(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025014644
(43)【公開日】2025-01-30
(54)【発明の名称】結合保持解放機構
(51)【国際特許分類】
B64G 1/64 20060101AFI20250123BHJP
B64G 1/22 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B64G1/64 100
B64G1/22 100A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117366
(22)【出願日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】305027401
【氏名又は名称】東京都公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】鳥阪 綾子
(72)【発明者】
【氏名】稲次 俊太
(72)【発明者】
【氏名】平良 英寿
(57)【要約】
【課題】モータを不要とし、軽量化を図る。
【解決手段】結合保持解放機構は、第1部材と、前記第1部材とは別体の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを保持する保持機構と、前記保持機構を内蔵し、互いに連通する第1孔及び第2孔が形成されたガイド部材と、前記第2部材に弾性力を作用させる第1弾性体と、を備え、前記保持機構は、前記第1孔に配置され、前記第1孔に沿って移動可能な係合部材と、前記係合部材に弾性力を作用させる第2弾性体と、前記第2弾性体を支持する支持部材と、前記第2孔に配置され、前記第2孔に沿って移動可能な押圧部材と、を備え、前記第1部材には、前記係合部材の先端部が嵌まることが可能に開口する溝が形成され、前記第1部材と前記第2部材とは、外部から作用する力により互いに結合及び解放が可能に構成される。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材とは別体の第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを保持する保持機構と、
前記保持機構を内蔵し、互いに連通する第1孔及び第2孔が形成されたガイド部材と、
前記第2部材に弾性力を作用させる第1弾性体と、を備え、
前記保持機構は、
前記第1孔に配置され、前記第1孔に沿って移動可能な係合部材と、
前記係合部材に弾性力を作用させる第2弾性体と、
前記第2弾性体を支持する支持部材と、
前記第2孔に配置され、前記第2孔に沿って移動可能な押圧部材と、を備え、
前記第1部材には、前記係合部材の先端部が嵌まることが可能に開口する溝が形成され、
前記第1部材と前記第2部材とは、外部から作用する力により互いに結合及び解放が可能に構成される、
結合保持解放機構。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材を第1直線の線上に揃えた線上配置状態で、前記結合及び前記解放がなされる、
請求項1に記載の結合保持解放機構。
【請求項3】
前記線上配置状態で、前記第1部材は、前記第1直線に対して傾斜した第1面を有し、
前記外部から作用する力により前記第1直線に沿う第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向へ移動可能とされる、
請求項2に記載の結合保持解放機構。
【請求項4】
前記線上配置状態で、前記第2部材は、前記第1直線に対して傾斜した第2面を有し、前記ガイド部材は、前記第1直線に対して傾斜したガイド面を有する、
請求項3に記載の結合保持解放機構。
【請求項5】
前記線上配置状態で、前記外部から作用する力により前記第1部材を前記第1方向に移動させて前記第2部材を所定以上押し込んだ後に前記第1部材を前記第2方向へ移動させると、前記第1弾性体の弾性力により前記第2面が前記第1面から前記ガイド面に沿って摺動し前記第2部材が前記第1直線を中心に回りながら前記第2方向へ移動するよう構成され、
前記第2部材が前記第2方向へ所定以上移動すると、前記保持機構が作動して前記保持がなされる、
請求項4に記載の結合保持解放機構。
【請求項6】
前記線上配置状態で、前記第1部材は、前記第1直線を中心とする筒状の第1本体と、前記第1本体から前記第1方向に突出し前記第1面を有する複数の第1突起と、を備え、
前記複数の第1突起は、前記第1直線の周りの周方向において等間隔に配置される、
請求項5に記載の結合保持解放機構。
【請求項7】
前記線上配置状態で、前記第2部材は、前記第1直線を中心とする環状の第2本体と、前記第2本体から前記第2方向に突出し前記第2面を有する複数の第2突起と、を備え、
前記複数の第2突起は、前記周方向において等間隔に配置される、
請求項6に記載の結合保持解放機構。
【請求項8】
前記線上配置状態で、前記ガイド部材は、前記第1直線を中心とする弧状のガイド本体と、前記ガイド本体から前記第1方向に突出し前記ガイド面を有する複数のガイド突起と、を備え、
前記ガイド部材は、前記周方向において等間隔に複数配置される、
請求項7に記載の結合保持解放機構。
【請求項9】
前記第2部材が前記第2方向へ所定以上移動すると、前記第2部材が前記押圧部材を前記第2孔に押し込み、前記押圧部材の押し込み力により前記支持部材及び前記第2弾性体を介して前記係合部材を前記第1孔に沿って移動させ、前記第2弾性体の弾性力により前記係合部材の前記先端部が前記第1孔から出て前記溝に嵌まることで前記保持がなされる、
