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特開2025-144881収支管理システム、収支管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025144881
(43)【公開日】2025-10-03
(54)【発明の名称】収支管理システム、収支管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20250926BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044784
(22)【出願日】2024-03-21
(71)【出願人】
【識別番号】517066755
【氏名又は名称】株式会社パンフォーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】矢野 健太
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】仕込みに応じた食品の製造原価を把握することができる収支管理システム、収支管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】収支管理システム100は、原材料の原価を取得する原材料原価取得部31と、原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得部32と、製造する食品の個数を取得する個数取得部33と、原価、レシピ、個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出部34と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料の原価を取得する原材料原価取得手段と、
前記原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得手段と、
製造する前記食品の個数を取得する個数取得手段と、
前記原価、前記レシピ、前記個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出手段と、
を備える収支管理システム。
【請求項2】
前記個数取得手段は、製造時、販売時又はこれら両方のロスを反映した前記食品の前記個数を取得する、
請求項1に記載の収支管理システム。
【請求項3】
前記個数取得手段は、前記食品の製造後に実際に販売された実売数を前記食品の前記個数として取得する、
請求項1又は2に記載の収支管理システム。
【請求項4】
前記原材料原価取得手段は、前記原材料の容量と購入金額に基づいて、前記原材料の前記原価を取得する、
請求項1又は2に記載の収支管理システム。
【請求項5】
所定期間内の前記食品の製造に関する経費情報を取得し、前記原価算出手段によって算出された前記製造原価及び前記経費情報に基づいて、前記所定期間内の収支に関する収支情報を出力する収支情報出力手段を、更に備える、
請求項1又は2に記載の収支管理システム。
【請求項6】
前記レシピ取得手段は、各原材料の量および種類を取得し、
前記収支情報出力手段は、各原材料の原材料情報、前記量および前記種類に基づいて、各国ごとの輸出可否、前記食品に含まれる栄養素情報、前記食品における食品表示ラベルに記載される情報のうち少なくとも1つを出力する、
請求項5に記載の収支管理システム。
【請求項7】
コンピュータに実行させる収支管理方法であって、
原材料の原価を取得する原材料原価取得ステップと、
前記原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得ステップと、
製造する前記食品の個数を取得する個数取得ステップと、
前記原価、前記レシピ、前記個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出ステップと、
を含む収支管理方法。
【請求項8】
原材料の原価を取得する原材料原価取得ステップと、
前記原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得ステップと、
製造する前記食品の個数を取得する個数取得ステップと、
前記原価、前記レシピ、前記個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収支管理システム、収支管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原価を考慮した収支管理をコンピュータによって行う技術が知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば特許文献1がある。特許文献1では、月度、商品、評価単価を含む原価データを利用して営業利益等の収支に関する情報が算出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-176837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パン等の食品を製造して販売を行う事業者において、食品の原材料の仕込み量が毎日一定であるとは限らず、実際に製造する食品の製造原価を仕込み単位で把握することは難しい。