(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014538
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/80 20210101AFI20250123BHJP
F04D 25/16 20060101ALI20250123BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20250123BHJP
F24F 1/0033 20190101ALI20250123BHJP
【FI】
F24F8/80 310
F04D25/16
F24F1/0022
F24F1/0033
F24F8/80 260
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117172
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宗村 勇武
(72)【発明者】
【氏名】阿部 利浩
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
(72)【発明者】
【氏名】入倉 義也
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB45
3H130AC11
3H130DD01X
3H130DJ06X
3H130EA06C
3H130ED02C
3L049BB08
3L049BD01
3L049BD05
(57)【要約】
【課題】高出力でありながら、コンパクトで静音性に優れた空調装置を提供すること。
【解決手段】空調装置100は、遠心ファン20とスクロールケーシング24を有するファンユニット2を複数備える。ファンユニット2は本体内の空気流方向に並んで配設される第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bを有し、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bは吹出口12の方向に空気の吐出口31、41を向け、かつ遠心ファン33、43の回転方向が反対となるように配設されている。これにより、ファンユニット2を空気流方向に並べて配設しても、上流側のファンユニットから吹き出された空気の流路が下流側のファンユニットによって狭くなることを回避することができるので、上流側のファンの送風経路を確保することができ、コンパクトかつ静音性に優れた空調装置となる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と吹出口を有する本体内に、
遠心ファンとこの遠心ファンが収容されるスクロールケーシングを有するファンユニットを複数備えた空調装置であって、
前記ファンユニットは、前記本体内の空気流方向に並んで配設される第1ファンユニットと第2ファンユニットを有し、
前記第1ファンユニットと前記第2ファンユニットは、前記吹出口の方向に空気の吐出口を向け、かつ前記遠心ファンの回転方向が反対となるように配設される空調装置。
【請求項2】
前記吹出口は前記本体の上面に設けられており、
前記第1ファンユニットの鉛直下方に前記第2ファンユニットが配置される請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
前記第1ファンユニットと前記第2ファンユニットは、前記遠心ファンの径の大きさが異なる請求項2記載の空調装置。
【請求項4】
吸気口と吹出口を有する本体内に、
遠心ファンとこの遠心ファンが収容されるスクロールケーシングを有する4つのファンユニットと、
回転軸の両端に前記ファンユニットが接続される2つのモータと、を備え
前記ファンユニットは、前記吹出口の方向に空気の吐出口を向けて配設され、
前記モータは、鉛直方向に並んで配置される上モータと下モータからなり、
前記上モータに接続される前記ファンユニットと、前記下モータに接続される前記ファンユニットは、前記遠心ファンの回転方向が反対となるように配設される空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ファンの回転により室内の空気を吸気口から取り入れ、吹出口より排出する空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空調装置においては、空気流を発生させるための送風手段として遠心ファンを用いたものが数多く提案されている。遠心ファンは、軸流ファンに比べて静音性に優れる特徴を有しているため、空気清浄機、加湿器、除湿機などの室内で使用される空調装置には好適である。
【0003】
また、近年ではこのような空調装置を広い空間で使用したいとの要望もあり、風量が大きい高出力タイプの需要も多くなっている。しかしながら、風量を上げるためにファンの径を大きくしたりファンの回転数を上げたりすると発生する騒音も大きくなってしまうため、静音性が損なわれることが問題となる。そのため、騒音の発生を抑制しつつ、高出力での運転を可能とする構造が望まれている。
【0004】
