(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025144463
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20250925BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250925BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20250925BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/04
A61K8/39
A61K8/34
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044261
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】398034593
【氏名又は名称】株式会社アジュバンホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 宏理
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(72)【発明者】
【氏名】小島 直也
(72)【発明者】
【氏名】増田 健二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC542
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB11
4C083CC02
4C083DD33
(57)【要約】
【課題】安定化のための水溶性高分子を配合せず、特殊な乳化設備を使用することなく製造できる水中油型乳化化粧料を提供するとともに、100nmの乳化粒子が得られ、低粘度でも広い温度範囲で長期間安定して均一な状態を維持した水中油型乳化化粧料を提供すること。
【解決手段】(a)ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム、(b)ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、(c)グリセリン、(d)油性成分、(e)水を含み、乳化粒子径が100nm以下に調整されていることを特徴とする、水中油型乳化化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム
(b)ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10
(c)グリセリン
(d)油性成分
(e)水
を含み、乳化粒子径が100nm以下に調整されていることを特徴とする、水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(a)の配合量が
0.01~2.0質量%、成分(b)の配合量が0.01~20.0質量%、成分(c)の配合量が0.01~30.0質量%、成分(d)の配合量が0.01~20.0質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(d)の中に、任意な難溶性成分を溶解して調製できることを特徴とする、請求項1および2に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な乳化粒子を有する水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、保湿効果に優れ、べたつきのないさっぱりした使用感の化粧料が好まれている。そのような化粧料として、乳化化粧料や油性成分を配合した化粧料が提案されている。乳化化粧料は、油性成分を乳化した乳化粒子を含有し、保湿効果や皮膚を柔軟にするエモリエント効果に優れている。また、油性成分を配合することにより、通常水相に配合が難しい油溶性の有効成分などを併用して化粧料とすることもできる。
【0003】
乳化化粧料は一般的に、活性剤および油性成分を配合することにより乳化させている。しかしながら、活性剤および油性成分の配合により得られた化粧料、特に低粘度な乳化化粧料は、熱力学的に不安定で経時により分離を生じるため、長期間の安定性を維持することが困難である。
【0004】
そこで、安定性を確保すべく、化粧料に水溶性高分子を配合することにより溶液の粘度を上昇させ分離を抑える試み、あるいは、化粧料の乳化粒子径を100nm以下とすることにより低粘度であっても安定な化粧料を実現する試みがなされている。
【0005】
例えば、高圧乳化機を用いることにより、スクワランを100nm以下の乳化粒子とすることで、水中油型の半透明乳化化粧料が得られることが提案されている(特許文献1を参照。)。
【0006】
また、低粘度のリンゴ酸ジイソステアリルと非イオン界面活性剤である硬化ヒマシ油(水添ヒマシ油)とを配合し、平均粒子径が20nmから3μm 程度の乳化粒子を含む水中油型化粧料からなる半透明性の化粧料を得ることが提案されている(特許文献2を参照。)。
【0007】
さらに、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルとイオン性界面活性剤を併用することにより、内相比率が25~45質量%という高い状態においても安定な化粧料を得ることが提案されている(特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009―107932号公報
【特許文献2】特開2020-002102号公報
【特許文献3】特開2023-008460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
乳化化粧料においては一般に、化粧料溶液中の乳化粒子径が100nm以下になると、化粧料の外観は透明~半透明を呈するようになる。このような微細な乳化粒子径を有する化粧料は、高級感を演出できるなど外観上の付加価値が高いものとなり、需用者に与える印象が良好であることから販売戦略上有利なものとなる。また乳化化粧料に含有される油性有効成分の分散粒子径を小さくすることは、有効成分の皮膚浸透性を高める可能性があり、望ましい。
【0010】
しかしながら、特許文献1~3に提案される乳化化粧料は、その製造過程において高圧乳化を可能とする特殊な装置が必要であり、設備的に制限があった。また、高圧乳化機を使用しない場合には、特定の複数種類の活性剤もしくは特定の油性成分との組み合わせが必要となり、処方上の制限が発生するものであった。さらに、100nm以下の乳化粒子が得られても、活性剤および油剤の組み合わせによっては、経時安定性が担保できない場合があることが明らかとなった。
【0011】
そのため、特殊な製造装置を用いることなく、より長期に安定な100nm以下の乳化粒子を含有する化粧料を得る新たな手段が求められることとなった。
【0012】
