IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特開2025-1457低分子量キトサン及び糖脂質を含む組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001457
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】低分子量キトサン及び糖脂質を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20241225BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241225BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20241225BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61Q19/10
A61K8/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101054
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真介
(72)【発明者】
【氏名】河西 毅彦
(72)【発明者】
【氏名】五十島 健史
(72)【発明者】
【氏名】山本 麻理子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC712
4C083AD321
4C083AD322
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB07
4C083CC02
4C083CC23
4C083EE50
(57)【要約】
【課題】皮膚等のケラチン物質に、糖脂質を含む付着物を与えることができる組成物であって、少なくとも1種の環境に適合性の成分を含むことができる組成物を提供する。
【解決手段】(a)キトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び(b)少なくとも1種の糖脂質を含む組成物であって、(a)カチオン性ポリマーが、20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有する、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(b)少なくとも1種の糖脂質
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物であって、
前記(a)カチオン性ポリマーが、20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有する、組成物。
【請求項2】
前記組成物中の前記(a)カチオン性ポリマーの量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(b)糖脂質が、ラムノリピドから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物中の前記(b)糖脂質の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(c)水を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(d)少なくとも1種の両性界面活性剤を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物中の前記(d)両性界面活性剤の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
(e)少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物中の前記(e)アミノ酸界面活性剤の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
(f)少なくとも1種の一価の非ポリマー酸又はその塩、好ましくは一価の非ポリマーカルボン酸、より好ましくは一価のヒドロキシ酸、例えば乳酸及びサリチル酸を更に含む、請求書1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物中の前記(f)一価の非ポリマー酸又はその塩の量が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物のpHが、4~8、好ましくは4.5~7.5、より好ましくは5~7である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
クレンジング組成物、好ましくは皮膚のためのクレンジング組成物、より好ましくは顔のためのクレンジング組成物である、請求書1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン物質に適用する工程と、
任意選択により前記組成物を前記ケラチン物質から除去する工程と
を含む、美容方法。
【請求項15】
(b)少なくとも1種の糖脂質を含む組成物中の、(a)20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有するキトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーの使用であって、
前記組成物を水で希釈したとき、前記(b)糖脂質を含む沈殿物を生じさせるための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低分子量キトサン及び糖脂質を含む組成物、並びに該組成物を使用する美容方法及び該組成物に関連する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に適合性の化粧料の配合は、環境問題を考慮して設計及び開発されたものであり、世界的な課題を満たすための主要な目標になっている。
【0003】
したがって、これらの環境問題に対処するための、より持続可能な組成物、調製方法及び成分を提案することが必須である。
【0004】
この文脈において、特に再生可能な原料及び/又は良好な自然指数を有する材料及び/又は天然起源の材料、より具体的には植物起源の材料の使用を促進し、一方で石油化学起源の化合物の使用を減少することによって、より良好なカーボンフットプリントを有する新規の化粧用組成物を開発することが重要である。
【0005】
ラムノリピド等の糖脂質は、特有の生物活性、例えば消炎効果、抗アレルギー効果、抗菌効果等を有することが知られている。
【0006】
WO2020/178048は、幾つかの物質の付着助剤としての糖脂質の使用を開示している。しかしながら、WO2020/178048は、低分子量キトサンについては触れていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2020/178048
【特許文献2】WO03/068824
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0200704号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. Schmidt著、博士論文(1990)、Technical University of Braunschweig
【非特許文献2】Schulzら著、(1991) Z. Naturforsch.、46C、197~203頁
【非特許文献3】A.P. Tulloch、J.F.T. Spencer及びP.A.J. Gorin、Can. J. Chem. (1962)、40、1326
【非特許文献4】U. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters (1984)、6 (4)、225
【非特許文献5】Ishigamiら(1987), J. Jpn. Oil Chem. Soc.、36、847~851頁
【非特許文献6】Schultzら(1991)、Z. Naturforsch.、46C、197~203頁
【非特許文献7】Passeriら(1991)、Z. Naturforsch.、46C、204~209頁
【非特許文献8】Frautz、Lang及びWagner (1986)、Biotech. Letts.、8、757~762頁
【非特許文献9】D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH.P. Kleber著、Adv. Biochem. Ing./Biotechnol. (1986)、33、53~90頁
