(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025145658
(43)【公開日】2025-10-03
(54)【発明の名称】シャフト連結構造
(51)【国際特許分類】
F16D 1/02 20060101AFI20250926BHJP
【FI】
F16D1/02 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045951
(22)【出願日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】石川 智也
(57)【要約】
【課題】シャフト連結部の旋回半径を縮小でき、シャフト連結部の実質的な占有スペースを省スペースとすることができるシャフト連結構造を提供する。
【解決手段】シャフト連結構造は、二つのシャフトと、仲介パイプ25と、拘束パイプ40と、を備えている。仲介パイプ25は、軸方向に沿うスリット26a,26bを有し、かつ、一方のシャフトと他方のシャフトの各端部の外周面に跨って被着される。拘束パイプ40は、仲介パイプ25の外周面に圧入嵌合されて、仲介パイプ25を径方向外側から拘束する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのシャフトの端部同士を連結するシャフト連結構造であって、
二つの前記シャフトと、
軸方向に沿うスリットを有し、かつ、一方の前記シャフトと他方の前記シャフトの各端部の外周面に跨って被着される仲介パイプと、
前記仲介パイプの外周面に圧入嵌合されて、前記仲介パイプを径方向外側から拘束する拘束パイプと、
を備えていることを特徴とするシャフト連結構造。
【請求項2】
二つの前記シャフトの端部の外周面と前記仲介パイプの内周面には、両者の相対回転を規制する回転規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシャフト連結構造。
【請求項3】
前記回転規制部は、各前記シャフトの外周面に形成された雄セレーションと、前記仲介パイプの内周面に形成された雌セレーションと、によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載のシャフト連結構造。
【請求項4】
前記仲介パイプは、軸方向の一端側寄りの一方の前記シャフトが嵌入される領域と、軸方向の他端側寄りの他方の前記シャフトが嵌入される領域に夫々前記スリットが形成されるとともに、二つの当該スリットの間にスリットの無い連結壁部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャフト連結構造。
【請求項5】
前記仲介パイプの外周面の前記スリットを間に挟む周方向の両縁部には、前記スリットの延出方向に沿うように面取部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャフト連結構造。
【請求項6】
前記仲介パイプは、軸方向の一端側の領域の外径が軸方向の他端側の領域の外径よりも大径に形成され、
前記拘束パイプは、軸方向の前記一端側の領域の内径が軸方向の前記他端側の領域の内径よりも大径に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシャフト連結構造。
【請求項7】
前記仲介パイプの前記一端側の端部には、前記拘束パイプの前記一端側の端面に当接可能な規制フランジが設けられていることを特徴とする請求項6に記載のシャフト連結構造。
【請求項8】
二つのシャフトの端部同士を連結するシャフト連結構造であって、
二つの前記シャフトと、
一方の前記シャフトの端部に一体に設けられ、軸方向に沿うスリットを有するとともに、他方の前記シャフトの端部の外周面に被着される仲介パイプ部と、
前記仲介パイプ部の外周面に圧入嵌合されて、前記仲介パイプ部を径方向外側から拘束する拘束パイプと、