本発明の課題は、安定化のための水溶性高分子を配合せず、特殊な乳化設備を使用することなく製造できる水中油型乳化化粧料を提供することである。さらに、これまで知られてない組み合わせで100nmの乳化粒子が得られ、低粘度でも広い温度範囲で長期間安定して均一な状態を維持した水中油型乳化化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10およびグリセリン、ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム、水を化粧料溶液に配合することにより、経時安定性の良い非常に均一な100nm以下の乳化粒子を含んだ低粘度の水中油型乳化化粧料が得られることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、
(a)ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム
(b)イソステアリン酸ポリグリセリル-10
(c)グリセリン
(d)油性成分
(e)水
を含有する水中油型乳化化粧料である。
【0015】
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、成分(a)の配合量が0.01~2.0質量%、成分(b)の配合量が0.01~20.0質量%、成分(c)の配合量が0.01~30.0質量%、成分(d)の配合量が0.01~20.0質量%であることを特徴とする、本発明の第1の手段に記載の水中油型乳化化粧料である。
【0016】
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、任意な難溶性成分を溶解して調製できることを特徴とする、本発明の第1または第2の手段に記載の水中油型乳化化粧料である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、安定化のための水溶性高分子を配合せず、特殊な設備を使用することなく製造することが可能になる。
【0018】
また、本発明により、油性成分を100nm以下の乳化粒子とすることにより、低粘度でも広い温度範囲で長期間安定して均一な状態を維持した水中油型乳化化粧料が得ることが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0020】
本発明で使用されるジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムは、ジェミニ型イオン性界面活性剤に分類される。市販されているジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム溶液があり、かかる市販品を購入し利用することもできる。この様な市販品としては、「ペリセア(登録商標)L-30」(旭化成ファインケム株式会社、日本) が例示できる。
【0021】
本発明で使用されるジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムの配合量は、0.001質量%~2.0質量%が好ましく、0.01質量%~1.5質量%がさらに好ましい。ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムの配合量は具体的には、0.001質量%、0.003質量%、0.005質量%、0.007質量%、0.01質量%、0.03質量%、0.05質量%、0.07質量%、0.1質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、1.3質量%、1.5質量%、1.7質量%、2.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。かかる成分が多すぎる、あるいは少なすぎるとき、前記効果が得られない、あるいは、水中油型乳化化粧料の安定性の面で問題が生じる場合がある。
【0022】
本発明で使用されるジイソステアリン酸ポリグリセリル-10は、親水性界面活性剤に分類される。既に市販されているものがあり、かかる市販品を購入し利用することもできる。この様な市販品としては、「EMALEX DISG-10」(日本エマルジョン株式会社、日本)、 「NIKKOL Decaglyn 2-ISV」(日光ケミカルズ株式会社、日本)、「Sフェイス IS-1002P」(阪本薬品工業式会社、日本)、「サンソフト Q-192Y-C」(太陽化学株式会社、日本)、「マツネート MI-102」(マツモトファインケミカル株式会社、日本)が例示できる。
【0023】
本発明で使用されるジイソステアリン酸ポリグリセリル-10の配合量は、0.01質量%~20.0質量%が好ましく、0.1質量%~16.67質量%がさらに好ましい。ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10の配合量は具体的には、0.01質量%、0.02質量%、0.03質量%、0.04質量%、0.05質量%、0.06質量%、0.07質量%、0.08質量%、0.09質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、3.0質量%、5.0質量%、7.0質量%、10.0質量%、13.0質量%、15.0質量%、16.0質量%、16.67質量%、17.0質量%、18.0質量%、19.0質量%、20.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。かかる成分が多すぎると水中油型乳化化粧料の油性感が強く使用感が悪くなり、少なすぎると前記効果が得られない場合がある。
【0024】
本発明で使用されるグリセリンの配合量は、0.01質量%~30.0質量%が好ましく、0.17質量%~28.33質量%がさらに好ましい。グリセリンの配合量は具体的には、0.01質量%、0.03質量%、0.05質量%、0.07質量%、0.1質量%、0.15質量%、0.17質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、3.0質量%、5.0質量%、7.0質量%、10.0質量%、13.0質量%、15.0質量%、20.0質量%、25.0質量%、28.0質量%、28.33質量%、29.0質量%、30.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。かかる成分が多すぎる、あるいは少なすぎるとき、前記効果が得られない、あるいは水中油型乳化化粧料の安定性の面で問題が生じる場合がある。
【0025】
本発明で使用される油性成分とは、本発明の開示に係る水中油系乳化化粧料の油相を構成する成分である。油性成分としては、化粧料や医薬部外品等に通常用いられる油分を用いることができる。そのような油分の例としては、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂等が挙げられる。また、化粧料や医薬部外品等に通常用いられる油溶性成分も含めることができる。そのような成分としては、香料や油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0026】
前記の炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0027】
前記の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
【0028】
前記の高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)-2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0029】
