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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014455
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】蓋体及び掬い具
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/28 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
A47J43/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117021
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】515003167
【氏名又は名称】牧 勝利
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】牧 勝利
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053BA20
4B053BL20
4B053CA04
4B053CE10
(57)【要約】
【課題】使用者を防護できる蓋体及び掬い具を提供する。
【解決手段】角型スコップ50の本体は、把持部60と、掬い部70とを有する。把持部60は長手方向へ延びている。掬い部70は、把持部60の一端に取付けられ、底面部72と、一対の側面部73と、後面部74と、傾斜部75とで囲まれた空間が形成されている。掬い部70の上面と、把持部60が取付けられた後面とは反対側の前面とに、上面前面開口部71が形成されている。蓋体10は、覆い部20と掴み部30を備える。覆い部20は掬い部70の上面前面開口部71を覆うことが可能であり、掴み部30は覆い部20に取付けられていると共に長手方向へ延びており、把持部60に着脱自在に取付可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向へ延びた把持部と、該把持部の一端に取付けられていると共に、上面と、同把持部が取付けられた後面とは反対側の前面とに、互いに連通した開口部がそれぞれ形成された、掬い取り可能な掬い部と、を有する掬い具の、少なくとも上面の開口部を覆う蓋体であって、
前記掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な覆い部と、
該覆い部に取付けられていると共に長手方向へ延びており、前記把持部に着脱自在に取付可能な掴み部と、を備える
蓋体。
【請求項2】
前記掴み部の内部に、前記掬い具の前記把持部を収容可能な空間が形成されており、
前記覆い部の、前記掬い部の上面の開口部へ向けられる側と同じ側へ向けて開口しており、前記掴み部の前記空間と外部とを連通し、長手方向へ延びた長手開口部と、同長手方向の両端に位置すると共に同長手開口部と連通した端部開口部とが、同掴み部に形成されており、
前記掴み部の内形は、前記把持部の外形に対応した形状である
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記覆い部は平板状に形成されており、同覆い部は、前記掴み部が取付けられた縁部から所定の範囲まで拡がった第1の領域と、該第1の領域の、前記掴み部が取付けられた縁部とは反対側と連続して配置された第2の領域と、を有し、
前記第2の領域の、前記第1の領域とは反対側の縁部が、前記覆い部の、前記掬い部の上面の開口部へ向けられる側へ向くように、同第2の領域は湾曲した
請求項2に記載の蓋体。
【請求項4】
前記第1の領域と前記第2の領域とを結ぶ方向に対して略直交する方向における同第2の領域の長さは、前記第1の領域と前記第2の領域とを結ぶ方向に対して略直交する方向における同第1の領域の長さより短い
請求項3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記覆い部は光透過性である
請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
前記掴み部の、前記覆い部に取付けられた側とは反対側に、貫通した貫通穴が形成された
請求項1に記載の蓋体。
【請求項7】
長手方向へ延びた把持部と、該把持部の一端に取付けられていると共に、上面と、同把持部が取付けられた後面とは反対側の前面とに、互いに連通した開口部がそれぞれ形成された、掬い取り可能な掬い部と、を有する本体と、
該掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な蓋体と、を備え、
前記蓋体は、
前記掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な覆い部と、
該覆い部に取付けられていると共に長手方向へ延びており、前記把持部に着脱自在に取付可能な掴み部と、を有する
掬い具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋体及び掬い具に関する。詳しくは、例えばショートニングを掬うためのスコップなどの掬い具の開口部を覆う蓋体及び、このような蓋体を備えた掬い具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
人間は火を使いこなすことで、様々な調理技法を生み出し、人間が口にするものは大きく変化した。それほど、加熱調理という調理技法は重要であると言える。
【0003】
また、加熱調理は、水を使う湿式加熱と、水を使わない乾式加熱とに大別される。
ここで、湿式加熱は水や水蒸気によって熱が伝わる加熱方法であり、具体的には「煮る」「蒸す」といった調理法である。
これに対して、乾式加熱は水などを使用せずに熱が伝わる加熱方式であり、具体的には「焼く」「炒める」「揚げる」といった調理法である。
【0004】
加熱調理された食品の中でも、油で揚げられた食品(油ちょう食品)は、食感が良いなどの理由で多くの人々に好まれている。
【0005】
ところで、食品を油で揚げる際には、液状または固形状あるいは半固形状の油脂組成物を、使用する量だけ分取する必要がある。特に、油ちょうする際には、油脂組成物を使用する分だけフライヤーに投入する必要がある。
【0006】
特に、固形状の油脂組成物を用いる場合、「一旦溶解させて分取する」または「固形状のまま分取する」のいずれかの方法によって固形状の油脂組成物が分取されてフライヤーへ投入されるが、一旦溶解させて分取する方法では、溶解させるための特殊な設備が必要となる。また、固形状のまま分取する方法では、ステンレス製のスコップなどで分取する際に、油脂組成物の物性によっては、望んだ分量を分取し難かった。
【0007】
このように油脂組成物は油ちょうに用いられる際に扱い難いという問題を解決するために、例えば特許文献1には、10℃において32mL/100g以上115mL/100g以下の気体を含み、パーム系油脂が70質量%以上100質量%以下で10℃において固形状である揚げ物用油脂組成物が記載されている。
特許文献1に記載の油脂組成物は、スコップなどが入り易く、扱い易さを向上できるという効果を奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2018-42475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、分取された液状の油脂組成物や、分取された固形状の油脂組成物例えばショートニングをスコップでフライヤーに投入するときに、液状の油脂組成物やショートニングがスコップからフライヤーへ勢いよく落ち、その勢いでフライヤーに溜められた高温の油を飛び散らせてしまい、スコップの使用者に火傷を負わせてしまうという問題があった。
そこで、油の飛び散りなどから使用者を護ることができる器具が望まれていた。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、使用者を防護できる蓋体及び掬い具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の蓋体は、長手方向へ延びた把持部と、該把持部の一端に取付けられていると共に、上面と、同把持部が取付けられた後面とは反対側の前面とに、互いに連通した開口部がそれぞれ形成された、掬い取り可能な掬い部と、を有する掬い具の、少なくとも上面の開口部を覆う蓋体であって、前記掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な覆い部と、該覆い部に取付けられていると共に長手方向へ延びており、前記把持部に着脱自在に取付可能な掴み部と、を備える。
【0012】
ここで、掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な覆い部によって、掬い部で掬い取られた物すなわち内容物が、掬い部の上面の開口部から飛び出ることを抑制できる。
