(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025146247
(43)【公開日】2025-10-03
(54)【発明の名称】リラクタンスモータ用ロータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/22 20060101AFI20250926BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20250926BHJP
【FI】
H02K1/22 Z
H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046920
(22)【出願日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 賢哉
(72)【発明者】
【氏名】萱野 雅浩
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601CC01
5H601CC17
5H601DD01
5H601DD11
5H601GA22
5H601GC02
5H601GC12
5H601GE11
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP07
5H609PP08
5H609QQ05
5H609RR42
(57)【要約】
【課題】 効果的にロータコアを冷却することが可能なリラクタンスモータ用ロータの一例を開示する。
【解決手段】 ロータコア5Aに設けられ、ステータ3により誘起される回転磁界に対して磁気抵抗として機能するリラクタンス部であって、当該ロータコア5Aの回転軸線方向に連続して延びるリラクタンス部とを備え、リラクタンス部の少なくとも一部は、ロータコア5Aを冷却するための冷却液が流通する冷却液通路を兼ねていることである。これにより、当該ロータ5では、回転軸線方向に延びるリラクタンス部に冷却液が流通するので、ロータコア5Aの外周面側を効果的に冷却でき得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リラクタンスモータに適用されるロータにおいて、
多数枚の電磁鋼板が積層されて構成されたロータコアと、
前記ロータコアに設けられ、ステータにより誘起される回転磁界に対して磁気抵抗として機能するリラクタンス部であって、当該ロータコアの回転軸線方向に連続して延びるリラクタンス部とを備え、
前記リラクタンス部の少なくとも一部は、前記ロータコアを冷却するための冷却液が流通する冷却液通路を兼ねているリラクタンスモータ用ロータ。
【請求項2】
前記冷却液はオイルであり、
さらに、前記ロータコアには、前記冷却液通路と当該ロータコアの外周面とを連通させるオイル通路が設けられている請求項1に記載のリラクタンスモータ用ロータ。
【請求項3】
前記回転軸線方向と直交する仮想平面に投影された前記リラクタンス部は、中心に向けて凸となる曲線を描くように延びており、
さらに、前記オイル通路は、前記仮想平面に投影された前記リラクタンス部の延び方向端部側に位置している請求項2に記載のリラクタンスモータ用ロータ。
【請求項4】
前記オイル通路は、前記電磁鋼板の一部が当該電磁鋼板の厚み方向に凹んだ凹部により構成されており、
さらに、前記凹部の底部には、他の部位に比べて透磁率が小さい改質部が設けられている請求項3に記載のリラクタンスモータ用ロータ。
【請求項5】
前記リラクタンス部を外周側リラクタンス部としたとき、
前記ロータコアのうち前記外周側リラクタンス部より前記回転軸線側には、ステータにより誘起される回転磁界に対して磁気抵抗として機能する中心側リラクタンス部が設けられており、
さらに、前記中心側リラクタンス部には、永久磁石が配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリラクタンスモータ用ロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リラクタンスモータ用ロータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のリラクタンスモータでは、ロータコアに埋設された永久磁石が当該ロータコアの軸線方向端部から突出しているとともに、当該突出した部分が冷却液通路内に暴露されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リラクタンスモータのロータコアは、通常、外周面側で発熱し易い。これに対して、特許文献1に記載の発明では、ロータコアの軸線方向端部から突出した永久磁石の突出部分のみを冷却するので、効果的にロータコアを冷却することが難しい。本開示は、当該点に鑑みたリラクタンスモータ用ロータの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
