(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001461
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】トイレ管理システム及びトイレ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20241225BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20241225BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20241225BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
E03D11/00 Z
G08B21/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101067
(22)【出願日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】藤川 拓人
(72)【発明者】
【氏名】西山 暢治
(72)【発明者】
【氏名】家守 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】長曽我部 勇貴
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
5C086
【Fターム(参考)】
2D037AD16
2D037EA00
2D037EA01
2D037EB00
2D038KA02
2D038KA03
2D038KA07
2D038KA11
2D038ZA00
2D039AA01
2D039CC00
2D039CD00
2D039DB00
5C086AA34
5C086BA04
5C086BA17
5C086CA01
5C086DA10
(57)【要約】
【課題】管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることが可能なトイレ管理システム及びトイレ管理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置を備え、前記通信装置は、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信し、前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とする、トイレ管理システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置を備え、
前記通信装置は、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信し、
前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とするトイレ管理システム。
【請求項2】
前記通信装置は、複数設けられ、
複数の前記通信装置のそれぞれは、複数のトイレ室のそれぞれに設けられ、
複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を、複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信することを特徴とする請求項1に記載のトイレ管理システム。
【請求項3】
複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を、複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信する動作を、前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されるまで繰り返すことを特徴とする請求項2に記載のトイレ管理システム。
【請求項4】
前記別の1つの通信装置は、前記複数のトイレ室のうち前記1つの通信装置が設けられたトイレ室から最も近い別のトイレ室に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のトイレ管理システム。
【請求項5】
複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信する動作を、前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されるまで繰り返すトイレ管理システムであって、
前記別の1つは、前記複数のトイレ室のうち前記異常に関する前記異常発生信号を既に発信した前記通信装置が設けられたトイレ室を除いた範囲において前記1つの通信装置が設けられたトイレ室から最も近いトイレ室に設けられた通信装置であることを特徴とする請求項4に記載のトイレ管理システム。
【請求項6】
前記通信装置が前記異常発生信号を発信してから所定時間以上、前記管理者情報端末に前記異常発生信号が受信されない場合、前記異常発生信号とは別の信号により、複数の前記管理者情報端末に前記異常が発生したことが通知されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のトイレ管理システム。
【請求項7】
統括端末をさらに備え、
前記異常が発生すると、前記異常発生信号とは別の信号により、前記統括端末に前記異常が発生したことが通知されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のトイレ管理システム。
【請求項8】
統括端末をさらに備え、
前記管理者情報端末が前記異常発生信号を受信すると、前記異常が発生した前記トイレ室に設けられた前記通信装置または前記異常発生信号を受信した前記管理者情報端末から、前記異常発生信号とは別の信号により、前記統括端末に、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を受信したことが通知されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のトイレ管理システム。
【請求項9】
トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置に、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信する動作を実行させるトイレ管理プログラムであって、
前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とするトイレ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ管理システム及びトイレ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のトイレ室が設けられた建物等の施設においては、複数の管理者によってトイレ室の管理が行われることがある。
