(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014598
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】木材塗装方法
(51)【国際特許分類】
B05D 1/36 20060101AFI20250123BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20250123BHJP
B27K 3/34 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B05D1/36 Z
B05D7/00 B
B27K3/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117289
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】521177924
【氏名又は名称】エムアンドエイチ技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 一房
(72)【発明者】
【氏名】堀居 令奈
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 慎二
(72)【発明者】
【氏名】山木戸 勇也
(72)【発明者】
【氏名】服部 俊範
【テーマコード(参考)】
2B230
4D075
【Fターム(参考)】
2B230CB30
2B230EA11
2B230EB03
4D075AC57
4D075AC88
4D075AE03
4D075AE05
4D075BB91Y
4D075BB92Y
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DA25
4D075DA27
4D075DB21
4D075DC01
4D075EA05
4D075EA06
4D075EB08
4D075EB43
4D075EC11
4D075EC45
(57)【要約】
【課題】維持管理の簡易化を図る。
【解決手段】木材の表面に含浸形の塗料を塗布して含浸形塗料層を形成する塗装工程と、前記含浸形塗料層の表面に、コーティング剤を塗布して薄膜のコーティング層を形成するコーティング工程と、を有し、所定期間経過後に前記コーティング工程のみを行うことにより維持管理する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材の表面に含浸形の塗料を塗布して含浸形塗料層を形成する塗装工程と、
前記含浸形塗料層の表面に、コーティング剤を塗布して薄膜のコーティング層を形成するコーティング工程と、
を有し、
所定期間経過後に前記コーティング工程のみを行うことにより維持管理する、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項2】
請求項1に記載の木材塗装方法であって、
前記塗装工程では、前記塗料の塗布を複数回行う、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項3】
請求項2に記載の木材塗装方法であって、
2回目以降の前記塗料の塗布は、その前に塗布された前記塗料が乾燥した後に行う、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項4】
請求項1に記載の木材塗装方法であって、
前記塗装工程では、前記塗料を、塗布手段を用いて、回転させながら塗り広げる、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項5】
請求項1に記載の木材塗装方法であって、
前記コーティング工程では、前記コーティング剤を、塗布手段を用いて、回転させながら塗り広げる、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載の木材塗装方法であって、
前記塗料は、顔料を含み、
前記コーティング剤は、前記顔料を含まない、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項7】
請求項1~請求項5の何れかに記載の木材塗装方法であって、
前記塗料及び前記コーティング剤は、水系である、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【請求項8】
