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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014398
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】光ファイバアレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/24 20060101AFI20250123BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
G02B6/24
G02B6/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116917
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】392017004
【氏名又は名称】湖北工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 潤
(72)【発明者】
【氏名】林 隆司
(72)【発明者】
【氏名】播磨 和久
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2H036JA01
2H036LA02
2H036LA03
2H036LA05
2H036LA07
2H036LA08
2H137AB15
2H137BA16
2H137CA12A
2H137CA13A
2H137CA25A
2H137CA26A
2H137CA74
2H137CA77
2H137CC02
2H137CC03
2H137DB08
2H137EA02
2H137HA01
(57)【要約】
【課題】 位置決め用の専用部材を導入することなく光ファイバの位置ずれを抑制するとともに、比較的に少ない工数で光ファイバを精度よく配列する。
【解決手段】 光ファイバアレイ10は、第1面20aを有する第1基板20と第2面30aを有する第2基板30と複数の光ファイバ40を備える。第1面には所定方向に延びる複数の第1凹部22が設けられており、隣接する第1凹部の間には第1凸部21が設けられている。第2面には上記方向に延びる複数の第2凸部31が設けられており、隣接する第2凸部の間には第2凹部32が設けられている。第1凸部は対応する第2凹部と対向しており、第1凸部の端部は第2凹部内に位置している。第2凸部は対応する第1凹部と対向しており、第2凸部の端部は第1凹部内に位置している。光ファイバは、対向する第1凸部と第2凹部との間、及び、対向する第2凸部と第1凹部との間で挟持されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面と対向する第2面を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とにより挟持される複数の光ファイバと、
を備え、
前記第1面には所定方向に延びる複数の第1凹部が所定の間隔で設けられており、隣接する2つの前記第1凹部の間には前記所定方向に延びる第1凸部が設けられており、
前記第2面には前記所定方向に延びる複数の第2凸部が前記所定の間隔で設けられており、隣接する2つの前記第2凸部の間には前記所定方向に延びる第2凹部が設けられており、
各前記第1凸部は、対応する前記第2凹部と対向しており、且つ、各前記第1凸部の少なくとも一部は、対応する前記第2凹部内に位置しており、
各前記第2凸部は、対応する前記第1凹部と対向しており、且つ、各前記第2凸部の少なくとも一部は、対応する前記第1凹部内に位置しており、
各前記光ファイバは、対向する前記第1凸部と前記第2凹部との間、及び、対向する前記第2凸部と前記第1凹部との間で挟持されている、
光ファイバアレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバアレイにおいて、
各前記第1凸部の天面である第1天面と、対応する前記第2凹部の底面である第2底面と、の少なくとも一方は、対応する前記光ファイバを位置決めするための位置決め面を含み、
各前記第2凸部の天面である第2天面と、対応する前記第1凹部の底面である第1底面と、の少なくとも一方は前記位置決め面を含む、
光ファイバアレイ。
【請求項3】
請求項2に記載の光ファイバアレイにおいて、
各前記第1天面と、対応する前記第2底面と、の一方は前記位置決め面を含み、各前記第1天面と、対応する前記第2底面と、の他方は、対応する前記光ファイバと前記所定方向の少なくとも一部において線接触可能な接触面を含み、
各前記第2天面と、対応する前記第1底面と、の一方は前記位置決め面を含み、各前記第2天面と、対応する前記第1底面と、の他方は前記接触面を含む、
光ファイバアレイ。
【請求項4】
請求項2に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記位置決め面は、縦方向に深くなるにつれて横方向の幅が狭くなる一対の傾斜面を含む面、又は、前記光ファイバの外周と実質的に同一の曲率を有する曲面である、
光ファイバアレイ。
【請求項5】
請求項3に記載の光ファイバアレイにおいて、
前記位置決め面は、縦方向に深くなるにつれて横方向の幅が狭くなる一対の傾斜面を含む面、又は、前記光ファイバの外周と実質的に同一の曲率を有する曲面である、
光ファイバアレイ。
【請求項6】
請求項1に記載の光ファイバアレイにおいて、
各前記第1凸部又は各前記第2凸部の少なくとも一方は、各前記第1天面の横方向における一部から対応する前記第2凹部内に突出している第1突出部、又は、各前記第2天面の横方向における一部から対応する前記第1凹部内に突出している第2突出部を有し、
各前記第1凸部が前記第1突出部を有する場合、対応する前記光ファイバは前記第1突出部の側面に接触しており、
各前記第2凸部が前記第2突出部を有する場合、対応する前記光ファイバは前記第2突出部の側面に接触している、
