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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025144507
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】電流センサー
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20250925BHJP
【FI】
G01R15/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024191122
(22)【出願日】2024-10-30
(31)【優先権主張番号】10-2024-0038102
(32)【優先日】2024-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0103535
(32)【優先日】2024-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524111237
【氏名又は名称】イージー コリア
【氏名又は名称原語表記】EG KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー チョルボム
(72)【発明者】
【氏名】キム ボンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンハ
(72)【発明者】
【氏名】キム テウ
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AA05
2G025AB14
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】商用周波数の電流測定時に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、サイズを小型化できる電力線装着型電流センサーを提供する。
【解決手段】電流センサーは、絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、前記センサー部に近接するように配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部とを備え、前記回路部は、前記接続部を構成する線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化するように前記センサー部に近接して配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via Hole)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、
前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、
前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部
を備え、
前記回路部は、前記接続部を構成する線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化するように前記センサー部に近接配置される、
電流センサー。
【請求項2】
絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via Hole)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、
前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、
前記センサー部の信号出力端子と前記回路部の信号入力端子を電気的に接続するための接続部
を備え、
前記センサー部の前記信号出力端子は、前記コイルの末端から前記回路部の前記信号入力端子までの線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化する位置に形成される、
電流センサー。
【請求項3】
絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via Hole)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、
前記センサー部の検出信号を出力するための信号出力端子
を備え、
前記信号出力端子は、前記コイルの末端から前記信号出力端子までの線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化する位置に形成される、
電流センサー。
【請求項4】
前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、
前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部
をさらに備え、
前記回路部は、前記接続部を構成する線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化するように前記センサー部に近接配置される、
請求項3に記載の電流センサー。
【請求項5】
前記センサー部は、互いに直列または並列に接続される複数のコイルを含み、
前記複数のコイルは、前記複数のコイルを直列または並列に接続する線路のうち前記複数のコイルの中心軸の方向と直交する線路の長さを最小化するように配置される、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項6】
前記コイルは、その中心部に鉄心コアを含む、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項7】
前記センサー部と前記回路部は同一の基板上に形成される、
請求項1、2、及び4の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項8】
前記センサー部と前記回路部はそれぞれ第1基板及び第2基板に形成され、
前記第1基板及び前記第2基板は互いに法線方向に重畳されるように配置される、
請求項1、2、及び4の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項9】
前記回路部は、少なくとも低域通過フィルターと増幅器を含む、
請求項1、2、及び4の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項10】
前記センサー部及び前記回路部の両方を内部に収容するボックス状に構成され、外側面に前記センサー部が電流を検出する対象となる電力線に締結するための締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える、
請求項1、2、及び4の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項11】
前記センサー部及び前記回路部の両方を内部に収容するために、第1側に開口部を有するボックス状に構成される導電性材質の遮蔽ケースをさらに備える、
請求項1、2、及び4の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項12】
前記遮蔽ケースの前記開口部が挿入されるように一面が開放されたボックス状に構成され、外側面に前記センサー部が電流を検出する対象となる電力線に締結するための締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える、
