(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014451
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
H01F27/29 125
H01F27/29 G
H01F27/29 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117017
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宋 ミヌ
(72)【発明者】
【氏名】土田 せつ
(72)【発明者】
【氏名】小杉 舜
(72)【発明者】
【氏名】角谷 孝
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】榎木 正臣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏志
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA03
5E070EA02
5E070EA06
5E070EB03
(57)【要約】
【課題】実装部と実装基板との間の接合品質の高いコイル装置を提供すること。
【解決手段】コイル装置1は、巻回部11と、巻回部11から引き出された引出部12aとを有するワイヤ10と、巻回部11が設けられた芯部21と、芯部21の軸方向の一端に形成された鍔部22aとを有するコア20と、実装基板に接続可能な実装部31と、引出部12aに接続された継線部32と、実装部31と継線部32とを接続する連結部36とを有する端子具30aと、を有する。実装部31および継線部32は、鍔部22aの実装面221に配置されている。連結部36は、鍔部22aの端面224と鍔部22aの側面225とを経由して、実装部31から継線部32にかけて延在している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部とを有するワイヤと、
前記巻回部が設けられた芯部と、前記芯部の軸方向の一端に形成された鍔部とを有するコアと、
実装基板に接続可能な実装部と、前記引出部に接続された継線部と、前記実装部と前記継線部とを接続する連結部とを有する端子具と、を有し、
前記実装部および前記継線部は、前記鍔部の実装面に配置されており、
前記連結部は、前記鍔部の端面と前記鍔部の側面とを経由して、前記実装部から前記継線部にかけて延在しているコイル装置。
【請求項2】
前記鍔部は、前記実装面に形成された凹部を有し、
前記実装部は、前記凹部とは異なる位置で、前記実装面に配置され、
前記継線部は、前記凹部の内部に配置されている請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記引出部の少なくとも一部は、前記継線部と前記実装面との間に配置されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記継線部は、前記引出部を前記実装面に向けて押さえる第1押さえ片と、前記第1押さえ片よりも前記鍔部の端面側で、前記引出部を前記実装面に向けて押さえつつ、前記引出部に接続された第2押さえ片とを有する請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第1押さえ片および前記第2押さえ片は、かしめ構造を有する請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記継線部は、前記引出部の少なくとも一部が収容された端子溝部を有し、
前記端子溝部は、前記実装面と対向する前記継線部の内面に形成されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記鍔部は、前記引出部の少なくとも一部が収容された鍔溝部を有し、
前記鍔溝部は、前記継線部と対向する位置で、前記実装面に沿って延在している請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記端子具は、第1端子具と第2端子具とを有し、
前記第1端子具は、前記鍔部の一方の側面側に配置されており、
前記第2端子具は、前記鍔部の他方の側面側に配置されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記コアに取り付けられる板状コアをさらに有し、
前記板状コアは、前記実装面とは反対側に位置する前記鍔部の非実装面に接合されている請求項1または2に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子具を有するコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるように、端子具を有するコイル装置に関し、種々の技術が提案されている。特許文献1のコイル装置において、端子具は、実装部と継線部とを有する。実装部は、例えばハンダによって、実装基板のランドパターンに接続される部分である。継線部は、例えばレーザ溶接により、ワイヤの引出部が接続される部分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引出部を継線部に接続する技術として、ハンダ、レーザ溶接、熱圧着、抵抗ろう付け等、種々の技術が知られている。これらの技術によって、引出部を継線部に接続すると、熱が継線部から実装部に伝搬し、実装部の温度が上昇する。そのため、実装基板に対する実装部の接合性が低下し、実装部と実装基板との間の接合強度が低下し得る。その結果、実装基板からコイル装置が離脱するなどの実装不良が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、実装部と実装基板との間の接合品質の高いコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
