(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014631
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】壁パネルおよび壁パネルの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/30 20060101AFI20250123BHJP
E06B 1/56 20060101ALI20250123BHJP
E04C 2/38 20060101ALI20250123BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
E04C2/30 V
E06B1/56 Z
E04C2/38 C
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117340
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 奈実
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
【テーマコード(参考)】
2E011
2E162
2E174
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA01
2E011KB04
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KC09
2E011KD14
2E162BA10
2E162BB08
2E162CA24
2E174BA01
2E174DA10
2E174DA14
2E174DA32
(57)【要約】
【課題】テラス窓を組み込むことができ、かつ、吊り上げて土台上に設置できる壁パネルおよび壁パネルの施工方法を提供すること。
【解決手段】壁パネル1は、障子6が取り付けられる窓枠5と、窓枠5を支持するパネル枠2とを有し、建物の壁面を構成する。パネル枠2は、左右の縦材23と、各縦材に連結された上材21とを有する。窓枠5は、左右の縦枠と、縦枠に連結される上枠51および下枠52とを有する。下枠52は、建物の土台に載置される土台載置部524を有し、土台載置部524よりも室外側に配置されて下枠52を支持可能な第1補強材7が、左右の縦材23に着脱可能に取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障子が取り付けられる窓枠と、前記窓枠を支持するパネル枠とを有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、
前記パネル枠は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有し、
前記窓枠は、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠および下枠とを有し、
前記下枠は、建物の土台に載置される土台載置部を有し、
前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材が、前記各縦材に着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項2】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記第1補強材は、前記左右の縦材の室外側見付面に着脱可能に取り付けられる第1連結金具を備える
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項3】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記土台載置部を支持可能な第2補強材が、前記各縦材に着脱可能に取り付けられている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項4】
請求項3に記載の壁パネルにおいて、
前記第2補強材は、前記左右の縦材の室内側見付面に着脱可能に取り付けられる第2連結金具を備える
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項5】
請求項3に記載の壁パネルにおいて、
前記第1補強材の下面と前記第2補強材の下面とは、面一である
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項6】
請求項1に記載の壁パネルにおいて、
前記窓枠内には障子が組み込まれている
ことを特徴とする壁パネル。
【請求項7】
左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有するパネル枠と、
