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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014519
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】商品提供装置および商品提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20250123BHJP
【FI】
G06Q30/0601 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117141
(22)【出願日】2023-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 熙元
(72)【発明者】
【氏名】田中 美咲
(72)【発明者】
【氏名】春宮 礼佳
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 大地
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB66
5L049BB66
(57)【要約】
【課題】オンライン上で見た商品と実際に手元に届く商品との不一致感を低減させることを可能とする商品提供装置および商品提供方法を提供する。
【解決手段】商品提供装置は、インターネットを介してユーザ端末に商品を提示する商品提供装置であって、ユーザ端末を介してユーザが所望する所望物品の情報に関するユーザ入力を受け付ける入力部と、ユーザ入力に基づき、仮想店舗に出品されている商品から所望物品の候補物品を検索して抽出する検索抽出部と、候補物品の複数視点の画像に基づいて、候補物品の三次元画像を生成する三次元画像生成部と、ユーザ端末の画像表示領域に、候補物品の三次元画像を表示させる出力部と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介してユーザ端末に商品を提示する商品提供装置であって、
前記ユーザ端末を介してユーザが所望する所望物品の情報に関するユーザ入力を受け付ける入力部と、
前記ユーザ入力に基づき、仮想店舗に出品されている商品から前記所望物品の候補物品を検索して抽出する検索抽出部と、
前記候補物品の複数視点の画像に基づいて、前記候補物品の三次元画像を生成する三次元画像生成部と、
前記ユーザ端末の画像表示領域に、前記候補物品の前記三次元画像を表示させる出力部と、
を含む商品提供装置。
【請求項2】
前記三次元画像生成部は、前記検索抽出部により抽出された前記候補物品のうち、前記ユーザ端末において何れか一つの前記候補物品が選択された場合に、前記選択された前記候補物品の前記三次元画像を生成する、請求項1に記載の商品提供装置。
【請求項3】
前記三次元画像生成部は、前記複数視点の画像に加え、前記候補物品に付属して提供されているテキストに基づいて、前記三次元画像を生成する、請求項1に記載の商品提供装置。
【請求項4】
前記三次元画像生成部は、前記候補物品の型番から前記候補物品の画像をインターネット上のウェブサイトから検索し、
前記検索された画像を前記複数視点の画像の1つとして用い、前記三次元画像を生成する、請求項1に記載の商品提供装置。
【請求項5】
前記検索抽出部は、前記ユーザ入力に応じた文章を生成するデータ生成モデルを用いて、前記ユーザ入力に対応する応答を生成し、前記ユーザ入力に対応する応答を前記ユーザ端末に表示させる、請求項1に記載の商品提供装置。
【請求項6】
前記入力部が前記ユーザからの前記候補物品に関するメッセージを受け付けた場合に、前記候補物品の出品者を呼び出す呼出処理部と、
前記ユーザと前記出品者とが前記仮想店舗において対話可能とする対話処理部とを更に備える、
請求項1に記載の商品提供装置。
【請求項7】
前記対話処理部は、前記ユーザを表すアバターと、前記出品者を表すアバターとが前記仮想店舗において対話可能とする請求項6に記載の商品提供装置。
【請求項8】
ユーザ端末を介してユーザが所望する所望物品の情報に関するユーザ入力を受け付けるステップと、
前記ユーザ入力に基づき、仮想店舗に出品されている商品から前記所望物品の候補物品を検索して抽出するステップと、
前記候補物品の複数視点の画像に基づいて、前記候補物品の三次元画像を生成するステップと、
前記ユーザ端末の画像表示領域に、前記候補物品の前記三次元画像を表示させるステップと、
