(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025145936
(43)【公開日】2025-10-03
(54)【発明の名称】高所作業装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/22 20060101AFI20250926BHJP
F15B 11/00 20060101ALN20250926BHJP
【FI】
B66F9/22 V
F15B11/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046459
(22)【出願日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】一新 賢二
【テーマコード(参考)】
3F333
3H089
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB07
3F333FB05
3H089AA52
3H089BB06
3H089BB17
3H089CC01
3H089DA02
3H089DB12
3H089EE06
3H089EE36
3H089EE39
3H089FF03
3H089FF07
3H089GG02
3H089JJ20
(57)【要約】
【課題】ショックを抑制する。
【解決手段】高所作業装置1は、作業台3を昇降させる油圧シリンダ4と、油圧シリンダ4から排出される作動油又は油圧シリンダ4に供給される作動油の流量を制御する電磁比例弁201と、電磁比例弁201の作動を制御するコントローラ50Aと、を備える。コントローラ50Aは、作業台3の作動、停止に用いられるオンオフ信号がオンとオフとの間で切り換えられた際に、オンオフ信号を時定数Tによってなまらせて電磁比例弁201の制御指令信号である電流指令信号を生成し、時定数Tは、油圧シリンダ4に作用する負荷に応じて設定される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台を昇降させる流体圧アクチュエータと、
前記流体圧アクチュエータから排出される作動流体又は前記流体圧アクチュエータに供給される作動流体の流量を制御する電磁比例弁と、
前記電磁比例弁の作動を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記作業台の作動、停止に用いられるオンオフ信号がオンとオフとの間で切り換えられた際に、前記オンオフ信号を時定数によってなまらせて前記電磁比例弁の制御指令信号を生成し、
前記時定数は、前記流体圧アクチュエータに作用する負荷に応じて設定される、
ことを特徴とする高所作業装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高所作業装置であって、
前記コントローラは、作業時の前記流体圧アクチュエータの負荷荷重又は負荷に応じた作動流体圧をA、前記流体圧アクチュエータの基準負荷荷重又は基準作動流体圧をA0、前記基準負荷荷重又は前記基準作動流体圧に対応する基準時定数をT0として、T=T0(1/√(√A/√A0))で示される式に基づき、前記時定数Tを設定する、
ことを特徴とする高所作業装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高所作業装置であって、
前記作業台は、複数の停止位置を有し、
前記コントローラは、前記複数の停止位置を指示可能な指示器からの信号と、前記複数の停止位置のそれぞれよりも手前で、前記作業台の位置を検出可能なセンサからの信号と、に基づき、前記時定数に応じた前記電磁比例弁の停止指令信号を生成し、同じタイミングで、生成された前記停止指令信号に基づき前記電磁比例弁の作動を制御する、
ことを特徴とする高所作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高所作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電磁パイロット弁に並列に接続されるコンデンサ、抵抗の時定数分だけ遅れて電磁パイロット弁を消磁させることで、停止ショックを小さくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術では、時定数が固定されているので、負荷に応じて停止位置が異なってしまい、作業上のストレスとなる。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、作業員の作業上のストレスを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業台を昇降させる流体圧アクチュエータと、流体圧アクチュエータから排出される作動流体又は流体圧アクチュエータに供給される作動流体の流量を制御する電磁比例弁と、電磁比例弁の作動を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、作業台の作動、停止に用いられるオンオフ信号がオンとオフとの間で切り換えられた際に、オンオフ信号を時定数によってなまらせて電磁比例弁の制御指令信号を生成し、時定数は、流体圧アクチュエータに作用する負荷に応じて設定される、ことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、流体圧アクチュエータの負荷に応じて設定された時定数でオンオフ信号をなまらせて電磁比例弁の制御指令信号を生成するので、負荷に応じた適切な度合いで作業台を緩やかに作動、停止させることができる。このため、ショックを抑制しつつも、作業員は負荷の大きさによらず、作業台を同程度の位置に止め易くなる。
【0008】
また、本発明は、コントローラは、作業時の流体圧アクチュエータの負荷荷重又は負荷に応じた作動流体圧をA、流体圧アクチュエータの基準負荷荷重又は基準作動流体圧をA0、基準負荷荷重又は基準作動流体圧に対応する基準時定数をT0として、T=T0(1/√(√A/√A0))で示される式に基づき、時定数Tを設定する、ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、本発明者らが試行錯誤して見出した上述の式を用いることで、下降する作業台が停止指示に応じて直ちに停止せずに、一次遅れで緩やかに減速する際のオーバーラン量が、流体圧アクチュエータの負荷荷重又は負荷に応じた作動流体圧Aによらず同程度になるように時定数Tを設定できる。このため、ショックを抑制しつつも、作業員は負荷の大きさによらず、作業台を同程度の位置に止め易くなる。
【0010】
また、本発明は、作業台は、複数の停止位置を有し、コントローラは、複数の停止位置を指示可能な指示器からの信号と、複数の停止位置のそれぞれよりも手前で、作業台の位置を検出可能なセンサからの信号と、に基づき、時定数に応じた電磁比例弁の停止指令信号を生成し、同じタイミングで、生成された停止指令信号に基づき電磁比例弁の作動を制御する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、負荷によらず同じタイミングで信号を出力して、作業台を同じ位置に停止させることができる。つまり、負荷によって使用する時定数が違うだけで、同じ制御(プログラム)でよい。
【発明の効果】
【0012】
