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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014502
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20250123BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20250123BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20250123BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20250123BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/10
B60W40/02
B60W50/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117105
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 竜太
(72)【発明者】
【氏名】瀬田 剛広
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA29
3D241BA60
3D241BB16
3D241BB37
3D241BB45
3D241DC44Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】開始するタイミングを変更した後の車線変更を成功させるように車線変更の態様を決定する車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置は、車両周辺の環境情報に基づいて、予定されていた第1の車線変更を開始するタイミングを変更するか否かを判定する判定部と、判定部によって、第1の車線変更を開始するタイミングを変更すると判定された場合、車両周辺の環境情報に基づいて、第2の車線変更を計画する計画部と、計画部によって、第2の車線変更が計画された場合、第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報に基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定する決定部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の環境情報に基づいて、予定されていた第1の車線変更を開始するタイミングを変更するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記第1の車線変更を開始するタイミングを変更すると判定された場合、車両周辺の前記環境情報に基づいて、第2の車線変更を計画する計画部と、
前記計画部によって、前記第2の車線変更が計画された場合、前記第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、前記第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の前記環境情報に基づいて、前記第2の車線変更の制御の態様を決定する決定部と、
を有する、ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記第1の車線変更を実行しようとしていた理由が、車両の目的位置へ到達するための車線変更である場合、又は、車両周辺の前記環境情報が、車両が目的位置へ到達できなくなることを示す場合、ドライバの関与の程度が高くなるように、前記第2の車線変更の制御の態様を決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、車両周辺の前記環境情報が、車両が目的位置へ到達できなくなることを示すものではない場合、ドライバの関与の程度が低くなるように、前記第2の車線変更の制御の態様を決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記第2の車線変更の制御の態様を決定するのと共に、自動制御による車線変更の成功する確率が高くなるように制御の態様を決定する、請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記決定部は、(A)前記第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、(B)前記第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の前記環境情報と、更に、(C)前記計画部によって計画された前記第2の車線変更を開始するタイミングと前記第1の車線変更を開始するタイミングとの相違量とに基づいて、前記第2の車線変更の制御の態様を決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が現在走行している走行道路から分岐する分岐道路へ退出する場合、車両の自動制御装置は、分岐道路の車線と隣接する走行道路内の目的車線上に、車線変更完了位置を設定する。車線変更完了位置は、車両が分岐道路の車線への移動を完了する目的車線上の位置である。車両が走行道路内の目的車線以外の他の車線を走行している場合、車両は目的車線へ移動して、車線変更完了位置までに分岐道路の車線へ移動する。
【0003】
一方、車両の現在位置と車線変更完了位置との間に渋滞区間がある場合、渋滞区間内において車両と他車両との間に安全な距離を保って、車両が自動制御で車線間を移動することは困難な場合がある。
【0004】
そこで、車両が目的車線へ移動する場合、車両が渋滞区間を通過した後に車両が目的車線へ移動するための車線変更を行うこと、及び、車両が渋滞区間に到達する前に車目的車線へ移動するための車線変更を行うことがある。
【0005】
