(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014427
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20250123BHJP
【FI】
G06T7/00 Z
G06T7/00 350B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116968
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康平
(72)【発明者】
【氏名】細川 裕司
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 寛弥
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】佐合 紗季
(72)【発明者】
【氏名】陳 爽
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA02
5L096CA02
5L096CA04
5L096GA51
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】物体の検知精度を向上させる。
【解決手段】
本発明の情報処理装置100は、撮像装置200の画角に応じて、撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更部122と、撮像装置200により撮像された各画像のうち、変更された単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、物体の検知を実行する検知部123とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の画角に応じて、前記撮像装置により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更部と、
前記撮像装置により撮像された各画像のうち、変更された前記単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、前記物体の検知を実行する検知部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて、前記撮像装置の画角を推定する推定部をさらに有することを特徴する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記撮像装置に関する情報に基づいて、前記撮像装置の画角を推定する推定部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記撮像装置の画角が所定の画角よりも小さい場合には、前記単位時間当たりの画像数を増加させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変更部は、前記撮像装置の画角が所定の画角よりも大きい場合には、前記単位時間当たりの画像数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
撮像装置の画角の入力に応じて単位時間当たりの画像数を出力するように学習された学習済みのモデルに、撮像装置の画角を入力し、出力された単位時間当たりの画像数を前記撮像装置により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数として変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が実行する方法であって、
撮像装置の画角に応じて、前記撮像装置により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更工程と、
前記撮像装置により撮像された各画像のうち、変更された前記単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、前記物体の検知を実行する検知工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
撮像装置の画角に応じて、前記撮像装置により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更ステップと、
前記撮像装置により撮像された各画像のうち、変更された前記単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、前記物体の検知を実行する検知ステップと
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯カメラや監視カメラに関する様々な技術が提案されている。例えば、店舗設置型の防犯カメラ装置に関する技術や、監視カメラ装置および監視カメラ装置に用いられるプログラムに関する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、例えば、撮像装置の画角が小さいことにより、画角内を通過する対象を検知できない場合があるなど、物体の検知精度が低下することがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、物体の検知精度を向上させることができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、情報処理装置は、撮像装置の画角に応じて、前記撮像装置により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更部と、前記撮像装置により撮像された各画像のうち、変更された前記単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、前記物体の検知を実行する検知部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物体の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