請求項11に記載の電流センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
電力線に流れる電流の正確な測定は、電力需要の予測及び分析を基に電力使用効率の極大化及び事故電流の検出と事故系統の迅速な分離を介しての電力システムの保護を可能にする重要な要素である。
【0003】
被測定導線に流れる電流を感知するためのセンサーは、その感知方式によって、シャント(Shunt)抵抗を用いる抵抗検出方式と導線周辺の磁界を用いる磁界検出方式に分けられる。そのうち、磁界検出方式は、変流器(Current Transformer:CT)を用いるセンサーとホール素子(Hall Element)を用いるセンサーに分けられる。
【0004】
CT素子は、変圧器の原理を利用するので、電流が時間的に変化するAC電流の測定に主に適用される。導線に電流が流れると、その周辺に磁界が形成され、環状のCTの内部を導線が通過するように配置すれば導線の周辺の磁界によってCTのコイルに誘導電流が流れることになる。
【0005】
ホール素子は、電流に直交する方向に磁界を加えると電流と磁界に直交する方向に起電力が発生するホール効果を利用する素子で、このようなホール効果を利用するセンサーをホールセンサーと呼び、磁性をもつ物体の磁界変化で検出信号が発生する。
【0006】
磁界検出方式のもう一つの形態であるロゴスキーコイル方式の電流センサーは、測定電流の周囲に発生する交流磁界によって空芯コイルで誘導される電圧を変換して電流を測定する。即ち、測定導体(1次側)に流れる交流電流による磁界が空芯コイルと鎖交することで空芯コイルに誘導電圧が発生し、この誘導電圧は測定電流の時間微分値になるので積分器を通過させることで測定電流に比例する信号が出力される。
【0007】
さらに他の方式では、交流電流が流れる電力導線と所定の離隔距離をおいてセンサー部を配置し、電力導線に流れる交流によって発生する誘導起電力によりセンサー部で発生する電磁波を測定して交流電流を検出する電流センサーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公報第10-1981640号
【特許文献2】韓国特許公報第10-0897229号
【特許文献3】日本公開特許公報第2015-200631号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電流センサーを小型化するためには、例えば、特許文献1に記載されている電流センサーまたはホール素子を用いる電流センサーを使用することが可能であるが、特許文献1に記載されている電流センサーは電力導線と並んで配置された非コイル性の測定導線でセンサー部を構成するので、低電流(例えば、1A以下)の測定感度が顕著に低下する問題がある。
【0010】
ホール素子を用いる電流センサーは磁気コアが必要であるので小型化に限界があるのみならず(例えば、特許文献2参照)、磁気信号に敏感に反応するのでノイズに弱く、ノイズを完全に遮蔽しない限り隣り合うバスバーの活性状態から発生する誘導磁気がノイズとして影響して測定誤差が増大する問題がある。
【0011】
さらに、磁界検出方式の電流センサーはほとんどの場合電力線がコアの内部を貫通する形態であるので、既存の電力線に簡単に装着する形での実装が容易ではなく、実装面積が大きいという短所がある。
【0012】
実装面積の側面から、電力線に装着するための空間的な制約を解消するためにCT機能を有するプリント基板が開示されているが、これは数百kHzから数GHzの周波数を有するRF(Radio Frequency)帯域の高周波電力を対象とするので、電界を遮断するために電力線とコイルの間に金属遮蔽部を配置しても電流の検出が可能である(例えば、特許文献3参照)。
【0013】
しかし、50Hzまたは60Hzの商用周波数(Power FrequencyまたはCommercial Frequency)を有する低周波電力の場合には、RF帯域の高周波電力とは異なり、電力線から発生する磁束による誘導電流のレベルが周辺の(大気中の)ノイズレベルとさほど差がないので、特許文献3に記載されているCT機能を有するプリント基板のような構造では電力線に流れる電流を測定するのが容易ではない。
【0014】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、商用周波数の電流を測定する際に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、センサー自体のサイズを小型化できる電流センサーを提供することを目的とする。
【0015】
本発明の解決課題は以上で言及されたものに限定されず、言及されていない他の解決課題は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有した者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via Hole)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部を備え、前記回路部は、前記接続部を構成する線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化するように前記センサー部に近接配置される、電流センサーを提供する。
【0017】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via Hole)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、前記センサー部の信号出力端子と前記回路部の信号入力端子を電気的に接続するための接続部を備え、前記センサー部の前記信号出力端子は、前記コイルの末端から前記回路部の前記信号入力端子までの線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化する位置に形成される、電流センサーを提供する。
【0018】
本発明の少なくとも一つの実施例においては、絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via Hole)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上のコイルを含むセンサー部と、前記センサー部の検出信号を出力するための信号出力端子を備え、前記信号出力端子は、前記コイルの末端から前記信号出力端子までの線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化する位置に形成される、電流センサーを提供する。
【0019】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電流センサーは、前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部をさらに備え、前記回路部は、前記接続部を構成する線路のうち前記コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化するように前記センサー部に近接配置される。
【0020】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー部は、互いに直列または並列に接続される複数のコイルを含み、前記複数のコイルは、前記複数のコイルを直列または並列に接続する線路のうち前記複数のコイルの中心軸の方向と直交する線路の長さを最小化するように配置される。