例えば、特許文献1は、自車両の進路前方にレーン変更を行った上で進入する分岐が存在し、且つ、混雑情報により示される混雑の程度が大きい場合は、混雑情報により示される混雑の程度が小さい場合にレーン変更制御が可能となる地点よりも手前の地点からレーン変更制御を可能とする車両制御装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-056616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、車両の現在位置と車線変更完了位置との間に渋滞区間のような走行困難区間が存在することにより、車線変更を開始するタイミングを変更することがある。開始するタイミングが変更された車線変更は、車両の車線間の移動をより成功することが期待される。
【0008】
例えば、最初に計画された車線変更の開始するタイミングが変更されることになった理由に基づいて、開始するタイミングを変更した後の車線変更の態様を決定することにより、車両の車線間の移動を成功させる確率を高めることが考えられる。
【0009】
そこで、本開示は、開始するタイミングを変更した後の車線変更を成功させるように車線変更の態様を決定する車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)一の実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、車両周辺の環境情報に基づいて、予定されていた第1の車線変更を開始するタイミングを変更するか否かを判定する判定部と、判定部によって、第1の車線変更を開始するタイミングを変更すると判定された場合、車両周辺の環境情報に基づいて、第2の車線変更を計画する計画部と、計画部によって、第2の車線変更が計画された場合、第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報に基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定する決定部と、を有する、ことを特徴とする。
【0011】
(2)(1)の車両制御装置において、決定部は、第1の車線変更を実行しようとしていた理由が、車両の目的位置へ到達するための車線変更である場合、又は、車両周辺の環境情報が、車両が目的位置へ到達できなくなることを示す場合、ドライバの関与の程度が高くなるように、第2の車線変更の制御の態様を決定することが好ましい。
【0012】
(3)(2)の車両制御装置において、決定部は、車両周辺の環境情報が、車両が目的位置へ到達できなくなることを示すものではない場合、ドライバの関与の程度が低くなるように、第2の車線変更の制御の態様を決定することが好ましい。
【0013】
(4)(1)から(3)のいずれかの車両制御装置において、決定部は、第2の車線変更の制御の態様を決定するのと共に、自動制御による車線変更の成功する確率が高くなるように制御の態様を決定することが好ましい。
【0014】
(5)決定部は、(A)第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、(B)第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報と、更に、(C)計画部によって計画された第2の車線変更を開始するタイミングと第1の車線変更を開始するタイミングとの相違量とに基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る車両制御装置は、最初に計画された車線変更を実行しようとしていた理由、又は、この車線変更を開始するタイミングが変更されることになった理由に基づいて、開始するタイミングを変更した後の車線変更の態様を決定するので、開始するタイミングを変更した後の車線変更を成功する確率を高めるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の走行車線計画装置の動作の概要を説明する図であり、(A)は、走行困難区間がない場合の動作を示しており、(B)は、走行困難区間がある場合の動作を示す。
図2】走行車線計画装置が実装される車両のハードウェア構成図である。
図3】走行車線計画装置の車両制御処理の動作フローチャートの一例である。
図4】走行車線計画装置の態様決定処理の動作フローチャートの一例である。
図5】本実施形態の走行車線計画装置の態様決定処理の他の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1(A)及び図1(B)は、本実施形態の走行車線計画装置14の動作の概要を説明する図である。図1(A)は、走行困難区間がない場合の動作を示しており、図1(B)は、走行困難区間がある場合の動作を示す。
【0018】
車両10には、通信装置3及び走行車線計画装置14が実装される。走行車線計画装置14は、ナビルートから選択された直近の運転区間において、車両10が走行する道路内の車線を選択して、車両10が走行する予定走行車線を表す走行車線計画を生成する。走行車線計画装置14は、車両制御装置の一例である。車両10は、自動運転車両であってもよい。
【0019】
車両10は道路50を走行しており、目的位置へ向かうために、分岐位置Bから道路60へ退出することが予定される。
【0020】
道路50は3つの車線51、52、53を有する。車線51と車線52とは車線区画線55により区画され、車線52と車線53とは車線区画線56により区画される。分岐位置Bにおいて、道路50の車線53と道路60の車線61とは、分岐開始位置62と分岐終了位置63との間で接続している。
【0021】
現在、車両10は車線51を走行している。走行車線計画では、車両10は、2回の車線変更を行って車線51から車線53へ移動した後、道路50の車線53から道路60の車線61へ移動することが計画される。
【0022】
走行車線計画装置14は、車両10が車線53から車線61への移動を完了する車線変更完了位置P1を、車線53上に設定する。図1(A)に示す例では、車線変更完了位置P1は、車両10の進行方向において分岐終了位置63と一致する。走行車線計画装置14は、車線変更完了位置P1に到達するまでに、車線53から車線61への移動するように、車線変更計画C1を生成する。車線変更計画C1は、車線51から車線52へ移動することと、車線52から車線53へ移動することを含む。車線変更計画C1に含まれる車線変更は、車両10の目的位置へ到達することを目的とする。
