(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025144080
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】基板接合方法および基板接合装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20250925BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20250925BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/88 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024043677
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 英樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 光治
(72)【発明者】
【氏名】武藤 正吾
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 僚太
(72)【発明者】
【氏名】小松 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】大澤 篤史
【テーマコード(参考)】
5F033
【Fターム(参考)】
5F033HH11
5F033QQ53
5F033QQ91
5F033RR04
5F033RR06
5F033SS04
5F033VV07
(57)【要約】
【課題】銅パッドの表面から酸化銅を除去した状態で2枚の基板を接合できる基板接合方法を提供する。
【解決手段】基板接合方法は、各基板Wの接合面111、211を希ガスのプラズマである希ガスプラズマで処理し、希ガスプラズマで処理された各基板Wの接合面111、211を水素のプラズマである水素プラズマで処理し、水素プラズマで処理された各基板Wの接合面111、211を窒素のプラズマである窒素プラズマで処理するプラズマ処理工程と、プラズマ処理工程の後に、2枚の基板Wの銅パッド112、212同士が向かい合い、2枚の基板Wの絶縁膜同士が向かい合うように2枚の基板Wの接合面111、211を接触させることにより、2枚の基板Wを接合する基板接合工程とを含む。
【選択図】
図4A-F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅パッドの酸化銅と絶縁膜とが露出した接合面をそれぞれが有する2枚の基板を接合する基板接合方法であって、
各基板の前記接合面を希ガスのプラズマである希ガスプラズマで処理し、前記希ガスプラズマで処理された前記各基板の前記接合面を水素のプラズマである水素プラズマで処理し、前記水素プラズマで処理された前記各基板の前記接合面を窒素のプラズマである窒素プラズマで処理するプラズマ処理工程と、
前記プラズマ処理工程の後に、前記2枚の基板の前記銅パッド同士が向かい合い、前記2枚の基板の前記絶縁膜同士が向かい合うように前記2枚の基板の前記接合面を接触させることにより、前記2枚の基板を接合する基板接合工程と、を含む、基板接合方法。
【請求項2】
前記プラズマ処理工程は、前記希ガスプラズマを含み、前記窒素プラズマを含まないプラズマで前記接合面を処理する希ガスプラズマ処理工程と、前記窒素プラズマで前記接合面を処理する窒素プラズマ処理工程と、前記希ガスプラズマ処理工程および窒素プラズマ処理工程の少なくとも一方と同時に、または、前記希ガスプラズマ処理工程の後であって前記窒素プラズマ処理工程の前に、前記水素プラズマで前記接合面を処理する水素プラズマ処理工程と、を前記2枚の基板のそれぞれに対して行う工程である、請求項1に記載の基板接合方法。
【請求項3】
前記プラズマ処理工程は、前記基板を収容する密閉容器内に前記希ガスおよび水素を含み前記窒素を含まない第1反応ガスを供給し、前記第1反応ガスから生成された第1プラズマで前記接合面を処理する第1プラズマ処理工程と、前記密閉容器内に前記窒素を含む第2反応ガスを供給し、前記第2反応ガスから生成された第2プラズマで前記接合面を処理する第2プラズマ処理工程と、を前記2枚の基板のそれぞれに対して行う工程である、請求項2に記載の基板接合方法。
【請求項4】
前記プラズマ処理工程が行われた後に、大気中の酸素および液体中の酸素の少なくとも一方を前記各基板の前記接合面に接触させる酸素接触工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板接合方法。
【請求項5】
前記酸素接触工程は、前記プラズマ処理工程が行われた後であって前記基板接合工程を行う前に、前記2枚の基板のそれぞれを洗浄液で洗浄し乾燥させる洗浄工程を含む、請求項4に記載の基板接合方法。
【請求項6】
接合された前記2枚の基板を加熱することにより、前記2枚の基板のうちの一方の前記銅パッドに含まれる銅と、前記2枚の基板のうちの他方の前記銅パッドに含まれる銅と、を直接結合する熱処理工程をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板接合方法。
【請求項7】
前記プラズマ処理工程は、基板接合装置のプラズマ処理ユニットに前記希ガスプラズマと前記水素プラズマと前記窒素プラズマとを生成させることにより、前記各基板の前記接合面を前記希ガスプラズマと前記水素プラズマと前記窒素プラズマとで処理する工程であり、
前記基板接合工程は、前記基板接合装置の接合ユニットに、前記2枚の基板の前記銅パッド同士が向かい合い、前記2枚の基板の前記絶縁膜同士が向かい合うように前記2枚の基板の前記接合面を接触させることにより、前記2枚の基板を接合する工程であり、
前記熱処理工程は、接合された前記2枚の基板を前記基板接合装置の熱処理ユニットに加熱させることにより、前記2枚の基板のうちの一方の前記銅パッドに含まれる銅と、前記2枚の基板のうちの他方の前記銅パッドに含まれる銅と、を直接結合する工程である、請求項6に記載の基板接合方法。
【請求項8】
前記プラズマ処理工程は、前記基板を収容した密閉容器の外壁の内面で開口した穴を塞ぐインナプレートと前記外壁の外面で開口した穴を塞ぐアウタプレートとの間の空間に配置されたアンテナに高周波電流を供給することにより、前記希ガス、水素、および窒素の少なくとも1つの誘導結合プラズマを生成する工程である、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板接合方法。
【請求項9】
銅パッドの酸化銅と絶縁膜とが露出した接合面をそれぞれが有する2枚の基板を接合する基板接合装置であって、
各基板の前記接合面を希ガスのプラズマである希ガスプラズマで処理し、前記希ガスプラズマで処理された前記各基板の前記接合面を水素のプラズマである水素プラズマで処理し、前記水素プラズマで処理された前記各基板の前記接合面を窒素のプラズマである窒素プラズマで処理するプラズマ処理ユニットと、