左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠と、前記各縦枠に連結され、かつ、建物の土台に載置される土台載置部を有する下枠と、を有する窓枠と、
前記窓枠に組み込まれた障子と、
前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材と、を有する壁パネルを吊り上げ、
前記下枠の土台載置部を建物の土台に載置した後に、前記第1補強材を取り外す
ことを特徴とする壁パネルの施工方法。
【請求項8】
左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有するパネル枠と、
左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠と、前記各縦枠に連結され、かつ、建物の土台に載置される土台載置部を有する下枠と、を有する窓枠と、
前記窓枠に組み込まれた障子と、
前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材と、
前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部を支持可能な第2補強材と、を有する壁パネルを吊り上げ、
前記第2補強材を前記左右の縦材から取り外した後、前記下枠の土台載置部を建物の土台に載置し、その後、前記第1補強材を取り外す
ことを特徴とする壁パネルの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面を構成する壁パネルおよび壁パネルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、掃き出し窓(テラス窓)用のサッシ枠を取り付けた掃き出し窓用サッシ枠組込壁の施工方法が開示されている。すなわち、工場において、矩形状の袖パネルおよび小壁パネルからなるコ字状の連結パネルの内側に掃き出し窓(テラス窓)用のサッシ枠を取り付け、さらにサッシ枠の下枠を保護するガード材を連結パネルの下端に取り付ける。この連結パネルをラックに載せ、さらにトラックなどで施工現場に移送する。次に、連結パネルをトラック等からラックなどに積み下ろし、クレーンで吊り上げた状態でガード材を取り外す。その後、連結パネルを、基礎上に載置固定された半土台および床パネルの上に立てて固定することで、掃き出し窓用サッシ枠組込壁を施工していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の施工方法では、クレーンで吊り上げた連結パネルからガード材を取り外した後、半土台上に連結パネルを固定するまでの間は、ガード材が存在しないため、連結パネルが変形する恐れがある。特に、テラス窓用の障子は、高さ寸法が大きく、ガラスのサイズも大きいため、重量が大きくなる。このため、サッシ枠内に障子を組み込んだ状態の連結パネルを、ガード材を取り外して吊り上げると、サッシ枠の下枠が障子の重量によって変形し、サッシ枠から障子が外れる可能性がある。このため、特許文献1では、連結パネルにサッシ枠のみを取り付けており、障子を組み込んだ状態で吊り上げ、設置することはできなかった。
【0005】
本発明の目的は、補強材を取り付けた状態で吊り上げて土台上に設置でき、障子を組み込んだ状態で吊り上げて設置することも可能な壁パネルおよび壁パネルの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の壁パネルは、障子が取り付けられる窓枠と、前記窓枠を支持するパネル枠とを有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、前記パネル枠は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有し、前記窓枠は、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠および下枠とを有し、前記下枠は、建物の土台に載置される土台載置部を有し、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材が、前記各縦材に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の壁パネルの施工方法は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有するパネル枠と、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠と、前記各縦枠に連結され、かつ、建物の土台に載置される土台載置部を有する下枠と、を有する窓枠と、前記窓枠に組み込まれた障子と、前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材と、を有する壁パネルを吊り上げ、前記下枠の土台載置部を建物の土台に載置した後に、前記第1補強材を取り外すことを特徴とする。