【0023】
走行車線計画装置14は、車線変更の制御の態様として、承認レスモードと、提案承認モードと、手動制御モードとを有する。承認レスモードでは、走行車線計画装置14が必要であると判定した車線変更を、ドライバの承認を受けることなく車両10が実施する。提案承認モードでは、走行車線計画部14が必要であると判定した車線変更をドライバが承認した上で、車両10が車線変更を実施する。手動制御モードでは、ドライバが車線変更の必要性を判断するする。手動制御モードには、ドライバが手動運転で車線変更の操作を実施する場合と、車両10が自動運転で車線変更の操作を実施する場合とが含まれる。
【0024】
車線変更に対するドライバの関与の程度は、承認レスモードと、提案承認モードと、手動制御モードの順番に高くなる。
【0025】
図1(A)及び図1(B)に示す例では、走行車線計画装置14は、承認レスモードで車線変更計画C1を計画した。
【0026】
走行車線計画装置14は、通信装置3を介して、車両10が走行することが困難な走行困難区間Dの位置を表す区間情報を、外部のサーバ(図示せず)から受信する。区間情報は、車両10のナビルートにおいて、車両10の現在位置から進行方向に向かった所定の範囲に位置する走行困難区間の位置を含む。走行困難区間は、例えば、渋滞区間、路面が凍結している区間及び工事区間等を含む。走行困難区間の位置は、車両周辺の環境情報の一例である。
【0027】
図1(A)に示す例では、区間情報は、車両10の現在位置と、車線変更完了位置P1との間に走行困難区間が存在することは含まれていなかった。
【0028】
車両10は、車線変更計画C1に車線変更計画C1に基づいて、車線51から車線53へ移動した後、車線変更完了位置P1までに車線53から車線61へ移動した。
【0029】
一方、図1(B)に示す例では、区間情報は、車両10の現在位置と、車線変更完了位置P1との間に走行困難区間Dが存在することを含んでいた。
【0030】
走行車線計画装置14は、走行困難区間Dが存在するので、予定されていた車線変更計画C1を開始するタイミングを変更する。走行車線計画装置14は、車両10の現在位置と走行困難区間Dとの間に、新たな車線変更計画C2を計画する。
【0031】
車線変更計画C2は、車線51から車線52へ移動することと、車線52から車線53へ移動することを含む。車線変更計画C2を実行するタイミングは、車線変更計画C1よりも早まっている。
【0032】
車線変更計画C2は、車線変更計画C1に含まれる車線変更を実行しようとしていた理由に基づいて、車線変更計画C2に含まれる車線変更の制御の態様を決定する。ここで、車両周辺の環境情報は、車線変更計画C1を計画した時には認識されていなかった情報である。
【0033】
車線変更計画C1を計画した理由は、車両10の目的位置へ到達することであったので、走行車線計画装置14は、ドライバの関与の程度が高くなるように、車線変更計画C2に含まれる車線変更の制御の態様を決定する。
【0034】
走行車線計画装置14は、承認レスモードであったので、提案承認モード又は手動制御モードを、車線変更計画C2に含まれる車線変更の制御の態様として決定する。
【0035】
車両10が、車線変更完了位置P1に到達するまでに車線53へ移動できていないと、車両10は、道路50から道路60へ退出できないことになる。
【0036】
そこで、ドライバの関与の程度が高くなるように、車線変更計画C2に含まれる車線変更を実行することにより、車線変更を成功する確率を高めることができる。
【0037】
以上説明した本実施形態の走行車線計画装置14によれば、最初に計画された車線変更を実行しようとしていた理由に基づいて、開始するタイミングを変更した後の車線変更の態様を決定するので、開始するタイミングを変更した後の車線変更を成功する確率を高めることができる。
【0038】
次に、走行車線計画装置14が実装される車両10について、図2を参照しながら、以下に説明する。図2は、走行車線計画装置14が実装される車両10のハードウェア構成図である。
【0039】
車両10は、カメラ2と、通信装置3と、測位情報受信機4と、ナビゲーション装置5と、ユーザインタフェース(UI)6と、地図情報記憶装置11と、位置推定装置12と、物体検出装置13と、走行車線計画装置14と、運転計画装置15と、車両制御装置16等とを有する。
【0040】
カメラ2と、通信装置3と、測位情報受信機4と、ナビゲーション装置5と、UI6と、地図情報記憶装置11と、位置推定装置12と、物体検出装置13と、走行車線計画装置14と、運転計画装置15と、車両制御装置16とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワーク17を介して通信可能に接続される。
【0041】
カメラ2は、車両10の前方を向くように、車両10に取り付けられる。カメラ2は、例えば所定の周期で、車両10の前方の所定の領域の環境が表されたカメラ画像を取得する。カメラ画像には、車両10の前方の所定の領域内に含まれる道路と、その路面上の車線区画線等の道路特徴物が表わされ得る。カメラ2により取得されるカメラ画像には、車両10の前方に位置する他車両が表され得る。
【0042】
カメラ2は、CCDあるいはC-MOS等、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に取得対象となる領域の像を結像する撮像光学系を有する。カメラ画像は、車両10の前方の環境を表す環境情報の一例である。
【0043】
カメラ2は、カメラ画像を取得する度に、カメラ画像及びカメラ画像が取得されたカメラ画像取得時刻を、車内ネットワーク17を介して、位置推定装置12及び物体検出装置13等へ出力する。カメラ画像は、位置推定装置12において、車両10の位置を推定する処理に使用される。また、カメラ画像は、物体検出装置13において、車両10の周囲の他の物体を検出する処理に使用される。