販売が好調であっても、販売する品目によって製造原価を割り込むこともある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、仕込みに応じた食品の製造原価を把握することができる収支管理システム、収支管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、原材料の原価を取得する原材料原価取得手段と、前記原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得手段と、製造する前記食品の個数を取得する個数取得手段と、前記原価、前記レシピ、前記個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出手段と、を備える収支管理システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、コンピュータに実行させる収支管理方法であって、原材料の原価を取得する原材料原価取得ステップと、前記原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得ステップと、製造する前記食品の個数を取得する個数取得ステップと、前記原価、前記レシピ、前記個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出ステップと、を含む収支管理方法である。
【0008】
また、本発明の一態様は、原材料の原価を取得する原材料原価取得ステップと、前記原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得ステップと、製造する前記食品の個数を取得する個数取得ステップと、前記原価、前記レシピ、前記個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出ステップと、をコンピュータによって実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、仕込みに応じた食品の製造原価を把握することができる収支管理システム、収支管理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る収支管理システムを示す図である。
図2】本実施形態に係るサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】ユーザ端末上の原価計算用データ入力時の画面遷移の一例を示す図である。
図5】ユーザ端末上のレシピ入力時の画面遷移の一例を示す図である。
図6】ユーザ端末上の製造する食品の個数入力時の画面遷移の一例を示す図である。
図7】ユーザ端末上の1日の食品の製造数の修正入力時の画面遷移の一例を示す図である。
図8】ユーザ端末上の製造後のロスを食品の製造数に反映させる際の画面遷移の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係る原価算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】ユーザ端末のアプリケーション上で表示される製造ロス反映後の製造数に基づく目標確認画面である。
図11】ユーザ端末のアプリケーション上で表示される日次締の確認画面である。
図12】ユーザ端末のアプリケーション上で表示される仕込み数の確認・修正画面である。
図13】ユーザ端末上の発注処理時の画面遷移の一例を示す図である。
図14】サーバによってユーザ端末に出力される収支情報の一例を示す模式図である。
図15】IoTを利用した各種情報の入力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<システム構成>
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る収支管理システム100を示す図である。収支管理システム100は、原材料を購入し、原材料から食品を製造する食品製造業者に対して収支管理を容易に行うことができるサービスを提供する。
【0012】
収支管理システム100は、インターネット等の通信ネットワークを介してユーザ端末2及び原材料メーカー端末3と各種情報の送受信を行うサーバ1によって実現される。サーバ1は、ユーザ端末2に対して食品の製造等の収支に関する種々の情報を提供する情報処理装置(コンピュータ)であり、サーバとして機能する。
【0013】
ユーザ端末2は、収支管理のサービスの提供を受けるユーザによって使用される情報処理装置である。ユーザは、原材料を購入し、原材料から食品を製造する食品製造業者である。ユーザ端末2は、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等によって構成される。ユーザ端末2は、予めインストールされたプログラムにより、サーバ1と各種の情報をやり取りしてもよいし、ウェブブラウザを通じて各種の情報をやり取りしてもよい。
【0014】
ユーザ端末2は、食品の原材料の利用情報をサーバ1に送信し、サーバ1から当該食品の製造原価を取得する。食品の原材料の利用情報には、原材料の原価や食品を製造する1仕込み単位のレシピ(原材料の組合せ、配分等)が含まれる。なお、ユーザ端末2は、原価として、複数の数値を取得してもよい。例えば、同じ原材料でも、購入したタイミングが異なれば、原価が変化することもあるため、ユーザ端末2は、これらの複数の原価を取得して、例えば、平均額を原価として取得してもよい。
【0015】
原材料メーカー端末3は、原材料を供給するメーカーによって使用される情報処理装置である。原材料メーカー端末3は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等によって構成される。原材料メーカー端末3は、予めインストールされたプログラムにより、サーバ1と各種の情報をやり取りしてもよいし、ウェブブラウザを通じて各種の情報をやり取りしてもよい。
【0016】
原材料メーカー端末3は、原材料の成分、添加物、アレルギー等に関する各種情報が含まれる規格書等の情報をサーバ1に登録し、サーバ1は原材料がユーザによってどのように利用されているかを示すユーザ利用情報を原材料メーカー端末3の要求に応じて出力することができる。原材料メーカーは、原材料の利用実態を把握できるので、ユーザ利用情報の提供はサーバ1に規格書を登録する動機付けとなる。