を備えていることを特徴とするシャフト連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のステアリング装置等のシャフト連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリング装置では、車室内に配置されるステアリングシャフトと、車室の前方のエンジンルームに配置されるステアリングギヤボックスが、複数のユニバーサルジョイントと連結シャフトを介して回動伝達可能に連結されている。連結シャフトは、運転席の前方のダッシュロアパネルの近傍の狭いスペースに配置される。このため、狭いスペースでの組付け作業性を高めるために、連結シャフトをステアリングシャフト側に連結される第1シャフトと、ステアリングギヤボックス側に連結される第2シャフトに分割し、両シャフトを運転席側とエンジンルーム側の対応部品に連結した後に、シャフトの端部同士を、ジョイント部材を介して相互に連結することがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシャフト連結構造は、以下の構成のジョイント部材を採用している。
即ち、ジョイント部材は、第1シャフトと第2シャフトの各先端部が挿入される断面が略C字状の筒状部と、筒状部のC字の開口端から径方向外側に延出する一対のフランジ壁と、を備えている。筒状部の内周面には、雌セレーションが形成され、一対のフランジ壁には、両者を近接方向に締め込み可能な締結部材が設けられている。
【0004】
第1シャフトと第2シャフトの各外周面には雄セレーションが形成されている。第1シャフトと第2シャフトの各先端部は、ジョイント部材の筒状部に軸方向の両側から挿入され、各シャフトの外周面の雄セレーションが筒状部の雌セレーションに係合される。この状態において、ジョイント部材の締結部材が締め込まれると、一対のフランジ壁の離間距離が狭まることで筒状部の内径が縮径し、筒状部の雌セレーションが各シャフトの雄セレーションに強固に噛合される。この結果、第1シャフトと第2シャフトは、ジョイント部材によって回転伝達可能に連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のシャフト連結構造で採用するジョイント部材は、断面略C字状の筒状部の端部に一対のフランジ壁が径方向外側に向かって突出している。このため、連結する二つのシャフトが使用時に回転すると、ジョイント部材のフランジ壁が大きな半径軌道で旋回することになる。この結果、シャフト連結部の実質的な占有スペースが増大してしまう。このため、現在この点の改善が望まれている。
【0007】
そこで本発明は、シャフト連結部の旋回半径を縮小できるシャフト連結構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシャフト連結構造は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の一態様に係るシャフト連結構造は、二つのシャフトの端部同士を連結するシャフト連結構造であって、二つの前記シャフトと、軸方向に沿うスリットを有し、かつ、一方の前記シャフトと他方の前記シャフトの各端部の外周面に跨って被着される仲介パイプと、前記仲介パイプの外周面に圧入嵌合されて、前記仲介パイプを径方向外側から拘束する拘束パイプと、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本態様のシャフト連結構造によって二つのシャフトを連結する場合には、二つのシャフトの外周面に、両者に跨るように仲介パイプを被着する。次に、この状態において、仲介パイプの外周方向に拘束パイプを移動させて、拘束パイプを仲介パイプの外周面に圧入嵌合する。こうして、拘束パイプを仲介パイプの外周面に圧入嵌合すると、仲介パイプが拘束パイプによって径方向内側に押圧されてスリットの幅を狭めるように縮径する。この結果、仲介パイプの内周面が二つのシャフトの外周面に強固に押し付けられ、二つのシャフトが回動伝達可能に連結される。
【0010】
二つの前記シャフトの端部の外周面と前記仲介パイプの内周面には、両者の相対回転を規制する回転規制部が設けられることが望ましい。
【0011】
この場合、二つのシャフトと仲介パイプが回転規制部によって回転を規制された状態で、仲介パイプが拘束パイプによって径方向内側に押圧される。この結果、仲介パイプと二つのシャフトの相対回転が確実に規制された状態で二つのシャフトが連結されることになる。
【0012】
前記回転規制部は、各前記シャフトの外周面に形成された雄セレーションと、前記仲介パイプの内周面に形成された雌セレーションと、によって構成されることがより望ましい。
