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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025145760
(43)【公開日】2025-10-03
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20250926BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20250926BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20250926BHJP
【FI】
G06F1/20 C
F24F3/044
G06F1/20 A
G06F1/20 B
G06F1/20 D
H05K7/20 M
H05K7/20 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046131
(22)【出願日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】521460549
【氏名又は名称】株式会社梓総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】田中 明彦
【テーマコード(参考)】
3L053
5E322
【Fターム(参考)】
3L053BB05
5E322AA05
5E322BB08
5E322DA02
5E322DA04
5E322DB12
5E322EA05
5E322EA11
5E322FA01
(57)【要約】
【課題】コンピュータが設置された部屋を冷却しつつ、コンピュータの内部の冷却も可能とする。
【解決手段】冷却システム1は、サーバSが設置された部屋Rを冷却し、部屋Rの空気を、冷媒との熱交換により冷却する第1熱交換部11と、サーバSの部品Pを冷却する第2熱交換部12と、第1熱交換部11と第2熱交換部12とに接続され、第1熱交換部11及び第2熱交換部12において熱交換される冷媒が流通する流通管15と、を備え、第1熱交換部11において熱交換された冷媒によって、第2熱交換部12の熱交換が行われることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが設置された部屋を冷却する冷却システムであって、
前記部屋の空気を、冷媒との熱交換により冷却する第1熱交換部と、
前記コンピュータの内部を、冷媒との熱交換により冷却する第2熱交換部と、
前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに接続され、前記第1熱交換部及び前記第2熱交換部において熱交換される冷媒が流通する流通管と、を備え、
前記第1熱交換部において熱交換された冷媒によって、前記第2熱交換部の熱交換が行われることを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記第2熱交換部と前記第1熱交換部の間において、前記流通管に接続された第3熱交換部を更に備え、
前記第3熱交換部は、前記第2熱交換部において熱交換された冷媒を、前記部屋外を流通する液体との熱交換により冷却し、当該液体を温め、
前記第3熱交換部により冷却された冷媒は、前記第1熱交換部において、熱交換に使用されることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
少なくとも前記第1熱交換部を制御する制御部を、更に備え、
前記制御部は、
太陽光により発電した電力で、前記第1熱交換部に前記部屋を冷却させ、
前記部屋が所定の室温となった後に発電された余剰電力で、前記第1熱交換部に前記部屋を更に冷却させることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータが設置された部屋を冷却する冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータが設置された部屋であるサーバルームは、コンピュータが動作することで、部屋内の温度が上昇する。部屋内の温度が上昇すると、コンピュータに不具合が発生する虞がある。