【0017】
食品製造業者の業種が限定される訳ではないが、以下の説明において、ユーザは、小麦等の原材料を用いてパン等を製造するパン製造業者とし、原材料を供給するメーカーはパンの製造に必要な原材料を提供する原材料メーカーとして説明する。
【0018】
なお、図1では、ユーザ端末2は1つが図示されるのみであるが、サーバ1によって提供される収支管理サービスは、図示しない他のユーザ端末にも提供される。また、サーバ1は、図示される原材料メーカー端末3以外の他の原材料メーカー端末とも各種情報のやり取りを行う。
【0019】
<ハードウェア構成>
次に、サーバ1を構成するハードウェアの一例について説明する。図2は、本実施形態に係る収支管理システム100が有するサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバ1は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0020】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0021】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、タッチパネルディスプレイ、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との間で通信を行う。
【0022】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0023】
ここで説明したハードウェア構成はあくまで一例である。サーバ1を含む本実施形態で説明するコンピュータは、図2の構成と共通する構成であってもよいし、異なる構成でもよい。また、コンピュータは、2台以上のコンピュータによって構成されてもよい。図1におけるユーザ端末2及び原材料メーカー端末3は、例えば、図2で示したハードウェア構成と同様の構成を有するスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。
【0024】
<機能的構成>
次に、サーバ1の機能的構成について説明する。図3は、本実施形態に係るサーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、サーバ1は、原材料原価取得部31と、レシピ取得部32と、個数取得部33と、原価算出部34と、販売情報管理部35と、発注管理部36と、収支情報出力部37と、をプロセッサ(CPU11)上で実現される機能部として備える。
また、サーバ1には、各種情報を記憶する記憶部としてのデータベース90が構築される。データベース90には、原材料に関する原材料情報、仕込み単位のレシピに関するレシピ情報、製造数や販売数等に関する販売情報、発注に関する発注情報、経費に関する経費情報(家賃、人件費、光熱費、道具代等)等が登録される。データベースに登録される情報は、後述する各種処理で読み出され、利用される。また、後述する各種処理で取得されたり算出されたりした情報も、データベース90に登録される。なお、データベース90は、サーバ1の外部に配置され、通信ネットワークを介して各種情報が読み出される構成であってもよい。
なお、原材料情報は、各原材料のメーカーから、原材料に含まれる成分や量に関する情報(例えば、規格書等)が予め取得されているものとし、取得された情報がデータベース90に格納されているものとする。
【0025】
≪原材料原価取得部31≫
原材料原価取得部31は、原材料の原価を取得する原材料原価取得手段である。本実施形態の原材料原価取得部31は、ユーザ端末2を通じて入力される原材料の計算用データに基づいて、原材料の原価を算出して取得する。なお、原材料原価取得部31による原材料の原価の算出方法は特に限定されない。例えば、原材料原価取得部31は、計算用データを予め設定されるテーブルデータに入力し、原材料の原価を取得してもよい。
【0026】
ユーザ端末2には、サーバ1による収支管理サービスの提供を受けるためのアプリケーションが予めインストールされており、ユーザは、ユーザ端末2を操作して当該アプリケーションを起動し、アプリケーション上で原価計算用のデータ入力を行う。
【0027】
図4を参照し、原価計算用のデータ入力について説明する。図4は、ユーザ端末2上の原価計算用データ入力時の画面遷移の一例を示す図である。
【0028】
図4(a)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される原材料の選択画面である。ユーザは、ユーザ端末2を操作し、食品の製造に使用する原材料の選択を行う。この例では、ユーザは、フランスパン等に主に用いられる準強力粉である小麦粉をキーワード入力し、選択候補として「小麦粉100」や「小麦粉300」が表示されている。ユーザが選択候補から使用する原材料を選択すると、画面は図4(a)から図4(b)に遷移する。
【0029】
図4(b)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される原材料の確認画面である。図4(b)には、ユーザが選択した小麦粉100の商品画像が示されるとともに、ユーザに選択した原材料が正しいかを確認させるための「いいえ」と「はい」の操作部が表示される。ユーザによって「いいえ」が選択されると、図4(b)の画面は終了して図4(a)の画面や別の画面に遷移する。ユーザによって「はい」が選択されると、画面は図4(b)から図4(c)に遷移する。
【0030】