これらの発明によれば、作業員の作業上のストレスを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る高所作業装置の概略構成図である。
【
図2】流体圧制御装置の流体圧回路を示す図である。
【
図3】コントローラの要部を示すブロック図である。
【
図4】負荷荷重に応じた時定数とした時の下降停止時の作業台の高さの変化を示す図である。
【
図5】負荷荷重に関わらず、時定数を一定にした比較例の場合を示す図である。
【
図6】第1変形例に係るコントローラの第1適用例を示す図である。
【
図7】第1変形例に係るコントローラの第2適用例を示す図である。
【
図8】第2変形例に係るコントローラの要部を示すブロック図である。
【
図9】第3変形例に係る高所作業装置の作業場を示す図である。
【
図10】第3変形例に係る流体圧制御装置の流体圧回路を示す図である。
【
図11】第3変形例に係るコントローラの要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、高所作業装置1の概略構成図である。高所作業装置1は、ベース2と、ベース2に昇降可能に設けられた作業台3と、作業台3を昇降させる流体圧アクチュエータとしての油圧シリンダ4と、油圧シリンダ4のピストンロッド4bの先端部に設けられた支持部材5と、支持部材5に回転自在に支持されたシーブ6と、シーブ6を介して両端がベース2と作業台3とに固定されたワイヤ7と、作業台3を上下方向に案内するガイド8と、を備える。なお、ベース2に固定されたワイヤ7の一端は、
図1において油圧シリンダ4の背後に隠れている。
【0016】
ベース2は台車であり、高所作業装置1を可搬にする。ベース2は、横から見た場合に前後の部分が上に延びたコの字状であり、ベース2の中央には作業台3のフロア3aが配置される。ベース2の後部は筐体状であり、流体圧制御装置10を収容する。
【0017】
作業台3は、フロア3aから上に延びる壁3b,3cを前後に有する。前方の壁3bの上部には、前方に向かって延びる台3dが設けられる。後方の壁3cは、前方の壁3bよりも上に延びた後に後方に延びる。後方に延びた部分は、ガイド8により案内されるガイド部3eを構成する。後方の壁3cには、作業台3に搭乗したユーザを保護する開閉式の安全バー3fが設けられる。
【0018】
油圧シリンダ4は、ベース2に設けられ、ベース2の後部上面に起立する。油圧シリンダ4は、シリンダチューブ4aと、シリンダチューブ4a内に挿入され一端側(
図1の上側)がシリンダチューブ4a外に延びるピストンロッド4bと、ピストンロッド4bの端部(
図1の下側の端部)に設けられシリンダチューブ4aの内周面に沿って摺動するピストン4cと、を有する。
【0019】
油圧シリンダ4が伸長すると、シーブ6が上昇し、シーブ6及びベース2間のワイヤ7の長さが長くなるとともに、シーブ6及び作業台3間のワイヤ7の長さが短くなるので、作業台3が上昇する。油圧シリンダ4が収縮すると、シーブ6及びベース2間のワイヤ7の長さが短くなるとともに、シーブ6及び作業台3間のワイヤ7の長さが長くなるので、作業台3が下降する。作業台3は、ガイド8により上下方向に沿って案内され、油圧シリンダ4への作動油(作動流体)の給排は、流体圧制御装置10によって制御される。
【0020】
図2は、流体圧制御装置10の流体圧回路を示す図である。なお、
図2では作業台3及び油圧シリンダ4を簡略化して示している。
【0021】
流体圧制御装置10は、タンク11と、タンク11内の作動油を吸引するポンプ12と、ポンプ12を駆動するモータ13と、タンク11とポンプ12の吸込口12aとを連通する第1流路14と、ポンプ12の吐出口12bと油圧シリンダ4のボトム側室4dとを連通する第2流路15と、第2流路15に設けられ、ポンプ12からボトム側室4dに向かう作動油の流れを許容しその反対方向の作動油の流れを遮断するチェック弁16と、第2流路15においてチェック弁16の下流側に設けられ、第2流路15を連通、遮断する電磁切換弁17と、第2流路15においてチェック弁16の下流側に設けられ、第2流路15の作動油の流量を絞る可変絞り18と、可変絞り18よりも下流側で第2流路15から分岐してタンク11に連通する第3流路19と、第3流路19に設けられ、圧力補償を行いつつ油圧シリンダ4から排出される作動油の流量を制御する圧力補償電磁比例流量制御弁20と、チェック弁16よりも上流側で第2流路15に連通するとともに圧力補償電磁比例流量制御弁20よりも下流側で第3流路19に連通する第4流路21と、第4流路21に設けられ、第2流路15から第4流路21を通じて作動油をタンク11に戻すリリーフ弁22と、第1流路14及び第2流路15に設けられ、作動油をろ過するフィルタ23と、を有する。
【0022】
電磁切換弁17は、第2流路15を遮断状態(一方向遮断状態)にする第1位置(
図2に示す状態)と、第2流路15を連通状態にする第2位置と、を有する。第1位置では、電磁切換弁17は、ポンプ12から油圧シリンダ4のボトム側室4dに向かう作動油の流れを遮断する一方、ボトム側室4dからポンプ12に向かう作動油の流れを許容するチェック弁として機能する。
【0023】
圧力補償電磁比例流量制御弁20は、油圧シリンダ4から排出される作動油の流量を制御する電磁比例弁201と、電磁比例弁201よりも上流側に設けられ電磁比例弁201の前後圧力差による作動油の流量変化を抑制する圧力補償弁202と、を有する。
【0024】
電磁比例弁201は、第3流路19を遮断状態(一方向遮断状態)にする第1位置(
図2に示す状態)と、第3流路19を連通状態にする第2位置と、を有する。第1位置では、電磁比例弁201は、油圧シリンダ4のボトム側室4dからタンク11に向かう作動油の流れを遮断する一方、タンク11からボトム側室4dに向かう作動油の流れを許容するチェック弁として機能する。第2位置では、電磁比例弁201は絞りとして機能する。
【0025】
圧力補償弁202は、第3流路19を連通状態にする第1位置(
図2に示す状態)と、第3流路19を遮断状態にする第2位置と、を有する。圧力補償弁202は、スプールの両端部に作用する圧力を導くポート202a,202bを有し、ポート202a,202bには、電磁比例弁201の前後の圧力が導かれる。圧力補償弁202では、電磁比例弁201の前後圧力差に応じてスプールが移動することで位置の切り換えが行われ、これにより作動油の流量が略一定になるように調整される。
【0026】
圧力補償電磁比例流量制御弁20では、電磁比例弁201が、第2位置で絞りとして機能する電磁比例流量制御弁で構成される。このため、圧力補償弁202は、いわば絞りと電磁比例流量制御弁とに共通の圧力補償弁として設けられ、絞りと電磁比例流量制御弁とに別々の圧力補償弁を設ける必要がない。また、電磁比例弁201は、第1位置でチェック弁として機能するので、スプール弁と比べて作動油の遮断性が高く、電磁比例弁201の手前に連通、遮断を切り換える電磁切換弁17のようなポペットタイプの弁も別途設けずに済む。
【0027】
電磁切換弁17及び圧力補償電磁比例流量制御弁20は、コントローラ50Aに電気的に接続され、これらの作動は、コントローラ50Aによって制御される。コントローラ50Aには、圧力補償電磁比例流量制御弁20の電磁比例弁201が電気的に接続され、コントローラ50Aにより電磁比例弁201の作動を制御することで、圧力補償電磁比例流量制御弁20の作動が制御される。