巻回部と、前記巻回部から引き出された引出部とを有するワイヤと、
前記巻回部が設けられた芯部と、前記芯部の軸方向の一端に形成された鍔部とを有するコアと、
実装基板に接続可能な実装部と、前記引出部に接続された継線部と、前記実装部と前記継線部とを接続する連結部とを有する端子具と、を有し、
前記実装部および前記継線部は、前記鍔部の実装面に配置されており、
前記連結部は、前記鍔部の端面と前記鍔部の側面とを経由して、前記実装部から前記継線部にかけて延在している。
【0007】
本発明に係るコイル装置では、連結部が、鍔部の端面と鍔部の側面とを経由して、実装部から継線部にかけて延在している。すなわち、連結部は、実装部と継線部とを結ぶ最短経路(実装面に沿った経路)に沿って延在しているのではなく、当該最短経路を迂回する経路(鍔部の端面と側面とを経由する経路)に沿って延在している。そのため、連結部が上記最短経路に沿って延在する場合に比べて、連結部の延在方向に沿った長さが長くなり、実装部と継線部との間の連結部を通じた距離が長くなる。これにより、継線部から実装部に伝搬される熱の伝搬量が低減され、実装部の温度上昇が緩和される。したがって、実装基板に対する実装部の接合性が向上し、実装部と実装基板との間の接合品質を高めることができる。
【0008】
また、例えば実装部を鍔部の実装面に接着する場合、実装部の温度上昇が緩和されることにより、実装部と鍔部の実装面との間の接着層が劣化しにくくなる。これにより、実装面に対する実装部の接合性が向上し、実装部と実装面との間の接合品質が向上する。
【0009】
前記鍔部は、前記実装面に形成された凹部を有し、前記実装部は、前記凹部とは異なる位置で、前記実装面に配置され、前記継線部は、前記凹部の内部に配置されていてもよい。この場合、実装部を実装基板に接続するときに、継線部が実装基板から離間して配置され、継線部が実装基板に接触しにくくなる。そのため、継線部と実装基板との間のショート不良を防止することができる。
【0010】
前記引出部の少なくとも一部は、前記継線部と前記実装面との間に配置されていてもよい。この場合、例えば引出部を継線部に接続するときに、引出部の弾性による位置ずれを継線部あるいは実装面によって阻止することができる。これにより、引出部を継線部の所望の位置に接続することができ、引出部と継線部との間の接合品質が向上する。
【0011】
前記継線部は、前記引出部を前記実装面に向けて押さえる第1押さえ片と、前記第1押さえ片よりも前記鍔部の端面側で、前記引出部を前記実装面に向けて押さえつつ、前記引出部に接続された第2押さえ片とを有していてもよい。例えば、引出部を第2押さえ片に接続する前に、第1押さえ片によって引出部を実装面に向けて押さえつけておくことにより、引出部の位置がばらつきにくくなり、引出部を第2押さえ片の所望の位置に接続することができる。また、第2押さえ片によって引出部を実装面に向けて押さえつけておくことにより、引出部と第2押さえ片との間の接触性を確保しつつ、引出部を第2押さえ片に接続することができる。
【0012】
前記第1押さえ片および前記第2押さえ片は、かしめ構造を有していてもよい。この場合、第1押さえ片および第2押さえ片をかしめることにより、引出部を実装面に向けて容易に押さえつけることができる。
【0013】
前記継線部は、前記引出部の少なくとも一部が収容された端子溝部を有し、前記端子溝部は、前記実装面と対向する前記継線部の内面に形成されていてもよい。この場合、端子溝部によって引出部が位置決めされ、継線部に対する引出部の位置がばらつきにくくなる。これにより、引出部を継線部の所望の位置に接続することができ、引出部と継線部との間の接合品質が向上する。
【0014】
前記鍔部は、前記引出部の少なくとも一部が収容された鍔溝部を有し、前記鍔溝部は、前記継線部と対向する位置で、前記実装面に沿って延在していてもよい。この場合、鍔溝部によって引出部が位置決めされ、継線部に対する引出部の位置がばらつきにくくなる。これにより、引出部を継線部の所望の位置に接続することができ、引出部と継線部との間の接合品質が向上する。
【0015】
前記端子具は、第1端子具と第2端子具とを有し、前記第1端子具は、前記鍔部の一方の側面側に配置されており、前記第2端子具は、前記鍔部の他方の側面側に配置されていてもよい。鍔部に2つの端子具を具備させることにより、コイル装置を実装基板に実装したときに、コイル装置の実装安定性が向上する。
【0016】
前記コアに取り付けられる板状コアをさらに有し、前記板状コアは、前記実装面とは反対側に位置する前記鍔部の非実装面に接合されていてもよい。この場合、コアと板状コアとによって、閉磁路が形成され、コイル装置の磁気特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図5】
図5は
図1に示すコイル装置をY軸方向から見た側面図である。
【
図6】
図6は
図1に示すコイル装置をX軸方向から見た側面図である。
【
図7】
図7は本発明の第2実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図9】
図9は本発明の第3実施形態に係るコイル装置の分解斜視図である。
【
図11】
図11は本発明の第4実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【
図14】