【0013】
この場合、各シャフトの外周面の雄セレーションと仲介パイプの内周面の雌セレーションの噛合いによって、より強固に各シャフトと仲介パイプの相対回転を規制することが可能になる。
【0014】
前記仲介パイプは、軸方向の一端側寄りの一方の前記シャフトが嵌入される領域と、軸方向の他端側寄りの他方の前記シャフトが嵌入される領域に夫々前記スリットが形成されるとともに、二つの当該スリットの間にスリットの無い連結壁部が設けられるようにしても良い。
【0015】
この場合、仲介パイプは、スリットよる周方向の分離部が両スリット間の連結壁部によって連結される。このため、仲介パイプをシャフトに組み付ける前の状態において、仲介パイプがスリットを挟んで軸方向や径方向、捩れ方向に撓み変形しにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、仲介パイプを二つのシャフトに対して容易に、かつ、適正位置に組み付けることが可能になる。
【0016】
前記仲介パイプの外周面の前記スリットを間に挟む周方向の両縁部には、前記スリットの延出方向に沿うように面取部が設けられるようにしても良い。
【0017】
この場合、仲介パイプの外周面に拘束パイプが圧入嵌合されることで、仲介パイプがスリットの間隔を狭めるように変形する際に、仲介パイプのスリットの近傍の変形が拘束パイプの内周面との接触抵抗によって拘束されにくくなる。つまり、本構成の場合、面取部のある部分は拘束パイプの内周面に接触しないため、仲介パイプはスリットの近傍で拘束パイプの内周面に接触しなくなる。したがって、本構成を採用した場合には、仲介パイプに対する拘束パイプの圧入嵌合が容易になり、シャフトの連結作業性が良好になる。
【0018】
前記仲介パイプは、軸方向の一端側の領域の外径が軸方向の他端側の領域の外径よりも大径に形成され、前記拘束パイプは、軸方向の前記一端側の領域の内径が軸方向の前記他端側の領域の内径よりも大径に形成されるようにしても良い。
【0019】
この場合、拘束パイプを仲介パイプの外周面に圧入嵌合する際に、拘束パイプを仲介パイプに対して他端側から一端側に向けて移動させると、拘束パイプの一端側の大径の内径部分がほぼ非接触状態で仲介パイプの他端側の小径の外径部分を通過する。そして、拘束パイプをある程度移動させると、拘束パイプの一端側の大径の内径部分が仲介パイプの一端側の大径部分に強固に接触係合されるようになる。また、このとき同時に拘束パイプの他端側の小径の内径部分が仲介パイプの他端側の小径部分に強固に接触係合されるようになる。したがって、本構成を採用した場合には、組付け時に拘束パイプを仲介パイプに容易に圧入嵌合させることが可能になる。
【0020】
前記仲介パイプの前記一端側の端部には、前記拘束パイプの前記一端側の端面に当接可能な規制フランジが設けられるようにしても良い。
【0021】
この場合、拘束パイプを仲介パイプに対して他端側から一端側に向けて移動させて圧入嵌合させる際に、拘束パイプの一端側の端面が仲介パイプの規制フランジに当接することにより、拘束パイプが適正な嵌合位置で停止するようになる。したがって、本構成を採用した場合には、拘束パイプと仲介パイプの嵌合位置を適正な位置に規制することが可能になる。
【0022】
本発明の他の態様に係るシャフト連結構造は、二つのシャフトの端部同士を連結するシャフト連結構造であって、二つの前記シャフトと、一方の前記シャフトの端部に一体に設けられ、軸方向に沿うスリットを有するとともに、他方の前記シャフトの端部の外周面に被着される仲介パイプ部と、前記仲介パイプ部の外周面に圧入嵌合されて、前記仲介パイプ部を径方向外側から拘束する拘束パイプと、を備えていることを特徴とする。
【0023】