【0044】
通信装置3は、装置通信部の一例であり、走行車線計画装置14をマクロセル基地局(図示せず)に接続するためのインターフェース回路を有する。そして通信装置3は、外部のサーバ(図示せず)と、マクロセル基地局及び通信ネットワーク(図示せず)を介して通信可能に構成される。
【0045】
測位情報受信機4は、車両10の現在位置を表す測位情報を出力する。例えば、測位情報受信機4は、GNSS受信機とすることができる。測位情報受信機4は、所定の受信周期で測位情報を取得する度に、測位情報及び測位情報を取得した測位情報取得時刻を、ナビゲーション装置5及び地図情報記憶装置11等へ出力する。
【0046】
ナビゲーション装置5は、ナビゲーション用地図情報と、UI6から入力された車両10の目的位置と、測位情報受信機4から入力された車両10の現在位置を表す測位情報とに基づいて、車両10の現在位置から目的位置までのナビルートを生成する。ナビルートは、右折、左折、合流、分岐等の位置に関する情報を含む。ナビゲーション装置5は、目的位置が新しく設定された場合、又は、車両10の現在位置がナビルートから外れた場合等に、車両10のナビルートを新たに生成する。ナビゲーション装置5は、ナビルートを生成する度に、そのナビルートを、車内ネットワーク17を介して、位置推定装置12及び走行車線計画装置14等へ出力する。
【0047】
UI6は、通知部の一例である。UI6は、ナビゲーション装置5及び走行車線計画装置14等に制御されて、車両10の走行情報等をドライバへ通知する。車両10の走行情報は、車両の現在位置、車線変更を行うこと、ナビルート等の車両10の現在及び将来の経路に関する情報等を含む。UI6は、走行情報等を表示するために、液晶ディスプレイ又はタッチパネル等の表示装置6aを有する。また、UI6は、走行情報等をドライバへ通知するための音響出力装置(図示せず)を有していてもよい。また、UI6は、ドライバから車両10に対する操作に応じた操作信号を生成する。操作情報として、例えば、目的位置、経由地、車両の速度及びその他の制御情報等が挙げられる。UI6は、ドライバから車両10への操作情報を入力する入力装置として、例えば、タッチパネル又は操作ボタンを有する。UI6は、入力された操作情報を、車内ネットワーク17を介して、ナビゲーション装置5及び走行車線計画装置14等へ出力する。
【0048】
地図情報記憶装置11は、車両10の現在位置を含む相対的に広い範囲(例えば10km四方から30km四方の範囲)の広域の地図情報を記憶する。この地図情報は、路面の3次元情報と、道路の制限速度、道路の曲率、道路上の車線区画線等の道路特徴物、構造物の種類及び位置を表す情報等を含む高精度地図情報を有する。また、この地図情報は、渋滞区間、路面が凍結している区間及び工事区間等の走行困難区間の位置を含んでいてもよい。
【0049】
地図情報記憶装置11は、車両10の現在位置に応じて、車両10に搭載される通信装置3を介した無線通信により、マクロセル基地局を介して外部のサーバから広域の地図情報を受信して記憶装置に記憶する。地図情報記憶装置11は、測位情報受信機4から測位情報を入力する度に、記憶している広域の地図情報を参照して、測位情報により表される現在位置を含む相対的に狭い領域(例えば、100m四方~10km四方の範囲)の地図情報を、車内ネットワーク17を介して、位置推定装置12、物体検出装置13、走行車線計画装置14及び運転計画装置15等へ出力する。
【0050】
位置推定装置12は、カメラ2により取得されたカメラ画像内に表された車両10の周囲の道路特徴物に基づいて、カメラ画像取得時刻における車両10の位置を推定する。例えば、位置推定装置12は、カメラ画像内に識別した車線区画線と、地図情報記憶装置11から入力された地図情報に表された車線区画線とを対比して、カメラ画像取得時刻における車両10の推定位置及び推定方位角を求める。また、位置推定装置12は、地図情報に表された車線区画線と、車両10の推定位置及び推定方位角とに基づいて、車両10が位置する道路上の走行車線を推定する。位置推定装置12は、カメラ画像取得時刻における車両10の推定位置、推定方位角及び走行車線を求める度に、これらの情報を、物体検出装置13、走行車線計画装置14及び運転計画装置15等へ出力する。
【0051】
物体検出装置13は、カメラ画像に基づいて、車両10の周囲の物体及びその種類(例えば、車両)を検出する。物体には、車両10の周囲を走行する他車両が含まれる。物体検出装置13は、検出された物体を追跡して、物体の軌跡及び速度を求める。物体検出装置13は、地図情報に表された車線区画線と、物体の位置とに基づいて、物体が走行している走行車線を特定する。また、物体検出装置13は、検出された物体の種類を示す情報と、その位置及び速度を示す情報及び走行車線を示す情報を含む物体検出情報を、走行車線計画装置14及び運転計画装置15等へ出力する。
【0052】
走行車線計画装置14は、計画処理と、判定処理と、決定処理と、制御処理を実行する。そのために、走行車線計画装置14は、通信インターフェース(IF)21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。通信インターフェース21と、メモリ22と、プロセッサ23とは、信号線24を介して接続されている。通信インターフェース21は、走行車線計画装置14を車内ネットワーク17に接続するためのインターフェース回路を有する。
【0053】
メモリ22は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、プロセッサ23により実行される情報処理において使用されるアプリケーションのコンピュータプログラム及び各種のデータを記憶する。
【0054】