特許文献1においては、便器装置やトイレ室の設備機器に異常が検知されると、その異常に関する情報を複数の主体(例えば管理主体、清掃主体、製造主体、保守主体)に通知することが開示されている。例えば、異常の発生を通知すべき複数の主体に対して、通知の優先順位が定められており、その優先順位にしたがって異常の通知が通知される。また、例えば、トイレ室を巡回して点検する複数の管理者に対して、異常の発生が通知される。
トイレ室の管理において、管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることが可能なトイレ管理システム及びトイレ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置を備え、前記通信装置は、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信し、前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とするトイレ管理システムである。
【0006】
このトイレ管理システムによれば、通信装置の周囲の異常通信範囲内にある管理者情報端末を携帯する管理者に、異常の発生を通知することができる。例えば異常が発生したトイレ室に近い管理者に異常の発生を通知することができ、管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることができる。また、異常発生場所から離れた位置にいる担当者には、異常の発生が報知されることが抑制できる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記通信装置は、複数設けられ、複数の前記通信装置のそれぞれは、複数のトイレ室のそれぞれに設けられ、複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を、複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信することを特徴とするトイレ管理システムである。
【0008】
このトイレ管理システムによれば、1つの通信装置の異常通信範囲内に管理者情報端末を携帯する管理者がいない場合には、別の通信装置から異常情報信号を発信することができる。つまり、異常が発生したトイレ室の周囲に管理者がいない場合には、例えば別のトイレ室に近い管理者に、異常が発生したことを通知することができる。
【0009】
第3の発明は、第2の発明において、複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を、複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信する動作を、前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されるまで繰り返すことを特徴とするトイレ管理システムである。
【0010】
このトイレ管理システムによれば、異常が発生したトイレ室に設けられた通信装置の異常通信範囲の外にいる管理者に、異常が発生したことを報知することができる。
【0011】
第4の発明は、第2の発明において、前記別の1つの通信装置は、前記複数のトイレ室のうち前記1つの通信装置が設けられたトイレ室から最も近い別のトイレ室に設けられていることを特徴とするトイレ管理システムである。
【0012】
このトイレ管理システムによれば、1つの通信装置の異常通信範囲内に管理者情報端末を携帯する管理者がいない場合には、異常発生場所から次に近い通信装置から異常情報信号を発信することができる。つまり、異常が発生したトイレ室の周囲に管理者がいない場合には、例えば異常発生場所から次に近いトイレ室の周囲にいる管理者に、異常が発生したことを通知することができる。そのため、異常が発生したトイレ室から一番近くにいる管理者に、異常が発生したことを通知することができる。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信する動作を、前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されるまで繰り返すトイレ管理システムであって、前記別の1つは、前記複数のトイレ室のうち前記異常に関する前記異常発生信号を既に発信した前記通信装置が設けられたトイレ室を除いた範囲において前記1つの通信装置が設けられたトイレ室から最も近いトイレ室に設けられた通信装置であることを特徴とするトイレ管理システムである。
【0014】
このトイレ管理システムによれば、異常発生信号が発信されるエリアを徐々に広くすることができ、異常が発生したトイレ室から一番近くにいる管理者に、異常が発生したことを通知することができる。
【0015】
第6の発明は、第1~5のいずれか1つの発明において、前記通信装置が前記異常発生信号を発信してから所定時間以上、前記管理者情報端末に前記異常発生信号が受信されない場合、前記異常発生信号とは別の信号により、複数の前記管理者情報端末に前記異常が発生したことが通知されることを特徴とするトイレ管理システムである。
【0016】
このトイレ管理システムによれば、異常が発生したトイレ室に設けられた通信装置の異常通信範囲内に管理者がいない場合であっても、異常発生信号とは別の信号によって異常が発生したことを通知することができる。
【0017】
第7の発明は、第1~5のいずれか1つの発明において、統括端末をさらに備え、前記異常が発生すると、前記異常発生信号とは別の信号により、前記統括端末に前記異常が発生したことが通知されることを特徴とするトイレ管理システムである。
【0018】
このトイレ管理システムによれば、管理者情報端末が異常発生信号を受信できなかった場合であっても、統括端末において異常の発生を把握することができる。
【0019】
第8の発明は、第1~5のいずれか1つの発明において、統括端末をさらに備え、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を受信すると、前記異常が発生した前記トイレ室に設けられた前記通信装置または前記異常発生信号を受信した前記管理者情報端末から、前記異常発生信号とは別の信号により、前記統括端末に、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を受信したことが通知されることを特徴とするトイレ管理システムである。
【0020】
このトイレ管理システムによれば、管理者情報端末が異常発生信号を受信したことを、統括端末において把握することができる。
【0021】
第9の発明は、トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置に、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信する動作を実行させるトイレ管理プログラムであって、前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とするトイレ管理プログラムである。
【0022】