、参考技術の課題を説明するための図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報処理装置の推定処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理装置の推定処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置の変更処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の変更処理の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理装置の変更処理の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、情報処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本願に係る情報処理装置、情報処理プログラムおよび情報処理方法の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示しており、重複する説明は省略される。
【0010】
[情報処理システムの構成]
まず、
図1を用いて、情報処理システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1が示すように、情報処理システム1は、情報処理装置100と、撮像装置200とを有する。情報処理装置100と撮像装置200とは有線または無線によって接続される。なお、
図1では、1つの情報処理装置100と、3つの撮像装置200とを示しているが、情報処理システム1において、情報処理装置100と撮像装置200の数は限定されるものでない。すなわち、情報処理システム1は、任意の数の情報処理装置100と、任意の数の撮像装置200とによって構成される。以下にこれら各装置を説明する。
【0011】
撮像装置200は、防犯カメラや監視カメラなどの一例であり、画像を撮像するカメラである。撮像装置200は、設定された解像度、形式、フレームレート等により画像を撮像する。なお、画像には静止画および動画が含まれる。
【0012】
情報処理装置100は、撮像装置200による撮像された画像を分析して、画像内の物体を検知するコンピュータの一例である。例えば、情報処理装置100は、撮像装置200によって撮像された、単位時間当たりの画像数の各画像に検知対象の物体が含まれるか判定する。ここで、単位時間当たりの画像数とは、物体の検知を実行する際の検知フレームレートを意味する。
【0013】
また、検知フレームレートとは、情報処理装置100が物体の検知に用いるフレームレートであって、動画のフレームレートとは別物である。すなわち、撮像装置200は設定されたフレームレートで動画を撮像し、撮像した動画を情報処理装置100に出力し、情報処理装置100は、撮像装置200から取得した動画について、設定された検知フレームレートで物体の検知を行う。
【0014】
例えば、動画のフレームレートとして40fps(frames per second)が設定され、検知フレームレートとして5fpsが設定されている場合、撮像装置200はフレームレートとして設定された40fpsの速度で動画の撮像を行い、1秒に40枚の画像で構成される動画を情報処理装置100に送信する。そして、情報処理装置100は、検知フレームレートとして5fpsが設定されていることから、1秒に40枚の画像で構成される動画について、1秒当たり5枚の画像を用いて、各画像に物体が含まれるかを判定して物体の検知を行う。
【0015】
なお、本明細書中において画角とは、撮像装置200が写すことができる範囲だけでなく、撮像装置200が写すことができる範囲内において、物体を検知できる範囲をいう。また、物体には、人物、動物、植物、機械等の動体だけでなく、棚、カート、商品等の動体以外の物体等任意の検知対象が含まれる。
【0016】
[参考技術の課題]
このような物体検知を行う参考技術としては、単位時間当たりの画像数の各画像に検知対象の物体が含まれるか判定し、閾値回数以上物体が含まれると判定した場合に物体を検知する技術が知られている。ところが、この参考技術では、撮像装置の画角が小さいことにより、画角内を通過する対象を検知できない場合があるなど、物体の検知精度が低下することがある。
【0017】
ここで、上述した参考技術の課題について説明する。
図2は、参考技術の課題を説明するための図である。参考技術では、カメラ等の撮像装置によって撮像された画像がAIアプリケーション等の外部システムへと送信され、外部システムにおいて画像に含まれる物体を検知する等様々な処理が行われている。
【0018】
このような参考技術では、AIアプリケーション等の外部システム側で、単位時間当たりの画像に物体が閾値回数以上含まれることにより物体が検知される。例えば、撮像装置の検知フレームレートが10fpsであり、閾値回数が4であり、検知対象である人物が4フレーム写ったときに人物を検知する条件において、
図2(1)に示すように、画角が大きい場合には、人物が画角内を通過する前に5フレーム写るため、人物を検知することができる。
【0019】
他方、
図2(1)と同様に撮像装置の検知フレームレートが10fpsであっても、画角が小さい場合には、
図2(2)に示すように、人物が4フレーム写る前に画角内を通過してしまうため、人物を検知することができない。つまり、人物を検知しなければならない状況であっても、物体検知の処理速度(処理対象とする検知フレームレート)が遅いことから、物体の検知漏れが発生することがある。
【0020】
なお、撮像装置の画角による検知精度の問題は、画像として撮像装置に写る角度だけではなく、撮像装置が設置された環境によっても生じる。例えば、広角カメラであっても、設置されたカメラの目前に障害物が存在する場合や、壁面が写り続けている場合や、検知対象の物体が通過できない範囲が存在する場合など、実際に対象の物体を検知できる範囲は狭角カメラよりも小さいといった場合も考えられる。
【0021】