図4(c)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される原価計算用データの入力画面である。ユーザが選択した小麦粉100の商品画像が表示されるとともに、容量をグラム(g)単位で入力する容量入力部と単価をグラム単位で入力する単価入力部が表示される。容量はメーカーの仕様で決まっているため、容量入力部は予め設定される候補の数値(仕様の数値:1000、900、800)から選択できる選択式のプルダウンメニューによって構成される。単価入力部は、購入時や購入場所によって異なるため、キーボード等によって任意の数値を入力できるように構成される。ユーザは、容量入力部を通じて容量を選択するとともに、単価入力部を通じて単価を入力する。原材料原価取得部31は、通信ネットワークを通じ、ユーザ端末2で入力された容量と単価を取得する。
【0031】
なお、図4の各画面には、海外で使用できるか否かを示す情報が表示されてもよい。この海外で使用できる原材料が否かを示す情報も、規格書やオペレータ等の入力により、データベース90に原材料情報として登録されるものとする。
【0032】
≪レシピ取得部32≫
次に、レシピ取得部32について説明する。レシピ取得部32は、原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得手段である。1仕込みは、例えば、パン等の食品を20個(複数個)製造するための工程である。本実施形態のレシピ取得部32は、ユーザ端末2を通じて入力される1仕込みのレシピを取得する。ユーザは、ユーザ端末2を操作して1仕込みのレシピを入力する。
なお、レシピ取得部32は、例えば、ベーカリーの担当者端末等から、各原材料の量とともに種類(どのメーカーの製品であるかを示す情報等)を取得してもよい。
【0033】
図5を参照し、ユーザによる1仕込みのレシピ入力について説明する。図5は、ユーザ端末2上のレシピ入力時の画面遷移の一例を示す図である。
【0034】
図5(a)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込み対象の食品の選択画面である。図5(a)には、選択対象として「あんぱん」と「食パン」が表示されるとともに選択対象にない食品を指定するための自由入力欄が表示される。ユーザは、ユーザ端末2で入力したい仕込み対象の食品を選択する。ユーザが仕込みを行う食品を選択すると、画面は図5(a)から図5(b)に遷移する。
【0035】
図5(b)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込み対象の食品の原材料表示画面である。この例では、ユーザによって選択されたあんぱんの原材料として、「小麦」、「油脂」、「イースト」、「具」が表示される。この原材料表示画面は、種類や容量を入力する原材料を選択する原材料選択画面としても機能する。例えば、ユーザが原材料表示画面の原材料をタップ操作等によって選択することにより、画面は図5(b)から図5(c)に遷移する。
【0036】
図5(c)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込み対象の食品の原材料の種類・容量入力画面である。この例では、あんぱんの原材料のうち、ユーザが選択した小麦粉の種類と容量を入力する画面が表示されている。種類には銘柄等の原材料を特定するための情報が含まれる。
【0037】
図5(c)には、利用する小麦粉の種類を入力する「利用小麦粉1」と「利用小麦粉1」の容量をグラム単位で入力する第1容量入力部が示されるとともに、異なる小麦粉の種類を入力する「利用小麦粉2」と「利用小麦粉2」の容量をグラム単位で入力する第2容量入力部が示されている。このように、ユーザ、同じ原材料でも、複数の種類を設定することができる。図5(c)に示したような食品の原材料の種類・容量入力画面は、原材料ごとに用意される。図5(b)の原材料選択画面で「油脂」や「イースト」や「具」等の他の原材料が選択されると、選択した「油脂」、「イースト」又は「具」に対する種類・容量入力画面が表示される。
【0038】
レシピ取得部32は、通信ネットワークを通じ、ユーザ端末2で入力された各原材料の種類と容量を取得する。なお、この例では、ユーザによって各原材料の種類や容量が入力されているが、ユーザによる各原材料の種類と容量の選択はこの方法に限定される訳ではない。例えば、予め食品ごとに原材料の種類や容量を設定しておき、ユーザが設定された種類や容量をそのまま利用したり、修正して利用したりする構成としてもよい。
【0039】
≪個数取得部33≫
次に、個数取得部33について説明する。個数取得部33は、製造する食品の個数を取得する個数取得手段である。本実施形態の個数取得部33は、ユーザ端末2を通じて入力される食品の個数を取得する。
【0040】
図6及び図7を参照し、食品の個数入力について説明する。図6は、ユーザ端末2上の製造する食品の個数入力時の画面遷移の一例を示す図である。図7は、ユーザ端末2上の1日の食品の製造数の修正入力時の画面遷移の一例を示す図である。
【0041】
図6(a)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込み対象の食品の原材料・配合・仕込み量の一覧画面である。図6(a)には、ユーザによって入力された原材料・配合・仕込み量が原材料ごとに示されるとともに、仕込み量に対応する食品の個数が示される。また、図6(a)の下部には、食品の個数に対して修正する修正選択部と、個数を了承するOK選択部と、が示されている。ユーザによって食品の個数の修正を選択する修正選択部が操作されると、画面は図6(a)から図6(b)に遷移する。一方、ユーザによって食品の個数を了承するOK操作部が選択操作されると、画面は図6(a)から図6(c)に遷移する。
【0042】