そこで、上述の問題を解決する方法として、ファンの数を増やした構成が提案されている。1つのファンの出力を大きくするのではなく、低出力のファンを複数個組み合わせることによって所望の出力が得られるように構成するのである。ファンを複数有していても騒音値が足し算されるわけではないため、結果として低出力のファンを組み合わせた方が騒音値を小さくすることができる。
【0005】
ファンを複数設けた場合の配置に関しては様々な例が提示されている。例えば特許文献1では、2つのファンをケーシングの向きを同じにして上下2段に並べ、かつそれぞれのファンに対して吹出口までの送風経路を確保するため奥行方向にずらして配置している。また、特許文献2では、2つのファンをケーシングの角度を変えて空気の吐出方向が重ならないようにして、上下2段に並べている。このように2個のファンを上下に配置することにより、1個の高出力ファンを使用するよりも騒音の発生を抑えることが可能になる。なお、いずれの例においても、ファンの回転方向は同じ方向になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-114302号公報
【特許文献2】国際公開2018/236122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の例においても課題は残されている。特許文献1のように奥行方向にずらした場合には、上下のファンのどちらも送風経路が確保されるので騒音の発生を効果的に抑制することができるが、ファンをずらして配置したぶん空調装置の外形が奥行方向に延びてしまうことになる。一方、特許文献2のようにファンの角度を変えて配置した場合には、空調装置の外形を小さくすることはできるが、下側のファンの送風経路が上側のファンによって狭くなってしまうため、狭くなった部分で流速が増加して騒音値が悪化する恐れがある。よって、小型化と静音性を両立させるファンの配置には改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、高出力でありながら、コンパクトで静音性に優れた空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、吸気口と吹出口を有する本体内に、
遠心ファンとこの遠心ファンが収容されるスクロールケーシングを有するファンユニットを複数備えた空調装置であって、
前記ファンユニットは、前記本体内の空気流方向に並んで配設される第1ファンユニットと第2ファンユニットを有し、
前記第1ファンユニットと前記第2ファンユニットは、前記吹出口の方向に空気の吐出口を向け、かつ前記遠心ファンの回転方向が反対となるように配設される空調装置である。
【0010】
また、本発明は、吸気口と吹出口を有する本体内に、
遠心ファンとこの遠心ファンが収容されるスクロールケーシングを有する4つのファンユニットと、
回転軸の両端に前記ファンユニットが接続される2つのモータと、を備え
前記ファンユニットは、前記吹出口の方向に空気の吐出口を向けて配設され、
前記モータは、鉛直方向に並んで配置される上モータと下モータからなり、
前記上モータに接続される前記ファンユニットと、前記下モータに接続される前記ファンユニットは、前記遠心ファンの回転方向が反対となるように配設される空調装置である。
【発明の効果】
【0011】
上述のように構成することにより、高出力でありながら、コンパクトで静音性に優れた空調装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】第1実施形態の空調装置の概略構成図である。
【
図4】第1実施形態の空調装置において、遠心ファンの回転方向と送風経路との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0014】
本発明は、遠心ファンとこの遠心ファンが収容されるスクロールケーシングを有するファンユニットを複数備えた空調装置であって、ファンユニットは本体内の空気流方向に並んで配設される第1ファンユニットと第2ファンユニットを有し、第1ファンユニットと第2ファンユニットは吹出口の方向に空気の吐出口を向け、かつ遠心ファンの回転方向が反対となるように配設されている。つまり、ファンの回転方向を反対にするために、第1ファンユニットと第2ファンユニットとではスクロールケーシングが反転した形状となる。これにより、第1ファンユニットと第2ファンユニットを空気流方向に並べて配設しても、上流側のファンユニットから吹き出された空気の流路が下流側のファンユニットによって狭くなることを回避することができる。よって、ファンユニットをずらして配置しなくても上流側のファンの送風経路を確保することができるので、コンパクトかつ静音性に優れた空調装置となる。
【0015】
また、吹出口は本体の上面に設けられており、第1ファンユニットの鉛直下方に第2ファンユニットが配置される。このように配置することで、第1ファンユニットおよび第2ファンユニットの送風経路は吹出口まで直線状に形成されることになるため、送風経路における騒音の発生がより効果的に抑えられ静音性を向上させることができる。
【0016】
また、第1ファンユニットと第2ファンユニットは、遠心ファンの径の大きさが異なる。これにより、それぞれの遠心ファンを回転させるモータの出力を同じにしても、遠心ファンの回転数を変えることができ、ファンが共振した場合にも振れ幅を抑えることができる。つまり、各モータの制御を個別に設定する必要がなく、シンプルな制御で共振による揺れを抑えて騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0017】
