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  • 特開-シート搬送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025146271
(43)【公開日】2025-10-03
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 13/04 20060101AFI20250926BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20250926BHJP
   B65H 20/10 20060101ALI20250926BHJP
【FI】
F26B13/04
F26B3/04
B65H20/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024046950
(22)【出願日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】三上 正晃
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】堀 将之
(72)【発明者】
【氏名】酒井 寿一
【テーマコード(参考)】
3F103
3L113
【Fターム(参考)】
3F103AA05
3F103BC01
3L113AA02
3L113AB02
3L113AC31
3L113AC48
3L113AC52
3L113BA32
3L113DA24
(57)【要約】
【課題】シートを裏返すターン部にシートを接触しにくくする。
【解決手段】シート搬送装置は、第1面1Aと第1面1Aの裏面の第2面1Bとを有する帯状のシート1が第1面1Aを下にして搬送される第1搬送部と、第1搬送部の下流に設けられシート1を裏返すターン部30と、ターン部30の下流に設けられ第2面1Bを下にしてシート1が搬送される第2搬送部と、を備える。ターン部30は、シート1の幅方向に軸線が延びた凸曲面31を備え、第1面1Aが内側を向くように凸曲面31に沿ってシート1を裏返す。凸曲面31は、エアを噴射するエアノズル32aが形成された小径部32と、小径部32の軸線方向の両側に配置されるともに小径部32よりも径方向の外方に張り出し、シート1の幅方向の両端部を支持する一対の大径部33と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面の裏面の第2面とを有する帯状のシートが前記第1面を下にして搬送される第1搬送部と、
前記シートの幅方向に軸線が延びた凸曲面を備えるとともに、前記第1搬送部の下流に設けられ、前記第1面が内側を向くように前記凸曲面に沿って前記シートを裏返すターン部と、
前記ターン部の下流に設けられ、前記第2面を下にして前記シートが搬送される第2搬送部と、を備え、
前記凸曲面は、
エアを噴射するエアノズルが形成された小径部と、
前記小径部の軸線方向の両側に配置されるともに前記小径部よりも径方向の外方に張り出し、前記シートの幅方向の両端部を支持する一対の大径部と、を含む、
シート搬送装置。
【請求項2】
前記シートは、塗工材が塗工されていない一対の未塗工部を前記第1面の幅方向の両端部に有し、
前記一対の大径部は、前記未塗工部を支持する、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記一対の大径部は、軸線方向に延びる回転軸周りに回転可能に構成されている、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記一対の大径部には、空気を吸引する吸引孔が形成されている、
請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記一対の大径部の前記回転軸と平行に延びる回転軸周りにそれぞれ回転可能に構成され、前記一対の大径部にそれぞれ当接する一対の補助ローラをさらに備えている、
請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記シートは、電極活物質を含むペーストが前記第1面に塗工された電極シートである、