このトイレ管理プログラムによれば、管理者がトイレをメンテナンスする効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の態様によれば、管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることが可能なトイレ管理システム及びトイレ管理プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレ管理システムを例示する模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を説明する模式図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を説明する模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ管理システムを例示する模式図である。
図1に表したように、実施形態に係るトイレ管理システム100が導入される施設には、複数のトイレ室TRが設けられる。実施形態に係るトイレ管理システム100は、各トイレ室TRに設けられる通信装置10を備える。各通信装置10は、各トイレ室TR内に配置される。通信装置10は、トイレ室TRの周辺の近傍に配置してもよい。トイレ管理システム100は、さらに、管理者情報端末20と、統括端末30と、を備えてもよい。
【0026】
複数のトイレ室TRは、複数の管理者によって管理される。管理者は、例えばトイレ室TRが設けられた施設の管理者である。各管理者は、必要に応じて施設内を巡回し、トイレ室TRのメンテナンスを行う。例えばメンテナンスは、不具合が生じているかの確認、または不具合の詳細の確認、必要に応じて不具合を解消する措置や不具合の拡大を防ぐ措置を講じること等である。管理者ごとに、施設内の担当エリア(担当するトイレ室TR)が定められていてもよい。トイレ室TRのメンテナンスとは、トイレ室TR内だけでなく、当該トイレ室TRの周辺の設備機器のメンテナンスを含んでもよい。
【0027】
管理者情報端末20は、複数の管理者のそれぞれが携帯可能な情報端末である。各管理者情報端末20は、各通信装置10と無線通信可能である。例えば、管理者情報端末20には、スマートホンを用いることができる。これに限らず、管理者情報端末20は、タブレット装置や携帯電話など、信号を送受信可能な通信モジュールを含み携帯可能なコンピュータ装置でよい。
【0028】
統括端末30は、例えば施設の管理人室CR(例えば中央管理室)に設置される。統括端末30は、各トイレ室TRに設けられた各通信装置10と、無線、有線又はその組合せにより、通信可能に接続される。また、統括端末30は、各管理者情報端末20と、例えば無線により、通信可能に接続される。具体的には、統括端末30には、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。
【0029】
実施形態に係るトイレ管理システム100は、トイレ室TR内又はその周辺において発生した異常を、通信装置10によって、管理者情報端末20や統括端末30に適切に通知するシステムである。後述するように異常を通知することによって、管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることができる。
【0030】
例えば管理人室CRに滞在する管理人は、統括端末30と接続された管理画面31を介して、統括端末30が送受信する情報を把握することができる。管理人は、統括端末30から、各管理者情報端末20や各通信装置10に、各種情報を含む信号を送ることが可能でもよい。
【0031】
図1に表したように、トイレ室TRは、小便器装置のないエリアTRaと、小便器装置があるエリアTRbとの少なくともいずれかを含んでもよい。トイレ室TRは、使用者が出入りするためのドア(扉)13を有する。
【0032】
トイレ室TRには、複数の便器装置11が設けられる。例えば便器装置11は、洋式又は和式の大便器装置11aであってもよいし、小便器装置11bであってもよい。トイレ室TR内には、複数の個室TB(トイレブース)が設けられる。各大便器装置11aは、各個室TB内に設けられる。各個室TBは、使用者が出入りするためのドア(扉)14を有する。
【0033】
便器装置11(大便器装置11a)は、例えば汚物を受けて排水管に排出する便器(便器本体)を含む。便器装置11は、便器本体に供給する水のタンクやポンプを含んでもよい。また、便器装置11は、便器装置11の使用者が着座する便座や便蓋を含む便座装置を含んでもよい。便座装置は、着座した使用者の局部に洗浄水を吐出する局部洗浄機能、局部を乾燥させる温風機能、便座を暖める暖房便座機能、便器内又は個室TB内を脱臭する脱臭機能、便器を洗浄する洗浄機能など、種々の機能部を必要に応じて有していてもよい。また、個室TB内には、便器装置(便座装置)の各機能部を操作するための、リモコン12が設けられてもよい。例えば使用者がリモコン12のボタンなどの操作部を操作することにより、便器装置に操作指令が送信される。便器装置(便座装置)は、受信した操作指令に応じて各機能部を動作させる。
【0034】
便器装置11には、着座センサや人体検知センサが設けられてもよい。着座センサは、使用者の便座への着座及び離座を検知する。着座センサには、例えば測距センサ(赤外線投光式センサ)、超音波センサ、タクトスイッチ、静電容量スイッチ(タッチセンサ)、または歪みセンサなどを用いることができる。人体検知センサは、個室TB内の使用者の存在や動きを検知する。人体検知センサには、例えば焦電センサ、マイクロ波センサ、超音波センサ、または測距センサ(赤外線投光式センサ)を用いることができる。
【0035】
また、トイレ室TRには、洗面台15が設けられる。洗面台には、水を吐出する水栓装置(例えば自動水栓装置)や、水栓装置からの水を受けるボウル部などが設けられる。
【0036】
図2は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を説明する模式図である。
図2は、トイレ管理システム100の第1動作状態を例示している。第1動作状態は、あるトイレ室TR内又はその周辺において異常が発生したときの動作状態である。
各トイレ室TRに設けられた各通信装置10は、各通信装置10が設けられたトイレ室TR内の便器装置11、又は各通信装置10が設けられたトイレ室TR内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号Sig1を発信する。異常発生信号Sig1は、異常が発生したという情報を管理者に報知するための信号である。異常発生信号Sig1は、発生した異常の種類など、異常の具体的な内容の情報を含んでもよい。
【0037】
異常発生信号Sig1は、例えば、その異常発生信号Sig1を発信する通信装置10の周囲の所定の範囲(異常通信範囲)内に発信される信号である。異常発生信号Sig1は、例えば後述する
図3に表したように管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を発信する通信装置10の周囲の異常通信範囲内にあるときに、当該管理者情報端末20によって受信される。すなわち、管理者情報端末20は、異常発生信号Sig1を発信する通信装置10の周囲の異常通信範囲内に存在するときに、異常発生信号Sig1の情報を取得可能である。これにより、異常発生信号Sig1の情報が、当該管理者情報端末20に伝達される。