さらに、参考技術においては、リソースが有効に活用されていない場合もある。例えば、撮像装置の画角が大きいにも関わらず、不要に高い検知フレームレートが設定されている場合がある。例えば、広角カメラであれば10fpsが設定されていれば十分な精度で物体を検知可能であるにもかかわらず、倍の値である20fpsが設定されている場合などである。この場合、不要な画像処理を行うことにより、リソースの枯渇などの別の問題も生じ得る。
【0022】
そこで、実施形態に係る情報処理装置100は、撮像装置200の画角に応じて、撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更部と、撮像装置200により撮像された各画像のうち、変更された単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、物体の検知を実行する検知部とを有する。
【0023】
つまり、実施形態にかかる情報処理装置100は、物体の検知を実行する際の検知フレームレートを、画像や撮像装置200に関する情報等から推定された撮像装置200の画角に対応した値に自動的に調整する。これにより、情報処理装置100は、特定の検知フレームレートに依存することなく、柔軟に検知フレームレートを調整し、物体の検知精度を向上させることができる。
【0024】
[情報処理装置の構成]
次に、
図3を用いて、情報処理装置100の構成について説明する。
図3が示すように、情報処理装置100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。なお、これらの各部は、複数の装置が分散して保持してもよい。以下にこれら各部の処理を説明する。
【0025】
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した外部装置と制御部120の通信を可能とする。例えば、通信部110は、外部装置と制御部120との通信を可能とする。
【0026】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部130は、撮像装置200に関する情報、撮像装置200に関する情報、フレームレート、その他単位時間当たりの画像数の変更に必要な情報を記憶する。なお、撮像装置200に関する情報には、機種、識別番号、画角、スペック(感度、焦点距離等)、設定(解像度・保存形式等)、撮像した画像、物体を検知した座標、物体との距離、単位時間当たりの画像数(検知フレームレート)といった情報が含まれる。また、記憶部130が記憶する情報は上記に記載した例に限定されない。
【0027】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やNP(Network Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。
図3に示すように、制御部120は、推定部121と、変更部122と、検知部123とを有する。以下、制御部120が有する各部について説明する。
【0028】
推定部121は、撮像装置200の画角を推定して、推定結果を変更部122に出力する。例えば、推定部121は、撮像装置200によって撮像されたチェッカーボードの画像に基づいて、撮像装置200の画角を推定する。なお、チェッカーボードを用いた推定手法の詳細は、後述する。
【0029】
また、推定部121は、画像の入力に応じて画角を出力するように学習された学習済みのモデルに、撮像装置200によって撮像された画像を入力し、出力された画角を撮像装置200の画角と推定することもできる。
【0030】
また、推定部121は、撮像装置200に関する情報に基づいて、撮像装置200の画角を推定することもできる。例えば、推定部121は、撮像装置200に関する情報として、撮像装置200によって過去に物体を検知した座標を含む範囲を、撮像装置200の画角と推定する。別例としては、推定部121は、対象の撮像装置200と型番号が同一またはスペックや設定が共通する他の撮像装置200の画角を参照して、対象の撮像装置200の画角を推定することもできる。なお、推定部121は、対象の撮像装置200と型番号が同一またはスペックや設定が共通する他の撮像装置200の画角の平均値や中央値や、当該他の撮像装置200の間で共通して設定されている画角などを、対象の撮像装置200の画角と推定することもできる。
【0031】
また、推定部121は、物体との距離の情報を用いて、撮像装置200の画角を推定することもできる。例えば、推定部121は、撮像装置200によって物体を検知した座標を用いて推定した撮像装置200の画角に、物体との距離に応じた所定の倍率を掛けた値を、撮像装置200の画角と推定する。別例としては、推定部121は、撮像装置200によって撮像されたチェッカーボードの画像から推定した撮像装置200の画角に、物体との距離に応じた所定の倍率を掛けた値を、撮像装置200の画角と推定することもできる。なお、所定の倍率には、物体との距離が所定の距離よりも短ければ短いほど小さく、長ければ長いほど大きくした値など、目的に応じた任意の値を用いることができる。
【0032】
変更部122は、単位時間当たりの画像数を変更する。具体的には、変更部122は、撮像装置200の画角に応じて、撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する。例えば、変更部122は、撮像装置200の画角が所定の画角よりも小さい場合には、単位時間当たりの画像数を増加させ、撮像装置200の画角が所定の画角よりも大きい場合には、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を減少させる。
【0033】
より具体的には、変更部122は、撮像装置200の画角が所定の画角(例えば、100度)よりも小さい場合には、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を倍の値に変更する。一方、変更部122は、撮像装置200の画角が所定の画角(例えば、100度)よりも大きい場合には、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を半分の値に変更する。