前記プラズマ処理工程の後に、前記2枚の基板の前記銅パッド同士が向かい合い、前記2枚の基板の前記絶縁膜同士が向かい合うように前記2枚の基板の前記接合面を接触させることにより、前記2枚の基板を接合する接合ユニットと、を含む、基板接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の基板を接合する基板接合方法および基板接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、互いに貼合される第1基板と第2基板とを備える半導体装置を開示している。特許文献1の段落0061には「第2接続配線層22を形成した第2基板2と、当該第1基板3とを貼合する。この状態では、第1電極33と第2電極23との間の貼合面Xには、酸化銅(CuO、Cu2O等)のOが存在している。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、銅パッドの表面から酸化銅を除去した状態で2枚の基板を接合できる基板接合方法および基板接合装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、銅パッドの酸化銅と絶縁膜とが露出した接合面をそれぞれが有する2枚の基板を接合する基板接合方法であって、各基板の前記接合面を希ガスのプラズマである希ガスプラズマで処理し、前記希ガスプラズマで処理された前記各基板の前記接合面を水素のプラズマである水素プラズマで処理し、前記水素プラズマで処理された前記各基板の前記接合面を窒素のプラズマである窒素プラズマで処理するプラズマ処理工程と、前記プラズマ処理工程の後に、前記2枚の基板の前記銅パッド同士が向かい合い、前記2枚の基板の前記絶縁膜同士が向かい合うように前記2枚の基板の前記接合面を接触させることにより、前記2枚の基板を接合する基板接合工程と、を含む、基板接合方法を提出する。
【0006】
前記実施形態において、以下の特徴の少なくとも1つを前記基板接合方法に加えてもよい。
【0007】
前記プラズマ処理工程は、前記希ガスプラズマを含み、前記窒素プラズマを含まないプラズマで前記接合面を処理する希ガスプラズマ処理工程と、前記窒素プラズマで前記接合面を処理する窒素プラズマ処理工程と、前記希ガスプラズマ処理工程および窒素プラズマ処理工程の少なくとも一方と同時に、または、前記希ガスプラズマ処理工程の後であって前記窒素プラズマ処理工程の前に、前記水素プラズマで前記接合面を処理する水素プラズマ処理工程と、を前記2枚の基板のそれぞれに対して行う工程である。
【0008】
前記プラズマ処理工程は、前記基板を収容する密閉容器内に前記希ガスおよび水素を含み前記窒素を含まない第1反応ガスを供給し、前記第1反応ガスから生成された第1プラズマで前記接合面を処理する第1プラズマ処理工程と、前記密閉容器内に前記窒素を含む第2反応ガスを供給し、前記第2反応ガスから生成された第2プラズマで前記接合面を処理する第2プラズマ処理工程と、を前記2枚の基板のそれぞれに対して行う工程である。
【0009】
前記基板接合方法は、前記プラズマ処理工程が行われた後に、大気中の酸素および液体中の酸素の少なくとも一方を前記各基板の前記接合面に接触させる酸素接触工程をさらに含む。
【0010】
前記酸素接触工程は、前記プラズマ処理工程が行われた後であって前記基板接合工程を行う前に、前記2枚の基板のそれぞれを洗浄液で洗浄し乾燥させる洗浄工程を含む。
【0011】
前記基板接合方法は、接合された前記2枚の基板を加熱することにより、前記2枚の基板のうちの一方の前記銅パッドに含まれる銅と、前記2枚の基板のうちの他方の前記銅パッドに含まれる銅と、を直接結合する熱処理工程をさらに含む。
【0012】
前記プラズマ処理工程は、基板接合装置のプラズマ処理ユニットに前記希ガスプラズマと前記水素プラズマと前記窒素プラズマとを生成させることにより、前記各基板の前記接合面を前記希ガスプラズマと前記水素プラズマと前記窒素プラズマとで処理する工程であり、前記基板接合工程は、前記基板接合装置の接合ユニットに、前記2枚の基板の前記銅パッド同士が向かい合い、前記2枚の基板の前記絶縁膜同士が向かい合うように前記2枚の基板の前記接合面を接触させることにより、前記2枚の基板を接合する工程であり、前記熱処理工程は、接合された前記2枚の基板を前記基板接合装置の熱処理ユニットに加熱させることにより、前記2枚の基板のうちの一方の前記銅パッドに含まれる銅と、前記2枚の基板のうちの他方の前記銅パッドに含まれる銅と、を直接結合する工程である。
【0013】
前記プラズマ処理工程は、前記基板を収容した密閉容器の外壁の内面で開口した穴を塞ぐインナプレートと前記外壁の外面で開口した穴を塞ぐアウタプレートとの間の空間に配置されたアンテナに高周波電流を供給することにより、前記希ガス、水素、および窒素の少なくとも1つの誘導結合プラズマを生成する工程である。
【0014】
本発明の他の実施形態は、銅パッドの酸化銅と絶縁膜とが露出した接合面をそれぞれが有する2枚の基板を接合する基板接合装置であって、各基板の前記接合面を希ガスのプラズマである希ガスプラズマで処理し、前記希ガスプラズマで処理された前記各基板の前記接合面を水素のプラズマである水素プラズマで処理し、前記水素プラズマで処理された前記各基板の前記接合面を窒素のプラズマである窒素プラズマで処理するプラズマ処理ユニットと、前記プラズマ処理工程の後に、前記2枚の基板の前記銅パッド同士が向かい合い、前記2枚の基板の前記絶縁膜同士が向かい合うように前記2枚の基板の前記接合面を接触させることにより、前記2枚の基板を接合する接合ユニットと、を含む、基板接合装置を提供する。基板接合方法に関する前述の特徴の少なくとも1つを前記基板接合装置に加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】接合される前の2枚の基板を示す概略図である。
【
図2A-B】接合される前後の2枚の基板の断面を示す概略図である。
【
図3A-F】基板をプラズマで処理してから接合された2枚の基板を加熱するまでの流れの一例について説明するための概略図である。
【
図4A-F】基板をプラズマで処理しているときまたは加熱しているときに銅パッドの表面で生じると想定される変化の一例について説明するための概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る基板接合装置の概略図である。
【
図6】プラズマ処理ユニットの鉛直な断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
最初に、接合すべき2枚の基板Wについて説明する。2枚の基板Wを区別する場合、第1基板W1および第2基板W2という。貼り合わせは、接合と同義である。
【0018】
図1は、接合される前の2枚の基板Wを示す概略図である。第1基板W1および第2基板W2は、直径が互いに等しい平らな円形基板Wである。第1基板W1および第2基板W2の直径は、300mmであってもよいし、これ以外であってもよい。第1基板W1は、互いに平行な2つの円形の平面である第1接合面111および第1非接合面131と、第1接合面111および第1非接合面131の外縁同士を接続する環状の第1端面とを含む。同様に、第2基板W2は、互いに平行な2つの円形の平面である第2接合面211および第2非接合面231と、第2接合面211および第2非接合面231の外縁同士を接続する環状の第2端面とを含む。第1基板W1および第2基板W2は、第1接合面111および第2接合面211が向かい合うように接合される。
