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特開2025-14461繊維強化樹脂の射出成形装置および射出成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014461
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】繊維強化樹脂の射出成形装置および射出成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
B29C45/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117034
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小林 正俊
(72)【発明者】
【氏名】千葉 英貴
(72)【発明者】
【氏名】梅田 光秀
(72)【発明者】
【氏名】國弘 大介
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA40
4F206AB16
4F206AB17
4F206AB18
4F206AB19
4F206AB25
4F206AB28
4F206AL16
4F206AL17
4F206JA07
4F206JF02
4F206JF13
4F206JF23
4F206JF46
4F206JL02
4F206JM01
4F206JN03
4F206JQ15
(57)【要約】
【課題】生産性を向上させるとともに、廃棄材料を減少させることが可能な繊維強化樹脂の射出成形装置および繊維強化樹脂の射出成形方法を提供する。
【解決手段】繊維強化樹脂の射出成形装置は、樹脂を溶融させる加熱シリンダ11と、加熱シリンダ11に挿通されているスクリュ12と、加熱シリンダ11に樹脂を投入するホッパーと、加熱シリンダ11に長繊維Lを投入する投入ボックス13Bと、加熱シリンダ11で溶融した溶融樹脂Mと加熱シリンダ11に投入された長繊維Lとの接触をアシストする接着剤噴霧部21と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を溶融させる加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに挿通されているスクリュと、
前記加熱シリンダに前記樹脂を投入する樹脂投入部と、
前記加熱シリンダに長繊維を投入する長繊維投入部と、
前記加熱シリンダで溶融した樹脂と前記加熱シリンダに投入された長繊維との接触を補助するアシスト部と、を備える、繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項2】
前記長繊維投入部は、前記樹脂投入部の下流側に設けられている、請求項1に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項3】
前記長繊維投入部は、前記加熱シリンダに複数の前記長繊維を投入する、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項4】
前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された複数の長繊維に接着剤を噴霧する、請求項3に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項5】
前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された複数の長繊維の一部にホットメルト接着剤を吐出する、請求項3に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項6】
前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された長繊維に圧縮空気を吐出する、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項7】
前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された長繊維をガイドプレートで案内する、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項8】
前記アシスト部は、前記長繊維を吸引して、前記加熱シリンダで溶融した樹脂との接触を補助する、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項9】
前記長繊維投入部に、前記長繊維を着脱可能な棒状部材が設けられており、
前記アシスト部は、前記長繊維を取り付けた棒状部材を移動させて、前記加熱シリンダで溶融した樹脂との接触を補助する、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項10】
前記長繊維投入部に、前記長繊維を搬送する搬送部材が設けられている、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【請求項11】
スクリュが挿通されている加熱シリンダに樹脂を投入して溶融させる工程と、
前記加熱シリンダに長繊維を投入する工程と、
前記加熱シリンダで溶融した樹脂と前記加熱シリンダに投入された長繊維との接触を補助する工程と、を含む、繊維強化樹脂の射出成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂の射出成形装置および繊維強化樹脂の射出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂と長繊維を事前に溶融混練せず、加熱シリンダ(加熱筒)に直接樹脂と長繊維を投入して、溶融混練して、射出成形するダイレクト射出成形機が知られている。
【0003】