図14は本発明の第5実施形態に係るコイル装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。図示する内容は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0019】
第1実施形態
図1に示すコイル装置1は、例えばインダクタとして機能し、電気機器の電源等に搭載され得る。コイル装置1は、ワイヤ10と、コア20と、端子具30aおよび30bとを有する。コイル装置1は、これらの部材に加えて、板状コア50を有しているが、板状コア50は必須ではない。
【0020】
図2に示すように、ワイヤ10は、コイル状に巻回された巻回部11と、巻回部11から引き出された引出部12aおよび12bとを有する。ワイヤ10は、特に限定されないが、銅線などが絶縁性の被膜13で被覆された絶縁被覆ワイヤである。ワイヤ10の線径は、特に限定されないが、例えば10~300μmである。引出部12aおよび12bの各々の先端部において、被膜13は除去されている。
【0021】
コア20は、ドラムコアであり、芯部21と、鍔部22aおよび22bとを有する。コア20は、磁性体であり、フェライト組成物、金属組成物、あるいは、これらと樹脂との複合組成物等で構成されている。芯部21の外周面には、ワイヤ10が巻回され、巻回部11が形成されている。巻回部11の巻軸方向の端部と鍔部22aとの間には、隙間が形成されている。また、巻回部11の巻軸方向の端部と鍔部22bとの間には、隙間が形成されている。
図3に示すように、芯部21の軸方向に垂直な断面形状は、八角形であるが、四角形、六角形、その他の多角形、円形、楕円形等でもよい。
【0022】
鍔部22aは芯部21の軸方向の一端に形成されており、鍔部22bは芯部21の軸方向の他端に形成されている。鍔部22aおよび22bは、それぞれ、実装面221と、非実装面222と、内端面223と、外端面224と、第1側面225と、第2側面226とを有する。実装面221と非実装面222とは対向しており、内端面223と外端面224とは対向しており、第1側面225と第2側面226とは対向している。
【0023】
図2等において、X軸は、内端面223と外端面224とが対向する方向に沿った軸である。Y軸は、第1側面225と第2側面226とが対向する方向に沿った軸である。Z軸は、実装面221と非実装面222とが対向する方向に沿った軸である。X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直である。また、X軸は、芯部21の軸方向に対応している。
【0024】
鍔部22aおよび22bは、実装面221に形成された凹部25を有する。凹部25は、実装面221のうち、第1側面225に近接する側に形成されている。実装面221は、第1側面225に近接する側において、凹部25によって切り欠かれている。凹部25の深さは、特に限定されないが、後述する端子具30aまたは30bの継線部32を収容可能な深さである。
【0025】
実装面221は、凹部25が形成されていない領域である第1領域23と、凹部25が形成された領域である第2領域24とを有する。第1領域23および第2領域24は、いずれも平坦面であり、Y軸に沿って隣接している。第1領域23のY軸方向の長さは、第2領域24のY軸方向の長さよりも長いが、これと同等、あるいはこれよりも短くてもよい。
【0026】
第1領域23と第2領域24との間には、Z軸に沿って、段差が形成されている。第1領域23と第2領域24とを接続する段差形成面29は、実装面221のX軸方向の一端から他端にかけて延在している。第1領域23および第2領域24の各々の外縁部には、割れあるいは欠けの防止のために、切り欠き部(面取り部)26が形成されている。
【0027】
鍔部22aの凹部25と鍔部22bの凹部25とは、芯部21に対して、相互にY軸方向の反対側に位置している。そのため、鍔部22aの凹部25と鍔部22bの凹部25とが、芯部21に対してY軸方向の同一側に位置する場合に比べて、コイル装置1を実装基板(図示略)に実装するときに、実装基板に対するコイル装置1の安定性が向上する。なお、鍔部22aの凹部25と鍔部22bの凹部25とは、芯部21に対して、Y軸方向の同一側に位置していてもよい。
【0028】
図4に示すように、端子具30aは、実装部31と、継線部32と、連結部36とを有する。また、端子具30bは、実装部31と、継線部32と、連結部36とを有する。端子具30aと端子具30bとは同一形状を有するが、異なる形状を有していてもよい。端子具30aおよび30bは、金属などの導体で構成されている。端子具30aおよび30bの表面には、全体的あるいは局所的に、SnやNiなどのメッキ膜が形成されている。端子具30aおよび30bの各々の厚みは、特に限定されないが、50~300μmである。実装部31、継線部32および連結部36の各々の板厚は、等しくなっているが、異なっていてもよい。
【0029】
実装部31は、実装基板に接続可能な部分である。実装部31は、実装面221(
図3)の第1領域23に平行な面を有する。
図1に示すように、実装部31は、第1領域23に配置されている。すなわち、実装部31は、凹部25とは異なる位置で、実装面221に配置されている。
【0030】
端子具30aおよび30bがそれぞれ鍔部22aおよび22bに固定された状態において、実装部31は、接着剤(例えば、エポキシ系の接着剤)によって、第1領域23(
図3)に接着されている。これにより、実装部31と第1領域23との間に接着層が形成され、端子具30aおよび30bの離脱を防止することができる。実装部31は、ハンダや導電性接着剤などによって、実装基板のランドパターンに接続されてもよい。
【0031】
実装部31のY軸方向の長さは、特に限定されないが、実装面221に、実装基板に対するコイル装置1の安定性が向上する。
【0032】