一方、異常発生信号Sig1は、管理者情報端末20が当該通信装置10の当該異常通信範囲外(当該異常通信範囲内よりも当該通信装置10から遠い位置)にあるときには、当該管理者情報端末20によって受信されない。すなわち、管理者情報端末20は、当該異常通信範囲外に存在するときには、異常発生信号Sig1の情報を取得できない。この場合、異常発生信号Sig1の情報は、当該管理者情報端末20に伝達されない。
【0038】
言い換えれば、複数の管理者情報端末20のうち、異常発生信号Sig1を発信する通信装置10の近くの管理者情報端末20(すなわち異常通信範囲内の管理者情報端末20)は、その異常発生信号Sig1を受信可能であるが、その通信装置10から遠い管理者情報端末20(すなわち異常通信範囲外の管理者情報端末20)は、その異常発生信号Sig1を受信できない。
【0039】
例えば、
図2においては、第1トイレ室TR1(トイレ室TRの一つ)に、第1通信装置10a(通信装置10の1つ)が設けられている。第1トイレ室TR1内に設けられた便器装置11、第1トイレ室TR1内に設置された設備機器、又は第1トイレ室TR1周辺に設置された設備機器に異常が発生すると、第1通信装置10aは、異常発生信号Sig1(第1異常発生信号Sig1a)を発信する。第1異常発生信号Sig1aは、管理者情報端末20が第1通信装置10aの周囲の第1異常通信範囲内にあるときに、その管理者情報端末20によって受信され、管理者情報端末20が第1異常通信範囲の外にあるときには、その管理者情報端末20によって受信されない信号である。
【0040】
ある通信装置10の異常発生信号に関する異常通信範囲は、例えば、その通信装置10の周囲の所定範囲であり、その通信装置10から所定距離以内の範囲である。例えば、異常通信範囲は、異常発生信号Sig1の到達可能範囲であり、異常通信範囲外には、異常発生信号Sig1は到達しない。例えばある通信装置10の異常通信範囲は、その通信装置10を中心とした範囲であり、この例ではその通信装置10からの距離が10m以下程度の範囲としている。ある通信装置10の異常通信範囲は、その通信装置10から例えば半径5m~100m以下程度の範囲とすることができる。所定の範囲は、通信装置10の周辺の環境(金属を含む壁などの電波の障害物)によって変化してもよい。異常通信範囲は、通信方式(通信規格、信号の種類など)に応じて定まる。
【0041】
具体的には、通信装置10は、例えば、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく信号を発信するビーコン装置を含む。つまり、異常発生信号Sig1は、Bluetooth(登録商標)の信号であり、異常通信範囲は、ビーコンの通信可能範囲である。Bluetooth(登録商標)には、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)を用いてもよい。
【0042】
なお、実施形態の説明において、単に「異常通信範囲」という場合は、異常発生信号Sig1(例えばBLEの信号)に関する通信範囲をいい、その他の信号(例えば後述するインターネットなど)による通信の範囲とは異なる。
【0043】
上記の設備機器としては、例えば、便器装置11又は洗面台15に接続された給水管や排水管、洗面台15、手洗い器(水栓装置)、トイレ室TRの照明、換気扇、床、トイレ室TRのドア13、個室TBのドア14、個室TB内に設けられたリモコン12、ハンドドライヤ、洗面台15などにおいて供給される水を温める電気温水器、及び、オストメイトの方が排泄物などの汚物を処理するための汚物流しユニットなどが挙げられる。設備機器は、その他のトイレ室TR内の各設備やセンサ類であってもよい。異常の検知の対象となる設備機器は、上記に限らず、トイレ室TR内または周辺に設けられる設備であればよく、例えばトイレ室TRの周辺に配置される照明装置、スピーカ、または表示装置などでもよい。
【0044】
例えば、便器装置11又は各設備機器に異常が発生すると、その便器装置11又は各設備機器が設けられたトイレ室TRに設けられた通信装置10は、異常が発生したことに対応する信号Sig17を受信する。信号Sig17を受信すると、通信装置は、異常発生信号Sig1を発信する。
【0045】
例えば、
図2に表したように、便器装置11又は各設備機器には、異常を検知するための異常検知部17が設けられてもよい。異常検知部17は、異常を検知するための情報を取得可能な情報取得手段であり、例えばセンサを含む。なお、
図2は模式的なものであり、異常検知部17は、異常を検知するために適宜の位置に配置することができ、複数設けてもよい。異常検知部17の検知結果に基づいて、異常が発生したことが判定できる。センサなどの複数の異常検知部17の検知結果の組合せに基づいて、異常の発生を判定してもよい。
【0046】
例えば、異常検知部17により取得された情報が、予め定められた判定の条件を満たす場合に、異常が発生したと判定することができる。異常検知部17の検知結果に基づいて、異常が発生したことを判定する判定部18が設けられてもよい。異常が発生したと判定される場合、異常検知部17(又は判定部)から、異常が発生したことに対応する信号Sig17が、直接的又は間接的に通信装置10に送信される。
【0047】
判定部18は、例えばコンピュータなどの演算回路を含む。判定部18は、判定の条件(閾値など)を記憶する記憶装置を含んでもよい。判定部18は、異常検知部17に設けられてもよい。判定部18は、異常検知部17とは別に設けられ、有線、無線またはその組合せにより異常検知部17と通信可能に設けられてもよい。判定部18を異常検知部17とは別に設ける場合、判定部18は適宜の位置に配置でき、例えばトイレ室外であってもよい。また、実施形態は、判定部18を設けずに、異常検知部17(センサなど)が所定の信号を検知した場合に、信号Sig17が送信されるように構成されてもよい。
【0048】
例えば、異常検知部17として、便器装置11の便鉢の内部の水位を検知する水位センサを設けることができる。水位センサにより取得された便鉢の内部の水位が所定値以上だった場合、異常が発生したと判定する。この場合、例えば便器や排水管などの詰まりが発生した可能性がある。同様に、例えば、異常検知部17として、洗面台15、汚物流しユニット、または便器装置11のタンク内などに水位センサを設けてもよい。水位センサが取得する水位が所定値以上だった場合、各設備機器の詰まりや動作の不具合等の異常が発生したと判定してもよい。なお、水位センサには、静電容量式やフロート式など、適宜の方式を用いることができる。
【0049】
例えば異常検知部17として、温水器の温度を検知する温度センサや、ハンドドライヤの温度を検知する温度センサを設けてもよい。例えば、温度センサにより取得された温度が所定値以上であったり、予め想定される変化と異なったりした場合、設備機器に異常が発生したと判定する。
【0050】
また、例えば、異常検知部17として、トイレ室TRのドア13または個室TBのドア14の開閉を検知する開閉検知センサを設けてもよい。例えば、ドアが開いた時間や閉じた時間が所定の条件を満たす場合に、異常が発生したと判定してもよい。
【0051】
