(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025144466
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】白濁液状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20250925BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250925BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20250925BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q19/00
A61K8/39
A61K8/34
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044265
(22)【出願日】2024-03-19
(71)【出願人】
【識別番号】398034593
【氏名又は名称】株式会社アジュバンホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100185258
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 宏理
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理
(72)【発明者】
【氏名】小島 直也
(72)【発明者】
【氏名】増田 健二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB051
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB11
4C083CC01
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD02
4C083DD39
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】特殊な設備を使用することなく製造でき、さらに油剤を使用することなく、広い温度範囲で長期間安定して微濁ないし白濁状の均一な状態を維持した化粧料を提供すること。
【解決手段】(a)ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム、(b)イソステアリン酸ポリグリセリル-2、(c)グリセリン、(d)油性成分、(e)水を含むことを特徴とする白濁液状化粧料とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム
(b)イソステアリン酸ポリグリセリル-2
(c)グリセリン
(d)油性成分
(e)水
を含むことを特徴とする白濁液状化粧料。
【請求項2】
成分(a)の配合量が0.01~2.0質量%、成分(b)の配合量が0.1~20.0質量%、成分(c)の配合量が0.17~34.0質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の白濁液状化粧料。
【請求項3】
組成中に、任意な油性成分を0.01~0.5質量%配合して調製できることを特徴とする、請求項1および2に記載の白濁液状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微濁ないし白濁した外観を有する液状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液状化粧料の分野では、白濁という外観的特徴が好まれている。これは、透明よりも白濁した液状化粧料の方が、成分が濃密であるイメージをより強く与えることによるものと考えられる。
【0003】
白濁液状化粧料は一般的に、活性剤もしくは油剤、あるいは両者を配合することで白濁させている。しかしながら、これらの配合により白濁させた液状化粧料は、経時によりクリーミングを生じるため、長期間の安定性を維持することが困難である。
【0004】
そこで、安定な白濁化粧水を製造すべく、高圧乳化機を用いて微細な乳化粒子を得たり、また、増粘剤を配合して液状化粧料の粘度を上げることで、白濁化粧料の経時安定性を向上させる試みがなされている。
【0005】
例えば、屈折率の高いシリコーン油を配合して、白濁化粧水を得ることが提案されている。特許文献1を参照。)。
【0006】
また、油分としてアシルアミノ酸エステルを配合し、さらに特定の増粘剤であるタマリンドガムを配合することで、経時安定性に優れる白濁化粧料を得ることが提案されている(特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-121935号公報
【特許文献2】特開2016―060716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述するように乳化化粧料を白濁化させた白濁化粧料の調製が行われている。しかしながら、特許文献1または特許文献2で提案される白濁化粧料は、活性剤により油剤を乳化することにより得られるものである。そのため、充分に白濁した外観を得るためには油剤を高配合する必要があった。また、高圧乳化には特殊な機械が必要となることから、設備的に制限があり、改善が必要なものであることが明らかとなった。
【0009】
そのため、油剤の高配合を要せず、かつ、高圧乳化を行うため特殊な機械が不要な、白濁化粧料を得る新たな手段が求められることとなった。
【0010】