【0034】
なお、上記では、変更部122が物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を倍や半分の値に変更する例について示したが、変更前の値から所定の値を加算した値や減算した値、変更前の値に所定の値を乗算した値や除算した値など、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更するものであれば特に限定されない。また、所定の画角や所定の値には、目的に応じた任意の値を用いることができる。
【0035】
別例として、変更部122は、画角の入力に応じて単位時間当たりの画像数を出力するように学習された学習済みのモデルに、撮像装置200の画角を入力し、出力された単位時間当たりの画像数を、対象とする撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数として変更することもできる。
【0036】
検知部123は、撮像装置200により撮像された各画像のうち、変更された単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、物体の検知を実行する。例えば、検知部123は、撮像装置200により撮像された各画像の内、変更部122により変更された単位時間当たりの画像数の各画像に、検知対象の物体が含まれているか否かを画像ごとに判定し、閾値回数以上物体が含まれていると判定した場合に物体を検知する。
【0037】
次に、上述した推定部121による画角推定を行う推定処理、変更部122による単位時間当たりの画像数を変更する変更処理について具体例を挙げて説明する。
【0038】
[推定処理]
図4と
図5を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の推定処理について説明する。
図4と
図5は、実施形態に係る情報処理装置100の推定処理の一例を示す図である。
【0039】
一例として、推定部121は、例えば、所定の位置から黒いマス目が描かれたチェッカーボードを撮像した画像を用いて、画像に写るマス目の行、列、数などからカメラの画角を推定する。例えば、
図4に示すように、推定部121は、所定の位置から黒いマス目が描かれたチェッカーボードを撮像した画像に黒いマス目が4列写っていれば、90度、6列写っていれば120度というように、チェッカーボードの黒いマス目が写った範囲からカメラの画角を推定する。なお、上記では、画角の推定に黒いマス目が描かれたチェッカーボードの画像を用いた例を説明したが、画角の推定に用いることができる画像であればこれに限定されるものでない。
【0040】
別例として、推定部121は、撮像装置200に関する情報として、過去の検知結果から、撮像装置200の画角を推定する。例えば、
図5に示すように、撮像装置200の目前に障害物が存在する場合などには、撮像装置200が写すことができる範囲(例えば、120度)内の一部分において物体を検知することができない。このような場合に、推定部121は、過去に物体を検知した座標の点群が含まれる範囲(例えば、90度)を画角として推定する。
【0041】
なお、上記では、障害物が存在する例について説明したが、障害物が存在しない場合であっても、推定部121は、同様の画角推定処理を行うことができる。これにより、柱や棚といった障害物が存在する場合や、壁面が写り続けている場合や、物理的に検知対象の物体が通過できない範囲が存在する場合などに、撮像装置200が写すことができる範囲から、物体が検知されない領域を除外し、物体を検知することができる範囲のみを画角として推定することができる。
【0042】
別例として、推定部121は、
図4、5を用いて説明した方法により推定した撮像装置200の画角に、距離に応じた倍率を掛けた値を撮像装置200の画角と推定する。ここで、所定の倍率には、物体との距離が所定の距離よりも短ければ短いほど小さく、長ければ長いほど大きくした値を用いる。例えば、物体との距離が1.5mであり、所定の距離が3mである場合には、所定の倍率として0.5倍を用いる。例えば、物体との距離が6mであり、所定の距離が3mである場合には、所定の倍率として1.5倍を用いる。
【0043】
より具体的には、推定部121は、画像に基づいて推定した撮像装置200の画角120度に、距離に応じた倍率0.5を乗算した値である60度を撮像装置200の画角であると推定する。これにより、検知対象の物体との距離が近ければ近いほど撮像装置200の画角は小さく、検知対象の物体との距離が遠ければ遠いほど撮像装置200の画角が大きいと推定することができる。
【0044】
[変更処理]
図6~8を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の変更処理について説明する。
図6~8は、実施形態に係る情報処理装置100の変更処理の一例を示す図である。この例では、撮像装置200の画角に応じて情報処理装置100として機能するアプリケーションであるAIアプリが単位時間当たりの画像数を変更する例について説明する。
【0045】
例えば、
図6(1)に示すように、撮像装置200が物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数(検知フレームレート)が10fpsであり、撮像装置200の画角が小さい場合、人物が撮像装置200に写る領域を横切ったときに、画角内では人物を3フレームしか写すことができず、検知に必要な回数(例えば、4フレーム)写る前に人物が通過してしまうことから、人物を検知することができない。
【0046】
このように、検知対象の人物が通過した場合であっても検知が難しいことから、変更部122は、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を増やすよう変更する。例えば、
図6(2)に示すように、変更部122は、撮像装置200の画角が、所定の画角(例えば、100度)よりも小さい場合に、単位時間当たりの画像数を倍の値に変更する。すなわち、物体の検知を実行する際の検知フレームレートを10fpsから20fpsに変更する。
