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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014475
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】改修用建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117057
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA02
2E011KB01
2E011KC02
2E011KC04
2E011KC08
2E011KD14
2E011KG00
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】排水性を確保して新設枠体を設ける。
【解決手段】既設枠体1の内周側に設けられる新設枠体10を備えた改修用建具であって、新設枠体10の新設下枠12は、新設縦枠13の下面に対向して配置される新設下枠本体12aを有し、新設縦枠13は、下端に開口する外方金属成形部21及び内方金属成形部22を有したものであり、新設下枠本体12aには、外方金属成形部21に対応する部分に排水用の切欠12gが設けられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設枠体の内周側に設けられる新設枠体を備えた改修用建具であって、
前記新設枠体の新設下枠は、新設縦枠の下面に対向して配置される縦枠対向部を有し、
前記新設縦枠は、下端に開口する中空部を有したものであり、
前記縦枠対向部には、前記中空部に対応する部分に水抜き孔が設けられていることを特徴とする改修用建具。
【請求項2】
前記縦枠対向部は、平板状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の改修用建具。
【請求項3】
前記新設縦枠の中空部は、室外側の第1中空部と、室内側の第2中空部とを有し、
前記縦枠対向部は、前記第1中空部の下端開口を覆うように設けられ、かつ一部に前記水抜き孔を有していることを特徴とする請求項1に記載の改修用建具。
【請求項4】
前記縦枠対向部は、前記第1中空部に対向する部分のみを覆うように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の改修用建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設枠体の内周側に設けられる新設枠体を備えた改修用建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の改修を行う場合には、既設の枠体を躯体に残した状態で実施する方法がある。すなわち、既設縦枠の内周側となる部分に新設縦枠を配設するとともに、既設下枠の内周側となる部分に新設下枠を配設し、新設縦枠と新設下枠とを連結することによって新設枠体を構成するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-112017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、新設縦枠と新設下枠とを連結する場合には、既設下枠の内周側となる見込み面を新設縦枠の下面に対向させた状態で連結する方法がある。しかしながら、この建具では、縦枠の中空部に浸入した水がそのまま滞留するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、排水性を確保して新設枠体を設けることのできる改修用建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る改修用建具は、既設枠体の内周側に設けられる新設枠体を備えた改修用建具であって、前記新設枠体の新設下枠は、新設縦枠の下面に対向して配置される縦枠対向部を有し、前記新設縦枠は、下端に開口する中空部を有したものであり、前記縦枠対向部には、前記中空部に対応する部分に水抜き孔が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、縦枠の中空部に浸入した水が水抜き孔を通じて外部に排出されるため、内部に水が貯留する事態を招来する懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である改修用建具を室外側から見た姿図である。
図2図1に示した改修用建具の縦断面図である。
図3図1に示した改修用建具の横断面図である。
図4図1に示した改修用建具の枠体を室外側から見た要部斜視図である。
図5図1に示した改修用建具の枠体を室内側から見た要部斜視図である。