請求項1~請求項5の何れかに記載の木材塗装方法であって、
前記コーティング層の膜厚は、5μm以上30μm以下である、
ことを特徴とする木材塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外において木材の表面は太陽光、乾燥・湿潤、腐朽菌・カビ等の影響により、比較的短期間で変色・変質していく。そこで木材の当初の外観を維持するため、例えば、木材の表面に塗装を施すことが行われている。
【0003】
また、特許文献1には、製造工場において木材表面に含浸液を含浸させて、硬度や耐水性などを付与することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
木材に施した塗装は経年劣化するため、塗替え(例えば仮設足場を要する塗装工事)が必要であり、維持管理に手間がかかっていた。また、特許文献1の技術では、現場で塗替えの施工ができないため、経年後には、部材を全て取り替える必要があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、維持管理の簡易化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、木材の表面に含浸形の塗料を塗布して含浸形塗料層を形成する塗装工程と、前記含浸形塗料層の表面に、コーティング剤を塗布して薄膜のコーティング層を形成するコーティング工程と、を有し、所定期間経過後に前記コーティング工程のみを行うことにより維持管理する、木材塗装方法である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、維持管理の簡易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】木材の表面の保護に使用される塗料の説明図である。
【
図2】比較例(含浸形)の塗装仕様の断面イメージを示す図である。
【
図3】別の比較例(造膜形)の塗装仕様の断面イメージを示す図である。
【
図4】本実施形態の塗装仕様の断面イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
(態様1)
木材の表面に含浸形の塗料を塗布して含浸形塗料層を形成する塗装工程と、前記含浸形塗料層の表面に、コーティング剤を塗布して薄膜のコーティング層を形成するコーティング工程と、を有し、所定期間経過後に前記コーティング工程のみを行うことにより維持管理することを特徴とする木材塗装方法。
【0013】
態様1の木材塗装方法によれば、維持管理の簡易化を図ることができる。
【0014】
(態様2)
態様1に記載の木材塗装方法であって、前記塗装工程では、前記塗料の塗布を複数回行うことが望ましい。
【0015】
態様2の木材塗装方法によれば、含浸形塗料層の厚みを大きくすることができる。
【0016】
(態様3)
態様2に記載の木材塗装方法であって、2回目以降の前記塗料の塗布は、その前に塗布された前記塗料が乾燥した後に行うことが望ましい。
【0017】
態様3の木材塗装方法によれば、塗料を綺麗に重ねて塗ることができる。
【0018】
(態様4)
態様1~態様3の何れかに記載の木材塗装方法であって、前記塗装工程では、前記塗料を、塗布手段を用いて、回転させながら塗り広げることが望ましい。
【0019】
態様4の木材塗装方法によれば、塗料を均一にムラなく塗布することができる。
【0020】
(態様5)
態様1~態様4の何れかに記載の木材塗装方法であって、前記コーティング工程では、前記コーティング剤を、塗布手段を用いて、回転させながら塗り広げることが望ましい。
【0021】
態様5の木材塗装方法によれば、コーティング剤を均一にムラなく塗布することができる。
【0022】
(態様6)
態様1~態様5の何れかに記載の木材塗装方法であって、前記塗料は、顔料を含み、前記コーティング剤は、前記顔料を含まないことが望ましい。
【0023】
態様6の木材塗装方法によれば、木材表面を着色できるとともに、透明なコーティング層で保護することができる。
【0024】
(態様7)
態様1~態様6の何れかに記載の木材塗装方法であって、前記塗料及び前記コーティング剤は、水系であることが望ましい。
【0025】
態様7の木材塗装方法によれば、臭気が少なく、また扱いやすい。
【0026】
(態様8)