このため、サーバルームを冷却する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱交換装置と、外気を熱交換装置へ送給する外気ダクトと、熱排気を建屋の外へ送給する排気ダクトを備え、熱交換装置は、ヒートパイプを伝熱要素とする外気冷却式の第1熱交換体と、水冷式の第2熱交換体と、空調ケースと、送風ファンおよび循環ファンと、送水設備などで構成され、外気を送風ファンで熱交換装置へ送給して、第1熱交換体でサーバーラック内の空気調和を行い、外気温が高いときは、冷却水を送水設備で第2熱交換体に送給して、第1熱交換体と第2熱交換体でサーバーラック内の空気調和を行うサーバーシステム用の空気調和装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-23837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンピュータが設置された部屋に設置されるコンピュータは、内部にCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)が配置され、使用時にはこれらの部品が熱を発生する。サーバルーム等の部屋は、この熱により温度が上昇するため、特許文献1に記載された技術等により冷却する必要がある。
【0006】
しかしながら、部屋を冷却したとしても、部屋の冷却とは別に、コンピュータの内部に配置された部品(CPUやGPU)を冷却する必要があるが、特許文献1に記載された技術では、コンピュータの内部まで冷却することはできない。このため、部屋の冷却と、コンピュータの部品とを、それぞれ別の冷媒により冷却していたため、部屋の冷却に使用した冷媒が有効に活用されていなかった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、コンピュータが設置された部屋を冷却しつつ、コンピュータの内部の冷却も可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) コンピュータが設置された部屋を冷却する冷却システムであって、
前記部屋の空気を、冷媒との熱交換により冷却する第1熱交換部と、
前記コンピュータの内部を、冷媒との熱交換により冷却する第2熱交換部と、
前記第1熱交換部と前記第2熱交換部とに接続され、前記第1熱交換部及び前記第2熱交換部において熱交換される冷媒が流通する流通管と、を備え、
前記第1熱交換部において熱交換された冷媒によって、前記第2熱交換部の熱交換が行われることを特徴とする冷却システム。
【0009】
(1)の発明では、冷却システムは、第1熱交換部と、第2熱交換部と、流通管と、を備え、コンピュータが設置された部屋を冷却する。
第1熱交換部は、部屋の空気を、冷媒との熱交換により冷却する。
第2熱交換部は、コンピュータの内部を、冷媒との熱交換により冷却する。
流通管は、第1熱交換部と第2熱交換部とに接続され、第1熱交換部及び第2熱交換部において熱交換される冷媒が流通する。
そして、冷却システムは、第1熱交換部において熱交換された冷媒によって、第2熱交換部の熱交換が行われる。
【0010】
(1)の発明によれば、冷却システムは、コンピュータが設置された部屋を冷却した冷媒によって、コンピュータの内部を、冷媒との熱交換により冷却する。
したがって、コンピュータが設置された部屋を冷却しつつ、コンピュータの内部の冷却も可能となる。
【0011】
(2) 前記第2熱交換部と前記第1熱交換部の間において、前記流通管に接続された第3熱交換部を更に備え、
前記第3熱交換部は、前記第2熱交換部において熱交換された冷媒を、前記部屋外を流通する液体との熱交換により冷却し、当該液体を温め、
前記第3熱交換部により冷却された冷媒は、前記第1熱交換部において、熱交換に使用されることを特徴とする(1)に記載の冷却システム。
【0012】
(2)の発明では、冷却システムは、第3熱交換部を更に備える。
第3熱交換部は、第2熱交換部と第1熱交換部の間において、流通管に接続され、第2熱交換部において熱交換された冷媒を、部屋外を流通する液体との熱交換により冷却し、当該液体を温める。
そして、第3熱交換部により冷却された冷媒は、第1熱交換部において、熱交換に使用される。
【0013】
(2)の発明によれば、冷却システムは、コンピュータが設置された部屋を冷却した冷媒によって、コンピュータの内部を、冷媒との熱交換により冷却する。次に、コンピュータの内部を冷却した冷媒を、部屋外を流通する液体との熱交換により冷却し、当該液体を温める。そして、冷却された冷媒によって、コンピュータが設置された部屋を冷却する。
【0014】
このようなコンピュータが設置された部屋とコンピュータの内部を冷却した冷媒で、温められた液体は、部屋外の湯を使用する施設等(例えば、浴場、プール、足湯等)で利用可能である。
したがって、コンピュータが設置された部屋を冷却しつつ、コンピュータの内部を冷却し、これらの冷却により得た熱で、部屋外の液体を温めることが可能となるので、全体的なエネルギー効率を向上できる。
【0015】
(3) 少なくとも前記第1熱交換部を制御する制御部を、更に備え、
前記制御部は、
太陽光により発電した電力で、前記第1熱交換部に前記部屋を冷却させ、
前記部屋が所定の室温となった後に発電された余剰電力で、前記第1熱交換部に前記部屋を更に冷却させることを特徴とする(1)又は(2)に記載の冷却システム。
【0016】