【0028】
コントローラ50Aは、流体圧制御装置10の制御装置であり、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAM等をROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって、電磁切換弁17及び圧力補償電磁比例流量制御弁20の作動が制御される。
【0029】
コントローラ50Aは、少なくとも、本実施形態に係る制御を実行するために必要な処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、コントローラ50Aは、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。また、コントローラ50Aは一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、本実施形態における制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
【0030】
コントローラ50Aには、指示器である昇降スイッチ30Aからの信号が入力される。昇降スイッチ30Aは、作業台3を昇降させるための操作スイッチであり、作業台3に設けられる。なお、コントローラ50Aも作業台3に設けることができる。
【0031】
昇降スイッチ30Aは、上昇指示部としての上昇押釦スイッチ30aと、下降指示部としての下降押釦スイッチ30bとを有し、昇降スイッチ30Aからコントローラ50Aには、上昇押釦スイッチ30aが押下されている状態でオンになり、上昇押釦スイッチ30aが押下されていない状態でオフになる上昇側のオンオフ信号と、下降押釦スイッチ30bが押下されている状態でオンになり、下降押釦スイッチ30bが押下されていない状態でオフになる下降側のオンオフ信号と、が入力される。
【0032】
コントローラ50Aは、上昇側のオンオフ信号に基づき、電磁切換弁17の作動を制御する。コントローラ50Aは、上昇側のオンオフ信号がオンの場合に、電磁切換弁17を励磁して連通状態にする(第2位置)。これにより、ポンプ12から電磁切換弁17を通じて油圧シリンダ4のボトム側室4dに作動油を供給できるので、油圧シリンダ4を伸長させて作業台3を上昇させることができる。また、作動油は可変絞り18を通じてボトム側室4dに供給されるので、可変絞り18の絞り度合いに応じた適度な速度で作業台3を上昇させることができる。
【0033】
コントローラ50Aは、上昇側のオンオフ信号がオフの場合に、電磁切換弁17を非励磁にしてチェック弁として機能させる(第1位置)。これにより、ポンプ12から電磁切換弁17を通じて油圧シリンダ4のボトム側室4dに作動油を供給できなくなるので、作業台3を停止させることができる。
【0034】
コントローラ50Aは、下降側のオンオフ信号に基づき電磁比例弁201の作動を制御する。下降側のオンオフ信号は、コントローラ50Aによって後述するように時定数制御され、オンとオフとの間で切り換えられた場合は、時定数制御によって過渡的に変化した後に、定常的にオン(定常オン)又は定常的にオフ(定常オフ)になる。
【0035】
コントローラ50Aは、下降側のオンオフ信号が定常オンの場合に、電磁比例弁201を励磁して絞りとして機能させる(第2位置)。これにより、油圧シリンダ4のボトム側室4dから電磁比例弁201を通じてタンク11に作動油を排出できるので、油圧シリンダ4を収縮させて作業台3を下降させることができる。また、作動油は絞りとして機能する電磁比例弁201を通じてタンク11に排出されるので、絞りとして機能する電磁比例弁201の絞り度合いに応じた適切な速度で作業台3を下降させることができる。
【0036】
コントローラ50Aは、下降側のオンオフ信号が定常オフの場合に、電磁比例弁201を非励磁にしてチェック弁として機能させる(第1位置)。これにより、油圧シリンダ4のボトム側室4dから電磁比例弁201を通じてタンク11に作動油を排出できなくなるので、作業台3を停止させることができる。
【0037】
下降側のオンオフ信号は、オンとオフとの間で切り換えられた場合に、次に説明するようにコントローラ50Aによって時定数制御される。
【0038】
図3は、コントローラ50Aの要部を示すブロック図である。コントローラ50Aは、昇降スイッチ30Aのオンオフ信号を取得するオンオフ信号取得部50aと、オンオフ信号取得部50aによって取得されたオンオフ信号を時定数Tに基づきなまらせて電磁比例弁201の制御指令信号としての電流指令信号を生成する電流指令信号生成部50bと、電流指令信号生成部50bによって生成された電流指令信号とフィードバックされたソレノイド電流とに基づき、電磁比例弁201を制御するためのソレノイド電流を生成する電流ドライバ50cと、を有する。なお、
図3に示すコントローラ50Aのオンオフ信号取得部50a等は、コントローラ50Aの各機能を仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。また、上記機能はコントローラ50Aが実行する制御の一部であり、コントローラ50Aではこれら以外の機能に関連する制御も随時実行される。
【0039】
オンオフ信号取得部50aでは、下降側のオンオフ信号が取得され、取得された下降側のオンオフ信号は、電流指令信号生成部50bに入力される。電流指令信号生成部50bには、時定数設定スイッチ51から時定数Tも入力され、電流指令信号生成部50bは、入力されたオンオフ信号を入力された時定数Tによってなまらせて電流指令信号を生成する。なまらせるとは、ステップ的に変化する矩形状の信号(ステップ入力、インパルス入力)を緩やかに変化させることでピークを遅らせることであり、時定数Tによってなまらせられたオンオフ信号は、1次遅れの応答になる。
【0040】
時定数設定スイッチ51はダイヤルスイッチであり、作業台3に設けられる。ユーザは、時定数設定スイッチ51を用いて時定数Tを設定することで、下降(作動)開始時、停止時(停止開始時)の作業台3の動作の緩やかさを設定できる。
【0041】
例えば、ユーザが重量物の荷物とともに作業台3に乗って下降する場合は、荷物なしの場合よりも時定数Tを大きく設定することで、作業台3の急降下による下降開始時の加速ショックや、作業台3の急停止による停止時の減速ショックを軽減することができる。従って、時定数設定スイッチ51を用いて時定数Tを設定することで、油圧シリンダ4に作用する負荷に応じた時定数T(時定数T1)を設定できる。時定数設定スイッチ51には例えば、ショックを抑制する観点から設定されるべき時定数Tに対応する油圧シリンダ4の荷重(負荷)を複数個所に表示した目盛りを目安として設けることができる。目盛りには例えば、キログラム単位表示の複数の数値を表示できる。目盛りには、高所作業装置1の使用態様に応じて例えば、乗員の人数や荷物の重さ、或いは荷物の重さが分かる場合は荷物の個数などを表示してもよい。
【0042】
電流指令信号生成部50bは、入力されたオンオフ信号がオフからオンに切り換えられた場合に、入力された時定数T1に基づき下降側のオンオフ信号をなまらせる。これにより、電流指令信号がステップ的に大きくならず、一次遅れで次第に大きくなる。また、電流指令信号生成部50bは、入力されたオンオフ信号がオンからオフに切り換えられた場合に、入力された時定数T1に基づき下降側のオンオフ信号をなまらせる。これにより、電流指令信号がステップ的に小さくならず、一次遅れで次第に小さくなる。なまらせられたオンオフ信号は、電流指令信号への変換を通じて電流指令信号として生成できる。電流指令信号生成部50bで生成された電流指令信号は、電流ドライバ50cに入力される。