また、空調装置は、4つのファンユニットと、回転軸の両端にファンユニットが接続される2つのモータを備えており、モータは鉛直方向に並んで配置される上モータと下モータからなり、上モータに接続されるファンユニットと、下モータに接続されるファンユニットは、遠心ファンの回転方向が反対となるように配設される。これにより、モータを空気流方向に並べて配設しても、上流側のファンユニットから吹き出された空気の流路が下流側のファンユニットによって狭くなることを回避することができるため、ファンユニットをずらして配置しなくても上流側のファンの送風経路を確保することができる。よって、4つのファンユニットを備えた高出力の空調装置を、静音性に優れかつコンパクトに構成することができる。
【実施例0018】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、ファンユニットの一例を示す上面図であり、
図2はファンユニットの一例を示す断面図である。ファンユニット2は、遠心ファン20と、遠心ファン20を収容するスクロールケーシング24と、を備えて構成される。また、
図2に示すように、ファンユニット2には遠心ファン20を回転させる駆動モータ13が接続されている。
【0020】
本実施形態の遠心ファン20は、略円筒形状のいわゆるシロッコファンであり、駆動モータ13の回転軸14の軸方向に細長く形成された複数の翼片21が放射状に所定の間隔で配置されている。これら翼片21の一端(
図2における下端)は、円板22の外縁部分に取り付けられており、翼片21の他端(
図2における上端)は、環状の支持板23に取り付けられている。円板22は、中央で駆動モータ13の回転軸14に固定されており、駆動モータ13の駆動によって遠心ファン20が回転軸14を中心に回転する。
【0021】
スクロールケーシング24は、底板25と、遠心ファン2の外周を囲うように湾曲形成された周壁板26と、周壁板26を介して底板25と対向する上板27とから構成され、ファンユニット2の外部から空気を吸い込む吸込口28と、吸い込んだ空気をファンユニット2の外部に吐出する吐出口29とを有している。図では、駆動モータ13が底板25に固定される例を示したが、駆動モータ13は吸込口28側に取り付けられていてもよい。Rは遠心ファン20の回転方向を示しており、スクロールケーシング24の形状(吐出口29の設けられる方向)によって遠心ファン20の回転方向は所定方向に定められる。また、図中に一点鎖線で示した矢印は、スクロールケーシング24内での風の流れる向きを示しており、吸込口28から吸いこまれた空気は、遠心ファン20の内側から外側に向かって回転軸14と交差する方向に吹き出されたのち、周壁板26に沿って流れ吐出口29から吐出される。
【0022】
図3は、第1実施形態の空調装置の概略構成図である。空調装置100は、本体1内に空気を取り入れる吸気口11と、本体1外に空気を排出する吹出口12を備え、本体1の内部にはファンユニット2を複数備えて構成される。本実施形態において、空調装置100は2つのファンユニット2a、2bを備えている。なお、説明のため、ここではファンユニット2a、2b以外の構造は省略しているが、本体1内には空調装置100に必要とされるその他の構成を含んでいてもよい。例えば、空気浄化手段、加湿手段、除湿手段などはその一例である。
【0023】
2つのファンユニット2a、2bは、回転軸を同じ方向に向けて、吸気口11から吹出口12に至る本体1内の空気流方向に沿って並んで配置されている。
図3では、本体1内には白抜矢印で示すように鉛直方向下から上に向かう空気流が発生しており、その空気流に対して上流側・下流側の位置関係となるようにファンニット2a、2bが配置される。なお、吸気口11と吹出口12の配置は図に示す位置に限らないから、吸気口11と吹出口12の位置によっては本体1内の空気流方向は本実施形態と異なる場合もある。また、吸気口11と吹出口12は複数設けられていてもよい。
【0024】
並んで配置された2つのファンユニット2a、2bのうち、空気流方向の下流側が第1ファンユニット2a、上流側が第2ファンユニット2bである。本実施形態では、2つのファンユニット2a、2bは鉛直方向に並んで配置されているので、上側が第1ファンユニット2a、下側が第2ファンユニット2bとなる。なお、「鉛直方向に並んで配置される」とは、回転軸が鉛直方向の一直線上に配置される場合に限らない。少なくとも、本体1の上面視で一方の遠心ファンの回転軸が他方の遠心ファンの外形内に収まるように配置するのがよい。第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bは、本体1の吹出口11の方向に空気の吐出口31、41を向けた状態で配置されていて、第1ファンユニット2aの吐出口31から吹出口12までが第1送風経路32、第2ファンユニット2bの吐出口41から吹出口12までが第2送風経路42となる。
【0025】
