(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014628
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電動車椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/10 20060101AFI20250123BHJP
A61M 16/10 20060101ALI20250123BHJP
A61G 5/04 20130101ALI20250123BHJP
【FI】
A61G5/10
A61M16/10 A
A61G5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117334
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】517038523
【氏名又は名称】VIGO MEDICAL株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523273819
【氏名又は名称】Beyondability 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103724
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 正夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 凱星
(72)【発明者】
【氏名】鈴木暢晃
(72)【発明者】
【氏名】蛭田恵一
(72)【発明者】
【氏名】米澤福男
(57)【要約】 (修正有)
【課題】酸素吸入機能を有する小型化された電動車椅子を提供すること。
【解決手段】電動車椅子(1)は、着座部(2)の下側に酸素発生器(8)が着脱可能に配置され、この酸素発生器に電動車椅子の電源(7)からの電気を供給する着脱可能な電気接続部(12a,12b)、および、前記酸素発生器からの酸素を酸素吸入具に流すための着脱可能な流体接続部(13a,13b)が、前記着座部の下側に設けられ、流体接続部からの酸素流路(16)が、電動車椅子本体(2,3)の内部を通って、着座部の下側から着座部の上側に延びており、着座部よりも上側で電動車椅子本体から外側に出て、酸素吸入具(18)に接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部の下側に酸素発生器が着脱可能に配置され、
この酸素発生器に電動車椅子の電源からの電気を供給する着脱可能な電気接続部、および、前記酸素発生器からの酸素を酸素吸入具に流すための着脱可能な流体接続部が、前記着座部の下側に設けられ、
前記流体接続部からの酸素流路が、電動車椅子本体の内部を通って、着座部の下側から着座部の上側に延びており、着座部よりも上側で電動車椅子本体から外側に出て、酸素吸入具に接続されることを特徴とする電動車椅子。
【請求項2】
前記着座部の下側に酸素発生器を収納する収納部が設けられ、
この収納部には、前記電気接続部および前記流体接続部が設けられ、前記酸素発生器が収納部に押し込まれると、電気接続部および流体接続部が接続されることを特徴とする請求項1記載の電動車椅子。
【請求項3】
前記酸素流路は、電動車椅子本体の背もたれ部の内部を通って、背もたれ部上部に延びており、背もたれ部上部から外側に出て、酸素吸入具が接続され、
この酸素吸入具が、屈曲自在であるとともに曲げるとその位置を保持できるフレキシブルチューブの先端に酸素吐出ノズルを具備していることを特徴とする請求項1または2記載の電動車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素吸入機能を有する電動車椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この様な電動車椅子は、たとえば、特開2001-70356号公報(特許文献1)に記載されており、電動車椅子の横側や後側に酸素ボンベを搭載している。その酸素ボンベの上端部に設けられた酸素出口に、酸素マスクやカニューラなどの酸素吸入用具のチューブが接続される。そして、この酸素吸入用具を人に装着して、酸素を供給する。
【0003】
しかしながら、酸素ボンベを電動車椅子の横側や後側に配置すると、電動車椅子が大型化し、操縦が難しくなる。そこで、電動車椅子の着座部の下側に、小型化できる酸素発生器を設けることを検討した。この酸素発生器に酸素吸入用具のチューブを接続すると、可撓性のあるチューブが上下に長く延在することになる。
【0004】
すると、電動車椅子の走行中に、物などがチューブに引っかかるおそれがある。また、酸素吸入用具を落としてしまうと、床まで落ちることになり、搭乗者が簡単には回収することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、酸素発生器を電動車椅子の着座部の下側に如何にして配置し、かつ、酸素発生器の酸素を如何にして供給するかである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動車椅子(1)は、着座部(2)の下側に酸素発生器(8)が着脱可能に配置され、この酸素発生器に電動車椅子の電源(7)からの電気を供給する着脱可能な電気接続部(12a,12b)、および、前記酸素発生器からの酸素を酸素吸入具に流すための着脱可能な流体接続部(13a,13b)が、前記着座部の下側に設けられ、流体接続部からの酸素流路(16)が、電動車椅子本体(2,3)の内部を通って、着座部の下側から着座部の上側に延びており、着座部よりも上側で電動車椅子本体から外側に出て、酸素吸入具(8)に接続される。
【0008】
また、着座部の下側に酸素発生器を収納する収納部(11)が設けられ、この収納部には、電気接続部および流体接続部が設けられ、酸素発生器が収納部に押し込まれると、電気接続部および流体接続部が接続される場合がある。
【0009】