(3)の発明では、冷却システムは、制御部を、更に備える。
制御部は、少なくとも第1熱交換部を制御する。
そして、制御部は、太陽光により発電した電力で、第1熱交換部に部屋を冷却させ、部屋が所定の室温となった後に発電された余剰電力で、第1熱交換部に部屋を更に冷却させる。
【0017】
(3)の発明によれば、コンピュータが設置された部屋を、太陽光により発電した電力により冷却し、当該部屋が所定の室温となった後に発電された余剰電力により、当該部屋を更に冷却する。すなわち、余剰電力を使用して、当該部屋に蓄冷することが可能となる。この冷気により、当該部屋の温度上昇を抑えたり、例えば、他の部屋を冷却することも可能となる。
したがって、太陽光により発電された余剰電力を効果的に活用し、全体的なエネルギー効率をより向上できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コンピュータが設置された部屋を冷却しつつ、コンピュータの内部の冷却も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る冷却システムの概要を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷却システムが冷却する部屋を形成する構造物の一例を説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷却システムが冷却する部屋を形成する構造物の一例を説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る冷却システムの機能構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る冷却システムの制御部が実行する冷却処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ又は同類の要素には同じ番号または符号を付している。
【0021】
[基本概念/基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る冷却システムの概要を説明する図である。
本発明の実施形態に係る冷却システム1は、構造物100の内部に形成され、コンピュータの一例であるサーバSが設置された部屋(例えば、サーバルーム等)Rを冷却する。
【0022】
構造物100は、比較的断熱性の高い素材(例えば、コンクリート等)により、床、壁、天井が形成され、内部空間である部屋Rに、複数のサーバSが配置されている。
【0023】
サーバSは、外部装置とネットワークを介して接続されており、ネットワークを介して提供される各種サービスの中核となるGPU搭載AI(Artificial Intelligence)対応型サーバである。サーバSは、サービスを提供するための各種処理を実行するための部品Pとして、CPU、GPU等とを備える。
【0024】
図2及び図3は、本発明の実施形態に係る冷却システムが冷却する部屋を形成する構造物の一例を説明する図である。図2及び図3に示す例でも、図1に示すように、冷却システム1が配置されるが、図2及び図3では記載を省略している。
【0025】
図2に示す例(建物一体型)において、構造物100は、コンクリートによる躯体(RC造、SRC造、HRC造等)で形成され、複数階で形成されている。構造物100は、複数階のうち、上下に部屋等の空間が配置されている中間階に、部屋Rが配置されている。
【0026】
図2に示す例において、構造物100がサーバルームとしての機能のみでなく、他の機能(例えば、商業施設、居住施設、事務施設等)も備える場合、部屋Rに至る動線と、他の機能を利用するための動線と、を分けることで、他の機能を利用する利用者の出入りにより、部屋Rの冷気が流出するのを防止できる。
【0027】
図3に示す例(公園型)において、構造物100は、土の中に配置されている。この場合、部屋Rのフロアラインは、構造物100が設置された地域において、災害時の浸水予想高さより高い位置に配置されることが望ましい。
【0028】
図3に示す例において、構造物100は、例えば、公園等に設けられる盛り土の内部に配置することで、床、壁、天井が土で覆われ、環境(例えば、日光の照射等)による部屋R内の温度上昇を抑えることが可能となる。
【0029】
図1に戻って、冷却システム1は、主に、第1熱交換部11と、第2熱交換部12と、第3熱交換部13と、流通管15と、発電部21と、を備える。
【0030】
流通管15は、第1熱交換部11と第2熱交換部12とに接続され、第2熱交換部12と第3熱交換部13とに接続され、第3熱交換部13と第1熱交換部11とに接続され、第1熱交換部11、第2熱交換部12、第3熱交換部13の順に冷媒が流通する。第3熱交換部13から流出した冷媒は、再び、第1熱交換部11に流入する。このような冷媒は、第1熱交換部11、第2熱交換部12及び第3熱交換部13において、熱交換に使用される。