態様1~態様7の何れかに記載の木材塗装方法であって、前記コーティング層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが望ましい。
【0027】
態様8の木材塗装方法によれば、木材の表面の美観を維持しつつ、含浸形塗料層を保護することができる。
【0028】
===実施形態===
<<木材の塗装について>>
地球温暖化対策の一環として、二酸化炭素の固定源となる木材を構造材として使用する大規模な木質構造に関する技術開発が行われており、近年は、建物内装のみならず、外装においても木材が活用されている。
【0029】
なお、本願において「木材」とは、原木から切り出された木材(無垢材)には限られず、木材原料で製造される材料全般(例えば、合板、集成材、単層積層材など)を含むものとする。
【0030】
屋外環境において、木材の表面は、例えば、太陽光、乾燥・湿潤、腐朽菌・カビ等の影響により、比較的短期間で変色・変質していく。そこで木材の当初の外観を維持するために、例えば、木材の表面に塗装を施すことが行われている。
【0031】
木材の標準的な塗装仕様としては、日本建築学会・建築工事標準仕様書で規定される「木材保護塗装塗り」がある。また、木材保護塗料の品質は、日本建築学会材料規格(JASS18 M-307)で規定されている。
【0032】
図1は、木材の表面の保護に使用される塗料の説明図である。
【0033】
図1に示すように、木材の塗料には、塗膜を形成しない「含浸形」と呼ばれるものと、塗膜を形成する「造膜形」と呼ばれるものがある。含浸形としては、「1液・油性」のものと、「1液・水性」のものがある。また、造膜形としては、「1液・水性」のものと、ウレタンクリヤ系(規格無し)の「2液(主剤、硬化剤)・溶剤系」のものがある。
【0034】
造膜形は、含浸形と比べて、耐用年数は長いがコストも高くなる。また、後述するように、形成された膜(塗膜)に割れが生じたりする問題がある。よって、一般的には、塗膜を形成しない含浸形が多く用いられている。
【0035】
また、含浸形において、水性は、油性と比べて臭気が少なく、人体や環境への影響が少ない。また、乾燥すると屋外でも使用可能である。また、水性の場合、塗料の塗布に使用した道具を水道水などで洗うことができ、再度塗布に使用することができる。
【0036】
後述する本実施形態では、塗料として、扱いやすい水系の含浸形のもの(1液・水性・含浸形)を用いている。
【0037】
<比較例の塗装方法>
図2は、比較例(含浸形)の塗装仕様の断面イメージを示す図である。図では、断面イメージを誇張して図示している。
【0038】
塗装手順としては、木材10の表面に、同一の木材保護用の含浸形塗料20(1液・水性)を2~3回塗り(塗布)して仕上げる。これにより、木材10の表面側に含浸形塗料20による含浸形塗料層21が形成される。なお、含浸形塗料20は、顔料を含んでおり、含浸形塗料層21が形成されることで木材10が着色される。
【0039】
この含浸形の塗装(含浸形塗料層21)の耐用年数(塗替えまでの目安)は、
図1に示すように、3~5年である。なお、経年後の塗り替え時には、新築時と同じ塗装手間(仮設足場の設置や塗料の2回塗布)を要する。さらに、木材表面が劣化したり、木材表面の凹凸のため既存塗料(含浸形塗料層21)の一部が消失していたりして、塗装量が増えるおそれもある。
【0040】
このため、維持管理に手間がかかり、また、仮設足場のコストを勘案すると、通常のビル建築における塗装仕上げ維持管理に比べ、ピッチ(塗替えの間隔)が短いので、ライフサイクルコストが高くなってしまう課題があった。
【0041】
塗り回数をさらに増やして含浸形塗料20の塗布量(換言すると含浸形塗料層21の厚さ)を大きくするか、あるいは、高着色(顔料の添加量が多い)タイプの塗料を用いることで、塗替えまでの期間をより長く(例えば5~7年に)設定することも可能である。しかしながら、前者ではコストが増加、後者では木目の隠ぺい度合いが高まる(木材の質感が活かせない)という課題があった。
【0042】
また、
図3は、別の比較例(造膜形)の塗装仕様の断面イメージを示す図である。この例では造膜形のウレタンクリヤ系塗料を用いている。ここでも、断面イメージを誇張して図示している。
【0043】
高耐候性の透明なウレタンクリヤ系塗料(以下、造膜形塗料30)を用いる場合、木材10の表面に造膜形塗料30を塗布(ここでは3回塗布)して、木材10の表面に造膜形塗料30の塗膜31を形成する。なお、着色する場合は、造膜形塗料30の塗布前に、含浸形の塗料(例えば含浸形塗料20)を先行して塗布(例えば1回塗布)すればよい。