請求項1~5のいずれか一つに記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、塗工材が塗工された帯状の金属箔を搬送しながら塗工材を乾燥させる乾燥装置が開示されている。特許文献1に記載の乾燥装置では、鉛直方向に2回、搬送路が折り返されており、搬送路は3段に構成されている。2段目から3段目への折り返し部分には、半円筒状のエアターンバーが設けられている。エアターンバーでは、金属箔は、塗工材の側が内側となるようにエアターンバーの半円筒状の外周に沿って搬送される。エアターンバーは、壁部がメッシュからなり、壁部から空気が吹き出すように構成されている。特許文献1によれば、エアターンバーから吹き出す空気によって金属箔をエアターンバーから浮き上がらせ、エアターンバーと所定の間隙を維持しつつ搬送することができる。エアターンバーでは金属箔を非接触で折り返すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-003004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート搬送装置において、金属箔を裏返すためのエアターンバーに金属箔が接触すると、金属箔に塗工された塗工材が損傷する。ここでは、シートを裏返すターン部にシートがより接触しにくいシート搬送装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで提案されるシート搬送装置は、第1面と前記第1面の裏面の第2面とを有する帯状のシートが前記第1面を下にして搬送される第1搬送部と、前記第1搬送部の下流に設けられ前記シートを裏返すターン部と、前記ターン部の下流に設けられ前記第2面を下にして前記シートが搬送される第2搬送部と、を備える。前記ターン部は、前記シートの幅方向に軸線が延びた凸曲面を備え、前記第1面が内側を向くように前記凸曲面に沿って前記シートを裏返す。前記凸曲面は、エアを噴射するエアノズルが形成された小径部と、前記小径部の軸線方向の両側に配置されるともに前記小径部よりも径方向の外方に張り出し、前記シートの幅方向の両端部を支持する一対の大径部と、を含んでいる。
【0006】
上記シート搬送装置によれば、小径部のエアノズルからエアを噴射し、小径部の両端に配置された一対の大径部でシートの幅方向の両端部を支持することにより、シートのうち小径部に対向する部分を小径部から確実に浮かせることができる。これにより、シートをターン部により接触しにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】シート搬送装置の模式的な断面図である。
図2】ターン部の斜視図である。
図3】ターン部の平面図である。
図4】ターン部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、シート搬送装置の一実施形態を説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも実際の実施品が忠実に反映されたものではない。以下では、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0009】
[シート搬送装置の構成]
図1は、シート搬送装置10の模式的な断面図である。シート搬送装置10は、蓄電デバイスの電極シート1を搬送する装置である。本明細書において「蓄電デバイス」とは、電気エネルギーを取り出し可能なデバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを含むとともに、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のような化学電池と、電気二重層キャパシタ等のような物理電池とを含む概念である。
【0010】
図1に示すように、シート搬送装置10は、電極シート1を搬送途中で裏返すように構成されている。電極シート1は、電極活物質を含む塗工材3(ペースト)が電極箔2の一方の表面に塗工されたものであり、帯状に形成されている。電極シート1は、塗工材3が塗工された塗工面1Aと、塗工面1Aの裏面の非塗工面1Bとを有する。電極シート1は、塗工材3が塗工されていない一対の未塗工部4Aを塗工面1Aの幅方向の両端部に有している(図2および図3を参照、なお、図2および図3において、塗工面1Aは電極シート1の下面である)。以下では、塗工面1Aのうち塗工材3が塗工されている領域を塗工部3Aとも呼ぶ。シート搬送装置10の図示部分は、ここでは、塗工材3が未乾燥の状態の電極シート1を搬送するものである。ただし、シート搬送装置10の図示部分は、塗工材3を乾燥させた後の電極シート1を搬送するものであってもよい。