特許文献1には、加熱筒と、加熱筒の内側に挿通されるスクリュと、スクリュの先端側に設けられる射出部と、加熱筒の内側にマトリックス樹脂を投入する樹脂投入部と、加熱筒の内側に長繊維を投入する長繊維投入部と、加熱筒の内側に長繊維よりも短い短繊維を投入する短繊維投入部と、を有する繊維強化樹脂成形品の製造装置が記載されている。ここで、繊維強化樹脂成形品の製造装置は、長繊維投入部よりも短繊維投入部がスクリュの後端に近い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-138851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている繊維強化樹脂成形品の製造装置では、加熱筒で溶融した樹脂に複数の長繊維が接触しにくくなって、生産性が低下するとともに、廃棄材料が増加する場合がある。
【0006】
本発明は、生産性を向上させるとともに、廃棄材料を減少させることが可能な繊維強化樹脂の射出成形装置および繊維強化樹脂の射出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)樹脂を溶融させる加熱シリンダと、前記加熱シリンダに挿通されているスクリュと、前記加熱シリンダに前記樹脂を投入する樹脂投入部と、前記加熱シリンダに長繊維を投入する長繊維投入部と、前記加熱シリンダで溶融した樹脂と前記加熱シリンダに投入された長繊維との接触を補助するアシスト部と、を備える、繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0008】
(2)前記長繊維投入部は、前記樹脂投入部の下流側に設けられている、(1)に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0009】
(3)前記長繊維投入部は、前記加熱シリンダに複数の前記長繊維を投入する、(1)または(2)に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0010】
(4)前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された複数の長繊維に接着剤を噴霧する、(3)に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0011】
(5)前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された複数の長繊維の一部にホットメルト接着剤を吐出する、(3)に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0012】
(6)前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された長繊維に圧縮空気を吐出する、(1)から(3)のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0013】
(7)前記アシスト部は、前記加熱シリンダに投入された長繊維をガイドプレートで案内する、(1)から(3)のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0014】
(8)前記アシスト部は、前記長繊維を吸引して、前記加熱シリンダで溶融した樹脂との接触を補助する、(1)から(3)のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0015】
(9)前記長繊維投入部に、前記長繊維を着脱可能な棒状部材が設けられており、
前記アシスト部は、前記長繊維を取り付けた棒状部材を移動させて、前記加熱シリンダで溶融した樹脂との接触を補助する、(1)から(3)のいずれか一項の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0016】
(10)前記長繊維投入部に、前記長繊維を搬送する搬送部材が設けられている、(1)から(9)のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂の射出成形装置。
【0017】
(11)スクリュが挿通されている加熱シリンダに樹脂を投入して溶融させる工程と、前記加熱シリンダに長繊維を投入する工程と、前記加熱シリンダで溶融した樹脂と前記加熱シリンダに投入された長繊維との接触を補助する工程と、を含む、繊維強化樹脂の射出成形方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、生産性を向上させるとともに、廃棄材料を減少させることが可能な繊維強化樹脂の射出成形装置および繊維強化樹脂の射出成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の繊維強化樹脂の射出成形装置の一例を示す模式図である。
図2図1の繊維強化樹脂の射出成形装置の部分拡大断面図である。
図3図2の接着剤噴霧部の作用を説明する断面図である。
図4図2の接着剤噴霧部の作用を説明する断面図である。
図5図1の繊維強化樹脂の射出成形装置の変形例の部分拡大断面図である。
図6図5のホットメルト接着剤吐出部の作用を説明する断面図である。
図7図5のホットメルト接着剤吐出部の作用を説明する断面図である。
図8図5のホットメルト接着剤吐出部の作用を説明する断面図である。
図9図1の繊維強化樹脂の射出成形装置の変形例の部分拡大断面図である。
図10図1の繊維強化樹脂の射出成形装置の変形例の部分拡大断面図である。
図11図10の繊維強化樹脂の射出成形装置の変形例の部分拡大断面図である。
図12図1の繊維強化樹脂の射出成形装置の変形例の部分拡大断面図である。
図13図12の繊維強化樹脂の射出成形装置の変形例の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
[繊維強化樹脂の射出成形装置]