【0021】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記コイルは、その中心部に鉄心コアを含む。
【0022】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー部と前記回路部は同一の基板上に形成される。
【0023】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記センサー部と前記回路部はそれぞれ第1基板及び第2基板に形成され、前記第1基板及び前記第2基板は互いに法線方向に重畳されるように配置される。
【0024】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記回路部は、少なくとも低域通過フィルターと増幅器を含む。
【0025】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電流センサーは、前記センサー部及び前記回路部両方を内部に収容するボックス状に構成され、外側面に前記電力線に締結するための締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える。
【0026】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電流センサーは、前記センサー部及び前記回路部両方を内部に収容するために、第1側に開口部を有するボックス状に構成される導電性材質の遮蔽ケースをさらに備える。
【0027】
本発明の少なくとも一つの実施例において、前記電流センサーは、前記遮蔽ケースの前記開口部が挿入されるように一面が開放されたボックス状に構成され、外側面に前記電力線に締結するための締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0028】
本発明の少なくとも一つの実施例によれば、商用周波数の電流を測定する際に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、センサー自体のサイズを小型化できる電流センサーを提供できるという効果を奏する。
【0029】
本発明の効果は以上で言及されたものなどに限定されず、言及されていない他の効果は下記の記載から当該技術分野における通常の知識を有した者に明確に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着した状態を示す概略図である。
図2】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着した状態を示す概略図である。
図3】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着した状態を示す概略図である。
図4】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部の斜視図である。
図5】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部の第1面及び第2面を示す平面図である。
図6】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
図7】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの分解斜視図である。
図8】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着する過程を示す斜視図である。
図9】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着した状態を示す斜視図である。
図10】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの組み立て過程を示す分解斜視図である。
図11】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着した状態を示す側断面図である。
図12】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線に装着する形態を示す側面図である。
図13】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーと特許文献1に記載されている電流センサーの電流感知性能を比較するための測定グラフである。
図14】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのノイズ特性を示す測定グラフである。
図15】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの非飽和特性を示す測定グラフである。
図16】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
図17】本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照し、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電力線装着型電流センサーについて詳しく説明する。
【0032】
図1は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー100を電力線(例えば、バスバー(Busbar))Pに装着した状態を示す概略図である。図2は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー200を電力線Pに装着した状態を示す概略図である。図3は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー300を電力線Pに装着した状態を示す概略図である。
【0033】
図1ないし図3で、(a)は電力線Pに装着した電流センサーを上から見た平面図に近い斜視図であり、(b)は電力線Pに装着した電流センサーを側面から見た側面図である。
【0034】
図1に示す電流センサー100は、絶縁層を挟んで絶縁層の両面に形成した導体層を含む基板110、基板110に形成したセンサー部120、センサー部120と同一の基板110に形成され、センサー部120からの出力を受信し、所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表わす電流信号を出力するための回路部130、及びセンサー部120と回路部130を電気的に接続するための接続部140で構成される。
【0035】
電力線Pに電流が流れると、電力線Pの周囲に磁気場が形成され、センサー部120は磁気場に沿って流れる磁束を検出して電力線Pに流れる電流の大きさを表わす信号を出力する。
【0036】
このとき、センサー部120では電力線Pに流れる低周波電流による磁束を検出するので、検出された信号のレベルは電力線Pの周辺の(大気中の)ノイズのレベルとさほど差がないために、センサー部120の信号レベルへのノイズの影響を最小化するために電流センサー100の内部で電力線Pと平行な線路を可能な限り短く形成する必要がある。
【0037】