【0043】
電流ドライバ50cは、電磁比例弁201のソレノイド電流(実値)がPWM(Pulse Width Modulation)制御による指令で与えられた電流の目標値になるようにするためのソレノイド電流(制御値)を生成する。電流ドライバ50cでは、入力された電流指令信号(目標値)とフィードバックされたソレノイド電流(実値)との偏差に基づき、ソレノイド電流(実値)が電流指令信号(目標値)に追従するようにソレノイド電流(制御値)が生成される。生成されたソレノイド電流は電磁比例弁201に入力される。
【0044】
これにより、油圧シリンダ4から排出される作動油の流量が、時定数T1に応じて制御される。従って、油圧シリンダ4に作用する負荷に応じた適切な度合いで下降開始時、停止時の作業台3の動作を緩やかにして、ショックを抑制できる。また、時定数設定スイッチ51を用いて油圧シリンダ4の負荷に応じて時定数T1を適切に設定することで、後述するようにオーバーラン量OR(
図10参照)を同程度にすることができる。このため、作業員は負荷の大きさによらず、作業台3を同程度の位置に止め易くなり、作業上のストレスが低減する。
【0045】
なお、電磁切換弁17及び可変絞り18(
図2参照)に代えて、圧力補償電磁比例流量制御弁20と同様の弁を設けることで、油圧シリンダ4に供給される作動油の流量を制御する電磁比例弁(電磁比例弁201と同様の電磁比例弁)を設けるとともに、上昇側のオンオフ信号を時定数T1によってなまらせて当該電磁比例弁を制御するための電流指令信号を生成するようにしてもよい。これにより、作業台3の上昇開始時、停止時にも、作業台3の急作動、急停止を抑制することで、ショックを抑制できる。また、作業員は負荷の大きさによらず、作業台3を同程度の位置に止め易くなるので、作業上のストレスが低減する。
【0046】
(第1変形例)
上記実施形態では、時定数Tは、時定数設定スイッチ51を用いて設定される。本第1変形例では、時定数Tの設定方法が上記実施形態とは異なる。
【0047】
時定数Tによってオンオフ信号をなまらせると、作業台3を止めたい位置で下降押釦スイッチ30bをオフにして停止指示を行っても、作業台3が直ちに停止せずにオーバーランすることになる。一方、停止指示が行われてから作業台3が停止するまでの距離であるオーバーラン量OR(
図10参照)は、時定数Tによって調整できるが、油圧シリンダ4の負荷が大きいほど、下降する作業台3のオーバーラン量ORも大きくなってしまう。このため、負荷によらずオーバーラン量ORを同程度にすることができれば、許容可能な範囲内でショックを抑制しつつ、作業台3を負荷の大きさによらず同様の操作タイミングで同程度の位置に停止でき、作業性が良くなる。
【0048】
本発明者らは、このような知見のもと、試行錯誤により油圧シリンダ4の負荷の大きさによらずオーバーラン量ORを同程度とする時定数Tを求める次式を見出した。
[数1]
T=T0(1/√(√A/√A0))
Aは、負荷要素としての作業時の油圧シリンダ4の負荷荷重W又は負荷に応じた作動油圧Pであり、A0は、基準負荷要素としての油圧シリンダ4の基準負荷荷重W0又は基準作動油圧P0であり、T0は、基準負荷荷重W0又は基準作動油圧P0に対応する基準時定数(負荷荷重Wが基準負荷荷重W0の場合又は作動油圧Pが基準作動油圧P0の場合の時定数T)である。作業時の負荷荷重W又は作動油圧Pは、ユーザが荷物とともに作業台3にいる状態での負荷荷重又は作動油圧である。
【0049】
基準負荷荷重W0は、基準時定数T0とともに予め設定される。例えば、基準負荷荷重W0を人が乗っていない空の作業台3の質量:500kgとし、その基準負荷荷重W0に対応する適切なオーバーシュート量になると判断した基準時定数T0を0.5とすることで、これらが予め設定される。基準作動油圧P0は、基準負荷荷重W0の代わりに用いることが可能な基準負荷要素であり、油圧シリンダ4のボア径をDとすると、次の数2の式で表される。同様の関係は、次の数3の式で示されるように、作業時の作動油圧Pと負荷荷重Wとの間でも成立する。従って、数2及び数3の式から次の数4の式が求められる。
[数2]
P0=W0×9.80665(D2×π/4)
なお、W0は例えば、人が乗っていない空の作業台3の質量である。
[数3]
P=W×9.80665(D2×π/4)
なお、Wは例えば、人が乗った状態での作業台3の質量である。
[数4]
P/P0=W/W0
【0050】
数4の式によれば、数1の式において、負荷要素Aとして負荷荷重Wを用いた荷重ベースの演算で時定数Tを算出してもよいし、負荷要素Aとして作動油圧Pを用いた圧力ベースの演算で時定数Tを算出してもよいことがわかる。
【0051】
第1変形例では、コントローラ50B(
図6,7参照)は、数1のT=T
0(1/√(√A/√A
0))で示される式に基づき作業台3を下降させる場合の時定数T(時定数T2)(
図6,7参照)を設定する。
【0052】
このように時定数T2を設定すれば、停止指示に応じて直ちに停止せずに、一次遅れで緩やかに減速する作業台3のオーバーラン量ORが、油圧シリンダ4の負荷によらず同程度になる。例えば、数1の式によれば、基準負荷荷重W
0が500kg、基準時定数T
0が0.5の場合に、負荷荷重Wが700kgなら、時定数T2が0.4597に設定され、負荷荷重Wが1500kgなら、時定数Tが0.3799に設定されることで、負荷荷重Wが700kgの場合と1500kgの場合とで、オーバーラン量ORが同程度になる。なお、数1の式は、作業台3を上昇させる場合の時定数Tに用いられてもよい。またこの場合は、前述したように、電磁切換弁17及び可変絞り18(
図2参照)に代えて、圧力補償電磁比例流量制御弁20と同様の弁を設けることができる。
【0053】
図4は、負荷荷重Wに応じた下降停止時の作業台3の高さ(油圧シリンダ4のストローク位置)の変化を示す図であり、
図5は、負荷荷重Wに関わらず、時定数Tを一定(0.5)にした比較例の場合を示す図である。
【0054】
図4,5において、実線は、負荷荷重Wが500kgで時定数Tがゼロの場合を示す。この場合は、時間t1で作業台3の下降側のオンオフ信号がオフになると、作業台3が直ちに停止して高さが一定になるので、減速ショックが発生する。なお、時定数Tがゼロの場合でも、油圧の応答遅れ等があるので、図示のように時間t1後に若干のオーバーランは発生する。
【0055】
図5に示すように、負荷荷重Wに関わらず、時定数Tを0.5とした比較例の場合は、負荷荷重Wが500kg、700kg、1500kgと大きくなるに従い、作業台3が停止する高さが低くなり、作業台3の停止位置にばらつきが生じる。このため、乗車している作業員は、作業台3を所定の停止位置に調整したり、段差を越えたりしなければならず、作業上のストレスを感じていた。これに対し、
図4に示すように、負荷荷重Wに応じて時定数T2を時定数T21,T22,T23と変えることで、負荷荷重Wによらず、作業台3の停止位置がほぼ同じになり、オーバーラン量ORが同程度になるので、ショックを抑制しつつも、作業台3を同程度の位置に止めることができる。このため、乗車している作業員がショックを感じることなく、所定の停止位置に作業台3を停止させ易くなり、作業上のストレスが低減し、作業性が向上する。