また、例えば、リモコン12などの入力装置や、便器装置11の人体検知センサや着座センサが、異常検知部17として機能してもよい。例えば、リモコン12への入力が所定の条件を満たした場合(例えば所定のボタンが所定回数以上連続で操作された場合)、リモコン12または便器装置11に異常が発生したと判定する。例えば、人体検知センサや着座センサが使用者を検知していない状態において、局部洗浄機能の実行を指示する入力などの所定の入力がリモコンにあった場合、人体検知センサ、着座センサ、リモコン12または便器装置11に不具合が発生したと判定する。
【0052】
実施形態は上記に限らず、異常は、トイレ室TR内又はその周辺の状態に関するもの(例えば故障などの変化)でよい。異常検知部17は、例えば、撮像装置、光学センサ、測距センサ、マイクロフォン、重量計、電流センサ、電圧センサなど、各種の情報取得手段を適宜用いてもよい。
【0053】
通信装置10は、異常検知部17や統括端末30等と通信する通信モジュールや、通信モジュール等を制御するコンピュータなどの制御部を含んでもよい。
【0054】
以上説明したように、実施形態においては、異常が発生したトイレ室TRに設けられた通信装置10は、その通信装置10の周囲の通信範囲内にある管理者情報端末20が受信する異常発生信号Sig1を発信する。これにより、適切な管理者情報端末20に異常の発生を通知することができ、管理者がトイレ室をメンテナンスする効率を向上させることができる。
【0055】
例えば、トイレ室を巡回する管理担当者に、トイレ室において異常が発生したことを報知する技術において、管理対象が大規模な施設であり管理担当者が複数人いる場合が考えられる。この場合、巡回している管理担当者全員に対して1つの異常通知を行うと、異常発生場所から遠くにいる管理担当者(管理担当者Aと呼ぶ)にも通知が届く状況となる。例えば、異常発生場所から遠くにいる管理担当者Aの管理対象エリア内には、当該異常発生場所が含まれないことが考えられる。この場合、異常発生場所から遠くにいる管理担当者Aにとって、当該異常通知は、関係のない、煩わしい通知となる。また、異常発生場所から遠くにいる管理担当者Aの管理対象エリア内に、当該異常発生場所が含まれる場合であっても、当該異常発生場所の近くに別の管理担当者(管理担当者Bと呼ぶ)がいた場合、管理担当者Aと管理担当者Bとの両方が当該異常発生場所に駆けつけ、管理担当者Aと管理担当者Bとによる点検の重複などが発生するといった懸念がある。この場合、管理担当者Aにとっては、無駄足となってしまう。また、複数の管理担当者に対して異常通知を通知する優先順位を予め設定しておき、その優先順位に従って、順次、異常を通知する方法も考えられる。ただし、管理担当者は、施設内を巡回している(動き回っている)ため、異常発生場所の近くに予め設定していた優先順位が先の順位の管理担当者がいるとは限らない。そのため、異常発生場所の近くにいる管理担当者ではなく、離れた場所にいる管理担当者に優先的に通知が届く可能性があり、異常の回復が遅れてしまうおそれがある。
【0056】
一方、実施形態においては、トイレ室TRまたはその周辺において異常が発生すると、管理者情報端末20と無線通信可能な通信装置10が、異常発生信号を発信する。この異常発生信号は、管理者情報端末20が異常発生信号を発信する通信装置10の周囲の異常通信範囲内にあるときに、その管理者情報端末20によって受信される信号である。これにより、通信装置10の周囲の異常通信範囲内にある管理者情報端末20を携帯する管理者に、異常の発生を通知することができる。例えば異常が発生したトイレ室TRに近い管理者に異常の発生を通知することができ、管理者がトイレをメンテナンスする効率を向上させることができる。例えば異常発生場所に近い管理者に異常を通知することで、早期に異常の対応をすることができる。例えば、トイレ周辺を巡回する最も近隣の管理担当者に異常を通知することで、管理担当者のメンテナンス効率を改善し、エンドユーザの快適性を向上させることができる。また、異常発生信号は、管理者情報端末20が異常通信範囲外にあるときには管理者情報端末20によって受信されない。つまり、異常発生場所から離れた位置にいる担当者に、異常の発生が報知されることを抑制できる。例えば、異常発生場所が管理担当エリアでない管理担当者には、管理担当エリア外の無関係な異常報知がなくなり、煩わしさが解消される。異常発生場所の近くにいる管理担当者が異常の対応が出来るため、管理担当者間での点検の重複等を抑制できる。
【0057】
また、
図2に表したように、異常が発生すると、異常発生信号Sig1とは別の信号Sig2により、統括端末30に異常が発生したことが通知される。例えば、異常が発生したトイレ室TRに設けられた通信装置10は、信号Sig17を受信すると、異常発生信号Sig1を発信する動作と、信号Sig2を送信する動作と、を実行する。
【0058】
これにより、管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を受信できなかった場合であっても、統括端末30において異常の発生を把握することができる。統括端末30は、複数のトイレ室TRにおいて発生した例えば全ての異常に関して、異常の発生を通知する信号Sig2を受信することができる。
【0059】
なお、異常発生信号Sig1とは「別の信号」とは、例えば通信装置10が発信する異常発生信号Sig1とは異なる通信方式(通信規格)の信号でよい。つまり、「別の信号」は、ビーコン(BLE)とは異なる通信方式の信号である。「別の信号」は、異常発生信号Sig1とは別のネットワーク(有線、無線またはそれらの組合せ)を経由して送られる信号であり、この例では、インターネットを介して送られる信号である。「別の信号」は、LAN(Local Area Network)を介して送られてもよい。具体的には、例えばWi-Fi(登録商標)を用いてもよい。統括端末30と各通信装置10とは、異常発生信号Sig1とは「別の信号」により通信することができるように接続される。統括端末30と各管理者情報端末20とは、異常発生信号Sig1とは「別の信号」により通信することができるように接続される。例えば、
図2に表した信号Sig2、
図3に関して後述する信号Sig4、信号Sig5、
図4に関して後述する異常情報信号Sig6、
図5に関して後述する信号Sig7などは、異常発生信号Sig1とは「別の信号」である。
【0060】
図3は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を説明する模式図である。
図3は、トイレ管理システム100の第2動作状態を例示している。第2動作状態は、
図2に示した第1動作状態の後の状態である。第2動作状態は、複数の管理者情報端末20の少なくとも1つが、
図2に示した異常発生信号Sig1を受信した場合の動作状態である。
【0061】
異常発生信号Sig1を発信した通信装置10の異常通信範囲内の管理者情報端末20は、その異常発生信号Sig1を受信すると、受信確認信号Sig3を発信する。異常発生信号Sig1を発信した通信装置10は、受信確認信号Sig3を受信する。これにより、通信装置10に、異常発生信号Sig1が受信されたことが通知される。
【0062】