【0044】
このウレタンクリヤ系の造膜形塗料30の場合、2液・溶剤系のため現場塗装では臭気の問題がある。
【0045】
また、経年で塗り替える際も、同じ高耐候性の透明なウレタンクリヤ系(2液・溶剤系)の造膜形塗料30を使って現場施工することになる。このため、仮設足場(塗料飛散防止の養生必須)を設置するなど本格的な塗装工事となり、維持管理に手間がかかり、コストが高額となる課題があった。
【0046】
また、
図3に示すように、木材10に乾燥割れ10aが発生すると、造膜形塗料30によって形成された塗膜31が、乾燥割れ10aに追従できずに、乾燥割れ10aの直上の塗膜31も割れてしまう(塗膜割れ31aが発生する)ことがある。この場合、塗膜割れ31aの部分から塗膜31が剥がれやすくなる(木材10が劣化しやすくなる)おそれがあった。
【0047】
さらに、木材10の乾燥割れ10aの部分には、先に、隙間を埋めるパテ12を設けるなどの補修が必要になり、また、着色をやり直すときには先に形成した塗膜31を除去しなければいけないなど手間がかかるという問題があった。
【0048】
<本実施形態の塗装方法について>
本実施形態では、含浸形の塗料(含浸形塗料20)による塗装をベースとして、その上に透明のコーティング剤(後述するコーティング剤50)を塗布して薄膜の保護層を形成している。そして、経年後、コーティング剤のみ塗布することで維持管理を行う。このコーティング剤の塗布は、自動車のボディ等へのワックス掛けと同様の要領で行うことができるので、維持管理の簡易化を図ることができる。以下、コーティング剤を塗布することをコーティング掛けともいう。
【0049】
図4は、本実施形態の塗装仕様の断面イメージを示す図である。
図4でも、断面イメージを誇張して図示している。また、
図5は、本実施形態の塗装方法のフロー図である。
【0050】
まず、木材10の表面に含浸形塗料20(1液・水性・含浸形)の1回目の塗布を行ない(S01)、塗布した含浸形塗料20を均一に塗り広げる。
【0051】
ステップS01で塗布した含浸形塗料20が(木材10に含浸して)乾燥した後、含浸形塗料20の2回目の塗布を行ない(S02)、塗布した含浸形塗料20を均一に塗り広げる。これにより、木材10に、
図2と同様の含浸形塗料層21が形成される。なお、ステップS01で塗布された含浸形塗料20が乾燥してから2回目の塗布を行うことで、綺麗に重ねて塗ることができる。
【0052】
ステップS02で塗布した含浸形塗料20が乾燥した後、その上(具体的には、含浸形塗料層21の表面)に透明のコーティング剤50を塗布し(S03)、均一に塗り広げる。これにより、含浸形塗料層21の上(表面)に薄膜のコーティング層51が形成される。
【0053】
ここで、薄膜のコーティング層51は、含浸形塗料層21を保護するための層(保護層)であり、その膜厚は5~30μm(5μm以上30μm以下)が望ましい。これにより、木材10の表面(含浸形塗料層21)の美観を維持しつつ、含浸形塗料層21を保護することができる。
【0054】
また、コーティング剤50としては、水系(水性)で、例えば、カルバナロウ、ポリシロキサン系化合物、シラン系カップリング剤等を含む材料が例示できる。なお、本実施形態において、コーティング剤50は透明であるが、これには限られない。例えば半透明でもよい。ただし、半透明の場合、木材10の木目の隠ぺい度が高まるおそれがあるので、透明である(すなわち顔料を含まない)方がより望ましい。
【0055】
維持管理に関しては、
図4に示すように、比較的短い期間(所定期間)経過後にコーティング剤50の塗布(
図5のステップS03)のみを行う。コーティング剤50の塗布(コーティング層51の形成)を繰り返していくことで、新築当時の美観を維持できる。
【0056】
また、コーティング剤50の塗布は、工場等の専用設備を要するのではなく、現場施工にて作業できる。例えば、内装床のワックス掛け作業や窓ガラスの清掃作業のように簡易に作業できる。よって、仮設足場を要するような本格的な塗装工事を行わなくてよい(手間がかからない)ので、維持管理の簡易化を図ることができる。
【0057】
<供試体を用いた塗布例>
木材の供試体を用いて、
図5のフローの塗装方法を実施した。
図6は、1回目の塗布の様子を示す図である。
図7は、2回目の塗布の様子を示す図である。