【0056】
次に、第1変形例に係るコントローラ50Bの適用例について説明する。
【0057】
(第1適用例)
図6は、第1変形例に係るコントローラ50Bの第1適用例であるコントローラ50BAを示す図である。第1適用例に係るコントローラ50BA(コントローラ50B)は、数1の式に基づき時定数T2を演算する演算部50dをさらに有し、時定数T2に基づき下降側のオンオフ信号をなまらせる点が、コントローラ50A(
図3参照)と異なる。
【0058】
演算部50dには、演算部50dと通信可能に接続された通信端末60から負荷パラメータが入力され、通信端末60は、負荷パラメータを設定入力可能に構成される。負荷パラメータは、作業台3の質量、乗員体重、荷物質量などの油圧シリンダ4の荷重要素や、油圧シリンダ4のシリンダボア径を含み、ユーザが荷物なしで作業台3にいる場合の荷重(作業台3の質量と乗員体重との和)が、基準負荷荷重W0として設定される。シリンダボア径は、演算部50dにおいて数1の式で圧力ベースの演算を行う場合に、数2の式に基づき、基準負荷荷重W0から基準作動油圧P0を求めるのに用いることができる。以下では、ユーザが荷物なしで作業台3にいる場合を単に空荷の場合とも称す。
【0059】
演算部50dにはさらに、基準時定数設定スイッチ52から基準時定数T0が入力される。基準時定数設定スイッチ52は、基準負荷荷重W0に応じた基準時定数T0を設定するためのスイッチであり、前述した時定数設定スイッチ51と同様、ダイヤルスイッチで構成される。基準時定数設定スイッチ52は、基準時定数T0及び基準負荷荷重W0を演算部50dに読み込ませるための基準特性設定スイッチ53とともに作業台3に設けられる。
【0060】
ユーザは、基準時定数設定スイッチ52を用いて、基準負荷荷重W0に応じた基準時定数T0を設定する。具体的には、ユーザは、暫定的に基準時定数T0をダイヤル設定した上で、空荷の状態(つまり、基準負荷荷重W0の荷重状態)で作業台3の下降を停止させた場合に、オーバーラン量ORが許容範囲内にあり、且つショックが許容レベルかを確認する作業を通じて、基準時定数T0を決定及び設定することができる。
【0061】
基準時定数設定スイッチ52及び通信端末60からは、押釦スイッチで構成された読み込み用の基準特性設定スイッチ53をオンにした場合に、基準時定数T0及び基準負荷荷重W0が演算部50dに読み込まれる。演算部50dは、数1の式を用いて荷重ベースの演算又は圧力ベースの演算を行うように予め構成でき、演算部50dで荷重ベースの演算を行う場合は、通信端末60から基準負荷荷重W0が読み込まれる。演算部50dで圧力ベースの演算を行う場合は、通信端末60からさらにシリンダボア径を読み込むことで、基準作動油圧P0を演算できる。基準作動油圧P0は、通信端末60で演算されてもよく、演算部50dで圧力ベースの演算を行う場合は、基準負荷荷重W0の代わりに基準作動油圧P0が読み込まれてもよい。
【0062】
通信端末60から演算部50dにはさらに、荷物質量も読み込まれる。荷物質量は予め把握され、作業台3の質量と乗員体重と荷物質量の和が負荷荷重Wを構成する。なお、演算部50dで圧力ベースの演算を行う場合は、シリンダボア径を用いて作動油圧Pを求めることができる。従って、演算部50dでは、読み込み用の基準特性設定スイッチ53がオンにされることで、基準時定数T0、基準負荷荷重W0及び負荷荷重W(又は、基準時定数T0、基準作動油圧P0及び作動油圧P)が揃うので、数1の式に基づき時定数T2を演算できる。
【0063】
演算部50dで演算された時定数T2は、電流指令信号生成部50bに入力され、電流指令信号生成部50bは、時定数T2に基づき下降側のオンオフ信号をなまらせて電流指令信号を生成する。これにより、負荷によらずオーバーラン量ORを同程度にすることができる。
【0064】
なお、第1適用例では、上述したように荷物質量が予め把握される。このため、第1適用例は例えば、以下で説明するように複数の同じ荷物を荷降ろしする場合に適している。
【0065】
この場合、ユーザはまず、基準時定数設定スイッチ52で基準時定数T0を設定するとともに、基準負荷荷重W0と予め把握した荷物質量とを通信端末60に入力し、基準特性設定スイッチ53をオンにする。これにより、作業時の油圧シリンダ4の負荷に応じた時定数T2、つまり荷物質量が反映された時定数T2が設定される。
【0066】
続いて、ユーザは、作業台3に搭乗して上昇押釦スイッチ30aをオンにし、空荷の状態のままで作業台3を上昇させる。また、ユーザは、荷物を引き取る高さで上昇押釦スイッチ30aをオフにして作業台3を停止させ、荷物を引き取る。
【0067】
作業台3の上昇時には、作業台3が上昇する方向とは反対の方向に油圧シリンダ4の負荷が作用するので、作動開始時、停止時の作業台3の挙動が作業台3の下降時とは異なってくる。このため、作業台3の上昇時には例えば、電磁切換弁17に代えて圧力補償電磁比例流量制御弁20と同様の弁を適用した構成において、電磁比例弁201と同様の電磁比例弁にコントローラ50A(
図3参照)の制御を適用し、時定数T1に基づき上昇側のオンオフ信号をなまらせることで、ショックを抑制することができる。
【0068】
続いて、ユーザは、引き取った荷物とともに作業台3にいる状態で下降押釦スイッチ30bをオンにし、作業台3を下降させる。作業台3の下降開始時には、定常オフから定常オンに切り換わる際の下降側のオンオフ信号が、時定数T2によってなまらせられる。このため、下降開始時に作業台3が急降下し、加速ショックが発生することが抑制される。
【0069】
続いて、ユーザは、荷物を降ろす高さに合わせて下降押釦スイッチ30bをオフにし、作業台3を停止させる。作業台3の停止時には、定常オンから定常オフに切り換わる際の下降側のオンオフ信号が、時定数T2によってなまらせられる。このため、停止時に作業台3が急停止し、減速ショックが発生することが抑制される。また、時定数T2には荷物質量が反映されているので、オーバーラン量ORは空荷の場合と同程度になり、作業台3を同程度の位置に止めることができる。ユーザは、作業台3から荷物を降ろした後は、同様の作業を繰り返すことで、複数の同じ荷物を荷降ろしすることができる。
【0070】
このように、第1適用例によれば、作業台3下降時の加速ショックや減速ショックを抑制でき、且つ、作業台3を止めたい位置に止め易くすることができるので、作業上のストレスが低減する。
【0071】
(第2適用例)
図7は、第1変形例に係るコントローラ50Bの第2適用例であるコントローラ50BBを示す図である。第2適用例に係るコントローラ50BBは、圧力センサ41からの信号に基づき、基準作動油圧P
0及び作動油圧Pを検出する検出部50eをさらに有し、演算部50dが、検出部50eにより検出された基準作動油圧P
0及び作動油圧Pに基づき時定数T2を演算する点が、第1適用例に係るコントローラ50BA(
図6参照)と異なる。
【0072】
圧力センサ41は、油圧シリンダ4のボトム側室4dの作動油圧を検出し、検出された作動油圧が検出部50eに入力される。検出部50eには、読み込み用の基準特性設定スイッチ53からの信号も入力される。検出部50eでは、空荷の状態でユーザが基準特性設定スイッチ53をオンにすることで、その際に圧力センサ41から入力された作動油圧が基準作動油圧P0として検出され、演算部50dに入力される。