【0008】
本発明の壁パネルの施工方法は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有するパネル枠と、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠と、前記各縦枠に連結され、かつ、建物の土台に載置される土台載置部を有する下枠と、を有する窓枠と、前記窓枠に組み込まれた障子と、前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材と、前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部を支持可能な第2補強材と、を有する壁パネルを吊り上げ、前記第2補強材を前記左右の縦材から取り外した後、前記下枠の土台載置部を建物の土台に載置し、その後、前記第1補強材を取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、補強材を取り付けた状態で吊り上げて土台上に設置でき、障子を組み込んだ状態で吊り上げて設置することも可能な壁パネルおよび壁パネルの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の壁パネルを示す内観姿図である。
【
図2】前記実施形態の壁パネルを示す縦断面図である。
【
図3】前記実施形態のパネルを示す横断面図である。
【
図9】本発明の変形例の壁パネルの施工手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から
図3に示すように、本実施形態の壁パネル1は、建物に取り付ける際に単一の構造体として取り扱われるものであり、パネル枠2と、テラス窓(掃き出し窓)4とを備えている。さらに、壁パネル1は、壁パネル1を製造する工場から施工現場に輸送し、さらに、建物に設置する際に用いられる第1補強材7および第2補強材8を備えている。
なお、
図1は、壁パネル1を室内側から見た内観姿図であり、
図2および
図3は、壁パネル1の縦断面図および横断面図である。
図2および
図3の各断面図では、窓枠5、障子6の断面を示すハッチングを省略している。また、
図3に示す柱110は、建物の土台に立設される柱であり、壁パネル1を建物に設置した際に、壁パネル1に隣接配置されるものである。
以下の説明において、壁パネル1の左右方向をX軸方向とし、壁パネル1の上下方向をY軸方向とし、壁パネル1の見込み方向(屋内外方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0012】
[パネル枠]
パネル枠2は、木材(中実材)で構成された上材21、縦材22、23、横材24、縦桟25、中間縦材26、27、補助縦材28、29を備えて門型に構成され、さらに室外面には表面材30が取り付けられている。
縦材22、23は、上端の小口が上材21の左右の各端部の下面に当接され、上材21および縦材22、23は横勝ちで枠組みされている。横材24は、縦材22、23間に掛け渡され、縦桟25は、上材21および横材24間に掛け渡されている。
中間縦材26、27は、縦材22、23の内周側の側面において、横材24の下面位置から縦材22、23の下端までの範囲に固定されている。補助縦材28、29は、中間縦材26、27の内周側の側面に固定されている。なお、中間縦材26、27および補助縦材28、29は、見込寸法が上材21、縦材22、23、横材24に比べて短くされている。
上材21、縦材22、23、縦桟25により、外周側のパネル木枠が構成され、横材24、中間縦材26、27、補助縦材28、29により、サッシ周りのパネル木枠が構成される。
表面材30は、パーティクルボードで構成され、縦材22、23および中間縦材26、27の室外面と、上材21および横材24間の室外面とに接着剤などで取り付けられている。このため、表面材30は、全体として門型に設けられている。
【0013】
[テラス窓]
テラス窓4は、門型に形成されたパネル枠2およびこのパネル枠2に取り付けられた第1補強材7および第2補強材8で区画される開口に配置されている。
テラス窓4は、窓枠5と、障子6とを備えた引違い窓であり、下端部分が建物の床レベルとされた掃き出し窓である。
窓枠5は、上枠51と、下枠52と、左右の縦枠53、54とを枠組みして構成されている。本実施形態の窓枠5は、合成樹脂製とされ、各枠51~54の端部を45度の角度で切断し、その小口同士を溶着することで枠組みされている。
各枠51~54は、
図2および
図3に示すように、窓枠5の外周側に突出する室外側取付片511、521、531、541と、窓枠5の室内側に突出する室内側取付片512、522、532、542とを備える。
下枠52の下面には、