また、掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な覆い部によって、内容物が例えばショートニングなどの油脂組成物であり、掬い部から油脂組成物を高温の油へ滑り落としたり、掬い部と一緒に油脂組成物を高温の油へ入れたりして油が跳ねても、使用者への油の飛び散りを防ぐことができる。
【0013】
また、覆い部に取付けられていると共に長手方向へ延びており、把持部に着脱自在に取付可能な掴み部によって、覆い部が掬い部の上面の開口部を覆ったときに、把持部に掴み部を取付けることができ、掬い具と蓋体とを一体的に使用できる。
【0014】
また、本発明の蓋体において、掴み部の内部に、掬い具の把持部を収容可能な空間が形成されており、覆い部の、掬い部の上面の開口部へ向けられる側と同じ側へ向けて開口しており、掴み部の空間と外部とを連通し、長手方向へ延びた長手開口部と、長手方向の両端に位置すると共に長手開口部と連通した端部開口部とが、掴み部に形成されており、掴み部の内形は、把持部の外形に対応した形状である構成とすることができる。
【0015】
この場合、掴み部の内部の空間に掬い具の把持部を収容して、掬い具の把持部と一緒に掴み部を掴み易くなり、掬い具と蓋体とをさらに一体的に使用し易い。
【0016】
また、この場合、内容物が嵩高くなって覆い部を押し上げたときでも、長手開口部を通して掬い具の把持部の一部を掴み部の内部の空間から外部へ出し、その結果、把持部の長手方向に対して掴み部の長手方向が斜めになりながら、平板状に形成され側面部が無い掴み部よりも側面部が存在する分、把持部との接触面積が大きいので、平板状に形成され側面部が無い掴み部よりも把持部と掴み部とを一緒に掴み易い。
【0017】
さらに、本発明の蓋体において、覆い部は平板状に形成されており、覆い部は、掴み部が取付けられた縁部から所定の範囲まで拡がった第1の領域と、第1の領域の、掴み部が取付けられた縁部とは反対側と連続して配置された第2の領域と、を有し、第2の領域の、第1の領域とは反対側の縁部が、覆い部の、掬い部の上面の開口部へ向けられる側へ向くように、第2の領域は湾曲した構成とすることができる。
【0018】
この場合、側面の前方縁部が斜めになった型の掬い具の前面の開口部を、覆い部が覆い易い。
また、この場合、覆い部の第2の領域の、第1の領域とは反対側の縁部を掬い部の内容物に向けながら、第2の領域を掬い部の内容物に当て、掴み部を掴みながら内容物を、掬い部の前面に形成された開口部を通して掬い部から押し出したり、内容物を掻き出したりし易い。
【0019】
また、本発明の蓋体において、第1の領域と第2の領域とを結ぶ方向に対して略直交する方向における第2の領域の長さは、第1の領域と第2の領域とを結ぶ方向に対して略直交する方向における第1の領域の長さより短い構成とすることができる。
【0020】
この場合、覆い部の第2の領域を、掬い部の底面部まで挿入し易くなり、内容物を残さず掻き出し易い。
【0021】
また、本発明の蓋体において、覆い部は光透過性である構成とすることができ、この場合、覆い部が掬い部の上面の開口部を覆った状態でも、掬い部の内容物を視認できる。
【0022】
また、本発明の蓋体において、掴み部の、前記覆い部に取付けられた側とは反対側に、貫通した貫通穴が形成された構成とすることができる。
【0023】
この場合、貫通穴に通された例えば紐体を、把持部に形成された穴にも通して紐体の両端を結ぶことで、蓋体と掬い具とが完全に分離してしまうことを防止できたり、貫通穴に通された紐体で輪を作り、この輪を使用者の腕に通して落下を防止できたりする。
【0024】
また、上記の目的を達成するために、本発明の掬い具は、長手方向へ延びた把持部と、該把持部の一端に取付けられていると共に、上面と、同把持部が取付けられた後面とは反対側の前面とに、互いに連通した開口部がそれぞれ形成された、掬い取り可能な掬い部と、を有する本体と、該掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な蓋体と、を備え、前記蓋体は、前記掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な覆い部と、該覆い部に取付けられていると共に長手方向へ延びており、前記把持部に着脱自在に取付可能な掴み部と、を有する。
【0025】
ここで、掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な蓋体によって、掬い部で掬い取られた物すなわち内容物が、掬い部の上面の開口部から飛び出ることを抑制できる。