【0073】
検出部50dは、基準作動油圧P0を検出した後には、圧力センサ41からの作動油圧をそのまま演算部50dに入力し、圧力センサ41により検出された作動油圧が作動油圧Pとして演算部50dにリアルタイムで入力される。なお、この場合は作動油圧Pが空荷の場合の作動油圧(つまり、基準作動油圧P0)を含むことになるが、数1の式によれば、時定数T2として基準時定数T0が設定されるだけなので、敢えて荷物ありの場合と荷物なしの場合とを分ける必要はない。また、検出部50dは、圧力センサ41から入力された作動油圧に適宜処理を施した上で、処理を施した作動油圧を作動油圧Pとして演算部50dに入力してもよい。演算部50dでは、検出部50eから入力された作動油圧Pに基づき、数1の式を用いた圧力ベースの演算により、時定数T2が演算される。
【0074】
このように、第2適用例に係るコントローラ50BBでは、圧力センサ41からの信号に基づき時定数T2を設定できるので、第1適用例と同様、作業台3下降時の加速ショックや減速ショックを抑制でき、且つ、作業台3を止めたい位置に止め易くすることができる。さらに、第2適用例では、作動油圧Pをリアルタイムで検出できるので、重さが異なる複数の荷物を荷降ろしする場合でも、各荷物の重さに応じた時定数T2を適切に設定できる。従って、荷物間で重さが異なっても、オーバーラン量ORを同程度にして作業台3を止めたい位置に止めることができるので、作業上のストレスを低減できる。
【0075】
なお、油圧シリンダ4に作用する負荷荷重を検出可能なロードセルを設け、圧力センサ41からの信号に代えて、ロードセルからの信号に基づき時定数T2を算出するようにコントローラ50BBを構成してもよい。これにより、荷重ベースの演算を行う場合にも、負荷荷重Wをリアルタイムで検出して時定数T2を設定できる。
【0076】
(第2変形例)
図8は、第2変形例に係るコントローラ50Cの要部を示すブロック図である。第2変形例に係るコントローラ50Cは、以下で説明するショックレス接地を行うように構成される点が、第1変形例に係るコントローラ50Bと異なる。なお、
図8では第1適用例に係るコントローラ50BA(
図6参照)を例として第2変形例を示すが、同様の変更は第2適用例に係るコントローラ50BB(
図7参照)にも適用できる。
【0077】
第2変形例では、油圧シリンダ4のピストン4cの位置を検出可能な位置センサ42が油圧シリンダ4のシリンダチューブ4aに設置される。位置センサ42は磁気近接センサであり、ピストン4cに設置されたマグネットMを検出することでオンになる。位置センサ42はピストン4cの位置を検出することで、ピストン4cに接続された作業台3の位置を検出し、コントローラ50Cには、位置センサ42からの信号が入力される。
【0078】
コントローラ50Cは、オンオフ信号取得部50aからのオン信号と位置センサ42からのオン信号とが入力された場合に、トリガ信号としてのオン信号を出力するANDゲート50fと、ANDゲート50fからのオン信号が入力された場合に、定常オンの場合の電流指令信号から定常オフの場合の電流指令信号に次第に低下する電流指令信号(ショックレス接地信号)を出力するショックレス接地信号出力部50gと、ANDゲート50fからのオン信号が入力された場合に、電流ドライバ50cに入力する電流指令信号を電流指令信号生成部50bが生成する電流指令信号からショックレス接地信号出力部50gが出力するショックレス接地信号に切り換える切換部50hと、を有する。
【0079】
ショックレス接地は、作業台3の下限メカストッパとしてのベース2(
図1参照)の手前で作業台3を停止させてベース2との衝突によるショックを回避することを意味し、ショックレス接地信号出力部50gが出力するショックレス接地信号のプロフィール(通電量のプロフィール)は、予め設定される。位置センサ42は、作業台3がベース2に当接した状態におけるピストン4cの位置よりも高い位置で、ピストン4cを検出するように設けられる。位置センサ42は、油圧シリンダ4の負荷に関わらず、ショックレス接地信号に基づき停止される作業台3がベース2に当接しない程度に十分余裕を持った高さに設けられる。
【0080】
作業台3をベース2の手前まで下降させようとする際、下降押釦スイッチ30bをオフにするタイミングが遅れると、作業台3がベース2に衝突し、ショックが発生し得る。第2変形例では、下降押釦スイッチ30bがオンのままでも、位置センサ42がピストン4cを検出してオンになると、ANDゲート50fからのオン信号がショックレス接地信号出力部50gと切換部50hとに入力され、ショックレス接地信号が電流ドライバ50cに入力される。
【0081】
これにより、下降押釦スイッチ30bがオンのままでも、ショックレス接地によって作業台3をベース2の手前で停止させ、ベース2との衝突によるショックを回避できる。
【0082】
(第3変形例)
図9は、第3変形例に係る高所作業装置1の作業場を示す図である。
図10は、第3変形例に係る流体圧制御装置10の流体圧回路を示す図である。
図11は、第3変形例に係るコントローラ50Dの要部を示すブロック図である。
【0083】
図9に示すように、第3変形例では、高所作業装置1は1階から5階(1段目から5段目)の複数階建て(複数段)の商品棚100からの荷降ろしに用いられる。商品棚100には、複数の荷物が1階から5階に保管されている。複数の荷物は、互いに同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0084】
1階からは、高所作業装置1を使用しないでも荷物を引き取ることができる。2階から5階では、ユーザが荷物の引き取りを行うために作業台3が停止される。作業台3は、ユーザが乗り降りしたり、荷降ろしをしたりするためにベース2付近(地上停止位置)でも停止される。このため、作業台3は、予め停止されることが決まっている地上停止位置及び2階から5階に応じた複数の停止位置S(
図10参照)を有する。
【0085】
作業台3が複数の停止位置Sを有する場合、前述した昇降スイッチ30A(
図2参照)を操作して作業台3を昇降させると、昇降スイッチ30Aをオフにしたところで作業台3が停止するため、作業台3を同じ高さで何度も停止させる操作が必要になり、また、停止位置がずれると調整が必要になるので、作業性が悪い。
図9に示す例では、作業台3が停止位置S1以外に複数の停止位置S2からS5を有するので、作業をする度に作業台3を同じ高さで何度も停止させる頻度が高くなる分、ストレスも大きくなる。このため、第3変形例では高所作業装置1が以下で説明するように構成される。
【0086】
図10に示すように、油圧シリンダ4のシリンダチューブ4aには、停止位置S2からS5に対して複数の上昇用位置センサ431から434が設けられるとともに、停止位置S1からS4に対して複数の下降用位置センサ441から444が設けられる。複数の上昇用位置センサ431から434及び複数の下降用位置センサ441から444の各センサは、前述した位置センサ42(
図8参照)と同様、磁気近接センサで構成され、ピストン4cの位置を検出することで、作業台3の位置を検出する。
【0087】