【0031】
第1熱交換部11は、発電部21(例えば、ソーラパネル等)で発電された電気や、外部から供給された電気により、流通管15を流通する液体(例えば、水等)を冷媒として、部屋R内の空気を、冷媒との熱交換により冷却する。
【0032】
第1熱交換部11により使用され、流通管15に排出された冷媒の温度は、25℃~35℃(中温水)である。この冷媒は、流通管15を流通し、第2熱交換部12に供給される。
【0033】
第2熱交換部12は、サーバSの部品P(例えば、CPU、GPU等)を冷却する冷却液が流通する部品用流通管151を備え、冷却液により部品Pが発した熱を吸収することで、サーバSの内部の部品Pを冷却する。部品用流通管151を流通する冷却液は、流通管15を流通する冷媒と熱交換することで、冷却される。
【0034】
第2熱交換部12により使用(部品用流通管151を流通する冷却液と熱交換)され、流通管15に排出された冷媒の温度は、45℃~55℃(温水)である。この冷媒は、流通管15を流通し、第3熱交換部13に供給される。
【0035】
第3熱交換部13は、外部から延びる外部流通管16を流通する液体を加熱する。外部流通管16を流通する液体は、流通管15を流通する冷媒と熱交換することで加熱され、流通管15を流通する冷媒は冷却される。
【0036】
第3熱交換部13により冷却され、流通管15に排出された冷媒の温度は、5℃~15℃(冷水)である。この冷媒は、流通管15を流通し、第1熱交換部11に供給される。
【0037】
外部流通管16を流通する液体は、例えば、井戸水であり、第3熱交換部13により加熱され、例えば、足湯として利用される。
【0038】
[機能構成]
図4は、本発明の実施形態に係る冷却システムの機能構成を示す図である。
冷却システム1は、第1熱交換部11と、第2熱交換部12と、第3熱交換部13と、冷媒流通手段14と、流通管15と、制御部20と、発電部21と、蓄電池22と、を備える。
【0039】
第1熱交換部11は、制御部20に制御され、発電部21(例えば、ソーラパネル等)で発電された電気や、外部から供給された電気により、空気を、冷媒との熱交換により冷却する空調設備で構成され、部屋R内の空気を吸気し、流通管15を流通する液体(例えば、水等)を冷媒として、吸気した空気を、冷媒との熱交換により冷却し、冷却した空気を部屋R内に放出する。
【0040】
例えば、第1熱交換部11は、空調設備として、蒸発器、コンプレッサー、凝縮器、膨張弁等を備える。蒸発器は、冷媒を低圧の環境下で蒸発させる。部屋R内の空気は、冷媒が流れるコイルを通過することで、熱が冷媒に移動し、冷やされる。コンプレッサーは、蒸発してガス状になった冷媒を圧縮する。これにより、冷媒は高温高圧のガス状態になる。凝縮器は、高温高圧のガス状態の冷媒を液体に凝縮する。膨張弁は、冷媒の圧力を低下させる。その後、冷媒は、流通管15に流入され、第2熱交換部12に向かう。
【0041】
第2熱交換部12は、コンピュータの内部の部品Pを冷却する冷却装置を備え、部品P(例えば、CPU、GPU等)に当接する部材(ウォーターブロック等)の内部に冷却液を供給する部品用流通管151を備え、冷却液により部品Pが発した熱を吸収することで、コンピュータの内部の部品Pを冷却する。
【0042】
第2熱交換部12は、例えば、冷却装置として、水冷ブロック、ラジエター、ポンプ等を備える。水冷ブロックは、部品P(例えば、CPU、GPU等)の表面に取り付けられ、部品用流通管151(図1参照)が接続され、部品Pの熱を部品用流通管151を流通する冷却液に移す。ラジエターは、部品用流通管151を流通する冷却液の熱を、流通管15から供給された冷媒に移す。ポンプは、冷却液を部品用流通管151内に流通させる。冷却液の熱が移された冷媒は、流通管15に流入され、第3熱交換部13に向かう。なお、冷却装置は、部品Pが発生した熱を、流通管15から供給された冷媒に移せれば、空冷式等の任意の構成とすることができる。
【0043】
第3熱交換部13は、液体(例えば、水等)を加熱する熱交換器で構成され、外部から延びる外部流通管16を流通する液体を加熱する。外部流通管16を流通する液体は、流通管15を流通する冷媒と熱交換することで加熱され、流通管15を流通する冷媒は冷却される。
【0044】
冷媒流通手段14は、制御部20に制御され、発電部21(例えば、ソーラパネル等)で発電された電気や、外部から供給された電気により駆動するポンプやモータで構成され、流通管15内に冷媒を流通させる。なお、冷媒流通手段14は、流通管15内に冷媒を流通させることができれば、任意の位置に設けることができる。
【0045】
制御部20は、コンピュータにより構成され、第1熱交換部11、第2熱交換部12、第3熱交換部13及び冷媒流通手段14を制御する。また、制御部20は、発電部21で発電された電気を、蓄電池22に蓄電する制御を行う。