本発明の課題は、特殊な設備を使用することなく製造でき、さらに油剤を使用することなく、広い温度範囲で長期間安定して微濁ないし白濁状の均一な状態を維持した化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、イソステアリン酸ポリグリセリル-2およびグリセリン、ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム、水を配合することにより、経時安定性の良い非常に均一な微濁ないし白濁した外観の液状化粧料が得られることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、
(a)ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム
(b)イソステアリン酸ポリグリセリル-2
(c)グリセリン
(d)水
を含有する白濁液状化粧料である。
【0013】
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、成分(a)の配合量が0.01~2質量%、成分(b)の配合量が0.1~20質量%、成分(c)の配合量が0.17~34質量%であることを特徴とする、本発明の第1の手段に記載の白濁液状化粧料である。
【0014】
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、組成中に、任意な油性成分を0.01~0.5質量%配合して調製できることを特徴とする、本発明の第1または第2の手段に記載の白濁液状化粧料である。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、油分の配合量を抑え、安定化のための水溶性高分子の添加を要しない白濁液状化粧料を得ることが可能になる。
【0016】
また、本発明により、高圧乳化を行う特殊な設備を使用することなく白濁液状化粧料を製造することが可能になる。
【0017】
そして、本発明により、広い温度範囲で長期間安定して微濁ないし白濁状の均一な状態を維持した液状化粧料を得ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0019】
本発明で使用されるジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムは、ジェミニ型イオン性界面活性剤に分類される。市販されているジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム溶液があり、かかる市販品を購入し利用することもできる。この様な市販品としては、「ペリセア(登録商標)L-30」(旭化成ファインケム株式会社、日本) が例示できる。
【0020】
本発明で使用されるジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムの配合量は、0.01質量%~2.0質量%が好ましい。ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムの配合量は具体的には、0.01質量%、0.02質量%、0.03質量%、0.04質量%、0.05質量%、0.07質量%、0.1質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、1.3質量%、1.5質量%、1.6質量%、1.7質量%、1.8質量%、1.9質量%、2.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムが多すぎると外観上の白濁度が頭打ちになり、処方の自由度を制限する場合があり、少なすぎると前記効果を示さない場合がある。
【0021】
本発明で使用されるイソステアリン酸ポリグリセリル-2は、親水性界面活性剤に分類される。既に市販されているものがあり、かかる市販品を購入し利用することもできる。この様な市販品としては、「DG oil DISG-1」(ナショナル美松株式会社、日本)、 「NIKKOL DGMIS」(日光ケミカルズ株式会社、日本)、「Sフェイス IS-201P」(阪本薬品工業式会社、日本)、「コスモール 41V」(日清オイリオグループ株式会社、日本)、「リソレックス PGIS21」(高級アルコール工業株式会社、日本)が例示できる。
【0022】
本発明で使用されるイソステアリン酸ポリグリセリル-2の配合量は、0.1質量%~20.0質量%が好ましい。イソステアリン酸ポリグリセリル-2の配合量は具体的には、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、3.0質量%、5.0質量%、7.0質量%、10.0質量%、13.0質量%、15.0質量%、17.0質量%、18.0質量%、19.0質量%、20.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。イソステアリン酸ポリグリセリル-2が多すぎると外観上の白濁度が頭打ちになり、処方の自由度を制限する場合があり、少なすぎると前記効果を示さない場合がある。
【0023】
本発明で使用されるグリセリンの配合量は、0.1質量%~35.0質量%が好ましく、0.17質量%~34.0質量%がさらに好ましい。グリセリンの配合量は具体的には、0.1質量%、0.15質量%、0.17質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.7質量%、1.0質量%、3.0質量%、5.0質量%、7.0質量%、10.0質量%、13.0質量%、15.0質量%、20.0質量%、25.0質量%、27.0質量%、30.0質量%、34.0質量%、35.0質量%であり、これらの数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。グリセリンが多すぎる、あるいは少なすぎるとき、白濁液状化粧料が得られない、あるいは安定性の面で問題が生じる場合がある。