また、掬い部の少なくとも上面の開口部を覆うことが可能な蓋体によって、内容物が例えばショートニングなどの油脂組成物であり、掬い部と一緒に油脂組成物を高温の油へ入れて油が跳ねても、使用者への油の飛び散りを防ぐことができる。
また、蓋体の覆い部に取付けられていると共に長手方向へ延びており、把持部に着脱自在に取付可能な掴み部によって、覆い部が掬い部の上面の開口部を覆ったときに、把持部に掴み部を取付けることができ、掬い具と蓋体とを一体的に使用できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る蓋体は、使用者を防護できる。
本発明に係る掬い具は、使用者を防護できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明を適用した蓋体の一例を示す、概略側面図(a)、概略平面図(b)及び概略背面図(c)である。
図2】本発明を適用した蓋体が角型スコップに取付けられた状態の一例を示す概略部分断面図である。
図3】角型スコップに掬い取られたショートニングが嵩高くなったときの、本発明を適用した蓋体の状態の一例を示す概略部分断面図である。
図4】本発明を適用した蓋体を使って、角型スコップに掬い取られたショートニングを角型スコップから掻き出す様子の一例を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1(a)は、本発明を適用した蓋体の一例を示す概略側面図(a)であり、図1(b)は、本発明を適用した蓋体の一例を示す概略平面図であり、図1(c)は、本発明を適用した蓋体の一例を示す概略背面図(c)である。
ここで、図1(c)は、図1(a)に示す矢印方向Aから本発明の蓋体10を見たときの図である。
【0029】
また、図2は、本発明を適用した蓋体が角型スコップに取付けられた状態の一例を示す概略部分断面図である。
換言すると図2は、本発明を適用した蓋体を備える、本発明を適用した角型スコップの一例を示す概略部分断面図である。
【0030】
図1(a)~(c)に示す本発明の蓋体10はステンレス製であり、例えばステンレス製の角型スコップ50に取付けて使用されるものである。
また、角型スコップ自体は一般的なものであり、例えば加熱調理に使用される油脂組成物例えばショートニングを掬い取り、そしてショートニングをフライヤーに投入するために使用されるものである。
すなわち、本発明の角型スコップ50は、本発明の蓋体10を備えた点に特徴がある。
また、角型スコップ50は、掬い具の一例である。
【0031】
ここで、本発明の角型スコップ50の本体は、把持部60を有する。
また、把持部60は、長手方向へ延びている。
また、把持部60の外形は直方体形状である。
【0032】
また、本発明の角型スコップ50の本体は、掬い部70を有する。
ここで、掬い部70は、把持部60の一端に取付けられている。
【0033】
また、掬い部70は、液状物や固形物を掬い取り可能な構成とされている。
すなわち、掬い部70は、底面部72と、底面部72の互いに対向する縁部から互いに略同じ方向へ突出した一対の側面部73と、底面部72の他の縁部から側面部73と略同じ方向へ突出して側面部73と連接した後面部74とで構成されている。
【0034】
ここで、側面部73と後面部74は、底面部72に対して略直交するように突出しておらず、側面部73は、それぞれの縁部が互いに離れる方向へ若干傾斜して突出しており、後面部74は、その縁部が前面側から離れる方向へ若干傾斜して突出している。
従って、掬い部70の上面すなわち、底面部72から突出した一対の側面部73の縁部と後面部74の縁部とで囲まれた面の面積に比べて底面部72の面積は小さい。
【0035】
なお、掬い部70は、その断面で示されているので、一方の側面部73のみが図示されている。
【0036】
また、掬い部70の後面部74が、把持部60の一端に取付けられている。
【0037】
また、底面部72の、後面部74が突出した縁部とは反対側の縁部から、後面部74とは反対側へ向けて斜めに、傾斜部75が突出している。
【0038】
また、側面部73は、傾斜部75の互いに対向する縁部からも突出しており、底面部72から突出した側面部73と傾斜部75から突出した側面部73とが互いに連接している。
また、傾斜部75から突出した側面部73の縁部は、底面部72から突出した側面部73の縁部に対して斜めに連接している。
【0039】