、継線部32は、引出部12aまたは12bに接続される部分である。引出部12aは、継線部32に対して、ハンダ、レーザ溶接、熱圧着、超音波接合、抵抗ろう付け、紫外線硬化樹脂接合等によって接続されてもよい。引出部12bについても同様である。
【0033】
本実施形態では、引出部12aおよび12bは、レーザ溶接によって継線部32に接続されている。そのため、
図1に示すように、端子具30aの継線部32と引出部12aとの接続部には、溶融部(溶接玉)40が形成されている。また、端子具30bの継線部32と引出部12bとの接続部には、溶融部40が形成されている。引出部12aおよび12bは、溶融部40によって、継線部32と一体化している。
【0034】
継線部32の少なくとも一部は、実装面221の第2領域24(
図3)に配置されている。また、継線部32の少なくとも一部は、凹部25の内部に配置されている。そのため、実装部31を実装基板に接続するときに、継線部32が実装基板から離間して配置され、継線部32が実装基板に接触しにくくなる。これにより、継線部32と実装基板との間のショート不良を防止することができる。継線部32の一部は、第1側面225に配置されているが、継線部32の全部が第2領域24に配置されていてもよい。継線部32は、接着剤によって、第2領域24に接着されておらず、継線部32と第2領域24との間には隙間が形成されている。
【0035】
図4に示すように、継線部32は、第1押さえ片33と、第2押さえ片34と、第1押さえ片33と第2押さえ片34の間に形成された溝部35とを有する。第1押さえ片33および第2押さえ片34は、溝部35を介して、相互に反対側に位置する。第1押さえ片33は、鍔部22aおよび22bの各々の内端面223(
図3)側に位置する。第2押さえ片34は、鍔部22aおよび22bの各々の外端面224(
図3)側に位置する。
【0036】
第1押さえ片33および第2押さえ片34は、屈曲可能に構成されており、かしめ構造を有する。
図4には、第1押さえ片33の屈曲前の状態を実線で示し、第1押さえ片33の屈曲後の状態を二点鎖線で示している。また、第2押さえ片34の屈曲前の状態を実線で示し、第2押さえ片34の屈曲後の状態を二点鎖線で示している。
【0037】
第1押さえ片33は、細長い形状を有する板片で構成されており、Z軸に沿って立ち上がった状態から、ほぼ直角に屈曲可能に構成されている。第2押さえ片34は、L字形状を有する板片で構成されており、Z軸に沿って立ち上がった状態から、ほぼ直角に屈曲可能に構成されている。
図1に示すように、第1押さえ片33は、屈曲した状態において、第2領域24(
図3)に平行に配置されている。また、第2押さえ片34は、屈曲した状態において、第2領域24に平行に配置されている。
【0038】
図4に示すように、第2押さえ片34は、拡張部340を有する。拡張部340は、第2押さえ片34の先端部に形成されており、拡張部340のX軸に沿った長さは、他の部分のX軸に沿った長さよりも長くなっている。
【0039】
図1および
図5に示すように、引出部12aの少なくとも一部は、継線部32と実装面221の第2領域24(
図3)との間に配置されており、継線部32と実装面221とによって挟まれている(把持されている)。継線部32と第2領域24との間には隙間が形成されており、引出部12aの少なくとも一部は隙間の内部に配置されている。
【0040】
また、引出部12bの少なくとも一部は、継線部32と実装面221の第2領域24との間に配置されてており、継線部32と第2領域24とによって挟まれている(把持されている)。継線部32と第2領域24との間には隙間が形成されており、引出部12bの少なくとも一部は隙間の内部に配置されている。
【0041】
第1押さえ片33は、かしめ構造を有し、引出部12aまたは12bを実装面221に向けて押さえつけている。第2押さえ片34は、かしめ構造を有し、第1押さえ片33よりも外端面224側で、引出部12aまたは12bを実装面221に向けて押さえつけている。第1押さえ片33および第2押さえ片34をかしめることにより、引出部12aまたは12bを実装面221に向けて容易に押さえつけることができる。なお、引出部12aまたは12bは、実装面221の第2領域24に当接していてもよく、あるいは、引出部12aまたは12bと実装面221との間に隙間が形成されていてもよい。
【0042】
引出部12aまたは12bは、第2押さえ片34の内面(実装面221と対向する面)に接している。また、引出部12aまたは12bは、例えばレーザ溶接によって、第2押さえ片34の拡張部340に接続されている。溶融部40は、第2押さえ片34(拡張部340)に形成されている一方で、第1押さえ片33には形成されていない。引出部12aまたは12bは、第1押さえ片33の内面(実装面221と対向する面)に接しているものの、溶融部40によって第1押さえ片33と一体化してはいない。
【0043】
例えば、引出部12aを第2押さえ片34に接続する前に、第1押さえ片33によって引出部12aを実装面221に向けて押さえつけておくことにより、引出部12aの位置がばらつきにくくなり、引出部12aを第2押さえ片34の所望の位置に接続することができる。また、第2押さえ片34によって引出部12aを実装面221に向けて押さえつけておくことにより、引出部12aと第2押さえ片34との間の接触性を確保しつつ、引出部12aを第2押さえ片34に接続することができる。引出部12bについても、同様である。
【0044】
図4に示すように、連結部36は、実装部31と継線部32とを接続している部分である。連結部36の延在方向の一端は、実装部31のX軸方向の外側の端部に連続的に接続されている。また、連結部36の延在方向の他端は、第1押さえ片33および第2押さえ片34の各々の端部(根本)に連続的に接続されている。