【0024】
本発明で使用される油性成分とは本開示に係る白濁化粧料の油相を構成する成分である。油性成分としては、化粧料や医薬部外品等に通常用いられる油分を用いることができ、そのような油分の例としては、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、液体油脂等が挙げられる。また、化粧料や医薬部外品等に通常用いられる油溶性成分も含めることができ、そのような成分としては、香料や油溶性紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0025】
前記の炭化水素油としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソパラフィン、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0026】
前記の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
【0027】
前記の高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等)、分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)-2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0028】
前記の合成エステル油としては、例えば、イソノナン酸イソノニル、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート-2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0029】
前記のシリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等)、環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0030】
前記の液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0031】
前記の香料としては、動物または植物より得られる天然香料と、化学的合成手段によって製造される合成香料、及びそれらの混合物である調合香料が挙げられ、特に限定されない。香料を配合することで、香りの持続性に優れた化粧料を得ることができる。
【0032】
前記の具体的な香料の例としては、アセチベノール、アニスアルデヒド、アネトール、アミルアセテート、アミルサリシレート、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アルデヒドC6~20、アンブレットライド、アンブレットリド、アンブロキサン、イオノン、イソイースーパー、オイゲノール、オウランチオール、ガラクソリド、カローン、クマリン、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、サンダロア、サンタロール、サンデラ、シクラメンアルデヒド、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセノール、シトラール、シトロネリルアセテート、シトロネロール、シネオール、ジハイドロミルセノール、ジャスモラクトン、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、スチラリルアセテート、セドリルアセテート、セドロール、ダマスコン、ダマセノン、デカラクトン、テルピニルアセテート、テルピネオール、トナリッド、トナリド、トリプラール、ネロール、バクダノール、バニリン、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアセテート、フェニルエチルアルコール、ヘキシルサリシレート、ベチベリルアセテート、ヘディオン、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ベルトフィックス、ベンジルアセテート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ペンタリッド、ペンタリド、ボルニルアセテート、マイオール、ムスクケトン、メチルアンスラニレート、メチルジヒドロジャスモネート、ヤラヤラ、ライムオキサイド、リナリルアセテート、リナロール、リモネン、リラール、リリアール、ローズオキサイド、ロジノール、アンジェリカオイル、アニスオイル、アルモアゼオイル、バジルオイル、ベイオイル、ベルガモットオイル、カラムスオイル、カンファーオイル、カナンガオイル、カルダモンオイル、カッシアオイル、セダーウッドオイル、セロリオイル、カモミールオイル、シナモンオイル、クローブオイル、コリアンダーオイル、クミンオイル、ディルオイル、エレミオイル、エストラゴンオイル、ユーカリオイル、フェンネルオイル、フェヌグリークオイル、ガルバナムオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、グレープフルーツオイル、ガヤックウッドオイル、ヒバオイル、ヒノキオイル、ジュニパーベリーオイル、ラバンジンオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ライムオイル、マンダリンオイル、ジラムオイル、モミザオイル、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ミルオイル、ミルトルオイル、ナツメグオイル、オークモスオイル、オリバナムオイル、オポポナックスオイル、オレンジオイル、パセリオイル、パチュリオイル、ペッパーオイル、ペリラオイル、プチグレンオイル、ネロリオイル、オレンジフラワーオイル、ピメントオイル、オールスパイスオイル、パインオイル、ローズオイル、ローズマリーオイル、クラリセージオイル、セージオイル、サンダルウッドオイル、スチラックスオイル、タジェオイル、タイムオイル、チュベローズオイル、バレリアンオイル、ベチバーオイル、バイオレットリーフオイル、ウィンターグリーンオイル、ワームウッドオイル、イランイランオイル、ユズオイル、カッシーアブソリュート、ジュネアブソリュート、ヒヤシンスアブソリュート、インモルテルアブソリュート、ジャスミンアブソリュート、ジョンキルアブソリュート、ナルシスアブソリュート、ローズアブソリュート、バイオレットリーフアブソリュート、ベンベンゾイン等が挙げられる。