リラクタンスモータに適用されるロータは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、多数枚の電磁鋼板(5E)が積層されて構成されたロータコア(5A)と、ロータコア(5A)に設けられ、ステータ(3)により誘起される回転磁界に対して磁気抵抗として機能するリラクタンス部(7)であって、当該ロータコア(5A)の回転軸線方向に連続して延びるリラクタンス部(7)とを備え、リラクタンス部(7)の少なくとも一部は、ロータコア(5A)を冷却するための冷却液が流通する冷却液通路を兼ねていることである。
【0006】
これにより、当該ロータでは、回転軸線方向に延びるリラクタンス部(7)に冷却液が流通するので、特許文献1に記載の発明に比べて、ロータコア(5A)の外周面側を効果的に冷却でき得る。
【0007】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るリラクタンスモータを示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るリラクタンス部を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るリラクタンス部を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係るロータコアの電磁鋼板の断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るエンドプレートを示す図である。
【
図7】第1実施形態に係るエンドプレートを示す図である。
【
図8】第1実施形態に係るステータを示す図である。
【
図9】第1実施形態に係るモータのオイル供給経路を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係る磁気ギャップを示す図である。
【
図11】第1実施形態に係るステータを示す図である。
【
図12】第1実施形態に係るステータコアの電磁鋼板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0010】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0011】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0012】
本開示に示されたリラクタンスモータ用ロータ(以下、ロータと記す。)及び当該ロータを用いたリラクタンスモータは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.リラクタンスモータの概要>
図1に示されるように、リラクタンスモータ(以下、モータと記す。)1は、ステータ3、ロータ5及びハウジング(図示せず。)等を少なくとも備える電動機である。ステータ3は、ロータ5の周囲に回転磁界を誘起させる。
【0014】
ロータ5は、主に、ステータ3とロータ5との間に発生する引力を利用して、回転磁界に同期してステータ3内で回転する。ハウジングは、ステータ3を収納するケーシングである。なお、本実施形態に係るモータ1は、電動車両やハイブリッド車両の走行用電動モータに適用される。
【0015】
<2.ロータ>
<2.1 ロータの構成
ロータ5は、
図2に示されるように、ロータコア5A、エンドプレート5B、5C及びシャフト5D等を少なくとも備える。ロータコア5Aは、多数枚の電磁鋼板5Eが回転中心軸線Loと平行な方向(以下、軸線方向ともいう。)に積層されたものである。
【0016】
エンドプレート5Bは、ロータコア5Aの軸線方向一端(
図2では、右端)に配置された円板状の部材である。エンドプレート5Cは、ロータコア5Aの軸線方向他端(
図2では、左端)に配置された円板状の部材である。
【0017】
シャフト5Dは、ロータコア5A及びエンドプレート5B、5Cを軸線方向に貫通し、ロータコア5A及びエンドプレート5B、5Cを支持する。なお、シャフト5Dの軸線方向一端側及び他端側は、軸受(図示せず。)を介してハウジングに回転可能に支持されている。
【0018】
ロータコア5Aには、
図3に示されるように、少なくとも1種類(本実施形態では、複数種類)のリラクタンス部7、8が設けられている。リラクタンス部7、8は、ステータ3により誘起される回転磁界に対して磁気抵抗として機能する部位である。なお、
図3の二点鎖線の斜線が付された範囲がリラクタンス部7、8でる。
【0019】
このため、ステータ3からロータ5に入射した磁力線は、
図4に示されるように、リラクタンス部7、8に沿って発生して再びステータ3に戻る。つまり、各リラクタンス部7、8は、回転磁界によってロータ5に誘起された磁束の磁路とそれ以外の部分とを区画する機能を発揮する。
【0020】
なお、本実施形態に係るロータコア5Aでは、
図3に示されるように、複数のリラクタンス部7、8が略円弧状に構成されている。つまり、軸線方向と直交する仮想平面に投影されたリラクタンス部7、8は、回転中心軸線に向けて凸となる曲線を描くように延びている。
【0021】