【0047】
これにより、
図6(2)に示すように、撮像装置200の画角が小さい場合であっても、人物が撮像装置200に写る領域を通過する際に画角内に人物が6フレーム写り、人物を検知することができるようになる。このように、情報処理装置100は、画角に応じて物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を増加させることで、撮像装置200の画角が小さい場合であっても、検知精度の低下を防止することができる。
【0048】
続いて、撮像装置200の目前に障害物が存在することにより、撮像装置200が写すことができる範囲内に、物体が検知できない範囲が存在する例について説明する。例えば、
図7(1)に示すように、撮像装置200が物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数が10fpsであり、物体が検知できない範囲が存在することにより画角が小さい場合、人物が撮像装置200の前を横切ったときに、検知に必要な回数(例えば、4フレーム)写る前に人物が通過してしまうことから、人物を検知することができない。
【0049】
このように、検知対象の人物が通過した場合であっても検知が難しいことから、変更部122は、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を増やすよう変更する。例えば、
図7(2)に示すように、変更部122は、撮像装置200の画角が、所定の画角(例えば、100度)よりも小さい場合に、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を倍の値に変更する。すなわち、物体の検知を実行する際の検知フレームレートを10fpsから20fpsに変更する。
【0050】
これにより、
図7(2)に示すように、撮像装置200の画角が小さい場合であっても、人物が撮像装置200に写る領域を通過する際に画角内に人物が6フレーム写り、人物を検知することができるようになる。このように、情報処理装置100は、画角に応じて物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を増加させることで、撮像装置200の画角が小さい場合であっても、検知精度の低下を防止することができる。
【0051】
続いて、不要に高い検知フレームレートが設定されている例について説明する。
図8では、撮像装置200の画角が大きいにもかかわらず、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数として20fpsが設定されている。例えば、
図8(1)に示すように、変更部122により物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する前では、人物がカメラの前を横切った場合に、検知に必要な回数(例えば、4フレーム)の倍以上の10フレーム写る。
【0052】
このようにリソースが無駄遣いされている場合に、変更部122は、単位時間当たりの画像数を減らすよう変更する。例えば、
図8(2)に示すように、変更部122は、単位時間当たりの画像数を半分の値に変更する。すなわち、物体の検知を実行する際の検知フレームレートを20fpsから10fpsに変更する。
【0053】
これにより、
図8(1)に示すように、撮像装置200の画角が大きく、単位時間当たりの画像数が多い状態から、
図8(2)に示すように、単位時間当たりの画像数を減らして、リソースを削減することができる。このように、情報処理装置100は、画角に応じて単位時間当たりの画像数を減少させることで、物体検知に必要以上のリソースが割かれているAIアプリケーションについてリソースの効率化を図ることができる。
【0054】
[フローチャート]
次に、
図9を用いて、情報処理装置100による処理の流れを説明する。なお、下記のステップS101~S104は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S104のうち、省略される処理があってもよい。
【0055】
まず、推定部121は、撮像装置200の画角を推定する(ステップS101)。例えば、推定部121は、画像に基づいて、撮像装置200の画角を推定する。また、例えば、推定部121は、撮像装置200に関する情報に基づいて、撮像装置200の画角を推定する。
【0056】
続いて、変更部122は、撮像装置200の画角に応じて、撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間のあたりの画像数を変更する(ステップS102)。例えば、変更部122は、撮像装置200の画角が所定の画角よりも小さい場合には、単位時間当たりの画像数を増やすよう変更する。
【0057】
続いて、検知部123は、単位時間当たりの画像数の各画像に物体が閾値回数以上含まれるか否かを判定する(ステップS103)。ここで、検知部123によって、単位時間当たりの画像数の各画像に物体が閾値回数以上含まれないと判定された場合(ステップS103“NO”)、情報処理装置100は、再度ステップS103の処理を行う。
【0058】
他方、検知部123によって、単位時間当たりの画像数の各画像に物体が閾値回数以上含まれると判定された場合(ステップS103“YES”)、検知部123は、物体を検知する(ステップS104)。
【0059】
[効果]
実施形態に係る情報処理装置100は、撮像装置200の画角に応じて、撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数を変更する変更部122と、撮像装置200により撮像された各画像のうち、変更された単位時間当たりの画像数の各画像を用いて、物体の検知を実行する検知部123とを有する。これにより、情報処理装置100は、撮像装置200の画角に応じて、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数である検知フレームレートを変更して、物体の検知精度を向上させることができる。