【非特許文献10】F. Wagner、H. Bock及びA. Kretschmar著、 Fermentation (ed. R.M. Lafferty) (1981)、181~192頁、Springer Verlag, Vienna
【非特許文献11】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【非特許文献12】CTFA辞典、第5版、1993年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
皮膚等のケラチン物質に、糖脂質を含む付着物を与えることができる組成物が必要とされている。
【0010】
本発明の第1の目的は、皮膚等のケラチン物質に、糖脂質を含む付着物を与えることができる組成物を提供することである。
【0011】
加えて、本発明の第2の目的は、少なくとも1種の環境に適合性の成分を含むことができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記の目的は、
(a)キトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(b)少なくとも1種の糖脂質
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物であって、
(a)カチオン性ポリマーが、20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有する、組成物によって達成することができる。
【0013】
本発明の組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0014】
(b)糖脂質は、ラムノリピドから選択されてもよい。
【0015】
本発明の組成物中の(b)糖脂質の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0016】
本発明の組成物は、(c)水を更に含んでもよい。
【0017】
本発明の組成物は、(d)少なくとも1種の両性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0018】
本発明の組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0019】
本発明の組成物は、(e)少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤を更に含んでもよい。
【0020】
本発明の組成物中の(e)アミノ酸界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0021】
本発明の組成物は、(f)少なくとも1種の一価の非ポリマー酸又はその塩、好ましくは一価の非ポリマーカルボン酸、より好ましくは一価のヒドロキシ酸、例えば乳酸及びサリチル酸を更に含んでもよい。
【0022】
本発明の組成物中の(f)一価の非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0023】
本発明の組成物のpHは、4~8、好ましくは4.5~7.5、より好ましくは5~7であってもよい。
【0024】
本発明の組成物は、クレンジング組成物、好ましくは皮膚のためのクレンジング組成物、より好ましくは顔のためのクレンジング組成物であってもよい。
【0025】
本発明はまた、皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、
本発明の組成物をケラチン物質に適用する工程と、
任意選択により該組成物をケラチン物質から除去する工程と
を含む、美容方法にも関する。
【0026】
本発明はまた、(b)少なくとも1種の糖脂質を含む組成物中の、(a)20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有するキトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーの使用であって、
前記組成物を水で希釈したとき、前記(b)糖脂質を含む沈殿物を生じさせるための、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
鋭意検討の結果、本発明者らは、皮膚等のケラチン物質に、糖脂質を含む付着物を与えることができ、少なくとも1種の環境に適合性の成分を含むことができる組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0028】
本発明の組成物は、
(a)キトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマー、及び
(b)少なくとも1種の糖脂質
を含み、
(a)カチオン性ポリマーは、20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有する。
【0029】
本発明の組成物は、皮膚等のケラチン物質に、糖脂質を含む付着物を与えることができる。付着物は、例えば、本発明の組成物中に形成される糖脂質を含む沈殿物によって与えることができる。
【0030】
更に、本発明の組成物の好ましい実施形態は、皮膚等のケラチン物質に、増量された付着物又は沈殿物を与えることができる。
【0031】
ラムノリピド等の糖脂質は、生物活性、例えば消炎効果、抗アレルギー効果、及び抗菌効果を有するため、本発明の組成物によって与えられる(b)糖脂質を含む付着物は、皮膚等のケラチン物質のケアに有用である。特に、本発明の組成物は、ニキビを有する皮膚の処置又はケアに有用である。
【0032】
更に、糖脂質は界面活性剤として機能することができるため、(b)糖脂質を含む付着物は、強化されたクレンジング効果をもたらすことができる。そのため、本発明の組成物は、皮膚等のケラチン物質のクレンジングにも有用である。
【0033】
キトサンは天然資源から得ることができるため、(a)カチオン性ポリマーは、環境に適合性の成分である。したがって、本発明の組成物は、環境に適合性の成分を含むことができる。加えて、(b)糖脂質は、生分解性材料等の再生可能な材料を起源とすることができる。したがって、本発明の組成物は、環境に適合性とすることができる。
【0034】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0035】
[組成物]
(カチオン性ポリマー)
本発明の組成物は、(a)少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含む。単一のタイプのカチオン性ポリマーを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのカチオン性ポリマーを組み合わせて使用することもできる。
【0036】
カチオン性ポリマーは、正電荷密度を有する。(a)カチオン性ポリマーの電荷密度は、0.01meq/g~20meq/g、好ましくは0.05~15meq/g、より好ましくは0.1~10meq/gでもよい。
【0037】
本発明によれば、(a)カチオン性ポリマーは、キトサンから選択される。2種以上のキトサンを組み合わせて使用してもよい。
【0038】
(a)カチオン性ポリマーは、キトサンから選択されることが好ましい。
【0039】
(a)カチオン性ポリマーの分子量(Da)は、20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満である。言い換えれば、(a)カチオン性ポリマーは、低分子量キトサンである。
【0040】
(a)カチオン性ポリマーの分子量(Da)は、1,000超、好ましくは1,500超、より好ましくは2,000超であってもよい。
【0041】
(a)カチオン性ポリマーの分子量(Da)は、1,000超及び20,000未満、好ましくは1,500超及び15,000未満、より好ましくは2,000超及び10,000未満であってもよい。
【0042】
説明中に別段の定義がない限り、「分子量」は質量平均分子量を意味する。分子量は、例えば、ASTM D5296-19に準拠して、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定又は決定することができる。
【0043】
キトサンは、自然界で非常に希少である。キトサンは、シロアリの女王等の特定の昆虫の外骨格中及び特定の部類の菌類である接合菌綱の細胞壁中でのみ報告されている。
【0044】
キトサンは、キチンの脱アセチル化によって得ることができる。キチンは、β型結合(1,4)によって一緒に連結された幾つかのN-アセチル-D-グルコサミン単位から構成された多糖である。
【0045】
キトサンの理想的な化学構造は、グリコシド結合(1→4)によって結合されたβ-D-グルコサミンモノマーの配列である。
【0046】