電流センサー100の内部の線路または接続部140を構成する線路は、電力線Pに直交する線路、電力線Pに平行な線路、及び電力線Pに対して所定の角度を成す斜め線路があり得る。ここで、「電力線Pと平行な線路を可能な限り短く形成する」というのは、電力線Pに対して所定の角度を成す斜め線路を考慮すると、「電力線Pと平行なベクトル成分の線路の長さを短くする」という意味であり、本明細書では、電力線Pに平行な線路と電力線Pに対して所定の角度を成す斜め線路のベクトル成分を含めて「電力線Pと平行な線路」と称する。
【0038】
したがって、「電力線Pと平行な線路の長さを最小化する」または後述の「コイルの中心軸と直交する線路の長さを最小化する」ことには、(A)「電力線Pと平行な線路またはコイルの中心軸と直交する線路の長さ」、(B)「電力線P、またはコイルの中心軸に対して斜め方向の線路における、コイルの中心軸と直交するベクトル成分の長さ」、または「(A)の長さと(B)の長さの合計値」の少なくともいずれかを最小化する意味を含む。
【0039】
即ち、センサー部120の出力端線路及びセンサー部120と回路部130を電気的に接続する接続部140の長さを最小化することで(センサー部120から回路部130までの距離を最小化することで)センサー部120の信号検出効率を向上させることができる。
【0040】
図2に示す電流センサー200は、絶縁層を挟んで絶縁層の両面に形成した導体層を含む基板210、基板210に形成したセンサー部220、センサー部220と同一の基板210に形成され、センサー部220からの出力を受信し、所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表わす電流信号を出力するための回路部230、及びセンサー部220と回路部230を電気的に接続するための接続部240で構成される。
【0041】
図1に示す電流センサー100が電力線Pに沿って形成したセンサー部120、回路部130、及びセンサー部120と回路部130を電力線Pの長手方向に電気的に接続するための接続部140で構成されているのに対し、図2に示す電流センサー200は、センサー部220と回路部230が同一の基板210に形成されるのは同様であるが、センサー部220と回路部230が電力線Pの長手方向と交差する(または直交する)方向に配置され、接続部240がセンサー部220と回路部230を電力線Pの長手方向に交差する(または直交する)方向に電気的に接続するように構成される。
【0042】
図2に示す電流センサー200は、電流センサー自体が(より正確には回路部230の部分が)電力線Pから抜け出て電力線Pの側面の空間をより必要とするが、図1に示す電流センサー100に比べて電力線Pと平行な線路をより少なくすることができるので、センサー部220の信号検出効率をより向上させることが可能である。
【0043】
図3に示す電流センサー300は、絶縁層を挟んで絶縁層の両面に形成した導体層を含む第1基板310、第1基板310に形成したセンサー部311、絶縁層を挟んで絶縁層の両面に形成した導体層を含む第2基板320、第2基板320に形成され、センサー部311からの出力を受信し、所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表わす電流信号を出力するための回路部321、及びセンサー部311と回路部321を電気的に接続するための接続部340で構成される。
【0044】
図1に示す電流センサー100及び図2に示す電流センサー200がセンサー部と回路部が同一の基板に形成される構造を有するのに対し、図3に示す電流センサー300は、センサー部311と回路部321がそれぞれ独立した別途の基板に形成され、電力線Pの長手方向に直交する一つの方向に積層されるように接続部340によって電気的に接続される構造を有する。接続部340は、センサー部311と回路部321を電気的に接続すると同時に物理的に固定する機能も果たすことができる。
【0045】
このように、センサー部311と回路部321をそれぞれ別途の基板に形成して電力線Pの長手方向に直交する一つの方向に積層するように接続部340で電気的に接続することで、電力線Pの長手方向に平行な線路を少なくしながらセンサー部311と回路部321の間の距離を最小化することができるので、センサー部311の信号検出効率をより高めることができる。
【0046】
ここで、接続部340は、センサー部311と回路部321電気的に接続すると同時に、第1基板310と第2基板320が物理的に接続しないように固定しながら可能な限り短く形成する(長さを最小化する)必要がある。
【0047】
図1ないし図3に示すように、電流センサー100、200、300は、電力線(例えば、バスバー)Pに面装着するように構成され、電力線Pに電流が流れる際に発生する磁束変化による誘導電流を検出(測定)するように構成される。
【0048】
このために、電流センサー100、200、300は、基板110、210、310の絶縁層と導体層を貫通するように形成され、その内壁に導電膜を形成した複数のビアホール(Via Hole)及び導体層に複数のビアホールを接続するように形成した線路パターニングで成される少なくとも一つ以上のコイルを含むように構成される。
【0049】
図4及び図5は、図3に示す電流センサー300の形態で制作した第1基板310の実際のイメージで、厚さ2mm、y方向とx方向の長さがそれぞれ7mmと22mmのPCB上に複数のビアホール312と線路パターニング313を使用して券数7回のコイルC1、券数5回のコイルC2、券数6回のコイルC3、及び券数7回のコイルC4を形成した例を示している。
【0050】
図4及び図5に示すセンサー部311で、コリルC1~C4は、互いに直列に接続され、与えられた大きさの基板310で電力線Pに流れる電流によって発生する磁束による誘導起電力の検出を最大化できるように構成される。
【0051】
図6は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー300のセンサー部311のコイル形成形態を示す透視図である。電流センサー100のセンサー部120及び電流センサー200のセンサー部220もセンサー部311と同一の形態でコイルを作成することができる。
【0052】
図6に示すように、第1基板310に第1方向(y方向)にジグザグ状または一直線状に並んで二列に形成された複数のビアホール312の内部には導電膜317が施されているので、両側のビアホール312をらせん状に電気的に接続されるように線路パターニング313を形成すれば、図6の矢印の下方に示すように、始点Sと終点Eの間のらせん構造で長さL、長軸の長さaを有するコイルC1が形成される。このとき、コイルC1の短軸の長さbは第1基板310の厚さに相当する。
【0053】
本発明の少なくとも一つの実施例において、コイルC1~C4は、中心部に鉄心コアを含むことができる。コアを有しないコイルの場合は飽和しない特徴があるのに対し、鉄心コアを有するコイルは鉄心の磁束密度が最大になると飽和する短所があるが感度が上がる長所がある。
【0054】
本発明の少なくとも一つの実施例において、基板110、210、310、320は、絶縁層と導体層が基板の形に積層され、導体層のパターニングを介して所望の回路を構成することができる印刷回路基板(Printed Circuit Board:PCB)を含む。
【0055】
本発明の少なくとも一つの実施例において、複数のビアホールは、図6に示すように、第1方向(図6に示す例ではy方向)に並んだ二列で形成される。
【0056】
一般に、50Hzまたは60Hzの商用周波数を有する低周波電力の場合には、RF帯域の高周波電力とは異なり、電力線から発生する磁束による誘導電流のレベルが周辺の(大気中の)ノイズのレベルとさほど差がないので、電力線に流れる電流を測定することが容易ではない。