を含む商品提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、商品提供装置および商品提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及に伴い、消費者がインターネット上のEC(Electronic Commerce)サイトを利用して商品等を購入する電子商取引が拡大している。二次元画像により表示された商品を見て、所望の商品を選択し、購入するという手法が一般的である。近年では、仮想空間において、三次元的に商品を表示させ、消費者の購買意欲を喚起する手法も提供されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-344474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現在においても、小規模な小売店、あるいは一般人が物品を出品するオンライン上のフリーマーケットなどでは、出品者により提供された二次元画像により表示された物品の画像を見て、所望の物品を選択し、物品が購入されている。そのため、購入者が、実際に届いた物品が二次元画像で見て想像していた物と違うと感じる、ということがしばしばある。
本開示は、オンライン上で見た商品と実際に手元に届く商品との不一致感を低減させることを可能とする商品提供装置および商品提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の技術に係る第1の態様は、インターネットを介してユーザ端末に商品を提示する商品提供装置であって、前記ユーザ端末を介してユーザが所望する所望物品の情報に関するユーザ入力を受け付ける入力部と、前記ユーザ入力に基づき、仮想店舗に出品されている商品から前記所望物品の候補物品を検索して抽出する検索抽出部と、前記候補物品の複数視点の画像に基づいて、前記候補物品の三次元画像を生成する三次元画像生成部と、前記ユーザ端末の画像表示領域に、前記候補物品の前記三次元画像を表示させる出力部と、を含む商品提供装置である。
【0006】
本開示の技術に係る第2の態様によれば、前記三次元画像生成部は、前記検索抽出部により抽出された前記候補物品のうち、前記ユーザ端末において何れか一つの前記候補物品が選択された場合に、前記選択された前記候補物品の前記三次元画像を生成する。
【0007】
本開示の技術に係る第3の態様によれば、前記三次元画像生成部は、前記複数視点の画像に加え、前記候補物品に付属して提供されているテキストに基づいて、前記三次元画像を生成する。
【0008】
本開示の技術に係る第4の態様によれば、前記三次元画像生成部は、前記候補物品の型番から前記候補物品の画像をインターネット上のウェブサイトから検索し、前記検索された画像を前記複数視点の画像の1つとして用い、前記三次元画像を生成する。
【0009】
本開示の技術に係る第5の態様によれば、前記検索抽出部は、前記ユーザ入力に応じた文章を生成するデータ生成モデルを用いて、前記ユーザ入力に対応する応答を生成し、前記ユーザ入力に対応する応答を前記ユーザ端末に表示させる。
【0010】
本開示の技術に係る第6の態様によれば、前記入力部が前記ユーザからの前記候補物品に関するメッセージを受け付けた場合に、前記候補物品の出品者を呼び出す呼出処理部と、前記ユーザと前記出品者とが前記仮想店舗において対話可能とする対話処理部とを更に備える。
【0011】
本開示の技術に係る第7の態様によれば、前記対話処理部は、前記ユーザを表すアバターと、前記出品者を表すアバターとが前記仮想店舗において対話可能とする。
【0012】
本開示の技術に係る第8の態様は、ユーザ端末を介してユーザが所望する所望物品の情報に関するユーザ入力を受け付けるステップと、前記ユーザ入力に基づき、仮想店舗に出品されている商品から前記所望物品の候補物品を検索して抽出するステップと、前記候補物品の複数視点の画像に基づいて、前記候補物品の三次元画像を生成するステップと、前記ユーザ端末の画像表示領域に、前記候補物品の前記三次元画像を表示させるステップと、を含む商品提供方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】商品提供システムの構成の一例を示す概念図である。
図2】商品提供装置及びスマートデバイスの要部機能の一例を示す概念図である。
図3A】特定処理の概要を示す。
図3B】特定処理の概要を示す。
図4】商品提供装置の特定処理部の機能構成を概略的に示す。
