無限遠合焦状態かつ広角端での断面図。
【
図8】実施例4のズームレンズの無限遠合焦状態かつ(A)広角端および(B)望遠端での収差図。
【
図9】実施例1~4のズームレンズを備えた撮像装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1、
図3、
図5および
図7はそれぞれ、実施例1~4のズームレンズの広角端かつ無限遠物体に合焦している状態(以下、無限遠合焦状態という)での断面を示している。まず実施例1~4を具体的に説明する前に各実施例に共通する事項について説明する。
【0012】
各実施例のズームレンズは、放送用カメラ、シネマ用カメラ、汎用ビデオカメラ、監視カメラおよびデジタルスチルカメラ等の撮像装置に撮像光学系として用いられる。各図において、左側が物体側(前側)であり、右側が像側(後側)である。
【0013】
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置されたレンズ群が、ズーミングのためには移動しない正の屈折力の第1レンズ群L1と、ズーミングのために移動する複数の中間レンズ群(L2~L4またはL5)と、ズーミングのためには移動しない最も像側に配置された最終レンズ群(L5またはL6)とにより構成されている。
【0014】
ズームレンズにおいて、レンズ群は、広角端と望遠端との間でのズーミング(変倍)に際して一体で移動するまたは移動しない1または複数のレンズのまとまりである。すなわち、ズーミングに際して隣り合うレンズ群間の間隔が変化する。レンズ群は、開口絞りを含んでもよい。また、広角端と望遠端はそれぞれ、ズーミングに際して移動するレンズ群が光軸上を機構上または制御上、移動可能な範囲の両端に位置したときの最大画角(最短焦点距離)と最小画角(最大焦点距離)のズーム状態を示す。
【0015】
各図において、SPは開口絞りであり、IPは像面である。像面IPには、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子の撮像面(受光面)または銀塩フィルムのフィルム面(感光面)が配置される。
【0016】
各実施例のズームレンズにおいて、中間レンズ群は、少なくとも1つの負の屈折力のレンズ群と少なくとも1つの正の屈折力のレンズ群とを含む。該中間レンズ群に含まれる全ての正の屈折力のレンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際して物体側へ移動する。また中間レンズ群における少なくとも1つの負の屈折力のレンズ群のうち最も負の屈折力が強い第Nレンズ群は、少なくとも2つの負レンズと少なくとも1つの正レンズとを含む。なお、m個のレンズが接合された接合レンズについては、レンズの数をmとする。
【0017】
第Nレンズ群における少なくとも1つの正レンズのd線を基準とするアッベ数の平均をνdp、該少なくとも1つの正レンズのg線とF線における部分分散比の平均をθgFpとする。また第Nレンズ群における少なくとも2つの負レンズのd線を基準とするアッベ数の平均をνdn、該少なくとも2つの負レンズのg線とF線における部分分散比の平均をθgFnとする。ズームレンズの広角端での焦点距離をfw、ズームレンズの望遠端での焦点距離をft、第1レンズ群L1の焦点距離をf1とする。このとき、各実施例のズームレンズは、以下の式(1)~(3)の条件を満足する。
【0018】
-3.1×10-3≦(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)≦-1.0×10-3 (1)
3.6≦ft/f1≦7.0 (2)
35≦ft/fw≦70 (3)
式(1)~(3)の条件は、第Nレンズ群の適切な特性を示している。これらの条件を満足することで、小型軽量かつ広画角で、高変倍比と全ズーム域での高い光学性能を有するズームレンズを実現することができる。
【0019】
(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)が式(1)の下限値を下回ると、望遠端において軸上色収差の良好な補正が困難となるため、好ましくない。(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)が式(1)の上限値を上回ると、望遠端において倍率色収差の良好な補正が困難となるため、好ましくない。
【0020】
ft/f1が式(2)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1の焦点距離が小さくなり過ぎて所望の変倍比の達成が困難となるため、好ましくない。ft/f1が式(2)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1の焦点距離が大きくなり過ぎて、ズームレンズの光学性能に対して第1レンズ群L1が与える敏感度が高くなり過ぎるため、好ましくない。
【0021】
ft/fwが式(3)の下限値を下回ると、所望の変倍比の達成が困難となるため、好ましくない。ft/fwが式(3)の上限値を上回ると、ズームレンズの全長が長くなり、小型化の達成が困難となるため、好ましくない。
【0022】
なお、式(1)~(3)の数値範囲を以下のようにすると、より好ましい。
【0023】
-3.0×10-3≦(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)≦-2.0×10-3 (1a)
3.8≦ft/f1≦6.0 (2a)
40≦ft/fw≦65 (3a)