また、掬い部70の上面すなわち、底面部72から突出した一対の側面部73の縁部と後面部74の縁部とで囲まれた面と、掬い部70の、把持部60が取付けられた後面とは反対側の前面すなわち、傾斜部75から突出した一対の側面部73の傾斜した縁部と傾斜部75の縁部とで囲まれた面とに、互いに連通した開口部がそれぞれ形成されている。
この開口部が上面前面開口部71である。
【0040】
また、掬い部70には、底面部72と、一対の側面部73と、後面部74と、傾斜部75とで囲まれた空間が形成されている。
【0041】
また、本発明の角型スコップ50が備える本発明の蓋体10は、覆い部20を備える。
ここで、覆い部20は、掬い部70の上面前面開口部71を覆うことが可能である。
【0042】
また、本発明の角型スコップ50が備える本発明の蓋体10は、掴み部30を備える。
ここで、掴み部30は、覆い部20に取付けられていると共に長手方向へ延びている。
また、掴み部30は、把持部60に着脱自在に取付可能である。
【0043】
また、覆い部20は平板状に形成されている。
また、覆い部20は、第1の領域21と第2の領域22を有する。
ここで、第1の領域21は、掴み部30が取付けられた縁部から所定の範囲まで拡がった領域である。
具体的には例えば、第1の領域21は、掴み部30が取付けられた縁部から20cmの範囲まで拡がった領域であるが、これに限定されないことは勿論である。
【0044】
また、第2の領域22は、第1の領域21の、掴み部30が取付けられた縁部とは反対側と連続して配置された領域である。
また、第2の領域22は湾曲している。すなわち、第2の領域22の、第1の領域21とは反対側の縁部が、覆い部20の、掬い部70の上面前面開口部71へ向けられる側へ向くように、第2の領域22は湾曲している。
【0045】
また、第1の領域21と第2の領域22とを結ぶ方向に対して略直交する方向を幅方向とする。
そして、図1(b)に示すように、第2の領域22の幅方向の長さW2は、第1の領域21の幅方向の長さW1より短い。
【0046】
また、本発明の蓋体10や本発明の角型スコップ50が備える覆い部20を、例えばポリカーボネートで構成して、覆い部20を光透過性と成すこともできる。
覆い部20を光透過性と成すことで、覆い部20が掬い部70の上面前面開口部71を覆った状態でも、掬い部70に存在するショートニング80を視認できる。
【0047】
また、掴み部30は、図1(c)に示すように、平板状に形成された上面部31と、上面部31の互いに対向する縁部から互いに略同じ方向へ突出した一対の側面部32とで構成されている。
すなわち、掴み部30の内部に、上面部31と、一対の側面部32とで囲まれた空間が形成されており、掴み部30は略U字状に形成されている。
【0048】
また、掴み部30に長手開口部33が形成されている。
ここで、長手開口部33は、覆い部20の、掬い部70の上面前面開口部71へ向けられる側と同じ側へ向けて開口しており、掴み部30の内部の空間と外部とを連通し、長手方向へ延びている。
【0049】
また、掴み部30に端部開口部34が形成されている。
ここで、端部開口部34は、長手方向の両端に位置すると共に長手開口部33と連通している。
【0050】
また、掴み部30の内形は、把持部60の外形と同じく直方体形状であり、掴み部30の内形は、把持部60の外形に対応した形状である。
【0051】
また、掴み部30の長手開口部33を通して、掴み部30の内部に形成された空間に、本発明の角型スコップ50の把持部60を収容可能である。すなわち、掴み部30を把持部60に取付可能である。
また、掴み部30の長手開口部33を通して、把持部60を掴み部30の内部の空間から外部へ出すこともできる。すなわち、掴み部30を把持部60から取外し可能である。
このように、掴み部30は、把持部60に着脱自在に取付可能である。
【0052】
また、本発明の蓋体10が備える掴み部30は、このような構成であるので、次のような作用効果を奏する。
以下、図を参照しながら説明する。
【0053】
図3は、角型スコップに掬い取られたショートニングが嵩高くなったときの、本発明を適用した蓋体の状態の一例を示す概略部分断面図である。
【0054】
図3に示すように、掬い部70に存在するショートニング80が嵩高くなって覆い部20を押し上げたときでも、掴み部30の長手開口部33を通して角型スコップ50の把持部60の一部を掴み部30の内部の空間から外部へ出し、その結果、把持部60の長手方向に対して掴み部30の長手方向が斜めになりながら、平板状に形成され側面部が無い掴み部よりも側面部が存在する分、把持部60との接触面積が大きいので、平板状に形成され側面部が無い掴み部よりも把持部60と掴み部30とを一緒に掴み易い。