光ファイバアレイ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の光ファイバアレイにおいて、
各前記第1凸部の天面である第1天面には1以上の段差が設けられ、これにより前記第1天面は複数の第1分割天面に分割されており、対応する前記第2凹部の底面である第2底面には前記段差と同数の段差が設けられ、これにより前記第2底面は複数の第2分割底面に分割されており、
各前記第1分割天面は、対応する前記第2分割底面と対向しており、
複数の組の対向する前記第1分割天面と前記第2分割底面のうち、少なくとも1組の対向する前記第1分割天面と前記第2分割底面との間には対応する前記光ファイバが挟持されている、
光ファイバアレイ。
【請求項8】
請求項7に記載の光ファイバアレイにおいて、
各前記第2凸部の天面である第2天面には1以上の段差が設けられ、これにより前記第2天面は複数の第2分割天面に分割されており、対応する前記第1凹部の底面である第1底面には前記段差と同数の段差が設けられ、これにより前記第1底面は複数の第1分割底面に分割されており、
各前記第2分割天面は、対応する前記第1分割底面と対向しており、
複数の組の対向する前記第2分割天面と前記第1分割底面のうち、少なくとも1組の対向する前記第2分割天面と前記第1分割底面との間には対応する前記光ファイバが挟持されている、
光ファイバアレイ。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の光ファイバアレイにおいて、
各前記第2凸部の天面である第2天面には1以上の段差が設けられ、これにより前記第2天面は複数の第2分割天面に分割されており、対応する前記第1凹部の底面である第1底面には前記段差と同数の段差が設けられ、これにより前記第1底面は複数の第1分割底面に分割されており、
各前記第2分割天面は、対応する前記第1分割底面と対向しており、
複数の組の対向する前記第2分割天面と前記第1分割底面のうち、少なくとも1組の対向する前記第2分割天面と前記第1分割底面との間には対応する前記光ファイバが挟持されている、
光ファイバアレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の光ファイバが多段に配列された光ファイバアレイが知られている。光ファイバアレイは、複数の光ファイバを所定の位置に配列させた状態で光ファイバを光導波路素子に結合させるための接続部品である。例えば、特許文献1には、複数の光ファイバが2段に配列されたアレイ型光学素子が記載されている。このアレイ型光学素子は、複数の第1のV溝を有する第1基板と、複数の第2のV溝を有する第2基板と、を備える。第1のV溝のそれぞれには第1の光ファイバが配置され、第2のV溝のそれぞれには第2の光ファイバが配置されている。複数の第1のV溝と複数の第2のV溝は、互いに対向するように形成されている。第1の光ファイバ及び第2の光ファイバは、第1基板と第2基板とにより挟み込まれるようにして保持されている。第1基板と第2基板との間には紫外線硬化型接着剤が充填されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5323800号
【発明の概要】
【0004】
特許文献1のアレイ型光学素子では、第2の光ファイバが第1の光ファイバに対して横方向(別言すれば、第1及び第2のV溝が並んでいる方向)に位置ずれすることを抑制するために第1基板と第2基板のそれぞれに一対の対向するV溝が形成されている。この一対のV溝には円柱状の位置決め部材が配置されている。特許文献1には、位置決め部材により第1基板及び第2基板が支持されることにより第2基板の第1基板に対する横方向の位置ずれが抑制されるため、第2の光ファイバが第1の光ファイバに対して横方向に位置ずれすることを抑制できる旨が記載されている。
【0005】
加えて、このアレイ型光学素子では、位置決め部材の径が比較的に大きく、これにより対向する第1の光ファイバと第2の光ファイバとの間に隙間が生じる場合は、当該隙間にスペーサが挿入される。特許文献1には、スペーサを挿入することにより、第2の光ファイバが第1の光ファイバに対して縦方向(別言すれば、第1及び第2基板の積層方向)に位置ずれすることを抑制できる旨が記載されている。
【0006】
このように、特許文献1のアレイ型光学素子では、位置決め部材がなければ第2基板が第1基板に対して横方向に際限なく位置ずれする可能性があり、スペーサがなければ第2基板の第1基板に対する縦方向の位置精度が不安定になる可能性があるため、位置決め用の専用部材(即ち、位置決め部材及びスペーサ)を導入しなければ光ファイバの位置ずれを抑制することができない。
【0007】
また、位置決め用の専用部材を導入する場合において光ファイバを精度よく配列するためには、例えば、所望の径を有する位置決め部材を準備したり、スペーサを所望の厚みに加工したりする必要があり、工数が増大する。スペーサの加工技術レベルによっては、光ファイバを精度よく配列できない可能性もある。
【0008】
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、位置決め用の専用部材を導入することなく光ファイバの位置ずれを抑制するとともに、比較的に少ない工数で光ファイバを精度よく配列することが可能な光ファイバアレイを提供することにある。
【0009】
本発明の光ファイバアレイ(10)は、
第1面(20a)を有する第1基板(20)と、
前記第1面(20a)と対向する第2面(30a)を有する第2基板(30)と、
前記第1基板(20)と前記第2基板(30)とにより挟持される複数の光ファイバ(40)と、
を備える。
前記第1面(20a)には所定方向に延びる複数の第1凹部(22)が所定の間隔(I)で設けられており、隣接する2つの前記第1凹部(22)の間には前記所定方向に延びる第1凸部(21)が設けられており、