図5】商品提供装置による特定処理の動作フローの一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って本開示の技術に係る商品提供装置、及び商品提供方法の実施形態の一例について説明する。
【0015】
先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
【0016】
以下の実施形態において、符号付きのプロセッサ(以下、単に「プロセッサ」と称する)は、1つの演算装置であってもよいし、複数の演算装置の組み合わせであってもよい。また、プロセッサは、1種類の演算装置であってもよいし、複数種類の演算装置の組み合わせであってもよい。演算装置の一例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)、APU(Accelerated Processing Unit)、又はTPU(Tensor Processing Unit)等が挙げられる。
【0017】
以下の実施形態において、符号付きのRAM(Random Access Memory)は、一時的に情報が格納されるメモリであり、プロセッサによってワークメモリとして用いられる。
【0018】
以下の実施形態において、符号付きのストレージは、各種プログラム及び各種パラメータ等を記憶する1つ又は複数の不揮発性の記憶装置である。不揮発性の記憶装置の一例としては、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))、磁気ディスク(例えば、ハードディスク)、又は磁気テープ等が挙げられる。
【0019】
以下の実施形態において、符号付きの通信I/F(Interface)は、通信プロセッサ及びアンテナ等を含むインタフェースである。通信I/Fは、複数のコンピュータ間での通信を司る。通信I/Fに対して適用される通信規格の一例としては、5G(5th Generation Mobile Communication System)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を含む無線通信規格が挙げられる。
【0020】
以下の実施形態において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
【0021】
図1には、実施形態に係る商品提供システム10の構成の一例が示されている。
【0022】
図1に示すように、商品提供システム10は、商品提供装置12及びスマートデバイス14を備えている。商品提供装置12の一例としては、サーバが挙げられる。スマートデバイス14の一例としては、スマートフォンが挙げられる。本実施形態において、商品提供装置12は、本開示の技術に係る「商品提供装置」の一例であり、スマートデバイス14は、本開示の技術に係る「ユーザ端末」の一例である。
【0023】
商品提供装置12は、コンピュータ22、データベース24、及び通信I/F26を備えている。コンピュータ22は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例である。コンピュータ22は、プロセッサ28、RAM30、及びストレージ32を備えている。プロセッサ28、RAM30、及びストレージ32は、バス34に接続されている。また、データベース24及び通信I/F26も、バス34に接続されている。通信I/F26は、ネットワーク54に接続されている。ネットワーク54の一例としては、WAN(Wide Area Network)及び/又はLAN(Local Area Network)等が挙げられる。
【0024】
スマートデバイス14は、コンピュータ36、受付装置38、出力装置40、カメラ42、及び通信I/F44を備えている。コンピュータ36は、プロセッサ46、RAM48、及びストレージ50を備えている。プロセッサ46、RAM48、及びストレージ50は、バス52に接続されている。また、受付装置38、出力装置40、及びカメラ42も、バス52に接続されている。
【0025】
受付装置38は、タッチパネル38A及びマイクロフォン38B等を備えており、ユーザ入力を受け付ける。タッチパネル38Aは、指示体(例えば、ペン又は指等)の接触を検出することにより、指示体の接触によるユーザ入力を受け付ける。マイクロフォン38Bは、ユーザの音声を検出することにより、音声によるユーザ入力を受け付ける。制御部46Aは、タッチパネル38A及びマイクロフォン38Bによって受け付けたユーザ入力を示すデータを商品提供装置12に送信する。商品提供装置12では、特定処理部290が、ユーザ入力を示すデータを取得する。