本発明における「キトサン」は、構成単位N-アセチル-D-グルコサミン及びD-グルコサミンから形成される任意のコポリマーであって、そのアセチル化度が90%未満、好ましくは80%未満、好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、好ましくは50%未満である、任意のコポリマーを意味する。キトサンは、β型結合(1,4)により一緒に連結されているグルコサミン糖単位(脱アセチル化単位)及びN-アセチル-D-グルコサミン単位(アセチル化単位)からなり、ポリ(N-アセチル-D-グルコサミン)-ポリ(D-グルコサミン)タイプのポリマーである。
【0047】
より好ましくは、キトサンのアセチル化度は、40%以下、好ましくは35%以下、好ましくは25%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下である。
【0048】
アセチル化度は、全単位の数に対するアセチル化単位の百分率であり、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)又は強塩基による滴定法によって決定することができる。
【0049】
本発明におけるキトサンは、好ましくは、菌類起源から調製された多糖である。特に、キトサンは、安全で豊富な食料又はバイオテクノロジーによる菌類起源[マッシュルーム(Agaricus bisporus)若しくはクロコウジカビ(Aspergillus niger)等]から抽出及び精製される。
【0050】
本発明のキトサンは、好ましくは、子嚢菌綱(Ascomycete)タイプの菌類、特にクロコウジカビ(Aspergillus niger)及び/又は担子菌類(Basidiomycete fungus)、具体的にはシイタケ(Lentinula edodes)及び/又はマッシュルーム(Agaricus bisporus)の菌糸体に由来する。好ましくは、菌類はクロコウジカビ(Aspergillus niger)である。
【0051】
キトサンは、遺伝子組み換え生物(GMO:Genetically Modified Organisms)起源のものであってもよいが、好ましくは非GMO起源のものである。
【0052】
本発明におけるキトサンは、天然であり、即ち、修飾されていない。特に、一切の化学修飾を含まない。
【0053】
キトサンの一調製方法は、WO03/068824に記載のものである。
【0054】
好ましくは、本発明において使用されるキトサンは、粉末の形態である。Glentham Life Science社により名称GU3511で市販されている。
【0055】
本発明の組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して1質量%以上であることが、更により好ましい場合がある。
【0056】
本発明の組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0057】
本発明の組成物中の(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。(a)カチオン性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して1質量%~5質量%であることが、更により好ましい場合がある。
【0058】
(糖脂質)
本発明の組成物は、(b)少なくとも1種の糖脂質を含む。単一のタイプの糖脂質を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの糖脂質を組み合わせて使用することもできる。
【0059】
「糖脂質」という用語は、1種以上の糖化合物が結合された脂質から形成される化合物を意味すると理解される。
【0060】
(b)糖脂質は、グルコリピド、ソホロリピド、トレハロリピド、セロビオースリピド、ラムノリピド、及びこれらの混合物から選択されうる。
【0061】
(b)糖脂質は、好ましくは、ソホロリピド、ラムノリピド、及びこれらの混合物から、より好ましくはラムノリピドから選択されうる。
【0062】
グルコリピド:
(b)糖脂質は、グルコース部分を含有し、以下の一般式(I)によって表すことができるグルコリピドから選択されてもよい:
【0063】
【化1】
【0064】
(式中:
- R1は、水素原子又はカチオンを表し、
- pは、1~4の範囲の整数を示し、
- qは、4~10の範囲の、好ましくは6に等しい整数を示す)。
【0065】
グルコリピドは、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)MM1によって生成されうる。
【0066】
適切な発酵法は、M. Schmidt著の博士論文(1990)、Technical University of Braunschweig、及びSchulzら著、(1991) Z. Naturforsch.、46C、197~203頁で概説されている。グルコリピドは、ジエチルエーテル又はジクロロメタン:メタノール若しくはクロロホルム:メタノール混合物を使用した溶媒抽出法によって、発酵ブロスから回収される。
【0067】
ソホロリピド:
(b)糖脂質は、ソホロース部分を含有し、以下の一般式(II)によって表すことができるソホロリピドから選択されてもよい:
【0068】
【化2】
【0069】
(式中:
- R3及びR4は、個別に、水素原子又はアセチル基を表し、
- R5は、1~9個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化炭化水素基、好ましくはメチルを表し、
- R6は、1~19個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化炭化水素基を表し、
但し、R5及びR6の各基の炭素原子の総数は、20を超えないものとし、好ましくは14~18である)。
【0070】
ソホロリピドは、R7が水素原子を表し、R8がヒドロキシ基OHを表す開鎖遊離酸の形態、又は次式(III)によって示されるようにラクトン環がR7とR8との間に形成される、そのラクトン形態のいずれかで、本発明の組成物に組み込まれうる:
【0071】
【化3】
【0072】
(式中:
- R3、R4、R5、及びR6は、上記で定義されたとおりであるが、
但し、R3及びR4のうちの少なくとも1つは、アセチル基を表す)。
【0073】
ソホロリピドは、酵母細胞、例えば、トルロプシス・アピコラ(Torulopsis apicola)及びトルロプシス・ボンビコラ(Torulopsis bombicola)細胞によって生成されうる。発酵過程は、一般に、基材として糖類及びアルカン類を使用する。
【0074】
適切な発酵法は、A.P. Tulloch、J.F.T. Spencer及びP.A.J. Gorin、Can. J. Chem. (1962)、40、1326、並びにU. Gobbert、S. Lang及びF. Wagner、Biotechnology Letters (1984)、6 (4)、225に概説されている。得られた生成物は、様々な開鎖ソホロリピドとソホロリピドラクトンとの混合物であり、混合物の形態で使用してもよいが、必要な形態を単離してもよい。
【0075】
ソホロリピドとして、例えば、Givaudan社により名称Sopholiance Sで販売されているもの及びBASF社により名称BioToLifeで販売されているものを使用することが可能である。
【0076】
トレハロリピド:
(b)糖脂質は、トレハロースフラグメントを含有し、以下の一般式(IV)によって表すことができるトレハロリピドから選択されてもよい:
【0077】
【化4】
【0078】
(式中:
- R9、R10、及びR11は、個別に、5~13個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化炭化水素基を表す)。
【0079】
トレハロリピドは、海洋細菌アルスロバクター属(Arthrobacter sp.)Ek1又は淡水細菌ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)を使用する細菌発酵によって生成されうる。適切な発酵法は、Ishigamiら(1987), J. Jpn. Oil Chem. Soc.、36、847~851頁、Schultzら(1991)、Z. Naturforsch.、46C、197~203頁、及びPasseriら(1991)、Z. Naturforsch.、46C、204~209頁で提供されている。
【0080】
セロビオースリピド:
(b)糖脂質は、セロビオースフラグメントを含有し、以下の一般式(V)によって表すことができるセロビオースリピドから選択されてもよい:
【0081】
【化5】
【0082】
(式中:
- R1は、水素原子又はカチオンを表し、
- R12は、9~15個の炭素原子、好ましくは13個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化炭化水素基を表し、