前記第2面(30a)には前記所定方向に延びる複数の第2凸部(31)が前記所定の間隔(I)で設けられており、隣接する2つの前記第2凸部(31)の間には前記所定方向に延びる第2凹部(32)が設けられており、
各前記第1凸部(21)は、対応する前記第2凹部(32)と対向しており、且つ、各前記第1凸部(21)の少なくとも一部は、対応する前記第2凹部(32)内に位置しており、
各前記第2凸部(31)は、対応する前記第1凹部(22)と対向しており、且つ、各前記第2凸部(31)の少なくとも一部は、対応する前記第1凹部(22)内に位置しており、
各前記光ファイバ(40)は、対向する前記第1凸部(21)と前記第2凹部(32)との間、及び、対向する前記第2凸部(31)と前記第1凹部(22)との間で挟持されている。
【0010】
本発明によれば、位置決め用の専用部材を導入することなく光ファイバの位置ずれを抑制するとともに、比較的に少ない工数で光ファイバを精度よく配列することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバアレイの平面図である。
図2】光ファイバアレイの側面図である。
図3図1のIII-III線における光ファイバアレイの断面図である。
図4図3の領域Rの部分拡大図である。
図5A】第1凹部の別の形状を示す図(その1)である。
図5B】第1凹部の別の形状を示す図(その2)である。
図5C】第1凹部の別の形状を示す図(その3)である。
図6A】第2凸部の別の形状を示す図(その1)である。
図6B】第2凸部の別の形状を示す図(その2)である。
図6C】第2凸部の別の形状を示す図(その3)である。
図6D】第2凸部の別の形状を示す図(その4)である。
図7】第1実施形態の変形例1に係る光ファイバアレイの断面の部分拡大図である。
図8】第1実施形態の変形例2に係る光ファイバアレイの断面の部分拡大図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る光ファイバアレイの断面の部分拡大図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る光ファイバアレイの断面の部分拡大図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る光ファイバアレイの断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る光ファイバアレイ10について説明する。図1は、光ファイバアレイ10の平面図であり、図2は光ファイバアレイの側面図である。図1及び図2に示すように、光ファイバアレイ10は、略直方体形状の基板20と、略直方体形状の基板30と、基板20と基板30とにより挟持される複数の光ファイバ40と、を備える。
【0013】
基板20はガラス製であり、z軸方向に所定の厚みを有している。基板20の短辺はx軸方向に延びており、長辺はy軸方向に延びている。図2に示すように、基板20の上面(+z軸方向の面)には段差sが形成されている。段差sは、基板20の長辺の所定の位置においてx軸方向に延びている。段差sの段差面20e1は、zx平面上に位置している。段差sにより、基板20の上面は、面20aと面20bとに分割されている。面20aは、面20bに対して段差sの高さだけ上方に位置している。後述するように、面20a上には基板30が配置される一方で、面20bは外部に露出している。基板20及び面20aは、それぞれ「第1基板」及び「第1面」の一例に相当する。なお、基板20の材料はガラスに限られず、後述する凸部21及び凹部22を加工可能な材料(例えば、セラミック)であればよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、基板30はガラス製であり、z軸方向に所定の厚みを有している。基板30の長辺はx軸方向に延びており、短辺はy軸方向に延びている。基板30の面30a(-z軸方向の面)は、基板20の面20aと略同一の形状及び大きさを有する。基板30は、その面30a全体が基板20の面20aと対向するように基板20上に配置されている。これにより、基板30の-y軸方向の端面30e1は、基板20の段差面20e1と面一となっている。また、基板30の+y軸方向の端面30e2は、基板20の端面20e2と面一となっている。基板30及び面30aは、それぞれ「第2基板」及び「第2面」の一例に相当する。なお、基板30の材料はガラスに限られず、後述する凸部31及び凹部32を加工可能な材料(例えば、セラミック)であればよい。
【0015】
基板20の面20a及び基板30の面30aには、複数の光ファイバ40をそれぞれ所定の位置に配列するための配列構造が形成されている。この配列構造に配列(収容)された光ファイバ40は、基板20の段差面20e1及び基板30の端面30e1から突出し、面20b上を-y軸方向に延在している。光ファイバ40の+y軸方向の一部は、所定の長さだけ被覆材40aが除去されてベアファイバが露出している(後述)。被覆材40aを除去する長さは、配列構造に配列される部分の光ファイバ40が確実にベアファイバとなるようにするため、配列構造のy軸方向における長さよりも十分に長くされている。このため、面20b上を-y軸方向に延在している光ファイバ40は、その途中から被覆材40aで覆われている。基板20の段差sは、「面20b上に配置された被覆材40aで覆われた光ファイバ40の軸線」が「凹部22に収容されている光ファイバ40の軸線」と同軸となるような高さを有するように形成されている。以下、図3及び図4を参照してこの配列構造について具体的に説明する。
【0016】