走行車線計画装置14が有する機能の全て又は一部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。プロセッサ23は、計画部231と、判定部232と、決定部233と、制御部234を有する。あるいは、プロセッサ23が有する機能モジュールは、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。プロセッサ23は、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路を更に有していてもよい。走行車線計画装置14は、例えば、電子制御装置(Electronic Contorol Unit:ECU)である。
【0055】
計画部231は、所定の周期で設定される走行車線計画生成時刻において、ナビルートから選択された直近の運転区間(例えば、10km)において、地図情報と、ナビルート及び周辺環境情報と、車両10の現在位置とに基づいて、車両10が走行する道路内の車線を選択して、車両10が走行する予定走行車線を表す走行車線計画を生成する。周辺環境情報は、車両の10の周囲を走行する他の車両の位置及び速度等を含む。走行車線計画装置14は、例えば、車両10が追い越し車線以外の車線を走行するように、走行車線計画を生成する。走行車線計画装置14は、走行車線計画を生成する度に、その走行車線計画を運転計画装置15へ出力する。
【0056】
また、計画部231は、ナビルートから選択された直近の運転区間において、走行車線計画と、地図情報と、ナビルートと、車両10の現在位置とに基づいて、車線変更の要否を判定し、判定結果に応じて車線変更計画を生成する。具体的には、計画部231は、ナビルートと車両10の現在位置とに基づいて、車両10の目的位置へ向かう車線へ移動するために、車線変更の要否を判定する。計画部231は、車両10が現在走行している走行道路から合流先の他の道路へ進入すること(合流)、及び、車両10が走行道路から分岐先の他の道路へ退出すること(分岐)の有無を判定する。合流及び分岐では、車両が走行道路の車線から他の道路の車線へ移動するので、車線変更が行われる。計画部231は、車線変更の要否の判定に、周辺環境情報又は車両状態情報を更に利用してもよい。車両状態情報は、車両10の現在位置、車両速度、加速度及び進行方向等を含む。更に、走行車線計画装置14は、ドライバによる車線間の移動要求に応じて、車線変更計画を生成してもよい。
【0057】
計画部231は、車線変更が必要であると判定した場合、移動前の目的車線と、移動先の車線とを決定する。また、計画部231は、車両が目的車線から他の車線への移動を完了する車線変更完了位置を、目的車線上に設定する。そして、計画部231は、車両10が現在走行している車線から目的車線へ移動すること、及び、車両10が車線変更完了位置に到達するまでに目的車線から他の車線への移動すること、を含む車線変更計画を生成する。計画部231は、車線変更計画を生成した場合、この車線変更計画を追加した走行車線計画を運転計画装置15へ出力する。また、計画部231は、車線変更計画を判定部232へ通知する。
【0058】
図1(A)に示す例では、計画部231は、車線51上に第1の車線変更完了位置を設定し、車線52上に第2の車線変更完了位置を設定し、車線53上に第3の車線変更完了位置P1を設定する。計画部231は、車線51上の第1の車線変更完了位置に到達するまでに、車線51から車線52へ移動することを計画する。また、計画部231は、車線52上の第2の車線変更完了位置に到達するまでに、車線52から車線53へ移動することを計画する。更に計画部231は、車線53上の第3の車線変更完了位置P1に到達するまでに、車線53から車線61へ移動することを計画する。
【0059】
計画部231は、所定の周期を有する情報取得時刻に、区間情報を求める情報要求を外部のサーバ(図示せず)へ送信する。区間情報は、車両10が走行することが困難な走行困難区間Dの位置を含む。計画部231は、区間情報を外部のサーバ(図示せず)から受信すると、走行困難区間の位置を取得する。走行困難区間の位置は、後述する車両制御処理において使用される。
【0060】
また、計画部231は、通信装置3を介して、車両10から所定の範囲に位置する他の車両から、他の車両の現在位置及び速度を含む交通情報を受信してもよい。計画部231は、交通情報に基づいて、車両10が走行している道路、又は、道路の車線ごとに、平均速度及び平均車間距離を求める。計画部231は、平均速度が基準速度以下であるか、又は、平均車間距離が基準車間距離である区間を、走行困難区間として決定してもよい。この場合、走行車線計画装置14は、外部のサーバから区間情報を受信しなくてもよい。走行車線計画装置14の他の動作については、後述する。
【0061】
運転計画装置15は、所定の周期で設定される運転計画生成時刻において、走行車線計画と、地図情報と、車両10の現在位置と、周辺環境情報と、車両状態情報とに基づいて、所定の時間(例えば、5秒)先までの車両10の予定走行軌跡を表す運転計画を生成する。運転計画は、現時刻から所定時間先までの各時刻における、車両10の目標位置及びこの目標位置における目標車両速度の集合として表される。運転計画装置15は、車両10と他車両との間に所定の距離以上の間隔を維持できるように運転計画を生成する。運転計画装置15は、運転計画を生成する度に、その運転計画を車両制御装置16へ出力する。
【0062】
車両制御装置16は、車両10の現在位置と、車両速度及びヨーレートと、運転計画装置15によって生成された運転計画とに基づいて、車両10の各部を制御する。例えば、車両制御装置16は、運転計画、車両10の車両速度及びヨーレートに従って、車両10の操舵角、加速度及び角加速度を求め、その操舵角、加速度及び角加速度となるように、操舵量、アクセル開度又はブレーキ量を設定する。そして車両制御装置16は、設定された操舵量に応じた制御信号を、車両10の操舵輪を制御するアクチュエータ(図示せず)へ車内ネットワーク17を介して出力する。また、車両制御装置16は、設定されたアクセル開度に応じた制御信号を車両10のエンジン又はモータ等の駆動装置(図示せず)へ車内ネットワーク17を介して出力する。あるいは、車両制御装置16は、設定されたブレーキ量に応じた制御信号を車両10のブレーキ(図示せず)へ車内ネットワーク17を介して出力する。
【0063】