本態様のシャフト連結構造によって二つのシャフトを連結する場合には、一方のシャフトに設けられた仲介パイプ部を、他方のシャフトの端部の外周面に被着する。次に、この状態において、仲介パイプ部の外周方向に拘束パイプを移動させて、拘束パイプを仲介パイプ部の外周面に圧入嵌合する。こうして、拘束パイプを仲介パイプ部の外周面に圧入嵌合すると、仲介パイプ部が拘束パイプによって径方向内側に押圧されてスリットの幅を狭めるように縮径する。この結果、仲介パイプ部の内周面が他方のシャフトの外周面に強固に押し付けられ、二つのシャフトが回動伝達可能に連結される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、拘束パイプが仲介パイプ若しくは仲介パイプ部の外周面に圧入嵌合されることにより、二つのシャフトが仲介パイプ若しくは仲介パイプ部を介して強固に連結されるようになる。したがって、本発明に係るシャフト連結構造を採用した場合には、シャフト連結部の旋回半径を縮小でき、シャフト連結部の実質的な占有スペースを省スペースとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態のシャフト連結構造を採用したステアリング装置の側面図。
【
図2】第1実施形態のシャフト連結部を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態のシャフト連結部の分解斜視図。
【
図5】第1実施形態の
図4のV矢視に対応する仲介パイプの端面図。
【
図6】第2実施形態のシャフト連結部の分解側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の共通機能部分には同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態のシャフト連結構造を採用した車両のステアリング装置1の側面図である。
ステアリング装置1は、車室7内の図示しないステアリングホイールに連結されるステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2にユニバーサルジョイント3を介して連結される中継シャフトユニット4と、中継シャフトユニット4に別のユニバーサルジョイント5を介して連結されるステアリングギヤボックス6と、ステアリングギヤボックス6の出力を左右の前輪に伝達する図示しないタイロッドと、を備えている。
【0028】
本実施形態のステアリング装置1は、所謂ステア・バイ・ワイヤー方式の電動式のステアリング装置である。ステアリング装置1は、電装系の故障等の緊急時に備えてフェイルセーフ機構を備えている。フェイルセーフ機構は、中継シャフトユニット4によって構成されている。中継シャフトユニット4は、中途部に電磁クラッチ15が設けられており、通常の運転時には電磁クラッチ15によってステアリングシャフト2からステアリングギヤボックス6への直接的な動力伝達が遮断されている。そして、緊急時には、電磁クラッチ15が動力伝達可能な状態に切り換えられ、ステアリングシャフト2からステアリングギヤボックス6への機械的な動力伝達が可能となる。
【0029】
ステアリングシャフト2は、車室7内において、ステアリングコラム8に回動自在に支持されている。ステアリングギヤボックス6は、車室7の前方のフロントコンパートメント9内に配置されている。フロントコンパートメント9内には、ステアリングギヤボックス6の他に、モータやエンジン等の車両の駆動装置やサスペンション装置等が収容されている。車室7とフロントコンパートメント9の間は、ダッシュロアパネル10によって仕切られている。
【0030】
中継シャフトユニット4は、アッパシャフトアッシー11と、ロアシャフトアッシー13と、を備えている。アッパシャフトアッシー11は、一端部がユニバーサルジョイント3を介してステアリングシャフト2に連結されている。ロアシャフトアッシー13は、一端部がアッパシャフトアッシー11に連結され、他端部がユニバーサルジョイント5を介してステアリングギヤボックス6の入力シャフト12に連結されている。アッパシャフトアッシー11とロアシャフトアッシー13は、セレーション嵌合と締結部材による締め込み等によって一体回転可能に連結されている。
【0031】
アッパシャフトアッシー11は、上述した電磁クラッチ15と、電磁クラッチ15内の断接機構の入力側に接続されたクラッチ入力シャフト14と、電磁クラッチ15内の断接機構の出力側に接続されたクラッチ出力シャフト16、を備えている。クラッチ入力シャフト14の電磁クラッチ15から突出した側の端部には、ユニバーサルジョイント3が設けられている。クラッチ出力シャフト16は、同軸に配置された第1シャフト17及び第2シャフト18と、両シャフト17,18を連結するジョイント部材19と、を備えている。電磁クラッチ15内の断接機構の出力側は、第1シャフト17に一体回転可能に連結されている。