【0019】
図2Aおよび
図2Bは、接合される前後の2枚の基板Wの断面を示す概略図である。
図2Aおよび
図2Bは、2枚の基板Wに直交する平面で切断した断面を示している。
図2Aは、接合される前の2枚の基板Wの断面を示している。
図2Bは、接合された後の2枚の基板Wの断面を示している。
図2Aは、第1接合面111および第2接合面211を平坦化する研磨が行われた2枚の基板Wの断面を示している。
図2Aおよび
図2Bに示す各要素の比率は、実際の比率と同じとは限らない。
【0020】
図2Aに示すように、第1基板W1は、第1基板W1の厚み方向に積層された円板状の複数の層と、複数の層を支持する円板状の第1基材130とを含む。複数の層は、第1基材130上に形成された円板状の第1デバイス層120と、第1デバイス層120上に形成された円板状の第1接合層110とを含む。同様に、第2基板W2は、第2基板W2の厚み方向に積層された円板状の複数の層と、複数の層を支持する円板状の第2基材230とを含む。複数の層は、第2基材230上に形成された円板状の第2デバイス層220と、第2デバイス層220上に形成された円板状の第2接合層210とを含む。
【0021】
第1基材130および第2基材230は、シリコンの単結晶などの半導体製である。第1基材130は、半導体以外の材料製であってもよい。第2基材230についても同様である。第1デバイス層120とは反対側の第1基材130の表面は、第1非接合面131(
図1参照)に相当する。第1デバイス層120とは反対側の第1接合層110の表面は、第1接合面111に相当する。同様に、第2デバイス層220とは反対側の第2基材230の表面は、第2非接合面231(
図1参照)に相当する。第2デバイス層220とは反対側の第2接合層210の表面は、第2接合面211に相当する。
【0022】
トランジスタやダイオードなどの半導体デバイスは、第1デバイス層120および第2デバイス層220に配置されている。第1デバイス層120は、電子回路を形成する複数の第1半導体デバイス121と、複数の第1半導体デバイス121を電気的に絶縁する第1絶縁膜122とを含む。同様に、。第2デバイス層220は、電子回路を形成する複数の第2半導体デバイス221と、複数の第2半導体デバイス221を電気的に絶縁する第2絶縁膜222とを含む。第1基板W1の電子回路の機能は、第2基板W2の電子回路の機能と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
第1接合層110は、第1デバイス層120の複数の第1半導体デバイス121に電気的に接続された複数の第1銅パッド112と、複数の第1銅パッド112を電気的に絶縁する第1絶縁膜113とを含む。同様に、第2接合層210は、第2デバイス層220の複数の第2半導体デバイス221に電気的に接続された複数の第2銅パッド212と、複数の第2銅パッド212を電気的に絶縁する第2絶縁膜213とを含む。
【0024】
第1銅パッド112および第2銅パッド212は、いずれも銅(Cu)製である。第1銅パッド112は、第1絶縁膜113によって他の第1銅パッド112から電気的に絶縁されている。同様に、第2銅パッド212は、第2絶縁膜213によって他の第2銅パッド212から電気的に絶縁されている。第1絶縁膜113は、酸化シリコン(SiO2)製である。第2絶縁膜213も酸化シリコン製である。第1絶縁膜113および第2絶縁膜213は、TEOS(tetraethoxysilane)を用いて作製された酸化シリコン膜であってもよいし、これ以外の酸化シリコン膜であってもよい。第1絶縁膜113および第2絶縁膜213は、窒化シリコン(SiN)などの酸化シリコン以外のシリコンを含む絶縁材料製であってもよいし、それ以外の絶縁材料製であってもよい。
【0025】
第1銅パッド112および第1絶縁膜113は、第1接合面111で露出している。言い換えると、第1銅パッド112および第1絶縁膜113は、第1接合面111を構成している。第1銅パッド112および第1絶縁膜113は、第1接合面111の全体を構成していてもよいし、第1接合面111の一部だけを構成していてもよい。同様に、第2銅パッド212および第2絶縁膜213は、第2接合面211で露出している。言い換えると、第2銅パッド212および第2絶縁膜213は、第2接合面211を構成している。第2銅パッド212および第2絶縁膜213は、第2接合面211の全体を構成していてもよいし、第2接合面211の一部だけを構成していてもよい。
【0026】
図2Bに示すように、第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とは、複数の第1銅パッド112と複数の第2銅パッド212とが向かい合い、第1絶縁膜113と第2絶縁膜213とが向かい合うように重ねられる。その後、第1基板W1および第2基板W2が加熱される。これにより、1つの第1銅パッド112に対して1つの第2銅パッド212が電気的に接続され、第1半導体デバイス121と第2半導体デバイス221とが、第1銅パッド112と第2銅パッド212とを介して電気的に接続される。
【0027】
次に、基板Wをプラズマで処理してから接合された2枚の基板Wを加熱するまでの流れの一例について説明する。
【0028】
図3A~
図3Fは、同一例について説明するための概略図である。
図4A~
図4Dは、基板Wをプラズマで処理しているときに銅パッド112、212の表面で生じると想定される変化の一例について説明するための概略図である。
図4E~
図4Fは、基板Wを加熱しているときに銅パッド112、212の表面で生じると想定される変化の一例について説明するための概略図である。
【0029】
第1基板W1および第2基板W2を接合するときは、プラズマで第1基板W1および第2基板W2を処理する。具体的には、
図3Aに示すように、第1基板W1を密閉容器12内に搬入し、密閉容器12内に配置された基板ホルダ11に支持させる。
図3Aは、第1基板W1の第1接合面111が上に向けられた状態で、第1基板W1が基板ホルダ11によって密閉容器12内で水平に支持された例を示している。
【0030】
第1基板W1が基板ホルダ11に支持され、密閉容器12のドア12dが閉じられた後は、密閉容器12内のガスを排出し、密閉容器12内の気圧を大気圧よりも低い値まで低下させる。その後、第1反応ガスから生成された第1プラズマP1で第1基板W1の第1接合面111を処理する第1プラズマ処理工程を行う。具体的には、密閉容器12内の気圧が大気圧よりも低い状態で、第1反応ガス、つまり、アルゴンガスおよび水素ガスの混合ガスを密閉容器12内に供給した後、プラズマ源14に密閉容器12内の第1反応ガスを電離させる。これにより、密閉容器12内の第1反応ガスが第1プラズマP1、つまり、アルゴンおよび水素のプラズマに変化し、第1基板W1の第1接合面111が第1プラズマP1に晒される。
【0031】