【0011】
図1に示すように、シート搬送装置10は、電極シート1が搬送される第1搬送部20と、第1搬送部20の下流に設けられたターン部30と、ターン部30の下流に設けられた第2搬送部40と、を備えている。第1搬送部20および第2搬送部40は、ここでは、それぞれ略水平に設けられている。第1搬送部20では、電極シート1は、塗工面1Aを下にして搬送される。ターン部30では、非塗工面1Bが下になるように、塗工面1Aを内側に向けて電極シート1が裏返される。裏返すとは、ここでは、上面と下面とが入れ替わるように電極シート1を旋回させることを意味する。第2搬送部40では、非塗工面1Bを下にして電極シート1が搬送される。第2搬送部40は、第1搬送部20よりも下方に配置されている。
【0012】
第1搬送部20は、電極シート1の塗工面1Aに向けてエアを噴射する上流側エアノズル21を備えている。第1搬送部20は、噴射するエアによって電極シート1を浮かせることが可能に構成されている。これにより、未乾燥(または乾燥後)の塗工材3がシート搬送装置10に触れ、塗工材3が剥離等することが防止されている。上流側エアノズル21は、第1搬送部20における電極シート1の搬送経路よりも下方に配置され、上方に向かってエアを噴射する。第1搬送部20における電極シート1の搬送経路よりも上方には、上流側搬送ローラ22が設けられている。上流側搬送ローラ22は、電極シート1の非塗工面1Bに接触し、電極シート1を下流に搬送する。
【0013】
本実施形態では、上流側エアノズル21は、塗工材3を乾燥させるためのエアを噴射するノズルでもある。本実施形態では、電極シート1は、シート搬送装置10によって搬送されながら乾燥される。ただし、シート搬送装置10は、塗工材3が未乾燥状態の電極シート1を、別に設けられた乾燥装置に搬送するものであってもよい。
【0014】
ターン部30は、電極シート1が裏返される際に沿う凸曲面31を備えている。ターン部30は、凸曲面31から、凸曲面31の径方向外方に向かってエアを吹き出すように構成されている。これにより、電極シート1の塗工部3Aは、凸曲面31から離間した状態で搬送される。塗工部3Aを凸曲面31から離すことにより、ターン部30との接触による塗工部3Aの損傷が防止されている。ターン部30の詳しい構成については後述する。
【0015】
第2搬送部40は、電極シート1の塗工面1Aに向けてエアを噴射する下流側エアノズル41を備えている。下流側エアノズル41は、第2搬送部40における電極シート1の搬送経路よりも上方に配置され、下方に向かってエアを噴射する。第2搬送部40では、電極シート1は塗工面1Aが上を向くように搬送される。第2搬送部40における電極シート1の搬送経路よりも下方には、下流側搬送ローラ42が設けられている。下流側搬送ローラ42は、電極シート1の下面となった非塗工面1Bに接触し、電極シート1を下流に搬送する。
【0016】
[ターン部の構成]
以下では、ターン部30の構成について説明する。図2は、ターン部30の斜視図である。図3は、ターン部30の平面図である。図4は、ターン部30の側面図である。図2図4に示すように、ターン部30は、電極シート1の幅方向に軸線が延びた凸曲面31を備えている。ターン部30は、塗工面1Aが内側を向くように、凸曲面31に沿って電極シート1を裏返すものである。図2図4に示すように、凸曲面31は、小径部32と、小径部32の軸線方向(電極シート1の幅方向)の両側に配置された一対の大径部33と、一対の大径部33にそれぞれ当接する一対の上流側補助ローラ34と、一対の大径部33にそれぞれ当接する一対の下流側補助ローラ35と、を備えている。
【0017】