複数の上昇用位置センサ431から434は、作業台3が上昇する方向において、複数の停止位置Sのそれぞれよりも作業台3の手前で、作業台3の位置を検出可能とされる。複数の下降用位置センサ441から444は、作業台3が下降する方向において、複数の停止位置Sのそれぞれよりも作業台3の手前で、作業台3の位置を検出可能とされる。例えば、上昇用位置センサ431であれば、停止位置S2よりも少し低い位置が手前になり、下降用位置センサ441であれば、停止位置S1よりも少し高い位置が手前になる。
【0088】
複数の下降用位置センサ441から444の各センサの手前位置は、作業台3のオーバーラン量ORに基づき設定される。オーバーラン量ORは、時定数T2により油圧シリンダ4の負荷に関わらず同程度になるので、各センサでこのような手前位置の設定が可能になる。複数の下降用位置センサ441から444の各センサの手前位置は例えば、時定数T2によって油圧シリンダ4の負荷に関わらず同程度とされたオーバーラン量OR以上手前の位置とされる。なお、複数の上昇用位置センサ431から434及び複数の下降用位置センサ441から444に代えて、例えばストロークセンサが用いられてもよい。
【0089】
作業台3の上昇時には、電磁切換弁17に代えて圧力補償電磁比例流量制御弁20と同様の弁を適用した構成において、電磁比例弁201と同様の電磁比例弁にコントローラ50A(
図3参照)の制御を適用することで、時定数T1に基づき上昇側のオンオフ信号をなまらせることができる。上昇側のオンオフ信号をなまらせることで発生する作業台3のオーバーランに対しては例えば、予め把握した最も重い荷物とともにユーザが作業台3にいる状態(つまり、最もオーバーランし難い状態)に合わせて、複数の上昇用位置センサ431から434の各センサの手前位置を設定すれば、各センサで作業台3の位置を検出できる。
【0090】
第3変形例では、昇降スイッチ30A(
図2参照)に代えて、上昇下降指示部としての選択スイッチ30cと、停止位置指示部としての1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30hと、を有する昇降スイッチ30Bが用いられる。なお、作業台3にとっての1階(1階押釦スイッチ30dの1階)は、地上停止位置としての停止位置S1を意味する。
【0091】
選択スイッチ30cは、作業台3の上昇、下降、停止を選択的に指示可能な切換スイッチで構成される。1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30hは、複数の停止位置Sを指示可能な押釦スイッチであり、一度オンにするとオン状態が維持されるように構成される。1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30hでは、複数の停止位置Sのいずれもが指示されていない状態で、複数の停止位置Sのいずれかを指示することができる。1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30hを有する昇降スイッチ30Bは、複数の停止位置Sを指示可能な指示器を構成する。
【0092】
昇降スイッチ30Bは、次のように操作される。例えば、作業台3を1階から5階に上昇させたい場合は、5階押釦スイッチ30hをオンにしてから、選択スイッチ30cを上昇側に切り換える。これにより、作業台3が停止位置S5を停止位置Sとして上昇する。また、作業台3を5階から1階に下降させたい場合は、1階押釦スイッチ30dをオンにしてから、選択スイッチ30cを下降側に切り換える。これにより、作業台3が停止位置S1を停止位置Sとして下降する。
【0093】
このように作業台3を昇降させる第3変形例では、以下で説明するように、コントローラ50Dが昇降スイッチ30Bからの信号と、複数の下降用位置センサ441から444からの信号と、に基づき、時定数T2に応じた電磁比例弁201の停止指令信号としての電流停止指令信号を生成し、複数の下降用位置センサ441から444からの信号入力に応じたタイミングで、生成された電流停止指令信号に基づき電磁比例弁201の作動を制御する。
【0094】
図11に示すように、第3変形例に係るコントローラ50Dは、昇降スイッチ30Bから指示された停止位置Sを示す目標フロア信号(オン信号)が入力された場合に、停止位置Sが指示されていることを示すオン信号を出力する指示確認部50iと、オンオフ信号取得部50aからのオン信号と指示確認部50iからのオン信号とが入力された場合に、下降する作業台3を指示された停止位置Sに停止させる制御状態(下降時停止位置停止モード)であることを示すオン信号を出力するANDゲート50jと、目標フロア信号(オン信号)が昇降スイッチ30Bから入力されるとともに、当該目標フロア信号に対応する位置信号(オン信号)が下降用位置センサ441から444のいずれかから入力された場合に、トリガ信号としてのオン信号を出力するANDゲート50kと、ANDゲート50jからのオン信号が入力された状態で、ANDゲート50kからのオン信号が入力された場合に、時定数T2に応じて定常オンの場合の電流指令信号から定常オフの場合の電流指令信号に次第に低下する電流指令信号(電流停止指令信号)を生成する電流停止指令信号生成部50mと、ANDゲート50kからのオン信号が入力された場合に、電流ドライバ50cに入力する電流指令信号を電流指令信号生成部50bが生成する電流指令信号から電流停止指令信号生成部50mが生成する電流停止指令信号に切り換える切換部50nと、をさらに有する点が、第1変形例の第1適用例に係るコントローラ50BA(
図6参照)と異なる。なお、同様の変更は、第1変形例の第2適用例に係るコントローラ50BB(
図7参照)にも適用できる。
【0095】
目標フロア信号は、1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30hによってオン、オフされる信号であり、複数の配線を介して1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30h毎に指示確認部50iや複数のANDゲート50kに入力することができる。位置信号は、下降用位置センサ441から444によってオン、オフされる信号であり、複数の配線を介して下降用位置センサ441から444毎に複数のANDゲート50kに入力することができる。なお、
図11では図が煩雑になるのを避けるため、複数の配線毎の目標フロア信号や位置信号、複数のANDゲート50kを簡略化している。
【0096】
指示確認部50iでは、1階押釦スイッチ30dから5階押釦スイッチ30hのいずれかからの目標フロア信号が入力されることで、停止位置Sが指示されていることが確認され、指示確認部50iからANDゲート50jにオン信号が入力される。ANDゲート50jでは、オンオフ信号取得部50aからのオン信号が入力されることで、下降指示が行われていることが確認される。ANDゲート50jではさらに、オンオフ信号取得部50aからのオン信号と指示確認部50iからのオン信号とが入力された状態で、下降時停止位置停止モードであることが確認され、ANDゲート50jから電流停止指令信号生成部50mにオン信号が入力される。
【0097】