前記の合成エステル油としては、例えば、イソノナン酸イソノニル、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0030】
前記のシリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0031】
前記の液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0032】
前記の香料としては、動物または植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、及びそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。香料を配合することで、香りの持続性に優れた化粧料を得ることができる。
【0033】
前記の具体的な香料の例としては、アセチベノール、アニスアルデヒド、アネトール、アミルアセテート、アミルサリシレート、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アルデヒドC6~20、アンブレットライド、アンブレットリド、アンブロキサン、イオノン、イソイースーパー、オイゲノール、オウランチオール、ガラクソリド、カローン、クマリン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、サンダロア、サンタロール、サンデラ、シクラメンアルデヒド、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセノール、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネロール、シネオール、ジハイドロミルセノール、ジャスモラクトン、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、スチラリルアセテート、セドリルアセテート、セドロール、ダマスコン、ダマセノン、デカラクトン、テルピニルアセテート、テルピネオール、トナリッド、トナリド、トリプラール、ネロール、バクダノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルサリシレート、ベチベリルアセテート、ヘディオン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ペンタリッド、ペンタリド、ボルニルアセテート、マイオール、ムスクケトン、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、ヤラヤラ、ライムオキサイド、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズオキサイド、ロジノール、アンジェリカオイル、アニスオイル、アルモアゼオイル、バジルオイル、ベイオイル、ベルガモットオイル、カラムスオイル、カンファーオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カッシアオイル、セダーウッドオイル、セロリオイル、カモミールオイル、シナモンオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、クミンオイル、ディルオイル、エレミオイル、エストラゴンオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、フェヌグリークオイル、ガルバナムオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ガヤックウッドオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ジュニパーベリーオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ジラムオイル、モミザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ミルオイル、ミルトルオイル、ナツメグオイル、オークモスオイル、オリバナムオイル、オポポナックスオイル、オレンジオイル、パセリオイル、パチュリオイル、ペッパーオイル、ペリラオイル、プチグレンオイル、ネロリオイル、オレンジフラワーオイル、ピメントオイル、オールスパイスオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、クラリセージオイル、セージオイル、サンダルウッドオイル、スチラックスオイル、タジェオイル、タイムオイル、チュベローズオイル、バレリアンオイル、ベチバーオイル、バイオレットリーフオイル、ウィンターグリーンオイル、ワームウッドオイル、イランイランオイル、ユズオイル、カッシーアブソリュート、ジュネアブソリュート、ヒヤシンスアブソリュート、インモルテルアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、ローズアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ベンベンゾイン等が挙げられる。
【0034】
前記の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル- p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、オクトクリレン等が挙げられる。
【0035】
本発明で使用される油性成分の配合量は、油性成分の配合量は、0.01質量%~20.0質量%が好ましく、0.1質量%~16.67質量%がさらに好ましい。かかる油性成分の配合量は具体的には、0.01質量%、0.02質量%、0.03質量%、0.04質量%、0.05質量%、0.06質量%、0.07質量%、0.08質量%、0.09質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、3.0質量%、5.0質量%、7.0質量%、10.0質量%、13.0質量%、15.0質量%、16.0質量%、16.67質量%、17.0質量%、18.0質量%、19.0質量%、20.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。かかる成分が多すぎると水中油型乳化化粧料の安定性上の懸念があり、少なすぎると前記効果を示さない場合がある。
【0036】
本発明で使用される水とは、本発明の開示に係る化粧料の連続相を構成するものである。水としては、特に限定されることはなく、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0037】
本発明で使用される難溶性成分とは、化粧品等に使用される成分の中で、日本薬局方に規定される「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」に該当する成分であることを意味し、好ましくは「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」に該当する成分であることを意味し、より好ましくは「ほとんど溶けない」に該当する成分であることを意味する。溶解度で表現すると、難水溶性機能性成分は、20℃の水に対する溶解度が10mg/mL以下であり、好ましくは1mg/mL以下であり、より好ましくは0.1mg/mL以下である。