小径部32は、電極シート1の幅方向に軸線が延びる半円形状に構成されている。図1に示すように、小径部32は、中空に構成されている。小径部32の円弧部分には、エアを噴射する複数のエアノズル32aが形成されている。各エアノズル32aは、ここでは、小径部32の円弧部分を貫通するように形成された略円形の貫通孔であり、小径部32の内部空間32bに連通している。複数のエアノズル32aは、小径部32の円弧部分の全体に均等に配置されていている。ただし、複数のエアノズル32aの形状および配置は特に限定されない。例えば、複数のエアノズル32aのうちの一部または全部は、電極シート1の幅方向に長い長孔状に構成されていてもよい。複数のエアノズル32aは、例えば、電極シート1の搬送方向上流側の方が下流側よりも密度が高くなるように配置されていてもよい。
【0018】
図1に示すように、小径部32は、内部空間32bにエアを導入するエア導入口32cを備えている。エア導入口32cは、図示しない送風ファンに接続されている。送風ファンによりエア導入口32cから内部空間32bに供給されたエアは、エアノズル32aから噴射される。なお、エアは送風ファンではなく、例えば、圧縮エアを生成するエアコンプレッサにより供給されてもよい。
【0019】
図2に示すように、一対の大径部33は、小径部32の軸線方向の両側に配置され、小径部32よりも径方向の外方に張り出している。各大径部33は、小径部32と同心円状に構成されている。各大径部33の半径は、小径部32の半径よりも大きい。大径部33の半径と小径部32の半径との差は、好適には、例えば、1mm以上5mm以下である。一対の大径部33は、電極シート1の幅方向の両端部、より詳しくは、塗工面1Aの両端に設けられた未塗工部4Aを支持する。電極シート1は、両端の未塗工部4Aにおいてターン部30(大径部33)に接触する。電極シート1の塗工部3Aは、小径部32にも一対の大径部33にも接触しない。
【0020】
一対の大径部33は、軸線方向(電極シート1の幅方向)に延びる回転軸33a周りに回転可能に構成されている。ターン部30は、一対の大径部33を回転可能に支持する支持部材36を備えている。各大径部33の軸線方向の外側部分は、支持部材36によって回転可能に支持されている。本実施形態では、各大径部33は、支持部材36によって片側支持されている。ただし、各大径部33は、小径部32によっても回転可能に支持されていてもよい。なお、ここでは、支持部材36は、小径部32も回転不能に支持している。
【0021】
図2に示すように、各大径部33には、空気を吸引する複数の吸引孔33bが形成されている。各大径部33は中空に構成され、内部空間(図示せず)を有している。各吸引孔33bは、ここでは、大径部33の円周面を貫通するように形成された略円形の貫通孔であり、大径部33の内部空間に連通している。複数の吸引孔33bは、大径部33の全周にわたって配置されている。ただし、吸引孔33bの形状、配置等は特に限定されない。
【0022】
ターン部30は、一対の大径部33の各内部空間から空気を吸い出す一対の減圧管37を備えている。減圧管37は、大径部33の回転軸33aに接続され、大径部33の内部空間に連通している。各減圧管37の他端には、図示しないファンが接続されている。ファンを駆動すると、大径部33の内部空間内が減圧され、大径部33の円周面に形成された複数の吸引孔33bから外部の空気が吸い込まれる。これにより、大径部33に支持された電極シート1(詳しくは、未塗工部4A)が大径部33に吸着される。
【0023】
一対の上流側補助ローラ34は、一対の大径部33の回転軸33aと平行に延びる回転軸34a周りにそれぞれ回転可能に構成されている。支持部材36は、一対の上流側補助ローラ34を回転可能に支持している。一対の上流側補助ローラ34は、一対の大径部33にそれぞれ当接している。そのため、一対の上流側補助ローラ34は、一対の大径部33が回転すると、従動的に回転する。一対の上流側補助ローラ34は、ここでは、小径部32よりも電極シート1の搬送方向上流側に設けられている。一対の上流側補助ローラ34は、小径部32および大径部33の中心軸(大径部33の回転軸33a)よりも上方に配置されている。一対の上流側補助ローラ34は、大径部33のうち、電極シート1を支持する方の半円弧部分(小径部32と並ぶように配置された半円弧部分)とは逆側の半円弧部分に当接している。一対の上流側補助ローラ34は、大径部33の回転が回転軸33a周りにブレることを抑制するものである。一対の上流側補助ローラ34は、電極シート1によって第1搬送部20の側(図1の右方)に押された大径部33を受けることにより、大径部33の回転ブレを抑制している。