【0032】
ロアシャフトアッシー13は、一端部がアッパシャトアッシー11の第2シャフト18の端部に一体回転可能に連結されるアウタチューブ20と、アウタチューブ20の他端部に嵌合状態で連結された出力シャフト21と、を備えている。アウタチューブ20と出力シャフト21は、一体回転可能に連結されているが、軸方向に衝撃荷重が入力されたときに、出力シャフト21がアウタチューブ20の内部に没入する。ロアシャフトアッシー13は、このときの摩擦抵抗等によって入力された衝撃荷重のエネルギーを吸収する。出力シャフト21のアウタチューブ20と逆側の端部にはユニバーサルジョイント5が設けられている。
【0033】
ダッシュロアパネル10には、アッパシャフトアッシー11のクラッチ出力シャフト16が挿通される貫通孔22が設けられている。本実施形態では、アッパシャフトアッシー11の電磁クラッチ15の主要部が車室7内に配置され、電磁クラッチ15の一部とクラッチ出力シャフト16が貫通孔22を通してフロントコンパートメント9側に突出している。中継シャフトユニット4は、
図1に示すように、車両の前方側(
図1の左側)に向かって下方に傾斜するように車両に設置されている。
【0034】
図2は、第1シャフト17と第2シャフト18の連結部(シャフト連結部)を示す斜視図であり、
図3は、この連結部(シャフト連結部)の分解斜視図である。
図3に示すように、第1シャフト17の端部の外周面には、雄セレーション23が形成されている。雄セレーション23は、環状溝24を挟んで第1シャフト17の軸方向に離間した領域に形成されている。また、第2シャフト18の一端部側(第1シャフト17に連結される側)の端部の外周面には、同様の雄セレーション30が形成されている。雄セレーション30は、環状溝31を挟んで第2シャフト18の軸方向に離間した領域に形成されている。
なお、第2シャフト18の他端部側の外周面にも、同様の雄セレーション32が形成されている。この雄セレーション32は、
図1に示すアウタチューブ20(ロアシャフトアッシー13)に一体回転可能に連結するためのものである。アウタチューブ20の内周面には図示しない雌セレーションが形成されており、第2シャフト18の他端部側の雄セレーション32はこの雌セレーションに噛合される。
【0035】
図3に示すように、ジョイント部材19は、第1シャフト17と第2シャフト18の各端部の外周面に跨って被着される仲介パイプ25と、仲介パイプ25の外周面に圧入嵌合される拘束パイプ40と、を備えている。仲介パイプ25は、例えば、アルミニウム合金等の金属によって形成されている。拘束パイプ40は、例えば、鉄やアルミニウム合金等の金属によって形成されている。仲介パイプ25と拘束パイプ40を構成する素材は、これに限定されるものではない。
【0036】
図4は、仲介パイプ25の斜視図であり、
図5は、
図4のV矢視に対応する仲介パイプ25の端面図である。なお、仲介パイプ25については、説明の便宜上、第2シャフト18に連結される側を「前」と称し、第1シャフト17に連結される側を「後」と称することがある。
仲介パイプ25は、全体が略円筒状に形成され、周壁に軸方向に沿うように一対のスリット26a,26bが形成されている。一対のスリット26a,26bは、仲介パイプ25の周壁の同一周上位置から軸方向の内側に向かって延出している。仲介パイプ25の周壁の一対のスリット26a,26bの間には、スリットの無い連結壁部27が設けられている。連結壁部27は、仲介パイプ25の軸方向の略中央位置に設けられている。
【0037】
仲介パイプ25の内周面には、雌セレーション33が形成されている。雌セレーション33は、仲介パイプ25の内周面の軸方向の一端側から他端側に向かって連続して形成されている。ただし、雌セレーション33は、仲介パイプ25の内周面の軸方向の一端側領域と他端側領域に分離して形成するようにしても良い。仲介パイプ25の内周面には、軸方向の両側から第1シャフト17と第2シャフト18の各先端部が挿入される。このとき、第1シャフト17と第2シャフトの各外周面の雄セレーション23,30が仲介パイプ25の内周面の雌セレーション33に係合される。仲介パイプ25のスリット26a,26bは、仲介パイプ25の周壁のうちの、少なくとも第1シャフト17と第2シャフトが挿入される領域に形成されている。