受信確認信号Sig3は、例えば異常発生信号Sig1と同じ通信方式(例えばBLE)で送信することができる。または、受信確認信号Sig3は、インターネットを介して送信される信号でもよい。例えば、管理者情報端末20は、異常発生信号Sig1を受信すると、自動的に受信確認信号Sig3を発信する。管理者情報端末20を管理する管理者が、異常発生信号Sig1の受信を確認して、受信確認信号Sig3を送信する操作を行ってもよい。
【0063】
例えば、異常発生信号Sig1を発信した通信装置10は、受信確認信号Sig3を受信すると、異常発生信号Sig1とは別の信号Sig4を統括端末30に送信する。信号Sig4は、例えば有線、無線またはその組合せによって、インターネットを介して送信される。
【0064】
また、異常発生信号Sig1を受信した管理者情報端末20は、異常発生信号Sig1とは別の信号Sig5を統括端末30に送信してもよい。信号Sig5は、例えば無線によって、インターネットを介して送信される。
【0065】
統括端末30は、信号Sig4及び/又は信号Sig5を受信する。これにより、統括端末30に、管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を受信したことが通知される。
【0066】
このように、管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を受信すると、異常が発生したトイレ室TRに設けられた通信装置10または異常発生信号Sig1を受信した管理者情報端末20から、異常発生信号Sig1とは別の信号により、統括端末30に、管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を受信したことが通知される。これにより、管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を受信したことを、統括端末30において把握することができる。
【0067】
図4は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を説明する模式図である。
図4は、トイレ管理システム100の第3動作状態を例示している。第3動作状態は、
図2に示した第1動作状態の後の状態である。第3動作状態は、複数の管理者情報端末20のいずれも、
図2に示した異常発生信号Sig1を受信しなかった場合の動作状態である。
【0068】
図4の例では、第1トイレ室TR1とは異なる第2トイレ室TR2(トイレ室TRの1つ)に、第2通信装置10b(通信装置10の1つ)が設けられている。第1通信装置10aが発信した異常発生信号Sig1(第1異常発生信号Sig1a)が、いずれの管理者情報端末20にも受信されない場合、例えば統括端末30は、第2通信装置10bに異常情報信号Sig6を送信する。異常情報信号Sig6は、異常発生信号Sig1とは別の信号であり、例えばインターネットを介して送信される。第2通信装置10bは、異常情報信号Sig6を受信すると、異常発生信号Sig1(第2異常発生信号Sig1b)を発信する。
【0069】
第2異常発生信号Sig1bは、管理者情報端末20が第2通信装置10bの周囲の第2異常通信範囲内にあるときに、その管理者情報端末20によって受信され、管理者情報端末20が第2異常通信範囲の外にあるときには、その管理者情報端末20によって受信されない信号である。
【0070】
このように、通信装置10が発信した異常発生信号Sig1が、いずれの管理者情報端末20にも受信されない場合、
図4の例においては、統括端末30が異常情報信号Sig6を送信する。異常情報信号Sig6は、異常発生信号Sig1を発信した通信装置10(第1通信装置10a)とは別のトイレ室TRに設けられた、別の通信装置10(第2通信装置10b)に送信される。異常情報信号Sig6を受信した別の通信装置10は、異常発生信号Sig1を発信する。
【0071】
なお、ある通信装置10の異常発生信号Sig1が管理者情報端末20に受信されない場合とは、例えば、当該通信装置10が当該異常発生信号Sig1の発信を開始してから所定時間以上、当該通信装置10が受信確認信号Sig3(
図3参照)を受信しない場合である。または、ある通信装置10の異常発生信号Sig1が管理者情報端末20に受信されない場合とは、例えば、当該通信装置10が当該異常発生信号Sig1の発信を開始してから所定時間以上、統括端末30が信号Sig4及び信号Sig5(
図3参照)を受信しない場合である。この所定時間は、任意に設定されるが、一例としては1分~1時間程度である。なお、統括端末30では、例えば信号Sig2により、異常発生信号Sig1の発信があったことを把握できる。
【0072】
図4のように、1つの通信装置10は、統括端末30などを介して、他の通信装置10と連絡可能でもよい。また、複数の通信装置10は、例えば統括端末30を介さずに、有線、無線またはそれらの組合せにより、互いに通信可能であってもよい。複数の通信装置10同士が互いに通信可能である場合には、統括端末30を介さずに、1つの通信装置10が、別の通信装置10に異常情報信号Sig6を送信してもよい。
【0073】
また、例えば、統括端末30が信号Sig4及び信号Sig5を受信せず、いずれかの管理者情報端末20が異常発生信号Sig1を受信したことが確認出来ない場合には、管理人室CRの管理者が、統括端末30を操作して、異常情報信号Sig6を送信してもよい。
【0074】
第2トイレ室TR2は、例えば、複数のトイレ室TRのうち、第1トイレ室TR1に最も近いトイレ室TRである。なお、1つのトイレ室TRに最も近い別のトイレ室TRとは、例えばその1つのトイレ室TRを含む複数のフロア内において最も近いトイレ室TRであるが、その1つのトイレ室TRと同じフロア内において最も近いトイレ室TRとしてもよい。
【0075】
さらに、1つの通信装置10が発信した異常発生信号Sig1が管理者情報端末20に受信されない場合、別の通信装置10が異常情報信号Sig6を受信し、異常情報信号Sig6を受信した別の通信装置10が異常発生信号Sig1を発信する動作は、いずれかの通信装置10が発信した異常発生信号Sig1が、いずれかの管理者情報端末20に受信されるまで繰り返されてもよい。
【0076】
具体的には、例えば
図4においては、第3トイレ室TR3(トイレ室TRの1つ)に第3通信装置10c(通信装置10の1つ)が設けられている。上述したように第2通信装置10bが第2異常発生信号Sig1bを発信した場合において、その第2異常発生信号Sig1bが、いずれの管理者情報端末20にも受信されない場合、例えば統括端末30は、第3通信装置10cに異常情報信号を送信する。第3通信装置10cは、異常情報信号を受信すると、異常発生信号Sig1(第3異常発生信号)を発信する。
【0077】
第3異常発生信号は、管理者情報端末20が第3通信装置10cの周囲の第3異常通信範囲内にあるときに、その管理者情報端末20によって受信され、管理者情報端末20が第3異常通信範囲の外にあるときには、その管理者情報端末20によって受信されない信号である。
【0078】