【0045】
図3および
図4に示すように、連結部36は、第1側面225と外端面224との交差部(稜線部)において、L字状に屈曲しており、平面視において、L字形状(屈曲構造)を有する。連結部36は、側面対向部361と、側面対向部361に対して直交する端面対向部362とを有する。
図5に示すように、側面対向部361は、第1側面225と対向するように、第1側面225上に配置されている。側面対向部361は、第1側面225に接触しているが、側面対向部361と第1側面225との間には隙間が形成されていてもよい。側面対向部361のZ軸に沿った長さは、特に限定されないが、第1側面225のZ軸に沿った長さの1/2以下である。
【0046】
第1押さえ片33および第2押さえ片34は、側面対向部361のZ軸方向の一端から、立ち上がるように延在している。側面対向部361と第1側面225との間には、接着剤は充填されていない。
【0047】
図6に示すように、端面対向部362は、外端面224と対向するように、外端面224上に配置されている。端面対向部362は、X軸方向から見て、L字形状(屈曲構造)を有する。端面対向部362は、外端面224に接触しているが、端面対向部362と外端面224との間には隙間が形成されていてもよい。また、端面対向部362(特に、後述する幅広部362w)は、接着剤によって、外端面224に接着されていてもよい。
【0048】
端面対向部362は、幅広部362wと、幅狭部362nとを有する。幅広部362wのZ軸方向の一端は、実装部31(
図4)に連続的に接続されている。
幅広部362wのZ軸方向の長さL1は、幅狭部362nのZ軸方向の長さL2よりも長い。また、幅広部362wの面積は、幅狭部362nの面積よりも大きい。L1とL2との比L1/L2は、特に限定されないが、2以上である。また、幅広部362wのZ軸方向の長さL1は、特に限定されないが、外端面224のZ軸方向の長さの1/2以上である。
【0049】
幅広部362wのY軸に沿った長さL3は、幅狭部362nのY軸に沿った長さL4よりも長い。L3とL4との比L3/L4は、特に限定されないが、1以上である。また、幅広部362wのY軸方向の長さL3は、特に限定されないが、外端面224のY軸方向の長さの1/2以上である。
【0050】
幅狭部362nは、幅広部362wに隣接しており、Y軸に沿って延在している。幅狭部362nは、幅広部362wと側面対向部361(
図4)とを連続的に接続している。幅狭部362nは、外端面224上において、第2領域24よりも非実装面222側に位置している。
【0051】
図5および
図6に示すように、連結部36は、鍔部22aの2つの面、すなわち外端面224と第1側面225とを経由して、実装部31から継線部32にかけて延在している。連結部36は、幅広部362wから幅狭部362nにかけてL字状に屈曲し、かつ、幅狭部362nから側面対向部361にかけてL字状に屈曲した構造を有する。このように、連結部36は、2か所において屈曲しているが、3か所以上において屈曲していてもよい。例えば、
図6に示す例では、端面対向部362は、外端面224上において、1か所で屈曲しているが、2か所以上で屈曲してもよい。
【0052】
コイル装置1を実装基板に実装するとき、連結部36には、ハンダや導電性接着剤などのフィレットが形成されてもよい。この場合、フィレットによって、実装部31と実装基板との間の接続を補強することができる。
【0053】
図5に示すように、引出部12aは、芯部21から外端面224まで引き出されている。引出部12bについても同様である。また、溶融部40は、拡張部340のX軸方向の端部に形成されており、溶融部40の一部は、外端面224よりもX軸方向の外側に位置している。引出部12aまたは12bを継線部32に接続するときに、外端面224よりもX軸方向の外側において、レーザが継線部32(第2押さえ片34)に照射されるためである。この場合、レーザ照射時に鍔部22aまたは22bにダメージが加わることを防止することができる。
【0054】
図2に示すように、板状コア50は、直方体形状を有する板体であり、コア20に取り付けられる。板状コア50は、コア20と同様の材料で構成されているが、コア20とは異なる材料で構成されていてもよい。
図1に示すように、板状コア50は、鍔部22aおよび22bの各々の非実装面222に接着剤によって接着されている。板状コア50の外縁部には、割れあるいは欠けの防止のために、切り欠き部(面取り部)が形成されている。コア20に板状コア50を取り付けることにより、コア20と板状コア50とからなる閉磁路が形成され、コイル装置1の磁気特性が向上する。
【0055】
次に、コイル装置1の製造方法について説明する。まず、
図2に示すワイヤ10と、コア20と、端子具30aおよび30bとを準備する。例えば、コア20のX軸方向の長さは1~6mmであり、コア20のY軸方向の長さは0.5~3mmであり、コア20のZ軸方向の長さは0.5~3mmであるが、コア20のサイズは特に限定されない。
【0056】
次に、鍔部22aに端子具30aの実装部31を接着剤で接着し、鍔部22aに端子具30bを取り付ける。また、鍔部22bに端子具30bの実装部31を接着剤で接着し、鍔部22bに端子具30bを取り付ける。このとき、
図4に示すように、第1押さえ片33および第2押さえ片34を立ち上げておく。次に、
図2に示すように、芯部21にワイヤ10を巻回し、巻回部11を形成する。
【0057】
次に、ワイヤ10の一方側を、鍔部22aの第2領域24上を通過するように、芯部21から鍔部22aの外端面224側へ引き出す。そして、
