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特開2025-144525複動型のモジュール状の枢動式のグリッパ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025144525
(43)【公開日】2025-10-02
(54)【発明の名称】複動型のモジュール状の枢動式のグリッパ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20250925BHJP
【FI】
B25J15/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2025013173
(22)【出願日】2025-01-29
(31)【優先権主張番号】18/609,616
(32)【優先日】2024-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520435577
【氏名又は名称】ピー・エイチ・ディー,インク.
【氏名又は名称原語表記】PHD, Inc.
【住所又は居所原語表記】9009 Clubridge Drive, Fort Wayne, IN 46809, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100210099
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 太介
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール. ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エルダー
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES06
3C707ES09
3C707EU07
3C707EU11
3C707EW01
3C707HS12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークピースの形状に自動的に適応して、ワークピースを把持する費用対効果の高いグリッパを提供する。
【解決手段】グリッパは、基体と、基体に回動可能に接続された少なくとも1つの中間セグメントと、少なくとも1つの中間セグメントに回動可能に接続された遠位セグメントと、少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータに結合され、少なくとも1つのアクチュエータによって対向する方向に移動するように構成されたヨークと、遠位セグメントに2つの異なる結合点で結合され、ヨークに結合された少なくとも1つの腱とを備える。少なくとも1つの中間セグメントおよび遠位セグメントは、少なくとも1つのアクチュエータがヨークを第1の方向に移動させると時計回りに回動し、少なくとも1つのアクチュエータがヨークを第1の方向に対向する第2の方向に移動させると反時計回りに回動するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを把持するためのグリッパであって、
基体と、
前記基体に回動可能に接続された少なくとも1つの中間セグメントと、
前記少なくとも1つの中間セグメントに回動可能に接続された遠位セグメントと、
少なくとも1つのアクチュエータと、
前記少なくとも1つのアクチュエータに結合され、前記少なくとも1つのアクチュエータによって対向する方向に移動するように構成されたヨークと、
前記遠位セグメントに2つの異なる結合点で結合され、前記ヨークに結合された少なくとも1つの腱と
を備え、
前記少なくとも1つの中間セグメントおよび前記遠位セグメントは、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記ヨークを第1の方向に移動させると時計回りに回動し、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記ヨークを前記第1の方向に対向する第2の方向に移動させると反時計回りに回動するように構成されている、グリッパ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの腱は、前記遠位セグメントに結合された内転部分と、前記遠位セグメントに結合された外転部分と、前記ヨークに結合されたヨーク結合点とを有する単一の腱を備える、請求項1記載のグリッパ。
【請求項3】
前記ヨーク結合点は、前記内転部分と前記外転部分との間にある中間部分の一部である、請求項2記載のグリッパ。
【請求項4】
前記単一の腱は、前記基体内、前記少なくとも1つの中間セグメント内および前記遠位セグメント内に内部配置される、請求項2記載のグリッパ。