第3トイレ室TR3と第1トイレ室TR1との間の距離は、第2トイレ室TR2と第1トイレ室TR1との間の距離よりも長い。これらの距離は、直線的に測った距離であってもよいし、道のり(管理者の辿る最短経路)であってもよい。例えば、第3トイレ室TR3は、複数のトイレ室TRのうち、第1トイレ室TR1を除いて、第2トイレ室TR2に最も近いトイレ室TRである。例えば、第3トイレ室TR3は、第2トイレ室TR2の次に、第1トイレ室TR1に近いトイレ室TRである。
【0079】
このように、ある通信装置10が発信する異常発生信号Sig1が受信されない場合には、順次、別の通信装置10が異常発生信号Sig1を発信する。これにより、異常発生信号Sig1が発信されるエリアを徐々に広くすることができる。
【0080】
一方、別の通信装置10が発信した異常発生信号Sig1がいずれかの管理者情報端末20によって受信された場合には、
図3に関する説明と同様に、当該別の通信装置10は、管理者情報端末20から受信確認信号Sig3を受信し、統括端末30に信号Sig4を送信する。また、管理者情報端末20は、統括端末30に信号Sig5を送信してもよい。
【0081】
すなわち、第2異常発生信号Sig1bを受信した管理者情報端末20は、受信確認信号Sig3を第2通信装置10bに送信し、第2通信装置10bは統括端末30に信号Sig4を送信する。第2異常発生信号Sig1bを受信した管理者情報端末20は、信号Sig5を統括端末30に送信してもよい。
同様に、第3異常発生信号を受信した管理者情報端末20は、受信確認信号Sig3を第3通信装置10cに送信し、第3通信装置10cは統括端末30に信号Sig4を送信する。第3異常発生信号を受信した管理者情報端末20は、信号Sig5を統括端末30に送信してもよい。
【0082】
これにより、いずれかの管理者情報端末20に異常の発生が通知されたことが、統括端末30において把握される。
【0083】
このように実施形態においては、例えば、複数の通信装置10の1つ(例えば第1通信装置10a)が発信した異常発生信号Sig1が管理者情報端末20に受信されていないことに対応する異常情報信号Sig6を、複数の通信装置10の別の1つ(例えば第2通信装置10b)が受信すると、その別の1つが異常発生信号Sig1を発信する。これにより、1つの通信装置10の異常通信範囲内に管理者情報端末20を携帯する管理者がいない場合には、別の通信装置10から異常情報信号を発信することができる。つまり、異常が発生したトイレ室TRの周囲に管理者がいない場合には、別のトイレ室TRに近い管理者に、異常が発生したことを通知することができる。例えば、異常が発生したトイレ室TRのビーコンの通信範囲内に管理者がいなくても、異常が発生したトイレ室TRから一番近い別のトイレ室TRから異常を報知することができる。例えば、異常が発生したトイレ室TRのビーコンの通信範囲外にいる一番近い管理者に対して異常を報知できる。
【0084】
そして、このような動作(複数の通信装置10の1つが発信した異常発生信号Sig1が管理者情報端末20に受信されていないことに対応する異常情報信号Sig6を、複数の通信装置10の別の1つが受信すると、その別の1つが異常発生信号Sig1を発信する)は、例えば異常発生信号Sig1が管理者情報端末20に受信されるまで繰り返される。これにより、異常が発生したトイレ室TRに設けられた通信装置10の異常通信範囲の外にいる管理者に、異常が発生したことを報知することができる。なお、上記の動作において、当該別の1つの通信装置10は、複数の通信装置10のうち既に異常発生信号Sig1を発信した通信装置10とは異なる装置である。すなわち、例えば、当該別の1つの通信装置10は、複数のトイレ室TRのうち当該異常に関する異常発生信号Sig1を既に発信した通信装置10が設けられたトイレ室TRを除いた範囲において、当該1つの通信装置10が設けられたトイレ室から最も近いトイレ室に設けられた装置である。これにより、異常発生信号Sig1が発信されるエリアを徐々に広くすることができ、異常が発生したトイレ室から一番近くにいる管理者に、異常が発生したことを通知することができる。
【0085】
図5は、実施形態に係るトイレ管理システムの動作を例示する模式図である。
図5は、トイレ管理システム100の第4動作状態を例示している。第4動作状態は、例えば、
図2に示した第1動作状態、または、
図4に示した第3動作状態の後の状態である。つまり、第4動作状態は、1又は複数の通信装置10から発信された1又は複数の異常発生信号Sig1のいずれもが、管理者情報端末20によって受信されなかった場合の動作状態である。
【0086】
例えば、第1通信装置10aが第1異常発生信号Sig1aの発信を開始してから所定時間以上経過すると(統括端末30が信号Sig2を受信してから所定時間以上経過すると)、統括端末30は、全ての管理者情報端末20に、インターネットを介して信号Sig7を送信する。この所定時間は、任意に設定されるが、一例としては1分~1時間程度である。管理者情報端末20が、信号Sig7を受信することにより、管理者情報端末20を携帯する管理者に異常が発生したことが通知される。
【0087】
このように、例えば、通信装置10が異常発生信号Sig1を発信してから所定時間以上、管理者情報端末20に当該異常発生信号Sig1が受信されない場合、異常発生信号Sig1とは別の信号Sig7により、異常が発生したことが複数の管理者情報端末20に通知される。これにより、異常が発生したトイレ室TRに設けられた通信装置10の異常通信範囲内に管理者がいない場合であっても、異常発生信号Sig1とは別の信号Sig7によって異常が発生したことを通知することができる。
【0088】
なお、統括端末30を介さずに、第1通信装置10aからインターネット等を介して、複数の管理者情報端末20に信号Sig7を送信してもよい。信号Sig7を受信した管理者情報端末20は、
図3に関する説明と同様に、受信確認信号Sig3又は信号Sig5を送信してもよい。これにより、異常の発生が通知されたことが、統括端末30において把握される。
【0089】
上述の実施形態の中に示された処理は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態による効果と同様な効果を得ることも可能である。すなわち、実施形態は、コンピュータに、トイレ管理システム100の各動作を実行させるトイレ管理プログラムであってもよい。トイレ管理プログラムは、例えば、通信装置10にインストールされ、上述の通信装置10の各動作を通信装置10に実行させるプログラム部を含む。トイレ管理プログラムは、例えば、管理者情報端末20にインストールされ、上述の管理者情報端末20の各動作を管理者情報端末20に実行させるプログラム部を含む。トイレ管理プログラムは、例えば、統括端末30にインストールされ、上述の統括端末30の各動作を統括端末30に実行させるプログラム部を含む。但し、実施形態に係るトイレ管理システム100の動作の一部又は全部は、プログラムを必要としないハードウェアの動作に基づいて実行してもよい。
【0090】