- R13は、水素原子又はアセチル基を表し、
- R14は、4~16個の炭素原子を有する飽和又は不飽和のヒドロキシル化又は非ヒドロキシル化炭化水素基を表す)。
【0083】
セロビオースリピドは、黒穂菌属(Ustilago)の真菌類の細胞によって生成されうる。適切な発酵法は、Frautz、Lang及びWagner (1986)、Biotech. Letts.、8、757~762頁で提供されている。
【0084】
ラムノリピド:
(b)糖脂質は、ラムノリピドから選択されてもよい。
【0085】
本発明の組成物は、好ましくは、1種以上のラムノリピドを含む。
【0086】
ラムノリピドは、様々な細菌種によって生成される糖脂質である。ラムノリピドは、エステル結合によって互いに連結されているβ-ヒドロキシル化脂肪酸の1つ、2つ又は3つの鎖にグリコシド結合によって連結された1つのラムノースフラグメント(モノラムノリピド)又は2つのラムノースフラグメント(ジラムノリピド)からなる。
【0087】
より具体的には、これらのモノラムノリピド及びジラムノリピドは、以下の式(VI)に対応する:
【0088】
【化6】
【0089】
(式中:
- mは、2、1又は0に等しい整数を示し、
- nは、1又は0に等しい整数を示し、
- R1及びR2は、それぞれ独立して、2~24個の炭素原子、好ましくは5~13個の炭素原子を有する、分枝状又は非分枝状、置換又は非置換、特にヒドロキシ置換の、飽和又は不飽和の、同一の又は異なる炭化水素基、好ましくは単不飽和、二重不飽和又は三重不飽和アルキル基を表す)。
【0090】
nが0に等しい場合、式(VI)は、モノラムノリピドを保護し、nが1に等しい場合、ジラムノリピドを保護する。
【0091】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種のジラムノリピドを含む。
【0092】
本発明の組成物は、好ましくは、式(VI)(式中:
- mは、2、1又は0に等しい整数を示し、
- nは、1に等しい整数を示し、
- R1及びR2は、それぞれ独立して、2~24個の炭素原子、好ましくは5~13個の炭素原子を有する、分枝状又は非分枝状、置換又は非置換、特にヒドロキシ置換の、飽和又は不飽和の、同一の又は異なる炭化水素基、好ましくは単不飽和、二重不飽和又は三重不飽和アルキル基を表す)
の少なくとも1種のジラムノリピドを含み、更には、その塩、その溶媒和物、及びその光学異性体も含む。
【0093】
2つのラムノースフラグメント間のグリコシド結合は、アルファ又はベータ配置であってもよく、好ましくはアルファ配置である。
【0094】
本発明の文脈では、
- 式(VI)のジラムノリピドの塩は、より具体的には、有機又は無機カチオン、特にナトリウム、カリウム、カルシウム及びアンモニウムから選択されるカチオンとの、そのカルボン酸塩である。
- 式(VI)のジラムノリピドの溶媒和物の形態は、より具体的には、水又は有機溶媒の1つ以上の分子と溶媒和されたもの、例えば水和物又はエタノール若しくはイソプロパノール等の直鎖状若しくは分枝状アルコールの溶媒和物であり、脂肪酸の光学活性炭素原子は、好ましくはRエナンチオマーの形態である。
- 用語「アルキル」基は、飽和された直鎖状又は分枝状の脂肪族基、例えば、1~20個の炭素原子の直鎖状又は分枝状炭化水素鎖を有するC1~C20アルキル基、より具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル又はエイコシルを示す。
【0095】
本発明の組成物は、好ましくは、式(VI)[式中、
- mは、2、1又は0に等しい整数を示し、
- nは、1に等しい整数を示し、
- R1及びR2は、同一であるか又は異なり、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル及びトリデセニル基並びに式(CH2)oCH3の基(式中、oは、1~23、特に3~15、より特定すると4~12の範囲の整数を示す)から選択される]
の少なくとも1種のジラムノリピドを含む。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、本発明の組成物は、一般式(VI)(式中、mは1に等しい)の少なくとも1種のジラムノリピドを含む。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、本発明の組成物は、一般式(VI)(式中、mは、好ましくは、1に等しい)の、少なくとも2種、好ましくは少なくとも3種のジラムノリピドの混合物を含む。
【0098】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種のモノラムノリピドを含む混合物を含む。
【0099】
より好ましくは、本発明の組成物は、以下の式(VII):
【0100】
【化7】
【0101】
[式中、
- mは、2、1又は0に等しい整数を示し、好ましくは、mは、1に等しく、
- nは、1に等しい整数を示し、
- R1は、-(CH2)p-CH3基(式中、pは、1~23、好ましくは4~12で変動する整数である)であり、
- R2は、-(CH2)q-CH3基(式中、qは、1~23、好ましくは4~12で変動する整数である)である]
の少なくとも1種のジラムノリピドを含み、更には、その塩、その溶媒和物、及びその光学異性体も含む。
【0102】
本発明に適しうる式(VII)のジラムノリピドの例証として、非限定的に、特に、以下の表1に規定するような式ジ-RL-CXCYの化合物を挙げることができる。
【0103】
式ジ-RL-CXCYは、記号CX及びCY(整数X及びYは、それぞれ、p+4及びq+4に等しい)でそれぞれ表される2つの基R1及びR2で官能化されたジラムノリピド(ジ-RL)を表すための代替の記述法である。
【0104】
【表1】
【0105】
好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、式(VII)(式中、p及びqは、同一であり、6に等しく、mは1に等しい)の少なくとも1種のジラムノリピド(ジ-RL-C10C10とも呼ばれる)、又はそれらの塩、溶媒和物及び光学異性体の1つを含む。
【0106】
好ましくは、式(VII)のジラムノリピド(式中、p及びqは、同一であり、6に等しく、mは1に等しい)は、ラムノリピドの総質量に対して、少なくとも50質量%、好ましくは51質量%~85質量%の割合で、本発明の組成物中に存在する。
【0107】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、式(VII)(式中、mは1に等しく、pは6に等しく、qは8に等しい)の少なくとも1種のジラムノリピドを含む。
【0108】
別の実施形態によれば、本発明の組成物は、式(VI)の少なくとも1種のジラムノリピド[式中、n及びmは、1に等しく、R1は、(CH2)oCH3基を表し、式中、oは4~12で変動する整数であり、R2は、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル及びトリデセニル基から選択され、好ましくは、R1は、-(CH2)6CH3基を表し、R2は、ノネニル基を表す]を含む。
【0109】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、以下から選択される、式(VI)又は式(VII)の、少なくとも2種、特に少なくとも3種のジラムノリピドの混合物を含む:
- 式(VII)のジラムノリピド(式中、p及びqは、同一であり、6に等しく、mは1に等しい)、
- 式(VII)のジラムノリピド(式中、mは1に等しく、pは6に等しく、qは8に等しい)、並びに
- 式(VI)の少なくとも1種のジラムノリピド[式中、n及びmは、1に等しく、R1は、(CH2)oCH3基を表し、式中、oは4~12で変動する整数であり、R2は、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル及びトリデセニル基から選択され、好ましくは、R1は、-(CH2)6CH3基を表し、R2は、ノネニル基を表す]。
【0110】
好ましくは、本発明の組成物は、以下から選択される、式(VI)又は式(VII)の、少なくとも2種、特に少なくとも3種のジラムノリピドの混合物を含む:
- ラムノリピドの総質量に対して、少なくとも50質量%、好ましくは51質量%~85質量%の、式(VII)のジラムノリピド(式中、p及びqは、同一であり、6に等しく、mは1に等しい)、
- ラムノリピドの総質量に対して、0.5質量%~25質量%、好ましくは5質量%~15質量%の、式(VII)のジラムノリピド(式中、pは6に等しく、qは8に等しく、mは1に等しい)、並びに
- ラムノリピドの総質量に対して、0.5質量%~15質量%、好ましくは3質量%~12質量%、好ましくは5質量%~10質量%の、式(VI)のジラムノリピド[式中、n及びmは、1に等しく、R1は、-(CH2)6CH3基を表し、R2は、ノネニル基を表す]。