【請求項5】
前記内転部分は、前記遠位セグメントに結合された第1の端部を備え、前記外転部分は、前記遠位セグメントに結合された第2の端部を備える、請求項2記載のグリッパ。
【請求項6】
前記基体内および前記少なくとも1つの中間セグメント内に内部配置された複数のプーリをさらに備え、前記複数のプーリの各々のプーリは、前記単一の腱の前記内転部分に接触するように構成されている、請求項2記載のグリッパ。
【請求項7】
前記基体に配置された腱プーリをさらに備え、前記外転部分は、前記腱プーリに巻き掛けられている、請求項2記載のグリッパ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記ヨークを線形に移動させるように構成されている、請求項1記載のグリッパ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータの形態である、請求項1記載のグリッパ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータは、少なくとも1つのシリンダと、前記少なくとも1つのシリンダ内に摺動可能に配置された少なくとも1つのピストンとを含む、請求項9記載のグリッパ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータは、2つのシリンダと、前記シリンダ内にそれぞれ配置された2つのピストンとを含む、請求項10記載のグリッパ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのピストンは、前記ヨークに結合されたロッド部分を備え、前記少なくとも1つのシリンダ内での前記少なくとも1つのピストンの摺動が、前記ヨークの対応する運動を引き起こす、請求項10記載のグリッパ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータは、第1のポートと第2のポートとを備え、前記第1のポートへの流体の流入により、前記少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータは、前記ヨークを前記第1の方向に移動させ、前記第2のポートへの流体の流入により、前記少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータは、前記ヨークを前記第2の方向に移動させる、請求項9記載のグリッパ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの腱は、前記ヨークおよび前記遠位セグメントに結合された第1の腱と、前記ヨークおよび前記遠位セグメントに結合された第2の腱とを備える、請求項1記載のグリッパ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記基体内に内部配置されている、請求項1記載のグリッパ。
【請求項16】
グリッパアレイであって、
複数の並列したグリッパを備え、前記グリッパの各々は、
基体と、
前記基体に回動可能に接続された少なくとも1つの中間セグメントと、
前記少なくとも1つの中間セグメントに回動可能に接続された遠位セグメントと、
少なくとも1つのアクチュエータと、
前記少なくとも1つのアクチュエータに結合され、前記少なくとも1つのアクチュエータによって対向する方向に移動するように構成されたヨークと、
前記遠位セグメントに2つの異なる結合点で結合され、前記ヨークに結合された少なくとも1つの腱と
を備え、
前記少なくとも1つの中間セグメントおよび前記遠位セグメントは、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記ヨークを第1の方向に移動させると時計回りに回動し、前記少なくとも1つのアクチュエータが前記ヨークを前記第1の方向に対向する第2の方向に移動させると反時計回りに回動するように構成されている、グリッパアレイ。
【請求項17】
各々の少なくとも1つのアクチュエータは、流体力リニアアクチュエータを備える、請求項16記載のグリッパアレイ。
【請求項18】
各々の流体力リニアアクチュエータは、それぞれ第1のポートと第2のポートとを備え、前記第1のポートへの流体の流入により、前記流体力リニアアクチュエータは、前記ヨークを前記第1の方向に移動させ、前記第2のポートへの流体の流入により、少なくとも1つの流体力リニアアクチュエータは、前記ヨークを前記第2の方向に移動させる、請求項17記載のグリッパアレイ。
【請求項19】