【0057】
このような問題を解決するため、本発明は、少なくとも一つの実施例において、次のような構造を介してセンサー部の信号検出効率を商用化レベルまで持ち上げている。
【0058】
i)センサー部でコイル形成のための線路パターンの形成時に、電力線と平行な線路またはコイルの中心軸に直交する線路(例えば、図6の線路318のような線路)の長さをできる限り短く形成する(または最小化する)。
ii)センサー部と回路部の間の距離を可能な限り短く形成する(または最小化する)。
iii)センサー部と回路部をそれぞれ別途の基板に形成する場合、複数のコイルの形成時にコイル以外の線路による影響を最小化するため、センサー部の出力端子が複数のコイルの中央に位置するようにするか、または出力端子がそれぞれ基板の両側の端に位置するようにする。後者の場合、回路部側でセンサー部と回路部の間の最短距離を確保すればよい。
iv)センサー部と回路部をそれぞれ別途の基板に形成する場合、センサー部と回路部を電力線に交差する(または直交する)一つの方向に近接するように配置する。
v)外部からのノイズの影響を最小化するための金属材質のボックス状の遮蔽ケースを備える。
vi)センサー部と回路部を両方とも遮蔽ケース内に収納する。
vii)回路部は、少なくとも低域通過フィルター(Low Pass Filter)及び増幅器(Amplifier)を備える。
【0059】
図7は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー700の分解斜視図である。図8は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー700を電力線Pに装着する過程を示す斜視図である。図9は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサー700を電力線Pに装着した状態を示す斜視図である。
【0060】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサー700は、図7に示すように、第1側に開口部732を有するボックス状で導電性(例えば、金属)材質の遮蔽ケース730をさらに備える。
【0061】
本発明の少なくとも一つの実施例に係る遮蔽ケース730は、低周波(例えば、商用周波数)の電力を伝送する電力線の磁束感知時に外部からのノイズを遮蔽するためのもので、四方から流入する外部ノイズを遮断するために導電性材質のボックス状の部材である。
【0062】
本発明の少なくとも一つの実施例において、第1基板310は、四角形の四か所の角にL字の溝316が形成され、対向する両側がL字の溝316だけ突出した十字状に形成される。
【0063】
遮蔽ケース730は、第1基板310の第1方向と直交する第2方向(図6のx方向)に突出する両側が嵌め込まれるように開口部732の第2方向に対向する両側に凹部731を有し、第1基板310の第2方向に突出する両側が開口部732の凹部731に嵌め込まれると、第1基板310の第1方向の両側が開口部732内に挿入されて開口部732を塞ぐ形で構成される。
【0064】
従って、第1基板310が電力線Pに近接するように遮蔽ケース730を電力線Pに装着すると、遮蔽ケース730が第1基板310の外側面(電力線Pの反対側)を遮蔽し、電力線P自体が電力線P側を遮蔽する役割をする。
【0065】
このような構造で、電力線Pに電流が流れる際に発生する磁束がセンサー部311のコイルC1~C4に入るようにしながらセンサー部311の四方を遮蔽するので、センサー部311の幅(第1方向の長さ)は電力線Pの幅以下に設定する方が望ましい。
【0066】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遮蔽ケース730の内部でセンサー部311は電力線Pで発生する磁束が最もよく伝達される方向に配置され、電力線Pで発生する磁束が効率よく感知されるようにする。
【0067】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサー700は、図7に示すように、遮蔽ケース730の開口部732側が挿入されるように一面が開放されたボックス状に構成され、外側面に電力線Pが嵌められるように締結部721を有する絶縁材質の装着部材720をさらに備える。
【0068】
図7ないし図9に示す電流センサー700は、図3に示す電流センサー300の構造を例にとって説明しているが、図1に示す電流センサー100または図2に示す電流センサー200の構造も同様に適用することができる。
【0069】
図7では遮蔽ケース730に第1基板310及び第2基板320を嵌め込んだ後に遮蔽ケース730を装着部材720に挿入する形態を示しているが、遮蔽ケース730を使用しない場合には、第1基板310と第2基板320を装着部材720の底まで押し込んで装着することができる。この場合には、第1基板310の四か所の角にL字の溝316を形成しなくてもよい。
【0070】
図8及び図9に示す例では、L字の形に屈曲した厚さ2mm、幅10mmの板状(Plate Type)のバスバーを電力線Pとして使用し、装着部材720の側面に締結部721を形成して装着部材720内に挿入された第1基板310及び第2基板320を電力線Pに装着しているが、これは説明のための一つの実施例に過ぎず、装着部材720の側面または底面に締結部721を形成することで、一字形のバスバー、環状のバスバー、または所定の厚さを有する電線などにも適用することが可能である。
【0071】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材720の幅は、電力線Pの幅より広く形成しても良いが、センサー部311を構成するコイルC1~C4それぞれの幅は電力線Pの幅に相応するように形成するのが望ましい。
【0072】
図6では、複数のビアホール312が第1方向にジグザグ状に並んだ二列で形成されている形態を示しているが、これは線路パターニング313を介して複数のビアホール312をらせん状のコイル形状に接続するための配置であり、線路パターニング313を介して複数のビアホール312をらせん状のコイル形状に電気的に接続可能な限り、ジグザグ状でも一直線でも並んだ二列に形成することも可能である。
【0073】
図6に示す例では、X方向における第1位置に複数のビアホール112が配置されており、X方向における第2位置に複数のビアホール112が配置されている。第1位置の複数のビアホール112のY方向における位置と、第2位置の複数のビアホール112のY方向における位置とは異なっているが、それぞれのY方向における位置が一致していてもよい。
【0074】
換言すれば、複数のビアホール312が第1方向に一直線で並んだ二列で形成した場合、必要に応じて一方のビアホールの数が一つ多くまたは少なく形成されることもあり、どの場合でも線路パターニング313は複数のビアホール312を少なくとも一方の面では斜線で接続するのでジグザグと言う表現を用いるのであって、並んで二列に形成する限りジグザグ状と一直線状は同一の形態と見なすことができる。
【0075】
本発明の少なくとも一つの実施例において、線路パターニング313は、上記のような意味で並んだ二列で形成した複数のビアホール312をらせん状に電気的に接続し、第1方向を中心軸としてコイルC1~C4を成すように絶縁層の両面の導体層に形成される。
【0076】