図3に示すように、下枠52を補強する下枠ブラケット55の室外側端部を保持する断面略L字状の保持片523が形成されている。また、下枠52の室外側取付片521よりも室内側の下面は、後述するように土台100に載置される土台載置部524とされている。
【0014】
下枠ブラケット55は、下枠52の下面に沿って配置された支持片551と、支持片551の室内側端部から下方に延出された固定片552とを備える。支持片551には、上面に開口する溝が形成され、この溝には下枠52の下面に当接して下枠ブラケット55および下枠52間を塞いで水密性を高めるシール材が取り付けられている。下枠ブラケット55は、支持片551の上面を両面テープで下枠52の下面に接着することなどで下枠52に取り付けられている。また、下枠ブラケット55のX軸方向の長さ寸法は、下枠52の長さ寸法よりも僅かに短い寸法とされている。
【0015】
上枠51、縦枠53、54の室外側取付片511、531、541は、表面材30を介して横材24、中間縦材26、27の室外側見付面にネジ58で固定されている。したがって、横材24、中間縦材26、27は、窓枠5を支持する支持枠として機能する。
一方、補助縦材28、29は、中間縦材26、27と、縦枠53、54との間に配置され、これらの空間を埋めるスペーサーとして機能する。
【0016】
障子6は、外障子6Aおよび内障子6Bを備えている。外障子6Aは、上框61、下框62、戸先框63、外召合せ框(図示略)、面材65を備えて構成されている。内障子6Bは、外障子6Aと同様に、上框61、下框62、戸先框63、内召合せ框64、面材65を備えて構成されている。各框61~64は、合成樹脂製の框本体と、合成樹脂製の押縁とを備えて構成されている。框本体は、各端部を45度の角度で切断された小口同士を溶着することで枠組みされている。
面材65は、1枚のガラスや複層ガラスでもよいが、本実施形態ではトリプルガラスで構成されている。
【0017】
[第1補強材]
第1補強材7は、
図2および
図4に示すように、第1補強木材70と、第1連結金具71とを備えている。第1補強木材70は、断面矩形とされた木材(角材)であり、長手方向の寸法、つまりX軸方向の寸法は、パネル枠2の幅寸法とほぼ同じ寸法とされている。また、第1補強木材70の見込寸法、つまりZ軸方向の寸法は、第1補強木材70の室内面を室内側取付片522に当接させた際に、第1補強木材70の室外面が下枠52の室外面とほぼ一致する寸法とされている。第1補強木材70の高さ寸法、つまりY軸方向の寸法は、第1補強木材70の見込寸法とほぼ同じ寸法とされている。なお、第1補強木材70の見込寸法および高さ寸法つまりX軸方向およびY軸方向の寸法は、本実施形態のように同じ寸法に限定されず、第1補強木材70に求められる強度や、壁パネル1の輸送時の寸法制限などを考慮して設定すればよい。
【0018】
第1連結金具71は、第1補強木材70の左右両端部と、パネル枠2の縦材22、23とをそれぞれ連結する金具である。第1連結金具71は、
図4に示すように、側面固定部72と、上面固定部73と、室外面固定部74とを備える。
側面固定部72は、上面固定部73の側端部から下方に延出され、第1補強木材70の左右の各端面にネジ75で固定されている。上面固定部73は、第1補強木材70の左右端部の上面にネジ75で固定されている。室外面固定部74は、上面固定部73の室内側端部から上方に延出され、表面材30を介して縦材22、23の室外側見付面にネジ75で固定されている。なお、ネジ75は、半ネジの皿木ネジであり、第1連結金具71にはネジ75に対応する皿穴が形成されている。
第1補強木材70の見込方向(Z軸方向)の位置は、室外側取付片521および固定片552よりも室外側、つまり土台載置部524よりも室外側とされ、下枠52を室外側取付片521よりも室外側で支持できるように構成されている。
なお、本実施形態では、第1補強木材70の上面には、木製板状のスペーサー76が両面テープなどで固定されている。スペーサー76は、保持片523よりも室内側に配置され、スペーサー76が支持片551の下面に当接することで、保持片523が第1補強木材70の上面に当接して変形することを防止している。
【0019】
[第2補強材]
第2補強材8は、
図2および
図4に示すように、第2補強木材80と、第2連結金具81とを備えている。第2補強木材80は、第1補強木材70と同様に、断面矩形とされた木材(角材)であり、長手方向の寸法、つまりX軸方向の寸法は、パネル枠2の幅寸法とほぼ同じ寸法とされている。また、第2補強木材80の見込寸法、つまりZ軸方向の寸法は、パネル枠2の見込寸法、具体的には、表面材30の室外面から縦材22、23の室内面(室内側見付面)までの長さ寸法とほぼ同じ寸法とされている。
第2補強木材80の高さ寸法は、テラス窓4の支持に必要な強度を確保でき、かつ、壁パネル1の輸送時の寸法制限などを考慮して設定されている。また、第1補強木材70および第2補強木材80の下面は、面一つまり段差無く同一平面に位置するように形成したので、第1補強木材70、第2補強木材80の下面をパレットの床面などに置くことで、壁パネル1を立てることができる。