各々の流体力リニアアクチュエータの前記第1のポートに流体接続された第1の流体通路と、各々の流体力リニアアクチュエータの前記第2のポートに流体接続された第2の流体通路とをさらに備える、請求項18記載のグリッパアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の背景
本発明は、グリッパ工具に関し、より詳細には、自己枢動式のグリッパに関する。
【0002】
本発明は、枢動式のグリッパに関するものであり、米国特許第11285617号明細書に予め開示されたモジュール状の枢動式のグリッパの要素を組み込んでいる。
【0003】
グリッパは、一般的に、電動モータあるいは空気圧ピストンなどの作動装置によって共に移動するジョーまたは別々に移動するジョーを備える機械装置である。工具は、典型的に、ジョーに固定されており、工具の表面と、把持されたワークピースの1つ以上の表面との間に、ある程度の等角接触がもたらされる。ジョーが、固定された工具を、把持されたワークピースに接触する位置まで移動させると、ジョーが工具に対して力を発生させ、力が工具によって伝達されて、ワークピースが保持され、その結果、ワークピースの位置が、続けて、並進または回転させられる。ワークピースが、続けて、並進または回転させられるか、または外力がワークピースに加えられる場合には、工具がワークピースの輪郭を完全にまたは部分的に包囲し、ワークピースと工具との間で相対運動が起こることが防止されることが所望される場合が多い。
【0004】
把持されたワークピースをより良好に包囲するために、ワークピースの輪郭に対応する相補的な接触面輪郭を有する工具を構成する技術分野が知られている。この包囲の方法は、典型的に、工具を、単一形状のワークピース、または共通の表面輪郭を共有する一連の類似形状のワークピースのみを把持するのに適したものにする。一般的に、互換性のない形状のワークピースを続けて把持する場合には、工具が取り外されて交換される必要があり、把持装置が使用される製造作業または材料取扱い作業における、ダウンタイムの望ましくない増加と、スループットの望ましくない低下とが生じる。
【0005】
米国特許第11285617号明細書に開示されているモジュール状の枢動式のグリッパは、枢動の作動力を直接的に供給する内部の流体力アクチュエータを含んでおり、一方、流体力アクチュエータと対向する方向に作用する伸張エラストマーの腱は、流体力がアクチュエータから除去されたときに、グリッパの回転した枢動された部分を、回転していない位置に復原するように作用する。この同じ復原作用が、同時に、流体力アクチュエータ内のピストンを、流体力が内部アクチュエータに再び加えられたときに枢動に影響を与えるために必要な作動力を供給するのに適した位置に戻す。
【0006】
流体力を使用してグリッパの構成要素を一方向に移動させ、流体力の除去時にばねまたは伸張エラストマーストリップを使用して構成要素を元の位置に戻すグリッパは、流体力業界では一般的に「単動型」と呼ばれる。これに対して、流体力を使用して構成要素を2つの対向する運動で移動させるグリッパは、一般的に「複動型」と呼ばれる。
【0007】
複動型のグリッパは、多くの場合、単動型のグリッパよりも、グリッパ構成要素の運動の両方向において、より大きな力を提供できるという利点がある。当業者には、このような双方向の力の増加により、グリッパの把持能力が向上し、続いて、把持された物体を操作する能力が向上することは自明である。
【0008】
この技術分野において必要とされていることは、ワークピースの形状に自動的に適応して、ワークピースを把持する費用対効果の高いグリッパである。
【0009】
発明の概要
本発明は、複動型の動作用に構成されたグリッパに関する。複数のモジュール状のグリッパを共に配列して、把持されたワークピースに加えられる総把持力を増加させることができ、かつ/または把持力が加えられる位置を増加させることができる。
【0010】
本発明の一形態は、ワークピースを把持するためのグリッパであって、基体と、基体に回動可能に接続された少なくとも1つの中間セグメントと、少なくとも1つの中間セグメントに回動可能に接続された遠位セグメントと、少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータに結合され、少なくとも1つのアクチュエータによって対向する方向に移動するように構成されたヨークと、遠位セグメントに2つの異なる結合点で結合され、ヨークに結合された少なくとも1つの腱とを備える、グリッパに関する。少なくとも1つの中間セグメントおよび遠位セグメントは、少なくとも1つのアクチュエータがヨークを第1の方向に移動させると時計回りに回動し、少なくとも1つのアクチュエータがヨークを第1の方向に対向する第2の方向に移動させると反時計回りに回動するように構成されている。
【0011】