請求項8に記載の結合保持解放機構。
【請求項10】
第1電磁石と、
前記第1電磁石とは別体の第2電磁石と、を更に備え、
前記第1部材と前記第2部材とは、前記外部から作用する力として前記第1電磁石及び前記第2電磁石が生み出す電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成される、
請求項1から9の何れか一項に記載の結合保持解放機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合保持解放機構に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星同士の結合は、国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)とスペースシャトルとの結合に始まり、大型衛星に搭載されるものが知られている。例えば、衛星同士を結合する手法としては、複雑な制御則を用いた高精度で正確な6自由度制御を、スラスタを用いて実施し、既に軌道上にある人工衛星(ターゲット衛星)を認識する手法や、ボールねじ機構で引き込んで捕獲する等の手法がある。例えば、特許文献1には、宇宙機に設けられる人工衛星結合機構が開示されている。
超小型を含む小型衛星では、軽量化及び計算リソースの削減のために、複雑な制御を回避して自律的に結合前の直線上に並ぶ位置・姿勢にたどり着く必要がある。例えば、カップ形状の筐体に、先端がコーン形状をなすプローブを直線上で引き込んで強制的にプローブの姿勢を強制する機構が搭載される。例えば、特許文献2には、宇宙船ドックに関する自律衛星ドッキングシステムが開示されている。
例えば、特許文献3には、磁場を使用して衛星をドッキングする機構が開示されている。ホストビークル上にある機構のドッキングコンポーネントは、衛星上にある機構のドッキングコンポーネントとの結合磁場を誘導するための磁石を備える。
さらに小さな超小型衛星では、電磁石を用い、かつ、カップアンドコーン型の結合機構を有するものが知られている。例えは、非特許文献1には、モジュール式宇宙システムの自律的な組み立てと再構成のための概念と技術開発が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-330943号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0192995号明細書
【特許文献3】米国特許第7815149号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Concepts and Technology Development for the Autonomous Assembly and Reconfiguration of Modular Space Systems by Lennon Patrick RodgersB.S. Mechanical Engineering University of Illinois at Urbana-Champaign, 2003Submitted to the Department of Mechanical Engineering in partial fulfillment of the requirements for the degree of Master of Science in Mechanical Engineeringat the Massachusetts Institute of Technology February 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術は、大型衛星の結合保持にモータを利用するため、重量面での課題がある。特許文献2、特許文献3及び非特許文献1の技術は、小型衛星とはいえ、依然としてモータを用いて保持するために重量面での課題が残る。そのため、モータを不要とし、軽量化を図る上で改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、モータを不要とし、軽量化を図ることができる結合保持解放機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る結合保持解放機構は、第1部材と、前記第1部材とは別体の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材とを保持する保持機構と、前記保持機構を内蔵し、互いに連通する第1孔及び第2孔が形成されたガイド部材と、前記第2部材に弾性力を作用させる第1弾性体と、を備え、前記保持機構は、前記第1孔に配置され、前記第1孔に沿って移動可能な係合部材と、前記係合部材に弾性力を作用させる第2弾性体と、前記第2弾性体を支持する支持部材と、前記第2孔に配置され、前記第2孔に沿って移動可能な押圧部材と、を備え、前記第1部材には、前記係合部材の先端部が嵌まることが可能に開口する溝が形成され、前記第1部材と前記第2部材とは、外部から作用する力により互いに結合及び解放が可能に構成される。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、モータを不要とし、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1の一部と共に、一辺の長さが100mmの立方体の空間を示す斜視図。
【
図3】
図1の一部に搭載される結合保持解放機構を示す斜視図。
【
図4】第1実施形態に係る第1電磁石を備える第1構造体及び第2電磁石を備える第2構造体の説明図。