【0111】
上で規定したように、ラムノリピドは、通常、当業者に公知の方法によって、シュードモナス属(Pseudomonas)等の細菌産生株から出発して調製される。
【0112】
適切な発酵法は、D. Haferburg、R. Hommel、R. Claus及びH.P. Kleber著、Adv. Biochem. Ing./Biotechnol. (1986)、33、53~90頁、並びにF. Wagner、H. Bock及びA. Kretschmar著、 Fermentation (ed. R.M. Lafferty) (1981)、181~192頁、Springer Verlag, Viennaに概説されている。
【0113】
ラムノリピドとして、Evonik社により名称Rheance Oneで販売されているもの(INCI名:糖脂質)を使用してもよい。
【0114】
本発明の組成物中の(b)糖脂質の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0115】
本発明の組成物中の(b)糖脂質の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0116】
本発明の組成物中の(b)糖脂質の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%であってもよい。
【0117】
(水)
本発明の組成物は、(c)水を含んでもよい。
【0118】
本発明の組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であってもよい。
【0119】
本発明の組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下であってもよい。
【0120】
本発明の組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~99質量%、好ましくは60質量%~97質量%、より好ましくは70質量%~95質量%であってもよい。
【0121】
(両性界面活性剤)
本発明の組成物は、(d)少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでもよい。単一のタイプの両性界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの両性界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0122】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的に列挙すると)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び任意選択により四級化されているアミン誘導体であってよく、その脂肪族基は、8から22個の炭素原子を含み、少なくとも1個の水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート)を含有する、直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0123】
(d)両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0124】
(d)両性界面活性剤は、ベタインタイプの界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0125】
ベタインタイプの両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、アルキルスルホベタイン、ホスホベタイン、アルキルホスホベタイン及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、具体的には(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C1~C8)アルキルスルホベタイン、ホスホベタイン、(C1~C8)アルキルホスホベタイン及び(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタインからなる群から選択される。一実施形態では、ベタインタイプの両性界面活性剤は、(C8~C24)アルキルベタイン、(C8~C24)アルキルアミド(C1~C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン、(C1~C8)アルキルスルホベタイン及びホスホベタインから選択される。
【0126】
挙げることができる非限定的な例には、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年で、単独で又は混合物として、名称ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン及びココスルタインで分類されている化合物がある。
【0127】
ベタインタイプの両性界面活性剤(ベタイン類)は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルスルホベタイン、及びアルキルアミドアルキルベタイン、特にココベタイン、スルホプロピルベタイン、及びコカミドプロピルベタインである。
【0128】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中でも、米国特許第2,528,378号及び同第2,781,354号に記載され、CTFA辞典、第3版、1982年(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)において名称アンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネート(それぞれ、以下の構造を有する)で分類されている、Miranolの名称で販売される製品を挙げることができる:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-)M+X- (B1)
[式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル基、ノニル基又はウンデシル基を示し、
R2は、ベータ-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン、アンモニウムイオン、又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、有機若しくは無機アニオン性イオン、例えばハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1~C4)硫酸イオン、アルキル(C1~C4)-若しくはアルキル(C1~C4)アリール-スルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンを示す、又はM+及びX-は、存在しない];
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
[式中、
R1'は、ヤシ油中若しくは加水分解亜麻仁油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、アルキル基、例えばC7、C9、C11若しくはC13アルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和C17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'(式中、z=1又は2)を表し、
X'は、-CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'、又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3H基又はCH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
これらの式中、Z'は、ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを表す];
並びに
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''(式中、Z''は、ナトリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを示す)を示し、
Rd及びReは、C1~C4アルキル基又はC1~C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸からのC10~C30のアルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立して、1~3の整数を示す]。