第1プラズマ処理工程で生成されるプラズマは、誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma)であってもよいし、容量結合プラズマ(capacitively coupled plasma)や表面波プラズマ(surface wave plasma)などの誘導結合プラズマ以外のプラズマであってもよい。これは、後述する第2プラズマ処理工程および第3プラズマ処理工程についても同様である。誘導結合プラズマで第1基板W1および第2基板W2を処理する場合、密閉容器12内に配置された少なくとも1つのアンテナ、または、密閉容器12の外壁12w内の空間に配置された少なくとも1つのアンテナに、高周波電流を供給することにより、密閉容器12内の反応ガスから誘導結合プラズマを生成してもよい(
図6参照)。
【0032】
前述のように、第1基板W1の第1接合面111は、第1銅パッド112と第1絶縁膜113とによって構成されている。
図4Aに示すように、第1接合面111の一部である第1銅パッド112の表面は、酸化銅(I)(酸化第一銅:Cu
2O)や酸化銅(II)(酸化第二銅:CuO)などの酸化銅で構成されている。言い換えると、第1銅パッド112の表面は、酸素原子で終端化されている。第2銅パッド212の表面も、酸素原子で終端化されている。これは、第1銅パッド112および第2銅パッド212の表面を構成する銅原子が空気中の酸素や液体中の酸素によって酸化されるからである。
【0033】
図4Bに示すように、希ガス(18族元素)の一例であるアルゴンのプラズマは、第1銅パッド112の表面を構成する酸化銅から酸素原子を除去し、Cu
2OおよびCuOの少なくとも一方をCuに変化させる。
図4Cに示すように、水素プラズマに含まれる水素原子(厳密には、水素原子のラジカルまたは励起した水素原子。以下同様。)は、第1銅パッド112の表面を構成する銅に結合し、Cu-H結合を第1銅パッド112の表面に形成する。言い換えると、第1銅パッド112の表面が水素原子で終端化される。これにより、第1銅パッド112の表面で露出した酸素原子が水素原子で置換される。
【0034】
第1基板W1の第1接合面111で露出した酸素原子を水素原子で置換した後は、第2反応ガスから生成された第2プラズマP2で第1基板W1の第1接合面111を処理する第2プラズマ処理工程を行う。具体的には、
図3Bに示すように、密閉容器12内の気圧が大気圧よりも低い状態で、第2反応ガス、つまり、アルゴンガス、水素ガス、および窒素ガスの混合ガスを密閉容器12内に供給した後、プラズマ源14に密閉容器12内の第2反応ガスを電離させる。これにより、密閉容器12内の第2反応ガスが第2プラズマP2、つまり、アルゴン、水素、および窒素のプラズマに変化し、第1基板W1の第1接合面111が第2プラズマP2に晒される。
【0035】
第2反応ガスを密閉容器12内に供給するとき、全ての第1反応ガスを密閉容器12内から排出した後に第2反応ガスの供給を開始してもよいし、第1反応ガスが密閉容器12内に残った状態で第2反応ガスの供給を開始してもよい。前述の例では、第1反応ガスがアルゴンガスおよび水素ガスの混合ガスであり、第2反応ガスがアルゴンガス、水素ガス、および窒素ガスの混合ガスなので、窒素ガスを密閉容器12内に供給することにより、密閉容器12内に残ったアルゴンガスおよび水素ガスに窒素ガスを混合してもよい。プラズマ源14に密閉容器12内の第1反応ガスを電離させながら、第2反応ガスの供給を開始してもよいし、プラズマ源14が第1反応ガスの電離を停止した後に第2反応ガスの供給を開始してもよい。
【0036】
前述のように、第1基板W1の第1接合面111で露出した酸素原子は、水素原子によって置換されている。
図4Dに示すように、窒素のプラズマは、第1銅パッド112の表面で露出した水素原子を窒素原子に置換し、Cu-N結合を第1銅パッド112の表面に形成する。水素原子が窒素原子に置換された直後であれば(窒素原子の活性が高い状態であれば)、第1銅パッド112等から切断された水素原子と水素プラズマに含まれる水素原子との少なくとも一方は、銅原子に結合している窒素原子に結合される。これにより、
図4Dに示すように、Cu-NH
2結合が第1銅パッド112の表面に形成される。言い換えると、第1銅パッド112の表面がアミノ基(NH
2)で終端化される。
【0037】
第1銅パッド112の表面をアミノ基で終端化した後は、プラズマ源14が密閉容器12内の第1反応ガスの電離を停止する。これにより、アルゴン、水素、および窒素のプラズマの生成が停止される。その後、不活性ガス(窒素ガスやアルゴンガスなど)を密閉容器12内に供給しながら、密閉容器12からのガスの排出を停止する。これにより、密閉容器12内の第1反応ガスや第1プラズマP1が排出されると共に、密閉容器12内の気圧が大気圧またはその付近まで上昇する。その後、密閉容器12のドア12dを開き、第1基板W1を密閉容器12から搬出する。
【0038】
第2基板W2の第2接合面211についても、第1基板W1の第1接合面111と同様に、第1プラズマ処理工程および第2プラズマ処理工程を行う。具体的には、第1プラズマP1であるアルゴンおよび水素のプラズマで第2基板W2の第2接合面211を処理し、その後、第2プラズマP2であるアルゴン、水素、および窒素のプラズマで第2基板W2の第2接合面211を処理する。これにより、第2銅パッド212の表面がアミノ基で終端化される。その後、密閉容器12内の第2反応ガスや第2プラズマP2を排出し、密閉容器12内の気圧を大気圧またはその付近まで上昇させる。その後、密閉容器12のドア12dを開き、第2基板W2を密閉容器12から搬出する。
【0039】
第1基板W1の第1接合面111を第1プラズマP1および第2プラズマP2で順次処理すると、第1接合面111の一部である第1絶縁膜113の表面も第1プラズマP1および第2プラズマP2で順次処理される。同様に、第2基板W2の第2接合面211を第2プラズマP2および第2プラズマP2で順次処理すると、第2接合面211の一部である第2絶縁膜213の表面も第1プラズマP1および第2プラズマP2で順次処理される。第1絶縁膜113および第2絶縁膜213は、いずれも酸化シリコン製である。酸化シリコンに含まれる酸素原子は、アミノ基で置換される。これにより、第1絶縁膜113および第2絶縁膜213の表面がアミノ基で終端化される。
【0040】
第1基板W1を密閉容器12から搬出すると、空気が第1基板W1の第1接合面111に触れる。同様に、第2基板W2を密閉容器12から搬出すると、空気が第2基板W2の第2接合面211に触れる。したがって、空気中の酸素が第1銅パッド112の表面に接触する。第1銅パッド112の表面がアミノ基で終端化されているので、空気が第1基板W1の第1接合面111に触れても、第1銅パッド112の表面を構成する銅原子は酸化銅に変化しない。第2銅パッド212の表面を構成する銅原子も酸化銅に変化しない。したがって、空気が第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とに触れても、第1銅パッド112の表面と第2銅パッド212の表面とは、アミノ基で終端化された状態に維持される。
【0041】
図示はしないが、第1基板W1は、第1基板W1および第2基板W2のアライメントを調整する際の基準となる少なくとも1つのアライメントマークを含む。第2基板W2も同様である。第1反応ガスおよび第2反応ガスから生成されたプラズマで第1基板W1および第2基板W2のそれぞれを処理した後は、