そして、各リラクタンス部7、8は、ロータコア5Aの直径方向に直列に並んで設けられている。つまり、リラクタンス部7は、リラクタンス部8に比べて、ロータコア5Aの外周面に近い位置に設けられている。
【0022】
なお、
図1に示されるように、ロータコア5Aには、リラクタンス部7、8それぞれが複数設けられている。これらのリラクタンス部7、8は、ロータ5の回転方向(以下、周方向という。)に沿って並ぶように設けられている。
【0023】
ところで、各リラクタンス部7、8は、磁気抵抗が大きいことが望ましい。このため、一般的なリラクタンス部は、電磁鋼板5Eに比べて大きな磁気抵抗を発生するように構成されている。
【0024】
このため、本実施形態に係るリラクタンス部7、8それぞれには、1つ又は複数の穴7A、8Aが設けられている。少なくとも各穴7Aは、
図2に示されるように、軸線方向にロータコア5Aを貫通した貫通穴である。なお、本実施形態では、各穴8Aも軸線方向にロータコア5Aを貫通している。
【0025】
つまり、穴7A、8Aの軸線方向一端は、エンドプレート5Bに到達している。穴7A、8Aの軸線方向他端は、エンドプレート5Cに到達している。そして、各リラクタンス部7の少なくとも一部(本実施形態では、各穴7A)は、ロータコア5Aを冷却するための冷却液が流通する冷却液通路を兼ねている。
【0026】
なお、穴7A(以下、冷却液通路7Aという。)には、冷却液(本実施形態では、オイル)が充満している。オイルは、電磁鋼板5Eに比べて透磁率が小さい。したがって、冷却液通路7Aは、電磁鋼板5Eに比べて大きな磁気抵抗を発生するリラクタンス部として機能する。
【0027】
各リラクタンス部8の穴8Aには、
図3に示されるように、永久磁石Mが配置されている。永久磁石Mの磁化方向は、上記の磁路に誘起される磁力線に対して概ね直交するように構成されている。このため、永久磁石Mは、ロータ5に誘起された磁界に対して磁気抵抗として機能する。なお、各永久磁石Mの種類、及び埋め込み手法は不問である。
【0028】
ところで、各リラクタンス部7、8には穴7A、8Aが設けられ、かつ、各穴(冷却液通路)7Aには冷却液が満たされ、各穴8Aには永久磁石Mが配置されている。このため、ロータ5が回転したときに発生する遠心力により、各穴7A、8Aを起点にしてロータ5が大きく変形するおそれがある。
【0029】
このため、リラクタンス部7、8それぞれの一部には、少なくとも1つのブリッジ部7B、7C、8B、8Cが設けられている。各ブリッジ部7B、7C、8B、8Cは、遠心力に対抗する強度を確保するための部位である。
【0030】
具体的には、各ブリッジ部7B、7Cは、リラクタンス部7を挟んで、当該リラクタンス部7の延び方向と直交する一方側の部分と他方側と部分とを繋ぐ。同様に、各ブリッジ部8B、8Cは、リラクタンス部8を挟んで、当該リラクタンス部8の延び方向と直交する一方側の部分と他方側と部分とを繋ぐ。
【0031】
つまり、本実施形態に係るリラクタンス部7は、複数の穴7A及びブリッジ部7B、7Cにより構成された略円弧状の部位である。同様に、本実施形態に係るリラクタンス部8は、複数の永久磁石M及びブリッジ部8B、8Cにより構成された略円弧状の部位である。
【0032】
<2.2. ブリッジ部の詳細>
各ブリッジ部7B、7C、8B、8Cは、概ね同一の構成である。このため、以下、リラクタンス部7のブリッジ部7Cを例に本実施形態に係るブリッジに詳細を説明する。なお、ブリッジ部7Cは、略円弧状に延びるリラクタンス部7の延び方向端部側であって、ロータコア5Aの外周面5Fに位置している。
【0033】
ブリッジ部7Cは、各電磁鋼板5Eに設けられている。当該ブリッジ部7Cは、
図5に示されるように、電磁鋼板5Eの一部が、当該電磁鋼板5Eの厚み方向凹んだ凹部7Dにより構成されている。そして、当該凹部7Dの底部には、改質部7Eが設けられている。
【0034】
改質部7Eは、他の部位7Fに比べて透磁率が小さい部位である。なお、本実施形態に係る改質部7Eは、改質用金属又は改質用合金と共に電磁鋼板5Eがレーザ光にて溶融改質された部位である。
【0035】
なお、凹部7Dは、電磁鋼板5Eが改質された後、改質部7Eを含む所定の範囲Wにプレス加工が施されることにより形成される。因みに、寸法T1は、当該プレス加工後の凹部7Dの厚み寸法である。寸法T2は、電磁鋼板5E本来の厚み寸法である。
【0036】
ところで、ブリッジ部7Cの各凹部7Dは、
図3に示されるように、ロータコア5Aの外周面5Fから当該外周面5Fに隣接する穴7Aまで延びる溝状の凹部である。このため、当該凹部7Dは、冷却液通路7Aとロータコア5Aの外周面とを連通させるオイル通路として機能する。
【0037】
<2.3 ロータへのオイルの供給>
オイルは、
図2示されるように、シャフト5Dからロータ5に注入され、通路5Gを介して冷却液通路7Aに流入する。通路5Gは、ロータコア5Aとエンドプレート5Bとの間に形成され、シャフト5Dの内部に設けられた通路側から外周面5Fまで延びている。
【0038】
このため、エンドプレート5Bのうちロータコア5Aと面する部位には、通路5Gを構成する溝5H(