本実施形態では、第1シャフト17及び第2シャフト18の各雄セレーション23,30と、この各雄セレーション23,30に係合される仲介パイプ25の雌セレーション33が、両者の相対回転を規制する回転規制部を構成している。
【0038】
また、仲介パイプ25の周壁は、軸方向の一端側(後端側)の領域の外径が軸方向の他端側(前端側)の領域の外径よりも大径に形成されている。以下では、仲介パイプ25の一端側のこの外径の大きい領域を「大径部25a」と称し、他端側の外径が相対的に小さい領域を「小径部25b」と称する。仲介パイプ25の大径部25aと小径部25bの間は、小径部25bよりも若干外径の大きい(外径は大径部25aよりも小さい。)中径部25cと、中径部25cの後端部と大径部25aの間を接続するテーパ部25dが設けられている。テーパ部25dは、その外径が中径部25c側から大径部25a側に向かって漸増している。
【0039】
仲介パイプ25の大径部25aの軸方向の端部(後端部)には、径方向外側に向かって張り出す規制フランジ28が形成されている。この規制フランジ28は、後述する拘束パイプ40の圧入位置を一定位置に規制する。
【0040】
また、仲介パイプ25の外周面のうちの、スリット26a,26bを間に挟む周方向の両縁部には、平坦な面取部34a,34bが設けられている。各面取部34a,34bは、仲介パイプ25の各スリット26a,26bに沿うように形成されている。一方のスリット26aの周方向の両縁部に形成される面取部34aと、他方のスリット26bの周方向の両縁部に形成される面取部34bは、
図5に示すように夫々仲介パイプ25の外面の一部をD字状にカットした形状とされている。したがって、これらの面取部34a,34bは、仲介パイプ25の外周面に後述する拘束パイプ40が圧入嵌合されたときに、拘束パイプ40の内周面が接触しなくなる。
【0041】
拘束パイプ40は、全体が略円筒状に形成されている。拘束パイプ40の軸方向の軸長は、仲介パイプ25の軸長とほぼ同長さに設定されている。また、拘束パイプ40は、軸方向の一端側(後端側)の領域の内径が軸方向の他端側(前端側)の領域の内径よりも大径に形成されている。拘束パイプ40の軸方向の一端側(後端側)の領域の内径は、仲介パイプ25の大径部25aの外径よりも僅かに小さい内径とされている。同様に、拘束パイプ40の軸方向の他端側(前端側)の領域の内径は、仲介パイプ25の小径部25bの外径よりも僅かに小さい内径とされている。なお、拘束パイプ40のうちの、一端側の内径が大径である部分と他端側の内径が小径である部分の間は、一端側の内径が大径である部分の内径よりも小径に形成されている。
【0042】
つづいて、第1シャフト17と第2シャフト18の連結方法について説明する。
第1シャフト17は、予め電磁クラッチ15の本体部に組み付けておく。
この状態において、第1シャフト17と第2シャフト18の先端部同士が向かい合うようにして連結の準備をする。
【0043】
この後、仲介パイプ25の内周面に、軸方向の両側から第1シャフト17と第2シャフト18の各端部を挿入する。これにより、仲介パイプ25は、第1シャフト17と第2シャフト18の端部に跨るようにこれらのシャフトに被着され、内周面側の雌セレーション33が第1シャフト17と第2シャフト18の各雄セレーション23,30に係合されることになる。
【0044】
次に、拘束パイプ40を第2シャフト18の外周側から仲介パイプ25の外周面方向に移動させる。このとき、拘束パイプ40の軸方向の一端側の内径は、仲介パイプ25の軸方向の他端側の外径よりも小さく設定されているため、拘束パイプ40は仲介パイプ25と軸方向である程度重なる位置までは、ほぼ抵抗なく挿入することができる。そして、拘束パイプ40がある位置まで軸方向に移動すると、拘束パイプ40の軸方向の一端側の大内径領域が仲介パイプ25の大径部25aに嵌合され、かつ、軸方向の他端側の小内径領域が仲介パイプ25の小径部25bに嵌合されるようになる。
【0045】
このまま仲介パイプ25に対する拘束パイプ40の圧入を続けると、仲介パイプ25が拘束パイプ40によって径方向内側に押圧され、仲介パイプ25は、各スリット26a,26bの幅を狭めるように縮径する。この結果、仲介パイプ25の雌セレーション33が第1シャフト17と第2シャフト18の各雄セレーション23,30に強固に噛合されることになる。