【0055】
また、本発明の蓋体10が備える覆い部20が、前述のように、第2の領域22の、第1の領域21とは反対側の縁部が、覆い部20の、掬い部70の上面前面開口部71へ向けられる側へ向くように、第2の領域22は湾曲しているという構成であるので、次のような作用効果を奏する。
以下、図を参照しながら説明する。
【0056】
図4は、本発明を適用した蓋体を使って、角型スコップに掬い取られたショートニングを角型スコップから掻き出す様子の一例を示す概略部分断面図である。
【0057】
図4に示すように、覆い部20の第2の領域22の、第1の領域21とは反対側の縁部を掬い部70に存在するショートニング80に向けながら、第2の領域22をショートニング80に当て、掴み部30を掴みながらショートニング80を、掬い部70の上面前面開口部71を通して掬い部70から押し出したり、ショートニング80を掻き出したりし易い。
【0058】
また、図1(b)に示すように、掴み部30の、覆い部20に取付けられた側とは反対側に、貫通した貫通穴35が形成されている。
また、図1(b)に示すように、掴み部30に形成された貫通穴35には紐体40が通され、貫通穴35に通された紐体40の両端が結ばれて、輪が形成されている。
この紐体40から成る輪を使用者の腕に通して、本発明の蓋体10の落下を防止できる。
【0059】
本発明の蓋体10において、掴み部30が把持部60に着脱自在に取付可能であれば、必ずしも掴み部30の内部に、把持部60を収容可能な空間が形成されていなくてもよく、また、必ずしも掴み部30に、長手開口部33と端部開口部34が形成されていなくてもよく、また、必ずしも掴み部30の内形は、把持部60の外形に対応した形状でなくてもよい。
【0060】
しかし、掴み部30がこのような構成であれば、掴み部30の内部の空間に角型スコップ50の把持部60を収容して、角型スコップ50の把持部60と一緒に掴み部30を掴み易くなり、角型スコップ50と蓋体10とをさらに一体的に使用し易いので好ましい。
また、掴み部30がこのような構成であれば、掬い部70に存在するショートニング80が嵩高くなって覆い部20を押し上げたときでも、掴み部30の長手開口部33を通して角型スコップ50の把持部60の一部を掴み部30の内部の空間から外部へ出し、その結果、把持部60の長手方向に対して掴み部30の長手方向が斜めになりながら、平板状に形成され側面部が無い掴み部よりも側面部が存在する分、把持部60との接触面積が大きいので、平板状に形成され側面部が無い掴み部よりも把持部60と掴み部30とを一緒に掴み易いので好ましい。
【0061】
また、例えば、掴み部が平板状に形成され、掴み部の略中央部に、把持部を挿通できるリング体が取付けられた構成とすることができる。
このような構成でも、掴み部を把持部に着脱自在に取付可能だからである。
【0062】
また、必ずしも掴み部30の内形と把持部60の外形は直方体形状でなくてもよい。
例えば、掴み部30の内形と把持部60の外形は円柱形状とすることができる。
【0063】
また、本発明の蓋体10において、覆い部20の第2の領域22は必ずしも湾曲していなくてもよい。
しかし、覆い部20の第2の領域22が湾曲していれば、側面の前方縁部が斜めになった型のスコップすなわち掬い具の前面の開口部を、覆い部20が覆い易いので好ましい。
また、覆い部20の第2の領域22が湾曲していれば、覆い部20の第2の領域22の、第1の領域21とは反対側の縁部を角型スコップ50の掬い部70に存在するショートニング80に向けながら、第2の領域22をショートニング80に当て、掴み部30を掴みながらショートニング80を、掬い部70の上面前面開口部71を通して掬い部70から押し出したり、ショートニング80を掻き出したりし易いので好ましい。
【0064】
また、本発明の蓋体10において、必ずしも第2の領域22の幅方向の長さW2は、第1の領域21の幅方向の長さW1より短くなくてもよく、第2の領域22の幅方向の長さW2は第1の領域21の幅方向の長さW1と略同じとすることもできる。
【0065】
しかし、第2の領域22の幅方向の長さW2が、第1の領域21の幅方向の長さW1より短ければ、掬い部70の上面の面積よりも底面部72の面積の方が小さい場合に、覆い部20の第2の領域22を掬い部70の底面部72まで挿入し易くなり、ショートニング80などの内容物を残さず掻き出し易いので好ましい。