【0026】
出力装置40は、ディスプレイ40A及びスピーカ40B等を備えており、データを人物が知覚可能な表現形(例えば、音声及び/又はテキスト)で出力することでデータを人物に対して提示する。ディスプレイ40Aは、プロセッサ46からの指示に従ってテキスト及び画像等の可視情報を表示する。スピーカ40Bは、プロセッサ46からの指示に従って音声を出力する。カメラ42は、レンズ、絞り、及びシャッタ等の光学系と、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子とが搭載された小型デジタルカメラである。
【0027】
通信I/F44は、ネットワーク54に接続されている。通信I/F44及び26は、ネットワーク54を介してプロセッサ46とプロセッサ28との間の各種情報の授受を司る。
【0028】
図2には、商品提供装置12及びスマートデバイス14の要部機能の一例が示されている。
【0029】
図2に示すように、商品提供装置12では、プロセッサ28によって特定処理が行われる。ストレージ32には、特定処理プログラム56が格納されている。プロセッサ28は、ストレージ32から特定処理プログラム56を読み出し、読み出した特定処理プログラム56をRAM30上で実行する。特定処理は、プロセッサ28がRAM30上で実行する特定処理プログラム56に従って特定処理部290として動作することによって実現される。
【0030】
ストレージ32には、データ生成モデル58及び3D画像生成モデル59が格納されている。データ生成モデル58及び3D画像生成モデル59は、特定処理部290によって用いられる。
【0031】
スマートデバイス14では、プロセッサ46によって受付出力処理が行われる。ストレージ50には、受付出力プログラム62が格納されている。受付出力プログラム62は、商品提供システム10によって特定処理プログラム56と併用される。プロセッサ46は、ストレージ50から受付出力プログラム62を読み出し、読み出した受付出力プログラム62をRAM48上で実行する。受付出力処理は、プロセッサ46がRAM48上で実行する受付出力プログラム62に従って、制御部46Aとして動作することによって実現される。
【0032】
次に、商品提供装置12の特定処理部290における特定処理について説明する。
【0033】
本実施形態における特定処理では、メタバースなどの仮想空間に設定される仮想店舗内でのショッピング等において、ユーザに対してユーザが所望する商品を提示する処理が行われる。
【0034】
具体的には、商品提供装置12は、特定処理として、図3Aに示されるような仮想空間に設定される仮想店舗200において、ユーザが買い物をする際に、ユーザの希望に応じた商品を提示する処理を行う。図3Aに示す仮想店舗200は、店舗内にスポーツ関連の情報やスポーツ用品等が展示されたスポーツエリア、ヘルスケアに関する情報の展示及び医療スタッフとの相談窓口を備えたヘルスケアエリア、衣料品を取り扱うファッションエリア、及び、フリーマーケットエリアを備える。以下においては、仮想店舗200内のフリーマーケットエリアにてユーザが商品を選ぶ際のサポートを行う場合について説明する。
【0035】
フリーマーケットエリアでは、図3Bに示すように、出品者による物品の出品が行われる。なお、この際、出品者は物品の写真を多角度から撮影した複数視点の画像を登録する。複数視点の画像としては、異なる角度から撮影した2枚以上の二次元画像であればよい。例えば、物品の正面画像、背面画像、左側面画像、右側面画像、平面画像及び底面画像のセットであってもよい。なお、出品者は物品の写真と共に、その物品に関する情報をテキストデータとして登録する。テキストデータとしては、物品の型番、使用年数、傷あるいは汚れの付着箇所とその程度などである。
【0036】
購入希望者であるユーザがスマートデバイス14から所望物品の情報を入力すると、商品提供装置12の特定処理部290は、ユーザ入力を受付け、ChatGPTなどのデータ生成モデルによる対話により、ユーザの所望物品に関する複数の条件を取得し、候補物品を検索して抽出する。また、商品提供装置12は、候補物品の複数視点の画像に基づいて、候補物品の三次元画像(以下において、3D画像)を生成し、スマートデバイス14の画像表示領域であるディスプレイ40Aに、候補物品の3D画像を表示させる。
【0037】