別の態様における本発明は、複数の並列したグリッパを備えるグリッパアレイに関する。グリッパの各々は、基体と、基体に回動可能に接続された少なくとも1つの中間セグメントと、少なくとも1つの中間セグメントに回動可能に接続された遠位セグメントと、少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータに結合され、少なくとも1つのアクチュエータによって対向する方向に移動するように構成されたヨークと、遠位セグメントに2つの異なる結合点で結合され、ヨークに結合された少なくとも1つの腱とを備える。少なくとも1つの中間セグメントおよび遠位セグメントは、少なくとも1つのアクチュエータがヨークを第1の方向に移動させると時計回りに回動し、少なくとも1つのアクチュエータがヨークを第1の方向とは反対の第2の方向に移動させると反時計回りに回動するように構成されている。
【0012】
本発明の利点は、アクチュエータの作用により、グリッパフィンガが枢動し、それぞれ異なる形状の多量のワークピースを包囲することができることである。
【0013】
本発明の別の利点は、複数のグリッパを簡単に共に配列して、把持されたワークピースに加わる総把持力を増加させることができ、かつ/または把持力が加えられる位置を増加させることができることである。
【0014】
本発明の別の利点は、グリッパが複動型の動作用に構成されていることであり、これにより、グリッパ構成要素の運動の両方向において、より大きな力を提供することができる。
【0015】
上記およびその他の本発明の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて以下の本発明の実施形態に関する説明を参照することでより明白になり、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によって提供されるグリッパの実施形態の斜視図である。
図2図1のグリッパの分解立体図である。
図3図1のグリッパの正面図である。
図4図3の線4-4に沿ったグリッパの断面図である。
図5図3の線5-5に沿ったグリッパの断面図である。
図6】単一の腱ではなく2つの腱を備える、本発明によって提供されるグリッパの別の実施形態の断面図である。
図7】本発明によって提供される複数のグリッパを備えるグリッパアレイの斜視図である。
【0017】
対応する参照文字は、複数の図にわたって対応する部品を示す。本明細書で示した例示は、本発明の実施形態を例示するものであり、そのような例示は、いかなる方法でも発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0018】
発明の詳細な説明
図面を参照し、さらに詳細には図1図5を参照すると、少なくとも1つの中間セグメント310が取り付けられた基体301を含むグリッパ300の例示的な実施形態が示されており、中間セグメント310は、一連の複数の同一の枢動されるセグメント310として図示されており、枢動される遠位セグメント320に結合されて、枢動される遠位セグメント320によって覆われている。グリッパ300は、ヨーク303に結合された少なくとも1つの腱302を含む。腱302は、2つの異なる結合点で遠位セグメント320に結合される。腱302は、第1の結合点で遠位セグメント320に接続された腱の内転部分317の第1の端部と、第1の結合点とは異なる第2の結合点で遠位セグメント320に接続された腱302の外転部分318の対向する第2の端部とを含むことができる(図2および4を参照)。腱302は、例えばケーブルの形態であり、腱プーリ336に巻き掛けられてよい。当然ながら、本発明によれば、腱302の両端が遠位セグメント320に結合されているものとして説明および図示されているが、これは任意選択であり、腱302の端部ではない他の部分が、遠位セグメント320に結合されていてよい。止めねじ304は、腱302の中間部分319の一部であってよいヨーク結合点をヨーク303に機械的に固定することができる。中間部分319は、腱302の2つの対向する端部の間にある。しかしながら、このような機械的な取付けに加えてまたは代替的に、腱302は、腱302とヨーク303との間に適切な接着剤を塗布して、ヨーク303に結合されていてよい。腱302は、任意の所望の材料から構成されていてよい。一実施形態では、腱302は、ポリマーケーブルであり、それは、従来の鋼鉄ケーブルよりも耐疲労性および耐食性が向上しており、可撓性がより大きく、機械的衝撃の分散が改善され、低コストであるという利点を提供する。
【0019】