本発明の少なくとも一つの実施例において、複数のビアホール312と線路パターニング313で形成した少なくとも一つ以上のコイルC1~C4を含む第1基板310は、コイルC1~C4の中心軸が電流を測定する対象となる電力線と交差する方向において第1基板310の第1面が電力線Pに近接して装着されるように構成される。「近接して装着」される構成は、例えば、第1基板310が電流センサー700(または図7に示す装着部材720)の内壁面に接した状態で装着される構成である。
【0077】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、電流を測定する対象である電力線をバイパスするかまたは切断せずにありのままの状態でセンサー部の第1面が電力線に並んで近接するように電力線に装着され、電力線に流れる電流を測定することができる。
【0078】
図8及び図9では、電流を測定する対象である電力線Pとして板状のバスバーを例として図示しているが、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、板状または環状のバスバー、一般的な導線などを含むあらゆる形の電力線に適用することが可能である。
【0079】
本発明の少なくとも一つの実施例において、図4及び図5に示すように、センサー部311は、中心軸が互いに略平行に形成した複数のコイルC1~C4を含み、複数のコイルC1~C4は、並列または直列に接続される。
【0080】
センサー部311は、コイルC1~C4に誘導される誘導電流によって電力線Pに流れる電流量を感知するので、誘導電流量が多ければ多いほど感度が高くなる。従って、中心軸が互いに平行に形成された複数のコイルC1~C4を並列に接続することで誘導電流量を増加させるか、または直列に接続することで誘導起電力を増加させて感度を向上させることができる。
【0081】
図10は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの組み立て過程を示す分解斜視図である。
【0082】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサーは、第2基板320上に装着され、第1基板310上に形成されたセンサー部と電気的に接続され、コイルC1~C4からの出力を受信して所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部をさらに備える。
【0083】
図10に示す例では、別途の第2基板320上に実装され、センサー部と電気的に接続され、コイルC1~C4からの出力を受信して所定の信号処理を介して電力線に流れる電流の大きさを表す電流信号を出力するための回路部を含む場合を示す。
【0084】
ここで、第2基板320は、第1基板310の第2方向に突出した両側を除いた部分と同一の大きさで形成され、第1基板310と所定の締結部材で締結されて遮蔽ケース730の内部に挿入されるように形成される。
【0085】
従って、センサー部が形成された第1基板310と回路部が実装された第2基板320を所定の締結部材(例えば、接続部340)を用いて物理的及び電気的に接続し、図10に示す矢印の方向に遮蔽ケース730に挿入すると、第2基板320は遮蔽ケース730の内部に挿入され、第1基板310は第2方向に突出した両側が凹部731に嵌め込まれて開口部732を塞ぐように遮蔽ケース730に装着される。
【0086】
即ち、第1基板310を遮蔽ケース730の凹部731に嵌め込むと、図10に示すように、遮蔽ケース730の開口部732の面L1と第1基板310の外側面L2が略同一面になる。
【0087】
本発明の少なくとも一つの実施例において、電流センサーは、電力線に流れる電流を感知するためのコイルC1~C4を含むセンサー部とセンサー部の出力端に接続されてノイズを除去するためのフィルター部とフィルター部を通った信号を増幅させるためのアンプ部を含む回路部で構成される。
【0088】
電流センサーのコイルC1~C4は、電流が流れる電力線に近接するように装着されることで、電力線で発生した磁界がコイルの内部に入って正弦波誘導電流を出力する電流感知部である。
【0089】
フィルター部は、誘導電流を低域通過フィルター(Low Pass Filter)を経て一定周波数を基準に低い周波数信号は通過させ、高い周波数信号を除去する機能をする。アンプ部を通過した信号は高域通過フィルター(High Pass Filter)を経て、DC成分のノイズが除去され、一定周波数以下の信号を除去する機能をする。
【0090】
アンプ部は、低域通過フィルターを経た信号を差動増幅器(Differential Amplifier)を用いて(約1000倍程度)増幅して正弦波を出力する。増幅率は、必要に応じて設定することができる。
【0091】
本発明の少なくとも一つの実施例において、第1基板310または第2基板320には、回路部からの信号を外部に出力するための信号出力端子322及び回路部に電力を供給するための電源供給端子323が電気的に接続される。
【0092】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遮蔽ケース730は、回路部に電源を供給するための電源線を通過させるための電源供給口(不図示)及び回路部からの信号出力線を通過させるための信号出力口(不図示)を含む。
【0093】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材720の締結部721は、電力線Pが挿入されて締結されるレール状の溝を有する。即ち、図7に示すように電流センサー700を構成し、図8に示すようにレール状の溝に板状の電力線Pを挿入し、図9に示すように、センサー部が電力線Pに近接するように電流センサー700が電力線Pに装着される。
【0094】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材720の締結部721は、電力線Pが挿入されて締結されるクリップ状の溝を有する。
【0095】
この構造は、例えば、図7に示す装着部材720の締結部721で電力線Pを外側から支持するL字形状の部分が装着部材720と合う部分で折曲部(不図示)を形成することで外側に回転可能に構成される。
【0096】
従って、例えば、図8及び図9に示すようなL字形のバスバーではなく、一字型のバスバーまたは環型のバスバーの場合にも用いることができる。
【0097】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材720の幅は電力線Pの幅に相当し、第1基板310の第1方向の幅は電力線Pの幅より狭く形成される。
【0098】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材720は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の内側の長さ(開口部から底までの内側の長さ)が、遮蔽ケース730の第3方向の外側の長さ(開口部から底までの外側の長さ)と同等に形成される(図7及び図8参照)。
【0099】
このようにすることで、センサー部及び回路部を含む遮蔽ケース730と装着部材720が一体となった電流センサー700を構成することができる。
【0100】
本発明の少なくとも一つの実施例において、装着部材720は、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の内側の長さ(開口部から底までの内側の長さ)が、遮蔽ケース730の第3方向の外側の長さ(開口部から底までの外側の長さ)より短く形成される。