図2では、地図情報記憶装置11と、位置推定装置12と、物体検出装置13と、走行車線計画装置14と、運転計画装置15と、車両制御装置16は、別々の装置として説明されているが、これらの装置の全て又は一部は、一つの装置として構成されていてもよい。
【0064】
図3は、走行車線計画装置14の車両制御処理の動作フローチャートの一例である。以下、図3を参照しながら、走行車線計画装置14の車両制御処理について説明する。走行車線計画装置14は、所定の周期を有する車両制御時刻に、図3に示す動作フローチャートに従って、車両制御処理を実行する。
【0065】
まず、判定部232は、計画部231によって生成された走行車線計画に基づいて、車両10の車線変更が予定されているか否かを判定する(ステップS101)。判定部232は、車線変更計画が走行車線計画に含まれる場合、車両10の車線変更が予定されていると判定する。
【0066】
車両10の車線変更が予定されている場合(ステップS101-Yes)、判定部232は、車両周辺の環境情報に基づいて、予定されていた車線変更を開始するタイミングを変更するか否かを判定する(ステップS102)。例えば、判定部232は、車両10の現在位置と車線変更完了位置との間に走行困難区間が位置しているか否かを判定する。判定部232は、区間情報、又は、地図情報に基づいて、車両10の現在位置と車線変更完了位置との間に走行困難区間が位置しているか否かを判定する。
【0067】
車両10の現在位置と車線変更完了位置との間に走行困難区間が位置している場合(ステップS102-Yes)、判定部232は、予定されていた車線変更(第1の車線変更)を開始するタイミングを変更すると判定する。
【0068】
次に、計画部231は、走行困難区間の位置に基づいて、新たな車線変更(第2の車線変更)を計画する(ステップS103)。走行困難区間が渋滞区間である場合、計画部231は、車両10が渋滞区間に到達する前に車両10が目的車線へ移動するための車線変更を行うこと、又は、車両10が渋滞区間を通過した後に車両が目的車線へ移動するための車線変更を行うことを計画する。走行困難区間では、車両10は、自動制御で安全に車線間の移動を行うことができないおそれがある。
【0069】
また、走行困難区間が、車両10の走行している車線が工事等によって通行止めであることを示している場合、計画部231は、車両10が渋滞区間に到達する前に車両10が目的車線へ移動するための車線変更を行うことを計画する。
【0070】
また、走行困難区間が、路面の凍結を示している場合、車両10が渋滞区間に到達する前に車両10が目的車線へ移動するための車線変更を行うこと、又は、車両10が渋滞区間を通過した後に車両が目的車線へ移動するための車線変更を行うことを計画する。
【0071】
次に、決定部233は、第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報に基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定して(ステップS104)、一連の処理を終了する。第2の車線変更の制御の態様決定処理については、図4を参照して後述する。
【0072】
決定部233は、第2の車線変更の制御の態様を計画部231に通知する。計画部231は、第2の車線変更の制御の態様を含めた車線変更を有する走行車線計画を生成する。
【0073】
一方、車両10の車線変更が予定されていない場合(ステップS101-No)、又は、走行困難区間が位置していない場合(ステップS102-No)、一連の処理を終了する。
【0074】
次に、図4を参照しながら、走行車線計画装置14の態様決定処理を以下に説明する。図4は、走行車線計画装置の態様決定処理の動作フローチャートの一例である。
【0075】
まず、決定部233は、第1の車線変更を実行しようとしていた理由が、所定の理由に該当するか否かを判定する(ステップS201)。所定の理由は、第1の車線変更が、車両10の目的位置へ到達することを目的としていることを含む。
【0076】
例えば、このような車線変更として、目的位置へ到達するための分岐道路への退出、及び、他の道路への合流が挙げられる。また、このような車線変更として、車両10が走行している車線が消滅する場合の車線変更がある。更に、このような車線変更として、車両10が走行している車線が、工事等により通行止めとなる場合の車線変更がある。車両10が走行している車線を走行できなくなると、車両10は目的位置へ到達できなくなる。
【0077】
一方、車両10の目的位置へ到達することを目的としない車線変更もある。このような車線変更として、他の車線から他車両が合流してくる被合流区間を避けるための車線変更、車両10が登板車線への進入を避けるための車線変更、HOVレーン等への進入を避けるための車線変更がある。また、このような車線変更として、車両10が前方車両を追い越した後に元の車線へ移動するための車線変更がある。更に、このような車線変更として、車両10が速度の速い車線へ移動するための車線変更がある。
【0078】
第1の車線変更を実行しようとしていた理由が、所定の理由に該当しない場合(ステップS201-No)、決定部233は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報が、第1の環境情報に該当するか否かを判定する(ステップS202)。この車両周辺の環境情報は、第1の車線変更を計画した時点では認識されていなかった情報である。
【0079】
第1の環境情報は、車両10が目的位置へ到達できなくなることを示すことを含む。第1の環境情報として、車両10の走行している車線が消滅すること、工事等により通行止めであることがある。
【0080】
第1の車線変更を実行しようとしていた理由が、所定の理由に該当する場合(ステップS201-Yes)、又は、車両周辺の環境情報が第1の環境情報に該当する場合(ステップS202-Yes)、決定部233は、ドライバの関与の程度が高くなるように、第2の車線変更の制御の態様を決定して(ステップS203)、一連の処理を終了する。
【0081】