図6(b)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される食品の個数の修正画面である。図6(b)には、修正対象の食品である「あんぱん」の名称とともに、現在の設定個数である「20個」が表示されるとともに、個数を減らすための-ボタンと+ボタンが表示される。ユーザは、ユーザ端末2上で-ボタン又は+ボタンを操作して個数を修正する。修正が完了すると画面は図6(b)から図6(a)に戻る。
【0043】
図6(c)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込みを行う入力済みの食品及びその個数を示す食品・個数表示画面である。図6(c)には、仕込みを行う月日、当日に製造される食品及びその個数が表示されるとともに、新たに食品を追加する追加選択部が表示される。ユーザによって追加選択部が選択操作されると、画面は図6(a)の食品の選択画面に戻る。
【0044】
図7(a)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込みを行う日に製造される食品及びその個数を示す食品・個数表示画面である。図7(a)には、仕込みを行う日に製造される食品として、「あんぱん」、「食パン」、「ピザパン」、「カレーパン」、「クロワッサン」が各個数とともに示されている。また、図7(a)には、各食品の製造数の合計数である100個が示されるとともに、その内訳として店に置かれる個数である「店目標」80個と卸売に出荷する個数である「卸売」20個とが示されている。「卸売」の個数は、店とは異なる業者に納品される個数を示している。「卸売」は、例えば、パンのサブスクリプションサービスを運営する卸売会社からの注文である。この例では、10個単位のセットで2セットの受注があることになる。この受注数に基づいて、店目標の数値や仕込み数の提案が行われてもよい。図7(a)下部の修正選択部を操作すると画面は図7(a)から図7(b)に遷移し、図7(a)下部のOK選択部を操作すると画面は図7(a)から図7(c)に遷移する。
【0045】
図7(b)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される製造される食品及びその個数の修正画面である。図7(b)には、「もっとつくる」又は「卸売数を増やす」を選択できる選択操作部が表示される。「もっとつくる」を選択操作すると製造する食品の個数を修正する画面に遷移し、「卸売数を増やす」を選択操作すると卸売数を修正する画面に遷移する。ユーザは各画面で製造する食品の個数や卸売の個数等の修正を行う。
【0046】
図7(c)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される店に置く食品の目標数と卸売に提供する食品の個数の確認画面である。図7(c)には、店に置く目標数80個、最低でも製造する必要がある個数を示す最低数72個が表示されるとともに、卸売の受注数が表示される。また、図7(c)の下部には、卸売サービス画面に遷移する「卸売確認」と、確認完了を示す「完了」と、が示される。ユーザは「卸売確認」を選択すると、卸売の納入先が提供するサービスに移行する。ユーザは「完了」を選択すると、図7(c)の確認画面が終了する。
【0047】
次に、図8を参照し、ユーザによって製造後のロスを反映するための処理について説明する。図8は、ユーザ端末2上の製造後のロスを食品の製造数に反映させる際の画面遷移の一例を示す図である。
【0048】
図8(a)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される製造ロスを製造数に反映させるロス反映画面である。図8(a)には、製造時にロスがあったか否かをチェックするための入力部が食品ごとに設定される。入力部において「〇」はロスがなかったことを示し、「×」はロスがあったことを示している。「×」が選択されると、画面は図8(b)に示す画面に遷移する。図8(b)は、製造後のロスが反映された製造数を入力する入力画面である。図8(b)に示すように、製造後のロスが反映された製造数は、予め製造数に基づいて、設定される数値を選択することにより、入力される。選択式とすることにより、明らかに誤っている数値が入力される事態の発生を防止できる。なお、製造時のロスとしては、例えば、想定より少ない個数になった場合のロスや、焦げなどにより商品として扱えなくなった場合のロス等が挙げられる。
【0049】
以上説明したように、製品の個数に関する情報はユーザ端末2上でユーザによって入力され、個数取得部33は通信ネットワークを介して個数に関する情報を取得する。
【0050】
≪原価算出部34≫
次に、原価算出部34について説明する。原価算出部34は、原価、レシピ、個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出手段である。図9を参照し、原価算出部34による原価算出処理について説明する。図9は、本実施形態に係る収支管理システム100による原価算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップS1において、原材料原価取得部31は、ユーザによって入力された原材料の原価を取得する(図4の説明参照)。原材料原価取得部31は、ユーザ端末2から通信ネットワークを介して取得した情報に基づく原材料の原価をデータベース90に登録する。
【0052】
ステップS2において、レシピ取得部32は、ユーザによって指定された食品の1仕込み単位のレシピを取得する(図5の説明参照)。1仕込み単位のレシピには、一度の仕込み工程で製造される複数の食品を製造するために必要な原材料の種類や容量等の情報が含まれる。レシピ取得部32は、ユーザ端末2から通信ネットワークを介して取得した情報に基づくレシピをデータベース90に登録する。
【0053】