図3は、図1のIII-III線における光ファイバアレイ10の断面図である。図4は、図3の領域Rの部分拡大図である。図3に示すように、基板20の面20aには、y軸方向に延びる12個の凹部22が所定の間隔Iで設けられている。隣接する2つの凹部22の間には、y軸方向に延びる11個の凸部21が設けられている。各凸部21及び各凹部22は、基板20の段差面20e1から端面20e2(図2参照)まで連続して形成されている。基板30の面30aには、y軸方向に延びる12個の凸部31が間隔Iで設けられている。隣接する2つの凸部31の間には、y軸方向に延びる11個の凹部32が設けられている。各凸部31及び各凹部32は、基板30の端面30e1から端面30e2(図2参照)まで連続して形成されている。凸部21及び凹部22は、それぞれ「第1凸部」及び「第1凹部」の一例に相当する。凸部31及び凹部32は、それぞれ「第2凸部」及び「第2凹部」の一例に相当する。
【0017】
図4に示すように、凸部21の天面21a(本実施形態では、+z軸方向の面)は、基板20の面20aよりも上方に位置しており、凹部22の底面22a(本実施形態では、-z軸方向の面)は、面20aよりも下方に位置している。凸部21は、幅(x軸方向の長さ)w1を有する。凸部21の側壁は互いに平行であり、yz平面上に位置している。凹部22は、幅w3を有する。凹部22の側壁は互いに平行であり、yz平面上に位置している。凸部21の側壁は、当該凸部21に隣接する凹部22の側壁としても機能している。幅w1と幅w3との和は、間隔I(図3参照)に等しい。天面21a及び底面22aは、それぞれ「第1天面」及び「第1底面」の一例に相当する。
【0018】
天面21aは、断面がv字形状である溝v1を含む。溝v1は、z軸方向に深くなるにつれてx軸方向の幅が狭くなる一対の傾斜面により構成されている。同様に、底面22aは、断面がv字形状である溝v2を含む。溝v2は、z軸方向に深くなるにつれてx軸方向の幅が狭くなる一対の傾斜面により構成されている。本実施形態では、これら一対の傾斜面は何れも90°を成すように形成されている。
【0019】
一方、凸部31の天面31a(本実施形態では、-z軸方向の面)は、基板30の面30aよりも下方に位置しており、凹部32の底面32a(本実施形態では、+z軸方向の面)は、面30aよりも上方に位置している。凸部31は、幅w2を有する。凸部31の側壁は互いに平行であり、yz平面上に位置している。凹部32は、幅w4を有する。凹部32の側壁は互いに平行であり、yz平面上に位置している。凸部31の側壁は、当該凸部31に隣接する凹部32の側壁としても機能している。幅w2と幅w4との和は、間隔I(図3参照)に等しい(即ち、w1+w3=w2+w4=I)。加えて、本実施形態ではw1=w2及びw3=w4の関係がそれぞれ成立しているが、w1+w3=w2+w4が成立していれば、w1≠w2及びw3≠w4であってもよい。天面31a及び底面32aは、それぞれ「第2天面」及び「第2底面」の一例に相当する。
【0020】
天面31a及び底面32aは、何れもxy平面上に位置する平坦面である。
【0021】
各凸部21は、対応する凹部32と対向している。また、凸部21と凹部32は、w1<w4が成立するようにそれぞれ形成されており、これにより、各凸部21の端部は、対応する凹部32内に位置している。同様に、各凸部31は、対応する凹部22と対向している。また、凸部31と凹部22は、w2<w3が成立するようにそれぞれ形成されており、これにより、各凸部31の端部は、対応する凹部22内に位置している。
【0022】
対向する11組の凸部21と凹部32との間では、11本の光ファイバ40がそれぞれ挟持されている(図3参照)。具体的には、光ファイバ40は、凸部21の溝v1と、凹部32の底面32aと、により挟持されている。即ち、光ファイバ40は、溝v1を構成する一対の傾斜面とy軸方向に沿ってそれぞれ線接触し、底面32aとy軸方向に沿って線接触している(別言すれば、断面視において、光ファイバ40は溝v1及び底面32aにより3点支持されている)。溝v1は、光ファイバ40を位置決めするための位置決め面として機能する。底面32aは、光ファイバ40との線接触を実現するための接触面として機能する。
【0023】
同様に、対向する12組の凸部31と凹部22との間では、12本の光ファイバ40がそれぞれ挟持されている(図3参照)。具体的には、光ファイバ40は、凸部31の天面31aと、凹部22の溝v2と、により挟持されている。即ち、光ファイバ40は、天面31aとy軸方向に沿って線接触するとともに、溝v2を構成する一対の傾斜面とy軸方向に沿ってそれぞれ線接触している(別言すれば、断面視において、光ファイバ40は天面31a及び溝v2により3点支持されている)。天面31aは、光ファイバ40との線接触を実現するための接触面として機能する。溝v2は、光ファイバ40を位置決めするための位置決め面として機能する。
【0024】
対向する凸部21と凹部32との間、及び、対向する凸部31と凹部22との間で挟持される部分の光ファイバ40は、被覆材40a(図2参照)が除去されたベアファイバであり、その径は何れも0.125mmである。光ファイバ40の+y軸方向の端面(図示省略)は、基板20の端面20e2及び基板30の端面30e2(図2参照)と面一となっている。これは、光ファイバ40が基板20と基板30との間で挟持された状態で、基板20及び基板30の+y軸方向側の端部が光ファイバ40とともに一括して研磨されているためである。本実施形態では、光ファイバ40の当該端面の研磨角度(xy平面と成す角度)は90°である。なお、基板20及び基板30の+y軸方向側の端部は、光ファイバ40とともに一括して斜めに研磨されてもよい。この場合、研磨角度は鋭角(例えば、80°~85°)であることが望ましい。或いは、光ファイバ40の端面が反射防止膜で覆われてもよい。光ファイバ40の端面を斜研磨したり反射防止膜で覆ったりすることにより、信号光が接続先のデバイスとの間で多重反射することを抑制でき、その結果、信号光の光学特性の低下を抑制できる。
【0025】