決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、承認レスモードであった場合、第2の車線変更の制御の態様を、提案承認モード、又は、手動制御モードに決定する。また、決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、提案承認モードであった場合、第2の車線変更の制御の態様を、手動制御モードに決定する。また、決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、車両10が自動運転で車線変更の操作を実施する手動制御モードであった場合、第2の車線変更の制御の態様を、ドライバが手動運転で車線変更の操作を実施する手動制御モードに決定する。なお、第1の車線変更の制御の態様が、ドライバが手動運転で車線変更を実施する手動制御モードであった場合、第2の車線変更の制御の態様に変更はない。
【0082】
第2の車線変更の制御の態様を手動制御モードに決定した場合、制御部234は、車線変更が手動制御モードに変更されることを、UI6を介して、ドライバへ通知する。特に、第2の車線変更の制御の態様が、ドライバが手動運転で車線変更を実施するモードに決定された場合、制御部234は、ドライバに対して注意して車線変更を行うことを、UI6を介して、ドライバへ通知する。制御部234は、ドライバの運転への注意喚起をすることにより、ドライバの関与の程度を高めることができる。
【0083】
なお、第1の車線変更の制御の態様が、ドライバが手動運転で車線変更を実施する手動制御モードであった場合、制御部234は、この車線変更が、車両10の目的位置へ到達することを目的とすることを、UI6を介して、ドライバへ通知してもよい。
【0084】
本明細書では、承認レスモードは、車線変更の開始に対して、その都度、ドライバの承認を受けることなく車両10が実施することをいう。例えば、承認レスモードは、車両の初期設定時等に総括的に車線変更に対するドライバの承認を受けていることを含む。一方、提案承認モードは、車線変更の開始に対して、その都度、ドライバの承認を受ける。
【0085】
このように、ドライバの関与の程度が高くなるように、第2の車線変更の制御の態様を決定することにより、車両10が目的位置へ到達するための車線変更を成功する確率を高めることができる。
【0086】
一方、車両周辺の環境情報が第1の環境情報に該当しない場合(ステップS202-No)、決定部233は、車両周辺の環境情報は、第2の環境情報に該当すると判定する(ステップS204)。第2の環境情報は、車両10が目的位置へ到達できなくなること以外の情報を含む。
【0087】
例えば、第2の環境情報は、走行困難区間が渋滞区間であること、走行困難区間では路面が凍結している区間であること、走行困難区間が被合流区間であること、走行困難区間では、車両10が現在走行している車線以外の車線で工事が行われていること等の情報を含む。これの場合、車両10が目的位置へ到達する時刻に遅れが生じるかもしれないが、車両10は、現在の走行車線を走行していても、目的位置へ到達可能と考えられる。
【0088】
次に、決定部233は、ドライバの関与の程度が低くなるように、第2の車線変更の制御の態様を決定して(ステップS205)、一連の処理を終了する。車両周辺の環境が、車両10が目的位置へ到達できなくなるわけではない場合には、自動制御で車線変更を行うことがドライバの負担を増やさない観点から好ましい。
【0089】
決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、手動制御モードであった場合、第2の車線変更の制御の態様を、承認レスモード、又は、提案承認モードに決定する。また、決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、提案承認モードであった場合、第2の車線変更の制御の態様を、承認レスモードに決定する。なお、決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、決定部233は、第1の車線変更の制御の態様が、承認レスモードであった場合、第2の車線変更の制御の態様に変更はない。
【0090】
次に、決定部233は、自動制御による車線変更の成功する確率が高くなるように制御を決定して(ステップS206)、一連の処理を終了する。
【0091】
自動制御による車線変更の成功する確率が高くなるように制御することとして、例えば、以下の制御がある。(1)車線変更の計画を生成した時点から車線変更を実行するまでに許容される待機時間を増大すること、(2)車線変更の計画を実施することをドライバへ提案した時点からドライバの承認を取得するまでに許容される待機時間を増大すること、(3)(2)において車線変更の計画を実施することをより強調してドライバへ提案すること、(4)車線変更時の車両10の制御に対する制約の緩和すること。
【0092】
(4)の車線変更時の車両10の制御に対する制約の緩和することとして、例えば、以下のことがある。(a)横方向移動速度の制限値を増加すること、(b)横方向加速度の制限値を増加すること、(c)ヨーレートの制限値を増加すること、(d)車線変更が許容されていない制限の解除。
【0093】
(d)の車線変更が許容されていない制限の解除として、例えば、以下のことがある。自動制御で安全に車両の車線間の移動を制御できない区間(例えば、急カーブ)の解除、他車両が合流してくる被合流区間の解除、ドライバによって車線変更があらかじめ禁止されている区間の解除、及び、車線間の移動が物理的に禁止されている区間における制限の解除。なお、ステップS206は省略してもよい。
【0094】
なお、上述した自動制御による車線変更の成功する確率が高くなるように制御方法は複数の方法を組み合わせてもよい。また、車線変更時の車両10の制御に対する制約の緩和することは、複数の緩和することを組み合わせてもよい。
【0095】
走行車線計画装置14は、承認レスモード、又は、提案承認モードにおいて、第2の車線変更を開始した後、車線変更が成功しない場合、手動制御モードへ変更することを、UI6を介して、ドライバへ提案することが好ましい。
【0096】