図6図1に示した改修用建具の新設下枠を設置する手順を示すもので、(a)は既設下枠の縦断面図、(b)は既設下枠の内周側となる部分に新設下枠を重ね合わせた縦断面図、(c)は新設下枠を取り付けた状態の縦断面図である。
図7】既設下枠に新設下枠を配置した状態を室外側から見た要部斜視図である。
図8図7に示した状態から新設縦枠を配置した状態を室外側、かつ内周側から見た要部斜視図である。
図9図8に示した新設枠体を室外側、かつ外周側から見た要部斜視図である。
図10図1に示した改修用建具の要部を内周側から示す縦断面図である。
図11図1に示した改修用建具の要部を外周側から見た縦断面図である。
図12図1に示した改修用建具の要部を室内側から見た縦断面図である。
図13図1に示した改修用建具の要部を下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る改修用建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図5は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、戸建て住宅等の建物の玄関に用いられるドアであり、特に既設の枠体1を残した状態で設置される改修用の玄関ドアを例示している。すなわち、この玄関ドアでは、躯体Bに取り付けられた状態の既設の上枠1a、下枠1b及び左右の縦枠1cに対して個々の内周側に新たな上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を設置することにより、ドアパネルPを開閉可能に支持するための枠体10が構成してある。新たな上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様な断面形状を有するように構成してある。なお、以下においては便宜上、躯体Bに残した既設の枠体1の構成要素については既設上枠1a等、既設という用語を付与し、新たに設置した枠体10の構成要素については新設上枠11等、新設という用語を付与して両者を区別することとする。
【0011】
新設上枠11、新設縦枠13は、それぞれ室外側の金属成形部(以下、外方金属成形部(第1中空部)21という)及び室内側の金属成形部(以下、内方金属成形部(第2中空部)22という)の間を樹脂製のブリッジ材23によって連結したものである。外方金属成形部21及び内方金属成形部22は、それぞれ断面が略長方形の中空状を成すものである。内方金属成形部22には、内周側となる部分に内周に向けて戸当り片22aが設けてある。上記の構成を有した新設上枠11及び新設縦枠13は、既設上枠1a及び既設縦枠1cの内周側となる部分に、それぞれ補強金具24を介して取り付けてある。図には明示していないが、新設上枠11は、左右の新設縦枠13の内周側となる見込み面の間に取り付けてある。新設上枠11及び新設縦枠13の室外に臨む見付け面から外壁材Wの外表面Waまでの間には外額縁30が設けてあり、一方、新設上枠11及び新設縦枠13の室内に臨む見付け面から室内側に設けた躯体側額縁板25の内周側となる見込み面までの間には内額縁40が設けてある。外額縁30及び内額縁40は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である。
【0012】
一方、新設下枠12は、ポーチ面15との段差がほぼゼロとなるように設置された既設下枠1bを改修対象として装着するものである。すなわち、既設下枠1bは、図6に示すように、見込み方向に延在する既設下枠本体51と、既設下枠本体51の室内側となる縁部から内周側に向け点見付け方向に延在した既設戸当り壁部52とを有したもので、既設下枠本体51の室外側に位置する縁部と、ポーチ面15との間の段差がほぼゼロとなるように設けられている。
【0013】
この既設下枠1bを改修対象とする新設下枠12は、新設下枠本体(縦枠対向部)12a、新設戸当り壁部12b、沓摺装着板部12c、支持壁部12dとを有して構成してある。新設下枠本体12aは、見込み方向に沿って延在した平板状を成すものである。新設戸当り壁部12bは、新設下枠本体12aの室内側に位置する縁部から内周側に向けて見付け方向に延在したものである。新設戸当り壁部12bの内周側への突出寸法は、既設下枠1bにおいて既設下枠本体51からの既設戸当り壁部52の突出寸法とほぼ等しい。新設戸当り壁部12bの内周側縁部において室外に臨む部分には、シール部材16を装着するためのシール材装着部12eが設けてある。沓摺装着板部12cは、新設戸当り壁部12bから室内に向けて見込み方向に延在したものである。沓摺装着板部12cの外周側となる見込み面には、ビスホール12fが設けてある。支持壁部12dは、沓摺装着板部12cの室内側に位置する縁部において見付け方向に延在したものである。支持壁部12dの延在寸法は、新設戸当り壁部12bとほぼ同じである。
【0014】