図6参照)が少なくとも1つ設けられている。なお、当該溝5Hは、シャフト5Dから放射状に外周面5Fまで延びている。
【0039】
冷却液通路7Aに流入したオイルの一部は、当該オイルに作用する遠心力により凹部7Dから外周面5Fに流出する。その他のオイルは、エンドプレート5Cに到達する。エンドプレート5Cに到達したオイルは、流出口5Jから外周面5Fに流出する。
【0040】
このため、エンドプレート5Cのうち、冷却液通路7Aに対応する部位には、
図7に示されるように、各流出口5Jを構成する凹状の溝5Kが複数設けられている。なお、各溝5Kは、穴7Aの外周面5F側の一部のみに面している。
【0041】
<3.ステータの概略構成>
ステータ3は、
図1に示されるように、ステータコア3A及び巻線3B等を有して構成されている。ステータコア3Aは、
図8に示されるように、多数枚の電磁鋼板3Cが軸線方向に積層されて構成されたものである。
【0042】
ステータコア3Aには、巻線3Bが収納されるスロット3Dが複数設けられている。巻線3Bは、周期的に通電されることにより、回転磁界を誘起するコイル線である。そして、各スロット3Dには、
図9に示されるように、冷却用のオイルが流通する。
【0043】
なお、本実施形態では、ロータコア5Aに供給する冷却用のオイルとステータコア3Aに供給する冷却用のオイルとが共用されている。つまり、ポンプPから圧送されてきたオイルは、シャフト5Dに注入されるオイルとステータコア3Aに注入されるオイルとに分流される。
【0044】
ロータコア5A及びステータコア3Aから排出されたオイルは、オイルパンOp等により回収された後、オイルクーラExにて冷却される。当該冷却されたオイルは、ポンプPに吸引されて、再び、シャフト5D及びステータコア3Aに注入される。
【0045】
<3.1 スロット周囲の構造>
複数のスロット3Dのうち少なくとも1つ(本実施形態では、全ての)のスロット3Dには、
図10に示されるように、連通路3Eが設けられている。連通路3Eは、当該スロット3Dと磁気ギャップAgとを連通させる通路である。なお、磁気ギャップAgとは、ステータ3の内周面3Gとロータ5の外周面5Fとの隙間をいう。
【0046】
そして、当該連通路3Eには、
図11に示されるように、1つ又は複数の連結部3Fが設けられている。当該連結部3Fは、連通路3Eの周方向一端側と他端側とを連結する部位である。具体的には、各連結部3Fは、
図11において、連通路3Eを挟んで右側と左側とを繋ぐ部位である。
【0047】
このため、連通路3Eのうち部位3H(以下、連通口3Hという。)は、スロット3Dと磁気ギャップAgとに連通した状態となる。なお、本実施形態では、連通口3Hと連結部3Fとは、軸線方向に交互に配置された構成となっている。
【0048】
連通口3Hは、
図12に示されるように、電磁鋼板3Cの一部が厚み方向に窪んだ凹部3Jにより構成されている。そして、連結部3Fは、凹部3Jの底部に設けられている。このため、連結部3Fの厚み寸法T3は、電磁鋼板3Cの厚み寸法T4より小さい。
【0049】
そして、連結部3Fの少なくとも一部には、他の部位に比べて透磁率が小さい改質部3Kが設けられている。なお、本実施形態では、
図10に示されるように、改質部3Kの周方向一端と他端との寸法W1は、磁気ギャップAgの隙間寸法G1より大きい。
【0050】
因みに、改質部3K及び凹部3Jの製造方法は、ロータコア5Aの改質部7E及び凹部7Dの製造方法と同じである。そして、軸線方向と直交する仮想平面に投影されたステータ3の内周面3G、つまり
図11に示された内周面3Gは、平滑な円周形状である。
【0051】
さらに、スロット3Dの幅方向中央を通り、かつ、ステータ3の内周面3Gと直交する方向をスロット方向としたとき、当該スロット方向と直交する仮想平面に投影されたスロット3D内に、当該仮想平面に投影された改質部3Kが位置している。
【0052】
すなわち、
図11の紙面は、上記仮想平面に相当する。したがって、上記の構成を換言すれば、
図11に記載されたスロット3D内に、
図12に記載された改質部3Kが位置している、ということである。
<3.2 ステータへのオイルの供給>
ポンプPから圧送されたオイルは、
図9示されるように、複数のスロット3Dに分配注入される。各スロット3Dを流通するオイルの一部は、連通路3E、つまり連通口3Hから磁気ギャップAg内に流出する。
【0053】
そして、ステータコア3Aから流出したオイルは、ロータコア5Aから流出したオイルと共にオイルパンOp等に回収された後、オイルクーラExに流入して冷却される。冷却されたオイルは、ポンプPに吸引されて、再び、ロータコア5A及びステータコア3A側に圧送される。
【0054】
<4.本実施形態に係るロータの特徴>
本実施形態に係るモータ1では、巻線3B及びステータ3は、冷却用のオイルにより冷却されるので、巻線3B及びステータ3の温度上昇が抑制され得る。
【0055】
当該モータ1に係るロータ5では、ロータ5の外周面5F側に近接して設けられたリラクタンス部7に冷却用のオイルが流通するので、ロータコア5Aの外周面5F側を効果的に冷却でき得る。
【0056】