【0020】
第2連結金具81は、第2補強木材80の左右両端部と、パネル枠2の縦材22、23とをそれぞれ連結する板状の金具である。第2補強木材80の室内側見付面と、縦材22、23の室内側見付面とは面一とされ、第2連結金具81は、これらの室内側見付面に跨がって配置されて各室内側見付面にネジ75で固定されている。第2連結金具81には、第1連結金具71と同様に、ネジ75に対応する皿穴が形成されている。
また、
図2に示すように、下枠52の室内側取付片522は、ネジ59により第2補強木材80に仮固定されている。
【0021】
[壁パネルの製造方法]
工場において壁パネル1を組み立てる工程について説明する。まず、サッシの製造工場において、テラス窓4を構成する窓枠5、障子6を組み立てる。この組立方法は、一般的なテラス窓4と同一であるため、説明を省略する。組み立てた窓枠5、障子6は、パネル枠2の組立工場に移送する。
パネル枠2の組立工場では、上材21、縦材22、23、横材24、縦桟25、中間縦材26、27、補助縦材28、29を枠組みし、表面材30を取り付けてパネル枠2を組み立てる。また、パネル枠2の組立工場において、第1補強材7、第2補強材8をネジ75によりパネル枠2に固定し、窓枠5をネジ58、59によりパネル枠2に固定して壁パネル1を組み立てる。
以上によって組み立てられた壁パネル1は、輸送用のパレット上にスペーサーを介して平積みされ、トラック等で施工現場に輸送する。なお、障子6は、パネル枠2の組立工場において窓枠5内に組む込む場合と、施工現場において窓枠5に組む込む場合とがある。したがって、障子6が組み込まれた壁パネル1をトラック等で輸送する場合と、壁パネル1と障子6とを別々にトラック等で輸送する場合とがある。
【0022】
[壁パネルの施工方法]
壁パネル1を建物に設置する施工方法について、
図5~
図8を参照して説明する。
施工現場では、クレーンなどを用いて壁パネル1を吊り上げる。壁パネル1および障子6を別々に輸送した場合は、壁パネル1を吊り上げる前に、障子6を窓枠5に組み込めばよい。なお、
図5~
図8では、障子6の図示は省略している。
図5に示すように、吊り上げた壁パネル1を、建物の土台100の上方に移動する。土台100は基礎101上に載置され、土台100の上面の一部には、床材102が載置されている。
次に、
図6に示すように、壁パネル1を吊り上げた状態で、パネル枠2から第2補強材8を取り外す。すなわち、下枠52の室内側取付片522を第2補強木材80に仮止めしていた取り付けていたネジ59を外し、第2連結金具81を縦材22、23に取り付けていたネジ75を外し、第2補強材8つまり第2補強木材80および第2連結金具81をパネル枠2から室内側に取り外す。
【0023】
次に、
図7に示すように、クレーンで吊り上げられた壁パネル1を土台100の上に載置する。この際、壁パネル1の見込方向の位置は、下枠ブラケット55および室外側取付片521を土台100の室外面に当接させることで位置決めしている。このため、下枠52の土台載置部524が土台100の上面に載置される。また、壁パネル1の幅方向つまりX軸方向の位置は、
図3に示すように、柱110間に壁パネル1を配置することで位置決めされている。
パネル枠2の位置決めした後、ネジ59を用いて室内側取付片522を土台100に固定する。
【0024】
次に、
図8に示すように、パネル枠2から第1補強材7を取り外す。すなわち、第1連結金具71を縦材22、23に取り付けていたネジ75を外し、第1補強材7つまり第1補強木材70および第1連結金具71をパネル枠2から室外側に取り外す。
その後、下枠ブラケット55および室外側取付片521を、ネジ58によって土台100に固定する。
さらに、壁パネル1を、ホールダウン金物やアンカーボルト、両引きボルト等を用いて土台100等に取り付ける。その後、壁パネル1の室外側に外壁材を配置したり、シール作業を行って仕上げ作業を行えば良い。
【0025】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、第1補強材7は、下枠52の土台載置部524よりも室外側に配置されているので、第1補強材7を取り付けた状態で土台載置部524を土台100に載置して固定することができる。このため、壁パネル1を吊り上げて土台100に設置するまで第1補強材7をパネル枠2に取り付けることができるので、窓枠5内に障子6を組む込んだ状態で壁パネル1を吊り上げることができ、吊り上げ時に壁パネル1が変形することも防止できる。
壁パネル1は、工場で組み立てて施工現場に輸送して建物に取り付けることができるため、現場作業を軽減でき、かつ、高品質の壁面を構成できる。
第1補強材7の第1連結金具71は、左右の縦材22、23の室外側見付面に着脱可能に取り付けられているので、壁パネル1を柱110間に設置した場合でも、第1補強材7を室外側から容易に取り外すことができる。