ステップS3において、個数取得部33は、ユーザによって指定された食品の個数を取得する(図6図8の説明参照)。個数取得部33は、製造時や販売時のロスが反映されたものが指定されている場合はロスが反映された個数を取得する。また、個数取得部33は、実売数が指定されている場合は実売数を個数として取得する。なお、販売時のロスとしては、例えば、売れ残りによるロスや、廃棄によるロス等が挙げられる。
【0054】
ステップS4において、原価算出部34は、ユーザによって指定された1仕込み単位のレシピ、当該レシピに対応する原材料の原価及び個数に基づいて、1食品あたりの製造原価を算出する。算出された製造原価は、ユーザからの閲覧要求に応じてユーザ端末2に出力される。
【0055】
≪販売情報管理部35≫
次に、販売情報管理部35について説明する。販売情報管理部35は、ユーザの閲覧要求に応じてユーザ端末2に対して販売に関する情報を出力する販売情報管理手段である。販売情報管理部35は、食品の品目ごとの販売価格、卸売へ出す際の価格等もユーザ端末2から受け付ける。販売情報管理部35は、販売目標、日次締、翌日以降の仕込み数の確認等を行うための販売管理情報をユーザからの閲覧要求に応じてユーザ端末2に出力する。
【0056】
図10を参照し、販売情報管理部35によってユーザ端末2に出力される販売目標を確認する画面の例について説明する。図10は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される製造ロス反映後の製造数に基づく目標確認画面である。図10の例では、78個を売ることが目標に設定される。78個の内訳は、例えば、あんぱん15個、食パン7斤、ピザパン16個、カレーパン24個、クロワッサン16個である。また、図10には、販売目標の個数が72個として表示される。販売目標の個数は、例えば、ロス予想と採算ラインに基づいて算出される。ロス予想は、例えば、過去の実績データに基づいて算出される。採算ラインは、例えば、原価算出部34によって算出された製造原価に基づいて設定される。
【0057】
図11を参照し、販売情報管理部35によってユーザ端末2に出力される日次締を確認する画面の例について説明する。図11は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される日次締の確認画面である。図11には、販売目標数とともに実売数が食品ごとに表示されるとともに、完売した時間帯や所定の割合以上販売された時間帯が表示されている。また、図11には、目標総数に対する売れ残った総数とともに目標総数までの残数も示されている。この例では、あんぱんは14時に完売し、食パンは13時に完売している。一方、ピザパンは14時までに80%売れたものの2個売れ残り、カレーパンは18時までに80%売れたものの4個売れ残り、クロワッサンも17時までに90%売れたものの4個売れ残っている。ユーザは、図11の目標確認画面を確認することにより、店に置く食品の数や卸売りに提供する食品の数の調整等を行うことができる。なお、ここで表示される販売実数は、個数取得部33によって取得され、データベース90に登録される。
【0058】
また、売れ残った食品は、翌日に繰り越せるものは翌日の販売に組み込むように処理するための操作部や別の卸売に提供することを選択させる操作部を画面上に表示させるようにしてもよい。
【0059】
図12を参照し、販売情報管理部35によってユーザ端末2に出力される翌日以降の仕込み数を確認する画面の例について説明する。図12は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される仕込み数の確認・修正画面である。図12には、1月20日の翌日である1月21日の仕込み数の確認・修正画面が示されている。この仕込み数の確認・修正画面には、これまでの販売実績に基づく食品数として、あんぱん22個、食パン11斤、ピザパン15個、カレーパン22個、クロワッサン16個の合計86個が表示されるとともに、この仕込み数が前日比-14%であること示す比較情報が示されている。更に、図12には、卸売り数を増やすか否かを選択する「Yes」ボタンと「No」ボタンや仕込み数の確認・修正画面を終了するための「完了」ボタンが表示されている。ユーザは、図12の仕込み数の確認・修正画面を確認することにより、翌日の仕込み数を把握したり、卸売への提供数を調整したりすることができる。
【0060】
この翌日以降の仕込み数を確認する画面では、販売情報管理部35は、月次の営業目標、粗利、営業利益等の経営情報やパン1個当たりの粗利等に基づいて、目標数を提案する表示を行ってもよい。また、販売情報管理部35は、既に卸売りの予定が入っている場合は、当該予定を考慮して仕込み数を減らした提案を行う構成としてもよい。
【0061】
なお、個数取得部33は、実売数のうち割引されて販売された個数及びその割引率を取得してもよい。これにより、割引されて販売した食品の個数や販売金額を反映でき、より正確な収支計算を実現できる。
【0062】
≪発注管理部36≫
次に、発注管理部36について説明する。発注管理部36は、ユーザに対して原材料や資材の発注の受付及び管理を行う発注管理手段である。発注管理部36は、ユーザからの原材料や資材の発注に関する情報に確認や発注を行うための情報をユーザ端末2に出力する。
【0063】
発注管理部36は、ユーザの能動的な発注処理と受動的な発注処理の2つを管理する。まず、図13を参照し、発注管理部36による能動的な発注管理の一例について説明する。図13は、ユーザ端末2上の発注処理時の画面遷移の一例を示す図である。
【0064】
図13(a)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される発注対象が選択される発注対象選択画面である。図13(a)には、発注対象として原材料や資材を含む複数の項目が表示される。ユーザが、ユーザ端末2を操作して発注対象の項目を選択することにより、画面は選択した発注対象の商品を選択するための図13(b)の画面に遷移する。