【0129】
式B1及びB2を有する(d)両性界面活性剤は、(C8~C24)-アルキルアンホモノアセテート、(C8~C24)アルキルアンホジアセテート、(C8~C24)アルキルアンホモノプロピオネート、及び(C8~C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0130】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年において、名称ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸で分類されている。
【0131】
例として、Rhodia Chimie社により商品名Miranol(登録商標)C2M concentrateで販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0132】
式(B'2)の化合物の中で挙げることができるのは、CHIMEX社により命名CHIMEXANE HBで市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルタミドナトリウム(CTFA)である。
【0133】
(d)両性界面活性剤は、ベタインタイプの界面活性剤から選択されることが好ましく、より好ましくはアルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、及びこれらの混合物から、更により好ましくはココベタイン、コカミドプロピルベタイン、及びこれらの混合物から選択される。
【0134】
本発明の組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0135】
本発明の組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0136】
本発明の組成物中の(d)両性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0137】
(アミノ酸界面活性剤)
本発明の組成物は、(e)少なくとも1種のアミノ酸界面活性剤を含んでもよい。単一のタイプのアミノ酸界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのアミノ酸界面活性剤を組み合わせて使用することもできる。
【0138】
(e)アミノ酸界面活性剤は、(d)両性界面活性剤とは異なる。
【0139】
(e)アミノ酸界面活性剤は、アミノ酸又はその誘導体をベースとするアニオン性界面活性剤である。典型的には、(e)アミノ酸界面活性剤は、少なくとも1つのアミノ部分及び少なくとも1つの、カルボキシレートの形態であるカルボン酸部分を含むアニオン性界面活性剤である。アミノ酸界面活性剤は、2つ以上のアミノ部分及び/又は2つ以上の、カルボキシレートの形態であるカルボン酸部分を有してよい。
【0140】
(e)アミノ酸界面活性剤は、好ましくは、アミノ酸誘導体から選択することができる。アミノ酸誘導体は、より好ましくは、アミノ酸及びN-アシル化アミノ酸の塩、例えばアミノ酸及びN-アシル化アミノ酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばアミノ酸及びN-アシル化アミノ酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩及びカルシウム塩から選択することができる。
【0141】
アミノ酸誘導体のN-アシル部分を形成するアシル基は、C4~C26アシル基、好ましくはC6~C24アシル基、より好ましくはC8~C22アシル基でよい。
【0142】
(e)アミノ酸界面活性剤は、以下の化学式(VIII)によって表すことができる:
【0143】
【化8】
【0144】
[式中、
Zは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、8~22個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、
Xは、水素原子又はメチル基であり、
nは、0又は1であり、
Yは、水素原子、-CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2C6H5、-CH2C2H4OH、-CH2OH、-CH(OH)CH3、-(CH2)4NH2、-(CH2)3NHC(NH)NH2、-CH2C(O)OM、-(CH2)2C(O)OH、及び-(CH2)2C(O)OMから選択され、
【0145】
Mは、COOが対アニオンである塩形成カチオン、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンである]。
【0146】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記の式(VIII)において、
Zは、飽和又は不飽和の直鎖状C8~C18アルキル基、特にココイル基を表し、
Xは、水素原子であり、
nは、0であり、
Yは、水素原子又は-(CH2)2C(O)OM基であり、
Mは、COOが対アニオンである塩形成カチオン、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びアンモニウムイオンである。
【0147】
(e)アミノ酸界面活性剤は、アミノ酸のカルボン酸塩から誘導されてもよく、ここで、アミノ酸塩のα-炭素又はβ-炭素上に位置するアミン基が脂肪酸誘導体でアシル化されている。
【0148】
これらのアミノ酸のカルボン酸塩は、それぞれのアミノ酸を塩基で中和すること等の従来の手段によって形成することができる。中和されたアミノ酸のα-炭素又はβ-炭素上に位置するアミン基は、周知のショッテン・バウマン反応により、塩基の存在下にて脂肪酸ハロゲン化物(ハロゲン化アシル)でアシル化され、アミドを生成し、このようにして所望の界面活性剤反応生成物、即ち(e)アミノ酸界面活性剤が形成される。
【0149】
アミノ酸のカルボン酸塩のアシル化に好適なハロゲン化アシルとして、塩化アシル、臭化アシル、フッ化アシル及びヨウ化アシルが挙げられる。ハロゲン化アシルは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の脂肪酸をハロゲン化(臭化、塩化、フッ化及びヨウ化)チオニルと反応させることによって調製することができる。代表的なハロゲン化アシルとしては、塩化デカノイル、塩化ドデカノイル(塩化ラウロイル)、塩化ココイル(ヤシ油由来の脂肪酸塩化物)、塩化テトラデカノイル(塩化ミリストイル)、塩化ヘキサデカノイル(塩化パルミトイル)、塩化オクタデカノイル(塩化ステアロイル)、塩化9-オクタデセノイル(塩化オレオイル)、塩化エイコサノイル(塩化アラキドイル)、塩化ドコサノイル(塩化ベヘノイル)から選択される塩化アシル、及びそれらの任意の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他のハロゲン化アシルとしては、前述の脂肪酸の臭化物、フッ化物、及びヨウ化物が挙げられる。ハロゲン化アシルを調製する方法及びアミノ酸をアシル化する代替的方法は、2008年8月21日公開の米国特許出願公開第2008/0200704号に記載されており、その出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
(e)アミノ酸界面活性剤は、更により好ましくは、グルタミン酸塩、N-アシル化グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、N-アシル化アスパラギン酸塩、及びこれらの塩からなる群から選択することができる。
【0151】
(e)アミノ酸界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
- サルコシネート、例えばN-アシルサルコシン(塩)、例えば、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol Sarcosinate(商標)LNで販売されている、又はInnospec Performance Chemicals Europe Limited社により名称Pureact(商標)LSRで販売されているラウロイルサルコシンナトリウム;日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol Sarcosinate(商標)MNで販売されているミリストイルサルコシンナトリウム;及び日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol Sarcosinate(商標)PNで販売されているパルミトイルサルコシンナトリウム、