以上詳述したように、本実施形態の走行車線計画装置14によれば、最初に計画された車線変更を実行しようとしていた理由、又は、この車線変更を開始するタイミングが変更されることになった理由に基づいて、開始するタイミングを変更した後の車線変更の態様を決定するので、開始するタイミングを変更した後の車線変更を成功する確率を高めることができる。
【0097】
次に、本実施形態の走行車線計画装置14の態様決定処理の他の動作について、図5を参照しながら、以下に説明する。図5は、本実施形態の走行車線計画装置14の態様決定処理の他の動作例を説明する図である。
【0098】
決定部233は、第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報と共に、計画部231によって計画された第2の車線変更を開始するタイミングと第1の車線変更を開始するタイミングとの相違量とに基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定してもよい。
【0099】
図5に示す例では、図1(B)と同様に、車両10の現在位置と、車線変更完了位置P1との間に走行困難区間Dが存在する。
【0100】
計画部231は、車両10の現在位置と走行困難区間Dと間に、新たな車線変更計画C3及び車線変更計画C4を生成する。
【0101】
車線変更計画C3の車線変更を開始するタイミングは、車線変更計画C4の車線変更を開始するタイミングよりも早い。
【0102】
車線変更計画C3の車線変更を開始するタイミングと、車線変更計画C1の車線変更を開始するタイミングとの相違量は、車線変更計画C4の車線変更を開始するタイミングと、車線変更計画C1の車線変更を開始するタイミングとの相違量よりも多い。
【0103】
決定部233は、図4に示す態様決定処理に従って、車線変更計画C3及び車線変更計画C4の制御の態様を決定する。ここで、車線変更計画C3及び車線変更計画C4について、ドライバの関与の程度が高くなるように、制御の態様を決定されたとする。また、車線変更計画C1の車線変更の制御の態様は承認レスモードであったする。この場合、決定部233は、車線変更計画C3の車線変更の制御の態様を、提案承認モードとし、車線変更計画C4の車線変更の制御の態様を、手動制御モードとしてもよい。
【0104】
また、車線変更計画C3及び車線変更計画C4について、ドライバの関与の程度が低くなるように、制御の態様を決定されたとする。また、車線変更計画C1の車線変更の制御の態様は手動制御モードであったする。この場合、決定部233は、車線変更計画C3の車線変更の制御の態様を、承認レスモードとし、車線変更計画C4の車線変更の制御の態様を、提案承認モードとしてもよい。
【0105】
車線変更計画C3の車線変更が実行される位置は、車線変更完了位置P1までの距離が相対的に長いので、ドライバの関与する程度を低下させて車線変更を制御する。一方、車線変更計画C4の車線変更が実行される位置は、車線変更完了位置P1までの距離が相対的に短いので、ドライバの関与する程度を増加させて車線変更を制御する。
【0106】
これにより、ドライバの負担を増加させることなく、開始するタイミングを変更した後の車線変更を成功する確率を高めることができる。
【0107】
本発明では、上述した実施形態の車両制御装置は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0108】
例えば、上述した実施形態では、車線変更の制御の態様として、承認レスモードと、提案承認モードと、手動制御モードとが挙げられていたが、車線変更の制御の態様はこれに限定されない。車線変更の制御の態様として、例えば、ドライバの関与する程度が異なる態様を用いることもできる。ドライバの関与する程度が異なるとは、自動制御の関与する程度が異なると表現してもよい。
【0109】
また、上述した実施形態では、車線変更計画は、車両が現在走行している車線から複数回の車線間の移動を含んでいたが、本発明は、車線変更計画が1回の車線間の移動を行う場合にも適用可能である。
【0110】
また、上述した実施形態では、車両の現在位置と車線変更完了位置との間に走行困難区間がある場合、車線変更を開始するタイミングを変更していたが、車線変更を開始するタイミングを変更する理由はこれに限定されない。例えば、車両と他の物体との距離が所定の基準以上の間隔が保てなくって、計画されていた車線変更を開始するタイミングが変更された場合にも、本発明は適用可能である。
【0111】
また、上述した実施形態では、走行車線計画装置は、第1の車線変更を実行しようとしていた理由か、又は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報に基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定していた。走行車線計画装置は、第1の車線変更を実行しようとしていた理由だけに基づいて、2の車線変更の制御の態様を決定してもよい。また、走行車線計画装置は、第1の車線変更を開始するタイミングを変更することになった車両周辺の環境情報だけに基づいて、第2の車線変更の制御の態様を決定してもよい。
【0112】
また、走行車線計画装置が走行困難区間の位置を取得する方法、上述した実施形態で記載したことに限定されない。走行車線計画装置は、他の方法を用いて走行困難区間の位置を取得してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 車両制御システム
2 カメラ
3 通信装置
4 測位情報受信機
5 ナビゲーション装置
6 ユーザインタフェース
6a 表示装置
10 車両
11 地図情報記憶装置
12 位置推定装置
13 物体検出装置
14 走行車線計画装置
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
231 計画部
232 判定部
233 決定部
234 制御部
24 信号線
15 運転計画装置
16 車両制御装置
17 車内ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5