【0046】
制御部20は、内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶手段)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや、CPUに実行させるソフトウェア等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって、その他の構成を制御して、冷却システム1の冷却処理を実行する。
【0047】
発電部21は、例えば、ソーラパネルで構成され、構造物100の屋上に設置され、太陽光により発電し、発電した電力を第1熱交換部11等に供給する。発電部21は、公知の構成であり、例えば、シリコン半導体で太陽光を受光し、発電する。
【0048】
蓄電池22は、制御部20の制御により、余剰電力と判定された電力を蓄電する。蓄電池22は、公知の構成であり、例えば、リチウムイオン電池等である。
【0049】
[処理フロー]
図5は、本発明の実施形態に係る冷却システムの制御部が実行する冷却処理フローを示す図である。
【0050】
ステップS1において、冷却システム1の管理者の操作や設定に基づき、制御部20は、第1熱交換部11、第2熱交換部12及び冷媒流通手段14を制御し、通常冷却として、流通管15において冷媒を流通させ、部屋R内、サーバSの部品Pのそれぞれを、予め設定された温度範囲になるように冷却する。また、本ステップにおいて、制御部20は、第3熱交換部13を制御して、第3熱交換部13を通過した冷媒を、予め設定された温度範囲になるように冷却する(外部流通管16を流通する液体が、予め設定された温度範囲になるように加熱する。)。
【0051】
ステップS2において、制御部20は、部屋R内が、予め設定されている所定の室温になっているか否かを判定し、所定の室温になっていると判定した場合には、ステップS3に処理を移し、所定の室温になっていないと判定した場合には、ステップS1に処理を戻し、部屋R内を所定の室温まで冷却する。部屋R内が、所定の室温になった後に、発電部21から供給された電力は、余剰電力となる。
【0052】
ステップS3において、制御部20は、発電部21から供給された電力(余剰電力)を、蓄電池22に充電する。
【0053】
ステップS4において、制御部20は、蓄電池22が満充電されているか否かを判定し、満充電されていると判定した場合には、ステップS5に処理を移し、満充電されていないと判定した場合には、ステップS3に処理を戻す。
【0054】
ステップS5において、制御部20は、発電部21から供給された電力(余剰電力、詳細には、蓄電池22が満充電後の余剰電力)により、部屋R内を過冷却する(所定の室温より更に低い温度に冷却する)。
【0055】
このような冷却システム1によれば、サーバSが設置された部屋Rを冷却した冷媒によって、サーバSの内部を、冷媒との熱交換により冷却する。
したがって、サーバSが設置された部屋を冷却しつつ、サーバSの部品P(例えば、CPU、GPU等)の冷却も可能となる。
【0056】
また、冷却システム1によれば、サーバSが設置された部屋Rを冷却した冷媒によって、サーバSの部品P(例えば、CPU、GPU等)を冷却する。次に、サーバSの部品Pを冷却した冷媒を、部屋R外を流通する液体との熱交換により冷却し、当該液体を温める。そして、冷却された冷媒によって、サーバSが設置された部屋Rを冷却する。
【0057】
このようなサーバSが設置された部屋RとサーバSの部品Pを冷却した冷媒で、温められた液体は、部屋R外の湯を使用する施設等(例えば、浴場、プール、足湯等)で利用可能である。
したがって、サーバSが設置された部屋Rを冷却しつつ、サーバSの部品Pを冷却し、これらの冷却により得た熱で、部屋R外の液体を温めることが可能となるので、全体的なエネルギー効率を向上できる。
【0058】
また、冷却システム1によれば、サーバSが設置された部屋Rを、太陽光により発電した電力により冷却し、当該部屋Rが所定の室温となった後に発電された余剰電力により、当該部屋Rを更に冷却する。すなわち、余剰電力を使用して、当該部屋Rに蓄冷することが可能となる。この冷気により、当該部屋Rの温度上昇を抑えたり、例えば、他の部屋を冷却することも可能となる。
したがって、太陽光により発電された余剰電力を効果的に活用し、全体的なエネルギー効率をより向上できる。
【0059】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0060】
1 冷却システム
11 第1熱交換部
12 第2熱交換部
13 第3熱交換部
14 冷媒流通手段
15 流通管
16 外部流通管
20 制御部
21 発電部
22 蓄電池
100 構造物
151 部品用流通管
図1
図2
図3
図4
図5