- アラニネート、例えばN-アシルアラニン(塩)、例えば、日光ケミカルズ株式会社により名称Sodium Nikkol Alaninate(商標)LN 30で販売されている、又は川研ファインケミカル株式会社により名称Alanone(登録商標)ALEで販売されているN-ラウロイル-N-メチルアミドプロピオン酸ナトリウム;味の素株式会社により名称Amilite(登録商標)ACS-12で販売されているココイルアラニンナトリウム;及び川研ファインケミカル株式会社により名称Alanone(登録商標)ALTAで販売されているN-ラウロイル-N-メチルアラニントリエタノールアミン、
- グルタメート、例えばN-アシルグルタミン酸(塩)、例えば、BASFジャパン株式会社により名称Eumulgin(登録商標)SRで販売されているステアロイルグルタミン酸ナトリウム;BASFジャパン株式会社により名称Plantapon(登録商標)Amino SLG-Pで販売されているラウロイルグルタミン酸ナトリウム;味の素株式会社により名称Amisoft(登録商標)CT-12で販売されているモノココイルグルタミン酸トリエタノールアミン;味の素株式会社により名称Amisoft(登録商標)LT-12で販売されているラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン;味の素株式会社により名称Amisoft(登録商標)HS-21Pで販売されているステアロイルグルタミン酸二ナトリウム;BASFジャパン株式会社により名称Plantapon(登録商標)Amino SF-Nで販売されているココイルグルタミン酸ナトリウム;BASFジャパン株式会社により名称Plantapon(登録商標)Amino SCG-Lで販売されているココイルグルタミン酸二ナトリウム;及び味の素株式会社により名称Amisoft(登録商標)CS-22で販売されているココイルグルタミン酸二ナトリウム/ナトリウム、
- アスパルテート、例えばN-アシルアスパラギン酸(塩)、例えば、旭化成株式会社により名称AminoFoamer(登録商標)FLMS-P1で販売されているN-ラウロイルアスパラギン酸二ナトリウム;及び旭化成株式会社により名称AminoFoamer(登録商標)FCMT-Lで販売されている、N-ラウロイルアスパラギン酸トリエタノールアミンとN-ミリストイルアスパラギン酸トリエタノールアミンとの混合物、並びに
- グリシネート、例えばN-アシルグリシン酸(塩)、例えば、味の素株式会社により名称Amilite(登録商標)GCS-12Kで販売されているN-ココイルグリシン酸ナトリウム;及びAmilite(登録商標)GCK-12Kで販売されているN-ココイルグリシン酸カリウム。
【0152】
(e)アミノ酸界面活性剤は、グルタミン酸塩、好ましくはN-アシルグルタミン酸塩、より好ましくはココイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸二ナトリウム及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0153】
本発明の組成物中の(e)アミノ酸界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0154】
本発明の組成物中の(e)アミノ酸界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0155】
本発明の組成物中の(e)アミノ酸界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0156】
(一価の非ポリマー酸又はその塩)
本発明の組成物は、(f)少なくとも1種の一価の非ポリマー酸又はその塩を含んでもよい。単一のタイプの一価の非ポリマー酸若しくはその塩を使用してもよいが、2種以上の異なるタイプの一価の非ポリマー酸若しくはその塩を組み合わせて使用することもできる。
【0157】
(f)一価の非ポリマー酸又はその塩は、(e)アミノ酸界面活性剤とは異なる。
【0158】
用語「非ポリマー」は、本明細書では、酸が、2種以上のモノマーを重合させることによって得られるものではないことを意味する。したがって、非ポリマー酸は、ポリアクリル酸等の2種以上のモノマーを重合させることによって得られる酸には相当しない。
【0159】
本明細書における用語「塩」は、一価の非ポリマー酸に、好適な塩基を添加することによって形成される塩を意味し、これは、当業者に公知の方法に従って、一価の非ポリマー酸と、塩基との反応から得ることができる。塩として、金属塩、例えば、Na及びK等のアルカリ金属との塩、並びにMg及びCa等のアルカリ土類金属との塩、並びにアンモニウム塩を挙げることができる。
【0160】
(f)一価の非ポリマー酸又はその塩の分子量が、1000未満、好ましくは500以下、より好ましくは200以下であることが好ましい。
【0161】
(f)一価の非ポリマー酸又はその塩は、(c)水(存在する場合)によって形成される水性相中に含まれうる。(f)一価の非ポリマー酸又はその塩は、(c)水(存在する場合)に対する(a)カチオン性ポリマーの溶解を促進することができる。
【0162】
(f)一価の非ポリマー酸は、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、及びこれらの混合物からなる群から選択されうる単一の酸基を有する。
【0163】
(f)一価の非ポリマー酸又はその塩は、一価の有機酸又は無機酸及びそれらの塩から選択されうる。
【0164】
(f)一価の非ポリマー酸は、一価の有機酸であることが好ましく、より好ましくは一価の非ポリマーカルボン酸である。
【0165】
一価の非ポリマーカルボン酸は、ヒドロキシ酸、好ましくはアルファ-ヒドロキシ酸及びベータ-ヒドロキシ酸から選択されうる。アルファ-ヒドロキシ酸としては、例えば、乳酸及びグリコール酸を挙げることができる。ベータ-ヒドロキシ酸としては、例えば、サリチル酸を挙げることができる。
【0166】
一価の非ポリマー酸は、一価の非ポリマー有機酸、好ましくは一価の非ポリマーカルボン酸、より好ましくは一価のヒドロキシ酸、例えば乳酸及びサリチル酸であってもよい。
【0167】
本発明の組成物中の(f)一価の非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0168】
本発明の組成物中の(f)一価の非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であってもよい。
【0169】
本発明の組成物中の(f)一価の非ポリマー酸又はその塩の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~15質量%、好ましくは0.05質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%であってもよい。
【0170】
(任意選択の成分)
本発明の組成物は、前述の成分に加えて、化粧品に典型的に用いられる任意選択の成分、具体的には、タウレート(例えば、ココイルタウリンナトリウム、メチルタウリンナトリウム及びラウロイルタウリンナトリウム)等の、(b)糖脂質、(d)両性界面活性剤、及び(e)アミノ酸界面活性剤以外の界面活性剤/乳化剤;例えば、合成増粘剤に由来する親水性又は親油性増粘剤;エタノール等の揮発性又は不揮発性有機溶媒;グリセリン、ペンチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、プロパンジオール及びソルビトール等のポリオール;アニオン性ポリマー;両性ポリマー;β-グルカン等の非イオン性ポリマー;シリコーン及びシリコーン誘導体;(a)カチオン性ポリマー以外の動物又は植物に由来する天然抽出物;ワックス;カプリリルグリコール、フェノキシエタノール等の防腐剤;トコフェロール等の抗酸化剤;並びにNaCl等の塩等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含んでもよい。
【0171】
本発明の組成物は、上記の任意選択の成分を、組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.05質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%の量で含んでもよい。
【0172】
本発明の組成物は、少なくとも1種の油を含んでもよい。本明細書では、「油」は、大気圧下(760mmHg)、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は物質を意味する。油として、化粧品に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組合せで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0173】