この新設下枠12は、図7図13に示すように、新設下枠本体12aの両端部がそれぞれ新設縦枠13の下面に対向する一方、新設戸当り壁部12b、沓摺装着板部12c、支持壁部12dの各端面が、新設縦枠13の内周側となる見込み面よりも内周側に位置するようにそれぞれの端部の寸法を設定し、既設下枠1bの内周側となる部分に配置する。より具体的に説明すると、外方金属成形部21の中空部については新設下枠本体12aによって下面の開口を閉塞する一方、内方金属成形部22の中空部については下面の開口を開放し、直接既設下枠1bの内周側となる見込み面に対向させるようにしている。但し、新設下枠本体12aの室外側に位置する縁部には、排水用の切欠(水抜き孔)12gが設けてある。新設下枠12の取り付けについては、新設下枠本体12aの両端部にステンレスプレート17を配置し、ステンレスプレート17及び新設下枠本体12aを介して玄関の基礎部分にネジ60を螺合するようにしている。また沓摺装着板部12cを介して既設下枠1bにネジ61を螺合することにより新設下枠12を既設下枠1bに連結するようにしている。ネジ61を螺合した後においては、沓摺装着板部12cに沓摺部材62が装着してある。
【0015】
新設下枠12を取り付けた後においては、既設縦枠1cの内周側となる部分に新設縦枠13を配置し、内方金属成形部22を介してビスホール12fにネジ(図示せず)を螺合することにより内方金属成形部22と新設下枠12との間が連結してある。外方金属成形部21については、中空部にL字状を成す連結板18を配置し、連結板18を介して新設下枠本体12aと外方金属成形部21との間を連結している。新設下枠本体12aと既設下枠1bとの間に隙間がある場合には、互いの間にスペーサ19を設けても良い。
【0016】
上記のようにして構成した新設枠体10では、新設下枠本体12aが平板状に構成してあるため、ポーチ面15との段差がほぼゼロとなっている既設下枠1bに対して、ポーチ面15との段差がほぼ無い状態で新たに新設下枠12を設置することが可能となる。しかも、外方金属成形部21の中空部に浸入した水は、新設下枠本体12aに設けた切欠12gを通じて室外側に排出されることになり、内部に滞留するおそれがない。同様に、内方金属成形部22の中空部に浸入した水は、そのまま下面の開口を通じて既設下枠1bの内周側となる見込み面に排出された後、室外側に排出されることになり内部に滞留するおそれがない。
【0017】
なお、上述した実施の形態では、2つの中空部を有した新設縦枠を例示しているが、本発明はこれに限定されず、唯一の中空部を有した新設縦枠を適用しても良い。
【0018】
以上のように、本発明に係る改修用建具は、既設枠体の内周側に設けられる新設枠体を備えた改修用建具であって、前記新設枠体の新設下枠は、新設縦枠の下面に対向して配置される縦枠対向部を有し、前記新設縦枠は、下端に開口する中空部を有したものであり、前記縦枠対向部には、前記中空部に対応する部分に水抜き孔が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、縦枠の中空部に浸入した水が水抜き孔を通じて外部に排出されるため、内部に水が貯留する事態を招来する懸念がない。
【0019】
また本発明は、上述した改修用建具において、前記縦枠対向部は、平板状に構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、ポーチ面との間の段差が小さい既設下枠に適用することが可能となる。
【0020】
また本発明は、上述した改修用建具において、前記新設縦枠の中空部は、室外側の第1中空部と、室内側の第2中空部とを有し、前記縦枠対向部は、前記第1中空部の下端開口を覆うように設けられ、かつ一部に前記水抜き孔を有していることを特徴としている。
この発明によれば、第1中空部に浸入した水が水抜き孔を通じて外部に排出され、内部に貯留するおそれがない。
【0021】
また本発明は、上述した改修用建具において、前記縦枠対向部は、前記第1中空部に対向する部分のみを覆うように設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、第2中空部に浸入した水はそのまま外部に排出され、内部に貯留するおそれがない。
【符号の説明】
【0022】
1 既設枠体、10 新設枠体、12 新設下枠、12a 新設下枠本体、12b 新設戸当り壁部、12c 沓摺装着板部、12d 支持壁部、12e シール材装着部、12f ビスホール、12g 切欠、15 ポーチ面、16 シール部材、17 ステンレスプレート、18 連結板、19 スペーサ、21 外方金属成形部、22 内方金属成形部、22a 戸当り片、23 ブリッジ材、24 補強金具、25 躯体側額縁板、30 外額縁、40 内額縁、60,61 ネジ、62 沓摺部材、B 躯体、P ドアパネル、W 外壁材、Wa 外表面
図1
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