図1に、本実施形態の繊維強化樹脂の射出成形装置の一例として、射出成形機10を示す。
【0022】
射出成形機10は、樹脂を溶融させる加熱シリンダ11と、加熱シリンダ11に挿通されているスクリュ12と、を備えるダイレクト射出成形機である。加熱シリンダ11には、加熱シリンダ11に樹脂を投入する樹脂投入部としての、ホッパー13Aと、加熱シリンダ11に複数の長繊維を投入する長繊維投入部としての、投入ボックス13Bと、が設置されている。ここで、加熱シリンダ11で溶融した樹脂は、スクリュ12の回転により、加熱シリンダ11の上流側から下流側に搬送される。なお、投入ボックス13Bは、ホッパー13Aの下流側に設けられているが、加熱シリンダ11に投入された長繊維を加熱シリンダ11で溶融した樹脂と接触させることが可能であれば、投入ボックス13Bは、ホッパー13Aの下流側に設けられていなくてもよい。また、投入ボックス13Bから、単数の長繊維を投入してもよい。さらに、ホッパー13Aから、樹脂とともに、短繊維を投入してもよい。
【0023】
なお、射出成形機10は、加熱シリンダ11で生成する溶融混練物(繊維強化樹脂)を射出するノズル(射出口)14と、ノズル14から射出された溶融混練物を成形する金型15と、をさらに備える。ここで、加熱シリンダ11のノズル14の近傍は、スクリュ12の先端部を収納することが可能な略円錐状の領域が形成されている。金型15は、固定型および可動型から構成されている。
【0024】
射出成形機10は、図2に示すように、加熱シリンダ11で溶融した溶融樹脂Mと加熱シリンダ11に投入された長繊維Lとの接触を補助するアシスト部としての、接着剤噴霧部21が投入ボックス13Bの上面に設置されている。接着剤噴霧部21は、長繊維Lに接着剤Aを噴霧する。接着剤噴霧部21の市販品としては、例えば、自動スプレーガンSGA-3シリーズ(アネスト岩田製)が挙げられる。
【0025】
射出成形機10は、複数のロービングRから引き出された複数の長繊維Lを投入ボックス13Bに案内する複数のチューブ22を備え、投入ボックス13Bの隣り合うチューブ22の間に接着剤噴霧部21が配置されている。このとき、複数のチューブ22の上流側および下流側に、圧縮空気供給部23および24が設置されている。圧縮空気供給部23および24は、それぞれ、圧縮空気を供給して、長繊維Lを鉛直上向きおよび鉛直下向きに搬送する搬送部材である。圧縮空気供給部23および24の市販品としては、例えば、バキュームフロー(SMC製)が挙げられる。
【0026】
図3に示すように、加熱シリンダ11に投入された複数の長繊維Lに対して、接着剤噴霧部21が接着剤Aを噴霧すると、長繊維Lの表面に粘着性が付与される。その結果、図4に示すように、複数の長繊維Lは、接着した後、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mに接触し、その結果、スクリュ12に巻き付く。
【0027】
射出成形機10において、接着剤噴霧部21が設置されていないと、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mに複数の長繊維Lが接触しにくくなって、生産性が低下するとともに、廃棄材料が増加する場合がある。
【0028】
また、射出成形機10において、複数のチューブ22の下流側に、圧縮空気供給部24が設置されていない場合、例えば、スクリュ12の回転を一時停止し、手作業で複数の長繊維Lを加熱シリンダ11に投入した後、スクリュ12の回転を再開し、スクリュ12に複数の長繊維Lを巻き付ける。このとき、加熱シリンダ11に投入した全ての長繊維Lがスクリュ12に巻き付くまで、手作業を繰り返す必要があり、生産性が低下するとともに、廃棄材料が増加する。
【0029】
接着剤Aは、長繊維Lに噴霧すること、および、長繊維Lの表面に粘着性を付与することが可能であれば、特に限定されない。接着剤Aの市販品としては、例えば、スーパーGスプレーZ(コニシ製)、RQ-NVN2(アイカ工業製)が挙げられる。
【0030】
溶融樹脂Mを構成する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリイミドが挙げられる。
【0031】
長繊維Lおよび短繊維を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維が挙げられる。
【0032】
なお、長繊維Lおよび短繊維を構成する繊維は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
射出成形機10において、投入ボックス13Bの上面に接着剤噴霧部21を設置する代わりに、投入ボックス13Bの、スクリュ12の回転方向に対して、上流側の側面にホットメルト接着剤吐出部51を設置してもよい(図5参照)。ホットメルト接着剤吐出部51は、複数の長繊維Lの一部にホットメルト接着剤Hを吐出する。このとき、ホットメルト接着剤吐出部51の市販品としては、例えば、電動ホットメルトガンTE-m12(三洋ライフマテリアル製)が挙げられる。
【0034】
図6に示すように、加熱シリンダ11に投入された複数の長繊維Lの一部に対して、ホットメルト接着剤吐出部51がホットメルト接着剤Hを吐出角度αで吐出すると、図7に示すように、ホットメルト接着剤Hにより接着した長繊維Lは、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mに接触し、その結果、スクリュ12に巻き付き始める。次に、図8に示すように、長繊維Lの残部は、スクリュ12に巻き付き始めた長繊維Lにより、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mに接触するように誘導され、その結果、複数の長繊維Lは、スクリュ12に巻き付く。
【0035】
ホットメルト接着剤Hを構成する材料としては、長繊維Lの一部を接着することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂が挙げられる。