図3において、第1ファンユニット2aの遠心ファン33の回転方向R1は時計回りであり、第2ファンユニット2bの遠心ファン43の回転方向R2は反時計回りである。すなわち、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bは、それぞれの遠心ファン33、34の回転方向が反対となるように配置されている。そのため、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bではスクロールケーシング34、44の左右が反転したような形状となっており、吐出口31、41の位置は上下方向において重ならない。この配置により、第2ファンユニット2bの送風経路である第2送風経路42が、第1ファンユニット2aによって狭くなってしまうことを回避できるため、送風経路での騒音の発生が抑えられる。つまり、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bを空気流方向に並べて配設しても騒音の発生を抑制できるので、空調装置をコンパクトに構成することが可能となる。
【0026】
次に、ファンユニット2の配置と送風経路の広さについて、図を用いて具体的に説明する。
図4は、第1実施形態の空調装置において、遠心ファンの回転方向と送風経路との関係を説明する図であって、(a)は本実施形態と同じく2つの遠心ファンの回転方向が異なる場合、(b)は従来の空調装置のように2つの遠心ファンの回転方向が同じ場合を示したものである。なお、
図4(a)と
図4(b)とでは、第1ファンユニット2aを左右反転させている点が相違するだけで、空調装置100の本体1やファンユニット2の形状そのものに違いはない。
【0027】
(a)と(b)の第1送風経路32の吹出口幅をW1a、W1b、第2送風経路42の吹出口幅をW2a、W2bとしてそれぞれ矢印で示した。第1送風経路32に関しては、W1aとW1bは同じである。一方、第2送風経路42を比べると、W2aよりもW2bの方が明らかに幅が狭くなっているのがわかる。遠心ファン33、43の回転方向が同じ(b)の場合は吐出口31、41が上下のファンユニットで干渉するため、上側の第1ファンユニット2aのスクロールケーシング34が下側の第2ファンユニット2bの送風経路の障害物となり経路幅が狭くなってしまう。これに対し、遠心ファン33、43の回転が反対の(a)の場合は上下のファンユニットの吐出口31、41が干渉しないため、上側の第1ファンユニット2aのスクロールケーシング34は下側の第2ファンユニット2bの送風経路にとっての障害物とならず経路幅を広く確保することができる。
【0028】
さらに、吹出口12を本体51の上面に設け、第1ファンユニット2aの鉛直下方に第2ファンユニット2bを配置すると、第1送風経路32と第2送風経路42が吹出口12まで直線状に形成されることになるため、送風経路における騒音の発生をより効果的に抑えることができる。
【0029】
また、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bで、遠心ファン33、43の径の大きさを異ならせてもよい。第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bにはそれぞれ別のモータが接続されるが、モータを複数備えている場合には共振が発生する恐れがある。しかしながら、ファンの回転数を異ならせることで共振による振れ幅を小さく抑えることができる。遠心ファン33、34の径の大きさが異なると、モータの出力を同じにしても遠心ファン33、34の回転数を変えることができるため、各モータの制御を個別に設定する必要がなく、シンプルな制御で共振による揺れを抑えて騒音の発生を抑制することが可能となる。
【0030】
以上に説明したように、空調装置100は、空気流方向に並んで配設される第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bを有し、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bは吹出口12の方向に空気の吐出口31、41を向け、スクロールケーシング34、44を反転した形状にすることで遠心ファン33、43の回転方向が反対となるように配設されている。これにより、第1ファンユニット2aと第2ファンユニット2bを空気流方向に並べて配設しても、上流側の第2ファンユニット2bから吹き出された空気の流路が下流側の第1ファンユニット2aによって狭くなることを回避することができる。よって、ファンユニット2をずらして配置しなくても上流側の送風経路を確保することができるので、コンパクトかつ静音性に優れた空調装置となる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図5、
図6、
図7を用いて説明する。
図5は、第2実施形態の空調装置の構成図であり、
図6は、第2実施形態の空調装置の断面図である。また、
図7は、送風部の断面図である。本実施形態におけるファンユニットの構造は第1実施形態と同じであるため詳しい説明を省略する。また、空調装置の例として空気清浄機を用いて説明する。
【0032】
空気清浄機200は、本体51の底部に空気を取り入れる吸気口511を有し、本体51の上面には取り入れた空気を本体51外に排出する吹出口512を備えている。これにより、本体51内には鉛直方向下から上に向かう空気流が形成される。
【0033】