【0038】
かかる難溶性成分としては、例えば、フィトスフィンゴシンを含むスフィンゴ脂質、グリセリンエステル系の油剤、繊維状タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、コエンザイムQ10、クルクミン、トコトリエノール、カロテノイド(α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、フコキサンチン、およびキサントフィルなど)、レスベラトロル、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(トコフェロール) 、ビタミンKおよびその誘導体、セサミン、α-リポ酸、フェルラ酸、オリザノールが挙げられる。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明の水中油系乳化化粧料の製造方法は、特に制限されず、通常の化粧料の製法に従って製造することができる。
【0040】
本発明の化粧料の皮膚への適用量や用法は特に制限されず、通常、一日数回、適量を塗布するなどして用いることができる。
【0041】
本発明の水系化粧料は、例えば、スキンケア製品、頭髪製品、メーキャップ製品、紫外線防御用製品等に用いることができるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明の水系化粧料を用いた製品の形状や形態は特に限定されるものではない。例えば液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状等の製品に用いることができるが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の化粧料には、必要に応じて、化粧品分野で通常使用されている任意の水性成分や油性成分を1種または2種以上含んでもよい。かかる水性成分及び油性成分としては限定されるものではないが、例えば、保湿剤、水溶性高分子、界面活性剤、固体、半固体、液状の油剤、高級アルコール、油溶性ゲル化剤、粘土鉱物、樹脂、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、粉体、顔料、染料、色素、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、塩類、p H 調整剤、キレート剤、香料、清涼剤、制汗剤、抗炎症剤、皮膚賦活剤、美肌用成分、各種抽出物等が挙げられる。
【実施例0044】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0045】
1.評価試験に用いる化粧料の調製
評価試験に用いる化粧料として、下記表1に示す実施例1および比較例1~比較例8の化粧料を調製する。
【0046】
[化粧料の調製(実施例1)]
以下の手順により、実施例1の化粧料を調製した。
1) 成分A1のイソノナン酸イソノニル 5.00質量%および成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10 5.00質量%を混合した。
2) 成分A9のジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム 0.45質量%、成分A10の水 1.05質量%、成分A11のグリセリン 8.50質量%を混合した。
3) 2)で調製した成分A9~成分11の混合物をディスパー攪拌しながら、1)で調製した成分A1~成分A2の混合物を徐々に投入した。
4)引き続き充分に攪拌した後、継続して攪拌しながら残部の成分Bの水を徐々に添加し、実施例1の化粧料を得た。
【0047】
[化粧料の調製(比較例1)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を配合しない点以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例1の化粧料を調製した。
【0048】
[化粧料の調製(比較例2)]
成分A9のジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムを配合しない点以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例2の化粧料を調製した。
【0049】
[化粧料の調製(比較例3)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を成分A3のイソステアリン酸ポリグリセリル-2とした以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例3の化粧料を調製した。
【0050】
[化粧料の調製(比較例4)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を成分A3のペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10とした以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例4の化粧料を調製した。
【0051】
[化粧料の調製(比較例5)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を成分A3のイソステアリン酸ポリグリセリル-10とした以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例5の化粧料を調製した。
【0052】
[化粧料の調製(比較例6)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を成分A3のラウリン酸ポリグリセリル-6とした以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例6の化粧料を調製した。
【0053】
[化粧料の調製(比較例7)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を成分A3のジイソステアリン酸ポリグリセリル-2とした以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例7の化粧料を調製した。
【0054】
[化粧料の調製(比較例8)]
成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を成分A3のラウリン酸ポリグリセリル-4とした以外は、実施例1と同様の手順にて、比較例8の化粧料を調製した。
【0055】
2.乳化化粧料の評価試験(外観、乳化粒子径)について
【0056】
実施例1及び比較例1~比較例8の化粧料を用いて、各化粧料の外観と乳化粒子径について評価を行った。
【0057】
1)外観の評価について
実施例1および比較例1~8の化粧料について、その吸光度をマルチモードマイクロプレートリーダー(SpectraMax iD3、Molecular Devices, LLC.、カリフォルニア州、米国)を用いて測定し、外観の評価を行った。実施例1及び比較例1~比較例8の各乳化化粧料を96ウェルプレートに200μL分注した後、660nmの吸光度を測定した。得られた吸光度の値から下記の基準にて透明、半透明または白濁に分類し、化粧料の外観を評価した。