凸部21、凹部22、凸部31及び凹部32は、断面視において、光ファイバ40が溝v1及び底面32aにより3点支持され、光ファイバ40が天面31a及び溝v2により3点支持され、且つ、基板20の面20aと基板30の面30aとの間に所定の高さを有する隙間が形成されることになるような形状となるように加工されている。本実施形態では、凹部22及び凹部32の深さは、面20aと面30aとの間の隙間の中央から凹部22内に収容されている光ファイバ40の中心までの距離d1と、当該隙間の中央から凹部32内に収容されている光ファイバ40の中心までの距離d2との間にd1<d2(厳密には、3d1=d2)の関係が成立するように加工されている。但し、距離d1と距離d2の大小関係はこれに限られない。凹部22及び凹部32の深さは、例えば、d1=d2又はd1>d2の関係が成立するように加工されてもよい。
【0026】
基板20の面20aと基板30の面30aと光ファイバ40との間には、接着剤Aが充填されている。本実施形態では、接着剤Aには熱硬化性樹脂が用いられるが、これに限られず、例えば紫外線硬化樹脂が用いられてもよい。熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂には周知の樹脂が用いられ得る。接着剤Aにより、光ファイバ40及び基板30が基板20に接着されている。
【0027】
なお、本実施形態では凸部21の幅w1は凹部32の幅w4よりも僅かに短く、凸部31の幅w2は凹部22の幅w3よりも僅かに短くなっている。これは、製造時の誤差に起因して凸部21(又は凸部31)の端部を凹部32(又は凹部22)内に配置できなくなる事態の発生を抑制するためである。従って、製造時の誤差が生じ得ない場合、w1=w4、且つ、w2=w3であってもよい。また、挟持される光ファイバ40の本数(即ち、凸部21、凹部22、凸部31及び凹部32の個数)は、光ファイバ40が接続されることになるデバイスの種類や構造に応じて適宜変更され得る。
【0028】
光ファイバアレイ10は、以下のようにして製造される。即ち、まず、基板20の凸部21の溝v1及び凹部22の溝v2に23本の光ファイバ40を配置する。このとき、光ファイバ40は図示しない治具により保持されている。次に、基板30を、その面30aが基板20の面20aと対向するように基板20上に配置する。より具体的には、光ファイバ40が対向する凸部21と凹部32との間で挟持され、且つ、光ファイバ40が対向する凸部31と凹部22との間で挟持されるように基板30を基板20上に配置する。続いて、治具による光ファイバ40の保持を解除し、基板20の端面20e2と端面30e2との間の隙間から接着剤Aの材料である熱硬化性樹脂を注入する。次いで、熱硬化性樹脂が注入された半製品を所定の温度で加熱して熱硬化性樹脂を硬化させ、接着剤Aを形成する。接着剤Aにより光ファイバ40及び基板30が基板20に接着されて、光ファイバアレイ10が製造される。
【0029】
以上説明したように、第1実施形態では、各凸部21の端部が対応する凹部32内に位置しており、且つ、各凸部31の端部が対応する凹部22内に位置している。このため、基板30の基板20に対する横方向(x軸方向)の位置ずれ量は、最大でも「凸部21の凹部32内における横移動量(又は凸部31の凹部22内における横移動量)」に抑えることができる。従って、位置決め部材がなくても基板30が基板20に対して横方向に際限なく位置ずれすることを抑制できる。また、各光ファイバが、対向する凸部21と凹部32との間、及び、対向する凸部31と凹部22との間で挟持されることにより、基板30の基板20に対する縦方向(z軸方向)の位置が一義的に決定される。従って、スペーサがなくても基板30の基板20に対する縦方向の位置精度を高く保つことができる。加えて、位置決め用の専用部材が不要であるため、当該専用部材の準備又は加工に起因して光ファイバ40の配列工程に係る工数が増大する可能性を低減できる。以上より、第1実施形態の構成によれば、位置決め用の専用部材を導入することなく光ファイバ40の位置ずれを抑制するとともに、比較的に少ない工数で光ファイバ40を精度よく配列することが可能となる。
【0030】
特に、第1実施形態では、位置決め面として機能する溝v1と溝v2が同一の基板(即ち、基板20)に設けられている。このため、仮に基板30が基板20に対して横方向に位置ずれしても、溝v2上の光ファイバ40の、溝v1上の光ファイバ40に対する横方向の相対位置関係は維持される。従って、第1実施形態の構成によれば、光ファイバ40の位置ずれ(特に、横方向の位置ずれ)をより適切に抑制するとともに、比較的に少ない工数で光ファイバ40を更に精度よく配列することが可能となる。
【0031】
また、位置決め用の専用部材が不要であるため、基板20(及び基板30)の凸部21と凹部22(及び凸部31と凹部32)の形状を調整するだけで光ファイバ40の相対位置関係(即ち、配列構造)を比較的に容易に変更できる。
【0032】
更に、部品点数の増加を抑制できるため、製造コストの増大を抑制できるとともに、製造工程を簡素化できる。
【0033】
ここで、基板20の凸部21と凹部22だけではなく、基板30の凸部31と凹部32にも溝が設けられる場合、光ファイバ40を適切に位置決めするためには、対向する溝同士の最深部が横方向に位置ずれすることがないよう、凸部21、凹部22、凸部31及び凹部32の加工精度を極めて高く管理する必要がある。これに対し、第1実施形態では、溝が設けられるのは基板20の凸部21と凹部22のみであり、基板30の凸部31と凹部32には設けられない。このため、これら全ての凸部及び凹部に溝を設ける構成と比較して、要求される加工精度を若干緩やかにすることができる。その結果、光ファイバアレイ10の製造効率を向上させることができる。
【0034】