空気清浄機200の内部には、空気流方向上流から順に、プレフィルタ52、電気集塵部53、集塵フィルタ54、脱臭フィルタ55、送風部56が設けられている。プレフィルタ52は、吸気口511から取り入れられた空気から比較的大きな塵埃を捕集するフィルタであり、例えばメッシュ状の部材などを用いることができる。電気集塵部53は、イオン化電極と集塵電極を交互に配置して構成されており、イオン化電極と集塵電極との間に電圧を印加することでプレフィルタ52を通過した物質を帯電させ、帯電した物質を集塵電極に捕集する。集塵フィルタ54は、電気集塵部53で捕集されなかった粒子や、ウィルスなどの微細な物質を捕集する。脱臭フィルタ55は、例えば活性炭繊維からなるシート状またはプリーツ状のフィルタであって、空気に含まれる臭い成分を吸着して空気を浄化する。送風部56は、複数のファンユニット501a、501bとモータ506a、506bを備えており、遠心ファン502の回転によって吸気口511から吹出口512にいたる空気流を発生させる。
【0034】
電気集塵部53には高い電圧が印加されるため、手などが触れてしまうと危険である。そのため、空気清浄機200に電源が投入されている状態で電気集塵部53に手が触れてしまうことがないよう、電気集塵部53は吸気口511から所定の距離Hを空けて配置されている。
【0035】
空気清浄機200は、電気集塵部53または集塵フィルタ54のどちらか一方のみを有する構成であっても構わない。なお、電気集塵部53と集塵フィルタ54を併用する上述の構成においては、空気の汚れレベルを検知するダストセンサー(図示せず)を設けて、ダストセンサーの検知状況に応じて電気集塵部53を作動させてもよい。つまり、汚れレベルが高いときに電気集塵部53を作動させて、電気集塵部53と集塵フィルタ54の双方で空気中の物質を捕集する。これにより、浄化能力を高めて素早く空気を浄化することができる。
【0036】
また、集塵部(電気集塵部53、集塵フィルタ54)の下流に送風部56が設けられていることで、塵埃が除去されたきれいな空気が送風部56を通過するから、送風部56への汚れの付着が抑制される。
【0037】
次に、送風部56についてさらに詳しく説明する。
【0038】
送風部56は、4つのファンユニット501a、501bと、2つのモータ506a、506bによって構成されている。モータは、回転軸の両端にファンユニットが接続される両軸モータであって、1つのモータとその両端に接続された2つのファンユニットで送風機ユニットU(U1、U2)が構成される。4つのファンユニット501a、501bを組み合わせることで、高出力での空気清浄運転を可能としつつ、遠心ファン502の回転によって発生する騒音値が抑えられる。
【0039】
ファンユニット501a、501bは、遠心ファン502と、遠心ファン502を収容するスクロールケーシング503と、を備えて構成されており、
図7に示すようにスクロールケーシング503に形成された空気の吸込口504が、モータ506a、506bと対向するように配置されている。図では空気の流れを矢印で示しているが、遠心ファン502の回転により本体51内に取り入れられた空気は、モータ506a、506bの周囲を通って吸込口504からファンユニット501a、501b内に流入し、この空気流によってモータ506a、506bが冷却される。
【0040】
送風機ユニットUは、モータ506aと2つのファンユニット501aからなる上部ユニットU1と、モータ506bと2つのファンユニット501bからなる下部ユニットU2を備えている。上部ユニットU1と下部ユニットU2は、モータ506a、506bの回転軸を本体の幅方向に延ばして、鉛直方向(高さ方向)に並んで配置されている。送風機ユニットUを高さ方向に並べることで、本体51の奥行を短くして設置面積を小さくすることができる。
【0041】
また、4つのファンユニット501a、501bのうち、モータ506aの両端に接続されて上部ユニットU1を構成するファンユニット501aが第1ファンユニット、モータ506bの両端に接続されて下部ユニットU2を構成するファンユニット501bが第2ファンユニットである。第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bは、本体51の吹出口512の方向に空気の吐出口505を向けた状態で配置されていて、第1ファンユニット501aの吐出口505から吹出口512までが第1送風経路32、第2ファンユニット501bの吐出口505から吹出口512までが第2送風経路42となる。
【0042】
図6では、第1ファンユニット501aの遠心ファン502の回転方向をR1、第2ファンユニット501bの遠心ファン502の回転方向をR2で示している。第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bは、それぞれの遠心ファン502の回転方向が反対となるように配置されている。そのため、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット502bではスクロールケーシング503の左右が反転したような形状となっており、吐出口505の位置は上下方向において重ならない。この配置により、第2ファンユニット501bの送風経路である第2送風経路42が、第1ファンユニット501aによって狭くなってしまうことを回避できるため、送風経路での騒音の発生が抑えられる。