図4に示す第1押さえ片33を直角となるように折り曲げて、第1押さえ片33によって、ワイヤ10の一方側を実装面221に向けて押さえつける。次に、外端面224よりもX軸方向の外側において、ワイヤ10の一方側を切断具で切断する。次に、
図4に示す第2押さえ片34を直角となるように折り曲げて、第2押さえ片34によって、ワイヤ10の一方側の端部を実装面221に向けて押さえつける。また、適当なタイミングで、ワイヤ10の一方側の端部の被膜13を剥離する。
【0058】
同様に、ワイヤ10の他方側を、鍔部22bの第2領域24上を通過するように、芯部21から鍔部22bの外端面224側へ引き出す。そして、
図4に示す第1押さえ片33を直角となるように折り曲げて、第1押さえ片33によって、ワイヤ10の他方側を実装面221に向けて押さえつける。次に、外端面224よりもX軸方向の外側において、ワイヤ10の他方側を切断具で切断する。次に、
図4に示す第2押さえ片34を直角となるように折り曲げて、第2押さえ片34によって、ワイヤ10の他方側の端部を実装面221に向けて押さえつける。また、適当なタイミングで、ワイヤ10の他方側の端部の被膜13を剥離する。
【0059】
次に、
図5に示すように、端子具30aの拡張部340に向けてレーザを照射し、引出部12aを拡張部340に接続する。同様に、端子具30bの拡張部340に向けてレーザを照射し、引出部12bを拡張部340に接続する。なお、拡張部340は、溶融されることにより(溶融部40が形成されることにより)、X軸方向の長さが短くなる。次に、鍔部22aおよび22bの各々の非実装面222に板状コア50を接着剤で接着する。以上のようにして、コイル装置1を製造することができる。
【0060】
図1に示すように、本実施形態のコイル装置1では、連結部36が、鍔部22aの外端面224と第1側面225とを経由して、実装部31から継線部32にかけて延在している。すなわち、連結部36は、実装部31と継線部32とを結ぶ最短経路(実装面221に沿った経路)に沿って延在しているのではなく、当該最短経路を迂回する経路(鍔部22aの外端面224と第1側面225とを経由する経路)に沿って延在している。そのため、連結部36が上記最短経路に沿って延在する場合に比べて、連結部36の延在方向に沿った長さが長くなり、実装部31と継線部32との間の連結部36を通じた距離が長くなる。これにより、引出部12aを継線部32にレーザ溶接するときに、継線部32から実装部31に伝搬される熱の伝搬量が低減され、実装部31の温度上昇が緩和される。その結果、実装部31の表面のメッキ膜が劣化しにくくなり、実装基板に対する実装部31の接合性が向上し、実装部31と実装基板との間の接合品質を高めることができる。
【0061】
また、実装部31の温度上昇が緩和されることにより、実装部31と実装面221との間の接着剤が劣化しにくくなる。これにより、実装面221に対する実装部31の接合性が向上し、実装部31と実装面221との間の接合品質を高めることができる。
【0062】
また、引出部12aの少なくとも一部は、継線部32と実装面221との間に配置されている。そのため、引出部12aを継線部32に接続するときに、引出部12aの弾性による位置ずれを継線部32あるいは実装面221によって阻止することができる。これにより、引出部12aを継線部32の所望の位置に接続することができ、引出部12aと継線部32との間の接合品質が向上する。
【0063】
第2実施形態
図7に示す第2実施形態のコイル装置1Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0064】
コイル装置1Aは、端子具30aAおよび30bAを有するという点において、第1実施形態のコイル装置1とは異なっている。端子具30aAおよび30bAは、継線部32Aを有するという点において、第1実施形態の端子部30aおよび30bとは異なっている。
【0065】
図8に示すように、継線部32Aは、端子溝部37を有する。端子溝部37は、第1押さえ片33および第2押さえ片34の各々の内面321に形成されており、内面321から外面322に向かって凹んでいる。ただし、内面321は、実装面221と対向する面であり外面322は、内面321とは反対側の面である。
【0066】
端子溝部37は、X軸に沿って、延在している。より詳細には、端子溝部37は、第1押さえ片33のX軸方向の一端から他端にかけて直線的に延在している。また、端子溝部37は、第2押さえ片34のX軸方向の一端から他端にかけて直線的に延在している。端子溝部37の横断面形状は、四角形であるが、その他の多角形、円形、楕円形等でもよい。
【0067】
端子溝部37の深さは、ワイヤ10の直径よりも小さい。ただし、端子溝部37の深さは、ワイヤ10の直径と同等でもよく、これよりも大きくてもよい。
図7に示すように、引出部12aの少なくとも一部は、端子具30aAの端子溝部37に収容されている。また、引出部12bの少なくとも一部は、端子具30bAの端子溝部37に収容されている。
【0068】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、引出部12aの少なくとも一部が端子溝部37に収容されているため、端子溝部37によって引出部12aが位置決めされ、継線部32Aに対する引出部12aの位置がばらつきにくくなる。これにより、引出部12aを継線部32Aの所望の位置に接続することができ、引出部12aと継線部32との間の接合品質が向上する。
【0069】
第3実施形態
図9に示す第3実施形態のコイル装置1Bは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0070】