【0026】
第1補強材7に加えて第2補強材8を備えるため、下枠52の強度をより高めることができる。このため、壁パネル1を製造した工場から施工現場まで、窓枠5に障子6を組み込んだ状態で輸送することもできる。
第2連結金具81は、左右の縦材22、23の室内側見付面に着脱可能に取り付けたので、壁パネル1を建物の柱110間に設置した場合でも、第2補強材8を室内側から容易に取り外すことができる。
第1補強材7の室外面から第2補強材8の室内面までの見込方向の寸法は、窓枠5の室外面からパネル枠2の室内面までの見込方向の寸法とほぼ同じ寸法とされているので、壁パネル1をトラック等で輸送する際に、第1補強材7や第2補強材8が壁パネル1の室外面や室内面から突出することがなく、壁パネル1を平置きなどで輸送する際の輸送効率も向上できる。
【0027】
[変形例]
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、パネル枠2に第1補強材7および第2補強材8の2つの補強材を設けていたが、
図9に示すように、第1補強材7のみを取り付けた壁パネル1Bを工場から施工現場に輸送し、クレーンで吊り上げて土台100に設置してもよい。壁パネル1Bによれば、前記実施形態の壁パネル1と同様の効果を奏することができ、さらに、第2補強材8を取り外す必要がないため、壁パネル1Bを土台100に設置する作業を容易に行うことができる。
【0028】
第1補強材7、第2補強材8は、木製の第1補強木材70、第2補強木材80と、金属製の第1連結金具71、第2連結金具81とを備えるものに限定されない。例えば、長尺のフレーム本体と、縦材22、23に固定する固定プレートとを有する金属製の補強材を用いてもよい。
また、窓枠5および障子6は、合成樹脂製の枠や框を用いたものに限定されず、アルミ押出形材などの金属製でもよいし、アルミおよび合成樹脂の複合形材でもよく、さらには木製の枠や框を用いたものでもよい。下枠をアルミ押出形材などで構成した場合、下枠ブラケット55は設けなくてもよい。
第1補強材7では、第1補強木材70の上面にスペーサー76を設けていたが、下枠52の下面に保持片523が形成されていない場合にはスペーサー76を設けなくてもよい。
【0029】
第1補強材7の第1連結金具71は、前記実施形態の構成に限定されず、例えば、上面固定部73および室外面固定部74のみを備えたL形ブラケットでもよく、縦材22、23に着脱可能であり、かつ、第1補強木材70と縦材22、23とを連結できるものであればよい。
第2補強材8の第2連結金具81は、前記実施形態の構成に限定されず、例えば、第2補強木材80の左右の端面と、縦材22、23の側面とを連結するプレートで構成してもよく、縦材22、23に着脱可能であり、かつ、第2補強木材80と縦材22、23とを連結できるものであればよい。
【0030】
[まとめ]
本発明の壁パネルは、障子が取り付けられる窓枠と、前記窓枠を支持するパネル枠とを有し、建物の壁面を構成する壁パネルであって、前記パネル枠は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有し、前記窓枠は、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠および下枠とを有し、前記下枠は、建物の土台に載置される土台載置部を有し、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材が、前記各縦材に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、窓枠を支持するパネル枠は、左右の縦材と上材とを有し、下材を備えないため、土台に窓枠を直接載置するテラス窓を組み込んだ壁パネルを製造できる。また、パネル枠の左右の縦材に取り付けられる第1補強材を、下枠の土台載置部よりも室外側に配置しているので、第1補強材を取り付けた状態で壁パネルを吊り上げてその下枠を建物の土台に載置することができる。このため、施工現場では、窓枠内に障子を組み込んだ状態で壁パネルを吊り上げて建物の土台に設置することができ、施工現場での作業性を向上できるとともに、吊り上げ時に壁パネルが変形することも防止できる。
【0031】
本発明の壁パネルにおいて、前記第1補強材は、前記左右の縦材の室外側見付面に着脱可能に取り付けられる第1連結金具を備えることが好ましい。
本発明によれば、第1補強材の第1連結金具を、左右の縦材の室外側見付面に着脱可能に取り付けたので、壁パネルを例えば建物の柱間に設置した場合でも、第1補強材を室外側から容易に取り外すことができる。
【0032】