【0060】
実施形態に係る情報処理装置100は、撮像装置200によって撮像された画像に基づいて、撮像装置200の画角を推定する推定部121を有する。これにより、情報処理装置100は、撮像装置200によって撮像された画像に基づいて撮像装置200の画角を推定し、推定した撮像装置200の画角に応じて、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数である検知フレームレートを変更して、物体の検知精度をより向上させることができる。
【0061】
実施形態に係る情報処理装置100は、撮像装置200に関する情報に基づいて、撮像装置200の画角を推定する推定部121を有する。これにより、情報処理装置100は、撮像装置200に関する情報に基づいて、物体を検知できない範囲を除外し、または距離等に応じて調整することにより、撮像装置200の画角を推定し、推定した撮像装置200の画角に応じて、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数である検知フレームレートを変更して、物体の検知精度をより向上させることができる。
【0062】
実施形態に係る情報処理装置100の変更部122は、撮像装置200の画角が所定の画角よりも小さい場合には、単位時間当たりの画像数を増加させる。これにより、情報処理装置100は、撮像装置200の画角が小さい場合には、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数である検知フレームレートを大きく変更して、物体の検知精度をより向上させることができる。
【0063】
実施形態に係る情報処理装置100の変更部122は、撮像装置200の画角が所定の画角よりも大きい場合には、単位時間当たりの画像数を減少させる。これにより、情報処理装置100は、撮像装置200の画角が大きい場合には、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数である検知フレームレートを小さく変更して、リソースの有効活用を可能とする。
【0064】
実施形態に係る情報処理装置100の変更部122は、画角の入力に応じて単位時間当たりの画像数を出力するように学習された学習済みのモデルに、撮像装置200の画角を入力し、出力された単位時間当たりの画像数を撮像装置200により撮像された画像に含まれる物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数として変更する。
【0065】
これにより、情報処理装置100は、画角と単位時間当たりの画像数との関係を学習させたモデルを用いて、撮像装置200の画角に応じて、物体の検知に使用する単位時間当たりの画像数である検知フレームレートを適切に変更して、物体の検知精度をより向上させることができる。
【0066】
[プログラム]
また、上記実施形態において説明した情報処理装置100が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0067】
情報処理装置100は、例えば、
図10に示すようなコンピュータシステム1000によって実現される。コンピュータシステム1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0068】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータシステム1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータシステム1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0069】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網NWを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網NWを介して他の機器へ送信する。
【0070】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0071】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、係るプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0072】
例えば、コンピュータシステム1000が本開示の情報処理装置100として機能する場合、コンピュータシステム1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、情報処理装置100の機能を実現する。HDD1400には、記憶部130内のデータが格納される。コンピュータシステム1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網NWを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0073】
[その他]
様々な実施形態を、図面を参照して、本明細書で詳細に説明したが、これらの複数の実施形態は例であり、本発明をこれらの複数の実施形態に限定することを意図するものではない。本明細書に記載された特徴は、当業者の知識に基づく様々な変形や改良を含む、様々な方法によって実現され得る。
【0074】
また、上述した「部(module、-er接尾辞、-or接尾辞)」は、ユニット、手段、回路、ステップなどに読み替えることができる。例えば、通信部(communication module)、制御部(control module)および記憶部(storage module)は、それぞれ、通信ユニット、制御ユニットおよび記憶ユニットに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0075】
100 情報処理装置
110 通信部
120 制御部
121 推定部
122 変更部
123 検知部
130 記憶部
200 撮像装置