腱302の内転部分317に沿って、本体301の相補的な穴に圧入されたピボットピン306によって支持されたプーリ305は、腱302の運動を誘導し、その結果、腱302の中間部分319が、ヨーク303の本体301に対する運動により、矢印85の方向に下向きに引っ張られると、腱302は、枢動されるセグメント310の中央通路を通って引き込まれる。プーリ305は、ピボットピン306によって直接支持されているように示されているが、当然ながら、プーリ305のサイズが十分に大きく、もし可能である場合には、プーリ305とピン306との間に適切な市販の軸受ブッシュ、ラジアル玉軸受またはニードル軸受が介在させられてもよい。
【0020】
ピボットピン307は、基体301およびセグメント310,320の相補的な穴を通り、1つ以上の中間セグメント310を、基体301に、(適切な場合は)互いに、かつ遠位セグメント320に取り付け、基体301から外向きに半径方向に延びるピン留めされた一連の枢動されるセグメントが形成される。セグメント310およびセグメント320は、ピボットピン307によって直接支持されているように示されているが、当然ながら、セグメントのサイズが十分に大きく、もし可能である場合には、セグメント310,320のピボット穴とピン307との間に適切な市販の軸受ブッシュ、ラジアル玉軸受またはニードル軸受が介在させられてもよい。
【0021】
腱302の内転部分317の第1の端部は、止めねじ308を用いて遠位セグメント320に機械的に固定することができる。当然ながら、このような機械的な取付けは、腱302とセグメント320との間に適当な接着剤を塗布することによって行われてもよい。腱302は、各々の同一セグメント310内に配置されたプーリ309の上を通過する。こうして、ヨーク303と遠位セグメント320との間に適切に取り付けられた腱302は、セグメントピボットピン307の一方の側に位置する緊張した内転腱302を効果的に形成する。プーリ309は、セグメント310の相補的な穴に圧入されたピボットピン306によって直接支持されているように示されているが、プーリ309のサイズが十分に大きく、もし可能である場合には、当然ながら、プーリとピンとの間に適切な市販の軸受ブッシュ、ラジアル玉軸受またはニードル軸受が介在させられてもよい。
【0022】
グリッパ300は、腱302の外転部分318を含むことができる。腱302の内転部分317を形成するのと同じ腱302が、腱302の外転部分318を効果的に形成することができ、腱302の外転部分318は、ピボットピン307の対向する側に位置する。腱302の外転部分318は、保護ストリップ311によって覆われていてよい。外部ストリップ111は、適切なエラストマー材料から構成されていてよい。ストリップ311の遠位端部は、止めねじ312または熱結合または接着結合などの任意の所望の形態で遠位セグメント320の相補的な溝に取り付けられる。エラストマーストリップ311の近位端部は、本体301内の相補的なスロット内に配置され、止めねじ313の締付け作用または他の適切な熱結合または接着結合によって本体301に取り付けられる。取り付けられた遠位端部と、取り付けられた近位端部と間のストリップ311の部分は制限されておらず、自由に伸張または弛緩する。
【0023】
腱302の外転部分318は、中間部分319からヨーク303まで下向きかつ腱プーリ336の周りに延在しており、胴体301の相補的なスロットに配置されたピボットピン337によって支持されており、腱302の運動が誘導されて、その結果、腱302の中間部分319が、本体301に対するヨーク303の運動により、矢印87の方向に上方に引っ張られると、腱302は、枢動されるセグメント310の左側に沿った通路を通して引き込まれる(図4および図5を参照)。腱プーリ336は、ピボットピン337によって直接支持されているように示されているが、腱プーリ336のサイズが十分に大きく、もし可能である場合には、当然ながら、プーリとピンとの間に適切な市販の軸受ブッシュ、ラジアル玉軸受またはニードル軸受が介在させられてもよい。
【0024】
腱302の外転上側端部は、止めねじ312の締付け作用により、遠位セグメント320に機械的に固定することができる。当然ながら、このような機械的な取付けは、腱302とセグメント320との間に適切な接着剤を塗布することによって行われてもよい。腱302は、各々の同一セグメント310内に配置されたプーリ335の上を通過する。こうして、ヨーク303と遠位セグメント320との間に適切に取り付けられた腱302は、セグメントピボットピン307の一方の側に位置する緊張した外転腱302を効果的に形成する。プーリ335は、セグメント310の相補的な穴に圧入されたピボットピン307によって直接支持されているように示されているが、プーリ335のサイズが十分に大きく、もし可能である場合には、プーリとピンとの間に適切な市販の軸受ブッシュ、ラジアル玉軸受またはニードル軸受が介在させられてもよい。
【0025】