【0101】
この構造は、装着部材720の締結部721に問題が発生するか、センサー部または回路部に問題が発生した場合に、遮蔽ケース730と装着部材720を容易に分離できるというメリットがある。
【0102】
図11は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線Pに装着した状態を示す側断面図である。図11に示す例では、説明の便宜上第1基板310のみを図示している。
【0103】
図11に示すように、センサー部が形成された第1基板310を開口部732を覆う形で遮蔽ケース730に装着した後に第1基板310が内側に向くように遮蔽ケース730を装着部材720内に挿入し、第1基板310が電力線Pに近接するように電力線Pに装着すると、電力線Pに電流が流れる際に発生する磁束Mが第1基板310に形成されたセンサー部のコイルCを通過するときに誘導電流が発生する。即ち、センサー部のコイルCは、電力線Pに電流が流れる際に発生する磁束Mを誘導させる誘導コイルとして機能する。
【0104】
電力線Pに交流電流が流れると、電力線Pの周辺に発生する磁束MがコイルCの内部を流れ、これによるコイルCの内部の磁束変化は誘導電流または誘導起電力に変換されて出力される。従って、このような誘導電流または誘導起電力を演算することで電力線Pに流れる電流の量を測定することができる。
【0105】
本発明の少なくとも一つの実施例において、遮蔽ケース730は、第1基板310の第1方向と直交する第2方向に突出する両側が嵌め込まれるように開口部732の第2方向に対向する両側に凹部731を有し、第1基板310の第2方向に突出する両側が開口部732の凹部731に嵌め込まれると、第1方向の両側が開口部732の内に挿入されて開口部732を塞ぐようになるので、センサー部が電力線Pに近接するように遮蔽ケース730を電力線Pに装着すると、遮蔽ケース730がセンサー部の外側面(電力線Pの反対側)を遮蔽し、電力線P自体が電力線P側を遮蔽する役割をすることになる。
【0106】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、遮蔽ケース730に第1基板310を装着し、これを装着部材720に挿入して電力線Pに装着すると、装着部材720の底面を間においてセンサー部の全ての方向を遮蔽ケース730と電力線Pが遮蔽する構造を有する。
【0107】
このような構造で、電力線Pに電流が流れる際に発生する磁束MがコイルCに入るようにし、同時にセンサー部の四方を遮蔽するので、センサー部の幅(第1方向の長さ)を電力線Pの幅以下に設定する必要がある。
【0108】
以上のような本発明の構成によると、電力線Pの外部から伝達される電磁波ノイズを遮蔽ケース730により遮断し、電力線Pから発生する磁気変化は主に遮蔽ケース730の内部でセンサー部に伝達されるので、外部ノイズの影響を最小化することができる。
【0109】
図12は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーを電力線Pに装着する形態を示す側面図である。
【0110】
図12の(a)は、図9に示すように、第1基板310と第2基板320が接続部340によって電気的に接続され、第1基板310が電力線Pと平行に第2基板320より電力線Pに近く位置するように装着された形態を示す。
【0111】
図12の(b)は、電力線PがMCU(Micro Controller Unit)1211などが実装されたコントロールボード1210に形成した貫通孔を通過するように構成された形態で、コントロールボード1210上にセンサー部を有する第1基板1220,回路部を有する第2基板1230、及び第1基板1220と第2基板1230を電気的に接続するための接続部1240を形成した形態を示す。
【0112】
即ち、図12の(b)では、図1に示す基板110の代わりに電力線Pに流れる電流を検出して電力管理を行うためのMCU1211が実装されたコントロールボード1210を用いて電流センサーを構成する形態を示す。
【0113】
図13は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーと特許文献1に記載されている電流センサーの電流感知性能を比較するための測定グラフである。
【0114】
図13に示すように、両方ともに300Aまでセンサーの出力が飽和することなく線形に増加しているが、1A以下の領域を拡大して見ると、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーはセンサーの出力が依然として線形に増加しているのに対し、特許文献1に記載されている電流センサーはセンサーの出力に変化がないことが分かる。
【0115】
即ち、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーが、電流の増加に伴うセンサー出力の傾きのみならず、1A以下の低電流領域においても依然としてリニアなセンサー出力を示しているので、感度の面でより優れた長所をもっていると言える。
【0116】
図14は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのノイズ特性を示す測定グラフである。
【0117】
図14に示すグラフは、0Aと10Aの電流が電力線に流れる際に電力線に装着した電流センサーの出力電圧波形をオシロスコープで測定したものである。一般に、バスバーに適用される電流センサーが0Aのときに正弦波の形を確認しにくいほどのノイズが含まれるのに対し、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、0Aの場合でもはっきりとした正弦波を出力するので、ノイズによる影響をほとんど受けないことが分かる。
【0118】
図15は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの非飽和特性を示す測定グラフである。
【0119】
図15に示すグラフは、定格仕様40/5Aの商用CTと本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーの特性を比較したものである。電力線に流れる電流を増加させると、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは非飽和特性を示すのに対し、CTは50A付近から飽和特性を示している。
【0120】
図4ないし図6に示す電流センサーはPCBを用いて、内壁に導電膜を形成した複数のビアホールと線路パターニングを介してコイルを形成する例を示しているが、センサー部のコイルを絶縁被覆された導線で形成することもできる。
【0121】
図16及び図17は、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーのセンサー部のコイル形成形態を示す透視図である。
【0122】
図16に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、絶縁材質の基板1610、基板1610に第1方向(y方向)に並んで形成した二列の貫通孔1612、及び二列の貫通孔1612を介して絶縁被覆導線1613をらせん状に巻いて第1方向を中心軸とする少なくとも一つ以上のコイルC1を含むセンサー部で構成される。
【0123】
本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、センサー部に用いるコイルを、ビアホールと線路パターニングではなく、絶縁被覆された導線でコイルを形成した以外には図1ないし図12に示す電流センサーと同一の構造を取ることができる。