なお、特定処理としては、さらに、ユーザからの候補物品に関するメッセージを受け付けた場合に、候補物品の出品者を呼出し、ユーザと出品者とが仮想店舗において対話可能とする処理を含んでいてもよい。例えば、図3Bに示すように、ユーザを表すアバターと出品者を表すアバターとが仮想店舗内において対話(交渉)可能とするものであってもよい。
【0038】
特定処理部290は、図4に示すように、入力部291、検索抽出部292、三次元画像生成部(以下において、3D画像生成部とする)294、出力部296、呼出処理部297、及び対話処理部298を備えている。なお、呼出処理部297及び対話処理部298は必須の構成ではない。
【0039】
入力部291は、ユーザがスマートデバイス14に入力したユーザ入力を受け付ける。具体的には、例えば、「子供の靴が欲しい」など、スマートデバイス14で受け付けたユーザ入力を取得する。ユーザ入力はテキスト入力であっても音声入力であってもよい。
【0040】
具体的には、スマートデバイス14の制御部46Aにおいて、ユーザ入力として、所望物品の情報に関するテキスト入力又は音声入力を受け付けると、受け付けたテキスト又は音声が、商品提供装置12に送信され、検索抽出部292は、質問を表す音声又はテキストを受け付ける。スマートデバイス14のマイクロフォン38Bは、所望物品の情報に関するユーザ入力を示す音声を取得する。制御部46Aは、マイクロフォン38Bによって取得されたユーザ入力を示す音声データを商品提供装置12に送信する。商品提供装置12では特定処理部290の入力部291が、ユーザ入力を示す音声データを取得する。あるいは、スマートデバイス14のタッチパネル38Aは、所望物品の情報に関するユーザ入力を示すテキストを取得する。制御部46Aはタッチパネル38Aによって取得されたユーザ入力を示すテキストデータを商品提供装置12に送信する。商品提供装置12では、特定処理部290の入力部291がユーザ入力を示すテキストデータを取得する。
【0041】
検索抽出部292は、ユーザ入力に基づいて検索クエリを作成し、仮想店舗200に出品されている商品からユーザが所望する物品である所望物品の候補物品を検索して抽出する。具体的には、検索抽出部292は、ChatGPTなどのデータ生成モデルを用いて、ユーザ入力から、検索クエリを作成する。検索抽出部292は、API(Application Programming Interface)を用いて、出品されている商品が登録されているデータベースにアクセスし、検索クエリに基づいた候補物品を検索抽出する。
【0042】
3D画像生成部294は、候補物品を異なる方向から撮影された複数の二次元画像(以下において、2D画像という)である複数視点画像に基づいて、その3D画像を生成する。例えば、出品者によって登録されている物品の正面画像、背面画像、左側面画像、右側面画像、平面画像及び底面画像に基づいて3D画像を生成する。3D画像生成部294は、例えば、3D画像生成モデルを用いて3D画像を生成する。3D画像生成モデルは、いわゆる3Dモデル生成AI(Artificial Intelligence)であり、例えば、複数の2D画像(複数視点の画像)を入力すると視点移動可能な3D画像を生成するレンダリングモデルなどが知られている。レンダリングモデルによれば、任意の複数の画像とその画像を撮影したカメラの位置等の撮影情報のデータセットから新たな画像と撮影に関する情報を推測した上で、データセットと生成した画像情報に基づいて視点移動可能な3D画像を生成できる。
また、複数視点の画像に基づいて、3次元座標の各々での物体の密度を表すディープニューラルネットワークを学習し、ディープニューラルネットワークに基づいて、3D画像生成モデルを生成してもよい。一例として、複数視点画像と、各視点画像の視線情報(視点位置、視点方向)と、を教師データとして取得し、ディープニューラルネットワークが出力する画像と、教師データの訓練画像との差分を含む損失関数を最適化するように、ディープニューラルネットワークを学習する。なお、この3D画像生成モデルの生成方法として、例えば、非特許文献1に記載の手法を用いればよいため、詳細な説明を省略する。
【0043】
[非特許文献1]:Mildenhall, B., Srinivasan, P. P., Tancik, M., Barron, J. T., Ramamoorthi, R. and Ng, R.: NeRF: Representing Scenes as Neural Radiance Fields for View Synthesis, Vol. 65, No. 1, New York, NY, USA, Association for Computing Machinery (2021).