コイル装置1Bは、コア20Bを有するという点において、第1実施形態のコイル装置1とは異なっている。コア20Bは、鍔部22aBおよび22bBを有するという点において、第1実施形態のコア20とは異なっている。
【0071】
図10に示すように、鍔部22aBおよび22bBは、鍔溝部27を有する。鍔溝部27は、実装面221の第2領域24に形成されており、
図9に示す継線部32(第1押さえ片33および第2押さえ片34)と対向する位置で、実装面221に沿って延在している。
【0072】
鍔溝部27は、X軸に沿って、実装面221のX軸方向の一端から他端にかけて直線的に延在している。鍔溝部27の横断面形状は、四角形であるが、その他の多角形、円形、楕円形等でもよい。
【0073】
鍔溝部27の深さは、ワイヤ10の直径よりも小さい。ただし、鍔溝部27の深さは、ワイヤ10の直径と同等でもよく、これよりも大きくてもよい。
図9に示すように、引出部12aの少なくとも一部は、鍔部22aBの鍔溝部27に収容されている。また、引出部12bの少なくとも一部は、鍔部22bBの鍔溝部27に収容されている。
【0074】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、引出部12aの少なくとも一部が鍔溝部27に収容されている。そのため、鍔溝部27によって引出部12aが位置決めされ、継線部32に対する引出部12aの位置がばらつきにくくなる。これにより、引出部12aを継線部32の所望の位置に接続することができ、引出部12aと継線部32との間の接合品質が向上する。
【0075】
第4実施形態
図11に示す第4実施形態のコイル装置1Cは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0076】
コイル装置1Cは、コア20Cと、端子具30aC_1および30aC_2と、端子具30bC_1および30bC_2とを有する。コイル装置1Cは、ワイヤ10に加えて、ワイヤ60をさらに有する。コイル装置1Cは、例えばトランスとして機能し、電気機器の電源等に搭載され得る。ワイヤ10および60の一方は一次側コイルを構成し、ワイヤ10および60の他方は二次側コイルを構成する。
【0077】
ワイヤ60は、コイル状に巻回された巻回部61と、巻回部61から引き出された引出部62aおよび62bとを有する。詳細な図示は省略するが、ワイヤ10は、コア20Cの芯部21の外周面に巻回されており、芯部21の外周面には巻回部11が形成されている(
図2参照)。ワイヤ60は、巻回部11の外周面に巻回されており、巻回部11の外周面には巻回部61が形成されている。ただし、ワイヤ10および60の巻回態様はこれに限定されず、例えば芯部21のX軸方向の一方側にワイヤ10が巻回され、芯部21のX軸方向の他方側にワイヤ60が巻回されていてもよい。
【0078】
図12に示すように、コア20Cは、鍔部22aCおよび22bCを有する。鍔部22aCおよび22bCは、凹部25_1および25_2と、凸部28とを有する。凹部25_1は、実装面221のY軸方向の一端に形成されており、実装面221のY軸方向の一端は、凹部25_1によって、切り欠かれている。凹部25_2は実装面221のY軸方向の他端に形成されており、実装面221のY軸方向の他端は、凹部25_2によって、切り欠かれている。
【0079】
凸部28は、外端面224のY軸方向の中央に形成されており、Z軸に沿って延在している。凸部28は、外端面224からX軸に沿って外側に突出している。凸部28の突出長は、特に限定されないが、端子具30aC_1(
図11)の厚みよりも大きい。ただし、凸部28の突出長は、端子具30aC_1の厚みと同等、あるいはこれよりも小さくてもよい。凸部28には、割れあるいは欠けの防止のため、Z軸に沿って、切り欠き部(面取り部あるいはテーパ)が形成されている。
【0080】
図11に示すように、鍔部22aCの凸部28は、端子具30aC_1と端子具30aC_2とを隔てることにより、端子具30aC_1と端子具30aC_2とを絶縁している。また、鍔部22bCの凸部28は、端子具30bC_1と端子具30bC_2とを隔てることにより、端子具30bC_1と端子具30bC_2とを絶縁している。
【0081】
端子具30aC_1は、鍔部22aCの第1側面225側に配置されており、端子具30aC_2は、鍔部22aCの第2側面226側に配置されている。また、端子具30bC_1は、鍔部22bCの第1側面225側に配置されており、端子具30bC_2は、鍔部22bCの第2側面226側に配置されている。
【0082】
図13に示すように、端子具30aC_1および30aC_2と、端子具30bC_1および30bC_2とは、連結部36Cを有する。連結部36Cは側面対向部361Cを有し、側面対向部361Cは側面立上部363を有する。側面立上部363は、側面対向部361Cのうち、幅狭部362nよりも実装面221(
図12)側に位置する部分である。換言すれば、側面立上部363は、幅狭部362nに対して、直交するように延在している部分である。連結部36Cの延在方向に沿った長さは、側面対向部361CのZ軸に沿った長さ分だけ長くなっている。
【0083】
本実施形態では、実装部31のY軸に沿った長さは、第1実施形態の実装部31のY軸に沿った長さよりも短い。また、幅広部362wのY軸に沿った長さは、第1実施形態の幅広部362wのY軸に沿った長さよりも短い。また、幅広部362wのZ軸に沿った長さは、第1実施形態の幅広部362wのZ軸に沿った長さよりも長い。
【0084】
図11に示すように、引出部12aは、端子具30aC_1の継線部32に接続されており、引出部12bは、端子具30bC_1の継線部32に接続されている。引出部62aは、端子具30aC_2の継線部32に接続されており、引出部62bは、端子具30bC_2の継線部32に接続されている。