図8は、コーティング掛けの様子を示す図である。
【0058】
(含浸形塗料20の1回目塗布)
図6に示すように、刷毛を用いて供試体(木材)の表面に含浸形塗料20を塗布し、スポンジを使用して均一に薄く塗り広げた。具体的には、ワックス掛けするような要領で、スポンジを回転させながら(回転の軸の周りをスポンジが周回するように移動させながら)、ムラが生じないように塗り広げて供試体に刷り込ませた。
【0059】
(含浸形塗料20の2回目塗布)
1回目で塗布した含浸形塗料20が乾燥した後、
図7に示すように、1回目と同様に含浸形塗料20を刷毛で塗布し、1回目と同様にスポンジを回転させながら均一に薄く塗り広げた。
【0060】
(コーティング掛け)
2回目で塗布した含浸形塗料20が乾燥した後、
図8に示すように、スポンジを使用して、コーティング剤50を薄く塗り広げた。この作業では、コーティング剤50を含ませたスポンジを、ワックス掛けするような要領で、ムラが生じないように、回転させながら均一に薄く塗り広げた。
【0061】
なお、ここでは、供試体が小さいため、含浸形塗料20やコーティング剤50を塗り広げる道具(塗布手段)としてスポンジを用いたが、実際に木材に塗布する際には、コテバケを用いることが望ましい。
【0062】
コテバケは、塗料を含浸させるパッド部と、棒状の柄部(把持部)が一体となった塗装用の工具である。パッド部は、フェルトやスポンジなどで形成されており、その平面形状は、一般的に矩形状である。コテバケは、塗布面が平面で幅広いので、均等に塗りやすく綺麗に仕上げることができる。コテバケの市販品としては、ワンタッチコテバケ INNOVA 150mm(ハンディ・クラウン社製)やコテバケ JR-260(アイカ工業株式会社製)などがある。
【0063】
なお、コテバケを用いて塗装を行う際には、パッド部よりも平面サイズの大きい容器(受け皿など)に塗料を入れ、コテバケのパッド部に塗料を含ませて塗装対象物(ここでは木材表面)に塗り広げる。コテバケを用いることにより、一度に広範囲を塗ることができ、また、ムラなく仕上げることができる。
【0064】
コテバケを用いる場合も、上記のスポンジと同様に回転させながら塗り広げることが望ましい。ただし、これには限られず、例えば直線状に移動させて塗り広げてもよい。
【0065】
また、塗布手段としてポリッシャーを用いても良い。ポリッシャーとは、フェルトやスポンジ等で作られた円盤状の道具(バフ)を高速回転させて研磨する工具であるが、磨きのほかにキズ消しや清掃と多くの用途に使われている。例えば、自動車ボディへのワックスの塗布(ワックス掛け)などに利用されている。このポリッシャーを塗料やコーティング剤の塗布に利用できる。
【0066】
なお、ポリッシャーにはシングルアクションのものとダブルアクションのものがある。
【0067】
シングルアクションポリッシャーは、円盤状のバフが、当該円盤中心を軸として一定方向に回転するものである。
【0068】
ダブルアクションポリッシャーは、シングルアクションと同じ回転運動に加え、円盤中心(回転軸)が動く偏心運動(偏心回転)の2つの動作を行うポリッシャーである。2種類の動きによって、より繊細な作業(本実施形態の場合、塗料やコーティング剤を均一に薄く塗り広げる作業)が可能になる。ダブルアクションポリッシャーとしては、例えば、吸塵ランダムアクションサンダー GEX125-1AE(BOSCH社製)などが挙げられる。このようなダブルアクションポリッシャーを用いると、塗装やコーティングの効率をより高めることができる。
【0069】
===その他の実施形態について===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0070】
前述の実施形態では、塗布手段として、スポンジ、コテバケ、ポリッシャーを例示したが、これには限られない。例えば、布やローラー等を用いてもよい。なお、ローラーの場合、ローラーの外周を塗装対象物(木材表面など)に当接しつつ、ローラーの中心軸周りにローラーを回転させて塗布することになる。
【0071】
また、前述の実施形態では、含浸形塗料20の塗布を2回行っていたが、1回でもよいし、3回以上塗布してもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 木材
10a 乾燥割れ
12 パテ
20 含浸形塗料
21 含浸形塗料層
30 造膜形塗料
31 塗膜
31a 塗膜割れ
50 コーティング剤
51 コーティング層