【0044】
出力部296は、仮想店舗内に表示された候補物品の3D画像をスマートデバイス14に送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対して仮想店舗内に表示された候補物品の3D画像を出力させる。より具体的には、制御部46Aは、出力装置40のディスプレイ40Aに、仮想店舗内での候補物品の3D画像を表示させる。
【0045】
3D画像生成部294は、検索抽出部292により抽出された候補物品のうち、スマートデバイス14においてユーザによりいずれか1つの候補物品が選択された場合に、選択された候補物品の3D画像を生成するように構成されていてもよい。具体的には、検索抽出部292によって複数の候補物品が抽出された場合には、スマートデバイス14に複数の候補物品のリストが提示され、ユーザがそれらの候補物品のうちの1つを選択する。3D画像生成部294は、ユーザによる候補物品の選択がされるとその都度、選択された候補物品について、複数視点の2D画像から3D画像を生成する。
【0046】
3D画像生成部294は、複数視点の画像に加え、候補物品に付属して提供されているテキストに基づいて、3D画像を生成してもよい。既述の通り候補物品に付属して提供されているテキストとは、物品の型番、使用年数、傷あるいは汚れの付着箇所とその程度などである。例えば、候補物品が「靴」であり、「左側面に2cm程度の傷があります」というテキストが付属していた場合であって、複数視点の画像中のその傷が明確に映っていないような場合、3D画像生成部294は、複数視点の画像に基づいて靴の左側面に2cm程度の傷を付与する。
【0047】
また、3D画像生成部294は、候補物品の型番から候補物品の画像をインターネット上のウェブサイトから検索し、検索された画像を複数視点の画像の1つとして用い、3D画像を生成するように構成されていてもよい。
【0048】
検索抽出部292は、ユーザ入力に応じた文章を生成するデータ生成モデル58を用いて、ユーザ入力に対応する質問を生成し、ユーザ入力に対応する質問をユーザ端末に表示させるように構成されていることが好ましい。具体的には、検索抽出部292は、データ生成モデル58を用いて、検索クエリを作成するために必要な事項の各々を問い合わせる質問を取得して、スマートデバイス14において出力させることにより、検索クエリを作成するために必要な事項の各々に対するユーザ入力を取得するようにしてもよい。例えば、検索抽出部292は、データ生成モデル58を用いて、ユーザがスマートデバイス14に入力したユーザ入力「子供の靴が欲しい」という漠然とした情報に対し、「何色がいいですか?」「運動用ですか?」「サイズは?」などの質問を取得し、ユーザ入力に対応する質問をスマートデバイス14に表示させる。
【0049】
データ生成モデル58は、いわゆる生成AI(Artificial Intelligence)である。データ生成モデル58の一例としては、ChatGPT(インターネット検索<URL: https://openai.com/blog/chatgpt>)等の生成AIが挙げられる。データ生成モデル58は、ニューラルネットワークに対して深層学習を行わせることによって得られる。データ生成モデル58には、指示を含むプロンプトが入力され、かつ、音声を示す音声データ、テキストを示すテキストデータ、及び画像を示す画像データ等の推論用データが入力される。データ生成モデル58は、入力された推論用データをプロンプトにより示される指示に従って推論し、推論結果を音声データ及びテキストデータ等のデータ形式で出力する。ここで、推論とは、例えば、分析、分類、予測、及び/又は要約等を指す。
【0050】
呼出処理部297は、入力部291がユーザからの候補物品に関するメッセージを受け付けた場合に、候補物品の出品者を呼び出す。
【0051】
対話処理部298は、ユーザと出品者とが仮想店舗200において対話可能とする。具体的には、ユーザを表すアバターと、出品者を表すアバターとが仮想店舗200において対話可能とする。
【0052】
特定処理部290の呼出処理部297は、出品者のスマートデバイスに対し購入希望者から対話要請がある旨のメッセージを送信する。例えば、「あなたの出品した「靴」について購入希望者が対話を希望しています。対話を開始しますか?」などのメッセージを送信する。特定処理部290は、出品者から対話の開始を了承する旨の回答を取得した場合、仮想店舗200においてユーザと出品者との対話を可能とする。
【0053】
対話処理部298は、例えば、チャットシステムにより構成され、出品者とユーザが互いにリアルタイムにメッセージを送信し合うことを可能とする。なお、対話処理部298は、ユーザのアバターと出品者のアバターを仮想店舗200で引き合わせ、対話可能とするようにしてもよい。
【0054】
特定処理部290は、出品者からすぐに応答できない旨の回答を取得した場合、その旨をユーザに伝達する。なお、この際、特定処理部290は、出品者とユーザに対し、後日程に対話可能とするために、予約を設定するように構成されていてもよい。