【0036】
ホットメルト接着剤Hの粘度は、長繊維Lの一部に吐出することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、1000cps以上17000cps以下である。
【0037】
吐出角度αは、長繊維Lの一部を接着させることが可能であれば、特に限定されないが、例えば、25°以上45°以下である。
【0038】
射出成形機10において、投入ボックス13Bの上面に接着剤噴霧部21を設置する代わりに、投入ボックス13Bの、スクリュ12の回転方向に対して、上流側の側面に圧縮空気吐出部91を設置してもよい(図9参照)。圧縮空気吐出部91は、複数の長繊維Lに圧縮空気Cを吐出する。このとき、圧縮空気吐出部91の市販品としては、例えば、充電式エアダスタAS001GZ(マキタ製)が挙げられる。
【0039】
加熱シリンダ11に投入された複数の長繊維Lに対して、圧縮空気吐出部91が圧縮空気Cを吐出角度βで吐出すると、複数の長繊維Lは、圧縮空気Cにより、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mと接触するように誘導され、その結果、スクリュ12に巻き付く。
【0040】
吐出角度βは、複数の長繊維Lが溶融樹脂Mと接触することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、25°以上45°以下である。
【0041】
射出成形機10において、投入ボックス13Bの上面に接着剤噴霧部21を設置する代わりに、投入ボックス13Bの、スクリュ12の回転方向に対して、上流側の側面に傾斜角γでガイドプレート101を設置してもよい(図10参照)。ガイドプレート101は、複数の長繊維Lを案内する。ガイドプレート101として、傾斜方向に移動することが可能な可動式のガイドプレートを使用してもよい。
【0042】
加熱シリンダ11に複数の長繊維Lが投入されると、複数の長繊維Lは、ガイドプレート101により、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mと接触するように案内され、その結果、スクリュ12に巻き付く。
【0043】
傾斜角γは、複数の長繊維Lが溶融樹脂Mと接触することが可能であれば、特に限定されないが、例えば、15°以上45°以下である。
【0044】
図10において、圧縮空気供給部24の代わりに、電動回転式ローラー111を設置してもよい(図11参照)。電動回転式ローラー111は、回転することにより、長繊維Lを鉛直下向きに搬送する搬送部材である。なお、図10以外の射出成形機10に電動回転式ローラー111を適用してもよい。
【0045】
射出成形機10において、圧縮空気供給部24を設置せず、加熱シリンダ11に、投入ボックス13Bを設置する代わりに、投入口121を形成するとともに、加熱シリンダ11で溶融した樹脂と加熱シリンダ11に投入された長繊維Lとの接触を補助する吸引部122を加熱シリンダ11に設置してもよい(図12参照)。吸引部122には、投入口121に対して、加熱シリンダ11の下流側に吸引経路122aが形成されており、吸引ポンプ122bにより吸引される。このとき、吸引経路122aでは、鉛直上向きに吸引され、投入口121では、鉛直下向きに吸引される。このため、複数の長繊維Lは、加熱シリンダ11とスクリュ12との間の空間において、投入口121から吸引経路122aに向かって吸引されるため、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mと接触する。
【0046】
図12において、加熱シリンダ11に吸引部122を設置する代わりに、投入口121に長繊維Lを着脱可能な棒状部材131を設置してもよい(図13参照)。棒状部材131は、支持部材132により、支持されており、例えば、モータにより鉛直方向に移動させることができる。このとき、長繊維Lを取り付けた棒状部材131を鉛直下向きに移動させると、スクリュ12に付着した溶融樹脂Mと接触する。一方、棒状部材131を鉛直上向きに移動させると、溶融樹脂Mと接触した長繊維が棒状部材131から取り外される。
【0047】
棒状部材131は、長繊維Lを着脱可能であれば、特に限定されないが、例えば、先端部に耐熱ゴムが付与されていてもよいし、先端部に凹部が形成されていてもよい。
【0048】
[繊維強化樹脂の射出成形方法]
本実施形態の繊維強化樹脂の射出成形方法は、スクリュが挿通されている加熱シリンダに樹脂を投入して溶融させる工程と、加熱シリンダに長繊維を投入する工程と、加熱シリンダで溶融した樹脂と加熱シリンダに投入された長繊維との接触を補助する工程と、を含む。ここで、本実施形態の繊維強化樹脂の射出成形方法は、本実施形態の繊維強化樹脂の射出成形装置を使用して実施することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。例えば、接着剤噴霧部21、ホットメルト接着剤吐出部51、圧縮空気吐出部91およびガイドプレート101のいずれかを組み合わせて使用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 射出成形機
11 加熱シリンダ
12 スクリュ
13A ホッパー
13B 投入ボックス
14 ノズル
15 金型
21 接着剤噴霧部
22 チューブ
23、24 圧縮空気供給部
51 ホットメルト接着剤吐出部
91 圧縮空気吐出部
101 ガイドプレート
111 電動回転式ローラー
121 投入口
122 吸引部
121a 吸引経路
121c 吸引ポンプ
131 棒状部材
132 支持部材
A 接着剤
C 圧縮空気
H ホットメルト接着剤
L 長繊維
M 溶融樹脂
R ロービング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13