【0033】
前記の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル- p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、3,4,5-トリメトキシケイ皮酸3-メチル-4-[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、オクトクリレン等が挙げられる。
【0034】
本発明で使用される油性成分の配合量は、0でもよいが、賦香、使用感改良の目的により配合する場合は0.01~0.5質量%が好ましい。かかる成分が多すぎると安定性上の懸念があり、少なすぎると前記効果を示さない場合がある。
【0035】
本発明で使用される水とは、本開示に係る白濁化粧料の連続相を構成するものである。水としては、特に限定されることはなく、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0036】
本発明の液状化粧料の製造方法は、特に制限されず、通常の化粧料の製法に従って製造することができる。また、本発明の化粧料の皮膚への適用量や用法は特に制限されず、通常、一日数回、適量を塗布するなどして用いることができる。
【0037】
本発明における微濁ないし白濁状の水系化粧料は、波長660nmにおける吸光度が0.06以上となるものを指す。
【0038】
本発明の液状化粧料は、例えば、スキンケア製品、頭髪製品、メーキャップ製品、紫外線防御用製品等に用いることができるが、これらに限定されない。本発明の白濁液状化粧料を用いた製品の形状(形態)も特に限定されず、例えば液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状等の製品に用いることができる。
【0039】
本発明の化粧料には、必要に応じて、化粧品分野で通常使用されている任意の水性成分や油性成分を1種または2種以上含んでもよい。水性成分及び油性成分としては限定されないが、例えば、保湿剤、水溶性高分子、界面活性剤、固体、半固体、液状の油剤、高級アルコール、油溶性ゲル化剤、粘土鉱物、樹脂、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、粉体、顔料、染料、色素、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、塩類、pH調整剤、キレート剤、香料、清涼剤、制汗剤、抗炎症剤、皮膚賦活剤、美肌用成分、各種抽出物等が挙げられる。
【実施例0040】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0041】
1.評価試験に用いる化粧料の調製
評価試験に用いる化粧料として、下記表1に示す実施例1~実施例19および下記表2に示す比較例1~比較例4の化粧料を調製した。
【0042】
【0043】
【0044】
[化粧料の調製(実施例1)]
ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム 2.00質量%、水 4.00質量%、グリセリン 34.0質量%を混合し、ディスパー撹拌しながらイソステアリン酸ポリグリセリル-2 20.00質量%を徐々に投入した。充分に撹拌した後、継続して撹拌しながら残部の水を徐々に添加し、実施例1の化粧料を得た。
【0045】
[化粧料の調製(実施例2)]
ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム 0.45質量%、水 1.05質量%、グリセリン 8.50質量%、イソステアリン酸ポリグリセリル-2 5.00質量%とした以外は実施例1と同様の手順にて、実施例2の化粧料を得た。
【0046】
[化粧料の調製(実施例3)]
ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム 0.09質量%、水 0.21質量%、グリセリン 1.70質量%、イソステアリン酸ポリグリセリル-2 1.00質量%とした以外は実施例1と同様の手順にて、実施例3の化粧料を得た。
【0047】
[化粧料の調製(実施例4)]
ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウム 0.01質量%、水 0.02質量%、グリセリン 0.17質量%、イソステアリン酸ポリグリセリル-2 0.10質量%とした以外は実施例1と同様の手順にて、実施例4の化粧料を得た。
【0048】
[化粧料の調製(実施例5)]
イソステアリン酸ポリグリセリル-2投入時にさらにイソノナン酸イソノニル 0.50質量%を加えた以外は実施例2と同様の手順にて、実施例5の化粧料を得た。
【0049】
[化粧料の調製(実施例6)]
イソノナン酸イソノニル 0.10質量%とした以外は実施例5と同様の手順にて、実施例6の化粧料を得た。
【0050】
[化粧料の調製(実施例7)]
イソノナン酸イソノニル 0.01質量%とした以外は実施例5と同様の手順にて、実施例7の化粧料を得た。