【0055】
次に、商品提供システム10の作用について説明する。
【0056】
先ず、特定処理の流れの一例について図5を参照しながら説明する。なお、図5に示す特定処理の流れは、本開示の技術に係る「商品提供方法」の一例である。
【0057】
図5に示す特定処理では、先ず、ステップS100で、入力部291は、ユーザがスマートデバイス14に入力した所望物品の情報に関するユーザ入力を受け付ける。
【0058】
例えば、「子供の靴が欲しい」というテキストをユーザがタッチパネル28Aを用いて、スマートデバイス14に入力すると、スマートデバイス14の制御部46Aにより「子供の靴が欲しい」というテキストがユーザ入力として商品提供装置12に送信される。入力部291はこのユーザ入力を受け付ける。検索抽出部292は、「ユーザは、「子供の靴が欲しい」と発言しています。データベースから検索クエリを作成するためにどんな質問をするとよいですか?」というプロンプトを生成し、データ生成モデル58に入力し、データ生成モデル58の出力を用いて、ユーザ入力に対する質問を取得する。ここでは、検索クエリを作成するための条件をユーザから引き出すための質問を出力させる。
【0059】
ステップS102で、出力部296は、ユーザ入力に対する質問をスマートデバイス14に送信する。このとき、スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40に対してユーザ入力に対する質問を出力させる。例えば、「何色がいいですか?」「用途は?」あるいは「サイズは?」などの質問を出力させ、その質問に対するユーザ入力を受け付ける。検索抽出部292は、ユーザと所望物品の情報をやり取りすることで、ユーザが所望する物品についての条件を複数取得する。
【0060】
ステップS104では、検索抽出部292は、データ生成モデル58の出力を用いて、ステップS100、S102で取得したユーザ入力から、検索クエリを作成し、出品一覧のデータベースから所望物品の候補物品を検索し、抽出する。検索クエリには、例えば、子供の靴、青色、外遊び用、サイズは15cm、などの条件が組み込まれる。
【0061】
ステップS106では、出力部296が、検索抽出部292が検索抽出した候補物品の一覧をスマートデバイス14に送信する。スマートデバイス14では、制御部46Aが、出力装置40のディスプレイ40Aに候補物品の一覧を表示させる。この際にはディスプレイ40Aに表示される各候補物品は2D画像で示される。
【0062】
ステップS108では、ユーザがスマートデバイス14に表示された複数の候補物品のうちからいずれか1つを選択した場合に、特定処理部290は、その候補物品の選択を受け付ける。具体的には、ユーザがスマートデバイス14に表示された複数の候補物品の一覧のうちからいずれか1つを選択する。このスマートデバイス14における選択は例えばタッチパネル38Aを介して入力される。スマートデバイス14では、受付装置38は、タッチパネル38Aを介して候補物品の選択を受け付け、制御部46Aがいずれの候補物品を選択したかを商品提供装置12に送信する。商品提供装置12の特定処理部290は、スマートデバイス14から候補物品の選択を受け付ける。
【0063】
ステップS110では、3D画像生成部294が候補物品の複数視点の画像に基づいて、3D画像を生成する。
【0064】
ステップS112では、出力部296がスマートデバイス14の画像表示領域に、仮想店舗内での候補物品の3D画像を表示させる。具体的には、出力部296が、仮想店舗内に表示された3D画像をスマートデバイス14に送信し、スマートデバイス14の制御部46Aが、仮想店舗内に表示された3D画像を受信し、ディスプレイ40Aに仮想店舗内に表示された3D画像を表示させる。
【0065】
特定処理の基本的なステップは以上の通りである。
【0066】
なお、特定処理は、さらに出品者を呼び出すステップ、及びユーザと出品者とが、具体的には、ユーザを表すアバターと出品者を表すアバターとが仮想店舗200において対話するステップ、を含んでいてもよい。
【0067】
以上説明したように、商品提供装置12は、3D画像生成部294を備え、候補物品を3D画像化してユーザに提示するので、ユーザは候補物品を2D画像で見る場合と比較して、より実物を見るような感覚で確認することができる。ストレージには、2D画像を保存しておけばよく、商品毎にあらかじめ3D画像を保存しておく場合と比較して、保存のために必要な容量を抑制することができ、ストレージを圧迫せず、表示動作等が遅くなるのを抑制できる。
【0068】
なお、候補物品を一覧で表示し、ユーザがいずれか1つの候補物品を選択することにより、その候補物品について三次元画像化して表示するものとして説明したが、検索抽出部292が候補物品を1つに絞り、その候補物品の3D画像を生成し、出力するようにしてもよい。商品提供装置12はユーザが指定もしくは特定処理部290で抽出された候補物品をその都度3D画像化するので、上述の通り3D画像を保存する必要がない。