【0065】
図13(b)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される発注対象の商品が選択される商品選択画面である。この例では、図13(a)の発注対象選択画面で発注対象の項目として資材がユーザによって選択操作されており、図13(b)には資材の商品群としてサブスクリプションサービスで指定される箱(〇〇用箱)や所定の形式の袋(△△袋)が示されている。ユーザが、ユーザ端末2で表示される商品群の中から購入したい商品を選択することにより、図13(c)の画面に遷移する。
【0066】
図13(c)は、ユーザ端末2のアプリケーション上で表示される選択した商品の購入数等を確認するための確認画面である。この例では、図13(b)の商品選択画面でサブスクリプションサービス用の箱がユーザによって選択操作されており、図13(c)には、選択した商品である箱の発注数1000個が示されている。また、図13(c)には、今回の発注タイミングが予定通りか否かを確認するための発注タイミング確認部が示されている。発注タイミング確認部には、「予定より早く購入」、「予定通り購入」、「予定より遅く購入」が含まれており、ユーザは発注タイミング確認部を操作することにより、今回の発注タイミングが予定通りか否かをデータベース90に登録することができる。
【0067】
次に、発注管理部36による受動的な発注管理の一例について説明する。発注管理部36は、ユーザに関連付けられる原材料の情報や食品の製造数等に基づいて原材料の補充の必要性を判定し、補充が必要な場合はユーザ端末2に通知する通知機能を有する。なお、補充注意の通知は、発注スケジュールとして予めデータベース90に登録されたものを基準とし、定期的に通知するようにしてもよい。
【0068】
ユーザ端末2への通知は、例えば、ユーザ端末2上のアプリケーションのトップページに「そろそろ原材料〇〇が不足です」のようなメッセージを表示することにより実行される。このメッセージの表示の際に、「一括発注で〇〇%OFF」等の割引情報をあわせて表示してもよい。
【0069】
ユーザの能動的な発注か受動的な発注に関わらず、発注した商品は食品の原価としてデータベース90に登録される。なお、この発注に関する情報は、購入数が1000個であっても全購入数が原価に計上される訳ではない。例えば、1月の商品の使用数(製造数)が900個の場合、900個分のみが食品の原価として計上されることになる。
【0070】
≪収支情報出力部37≫
次に、収支情報出力部37について説明する。収支情報出力部37は、食品の原価に基づいて、所定の期間(例えば、月単位や年単位)の収支等の収支情報を出力する収支管理手段である。図14を参照し、収支情報出力部37によって出力される収支情報の一例について説明する。図14は、サーバ1によってユーザ端末2に出力される収支情報の一例を示す模式図である。
【0071】
図14に示すように、収支情報出力部37は、ユーザ端末2を通じてユーザから食品の製造に関する人件費、家賃、光熱費等の営業管理費や一般管理費に相当するような諸処の経費情報や銀行口座の残高等の口座情報、機材の原価償却費等の収支情報の算出に必要な情報を取得する。ユーザは、これらの諸処の情報の入力をユーザ端末2のアプリケーションを行って入力することができる。
【0072】
収支情報出力部37は、ユーザ端末2から取得した収支情報の算出に必要な情報に基づいて、所定の期間における収支に関する収支情報を出力する。収支情報出力部37は、例えば、食品の売上から食品の原価を差し引いた粗利(売上総利益)、粗利から販売管理費や一般管理費等を差し引いた営業利益、営業外収益や営業外費用を考慮した経常利益、損益計算書(P/L:profit and loss statement)等の収支情報を出力する。ユーザがユーザ端末2から閲覧要求をサーバ1に対して送信すると、サーバ1の収支情報出力部37は閲覧要求を行ったユーザ端末2の閲覧要求の内容に応じた収支情報を送信する。ユーザは、ユーザ端末2のアプリケーション上でこれらの収支情報の内容を容易に確認することができる。
【0073】
なお、収支情報出力部37は、レシピ取得部32によって取得された各原材料の量および種類と、データベース90に格納される各原材料の原材料情報とに基づいて、以下の情報のうち少なくとも1つを出力するとよい。
・各国ごとの輸出可否(各国の規定と照らし合わることで輸出可否を出力)
・食品に含まれる栄養素情報(食品ごとの栄養素情報)
・食品における食品表示ラベルに記載される情報
【0074】
<ユーザによるデータ入力方法>
以上説明した例では、ユーザはユーザ端末2の手動操作により各種情報を入力していたが、この構成に限定される訳ではない。例えば、ユーザ端末2のマイクによって入力される音声情報に基づいて、各種情報が入力され、ユーザ端末2からサーバ1に送信される構成であってもよい。
【0075】
また、いわゆるIoT(Internet of Things)を利用してユーザの各種情報が入力される構成であってもよい。図15は、IoTを利用した各種情報の入力例を示す図である。図15に示すように、店舗内に配置されるオーブン51、発酵機53等の調理器具の他、食品の精算を行うレジ55のそれぞれにカメラ52、54、56が配置される。
【0076】
オーブン51のカメラ52や発酵機53のカメラ54は、製造時の食品(パンの)画像を撮像する。撮像した画像は、画像解析により食品の製造数の取得に利用される。画像解析処理は、オーブン51や発酵機53の調理器具で行われてもよいし、ユーザ端末2やサーバ1で行われてもよい。オーブン51や発酵機53で取得された画像又は画像解析結果は、ユーザ端末2を介してサーバ1に送信されてもよいし、オーブン51や発酵機53からサーバ1に直接送信されてもよい。更に、オーブン51や発酵機53は、画像解析ではなく、重量を測定して当該重量に基づいて個数を取得する構成であってもよい。