つまり、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bを上下に並べて配設しても騒音の発生を抑制できるので、本体51の奥行寸法が最小になり、空調装置をコンパクトに構成することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においても、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bで、遠心ファン502の径の大きさを異ならせてもよい。径の大きさが異なると、モータ506a、506bの出力を同じにしても遠心ファン52の回転数を変えることができるため、シンプルな制御で共振による振れ幅を小さく抑えることができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図8、
図9を用いて説明する。
図8は、第3実施形態の空調装置の構成図であり、
図9は、第3実施形態の空調装置の断面図である。本実施形態では、空調装置の例として空気清浄機を用いて説明する。なお、空気を浄化する手段は第2実施形態と同じであるが、本体内部における各部の配置が異なっている。
【0045】
空気清浄機300は、本体51の底部に空気を取り入れる吸気口511を有し、本体51の上面には取り入れた空気を本体51外に排出する吹出口512を備えている。これにより、本体51内には鉛直方向下から上に向かう空気流が形成される。
【0046】
空気清浄機300の内部には、空気流方向上流から順に、プレフィルタ52、送風部56、電気集塵部53、集塵フィルタ54、脱臭フィルタ55が設けられている。空気を浄化するプロセスは第2実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0047】
電気集塵部53は送風部56の下流に設けられており、吸気口511から所定の距離H(Hについては第2実施形態参照)以上離れて配置されている。したがって、実施形態2の空気清浄機200のように安全を確保するための距離Hを別途設ける必要がないため、本体51の高さを抑えることができる。
【0048】
送風部56は、4つのファンユニット501a、501bと、2つのモータ506a、506bによって構成されている。モータは、回転軸の両端にファンユニットが接続される両軸モータであって、1つのモータとその両端に接続された2つのファンユニットで送風機ユニットU(U1、U2)が構成される。4つのファンユニット501a、501bを組み合わせることで、高出力での空気清浄運転を可能としつつ、遠心ファン502の回転によって発生する騒音値が抑えられる。
【0049】
送風機ユニットUは、モータ506aと2つのファンユニット501aからなる上部ユニットU1と、モータ506bと2つのファンユニット501bからなる下部ユニットU2を備えている。上部ユニットU1と下部ユニットU2は、モータ506a、506bの回転軸を本体の幅方向に延ばして、鉛直方向(高さ方向)に並んで配置されている。送風機ユニットUを高さ方向に並べることで、本体51の奥行を短くして設置面積を小さくすることができる。
【0050】
また、4つのファンユニット501a、501bのうち、モータ506aの両端に接続されて上部ユニットU1を構成するファンユニット501aが第1ファンユニット、モータ506bの両端に接続されて下部ユニットU2を構成するファンユニット501bが第2ファンユニットである。第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bは、本体51の吹出口512の方向に空気の吐出口505を向けた状態で配置されていて、第1ファンユニット501aの吐出口505から吹出口512までが第1送風経路32、第2ファンユニット501bの吐出口505から吹出口512までが第2送風経路42となる。
【0051】
図9では、第1ファンユニット501aの遠心ファン502の回転方向をR1、第2ファンユニット501bの遠心ファン502の回転方向をR2で示している。第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bは、それぞれの遠心ファン502の回転方向が反対となるように配置されている。そのため、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット502bではスクロールケーシング503の左右が反転したような形状となっており、吐出口505の位置は上下方向において重ならない。この配置により、第2ファンユニット501bの送風経路である第2送風経路42が、第1ファンユニット501aによって狭くなってしまうことを回避できるため、送風経路での騒音の発生が抑えられる。つまり、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bを上下に並べて配設しても騒音の発生を抑制できるので、本体51の奥行寸法が最小になり、空調装置をコンパクトに構成することが可能となる。
【0052】
また、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bで、遠心ファン502の径の大きさを異ならせてもよい。径の大きさが異なると、モータ506a、506bの出力を同じにしても遠心ファン52の回転数を変えることができるため、シンプルな制御で共振による振れ幅を小さく抑えることができる。