【0066】
また、本発明の蓋体10において、必ずしも掴み部30に貫通穴35が形成されていなくてもよい。
しかし、掴み部30に貫通穴35が形成されていれば、貫通穴35に通された例えば紐体40を、把持部60に形成された穴にも通して紐体40の両端を結ぶことで、本発明の蓋体10と角型スコップ50とが完全に分離してしまうことを防止できたり、貫通穴35に通された紐体40で輪を作り、この輪を使用者の腕に通して落下を防止できたりすることができ、好ましい。
【0067】
また、本発明の蓋体10を取付けることができれば、掬い具は必ずしも角型スコップ50でなくてもよく、例えば円筒体の後面に長手方向へ延びた把持部が取付けられ、上面と前面とに互いに連通した開口部がそれぞれ形成された掬い部を有するスコップであってもよい。
【0068】
本発明の蓋体10や本発明の角型スコップ50の使用方法の一例を説明する。
例えば、本発明の角型スコップ50の掬い部70で、ショートニング80を必要な量だけ掬い取り、さらに、本発明の蓋体10の覆い部20で掬い部70の上面前面開口部71を覆うと共に、本発明の蓋体10の掴み部30を本発明の角型スコップ50の把持部60に着脱自在に取付ける。
【0069】
そして、把持部60と掴み部30とを一緒に掴み、掬い部70の前方すなわち傾斜部75側がフライヤー内の高温の油へ向くように掬い部70を傾ける。
こうすることで、重力によってショートニング80が傾斜部75上を滑り、上面前面開口部71を通って掬い部70から出ようとする。
また、このとき、ショートニング80が覆い部20を押し上げ、それに伴い、把持部60の長手方向に対して掴み部30の長手方向が斜めになりながら、把持部60と掴み部30を一緒に掴んでいられるので、本発明の蓋体10を取外すことなく、ショートニング80をフライヤー内の高温の油へ投入できる。
【0070】
また、本発明の蓋体10や本発明の角型スコップ50はステンレス製であるので、ショートニング80を掬い部70から出すことなく、掬い部70と一緒にショートニング80をフライヤーの油に漬けることもできる。
このとき、覆い部20は、掬い部70の上面前面開口部71を封止しているわけではないので、覆い部20と掬い部70との間には隙間が存在しており、この隙間からフライヤーの油が掬い部70に流入し、ショートニング80と混ざり合う。
【0071】
以上のように、本発明の蓋体10は、覆い部20を備えているので、本発明の角型スコップ50の本体が有する掬い部70で掬い取られたショートニング80を、掬い部70から高温の油へ滑り落としたり、掬い部70と一緒に高温の油へ入れたりして油が跳ねても、使用者への油の飛び散りを防ぐことができる。
【0072】
また、本発明の蓋体10は、掴み部30を備えているので、覆い部20が掬い部70の上面前面開口部71を覆ったときに、本発明の角型スコップ50の本体が有する把持部60に掴み部30を取付けることができ、本発明の角型スコップ50の本体と本発明の蓋体10とを一体的に使用できる。
【0073】
従って、本発明の蓋体10は、本発明の角型スコップ50の本体と一緒に使用して、ショートニング80を高温の油に投入するときでも、使用者への油の飛び散りを防ぐことができ、使用者を防護できる。
また、本発明の角型スコップ50も、本発明の蓋体10を備えているので、ショートニング80を高温の油に投入するときでも、使用者への油の飛び散りを防ぐことができ、使用者を防護できる。
【0074】
また、本発明の角型スコップ50の本体が有する掬い部70で、ショートニング80を掬い取る場合を説明したが、その他、例えば地面の土を掬い取る場合でも、本発明の蓋体10や本発明の角型スコップ50は、使用者を防護できる。
すなわち、地面の土を掬い取ったときに、掬い取られた土中にカエルなど飛び跳ねる小動物が生息していた場合でも、飛び跳ねたカエルは覆い部20によって掬い部70から出られず、使用者へ飛び移ることができないので、本発明の蓋体10や本発明の角型スコップ50は、使用者を防護できると言える。
【符号の説明】
【0075】
10 蓋体
20 覆い部
21 第1の領域
22 第2の領域
30 掴み部
31 上面部
32 側面部
33 長手開口部
34 端部開口部
35 貫通穴
40 紐体
50 角型スコップ
60 把持部
70 掬い部
71 上面前面開口部
72 底面部
73 側面部
74 後面部
75 傾斜部
80 ショートニング
W1 第1の領域の幅方向の長さ
W2 第2の領域の幅方向の長さ
図1
図2
図3
図4