【0046】
また、仲介パイプ25に対する拘束パイプ40の圧入がある位置まで進むと、拘束パイプ40の軸方向の一端側の端面が仲介パイプ25の端部の規制フランジ28に当接する。仲介パイプ25に対する拘束パイプ40の圧入は、この時点で終了する。
【0047】
以上のように、本実施形態のシャフト連結構造は、拘束パイプ40を仲介パイプ25の外周面に圧入嵌合することにより、第1シャフト17と第2シャフト18を、仲介パイプ25を介して強固に連結することができる。このため、シャフト連結部が径方向外側に大きく突出しなくなる。したがって、本実施形態のシャフト連結構造を採用した場合には、シャフト連結部の旋回半径を縮小でき、シャフト連結部の実質的な占有スペースを省スペースとすることができる。
【0048】
また、本実施形態のシャフト連結構造は、第1シャフト17と第2シャフト18の各外周面と仲介パイプ25の内周面に、両者の相対回転を規制する回転規制部(雄セレーション23,30及び雌セレーション33)が設けられている。このため、本構成を採用した場合には、仲介パイプ25と両シャフトの相対回転をより確実に規制した状態で、第1シャフト17と第2シャフト18を連結することが可能になる。
【0049】
特に、本実施形態のシャフト連結構造では、両シャフトの外周面に形成された雄セレーション23,30と、仲介パイプ25の内周面に形成された雌セレーション33によって回転規制部が構成されている。この構成を採用した場合には、両シャフトの外周面の雄セレーション23,30と仲介パイプ25の内周面の雌セレーション33の噛み合いによって、より強固に両シャフトと仲介パイプ25の相対回転を規制することが可能になる。
【0050】
また、本実施形態のシャフト連結構造では、仲介パイプ25の軸方向の一端側の第1シャフト17が嵌入される領域と、軸方向の他端側の第2シャフト18が嵌入される領域に夫々スリット26a,26bが形成され、二つのスリット26a,26bの間にスリットの無い連結壁部27が設けられている。このため、仲介パイプ25を両シャフトに組み付ける前の状態において、仲介パイプ25がスリット26a,26bを挟んで軸方向や径方向、捩れ方向に撓み変形するのを連結壁部27によって抑制することができる。したがって、本構成を採用した場合には、仲介パイプ25を二つのシャフトに対して容易に、かつ、適正位置に組み付けることが可能になる。
【0051】
さらに、本実施形態のシャフト連結構造は、仲介パイプ25の外周面のスリット26a,26bを間に挟む周方向の両縁部に、スリット26a,26bの延出方向に沿うように面取部34a,34bが設けられている。このため、仲介パイプ25の外周面に拘束パイプ40が圧入嵌合されるときに、仲介パイプ25のスリット26a,26bの近傍部(面取部34a,34b)が拘束パイプ40の内周面に接触しなくなる。このため、拘束パイプ40の圧入によって仲介パイプ25が縮径変形する際に、その変形が拘束パイプ40の内周面との間の摩擦抵抗によって妨げられにくくなる。したがって、本構成を採用した場合には、仲介パイプ25に対する拘束パイプ40の圧入嵌合が容易になり、両シャフトの連結作業性が良好になる。
【0052】
また、本実施形態のシャフト連結構造では、仲介パイプ25の軸方向の一端側(後端側)領域の外径が軸方向の他端側(前端側)領域の外径よりも大径に形成され、拘束パイプ40の軸方向の一端側(後端側)領域の内径が軸方向の他端側(前端側)領域の内径よりも大径に形成されている。このため、拘束パイプ40を仲介パイプ25の外周面に圧入嵌合する際に、拘束パイプ40を仲介パイプ25に対して他端側から一端側に向けて移動させると、拘束パイプ40の一端側の大径の内径部分がほぼ非接触状態で仲介パイプ25の他端側の小径の外径部分を通過する。こうして拘束パイプ40をある程度移動させると、拘束パイプ40の一端側の大径の内径部分が仲介パイプ25の一端側の大径部分に強固に接触係合し、かつ拘束パイプ40の他端側の小径の内径部分が仲介パイプ25の他端側の小径部分に強固に接触係合するようになる。したがって、本構成を採用した場合には、組付け時に拘束パイプ40を仲介パイプ25に容易に圧入嵌合させることが可能になる。
【0053】