図3Dに示すように、第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とが間隔を空けて向かい合った状態で、第1基板W1および第2基板W2のずれの大きさおよび方向を表すアライメントを確認するアライメント確認工程を行う。その後、確認されたアライメントに基づいて第1基板W1および第2基板W2を相対的に動かすことにより、第1基板W1および第2基板W2のずれ量を減少させるアライメント調整工程を行う。
図3Dは、第1基板W1を保持する第1チャック31Aおよび第2基板W2を保持する第2チャック31Bにそれぞれ設けられた第1マスクM1および第2マスクM2を撮影するカメラ34によって生成された画像に基づいて第1基板W1および第2基板W2のアライメントを確認および調整する例を示している。
【0042】
第2プラズマ処理工程を行った後であってアライメント確認工程を行う前に、
図3Cに示すように、第1基板W1および第2基板W2のそれぞれを純水などの洗浄液で洗浄し、乾燥させる洗浄工程を行ってもよい。これを行えば、第1基板W1および第2基板W2をプラズマで処理したときに発生したパーティクル(銅のパーティクルなど)を第1基板W1および第2基板W2から除去することができる。さらに、空気中の酸素や洗浄液中の酸素が第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とに触れても、前述のように、第1銅パッド112の表面と第2銅パッド212の表面とがアミノ基で終端化された状態を維持することができる。
【0043】
第1基板W1および第2基板W2のアライメントを調整した後は、
図3Eに示すように、第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とを大気圧下において直接接触させることにより、第1基板W1および第2基板W2を接合する基板接合工程を行う。その後、
図3Fに示すように、接合された第1基板W1および第2基板W2を加熱する熱処理工程を行う。
図3Fは、複数組の第1基板W1および第2基板W2を一括して加熱する例を示している。この加熱はアニールともいわれる。
【0044】
第1基板W1および第2基板W2を加熱した後に接触しているのであれば、第1基板W1の第1銅パッド112と第2基板W2の第2銅パッド212とは、第1基板W1および第2基板W2を加熱する前に離れていてもよい。この場合、第1基板W1および第2基板W2を加熱すると、第1銅パッド112および第2銅パッド212が膨張し互いに接触する。これにより、第1銅パッド112および第2銅パッド212が互いに接触した状態で第1基板W1および第2基板W2が加熱される。
【0045】
図4Eに示すように、第1銅パッド112の表面はアミノ基で終端化されており、第2銅パッド212の表面はアミノ基で終端化されている。第1銅パッド112および第2銅パッド212が互いに接触した状態で第1基板W1および第2基板W2を加熱すると、2つのアミノ基が第1銅パッド112の表面と第2銅パッド212の表面とから脱離する。これにより、「Cu-NH
2+Cu-NH
2→Cu-Cu+N
2+2H
2」(「-」は2つの原子の結合を表す。)の反応が起こり、
図4Fに示すように、第1銅パッド112の表面を構成する銅原子と第2銅パッド212の表面を構成する銅原子とが直接結合される。この化学反応式に示される通り、脱離した2つのアミノ基は、1つの窒素分子(気体)と2つの水素分子(気体)とに変化する。このような窒素分子および水素分子は、第1基板W1および第2基板W2の間から排出される、もしくは、第1絶縁膜113または第2絶縁膜213に吸収される。
【0046】
銅原子に結合されたアミノ基の脱離は、200℃以上で発生すると考えられる。したがって、熱処理工程において第1基板W1および第2基板W2を200℃以上で加熱すればよい。具体的には、200℃以上、350℃未満の温度で第1基板W1および第2基板W2を加熱してもよいし、200℃以上、250℃未満の温度で第1基板W1および第2基板W2を加熱してもよい。アミノ基ではなく1つの窒素原子だけが1つの銅原子に結合されている場合、この窒素原子の脱離は、アミノ基が脱離する温度よりも高い温度で第1基板W1および第2基板W2を加熱したときに発生する。したがって、アミノ基を脱離させる場合は、窒素原子を脱離させる場合に比べて、第1基板W1および第2基板W2の加熱温度を低下させることができる。
【0047】
その一方で、第1絶縁膜113および第2絶縁膜213が互いに接触した状態で第1基板W1および第2基板W2を加熱すると、4つの水素原子が、2つのアミノ基、つまり、第1絶縁膜113の表面を構成する1つのアミノ基と第2絶縁膜213の表面を構成する1つのアミノ基とから脱離する。これにより、「Si-NH2+Si-NH2→Si-N-N-Si+2H2」(「-」は2つの原子の結合を表す。)の反応が起こり、第1絶縁膜113の表面を構成するシリコン原子と第2絶縁膜213の表面を構成するシリコン原子とが、2つの窒素原子を介して結合される。この化学反応式に示される通り、脱離した4つの水素原子は、2つの水素分子(気体)に変化する。このような水素分子は、第1基板W1および第2基板W2の間から排出される、もしくは、第1絶縁膜113または第2絶縁膜213に吸収される。
【0048】
第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とが直接接触した状態で第1基板W1および第2基板W2を加熱すると、前述の反応が第1基板W1および第2基板W2の界面のあらゆる場所で起こる。これにより、第1基板W1および第2基板W2の接合強度が高まる。さらに、第1銅パッド112および第2銅パッド212の界面で2つの銅原子が直接結合されるので、酸化銅が2つの銅原子の間に介在する場合に比べて、電気抵抗を低下させることができる。
【0049】
なお、前述の例では、第1反応ガスがアルゴンガスおよび水素ガスの混合ガスであり、第2反応ガスがアルゴンガス、水素ガス、および窒素ガスの混合ガスであったが、末端の酸素原子をアミノ基に置換できるのであれば、第1反応ガスおよび第2反応ガスの組成はこれに限られない。第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211をプラズマで処理する回数(プラズマ処理工程の回数)は1回または3回であってもよい。
【0050】
例えば、前述の例において、第2プラズマ処理工程を省略し、アルゴン、水素、および窒素のプラズマで第1基板W1の第1接合面111と第2基板W2の第2接合面211とを処理してもよい。
【0051】
前述の例において、第1反応ガスがアルゴンガスおよび水素ガスの混合ガスであり、第2反応ガスが窒素ガスであってもよい。第1反応ガスがアルゴンガスであり、第2反応ガスがアルゴンガス、水素ガス、および窒素ガスであってもよい。
【0052】