【0024】
一対の下流側補助ローラ35も、一対の大径部33の回転軸33aと平行に延びる回転軸35a周りにそれぞれ回転可能に構成されている。支持部材36は、一対の下流側補助ローラ35を回転可能に支持している。一対の下流側補助ローラ35も、一対の大径部33にそれぞれ当接しており、一対の大径部33が回転すると従動的に回転する。一対の下流側補助ローラ35は、小径部32よりも電極シート1の搬送方向下流側に設けられている。一対の下流側補助ローラ35は、小径部32および大径部33の中心軸(大径部33の回転軸33a)よりも下方に配置されている。一対の下流側補助ローラ35も、大径部33のうち、電極シート1を支持する方の半円弧部分とは逆側の半円弧部分に当接している。一対の下流側補助ローラ35は、上流側補助ローラ34とともに、大径部33の回転が回転軸33a周りにブレることを抑制するものである。なお、上流側補助ローラ34および下流側補助ローラ35は、それぞれ、一対の大径部33に対応するように2つに分かれていなくてもよく、長い1つのローラであってもよい。
【0025】
[実施形態の作用効果]
以下では、本実施形態に係るシート搬送装置10が奏することのできる作用効果について説明する。
【0026】
本実施形態に係るシート搬送装置10は、塗工面1Aと塗工面1Aの裏面の非塗工面1Bとを有する帯状の電極シート1が塗工面1Aを下にして搬送される第1搬送部20と、電極シート1の幅方向に軸線が延びた凸曲面31を備えるとともに、第1搬送部20の下流に設けられ、塗工面1Aが内側を向くように凸曲面31に沿って電極シート1を裏返すターン部30と、ターン部30の下流に設けられ、非塗工面1Bを下にして電極シート1が搬送される第2搬送部40と、を備えている。凸曲面31は、エアを噴射するエアノズル32aが形成された小径部32と、小径部32の軸線方向の両側に配置されるともに小径部32よりも径方向の外方に張り出し、電極シート1の幅方向の両端部を支持する一対の大径部33と、を含んでいる。
【0027】
かかる構成によれば、小径部32のエアノズル32aからエアを噴射し、小径部32の両端に配置された一対の大径部33で電極シート1の幅方向の両端部を支持することにより、電極シート1のうち小径部32に対向する部分(ここでは、塗工部3A)を小径部32から確実に浮かせることができる。詳しくは、小径部32よりも径方向の外方に張り出した大径部33の支持によって電極シート1の塗工部3Aと小径部32との間に隙間が生じることにより、塗工部3Aが小径部32から離間する。また、電極シート1と大径部33との接触によって電極シート1の幅方向の両側からのエア排出が少なくなり、小径部32から噴射するエアの浮揚力が向上する。これにより、電極シート1をターン部30に接触しにくくできる。その結果、ターン部30との接触による塗工部3Aの損傷のおそれを低減することができる。
【0028】
本実施形態では、電極シート1は、塗工材3が塗工されていない一対の未塗工部4Aを塗工面1Aの幅方向の両端部に有している。一対の大径部33は、未塗工部4Aを支持する。かかる構成によれば、電極シート1のうち大径部33が支持する部分には、塗工材3が塗工されていない。そのため、大径部33との接触による塗工材3の損傷を防止できる。
【0029】
本実施形態では、一対の大径部33は、軸線方向に延びる回転軸33a周りに回転可能に構成されている。かかる構成によれば、電極シート1の搬送に伴って、一対の大径部33が従動的に回転する。そのため、大径部33に巻き掛けられたときの張力による未塗工部4Aの伸びが抑制される。なお、ターン部30は、電極シート1の搬送速度に合わせて一対の大径部33を回転させる駆動部を備えていてもよい。
【0030】
本実施形態では、一対の大径部33には、空気を吸引する吸引孔33bが形成されている。かかる構成によれば、電極シート1が大径部33に吸着され、密着する。そのため、電極シート1が大径部33によって確実に支持される。また、電極シート1の幅方向の両側からのエア漏れが少なくなり、小径部32から噴射するエアの浮揚力がさらに向上する。
【0031】