また、本実施形態のシャフト連結構造では、仲介パイプ25の一端側の端部に、拘束パイプ40の一端側の端面に当接可能な規制フランジ28が設けられている。このため、拘束パイプ40の圧入嵌合時に、拘束パイプ40の一端側の端面が仲介パイプ25の規制フランジ28に当接することにより、拘束パイプ40を適正な嵌合位置に停止させることができる。したがって、本構成を採用した場合には、拘束パイプ40と仲介パイプ25の嵌合位置を適正な位置に規制することが可能になる。
【0054】
<第2実施形態>
図6は、本実施形態のシャフト連結部の分解側面図である。本実施形態では、第1実施形態と同様にシャフト連結部をステアリング装置の中継シャフトユニット4(
図1参照)に適用している。
本実施形態のシャフト連結部は、第1シャフト117の端部に仲介パイプ部125が一体に形成されている。仲介パイプ部125は、第2シャフト18の端部に臨む側が開口する有底筒状に形成されている。そして、仲介パイプ部125の周壁には、軸方向に沿うようにスリット26bが形成されている。仲介パイプ部125の内周面には雌セレーション33が形成されている。仲介パイプ部125の周壁内には、第2シャフト18の端部が挿入され、第2シャフトの外周面に形成された雄セレーション30が仲介パイプ部125の内周面の雌セレーション33に係合される。
【0055】
仲介パイプ部125の外周面には、この状態において、拘束パイプ40が圧入嵌合される。こうして、拘束パイプ40が仲介パイプ部125の外周面に圧入嵌合されると、仲介パイプ部125のスリット26bの幅が狭まり、仲介パイプ部125が縮径する。この結果、仲介パイプ部125の内周面の雌セレーション33が第2シャフトの雄セレーション30に強固に噛合されるようになる。
【0056】
本実施形態のシャフト連結部は、拘束パイプ40を仲介パイプ部125の外周面に圧入嵌合することにより、第1シャフト117と第2シャフト18を、仲介パイプ部125を介して強固に連結することができる。このため、本実施形態の場合も、シャフト連結部が径方向外側に大きく突出しなくなる。
したがって、本実施形態のシャフト連結構造を採用した場合には、シャフト連結部の旋回半径を縮小でき、シャフト連結部の実質的な占有スペースを省スペースとすることができる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の第1実施形態では、中継シャフトユニット4の第1シャフト17と第2シャフト18が車両のフロントコンパートメント9内で連結されているが、第1シャフト17と第2シャフト18の連結部は車室7内側に配置しても良い。
【0058】
また、上記の各実施形態では、シャフトと仲介パイプの相対回転を規制する回転規制部として、雄セレーションと雌セレーションによる噛合い構造を採用しているが、回転規制部はこれに限定されない。回転規制部は、例えば、キーとキー溝による回転規制部や、シャフトの外周面に二面幅やDカット部等の平坦面を設け、仲介パイプの内周面側にこれらの平坦面に当接する平坦な凸部を設けたもの等であっても良い。
なお、各シャフトと仲介パイプの相対回転を規制する回転規制部を特別に設けずに、各シャフトの外周面と仲介パイプの内周面の間を摩擦抵抗のみによって回転規制するようにしても良い。
【0059】
また、上記の実施形態では、ステア・バイ・ワイヤー方式のステアリング装置のフェイルセーフ対策用の中継シャフトユニットに本発明に係るシャフト連結構造が採用されているが、本発明に係るシャフト連結構造の適用はこれに限定されない。本発明に係るシャフト連結構造は、例えば、ステアリングシャフトがステアリングギヤボックスに常時動力伝達可能に連結されるステアリング装置に適用するようにしても良い。
【0060】
さらに、上記の実施形態では、本発明に係るシャフト連結構造を車両のステアリング装置に適用しているが、本発明に係るシャフト連結構造は、ステアリング装置以外の機器のシャフト連結部にも適用することも可能である。
【符号の説明】
【0061】
17,117…第1シャフト(シャフト)
18…第2シャフト(シャフト)
23…雄セレーション(回転規制部)
25…仲介パイプ
26a,26b…スリット
27…連結壁部
28…規制フランジ
30…雄セレーション(回転規制部)
33…雌セレーション(回転規制部)
34a,34b…面取部
40…拘束パイプ
125…仲介パイプ部