【0053】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について
図10、
図11を用いて説明する。
図10は、第4実施形態の空調装置の構成図であり、
図11は、第4実施形態の空調装置の断面図である。本実施形態においても空調装置の例として空気清浄機を用いて説明する。
【0054】
空気清浄機400は、本体51の背面に空気を取り入れる吸気口511を有し、本体51の上面には取り入れた空気を本体51外に排出する吹出口512を備えている。
【0055】
空気清浄機400の内部には、吸気口511に近い方から順に、プレフィルタ52、集塵フィルタ54、脱臭フィルタ55、送風部56が設けられている。本体51の背面に吸気口511を設けることで、吸気口511の面積を大きくとることができるため、集塵フィルタ54の捕集面積も大きくすることができる。そのため、本実施形態では電気集塵部を設けていないが、集塵フィルタの54面積を大きくすることで捕集能力を高めることができる。この場合、集塵フィルタ54としては、例えばHEPAフィルタを用いることができる。
【0056】
送風部56は、4つのファンユニット501a、501bと、2つのモータ506a、506bによって構成されている。モータは、回転軸の両端にファンユニットが接続される両軸モータであって、1つのモータとその両端に接続された2つのファンユニットで送風機ユニットU(U1、U2)が構成される。4つのファンユニット501a、501bを組み合わせることで、高出力での空気清浄運転を可能としつつ、遠心ファン502の回転によって発生する騒音値が抑えられる。
【0057】
送風機ユニットUは、モータ506aと2つのファンユニット501aからなる上部ユニットU1と、モータ506bと2つのファンユニット501bからなる下部ユニットU2を備えている。上部ユニットU1と下部ユニットU2は、モータ506a、506bの回転軸を本体の幅方向に延ばして、鉛直方向(高さ方向)に並んで配置されている。送風機ユニットUを高さ方向に並べることで、本体51の奥行を短くして設置面積を小さくすることができる。
【0058】
また、4つのファンユニット501a、501bのうち、モータ506aの両端に接続されて上部ユニットU1を構成するファンユニット501aが第1ファンユニット、モータ506bの両端に接続されて下部ユニットU2を構成するファンユニット501bが第2ファンユニットである。第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bは、本体51の吹出口512の方向に空気の吐出口505を向けた状態で配置されていて、第1ファンユニット501aの吐出口505から吹出口512までが第1送風経路32、第2ファンユニット501bの吐出口505から吹出口512までが第2送風経路42となる。
【0059】
図11では、第1ファンユニット501aの遠心ファン502の回転方向をR1、第2ファンユニット501bの遠心ファン502の回転方向をR2で示している。第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bは、それぞれの遠心ファン502の回転方向が反対となるように配置されている。そのため、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット502bではスクロールケーシング503の左右が反転したような形状となっており、吐出口505の位置は上下方向において重ならない。この配置により、第2ファンユニット501bの送風経路である第2送風経路42が、第1ファンユニット501aによって狭くなってしまうことを回避できるため、送風経路での騒音の発生が抑えられる。つまり、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bを上下に並べて配設しても騒音の発生を抑制できるので、本体51の奥行寸法が最小になり、空調装置をコンパクトに構成することが可能となる。
【0060】
また、第1ファンユニット501aと第2ファンユニット501bで、遠心ファン502の径の大きさを異ならせてもよい。径の大きさが異なると、モータ506a、506bの出力を同じにしても遠心ファン52の回転数を変えることができるため、シンプルな制御で共振による振れ幅を小さく抑えることができる。
【0061】
以上に説明したように、空調装置の一例である空気清浄機200、300、400は、4つのファンユニット501a、501bと、回転軸の両端にファンユニットが接続される2つのモータ506a、506bを備えており、鉛直方向上側のモータ506aに接続される第1ファンユニット501aと、下側のモータ506bに接続される第2ファンユニット501bは、遠心ファン502の回転方向が反対となるように配設される。これにより、モータ506aと506bを空気流方向に並べて配設しても、第2ファンユニット501bから吹き出された空気の流路が第1ファンユニット501aによって狭くなることを回避することができるため、ファンユニット501aと501bをずらして配置しなくても上流側の送風経路を確保することができる。よって、4つのファンユニットを備えた高出力の空調装置を、静音性に優れかつコンパクトに構成することができる。