当該ロータ5では、冷却液通路7Aとロータコア5Aの外周面5Fとを連通させるオイル通路として機能する凹部7D(以下、オイル通路7Dともいう。)が設けられている。これにより、ロータコア5Aの外周面5Fを直接的に冷却でき得る。
【0057】
そして、本実施形態では、ステータ3からも冷却用のオイルが磁気ギャップAgに流れ込むので、当該オイルによってもロータコア5Aの外周面5Fを冷却でき得る。したがって、本実施形態では、ロータ5の外周面5F側を効果的に冷却でき得る。
【0058】
当該オイル通路7Dは、軸線方向と直交する仮想平面に投影されたリラクタンス部7の延び方向端部側に位置している。リラクタンス部7の延び方向端部は、ロータ5の外周面5Fに最も近接した部位である。したがって、当該端部側にオイル通路7Dが設けられた構成であれば、オイルを容易に外周面5Fに供給することが可能となり得る。
【0059】
ところで、ブリッジ部7Cは、リラクタンス部7を挟んで一方側の部分と他方側と部分とを繋ぐことによりロータコア5Aの強度を確保するものである。しかし、ブリッジ部7Cの透磁率が大きい場合には、リラクタンス部7の磁気抵抗部としての機能が低下する。
【0060】
これに対して、本実施形態では、オイル通路をなす凹部7Dの底部に改質部7Eが設けられている。したがって、当該ロータ5では、ロータコア5Aの強度が確保されるとともに、リラクタンス部7の磁気抵抗機能が大きく損なわれることが抑制され得る。
【0061】
同様に、連結部3Fの透磁率が大きい場合には、磁気抵抗部としての機能が低下し、ステータ3にて誘起された磁束が、ロータ5を流れることなく、ステータ5内で閉ループを描いてしまうおそれがある。
【0062】
これに対して、本実施形態に係る連結部3Fの厚み寸法T3は、電磁鋼板3Cの厚み寸法T4より小さいので、磁気抵抗が他の部位に比べて大きくなる。したがって、ステータ3にて誘起された磁束が、ステータ5内で閉ループを描いてしまうことが抑制され得る。
【0063】
さらに、連結部3Fの少なくとも一部は改質部3Kであるので、連結部3Fの磁気抵抗が他の部位に比べて大きくなる。したがって、ステータ5内で磁束が閉ループを描いてしまうことが確実に抑制され得る。
【0064】
ところで、スロット3Dと磁気ギャップAgとが連通路3Eを介して連通していると、ステータ3のうち当該連通路3Eが設けられた部位が振動する可能性が高い。
これに対して、当該モータ1では、連通路3Eの周方向一端側と他端側とを連結する連結部3Fが設けられているので、当該連通路3Eが設けられた部位で振動が発生することを抑制でき得る。
【0065】
ロータ5の回転中心軸線Loと直交する仮想平面に投影されたステータ3の内周面3Gは、平滑な円周形状である(
図10参照)。これにより、ロータ5がステータ5内を回転する際の抵抗が過度に大きくなることが抑制され得る。
【0066】
当該モータ1では、磁気ギャップAgにオイルが供給される。これにより、ロータ5とステータ3とは、シャフトとプレーンベアリング(滑り軸受)と同様な関係となる。つまり、ロータ5がシャフトに相当し、ステータ3の内周面3Gがプレーンベアリング(メタルともいう。)に相当する。
【0067】
したがって、ロータ5が高速で回転した場合であっても、偏心に起因してシャフト5Dに作用する遠心力を磁気ギャップAgに存在するオイルでも受けることが可能となるので、ロータ5を安定的に高速回転させることができ得る。
【0068】
複数の冷却液通路7A及び冷却用のオイルが流通する複数のスロット3Dは、周方向に沿って略等間隔に並ぶように設けられている(
図1参照)。したがって、本実施形態では、磁気ギャップAg全域にオイルを供給することが可能になる。
【0069】
延いては、ロータ5の外周面5Fの全体を冷却することが可能となり得る。さらに、複数の冷却液通路7Aにおいては、オイル圧の偏りが発生することが抑制され得るので、ロータコア5Aの回転バランスが大きく崩れることが抑制され得る。
【0070】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係るリラクタンス部7、8は、滑らかに湾曲した略円弧状であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、多角形状に湾曲した形状、つまり複数の直線状部分を繋ぎ合わせたような形状のリラクタンス部であってもよい。
【0071】
上述の実施形態では、永久磁石Mとしてボンド磁石が採用されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1つ又は複数の直線状部分を繋ぎ合わせたような形状のリラクタンス部では、焼結磁石等を用いてもよい。
【0072】
上述の実施形態では、レーザ改質により改質部が形成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電子ビームを利用した改質でああってもよい。
【0073】