吸光度0.05以下 :透明
吸光度0.06以上 0.50未満:半透明
吸光度0.50以上 :白濁
【0058】
2)乳化粒子径について
実施例1および比較例1~8の化粧料について、その乳化粒子径を、濃厚系粒径アナライザー(FPAR-1000、大塚電子株式会社、日本)により測定した。
【0059】
3.結果について
実施例1および比較例1~8の化粧料について、その吸光度を測定し、外観の評価を行った。評価結果を以下の表1に示す。
【0060】
【0061】
実施例1に記載のジイソステアリンポリグリセリル-10をジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムと共に使用した場合には、優れた外観の100nm以下の乳化粒子を含む半透明な化粧料が得られることが明らかとなった(表1を参照。)。
【0062】
一方、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を配合せず、ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムのみ配合した比較例1の化粧料は、100nm以下の乳化粒子が得られず、白濁した化粧料になることが確認された。さらに、比較例1の化粧料は、時間を経ることにより分離が確認され、製品としては不適なものであることが確認された(表1を参照。)。
【0063】
また、ジイソステアリンポリグリセリル-10を配合するが、ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムは配合しない場合の比較例2では、化粧料の作成時にクリーム状に変化してしまい、低粘度の乳化化粧料が得られないことが確認された(表1を参照。)。
【0064】
さらに、実施例1のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10に換えてHLBが異なるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した比較例3~比較例7の化粧料では、何れにおいても100nm以下の乳化粒子を得ることができず、乳化化粧料は白濁した外観になることが確認された(表1を参照。)。
【0065】
そして、実施例1のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10に換えてラウリン酸ポリグリセリル-4を使用した比較例8の化粧料では、100nm以下の乳化粒子が得られ、外観が透明な化粧料になることが確認された(表1を参照。)。
【0066】
4.評価試験に用いる化粧料の調製
表1に示す実施例1の化粧料、表1に示す比較例8の化粧料に加え、表2に示す実施例2~実施例5の化粧料を以下の手順にて調製した。
【0067】
[化粧料の調製(実施例2)]
成分A1のイソノナン酸イソノニルを1.00質量%に、成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を1.00質量%に、成分A9のジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムを0.09質量%に、成分A10の水を0.21質量%に、成分A11のグリセリンを1.70質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、実施例2の化粧料を調製した。
【0068】
[化粧料の調製(実施例3)]
成分A1のイソノナン酸イソノニルを0.10質量%に、成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を0.10質量%に、成分A9のジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムを0.01質量%に、成分A10の水を0.02質量%に、成分A11のグリセリンを0.17質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、実施例3の化粧料を調製した。
【0069】
[化粧料の調製(実施例4)]
成分A1のイソノナン酸イソノニルを5.00質量%、成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を5.00質量%、成分13のフィトスフィンゴシンを0.10質量%を混合し、フィトスフィンゴシンが溶解するまで加温撹拌した以外は、実施例1と同様の手順にて、実施例4の化粧料を調製した。
【0070】
[化粧料の調製(実施例5)]
成分A1のイソノナン酸イソノニルを16.67質量%、成分A2のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10を16.67質量%に、成分A9のジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムを1.50質量%に、成分A10の水を4.50質量%に、成分A11のグリセリンを28.33質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手順にて、実施例5の化粧料を調製した。
5.乳化化粧料の評価試験(外観、乳化粒子径、安定性)について
【0071】
実施例1~実施例5及び比較例8の化粧料を用いて、各化粧料の外観と、乳化粒子径の評価を行うとともに、安定性についての評価を行った。
【0072】
1)外観および、乳化粒子径の評価について
上記2.1)及び2)の項に記載の方法により、実施例1~実施例5及び比較例8の化粧料の外観の評価および乳化粒子径の評価を行った。
【0073】
2)安定性について
実施例1~実施例5及び比較例8の化粧料を、それぞれ-5℃、25℃、40℃および50℃の恒温槽内に一ヶ月間静置した後、当該各化粧料の外観を目視にて、下記基準で評価した。
変化なし :○
わずかなクリーミング :△
明らかな分離やクリーミング :×
【0074】
6.結果について
【0075】
【0076】
実施例1~実施例5の化粧料は、100nm以下の乳化粒子を有する化粧料が得られることが確認された。
【0077】
続いて、実施例1~実施例5及び比較例1の化粧料について、経時安定性を評価した。その結果、実施例1~5の化粧料はいずれも、幅広い温度範囲において長期に安定な化粧料が得られていたことが確認された。また、実施例4の化粧料から明らかなように、難溶性成分を乳化粒子中に配合した場合でも、広い温度範囲において長期に安定な化粧料が得られていることが確認された(表2を参照。)。
【0078】
一方で、実施例1のジイソステアリン酸ポリグリセリル-10に代わりラウリン酸ポリグリセリル-4を使用した比較例8の化粧料では、-5℃での保管時に明らかな分離が確認され、低温保管時の安定性に劣ることが確認された(表2を参照。)。
本発明の手段の水中油乳化化粧料により、安定化のための水溶性高分子を配合せず、特殊な設備を使用することなく製造することが可能になる。さらに、本発明の手段の水中油乳化化粧料により、これまで知られてない組み合わせで100nmの乳化粒子が得られ、低粘度でも広い温度範囲で長期間安定して均一な状態の維持が可能になる。