【0124】
図17に示すように、本発明の少なくとも一つの実施例に係る電流センサーは、図6または図16に示すように、基板1710上形成された少なくとも一つ以上のコイル(図17に示す例では、基板1710に第1方向に並んで形成した二列の貫通孔1712及び二列の貫通孔1712を介して絶縁被覆導線1713をらせん状に巻いて第1方向を中心軸として形成した少なくとも一つ以上のコイルC1)を含むセンサー部で構成される。
【0125】
本発明の少なくとも一つの実施例において、センサー部は、誘導コイルとして機能するコイルC1で構成され、必要に応じて鉄心コア1750を含むこともできる。コアレスコイルの場合飽和しない特徴を有する反面、鉄心コアを有するコイルは鉄心の磁束密度が最大になると飽和する短所はあるが、感度が高くなる長所がある。
【0126】
鉄心コア1750は、例えば、基板1710の絶縁層を形成する際に、二枚の絶縁層の間にコイルC1のパターンに合わせて鉄心部材を挿入した後に二枚の絶縁層を圧着することで形成しても良いし、図6または図16に示すようなセンサー部を形成した後に側面からコイルC1の内部に穴を開けて鉄心部材を穴に挿入することで形成してもよい。
【0127】
図16及び図17に示すセンサー部でも、コイルを形成するための線路パターンの形成時に電力線と平行な線路1618、1718の長さを最大限短く形成する。
【0128】
以上説明したように、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、商用周波数の電流測定時に高感度を維持しながらノイズの影響を最小化し、センサー自体のサイズを小型化できる電流センサーを提供することができる。
【0129】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0130】
100、200、300、700:電流センサー
110、210:基板
120、220、311:センサー部
130、230、321:回路部
140、240、340:接続部
310:第1基板
320:第2基板
312:ビアホール(Via Hole)
313:線路パターニング
314:センサー出力端子
316:L字の溝
317:導電膜
322:信号出力端子
323:電源供給端子
720:装着部材
730:遮蔽ケース
731:凹部
1200:コントロールボード
1211:MCU
1610、1710:基板
1612、1712:貫通孔
1613、1713:絶縁被覆導線
C、C1、C2、C3、C4:コイル
M:磁束
P:電力線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2025-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線を流れる電流を測定するための電流センサーであって、
絶縁層及び前記絶縁層の両面にそれぞれ形成された第1導体層及び第2導体層を含む基板の前記絶縁層と前記第1導体層及び第2導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via HoLe)及び前記第1導体層及び第2導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上の直線状のコイルを含むセンサー部と、
前記第1導体層上において前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、
前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部と、
を備え、
前記電力線の電流が流れる方向である前記電力線の長手方向と直交する前記電力線の短手方向における前記センサー部の幅と回路部の幅とは、電流を測定する対象である前記電力線の幅以下に形成されており、前記回路部は前記電力線と重なっており、
前記センサー部と前記回路部とは、前記電力線の前記長手方向に沿って並んで配置されている、
電流センサー。
【請求項2】
電力線を流れる電流を測定するための電流センサーであって、
絶縁層及び前記絶縁層の両面にそれぞれ形成された第1導体層及び第2導体層を含む基板の前記絶縁層と前記第1導体層及び第2導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via HoLe)及び前記第1導体層及び第2導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上の直線状のコイルを含むセンサー部と、
前記第1導体層上に前記センサー部に近接配置され、前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部と、
前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部と、
を備え、
前記電力線の電流が流れる方向である前記電力線の長手方向と直交する前記電力線の短手方向における前記センサー部の幅と回路部の幅とは、電流を測定する対象である前記電力線の幅以下に形成されており、
前記センサー部と前記回路部とは、前記電力線の前記短手方向に沿って並んで配置されている、
電流センサー。
【請求項3】
電力線を流れる電流を測定するための電流センサーであって、
絶縁層及び前記絶縁層の両面に形成された導体層を含む第1基板の前記絶縁層と前記導体層を貫通するように形成され、内壁に導電膜を有する複数のビアホール(Via HoLe)及び前記導体層に前記複数のビアホールを電気的に接続するように形成した線路パターニングで成された少なくとも一つ以上の直線状のコイルを含むセンサー部と、
前記センサー部の検出信号を外部に出力するための回路部を有する第2基板と、
前記センサー部と前記回路部を電気的に接続するための接続部と、
を備え、
前記電力線の電流が流れる方向である前記電力線の長手方向と直交する前記電力線の短手方向における前記センサー部の幅と回路部の幅とは、電流を測定する対象である前記電力線の幅以下で形成されており、前記回路部は前記電力線と重なっており、
前記第1基板及び前記第2基板は互いに法線方向に重畳されるように配置されている、
電流センサー。
【請求項4】
前記コイルは、前記コイルの中心軸に沿ってその中心部に鉄心コアを含む、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項5】
前記回路部は、少なくとも低域通過フィルターと増幅器を含む、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項6】
前記センサー部及び前記回路部の両方を内部に収容するボックス状に構成され、外側面に前記センサー部を前記電力線に締結するための締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項7】
前記センサー部及び前記回路部の両方を内部に収容するために、第1側に開口部を有するボックス状に構成される導電性材質の遮蔽ケースをさらに備える、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の電流センサー。
【請求項8】
前記遮蔽ケースの前記開口部が挿入されるように一面が開放されたボックス状に構成され、外側面に前記センサー部を前記電力線に締結するための締結部を有する、絶縁材質の装着部材をさらに備える、
請求項に記載の電流センサー。