本実施形態に係るシート搬送装置10は、一対の大径部33の回転軸33aと平行に延びる回転軸34a周りにそれぞれ回転可能に構成され、一対の大径部33にそれぞれ当接する一対の上流側補助ローラ34を備えている。かかる構成によれば、大径部33の回転が回転軸33a周りにブレることを抑制することができる。一対の下流側補助ローラ35をさらに設けることにより、大径部33の回転ブレをさらに効果的に抑制することができる。
【0032】
本実施形態において搬送されるシートは、電極活物質を含む塗工材3(ペースト)が塗工面1Aに塗工された電極シート1である。本実施形態に係るシート搬送装置10は、このような電極シート1の搬送に好適に利用することができる。
【0033】
以上、ここで提案されるシート搬送装置の一実施形態について説明した。しかし、上記実施形態は一例に過ぎず、他の態様で実施することもできる。上記した実施形態は、特に言及された場合を除いて本発明を限定しない。また、ここで開示される技術は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされ得る。
【0034】
例えば、シート搬送装置は、蓄電デバイスの電極シートを搬送するものには限定されず、他の帯状のシートを搬送するものであってもよい。例えば、小径部は、半円を超える、または、半円に満たない円弧状であってもよい。第1搬送部は塗工部を下にしてシートを搬送するように構成されていればよく、シートを水平方向以外の方向に搬送してもよい。第2搬送部も塗工部を上にしてシートを搬送するように構成されていればよく、シートを水平方向以外の方向に搬送してもよい。
【0035】
また、例えば、大径部は回転不能に構成されていてもよい。大径部が回転しなくても、シート搬送装置は、電極シートがターン部に接触して塗工部が損傷するおそれを低減するという作用効果を奏することができる。
【0036】
本明細書は、以下の各項に記載の開示を含んでいる。
【0037】
項1:
第1面と前記第1面の裏面の第2面とを有する帯状のシートが前記第1面を下にして搬送される第1搬送部と、
前記シートの幅方向に軸線が延びた凸曲面を備えるとともに、前記第1搬送部の下流に設けられ、前記第1面が内側を向くように前記凸曲面に沿って前記シートを裏返すターン部と、
前記ターン部の下流に設けられ、前記第2面を下にして前記シートが搬送される第2搬送部と、を備え、
前記凸曲面は、
エアを噴射するエアノズルが形成された小径部と、
前記小径部の軸線方向の両側に配置されるともに前記小径部よりも径方向の外方に張り出し、前記シートの幅方向の両端部を支持する一対の大径部と、を含む、
シート搬送装置。
【0038】
項2:
前記シートは、塗工材が塗工されていない一対の未塗工部を前記第1面の幅方向の両端部に有し、
前記一対の大径部は、前記未塗工部を支持する、
項1に記載のシート搬送装置。
【0039】
項3:
前記一対の大径部は、軸線方向に延びる回転軸周りに回転可能に構成されている、
項1または2に記載のシート搬送装置。
【0040】
項4:
前記一対の大径部には、空気を吸引する吸引孔が形成されている、
項3に記載のシート搬送装置。
【0041】
項5:
前記一対の大径部の前記回転軸と平行に延びる回転軸周りにそれぞれ回転可能に構成され、前記一対の大径部にそれぞれ当接する一対の補助ローラをさらに備えている、
項3または4に記載のシート搬送装置。
【0042】
項6:
前記シートは、電極活物質を含むペーストが前記第1面に塗工された電極シートである、
項1~5のいずれか一つに記載のシート搬送装置。
【符号の説明】
【0043】
1 電極シート(シート)
1A 塗工面(第1面)
1B 非塗工面(第2面)
2 電極箔
3 塗工材(ペースト)
3A 塗工部
4A 未塗工部
10 シート搬送装置
20 第1搬送部
21 上流側エアノズル
22 上流側搬送ローラ
30 ターン部
31 凸曲面
32 小径部
32a エアノズル
32b 内部空間
32c エア導入口
33 大径部
33a 回転軸
33b 吸引孔
34 上流側補助ローラ(補助ローラ)
34a 回転軸
35 下流側補助ローラ(補助ローラ)
35a 回転軸
36 支持部材
37 減圧管
40 第2搬送部
41 下流側エアノズル
42 下流側搬送ローラ
図1
図2
図3
図4