【0085】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、鍔部22aCに2つの端子具30aC_1および30aC_2が具備され、鍔部22bCに2つの端子具30bC_1および30bC_2が具備置されている。そのため、コイル装置1Cを実装基板に実装するときに、コイル装置1の実装安定性が向上する。
【0086】
また、側面立上部363が側面対向部361Cに付加されることにより、その分だけ、連結部36Cの延在方向に沿った長さが長くなる。そのため、実装部31と継線部32との間の連結部36Cを通じた距離が長くなり、引出部12aを継線部32にレーザ溶接するときに、継線部32から実装部31に伝搬される熱の伝搬量が低減される。また、引出部62aを継線部32にレーザ溶接するときに、継線部32から実装部31に伝搬される熱の伝搬量が低減される。これにより、実装部31の温度上昇が緩和され、実装部31の表面のメッキ膜が劣化しにくくなり、実装基板に対する実装部31の接合性が向上する。また、実装部31と実装面221との間の接着剤が劣化しにくくなり、実装面221に対する実装部31の接合性が向上する。
【0087】
第5実施形態
図14に示す第5実施形態のコイル装置1Dは、以下に示す点を除いて、第1実施形態のコイル装置1と同様の構成を有する。第1実施形態のコイル装置1と重複する部分には、同一符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0088】
コイル装置1Dは、端子具30aDおよび30bDを有するという点において、第1実施形態のコイル装置1とは異なっている。
図15に示すように、端子具30aDおよび30bDは、継線部32Dを有するという点において、第1実施形態の端子具30aおよび30bとは異なっている。継線部32Dは、実装面221に対して平行な板体であり、第1押さえ片33および第2押さえ片34(
図4)を有していない。すなわち、継線部32Dは、第1実施形態の継線部32(
図4)から溝部35を省略したものである。なお、
図15では、レーザ溶接後の継線部32Dの形状を実線で示しており、レーザ溶接前の継線部32Dの形状を破線で示している。
【0089】
図14に示すように、引出部12aは、端子具30aDの継線部32Dの外面322上をX軸に沿って直線的に引き出されている。引出部12aは、例えばレーザ溶接によって、継線部32DのX軸方向の外側の端部において、外面322に接続されている。また、引出部12bは、端子具30bDの継線部32Dの外面322上をX軸に沿って直線的に引き出されている。引出部12bは、例えばレーザ溶接によって、継線部32DのX軸方向の外側の端部において、外面322に接続されている。
【0090】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態のように、引出部12aを継線部32Dの外面322に接続する場合、継線部32Dに対する引出部12aの接続工程が容易である。
【0091】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0092】
例えば、上記第1実施形態において、
図4に示す端子具30aおよび30bの各々の側面対向部361に、上記第4実施形態の側面立上部363(
図13)を付加してもよい。上記第2実施形態、第3実施形態および第5実施形態についても同様である。この場合、連結部36の延在方向に沿った長さが長くなり、実装部31と継線部32との間の連結部36を通じた距離が長くなる。これにより、継線部32から実装部31に伝搬される熱の伝搬量が低減され、実装部31の温度上昇がさらに緩和される。したがって、上記第1実施形態で説明した効果を有効に得ることができる。
【0093】
上記第2実施形態、第3実施形態および第5実施形態の技術を上記第4実施形態に適用してもよい。
【0094】
上記第1実施形態において、
図1に示すように、連結部36は、実装部31からY軸正方向側に向かって延在していたが、
図13の端子具30aC_2のように、実装部31からY軸負方向側に向かって延在していてもよい。上記第2実施形態、第3実施形態および第5実施形態についても同様である。
【0095】
上記第1実施形態において、継線部32は、第1押さえ片33および第2押さえ片34の2つの押さえ片を有していたが、単一の押さえ片を有していてもよい。上記第2実施形態~第4実施形態についても同様である。
【0096】
上記第4実施形態において、コイル装置1Cに板状コア50が具備されていてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1,1A,1B,1C,1D…コイル装置
10,60…ワイヤ
11,61…巻回部
12a,12b,62a,62b…引出部
13…被膜
20,20B,20C…コア
21…芯部
22a,22b,22aB,22bB,22aC,22bC…鍔部
221…実装面
222…非実装面
223…内端面
224…外端面
225…第1側面
226…第2側面
23…第1領域
24,24_1,24_2…第2領域
25,25_1,25_2…凹部
26…切り欠き部
27…鍔溝部
28…凸部
29…段差形成面
30a,30b,30a_1,30a_2,30b_1,30b_2,30aA,30bA,30aD,30bD…端子具
31…実装部
32,32A,32D…継線部
321…内面
322…外面
33…第1押さえ片
34…第2押さえ片
340…拡張部
35…溝部
36,36C…連結部
361,361C…側面対向部
362…端面対向部
362w…幅広部
362n…幅狭部
363…側面立上部
37…端子溝部
40…溶融部
50…板状コア