共通セグメント310の側面から突出しているボス314は、本体301内およびセグメント310内の相補的なスロット315に係合し、基体301にピン留めされたセグメントおよび一連のセグメントにおける各々の連続するピン留めされたセグメントの、先行するセグメントに対する反時計回り(CCW)の回転角度を制限する(図5)。こうして、スロット315内のボス314の作用によって制限されて、セグメント310,320は、セグメントが互いに一直線上に鉛直に整列する位置を越えてピボット307の周りでCCWに回転することはできない。
【0026】
腱302の内転部分317の、セグメント310の中央通路を通る矢印85の方向の下向きの運動は、セグメント310,320の時計回り(CW)のトルクを誘発し、これにより、セグメントがピボットピン107の周りでCWに回転する。同時に、腱302とヨーク303との間の中間部分319の下でヨーク303から進出していて、腱プーリ336に巻き掛けられている腱302の外転部分318は、緩められ、セグメント310およびセグメント320の連続的なCWの回転により、腱302が矢印86の方向に上向きに引っ張られるときに、腱302の外転部分318が伸張することを可能にする。
【0027】
逆に、腱302の内転部分317の、セグメント310の中央通路を通る矢印87の方向の上向きの運動は、腱302の内転部分317を弛緩させて、ピボットピン307の周りでセグメント310およびセグメント320のCCWの回転を可能にし、同時に、腱302の外転部分318が、プーリ335および腱プーリ336の周りで矢印88の方向に下向きに引っ張られ、セグメント310およびセグメント320にCCWのトルクが誘発され、それによって、それまでCWに回転していたセグメントが、各々の回転していない位置に戻る。この点において、少なくとも1つの中央セグメント310および遠位セグメント320は、ヨーク303が第1の方向に移動するときには時計回りに回動し、ヨークが第1の方向に対向する第2の方向に移動するときには反時計回りに回動するように構成されている。
【0028】
パッド316は、セグメント310の相補的な凹部に適切に保持される。パッド316は、適切なエラストマーまたはナノダイヤモンド含浸金属基板などの静摩擦係数が高い材料から構成されており、これにより、パッド316と、パッドが接触する可能性のある把持されたワークピースの任意の表面との間に発生する摩擦力が高められる。
【0029】
ストリップ339は、セグメント320の相補的な凹部に適切に保持される。ストリップ339は、適切なエラストマーまたはナノダイヤモンド含浸金属基板などの静摩擦係数が高い材料から構成されており、これにより、ストリップ339と、ストリップ339が接触する可能性のある把持されたワークピースの任意の表面との間に発生する摩擦力が高められる。
【0030】
1つ以上の流体アクチュエータを使用して、ヨーク303に作動力を提供することができる。ヨーク303の表面は、ピストン321の相補的な面を支承することができる。ピストン321は、シリンダ323内の相補的な孔内に収容されており、その結果、ピストン321は、シリンダ323の長手方向軸線に沿って自由に並進することができるが、半径方向の運動は制限されている。エラストマーシール322は、シリンダ323の内部孔に対してピストン321の外周をシールし、シリンダ323に導入された作動流体がピストン321の周囲から漏出するのを防止する(図2および5を参照)。シリンダ323は、上側キャップ325に設けられた相補的なボスにプレス嵌め、溶接、はんだ付けあるいはろう付けまたは接着結合されていてよく、シリンダ323とキャップ325との間の作動流体の漏出が防止される。キャップ325の前面にあるねじ山付きポート325Aは、作動流体がキャップ325の表面とピストンシール322との間のシリンダ323内に導入されることを可能にする。
【0031】
シリンダ323の対向する端部は、下側キャップ332に設けられた相補的なボスにプレス嵌め、溶接、はんだ付けあるいはろう付けまたは接着結合されていてよく、シリンダ323とキャップ332の間の作動流体の漏出が防止される。エラストマーシール333は、下側キャップ332の相補的な溝内に配置されており、ピストン321のロッド部分の周囲がシールされ、シリンダ323に導入された作動流体が、ピストン321のロッド部分と、下側キャップ332を通る孔との間から漏出することが防止される(図2および5を参照)。キャップ332の前面にあるねじ山付きポート332Aは、下側キャップ332内のシール333とピストンシール322との間のシリンダ323内に作動流体が導入されることを可能にする。潤滑剤を含浸させた芯線331は、シリンダ323の内部壁に潤滑剤の膜を塗布し、シール333とシリンダ323との間の摩擦が低減され、シール333の耐用年数が延長される。ピストン321の相補的な孔に適切に接着または圧入された磁石330を使用して、磁気感知センサ(図示せず)を作動させて、シリンダ323内のピストン321の位置を知らせることができる。