前述の例において、第1プラズマ処理工程および第2プラズマ処理工程を行った後であって熱処理工程を行う前に、第3反応ガスから生成された第3プラズマで第1基板W1の第1接合面111または第2基板W2の第2接合面211を処理する第3プラズマ処理工程を行ってもよい。この場合、第1反応ガスがアルゴンガスであり、第2反応ガスが、水素ガス、または、アルゴンガスおよび水素ガスの混合ガスであり、第3反応ガスが、窒素ガス、水素ガスおよび窒素ガスの混合ガス、または、アルゴンガス、水素ガス、および窒素ガスの混合ガスであってもよい。
【0053】
次に、前述の各工程を行う基板接合装置1について説明する。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態に係る基板接合装置1の概略図である。
図6は、プラズマ処理ユニット2aの鉛直な断面を示す概略図である。
【0055】
基板接合装置1は、半導体ウエハなどの円板状の2枚の基板Wを接合する装置である。
図5に示すように、基板接合装置1は、FOUP(Front-Opening Unified Pod)などの複数枚の基板Wを収容するキャリアCAが1つずつ置かれる複数のロードポートLPと、複数のロードポートLPから搬送された基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、複数のロードポートLPと複数の処理ユニット2との間で基板Wを搬送する搬送システムTSと、複数の処理ユニット2および搬送システムTSを収容した密閉空間を形成する外壁1aとを備えている。基板接合装置1は、さらに、基板接合装置1を制御する制御装置3を備えている。
【0056】
図5は、3つのロードポートLPが設けられた例を示している。3つのロードポートLPは、第1基板W1を収容したキャリアCAが置かれる第1ロードポートLP1と、第2基板W2を収容したキャリアCAが置かれる第2ロードポートLP2と、接合された第1基板W1および第2基板W2を収容するキャリアCAが置かれる第3ロードポートLP3とを含む。第1ロードポートLP1および第2ロードポートLP2は、基板接合装置1で接合すべき基板Wを収容したキャリアCAが置かれる搬入ポートである。第3ロードポートLP3は、基板接合装置1で接合された2枚の基板Wを収容したキャリアCAが置かれる搬出ポートである。
【0057】
搬送システムTSは、第1ロードポートLP1および第2ロードポートLP2から複数の処理ユニット2に基板Wを搬送し、複数の処理ユニット2から第3ロードポートLP3に基板Wを搬送する。搬送システムTSは、さらに、複数の処理ユニット2の間で基板Wを搬送する。搬送システムTSは、
図5において太線で示す搬送路TP上で1枚以上の基板Wを水平な姿勢で搬送する少なくとも1つの搬送ロボットTRを備えていてもよい。
【0058】
搬送ロボットTRは、1枚の基板Wを水平な姿勢で保持する少なくとも1つのハンドTHを含む。搬送ロボットTRは、ハンドTHで基板Wを水平に保持しながら搬送路TPに沿って移動する。
図5は、搬送路TPが、第1ロードポートLP1および第2ロードポートLP2のそれぞれから複数の処理ユニット2に延び、複数の処理ユニット2から第3ロードポートLP3に戻る例を示している。
【0059】
複数の処理ユニット2は、プラズマ処理ユニット2aと、洗浄ユニット2bと、接合ユニット2cと、熱処理ユニット2dとを含む。
図5は、プラズマ処理ユニット2aと洗浄ユニット2bとが2つずつ設けられた例を示している。特に断りが無い限り、本明細書に記載の接合ユニット2cは、大気圧下において基板Wの接合を行うものである。
【0060】
プラズマ処理ユニット2aは、前述の第1プラズマ処理工程、第2プラズマ処理工程、および第3プラズマ処理工程などのプラズマ処理工程を行うユニットである。洗浄ユニット2bは、純水などの洗浄液で基板Wを洗浄した後に基板Wを乾燥させるユニットである。接合ユニット2cは、2枚の基板Wを接触させることにより、当該2枚の基板Wを接合するユニットである。熱処理ユニット2dは、前述の熱処理工程を行うユニットである。
【0061】
プラズマ処理ユニット2a、洗浄ユニット2b、および接合ユニット2cは、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式のユニットである(だたし、接合ユニット2cについては1組の第1基板W1および第2基板W2を1枚の基板Wとみなす。)。熱処理ユニット2dは、接合基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式のユニットであってもよいし、複数枚の接合基板Wを一括して処理するバッチ式のユニットであってもよい。1枚の接合基板Wは、接合された1組の第1基板W1および第2基板W2である。
【0062】
洗浄ユニット2bは、1枚の基板Wを水平に保持しながら基板Wの中央部を通る鉛直な直線まわりに基板Wを回転させるスピンチャック21と、スピンチャック21に保持されている基板Wを収容するチャンバ22と、スピンチャック21に保持されている基板Wに向けて洗浄液を吐出する洗浄液ノズル23とを含む。
【0063】
接合ユニット2cは、第1基板W1を保持する第1チャック31Aと、第2基板W2を保持する第2チャック31Bと、第1チャック31Aおよび第2チャック31Bに保持されている第1基板W1および第2基板W2を収容するチャンバ32とを含む。第1チャック31Aは第1マスクM1、第2チャック31Bは第2マスクM2をそれぞれ備える。第1マスクM1及び第2マスクM2はガラスなどの可視光を透過する部材で構成される。接合ユニット2cは、さらに、第1チャック31Aおよび第2チャック31Bを相対的に動かす少なくとも1つのアクチュエータ33と、第1マスクM1と第2マスクM2を撮影することにより第1基板W1および第2基板W2のアライメントを確認するカメラ34を含む。なお、第1マスクM1と第1基板W1の位置関係及び、第2マスクM2と第2基板W2の位置関係は、不図示のカメラにて別途検出されてもよいし、第1マスクM1、第2マスクM2に設けられた位置決め部材(位置決めピン等)に基づき規定されていてもよい。
【0064】
接合ユニット2cの少なくとも1つのアクチュエータ33は、第1チャック31Aおよび第2チャック31Bを相対的に動かすことにより、第1基板W1および第2基板W2のアライメントを調整する。少なくとも1つのアクチュエータ33は、さらに、第1チャック31Aおよび第2チャック31Bを相対的に動かすことにより、第1基板W1および第2基板W2を接合する。アクチュエータは、電気、流体、磁気、熱、または化学エネルギーを表す駆動エネルギーを機械的な仕事、つまり、有体物の運動に変換する装置である。アクチュエータには、電動モータ(ロータリモータ)、リニアモータ、エアシリンダ、およびその他の装置が含まれる。
【0065】
図5は、熱処理ユニット2dがバッチ式である例を示している。熱処理ユニット2dが枚葉式およびバッチ式のいずれであっても、熱処理ユニット2dは、接合された2枚の基板Wを保持する基板ホルダ41と、基板ホルダ41に保持されている2枚の基板Wを収容する熱処理炉42と、熱処理炉42内の温度を上昇させるヒータ43とを含む。
【0066】