ANDゲート50kは、上述したように下降用位置センサ441から444毎のANDゲートからなる複数のANDゲートで構成でき、例えば1階押釦スイッチ30dからの目標フロア信号と、1階押釦スイッチ30dに対応する下降用位置センサ441からの位置信号とが同じANDゲートに入力される。ANDゲート50kでは、例えば1階押釦スイッチ30dがオンの場合に、作業台3が1階に向かって下降して下降用位置センサ441がオンになると、1階押釦スイッチ30d及び下降用位置センサ441に対応するANDゲートにおいて、指示した停止位置Sの手前に作業台3が到着したことが確認され、トリガ信号としてのオン信号が電流停止指令信号生成部50mと切換部50nとに入力される。
【0098】
電流停止指令信号生成部50mでは、ANDゲート50jからのオン信号が入力された状態で、ANDゲート50kからのオン信号が入力された場合に、定常オンの場合の大きさ(通電量)から定常オフの場合の大きさ(通電量)に切り換わる電流指令信号を生成して時定数T2に基づきなまらせることで、電流停止指令信号が生成される。定常オン及び定常オフの場合の通電量の大きさは予め把握され、時定数T2は演算部50dから入力される。従って、電流停止指令信号生成部50mでは、上記のように切り換わる電流指令信号をいわば疑似的に生成し、時定数T2に基づきなまらせることで、電流停止指令信号が生成される。なお、上述したようにコントローラ50A(
図3参照)の制御を適用する場合は、時定数T2に代えて、時定数T1を電流停止指令信号生成部50mに入力することができる。生成された電流停止指令信号は、切換部50nに入力される。
【0099】
切換部50nでは、例えば1階押釦スイッチ30dがオンの場合に、下降用位置センサ441がオンになると、ANDゲート50kからのオン信号がトリガ信号として入力され、電流ドライバ50cへの入力が電流停止指令信号生成部50mからの電流停止指令信号に切り換えられる。
【0100】
これにより、電流ドライバ50cで電流停止指令信号に基づくソレノイド電流が生成され、生成されたソレノイド電流が電磁比例弁201に入力されることで、下降用位置センサ441からの信号入力に応じたタイミングで、電磁比例弁201の作動が制御され、これにより、同じタイミングで電磁比例弁201の作動が制御される。電磁比例弁201は、電流ドライバ50cから入力されるソレノイド電流により、作業台3を緩やかに下降させるとともに、停止位置S1付近で停止させるように制御される。
【0101】
なお、オンにされた1階押釦スイッチ30dは、作業台3が停止位置S1付近に停止する際(例えば、電流停止指令信号が定常オフになった場合や、下降用位置センサ441がオンになってから所定時間が経過した場合)にオフにすることができる。2階押釦スイッチ30eから5階押釦スイッチ30hについても同様である。コントローラ50Dは、任意の2つの階の間での荷降ろしに用いることができる。
【0102】
以上のように構成された第3変形例では、下降用位置センサ441から444のそれぞれが、作業台3が下降する方向において、複数の停止位置Sにおける対応する停止位置Sよりも手前で、作業台3の位置を検出する。このため、停止位置Sを指示された作業台3が検出に応じて直ちに停止せずに、オーバーランしても、指示した停止位置S付近に作業台3を停止させることができ、負荷によらず同じタイミングで信号を出力することで、作業台3を同じ位置に停止させることができる。つまり、負荷によって使用する時定数Tが違うだけで、同じ制御(プログラム)を用いることができる。また、止めたい停止位置Sが複数ある場合に、複数の下降用位置センサ441から444からの信号入力に応じたタイミングで作業台3を停止させるので、ショックを抑制しつつも、作業員は、負荷の大きさによらず、作業台3を同程度の位置に止め易くなり、作業上のストレスが低減する。また、止めたい停止位置Sが複数ある場合に、停止位置Sを指示するだけでよくなるので、ショックを抑制しつつも、同じ停止位置Sに何度も作業台3を停止させることが容易になり、作業性を向上させることができる。
【0103】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0104】
高所作業装置1は、作業台3を昇降させる油圧シリンダ4と、油圧シリンダ4から排出される作動油の流量を制御する電磁比例弁201と、電磁比例弁201の作動を制御するコントローラ50A,50B,50C,50Dと、を備える。コントローラ50A,50B,50C,50Dは、作業台3の作動、停止に用いられる下降側のオンオフ信号がオンとオフとの間で切り換えられた際に、オンオフ信号を時定数Tによってなまらせて電磁比例弁201の制御指令信号である電流指令信号を生成し、時定数Tは、油圧シリンダ4に作用する負荷に応じて設定される。
【0105】
この構成によれば、油圧シリンダ4の負荷に応じて設定された時定数Tでオンオフ信号をなまらせて電磁比例弁201の電流指令信号を生成するので、負荷に応じた適切な度合いで作業台3を緩やかに作動、停止させることができる。このため、ショックを抑制しつつも、作業員は負荷の大きさによらず、作業台3を同程度の位置に止め易くなる。なお、前述したように、油圧シリンダ4に供給される作動油の流量を制御する電磁比例弁を設けるとともに、上昇側のオンオフ信号を時定数T1によってなまらせて当該電磁比例弁を制御するための電流指令信号を生成するようにしてもよい。これにより、作業台3の上昇時にも、作業台3の急作動、急停止を抑制してショックを抑制できる。
【0106】
コントローラ50B,50C,50Dは、作業時の油圧シリンダ4の負荷荷重W又は負荷に応じた作動油圧PをA、流体圧アクチュエータの基準負荷荷重W0又は基準作動油圧P0をA0、基準負荷荷重W0又は基準作動油圧P0に対応する基準時定数をT0として、T=T0(1/√(√A/√A0))で示される式に基づき、時定数T2を設定する。
【0107】
この構成によれば、本発明者らが試行錯誤して見出した上述の式を用いることで、下降する作業台3が停止指示に応じて直ちに停止せずに、一次遅れで緩やかに減速する際のオーバーラン量ORが、油圧シリンダ4の負荷荷重又は負荷に応じた作動流体圧Aによらず同程度になるように時定数Tを設定できる。このため、ショックを抑制しつつも、作業員は負荷の大きさによらず、作業台3を同程度の位置に止め易くなる。
【0108】
作業台3は、停止位置S1からS5の複数の停止位置Sを有する。コントローラ50Dは、複数の停止位置Sを指示可能な昇降スイッチ30Bからの信号と、複数の停止位置Sのそれぞれよりも手前で、作業台3の位置を検出可能な下降用位置センサ441から444からの信号と、に基づき、時定数Tに応じた電磁比例弁201の電流停止指令信号を生成し、同じタイミングで、生成された電流停止指令信号に基づき電磁比例弁201の作動を制御する。
【0109】
この構成によれば、負荷によらず同じタイミングで信号を出力して、作業台3を同じ位置に停止させることができる。つまり、負荷によって使用する時定数Tが違うだけで、同じ制御(プログラム)でよい。
【0110】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0111】
1・・・高所作業装置、3・・・作業台、4・・・油圧シリンダ(流体圧アクチュエータ)、30B・・・昇降スイッチ(指示器)、50A,50B,50C,50D・・・コントローラ、50a・・・オンオフ信号取得部、50b・・・電流指令信号生成部、50d・・・演算部、50m・・・電流停止指令信号生成部、201・・・電磁比例弁、441,442,443,444・・・下降用位置センサ(センサ)、S,S1,S2,S3,S4・・・停止位置、T,T1,T2・・・時定数