なお、第1実施形態では、基板20の凹部22は、底面22aが断面v字形状の溝v2を含むように形成されているが、凹部22の形状はこれに限られない。例えば、図5Aに示すように、凹部22は、底面22aの代わりに底面22bを有していてもよい。底面22bは、断面が台形形状となるように構成されている。また、図5Bに示すように、凹部22は、底面22aの代わりに底面22cを有していてもよい。底面22cは、一対の傾斜面が曲面により接続されることにより構成されている。底面22b及び底面22cは、光ファイバ40を位置決めするための一対の傾斜面を含んでいる。或いは、図5Cに示すように、凹部22は、底面22aの代わりに底面22dを有していてもよい。底面22dは、光ファイバ40の外周と実質的に同一の曲率を有する曲面を含んでいる。光ファイバ40は、当該曲面にその外周の一部が嵌合することにより位置決めされる。
【0035】
また、第1実施形態では、基板30の凸部31は、その断面が長方形形状を呈し、且つ、天面31aが光ファイバ40とy軸方向に沿って線接触可能な平坦面となるように形成されているが、凸部31の形状はこれに限られない。例えば、図6Aに示すように、凸部31は、天面31aの代わりに天面31bを有していてもよい。天面31bを有する凸部31は、その断面が台形形状を呈するように構成されている。また、図6Bに示すように、凸部31は、天面31aの代わりに天面31cを有していてもよい。天面31cは、断面が下に凸の曲線となるように構成されている。更に、図6Cに示すように、凸部31は、天面31aの代わりに天面31dを有していてもよい。天面31dは、断面が波線状となるように構成されている。天面31b乃至天面31dは、何れも光ファイバ40とy軸方向に沿って線接触可能となっている。或いは、図6Dに示すように、凸部31は、天面31aの代わりに天面31eを有していてもよい。天面31eは、光ファイバ40の外周と実質的に同一の曲率を有する曲面である。光ファイバ40は、当該曲面にその外周の一部が嵌合することにより、天面31eの全体が光ファイバ40の外周面(の周方向における一部)と接触する。
【0036】
(変形例1)
次に、第1実施形態の変形例1に係る光ファイバアレイについて説明する。この光ファイバアレイは、光ファイバ40の配列構造の点で光ファイバアレイ10と相違している。以下では、第1実施形態と同一の部材又は構造には同一の符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。これは、その他の実施形態及び変形例についても同様である。
【0037】
図7は、変形例1の光ファイバアレイの断面の部分拡大図(図4に対応する図)である。図7に示すように、この光ファイバアレイは、基板120と基板130Aとを備える。基板120は、面120aに凸部21の代わりに凸部121が設けられている点で基板20と相違している。また、基板130Aは、面130a1に凹部32の代わりに凹部132が設けられている点で基板30と相違している。
【0038】
凸部121(第1凸部)の天面121a(第1天面)は、xy平面上に位置する平坦面となっている。これに対し、凹部132(第2凹部)の底面132a(第2底面)は、断面がv字形状である溝v3を含んでいる。各凸部121は、対応する凹部132と対向している。また、各凸部121の端部は、対応する凹部132内に位置している。対向する凸部121と凹部132との間では、対応する光ファイバ40が挟持されている。即ち、断面視において、光ファイバ40は天面121a及び溝v3により3点支持されている。天面121aは、光ファイバ40との線接触を実現するための接触面として機能する。溝v3は、光ファイバ40を位置決めするための位置決め面として機能する。
【0039】
変形例1によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。但し、変形例1では、位置決め面として機能する溝v2と溝v3が別々の基板(即ち、基板20と基板30)に設けられている。このため、仮に基板130Aが基板120に対して横方向に位置ずれすると、溝v3上の光ファイバ40も、溝v2上の光ファイバ40に対して横方向に位置ずれする。なお、位置ずれ量は、最大でも「凸部121(又は凸部31)の凹部132(又は凹部22)内における横移動量」の範囲内に収まる。従って、変形例1の光ファイバアレイは、この程度の位置ずれ量を許容する光学素子との結合に用いられることが好ましい。
【0040】
(変形例2)
続いて、第1実施形態の変形例2に係る光ファイバアレイについて説明する。この光ファイバアレイは、光ファイバ40の配列構造の点で光ファイバアレイ10と相違している。
【0041】
図8は、変形例2の光ファイバアレイの断面の部分拡大図(図4に対応する図)である。図8に示すように、この光ファイバアレイは、基板20と基板130Bとを備える。基板130Bは、面130a2に凸部31の代わりに凸部131が設けられており、且つ、凹部32の代わりに凹部132が設けられている点で基板30と相違している。
【0042】
凸部131(第2凸部)の天面131a(第2天面)は、断面がv字形状である溝v4を含んでいる。凹部132は変形例1の凹部132と同一形状を有する。各凸部21は、対応する凹部132と対向している。また、各凸部21の端部は、対応する凹部132内に位置している。対向する凸部21と凹部132との間では光ファイバ40が挟持されている。即ち、断面視において、光ファイバ40は溝v1及び溝v3により4点支持されている。溝v1及び溝v3は、何れも光ファイバ40を位置決めするための位置決め面として機能する。同様に、各凸部131は、対応する凹部22と対向している。また、各凸部131の端部は、対応する凹部22内に位置している。対向する凸部131と凹部22との間では光ファイバ40が挟持されている。即ち、断面視において、光ファイバ40は溝v4及び溝v2により4点支持されている。溝v4及び溝v2は、何れも光ファイバ40を位置決めするための位置決め面として機能する。
【0043】
変形例2によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。更に、変形例2では、位置決め面として機能する溝が、基板20の凸部21及び凹部22だけではなく、基板130Bの凸部131及び凹部132にも設けられている。このため、基板130B自体の横方向への位置ずれを抑制できる。