【0032】
ピストン321のロッド部分の端部のボスは、ヨーク303および保持リング334の相補的な穴を通り、ピストン321のボスの相補的な溝にスナップ嵌めされて、ヨーク303がピストン321に保持される。ピストン321に保持されたヨーク303は、ポート325Aまたはポート332Aに入った作動流体の作用の結果としてピストン321が移動することにより、押圧されたり、引っ張られたりする。ヨーク303の運動により、前述の通り、止めねじ304の締付け作用によるヨーク303への腱302の取付けを通して、対応する腱腱302の運動が引き起こされる。これにより、アクチュエータはヨーク303に結合され、ヨーク303を対向する方向に移動させて、ヨーク303の作動方向に応じて、セグメント310,320を時計回りまたは反時計回りに回動させるように構成されている。
【0033】
ポート325Aに流入する作動流体がピストン321に力を加え、ピストンが矢印85の方向に下向きに移動し、次いで、ヨーク303が下向きに移動し、腱302の内転部分317に張力が加わることにより、セグメント310およびセグメント320がピニオンピボットピン307の周りでCWに回転することは、当業者には明らかである。逆に、ポート332Aに流入する作動流体がピストン321に力を加え、ピストンが矢印87の方向に上向きに移動し、次いで、ヨーク303が上向きに移動し、腱302の外転部分318に張力が加わることにより、セグメント310およびセグメント320がピボットピン307の周りでCCWに回転する。
【0034】
本発明は、単一の連続したケーブルを備えた腱302を開示しているが、当然ながら、複数の類似の長さのケーブルまたは適切なストリップが代用されてもよい。さらに、当然ながら、ケーブルまたは適切なストリップは連続している必要はなく、離散的な内転部分および外転部分に分離されて、各々の部分は、例えば付加的な止めねじまたは接着剤によってヨーク303に適切に取り付けられてもよい。
【0035】
図6を参照すると、グリッパ300’の代替的な実施形態が示されている。グリッパ300’は、一般的に、前述した図1図5のグリッパ300と同一であるが、遠位セグメント320とヨーク303とに結合される第1の腱602Aと、遠位セグメント320とヨーク303とに結合される第2の腱602Bとを含む。第1の腱602Aは、遠位セグメント320に第1の結合点で結合しており、第2の腱602Bは、遠位セグメント320に第1の結合点とは異なる第2の結合点で結合している。腱602A,602Bは共にヨーク303に取り付けられ、図示されているように、腱602A,602Bは、ヨーク303の対向する側から延在している。第1の腱602Aは、腱302の内転部分317と同様に作用し、第2の腱602Bは、腱302の外転部分318と同様に作用する。その他のすべての点では、グリッパ300’は、図1図5で前述したグリッパ300と同一であってよいため、これ以上の説明は省略する。
【0036】
図7を参照すると、本発明によって提供されるグリッパアレイ700の例示的な実施形態が示されている。グリッパアレイ700は、図1図5に示されている複数の並列したグリッパ300を含む。当然ながら、グリッパアレイ700は、図6に示されている1つ以上のグリッパ300’を含んでよい。グリッパ300の各々は、第1のポート325Aと第2のポート332Aとを備えた流体力リニアアクチュエータを含んでよく、前述のように、各々のヨーク303が、対応する方向に移動し、セグメント310,320が時計回りまたは反時計回りに回動する。グリッパアレイ700は、各々のグリッパ300の第1のポート325Aに流体接続された第1の流体通路701と、各々のグリッパ300の第2のポート332Aに流体接続された第2の流体通路702とをさらに含むことができる。流体通路701と流体通路702とを設けることにより、グリッパ700のグリッパ300を選択的に制御することができ、その結果、流体通路701および流体通路702の各々に流体を流すことにより、各々のセグメント310,320がすべて同時に時計回りまたは反時計回りに回動する。
【0037】
本発明を少なくとも1つの実施形態に関して説明してきたが、本開示の精神および範囲内で本発明はさらに変更することができる。したがって、本出願は、その一般原則を使用して、発明のあらゆる変形、使用または適応を取り扱うことを目的としている。さらに、本出願は、本発明に係る技術分野における周知または慣例の範囲内にあると共に添付の特許請求の範囲の制限内にあるような、本開示からの逸脱を取り扱うことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】