【0051】
[化粧料の調製(実施例8)]
イソノナン酸イソノニルをマカデミアナッツ油 0.50質量%とした以外は実施例2と同様の手順にて、実施例8の化粧料を得た。
【0052】
[化粧料の調製(実施例9)]
マカダミアナッツ油 0.10質量%とした以外は実施例8と同様の手順にて、実施例9の化粧料を得た。
【0053】
[化粧料の調製(実施例10)]
マカダミアナッツ油 0.01質量%とした以外は実施例8と同様の手順にて、実施例10の化粧料を得た。
【0054】
[化粧料の調製(実施例11)]
イソノナン酸イソノニルをオリーブ油 0.50質量%とした以外は実施例2と同様の手順にて、実施例11の化粧料を得た。
【0055】
[化粧料の調製(実施例12)]
オリーブ油 0.10質量%とした以外は実施例11と同様の手順にて、実施例12の化粧料を得た。
【0056】
[化粧料の調製(実施例13)]
オリーブ油 0.01質量%とした以外は実施例11と同様の手順にて、実施例13の化粧料を得た。
【0057】
[化粧料の調製(実施例14)]
イソノナン酸イソノニルをバクチオール 0.50質量%とした以外は実施例2と同様の手順にて、実施例14の化粧料を得た。
【0058】
[化粧料の調製(実施例15)]
バクチオール 0.10質量%とした以外は実施例14と同様の手順にて、実施例15の化粧料を得た。
【0059】
[化粧料の調製(実施例16)]
バクチオール 0.01質量%とした以外は実施例14と同様の手順にて、実施例16の化粧料を得た。
【0060】
[化粧料の調製(実施例17)]
イソノナン酸イソノニルを香料 0.50質量%とした以外は実施例2と同様の手順にて、実施例17の化粧料を得た。
【0061】
[化粧料の調製(実施例18)]
香料 0.10質量%とした以外は実施例17と同様の手順にて、実施例18の化粧料を得た。
【0062】
[化粧料の調製(実施例19)]
香料 0.01質量%とした以外は実施例17と同様の手順にて、実施例19の化粧料を得た。
【0063】
[化粧料の調製(比較例1)]
イソステアリン酸ポリグリセリル-2に換えてイソステアリン酸ポリグリセリル-10 5.00質量%を配合した以外は実施例2と同様の手順にて、比較例1の化粧料を得た。
【0064】
[化粧料の調製(比較例2)]
イソステアリン酸ポリグリセリル-2投入時にさらにイソノナン酸イソノニル 5.00質量%を加えた以外は実施例2と同様の手順にて、比較例2の化粧料を得た。
【0065】
[化粧料の調製(比較例3)]
ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムを配合しない点以外は実施例5と同様の手順にて、比較例3の化粧料を得た。
【0066】
[化粧料の調製(比較例4)]
イソステアリン酸ポリグリセリル-2を配合しない点以外は実施例5と同様の手順にて、比較例4の化粧料を得た。
【0067】
2.水系化粧料の評価試験(外観及び経時安定性)について
【0068】
実施例1~実施例19および比較例1~比較例4の化粧料を用いて、各化粧料の外観及び経時安定性について、それぞれ評価を行った。
【0069】
1)外観の評価について
実施例1~実施例19および比較例1~比較例4の化粧料について、その吸光度をマルチモードマイクロプレートリーダー(SpectraMax iD3、Molecular Devices, LLC.、カリフォルニア州、米国)を用いて測定し、外観の評価を行った。実施例1~実施例19および比較例1~比較例4の各水系化粧料を96ウェルプレートに200μL分注した後、660nmの吸光度を測定した。得られた吸光度の値から下記の基準にて透明、半透明または白濁に分類し、化粧料の外観を評価した。
吸光度0.05以下 :透明
吸光度0.06以上 0.50未満:微濁
吸光度0.50以上 :白濁
【0070】
2)経時安定性について
実施例1および比較例1~8の各水系化粧料を-5℃、25℃、40℃、50℃の各恒温槽に一ヶ月間静置し、外観を目視にて、下記基準で評価した。
変化なし :○
わずかなクリーミング :△
明らかな分離やクリーミング :×
【0071】
3.結果について
実施例1および比較例1~8の各水系化粧料について、その吸光度を測定し、外観の評価と経時安定性の評価を行った。評価結果を以下の表3に示す。
【0072】
【0073】
実施例1~実施例19では、いずれも外観が均一な微濁ないし白濁状の優れた外観の水系化粧料が得られた。さらに、経時安定性を評価した結果、各実施例の水系化粧料は、広い温度範囲で経時変化も無く、優れた外観が保持されていた(表3を参照。)。
【0074】
一方、イソステアリン酸ポリグリセリル-2に代わりHLBが異なるポリグリセリン脂肪酸エステルを使用した比較例1では、微濁ないし白濁状の水系化粧料を得ることはできず、透明な外観を有していた(表3を参照。)。
【0075】
また、油性成分が5%以上配合された比較例2では、均一の微濁ないし白濁の水系化粧料が得られたものの、経時でわずかにクリーミングが確認され、不適なものとなっていた(表3を参照。)。
【0076】
そして、ジラウロイルグルタミン酸リジンナトリウムを配合しない比較例3では、化粧料作成時にクリーム状に変化し、水系化粧料を得ることができなかった(表3を参照。)。
【0077】
さらに、イソステアリン酸ポリグリセリル-2を配合しない比較例4では、微濁ないし白濁の水系化粧料を得ることは出来ず、分離が確認された(表3を参照。)。
認され、低温保管時の安定性に劣ることが確認された(表2を参照。)。
本発明の手段により、低粘度であるにもかかわらず、水溶性高分子を配合せず、広い温度範囲で長期間安定して均一な微濁ないし白濁状態を維持でき、また特殊な設備も不要で簡単に製造が可能な微濁ないし白濁状の水系化粧料を提供することが可能になる。