【0044】
(第2実施形態)
次いで、本発明の第2実施形態に係る光ファイバアレイについて説明する。この光ファイバアレイは、光ファイバ40の配列構造の点で光ファイバアレイ10と相違している。
【0045】
図9は、第2実施形態の光ファイバアレイの断面の部分拡大図(図4に対応する図)である。図9に示すように、この光ファイバアレイは、基板220と基板230とを備える。基板220は、面220aに凸部21の代わりに凸部221が設けられており、且つ、凹部22の代わりに凹部222が設けられている点で基板20と相違している。基板230は、面230aに凸部31の代わりに凸部231が設けられており、且つ、凹部32の代わりに凹部232が設けられている点で基板30と相違している。
【0046】
凸部221(第1凸部)の天面221a(第1天面)は、xy平面上に位置する平坦面である。凸部221は、突出部221p(第1突出部)を有する。突出部221pは、天面221aの+x軸方向側の端部から、対応する凹部232(第2凹部)内に突出している。突出部221pは、断面が長方形形状であり、凸部221の一端から他端までy軸方向に延在している。突出部221pの側面221pa(-x軸方向側の面)は、天面221aと直交している。これに対し、凹部232の深さ(面220aと面230aとの間の隙間の中央から底面232aまでの距離)は、凹部32(図4参照)の深さよりも短い。また、凹部232の-x軸方向側の側壁232bは、yz平面に対して傾斜している。
【0047】
各凸部221は、対応する凹部232と対向している。また、各突出部221pは、対応する凹部232内に位置している。対向する凸部221と凹部232との間では、対応する光ファイバ40が挟持されている。具体的には、光ファイバ40は、凸部221の天面221aと、突出部221pの側面221paと、凹部232の側壁232b(即ち、側面221paと対向しているほうの側壁)と、それぞれy軸方向に沿って線接触している(別言すれば、断面視において、光ファイバ40は、天面221a、側面221pa及び側壁232bにより3点支持されている)。
【0048】
一方、凸部231(第2凸部)は、突出部231p(第2突出部)を有する。突出部231pは、天面231a(第2天面)の-x軸方向側の端部から、対応する凹部222(第1凹部)内に突出している。突出部231pは、断面が直角三角形形状であり、凸部231の一端から他端までy軸方向に延在している。突出部231pの幅は、下方に向かうにつれて狭くなっている。突出部231pの側面231pa(+x軸方向側の面)は、天面231aと鈍角を成して交差している。これに対し、凹部222の底面222a(第1底面)は、xy平面上に位置する平坦面である。
【0049】
各凸部231は、対応する凹部222と対向している。また、各突出部231pは、対応する凹部222内に位置している。対向する凸部231と凹部222との間では、対応する光ファイバ40が挟持されている。具体的には、光ファイバ40は、突出部231pの側面231paと、凹部222の底面222aと、凹部222の+x軸方向側の側壁222b(即ち、側面231paと対向しているほうの側壁)と、それぞれy軸方向に沿って線接触している(別言すれば、断面視において、光ファイバ40は、側面231pa、底面222a及び側壁222bにより3点支持されている)。なお、凹部222の幅は、凸部221の幅よりも短い。
【0050】
第1実施形態では、光ファイバ40は、「対向する凸部21の天面21aと凹部32の底面32aとの間」、及び、「対向する凸部31の天面31aと凹部22の底面22aとの間」で挟持される。これに対し、第2実施形態では、光ファイバ40は、「凸部の天面と、当該凸部の突出部の側面と、当該凸部と対向する凹部の側壁との間」、又は、「凸部の突出部の側面と、当該凸部と対向する凹部の底面と、当該凹部の側壁との間」で挟持される。光ファイバ40が接触する3つの面のうち、1つの面がyz平面に対して傾斜している。これにより、凸部又は凹部に位置決め面が形成されていなくても、光ファイバ40の位置が一義的に決定される。従って、第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、突出部231pは、突出部221pと同一形状となるように形成されてもよい。この場合、凹部222は、その側壁222bが、凹部232の側壁232bと同じ方向に傾斜するように形成されることが望ましい。また、突出部221p及び231pは、凸部221及び231の一端から他端まで連続して形成されていなくてもよい。即ち、分割された複数の突出部221p及び231pがy軸方向に間隔を置いて設けられていてもよい。これは、後述する変形例についても同様である。
【0051】
(変形例)
続いて、第2実施形態の変形例に係る光ファイバアレイについて説明する。この光ファイバアレイは、光ファイバ40の配列構造の点で第2実施形態の光ファイバアレイと相違している。
【0052】
図10は、変形例の光ファイバアレイの断面の部分拡大図(図9に対応する図)である。図10に示すように、この光ファイバアレイは、基板320と基板330とを備える。基板320は、面320aに凸部221の代わりに凸部321が設けられている点で基板220と相違している。基板330は、面330aに凸部231の代わりに凸部331が設けられており、且つ、凹部232の代わりに凹部332が設けられている点で基板230と相違している。
【0053】
凸部321(第1凸部)は、突出部321pを有する。突出部321pは、天面321a(第1天面)の+x軸方向側の端部から、対応する凹部332内に突出している。突出部321pは、断面が直角三角形形状であり、凸部321の一端から他端までy軸方向に延在している。突出部321pの側面321paは、天面321aと鈍角を成して交差している。これに対し、凹部332(第2凹部)は、-x軸方向側の側壁332bがyz平面上に位置している点を除いて、第2実施形態の凹部232と略同一の構造を有する。