図6に示すように、プラズマ処理ユニット2aは、第1基板W1または第2基板W2を支持する基板ホルダ11と、基板ホルダ11に支持されている第1基板W1または第2基板W2を収容する密閉容器12とを含む。プラズマ処理ユニット2aは、さらに、密閉容器12から排出されたガスを案内する排気配管13dと、反応ガスなどの密閉容器12に供給すべきガスを案内するガス供給配管13sと、密閉容器12内の反応ガスからプラズマを発生させるプラズマ源14とを含む。密閉容器12は、第1基板W1または第2基板W2を収容する内部空間と内部空間に出入りする第1基板W1または第2基板W2が通過する通過口とを形成した外壁12wと、通過口を開閉するドア12dとを含む。
【0067】
図6は、プラズマ源14が誘導結合プラズマを生成する例を示している。プラズマ源14は、コイルに相当する少なくとも1つのアンテナ15と、少なくとも1つのアンテナ15に高周波電流を供給する高周波電源16とを含む。
図6は、2つのアンテナ15が外壁12w内の2つの空間に配置された例を示している。この例では、外壁12wの内面で開口した穴を塞ぐインナプレート17と外壁12wの外面で開口した穴を塞ぐアウタプレート18との間の空間にアンテナ15が配置されている。
【0068】
高周波電源16は、インナプレート17とアウタプレート18との間の空間内の気圧が大気圧よりも低い値まで低下した状態で、高周波電流をアンテナ15に供給する。高周波電流がアンテナ15に供給されると、誘導電界が密閉容器12内に発生し、密閉容器12内の反応ガスが電離する。これにより、プラズマが生成される。密閉容器12の外壁12w内に配置された埋め込み型のアンテナ15は、誘電体であるインナプレート17によってプラズマから電気的に絶縁される。
【0069】
図6は、U字状のアンテナ15が上向きに開いた姿勢で鉛直な平面内に配置された例を示している。U字状のアンテナ15は、互いに平行またはほぼ平行な2つの平行部と、2つの平行部を接続する接続部(
図6において左右に延びる部分)とを含む。アンテナ15の接続部は、外壁12w内の空間に配置されている。アンテナ15の内側の空間の面積は、アンテナ15の面積に相当する。アンテナ15の面積は、第1基板Wの第1接合面111の面積よりも小さい。アンテナ15のインダクタンスは、アンテナ15の面積が減少するにしたがって減少する。アンテナ15の面積は、第1接合面111の面積以上であってもよい。アンテナ15は、水平な姿勢に維持されていてもよい。アンテナ15は、密閉容器12の中または外に配置されていてもよい。コイル状のアンテナ15の巻き数は1以上であってもよい。
【0070】
制御装置3(
図5参照)は、基板接合装置1に備えられた電気機器および電子機器を制御する。制御装置3は、プログラムの実行などの情報の処理を行うプロセッサ3aと、プロセッサ3aによって実行すべきプログラム等の情報を記憶するメモリ3bとを含む。制御装置3は、基板接合装置1を制御することにより、前述の基板Wの搬送および処理等を行う。言い換えると、制御装置3は、前述の基板Wの搬送および処理等を行うようにプログラムされている。制御装置3は、基板接合装置1を制御することにより、
図1~
図4Fを参照しながら説明したプラズマ処理工程から熱処理工程までの各工程を行う。なお、プロセッサ3aとしては、CPU(central processing unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)のいずれか、またはこれらの組み合わせであってよい。あるいは、プロセッサ3aはFPGA(Field-Programmable Gate Array)もしくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んで構成されてもよい。
【0071】
次に、本実施形態に係る効果について説明する。
【0072】
本実施形態では、銅パッド112、212の酸化銅と絶縁膜113、213とが露出した接合面111、211を希ガスプラズマ(希ガスのプラズマ)と水素プラズマ(水素のプラズマ)と窒素プラズマ(窒素のプラズマ)とで処理する。アルゴンは希ガス(18族元素)の一例である。希ガスプラズマは、銅パッド112、212の酸化銅から酸素原子を除去し、酸化銅を銅原子に変化させる。水素プラズマは、銅パッド112、212の銅原子に水素原子を結合させる。窒素プラズマは、銅パッド112、212の銅原子に結合している水素原子を窒素原子に置換し、銅原子に窒素原子を結合させる。銅原子と結合した直後は窒素原子の活性が高いので、銅原子から分離された水素原子などの接合面111、211上にある水素原子がこの窒素原子に結合する。これにより、アミノ基が銅原子に結合し、銅パッド112、212の表面がアミノ基で終端化される。
【0073】
各基板Wの接合面111、211をプラズマで処理した後は、2枚の基板Wの接合面111、211を接触させる。これにより、2枚の基板Wの銅パッド112、212同士が向かい合い、2枚の基板Wの絶縁膜113、213同士が向かい合う。前述のように、銅パッド112、212の表面は、アミノ基で終端化されている。したがって、2つのアミノ基は、2つの銅原子の間に配置される。接合された2枚の基板Wを加熱すれば、2つの銅パッド112、212の界面からアミノ基が脱離し、2つの銅パッド112、212の銅原子同士が直接結合される。したがって、接合された2つの銅パッド112、212の界面に酸化銅が存在する場合に比べて、同界面の電気抵抗を低下させることができる。
【0074】
本実施形態では、希ガスプラズマを含み、窒素プラズマを含まないプラズマで各基板Wの接合面111、211を処理する。その後、窒素プラズマで各基板Wの接合面111、211を処理する。水素プラズマによる接合面111、211の処理である水素プラズマ処理は、窒素プラズマによる接合面111、211の処理である窒素プラズマ処理の前に行ってもよいし、窒素プラズマ処理と同時に行ってもよい。前者の場合、希ガスプラズマによる接合面111、211の処理である希ガスプラズマ処理と同時に水素プラズマ処理を行ってもよい。
【0075】
酸化銅から酸素原子を除去する前に、希ガスプラズマと窒素プラズマとを含み、水素プラズマを含まないプラズマで基板Wの接合面111、211を処理すると、酸化銅から酸素原子が除去された後に、窒素原子が銅原子と結合した状態で安定する場合がある。言い換えると、窒化銅(Cu3N)が銅パッド112、212の表面に発生する場合がある。窒素原子と銅原子との結合が安定した後に、水素プラズマで基板Wの接合面111、211を処理しても、窒素原子はアミノ基に変わらないまたは殆ど変わらない。さらに、窒化銅に含まれる窒素原子は、アミノ基を脱離させる場合に比べて高い温度で2枚の基板Wを加熱しないと2つの銅パッド112、212の界面から脱離しない。
【0076】
前記のように、希ガスプラズマ、水素プラズマ、および窒素プラズマで各基板Wの接合面111、211を処理すれば、窒素原子が銅原子と結合する前に、水素原子が銅原子に結合する確率が高まる。水素原子が先に銅原子に結合すれば、銅パッド112、212の表面をアミノ基で終端化することができる。これにより、窒化銅が銅パッド112、212の表面に発生することを防止できる、もしくは、銅パッド112、212の表面に発生する窒化銅を減らすことができる。
【0077】