上述の実施形態に係る凹部7Dは、電磁鋼板5Eの厚み方向一方側及び他方側に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電磁鋼板5Eの厚み方向一方側又は他方側のみに凹部7Dが設けられた構成であってもよい。
【0074】
上述の実施形態に係る改質部7Eは、凹部7Dの一部のみに設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、凹部7Dの底部全体が改質された改質部、凹部7Dの周囲の一部も含めて改質された改質部、又は改質部が廃止された構成であってもよい。
【0075】
上述の実施形態では、連通口3Hを構成する凹部3Jは、電磁鋼板3Cの厚み方向一方及び他方側に設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、凹部3Jは、電磁鋼板3Cの厚み方向一方又は他方側のみに設けられた構成であってもよい。
【0076】
上述の実施形態に係る連結部3Fには改質部3Kが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、改質部3Kが廃止され、かつ、連結部3Fの厚み寸法T3が電磁鋼板3Cの厚み寸法T4より小さくなっている構成、又は改質部3Kが廃止され、厚み寸法T3と厚み寸法T4とが同じである構成であってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、ロータコア5Aに凹部7Dにより構成されたオイル通路が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、オイル通路、つまり凹部7Dが廃止された構成であってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、リラクタンス部7のみに冷却液通路7Aが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、リラクタンス部8にも冷却液通路7Aが設けられた構成、リラクタンス部7、8の一部のみに冷却液通路7Aが設けられた構成、又は冷却液通路7Aが廃止された構成等であってもよい。
【0079】
上述の実施形態に係るステータ3の連通路3Eには、当該連通路3Eの周方向一端側と他端側とを連結する連結部3Fが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、当該連結部3Fが廃止された構成であってもよい。
【0080】
上述の実施形態に係るステータ3の改質部3Kの周方向一端と他端との寸法W1は、磁気ギャップAgの隙間寸法G1より大きい寸法であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、寸法W1が隙間寸法G1以下であってもよい。
【0081】
上述の実施形態では、ステータ3及びロータ5の両方から磁気ギャップAgにオイルが供給される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ステータ3又はロータ5から磁気ギャップAgにオイルが供給される構成、又は磁気ギャップAgにオイルを供給する供給が別途設けられた構成であってもよい。
【0082】
上述の実施形態では、ステータ3及びロータ5の両方から磁気ギャップAgにオイルが供給されるウェト構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、磁気ギャップAgにオイルが供給されないドライ構成であってもよい。
【0083】
上述の実施形態に係るリラクタンス部8には、永久磁石Mが埋設されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、リラクタンス部8が空隙で構成されていてもよい。
【0084】
上述の実施形態では、連通路3Eの周方向一端側と他端側とを連結する連結部3Fが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、連結部3Fが廃止された構成であってもよい。
【0085】
上述の実施形態に係る冷却液通路、つまり穴7Aは、ロータコア5Aの軸線方向一端側から冷却用のオイルが流入し、軸線方向他端側に向けて流通する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0086】
すなわち、当該開示は、例えば、シャフト5Dの長手方向中間部から冷却用のオイルがロータコア5Aに流入し、その後、軸線方向一端側及び他端側に分流する構成であってもよい。
【0087】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0088】
1… リラクタンスモータ 3…ステータ 3A… ステータコア
3C… 電磁鋼板 3B…巻線 3D… スロット
3E… 連通路 3F…連結部 3H… 連通口
3J… 凹部 3K…改質部 5… ロータ
5A… ロータコア 5B、5C…エンドプレート
5E… 電磁鋼板 5D…シャフト 7、8… リラクタンス部
7A… 冷却液通路 7C…ブリッジ部 7D… 凹部
7E… 改質部 8…リラクタンス部