【0054】
対向する凸部321と凹部332との間では、対応する光ファイバ40が挟持されている。具体的には、光ファイバ40は、突出部321pの側面321paと、凹部332の底面332a(第2底面)と、凹部332の側壁332b(即ち、側面321paと対向しているほうの側壁)と、それぞれy軸方向に沿って線接触している(別言すれば、断面視において、光ファイバ40は、側面321pa、底面332a及び側壁332bにより3点支持されている)。
【0055】
一方、凸部331は、第2実施形態の突出部231pと同一形状の突出部331pを有する。対向する凸部331と凹部222との間では、対応する光ファイバ40が挟持されている。具体的には、光ファイバ40は、突出部331pの側面331paと、凹部222の底面222aと、凹部222の側壁222bと、それぞれy軸方向に沿って線接触している(別言すれば、断面視において、光ファイバ40は、側面331pa、底面222a及び側壁222bにより3点支持されている)。
【0056】
この構成によっても、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
(第3実施形態)
次いで、本発明の第3実施形態に係る光ファイバアレイについて説明する。第2実施形態の光ファイバアレイは、光ファイバ40の配列構造の点で光ファイバアレイ10と相違している。
【0058】
図11は、第3実施形態の光ファイバアレイの断面の部分拡大図(図4に対応する図)である。図11に示すように、この光ファイバアレイは、基板420と基板430とを備える。基板420は、面420aに凸部21の代わりに凸部421が設けられている点で基板20と相違している。基板430は、面430aに凹部32の代わりに凹部432が設けられている点で基板30と相違している。
【0059】
11個の各凸部421(第1凸部)の天面421a(第1天面)には1つの段差s1が設けられており、これにより、天面421aは2つの分割天面421a1及び421a2(第1分割天面)に分割されている。これに対し、対応する11個の凹部432(第2凹部)の底面432a(第2底面)には、天面421aに設けられた段差(即ち、段差s1)と同数の段差s2が設けられており、これにより、底面432aは2つの分割底面432a1及び432a2(第2分割底面)に分割されている。分割底面432a1及び432a2は、断面がv字形状である溝v5及び溝v6をそれぞれ含んでいる。
【0060】
各分割天面421a1及び421a2は、対応する分割底面432a1及び432a2と対向している。各凸部421のうち分割天面421a2を有する部分を「部分凸部」と規定し、各凹部432のうち分割底面432a2を有する部分を「部分凹部」と規定する。この場合、各部分凸部は、対応する部分凹部と対向している。また、各部分凸部の端部は、対応する部分凹部内に位置している。
【0061】
11組の対向する分割天面421a1と分割底面432a1との間では、対応する光ファイバ40が挟持されている。即ち、断面視において、光ファイバ40は分割天面421a1及び溝v5により3点支持されている。同様に、11組の対向する分割天面421a2と分割底面432a2との間(別言すれば、対向する部分凸部と部分凹部との間)では、対応する光ファイバ40が挟持されている。即ち、断面視において、光ファイバ40は分割天面421a2及び溝v6により3点支持されている。分割天面421a1及び421a2は、光ファイバ40との線接触を実現するための接触面として機能する。溝v5及び溝v6は、光ファイバ40を位置決めするための位置決め面として機能する。
【0062】
第3実施形態では、凸部421の天面421aに1つの段差s1が設けられ、且つ、凹部432の底面432aに1つの段差s2が設けられている。この構成によれば、3段配列の光ファイバアレイを実現できる。但し、光ファイバ40は全ての段に配列される構成に限られない。例えば、第3実施形態の光ファイバアレイにおいて、1段目と3段目のみに配列されるように構成されてもよい。また、段差の数はこれに限られない。一般に、段差がk個(k:自然数)設けられると、k+2段の多段配列光ファイバアレイを実現できる。加えて、溝v5及び溝v6は、分割底面432a1及び432a2に設けられる代わりに、分割天面421a1及び421a2に設けられてもよいし、これら全ての分割天面及び分割底面に設けられてもよい。更に、段差は、基板430の各凸部31(第2凸部)及び基板420の各凹部22(第1凹部)に設けられてもよい。この場合、凸部31の天面31aが複数の分割天面(第2分割天面)に分割され、凹部22の底面22aが複数の分割底面(第1分割底面)に分割される。更に、段差は、全ての凸部421、凹部432、凸部31及び凹部22に設けられてもよい。
【0063】
以上、実施形態及び変形例に係る光ファイバアレイについて説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0064】
光ファイバアレイは実施形態及び変形例で示した構成に限られず、例えば、端面20e2及び30e2(図2参照)がレンズアレイに加工されていてもよい。
【0065】
また、対向する凸部及び凹部の間で光ファイバ40が挟持される際、線接触は不連続であってもよい。
【0066】
更に、基板20の下面及び/又は基板30の上面(図2参照)に、1以上の基板が積層配置されていてもよい。この場合、対となる任意の2つの基板の間には、上述した光ファイバ40の配列構造が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10:光ファイバアレイ、20:基板、20a:面、21:凸部、22:凹部、30:基板、30a:面、31:凸部、32:凹部、40:光ファイバ

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11