実施形態に係るプログラムは、上述の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態(コンピュータに設けられた形態)に限ることなく、コンピュータに読み取り可能な記録媒体の形態であってもよい。記録媒体としては、例えば、CD-ROM(-R/-RW)、光磁気ディスク、HD(ハードディスク)、DVD-ROM(-R/-RW/-RAM)、FD(フレキシブルディスク)、フラッシュメモリ、これらに類する記録媒体、及び、その他各種ROM、RAM等を用いることができる。コンピュータまたは組み込みシステムが読み取り可能な記録媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合または読み込む場合はネットワークを通じて取得または読み込んでもよい。
さらに、実施形態における記録媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した記録媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記録媒体も含まれる。コンピュータは、プログラムを記憶する記憶装置(記憶媒体)を含んでもよい。また、記録媒体は1つに限らず、複数の記録媒体から実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記録媒体に含まれる。記録媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0091】
なお、実施形態におけるコンピュータまたは組み込みシステムは、記録媒体に記憶されたプログラムに基づき、実施形態における各処理を実行するためのものであって、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータ等の1つからなる装置、あるいは、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、実施形態におけるコンピュータとは、パーソナルコンピュータに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイクロコンピュータ等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0092】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
(構成1)
トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置を備え、
前記通信装置は、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信し、
前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とするトイレ管理システム。
(構成2)
前記通信装置は、複数設けられ、
複数の前記通信装置のそれぞれは、複数のトイレ室のそれぞれに設けられ、
複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を、複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信することを特徴とする構成1に記載のトイレ管理システム。
(構成3)
複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を、複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信する動作を、前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されるまで繰り返すことを特徴とする構成2に記載のトイレ管理システム。
(構成4)
前記別の1つの通信装置は、前記複数のトイレ室のうち前記1つの通信装置が設けられたトイレ室から最も近い別のトイレ室に設けられていることを特徴とする構成2に記載のトイレ管理システム。
(構成5)
複数の前記通信装置の1つが発信した前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されていないことに対応する異常情報信号を複数の前記通信装置の別の1つが受信すると、前記別の1つが前記異常発生信号を発信する動作を、前記異常発生信号が前記管理者情報端末に受信されるまで繰り返すトイレ管理システムであって、前記別の1つは、前記複数のトイレ室のうち前記異常に関する前記異常発生信号を既に発信した前記通信装置が設けられたトイレ室を除いた範囲において前記1つの通信装置が設けられたトイレ室から最も近いトイレ室に設けられた通信装置であることを特徴とする構成4に記載のトイレ管理システム。
(構成6)
前記通信装置が前記異常発生信号を発信してから所定時間以上、前記管理者情報端末に前記異常発生信号が受信されない場合、前記異常発生信号とは別の信号により、複数の前記管理者情報端末に前記異常が発生したことが通知されることを特徴とする構成1~5のいずれか1つに記載のトイレ管理システム。
(構成7)
統括端末をさらに備え、
前記異常が発生すると、前記異常発生信号とは別の信号により、前記統括端末に前記異常が発生したことが通知されることを特徴とする構成1~6のいずれか1つに記載のトイレ管理システム。
(構成8)
統括端末をさらに備え、
前記管理者情報端末が前記異常発生信号を受信すると、前記異常が発生した前記トイレ室に設けられた前記通信装置または前記異常発生信号を受信した前記管理者情報端末から、前記異常発生信号とは別の信号により、前記統括端末に、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を受信したことが通知されることを特徴とする構成1~7のいずれか1つに記載のトイレ管理システム。
(構成9)
トイレ室に設けられ、管理者が携帯する管理者情報端末と無線通信可能な通信装置に、前記通信装置が設けられた前記トイレ室内の便器装置、又は前記通信装置が設けられた前記トイレ室内もしくは周辺の設備機器に異常が発生すると、異常発生信号を発信する動作を実行させるトイレ管理プログラムであって、
前記異常発生信号は、前記管理者情報端末が前記異常発生信号を発信する前記通信装置の周囲の異常通信範囲内にあるときに前記管理者情報端末によって受信される信号であることを特徴とするトイレ管理プログラム。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各要素の形状、寸法、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0094】
10:通信装置
10a:第1通信装置
10b:第2通信装置
10c:第3通信装置
11:便器装置
11a:大便器装置
11b:小便器装置
12:リモコン
13、14:ドア
15:洗面台
17:異常検知部
18:判定部
20:管理者情報端末
30:統括端末
31:管理画面
100:トイレ管理システム
CR:管理人室
Sig1:異常発生信号
Sig17:信号
Sig1a:第1異常発生信号
Sig1b:第2異常発生信号
Sig2:信号
Sig3:受信確認信号
Sig4:信号
Sig5:信号
Sig6:異常情報信号
Sig7:信号
TB:個室
TR:トイレ室
TR1:第1トイレ室
TR2:第2トイレ室
TR3:第3トイレ室
TRa、TRb:エリア