そして、酸素流路は、電動車椅子本体の背もたれ部の内部を通って、背もたれ部上部に延びており、背もたれ部上部から外側に出て、酸素吸入具が接続され、この酸素吸入具が、屈曲自在であるとともに曲げるとその位置を保持できるフレキシブルチューブ(18a)の先端に酸素吐出ノズル(18b)を具備している場合がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酸素発生器が、着座部の下側に配置されているので、電動車椅子を小型化することができ、操縦が容易となる。酸素発生器が着脱可能に設けられているので、出先などで、酸素発生器を電動車椅子から取り外し、電動車椅子から離れた場所で使用可能である。しかも、酸素流路が、電動車椅子本体の内部を通って、着座部の下側から着座部の上側に延びているので、電動車椅子の走行中に、物などが酸素流路などに引っかかるおそれがなくなる。酸素吸入具は、着座部よりも上側で酸素流路に接続されるので、酸素吸入具として、酸素マスクやカニューラなどを採用しても、そのチューブの端部は、着座部よりも上側に位置しており、酸素吸入具を落としたとしても、酸素吸入具のチューブを引っ張り上げることにより、搭乗者は簡単に、酸素吸入具を回収することができる。
【0011】
また、酸素発生器を収納部に押し込むことにより、電気接続部および流体接続部が着脱される場合には、酸素発生器の脱着がほぼ一回の操作で完了し容易となる。
【0012】
さらに、酸素流路が、背もたれ部上部に延びて、背もたれ部上部から外側に出て、酸素吸入具が接続され、この酸素吸入具が、屈曲自在であるとともに曲げるとその位置を保持できるフレキシブルチューブの先端に酸素吐出ノズルを具備している場合には、搭乗者が電動車椅子に乗降する際に、酸素吸入具などに妨げられずに、着座部やひじ掛け部などに手をついて体を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明における電動車椅子の実施の一形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
酸素吸入機能を有する電動車椅子を小型化するという目的を、着座部の下側に酸素発生器を着脱可能に配置することで実現した。
【実施例0015】
次に、本発明における電動車椅子の一実施例について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1は本発明における電動車椅子の実施の一形態の側面図である。
図2は一部切り欠き側面図である。
【0016】
電動車椅子1は、通常の椅子と同様に、着座部2、背もたれ部3およびひじ掛け部4を備えている。ひじ掛け部4には、電動車椅子1を操縦するための操縦レバー6が設けられている。着座部2の下側には、電動車椅子1の走行用駆動電源7および、酸素発生器8が内蔵されている。
【0017】
酸素発生器8は、着座部2の下側に設けられた収納部11に収納される。収納部11の奥側には、走行用駆動電源7からの電気を供給する電気接続部12の出力端子12a及び、酸素発生器8からの酸素を受け入れる流体接続部13の入力端子13bが設けられている。一方、酸素発生器8の先端部には、電気接続部12の入力端子12b及び、流体接続部13の出力端子13aが設けられ、酸素発生器8が収納部11に押し込まれると、電気接続部12および流体接続部13が接続される。
【0018】
そして、流体接続部13に流入した酸素は、酸素流路16を通って背もたれ部3に達している。酸素流路16は、電動車椅子1の本体である着座部2および背もたれ部3の内部に設けられ、着座部2の下側から着座部2の上側に延びて、背もたれ部3の上部の左側の縁部から外側に出ている。
【0019】
酸素流路16の上端部には、酸素吸入具18が接続される。酸素吸入具18は、酸素流路16に接続されるフレキシブルチューブ18aと、そのフレキシブルチューブ18a先端に設けられた酸素吐出ノズル18bを具備している。フレキシブルチューブ18aは、マイクロホンや照明のスタンド用として幅広く使われており、屈曲自在であるとともに曲げるとその位置を保持できる。
【0020】
この様に構成されている電動車椅子1で、酸素を吸入する際には、酸素発生器8を収納部11に押し込んで設置する。すると、電気接続部12および流体接続部13が接続され、酸素吸入具18の酸素吐出ノズル18bから酸素が吐出する。そして、搭乗者に酸素が供給される。出先などで、搭乗者が降車し、電動車椅子1から離れた場所で、酸素発生器8を使用したい際には、酸素発生器8を収納部11から引き出し、家庭用電源などに接続して利用する。なお、酸素発生器8のON、OFFなどの操作は、リモコンやスマホなどで行うことができるように構成されている。
【0021】
前述の様に、電動車椅子1の本体の内部に設けられた酸素流路16に、酸素吸入具18が接続されているので、酸素吸入具18を着座部2の下側の酸素発生器8に直接、接続した場合に比して、電動車椅子1の走行中に、物などが酸素流路16などに引っかかるおそれがなくなる。
【0022】
また、酸素吸入具18として、酸素マスクやカニューラなどを採用しても、そのチューブは、着座部2よりも上側で、酸素流路16に接続されることになる。したがって、酸素吸入具18のチューブの端部は、着座部2よりも上側に位置しており、酸素吸入具18を落としたとしても、酸素吸入具18のチューブを引っ張り上げることにより、搭乗者は簡単に、酸素吸入具18を回収することができる。
【0023】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を下記に例示する。
(1)電動車椅子は、着座部が設けられていれば、背もたれ部やひじ掛け部は必ずしも設ける必要はない。
【0024】
(2)酸素吸入具は、フレキシブルチューブと、そのフレキシブルチューブ先端に設けられた酸素吐出ノズルを具備しているが、その構成は適宜変更可能で、酸素マスクやカニューラなどを採用することも可能である。また、フレキシブルチューブは、屈曲自在であるとともに曲げるとその位置を保持でき、かつ、酸素を流すことができるならば、その構造は適宜変更可能である。
【0025】
(3)酸素吸入具は、その配置や構造などは適宜変更可能である。たとえば、酸素吸入具18は、背もたれ部3の上部の左側の縁部に取り付けられているが、右側の縁部に取り付けることも可能である。また、他の箇所、たとえば、ひじ掛け部4などに取り付けることも可能である。
(4)酸素発生器は、その構造や取り付け方法などは適宜選択可能である。そして、酸素発生器としては、例えば、特許第6860197号などが知られている。