また、式(1)~(3)の数値範囲を以下のようにすると、さらに好ましい。
【0024】
-2.9×10-3≦(θgFp-θgFn)/(νdp-νdn)≦-2.4×10-3 (1b)
3.9≦ft/f1≦5.1 (2b)
42≦ft/fw≦58 (3b)
以下、各実施例のズームレンズが満足することが好ましい条件および構成について説明する。
【0025】
各実施例のズームレンズは、第Nレンズ群の焦点距離をfnとするとき、以下の式(4)の条件を満足することが好ましい。
【0026】
5.0≦|f1/fn|≦9.0 (4)
|f1/fn|が式(4)の下限値を下回ると、第Nレンズ群の焦点距離が長くなり過ぎてて、所望の変倍比を達成することが困難となるため、好ましくない。|f1/fn|が式(4)の上限値を上回ると、第Nレンズ群の焦点距離が短くなり過ぎて、全ズーム域で高い光学性能を達成することが困難となるため、好ましくない。
【0027】
各実施例のズームレンズは、第Nレンズ群の広角端および望遠端での横倍率をそれぞれβNwおよびβNt、ズームレンズの変倍比をZwtとするとき、以下の式(5)の条件を満足することが好ましい。
【0028】
0.1≦(βNt/βNw)/Zwt≦0.5 (5)
(βNt/βNw)/Zwtが式(5)の下限値を超えると、比較的簡易な構成を有する第Nレンズ群以降のレンズ群の変倍分担比が増加して、高い光学性能を得ることで困難となるため、好ましくない。(βNt/βNw)/Zwtが式(5)の上限値を上回ると、変倍比における第Nレンズ群の分担割合が大きくなり過ぎて、第Nレンズ群の移動による収差変動の抑制が困難となるため、好ましくない。
【0029】
各実施例のズームレンズは、第1レンズ群L1における最も物体側のレンズの焦点距離をf11とするとき、以下の式(6)の条件を満足することが好ましい。
【0030】
-1.0≦f11/f1≦-3.0 (6)
f11/f1が式(6)の下限値を下回ると、所望の変倍比を達成することが困難となるため、好ましくない。f11/f1が式(6)の上限値を上回ると、ズームレンズの広画角および小型化を達成することが困難となるため、好ましくない。
【0031】
各実施例のズームレンズは、第Nレンズ群に含まれる全ての前記正レンズのd線に関する屈折率の平均をNdnとするとき、以下の式(7)の条件を満足することが好ましい。
【0032】
1.83≦Ndn≦2.20 (7)
Ndnが式(7)の下限値を下回ると、第Nレンズ群に含まれる全ての正レンズの平均屈折率が小さくなり過ぎて、所望の変倍比を達成することが困難となるため、好ましくない。Ndnが式(7)の上限値を上回ると、第Nレンズ群に含まれる全ての正レンズの平均屈折率が大きくなり過ぎて、第Nレンズ群の移動のズームレンズの光学性能に対する敏感度が高くなり過ぎるため、好ましくない。
【0033】
なお、式(4)~(7)の数値範囲を以下のようにすると、より好ましい。
【0034】
6.0≦|f1/fn|≦9.0 (4a)
0.15≦(βNt/βNw)/Zwt≦0.35 (5a)
-1.2≦f11/f1≦-2.0 (6a)
1.84≦Ndn≦2.00 (7a)
また、式(4)~(7)の数値範囲を以下のようにすると、さらに好ましい。
【0035】
7.0≦|f1/fn|≦8.9 (4b)
0.20≦(βNt/βNw)/Zwt≦0.25 (5b)
-1.4≦f11/f1≦-1.7 (6b)
1.84≦Ndn≦1.87 (7b)
各条件のズームレンズにおいて、第Nレンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、1つの負レンズ、1つの正レンズ、2つの負レンズ、1つの正レンズおよび1つの負レンズにより構成されることが好ましい。これにより、ズームレンズの全長が長くなることを抑制しつつ、広角端における広画角と高変倍比とを実現することが可能となる。
【0036】
次に実施例1~4のズームレンズを具体的に説明する。
【実施例0037】
図1に示す実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、ズーミングのためには移動しない正の屈折力の第1レンズ群L1と、それぞれズーミングのために移動する負の屈折力の第2レンズ群L2、正の屈折力の第3レンズ群L3および正の屈折力の第4レンズ群L4と、開口絞りSPと、ズーミングのためには移動しない結像用の正の屈折力の第5レンズ群(最終レンズ群)L5とにより構成されている。第2、第3および第4レンズ群L2~L4が中間レンズ群に相当する。
【0038】
広角端から望遠端へのズーミングに際して、バリエーターレンズ群としての第2レンズ群L2は像側へ単調移動し、第3レンズ群L3は物体側、像側および物体側へ順に移動し、第4レンズ群L4は物体側へ移動する。
【0039】
第1レンズ群L1における最も物体側のレンズは、負レンズである。第2レンズ群L2は、第Nレンズ群に相当し、物体側から像側へ順に配置された負レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズ、負レンズと正レンズの接合レンズおよび負レンズにより構成されている。
広角端から望遠端へのズーミングに際して、バリエーターレンズ群としての第2レンズ群L2は像側へ単調移動し、第3レンズ群L3および第4レンズ群L4は物体側、像側および物体側へ順に移動し、第5レンズ群L5は物体側へ移動する。
第1レンズ群L1における最も物体側のレンズは、負レンズである。第2レンズ群L2は、第Nレンズ群に相当し、物体側から像側へ順に配置された正レンズおよび負レンズにより構成されている。