【0069】
また、3D画像生成部294が、複数視点の画像に加え、テキストの情報に基づいて、3D画像を生成する場合には、テキストの情報を用いない場合と比較してより実物に近い状態の3D画像が生成できる。
【0070】
また、3D画像生成部294が、物品の型番から検索された画像を複数視点の画像の1つとして用い、3D画像を得る場合には、出品者が提供した画像数よりも視点数を増やすことができるので、より実物に近い状態の3D画像が生成できる。
【0071】
なお、呼出処理部297及び対話処理部298を備え、ユーザの要請に基づいて、出品者と対話可能とするように構成されていれば、ユーザは出品者と候補物品についての問い合わせ、及び価格交渉などを直接行うことができ、ユーザの利便性が向上する。
【0072】
なお、スマートデバイス14として、スマートフォンを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。スマートデバイス14として、スマート眼鏡、タブレット型端末あるいはパーソナルコンピュータを用いてもよい。
【0073】
上記実施形態では、1台のコンピュータ22によって特定処理が行われる形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されず、コンピュータ22を含めた複数のコンピュータによる特定処理に対する分散処理が行われるようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、ストレージ32に特定処理プログラム56が格納されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、特定処理プログラム56がUSB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータにより読み取り可能な可搬型の非一時的格納媒体に格納されていてもよい。非一時的格納媒体に格納されている特定処理プログラム56は、商品提供装置12のコンピュータ22にインストールされる。プロセッサ28は、特定処理プログラム56に従って特定処理を実行する。
【0075】
また、ネットワーク54を介して商品提供装置12に接続されるサーバ等の格納装置に特定処理プログラム56を格納させておき、商品提供装置12の要求に応じて特定処理プログラム56がダウンロードされ、コンピュータ22にインストールされるようにしてもよい。
【0076】
なお、ネットワーク54を介して商品提供装置12に接続されるサーバ等の格納装置に特定処理プログラム56の全てを格納させておいたり、ストレージ32に特定処理プログラム56の全てを記憶させたりしておく必要はなく、特定処理プログラム56の一部を格納させておいてもよい。
【0077】
特定処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、特定処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで特定処理を実行する。
【0078】
特定処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、特定処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
【0079】
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、特定処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoC(System-on-a-chip)などに代表されるように、特定処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、特定処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
【0080】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の特定処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0081】
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【0082】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0083】
10 商品提供システム
12 商品提供装置
14 スマートデバイス
56 特定処理プログラム
58 データ生成モデル
290 特定処理部
291 入力部
292 検索抽出部
294 3D画像生成部
296 出力部
297 呼出処理部
298 対話処理部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5