本実施形態では、基板Wを収容する密閉容器12内に希ガスおよび水素を含み窒素を含まない第1反応ガスを供給し、希ガスおよび水素を含み窒素を含まない第1プラズマP1を第1反応ガスから生成する。これにより、酸化銅に含まれる酸素原子が水素原子に置換される。その後、少なくとも窒素を含む第2反応ガスを密閉容器12内に供給し、少なくとも窒素を含む第2プラズマP2を第2反応ガスから生成する。これにより、銅パッド112、212の表面を構成する銅原子にアミノ基が結合する。第2反応ガスは、希ガスおよび水素を含まないガス(窒素ガス)であってもよいし、窒素に加えて、希ガスおよび水素の一方または両方を含むガスであってもよい。後者の場合、銅パッド112、212の表面に酸化銅が残っているときは、酸化銅に含まれる酸素原子が水素原子に置換され、その後、この水素原子がアミノ基に置換される。
【0078】
第1反応ガスは、窒素を含まない点で第2反応ガスと異なる。したがって、希ガス、水素ガス、および窒素ガスの混合ガスを密閉容器12内に供給しなくても、密閉容器12内の第1反応ガスに窒素ガスを加えることで、第2反応ガスを密閉容器12内に供給することができる。したがって、第2反応ガスの供給を開始する前に、第1反応ガスを密閉容器12から排出しなくてもよい。さらに、プラズマ源14に密閉容器12内のガスを電離させながら、密閉容器12内の第1反応ガスに窒素ガスを加えれば、第1プラズマ処理工程から第2プラズマ処理工程に連続的に切り替えることができる。
【0079】
本実施形態では、プラズマで処理された基板Wの接合面111、211に酸素を接触させる。具体的には、空気などの酸素を含む気体を基板Wに接触させたり、酸素が溶け込んだ液体を基板Wに接触させたりする。銅パッド112、212の表面から酸化銅を除去しても、酸素原子または酸素分子が銅パッド112、212の表面に接触すると、2枚の基板Wを接合する前に銅パッド112、212の表面で銅原子が酸化される。銅パッド112、212の表面をアミノ基で終端化した場合は、このような酸化を防止または減らすことできる。したがって、真空で2枚の基板Wを接合したり、真空で各基板Wを搬送ロボットTRによって搬送したりしなくてもよい。
【0080】
本実施形態では、プラズマで処理された基板Wの接合面111、211を洗浄液で洗浄し乾燥させる。洗浄液に酸素が溶け込んでいたとしても、銅パッド112、212の表面がアミノ基で終端化されているので、銅パッド112、212の表面で銅原子が洗浄液中の酸素によって酸化されることを抑制または防止することできる。さらに、基板Wの接合面111、211に洗浄液を供給するので、基板Wの接合面111、211をプラズマで処理した際に発生したパーティクルを減らすことができる。これにより、接合された2枚の基板Wの界面に残るパーティクルを減らすことができる。
【0081】
本実施形態では、接合された2枚の基板Wを加熱する。この加熱によって2つの銅パッド112、212の界面からアミノ基が脱離し、2つの銅パッド112、212の銅原子同士が直接結合される。したがって、接合された2つの銅パッド112、212の界面に酸化銅が存在する場合に比べて、同界面の電気抵抗を低下させることができる。さらに、接合された2枚の基板Wを加熱することによって2つの銅パッド112、212の界面から酸化銅を消失させる場合に比べて2枚の基板Wの加熱温度を低下させることができる。
【0082】
本実施形態では、プラズマ処理と基板Wの接合とを1つの基板接合装置1で行う。具体的には、基板接合装置1のプラズマ処理ユニット2aが2枚の基板Wのそれぞれに対してプラズマ処理を行い、その後、基板接合装置1の接合ユニット2cが2枚の基板Wを接合する。2枚の基板Wを接合した後は、基板接合装置1の熱処理ユニット2dが2枚の基板Wを加熱する。この加熱によって2つの銅パッド112、212の界面からアミノ基が脱離する。プラズマ処理および基板Wの接合だけでなく熱処理も1つの基板接合装置1で行うので、プラズマ処理を行ってから熱処理を行うまでの期間を短縮できる。したがって、この期間中に変質するまたは無くなるアミノ基を減らすことができる。
【0083】
本実施形態では、高周波電流をアンテナ15に供給することにより、基板Wを収容した密閉容器12内に誘導電界を発生させる。これにより、密閉容器12内のガスが電離し、希ガス、水素、および窒素の少なくとも1つの誘導結合プラズマが生成される。この誘導結合プラズマが密閉容器12内の基板Wの接合面111、211に接触することにより接合面111、211が処理される。誘導結合プラズマは、電子、イオン、ラジカルなど密度が高い高密度のプラズマである。したがって、基板Wの接合面111、211を均一に処理することができる。
【0084】
アンテナ15は、密閉容器12の外壁12wの内面で開口した穴を塞ぐインナプレート17と密閉容器12の外壁12wの外面で開口した穴を塞ぐアウタプレート18との間の空間に配置されている。アンテナ15は、外壁12w内の空間に配置できる大きさに制限される。これにより、アンテナ15を小型化でき、アンテナ15のインダクタンスを低下させることができる。アンテナ15のインダクタンスが低いと、高周波電流をアンテナ15に供給したときにアンテナ15に印加される電圧が低下し、プラズマによる基板Wのダメージが軽減される。したがって、ダメージを軽減しながら、接合面111、211をプラズマで均一に処理することができる。
【0085】
次に、他の実施形態について説明する。
【0086】
プラズマ生成用の反応ガスに含まれる希ガス(18族元素)は、ヘリウムやネオンなどのアルゴン以外の希ガスであってもよい。
【0087】
プラズマ処理ユニット2aおよび熱処理ユニット2dの少なくとも一方は、基板接合装置1とは別の装置であってもよい。すなわち、プラズマ処理ユニット2aおよび熱処理ユニット2dの少なくとも一方は、基板接合装置1の外壁1aの外に配置されていてもよい。
【0088】
前述の全ての構成の2つ以上を組み合わせてもよい。前述の全ての工程の2つ以上を組み合わせてもよい。
【0089】
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の精神および範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0090】
1:基板接合装置、2a:プラズマ処理ユニット、2b:洗浄ユニット、2c:接合ユニット、2d:熱処理ユニット、11:基板ホルダ、12:密閉容器、12d:ドア、12w:外壁、13d:排気配管、13s:ガス供給配管、14:プラズマ源、15:アンテナ、16:高周波電源、17:インナプレート、18:アウタプレート、31A:第1チャック、31B:第2チャック、32:チャンバ、33:アクチュエータ、34:カメラ、41:基板ホルダ、42:熱処理炉、43:ヒータ、110:第1接合層、111:第1接合面、112:第1銅パッド、113:第1絶縁膜、120:第1デバイス層、121:第1半導体デバイス、122:第1絶縁膜、130:第1基材、131:第1非接合面、210:第2接合層、211:第2接合面、212:第2銅パッド、213:第2絶縁膜、220:第2デバイス層、221:第2半導体デバイス、222:第2絶縁膜、230:第2基材、231:第2非接合面、P1:第1プラズマ、P2:第2プラズマ、W:基板、W1:第1基板、W2:第2基板