本発明の壁パネルにおいて、前記土台載置部を支持可能な第2補強材が、前記各縦材に着脱可能に取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、第1補強材に加えて第2補強材を備えるため、下枠の支持強度を向上でき、高さ寸法が大きいために重量も大きなテラス窓用の障子を窓枠内に組み込んだ状態で、工場から施工現場に壁パネルを輸送することもできる。
【0033】
本発明の壁パネルにおいて、前記第2補強材は、前記左右の縦材の室内側見付面に着脱可能に取り付けられる第2連結金具を備えることが好ましい。
本発明によれば、第2補強材の第2連結金具を、左右の縦材の室内側見付面に着脱可能に取り付けたので、壁パネルを例えば建物の柱間に設置した場合でも、第2補強材を室内側から容易に取り外すことができる。
【0034】
本発明の壁パネルにおいて、前記第1補強材の下面と前記第2補強材の下面とは、面一であることが好ましい。
本発明によれば、下枠の土台載置部を支持可能な第2補強材は、第1補強材の室内側に並設でき、さらに下面が面一つまり同一平面上に形成されるため、第1補強材および第2補強材の下面をパレットやトラックの荷台などに載置して壁パネルを立設することができ、施工現場においてクレーンで容易に吊り上げることができる。
【0035】
本発明の壁パネルにおいて、前記窓枠内には障子が組み込まれていることが好ましい。
本発明によれば、窓枠に障子を組み込んだ状態の壁パネルを輸送して吊り上げ設置することができるので、施工作業性を向上できる。
【0036】
本発明の壁パネルの施工方法は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有するパネル枠と、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠と、前記各縦枠に連結され、かつ、建物の土台に載置される土台載置部を有する下枠と、を有する窓枠と、前記窓枠に組み込まれた障子と、前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材と、を有する壁パネルを吊り上げ、前記下枠の土台載置部を建物の土台に載置した後に、前記第1補強材を取り外すことを特徴とする。
本発明によれば、第1補強材を各縦材に着脱可能に取り付けたので、壁パネルを工場から施工現場に輸送し、さらに施工現場においてクレーン等で吊り上げた際に、壁パネルが変形することを防止できる。また、第1補強材は、下枠の土台載置部よりも室外側に配置されているため、第1補強材を取り付けた状態で壁パネルを吊り上げてその下枠を建物の土台に載置することができ、窓枠内に障子を組み込んだ状態で壁パネルを吊り上げて建物の土台に設置することができる。このため、施工現場での作業性を向上できる。
【0037】
本発明の壁パネルの施工方法は、左右の縦材と、前記各縦材に連結された上材とを有するパネル枠と、左右の縦枠と、前記各縦枠に連結される上枠と、前記各縦枠に連結され、かつ、建物の土台に載置される土台載置部を有する下枠と、を有する窓枠と、前記窓枠に組み込まれた障子と、前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部よりも室外側に配置されて前記下枠を支持可能な第1補強材と、前記左右の縦材に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記土台載置部を支持可能な第2補強材と、を有する壁パネルを吊り上げ、前記第2補強材を前記左右の縦材から取り外した後、前記下枠の土台載置部を建物の土台に載置し、その後、前記第1補強材を取り外すことを特徴とする。
本発明によれば、第1補強材に加えて第2補強材を備えるため、下枠の支持強度を向上でき、高さ寸法が大きいために重量も大きなテラス窓用の障子を窓枠内に組み込んだ状態で、工場から施工現場に壁パネルを輸送することができる。また、壁パネルを吊り上げた状態で、第2補強材を取り外し、第1補強材は取り付けた状態に維持しているので、壁パネルをクレーン等で吊り上げた際に、壁パネルが変形することを防止できる。また、第1補強材は、下枠の土台載置部よりも室外側に配置されているため、第2補強材を取り外した状態では、第1補強材を取り付けた状態で壁パネルを吊り上げてその下枠を建物の土台に載置することができ、窓枠内に障子を組み込んだ状態で壁パネルを吊り上げて建物の土台に設置することもできる。このため、施工現場での作業性を向上できる。
【符号の説明】
【0038】
1…壁パネル、1B…壁パネル、2…パネル枠、4…テラス窓、5…窓枠、6…障子、6A…外障子、6B…内障子、7…第1補強材、8…第2補強材、21…上材、22…縦材、23…縦材、24…横材、25…縦桟、26…中間縦材、27…中間縦材、28…補助縦材、29…補助縦材、30…表面材、51…上枠、52…下枠、53…縦枠、54…縦枠、55…下枠ブラケット、70…第1補強木材、71…第1連結金具、75…ネジ、76…スペーサー、80…第2補強木材、81…第2連結金具、100…土台、101…基礎、102…床材、110…柱、524…土台載置部。