しかしながら、本発明の組成物中の油の量は、限定されうる。そのため、本発明の組成物中の油の量は、組成物の総質量に対して5質量%未満でありうる。本発明の組成物は、油を含まないことが特に好ましい場合もある。
【0174】
本発明の組成物中の合成増粘剤の量は、組成物の総質量に対して3質量%未満であってもよい。本発明の組成物は、合成増粘剤を含まないことが特に好ましい場合もある。
【0175】
本発明の組成物中のアニオン性ポリマー又は両性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満であってもよい。本発明の組成物は、アニオン性又は両性ポリマーを含まないことが特に好ましい。
【0176】
[pH]
本発明の組成物のpHは、4~8、好ましくは4.5~7.5、より好ましくは5~7であってもよい。
【0177】
本発明の組成物のpHは、(f)一価の非ポリマー酸若しくはその塩、又は(f)一価の非ポリマー酸若しくはその塩以外の、少なくとも1種のアルカリ剤及び/若しくは少なくとも1種の酸を添加することによって調整することができる。本発明の組成物のpHはまた、少なくとも1種の緩衝剤を添加することによって調整することもできる。
【0178】
[調製]
本発明の組成物は、上に説明した必須成分、及び必要な場合には上に説明した任意選択の成分を混合することによって、調製されうる。
【0179】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用して、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合し、本発明の組成物を調製することができる。
【0180】
本発明の組成物は、撹拌機及びホモジナイザー等の従来の混合手段により、単純に又は容易に混合することによって調製することができる。また、加熱は必要ではない場合もある。したがって、本発明の組成物の調製方法は、環境に適合性でありうる。
【0181】
[形態]
本発明の組成物は、任意の形態で存在しうる。
【0182】
例えば、本発明の組成物は、溶液又はゲルの形態であってもよい。
【0183】
別の実施形態では、本発明の組成物は、溶液の形態であってもよい。この実施形態では、本発明の組成物は、消費者が泡で組成物を使用することを可能にする自動式泡ポンプと共に包装されてもよい。
【0184】
本発明の組成物は、希釈する前、透明な又は半透明な外観、好ましくは透明な外観を有することができる。
【0185】
透明度は、(例えばHACH社製の2100Q Portable Turbidimeterを用いて)濁度を測定することにより測定してもよい。本発明の組成物の濁度は、400NTU未満(半透明)、好ましくは350NTU未満、より好ましくは300NTU未満(透明)でありうる。
【0186】
[美容用途]
本発明の組成物は、化粧用組成物として使用されることが意図されてもよい。そのため、本発明の化粧用組成物は、ケラチン物質への適用が意図されてもよい。ケラチン物質は、本明細書では、ケラチンを主な構成要素として含有する物質を意味し、その例には、皮膚、頭皮、爪、唇、毛髪等が挙げられる。そのため、本発明の化粧用組成物が、ケラチン物質、特に皮膚のための美容方法に使用されることが好ましい。
【0187】
本発明の化粧用組成物は、皮膚化粧用組成物、好ましくはスキンケア組成物、より好ましくはフェイスケア組成物であってよい。
【0188】
特に、本発明の組成物は、クレンジングに有用である。そのため、本発明の組成物は、クレンジング組成物であることが好ましく、より好ましくは皮膚のためのクレンジング組成物、更により好ましくは顔のためのクレンジング組成物である。
【0189】
[美容方法及び使用]
本発明はまた、
- 皮膚等のケラチン物質のための美容方法であって、本発明の組成物をケラチン物質に適用する工程と、任意選択により組成物をケラチン物質から除去する工程とを含む方法、
又は
- 皮膚等のケラチン物質をケア若しくはクレンジングするための、本発明の組成物の使用
にも関する。
【0190】
美容方法は、本明細書では、皮膚等のケラチン物質の表面をケア又はクレンジングするための美容方法等の非治療的美容方法を意味する。
【0191】
本発明の美容方法における除去工程は、例えば、本発明の組成物を、皮膚等のケラチン物質から、水で洗い落とすことによって実施することができる。
【0192】
除去工程が実施されない場合、本発明の美容方法は、皮膚等のケラチン物質のケアに有用でありうるが、その理由は、(b)糖脂質が、ケラチン物質に消炎、抗アレルギー、又は抗菌特性を付与することができ、それが、特にニキビを有する皮膚及び敏感肌のケアに有用と思われるからである。
【0193】
除去工程が実施される場合、本発明の美容方法は、皮膚等のケラチン物質のクレンジングに有用でありうるが、その理由は、(b)糖脂質が界面活性剤として機能することができるからである。
【0194】
本発明の組成物を水で希釈すると、本発明の組成物は、沈殿を生じうる。
【0195】
本発明の組成物を皮膚等のケラチン物質に適用する前に又はその後で、ケラチン物質を水で濡らすと、本発明の組成物は、ケラチン物質上に沈殿物を生じうる。
【0196】
一方、本発明の組成物を皮膚等のケラチン物質から除去する工程の前にケラチン物質を水で濡らした場合も、本発明の組成物は、ケラチン物質上に沈殿物を生じうる。
【0197】
したがって、本発明の組成物をケラチン物質に適用する工程の前に若しくはその後で、又は本発明の組成物をケラチン物質から除去する前に、皮膚等のケラチン物質を水で濡らすことが好ましい。
【0198】
沈殿物は、(b)糖脂質を含み、したがって、皮膚等のケラチン物質に、特にニキビを有する皮膚及び敏感肌に有用と思われる消炎、抗アレルギー、又は抗菌特性等の様々な利益を付与することができる。
【0199】
更に、沈殿物は、界面活性剤として機能することができる(b)糖脂質を含む。したがって、沈殿物は、沈殿物を水でケラチン物質から更に洗い落とすことによる、皮膚等のケラチン物質の洗浄に対して効果的に使用することができ、これは、ケラチン物質のクレンジングに、特に皮膚等のケラチン物質からのメイクアップの除去に好ましいと思われる。
【0200】
本発明はまた、(b)少なくとも1種の糖脂質を含む組成物中の、(a)20,000未満、好ましくは15,000未満、より好ましくは10,000未満の分子量を有するキトサンから選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーの使用であって、
前記組成物を水で希釈したとき、(b)糖脂質を含む沈殿物を生じさせるための使用にも関しうる。
【0201】
本発明の組成物のための、(a)カチオン性ポリマー、(b)糖脂質、及び(c)水に関する上記の説明は、上記の使用におけるものに適用することができる。
【実施例0202】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載される。しかしながら、これらは、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0203】
(実施例1~7及び比較例1~5)
[調製]
実施例1~7及び比較例1~5の組成物のそれぞれを、表2に示す成分を混合して調製した。表2中の成分の量についての数値は全て、有効成分の「質量%」に基づく。
【0204】
【表2】
【0205】
[評価]
(希釈試験)
実施例1~7及び比較例1~5の組成物のそれぞれを、室温(25℃)で5倍の体積を有するまで水で希釈した。
【0206】
希釈試験は、浴室内等の湿潤条件下での本発明の組成物の使用をシミュレートする。
【0207】
それぞれの組成物における沈殿を、以下の基準に従って目視で評価した。
非常に良好:希釈後、多くの沈殿が観察された
良好:希釈後、沈殿が観察された
不良:希釈後、沈殿は観察されなかった
非常に不良:希釈前に、沈殿が観察された
【0208】
結果を表2に示す。
【0209】
多くの沈殿が生じるほど、本発明の組成物は、沈殿による効果をより良好にもたらすことができる。
【0210】
(概略)
実施例1~6は、低分子量キトサン及び糖脂質を含む実施例1~6の組成物が、水で希釈したとき、沈殿物を生じることができたことを示す。
【0211】
実施例7は、実施例7の組成物が、比較的多量の低分子量キトサンが使用されたため、水で希釈したとき、多くの沈殿物を生じることができたことを示す。
【0212】
比較例1~3は、糖脂質を含まない比較例1~3の組成物が、低分子量キトサンを含むが、一切の沈殿物を生じることができなかったことを示す。
【0213】
比較例4及び5は、20,000以上の分子量を有するキトサンを含む比較例4及び5の組成物が、水で希釈する前に沈殿を生じたことを示す。例えば、貯蔵中の組成物の非一様性又は不均質性のため、水で希釈する前の沈殿物は好ましくない。
【外国語明細書】