【0077】
レジ55のカメラ56は、販売する食品の画像を撮像する。レジ55のカメラ56で撮像された画像は、画像解析により食品の販売数の取得に利用される。レジ55のカメラ56で取得された画像又は画像解析結果は、ユーザ端末2を介してサーバ1に送信されてもよいし、レジ55からサーバ1にPOSシステム等を介して送信されてもよい。
【0078】
このように、IoTを利用することにより、ユーザが意識することなく製造数や実売数の入力を行うことができるとともに、人為的なミスを回避し、利便性及び正確性の高い収支管理システム100を実現できる。
【0079】
<その他>
(1)以上、説明したように、本実施形態の収支管理システム100は、原材料の原価を取得する原材料原価取得部31と、原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得部32と、製造する食品の個数を取得する個数取得部33と、原価、レシピ、個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出部34と、を備える。
(7)また、本実施形態のコンピュータに実行させる収支管理方法は、原材料の原価を取得する原材料原価取得ステップと、原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得ステップと、製造する食品の個数を取得する個数取得ステップと、原価、レシピ、個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出ステップと、を含む。
(8)また、同様に、サーバ1にインストールされるプログラムは、原材料の原価を取得する原材料原価取得ステップと、原材料を用いて複数個の食品を製造する1仕込み単位のレシピを取得するレシピ取得ステップと、製造する食品の個数を取得する個数取得ステップと、原価、レシピ、個数に基づいて、食品単位の製造原価を算出する原価算出ステップと、をコンピュータによって実行させる。
収支管理システム100、収支管理方法及びプログラムが上述のように構成されることにより、ユーザは実際の製造時の仕込み量に応じた食品の製造原価を正確に把握できる。
【0080】
(2)また、本実施形態の個数取得部33は、製造時、販売時又はこれら両方のロスを反映した食品の個数を取得するとよい。
これにより、製造時や販売時で生じたロスを食品の原価に反映させることできるので、ロスを加味してより正確な収支計算を行うことができる。
【0081】
(3)また、本実施形態の個数取得部33は、食品の製造後に実際に販売された実売数を食品の個数として取得する。
これにより、実売数を考慮して収支計算を行うことができる。また、実際に販売された実売数単位での製造原価を把握することもできる。
【0082】
(4)また、本実施形態の原材料原価取得部31は、原材料の容量と購入金額に基づいて原材料の原価を取得する。購入金額は、本実施形態では、容量に応じた金額(例えば、1グラム当たりの金額等)である例について説明するが、これに限定されず、実際の購入金額等でもよい。
これにより、容量と購入金額に基づいて、1仕込みに対する原材料の原価を正確に算出でき、より一層正確な収支計算を実現できる。
【0083】
(5)また、本実施形態の収支管理システム100は、所定期間内の食品の製造に関する経費情報を取得し、原価算出部34によって算出された製造原価及び経費情報に基づいて、所定期間内の収支に関する収支情報を出力する収支情報出力部37を更に備える。
これにより、仕込み単位でされた原価を用いて日次、月次、年次等の所定期間内の収支を正確に把握でき、事業規模が小さな事業者であっても製造原価に基づいた計画的な経営を行うことができる。
【0084】
(6)また、本実施形態のレシピ取得部32は、各原材料の量および種類を取得し、収支情報出力部37は、各原材料の原材料情報、量および種類に基づいて、各国ごとの輸出可否、食品に含まれる栄養素情報、食品における食品表示ラベルに記載される情報のうち少なくとも1つを出力するとよい。
これにより、各国ごとの制度に応じて輸出可否を示すことができる。また、食品に含まれる栄養素情報を示すことができる。また、食品表示ラベルに記載される情報を示すことができる。また、これにより、例えば、ベーカリーなどが別の機関に上記の情報提供を依頼することなく、自身で上記情報を参照することができる。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0086】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がサーバ1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ1の機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0087】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0088】
このようなプログラムを含む記録媒体は、プログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0089】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0090】
1 サーバ
2 ユーザ端末
3 原材料メーカー端末
31 原材料原価取得部
32 レシピ取得部
33 個数取得部
34 原価算出部
35 販売情報管理部
36 発注管理部
37 収支情報出力部
100 収支管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15