【
図5】第1実施形態に係る第1構造体及び第2構造体を衛星へ搭載する一例を示す斜視図。
【
図6】第1実施形態に係る結合保持解放機構の斜視図。
【
図18】第1実施形態に係るガイド部材の一方の部分の平面図。
【
図19】第1実施形態に係るガイド部材の一方の部分の側面図。
【
図20】第1実施形態に係るガイド部材の他方の部分の平面図。
【
図21】第1実施形態に係るガイド部材の他方の部分の側面図。
【
図22】第1実施形態に係る第2部材が押圧部材を押し込む様子を示す斜視図。
【
図23】第1実施形態に係るガイド部材に内蔵された保持機構を示す斜視図であって係合部材の格納状態を示す図。
【
図24】第1実施形態に係るガイド部材に内蔵された保持機構を示す斜視図であって係合部材の突出状態を示す図。
【
図28】第1実施形態に係る係合部材の動作説明図。
【
図29】第1実施形態に係る係合部材と支持部材との係り合いを示す模式図。
【
図30】第1実施形態に係る保持機構の動作説明図。
【
図31】第1実施形態に係る結合保持解放機構の結合開始前の一例を示す斜視図。
【
図32】第1実施形態に係る結合保持解放機構の結合開始の一例を示す斜視図。
【
図33】第1実施形態に係る結合フェーズにおいて第1部材が第2部材を押し込む一例を示す斜視図。
【
図34】第1実施形態に係る結合フェーズにおいて第2部材が第1部材の押し込みによって回転する一例を示す斜視図。
【
図35】第1実施形態に係る結合保持解放機構の結合完了の一例を示す斜視図。
【
図36】第1実施形態に係る解放フェーズにおいて第1部材が第2部材を押し込む一例を示す斜視図。
【
図37】第1実施形態に係る解放フェーズにおいて第2部材が第1部材の押し込みによって回転する一例を示す斜視図。
【
図38】第1実施形態に係る結合保持解放機構の解放完了の一例を示す斜視図。
【
図39】第1実施形態に係る結合保持解放機構の一部を拡大した側面図であって結合フェーズの動作説明図。
【
図45】第1実施形態に係る結合保持解放機構の一部を拡大した側面図であって解放フェーズの動作説明図。
【
図51】第2実施形態に係るガイド部材に内蔵された保持機構を示す斜視図であって係合部材の格納状態を示す図。
【
図52】第2実施形態に係るガイド部材に内蔵された保持機構を示す斜視図であって押圧部材が押し込まれた状態を示す図。
【
図53】第2実施形態に係るガイド部材に内蔵された保持機構を示す斜視図であって係合部材の突出状態を示す図。
【
図54】第2実施形態に係るガイド部材に内蔵された保持機構を示す平面図であって係合部材の突出状態を示す図。
【
図55】第2実施形態に係る係合部材の動作説明図。
【
図58】第3実施形態に係る第2部材及びガイド部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、結合保持解放機構の一例として、互いに離れた2つの衛星(互いに離れた2物体の一例)の結合・保持・解放を可能にする機構の例を挙げて説明する。
【0011】
以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置や状態を意味するのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している配置や状態をも含むものとする。以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更して示す場合がある。
【0012】
<第1実施形態>
<結合保持解放機構>
図1は、第1実施形態に係る小型人工衛星の斜視図である。
図2は、
図1の一部と共に、一辺の長さが100mmの立方体の空間を示す斜視図である。
図3は、
図1の一部に搭載される結合保持解放機構1を示す斜視図である。
図4は、第1実施形態に係る第1電磁石2Aを備える第1構造体3A及び第2電磁石2Bを備える第2構造体3Bの説明図である。
図5は、第1実施形態に係る第1構造体3A及び第2構造体3Bを衛星へ搭載する一例を示す斜視図である。
図6は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の斜視図である。
図1から
図6を併せて参照し、結合保持解放機構1は、小型人工衛星の一部に搭載されてもよい。なお、結合保持解放機構1が搭載される対象は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0013】
結合保持解放機構1は、第1電磁石2Aを備える第1構造体3Aと、第1構造体3Aとは別に設けられ、第2電磁石2Bを備える第2構造体3Bと、第1構造体3Aと第2構造体3Bとを保持する保持機構4と、を備える。第1構造体3Aと第2構造体3Bとは、第1電磁石2A及び第2電磁石2Bが生み出す電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成される。
【0014】
第1電磁石2A及び第2電磁石2Bの一方の芯棒5Aは、円錐形状の凸部6を有する。第1電磁石2A及び第2電磁石2Bの他方の芯棒5Bは、凸部6に沿う形状の凹部7を有する。図の例では、各芯棒5A,5Bは、互いに嵌まり合うことが可能に形成される凸部6及び凹部7を有する。
【0015】
例えば、第1構造体3A及び第2構造体3Bを互いに結合する際に斜めに進入した場合でも、円錐形状の凸部6が凹部7に沿うように移動するため、自動で直線上に揃えることができる。本実施形態では、第1構造体3A及び第2構造体3Bを第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態で、結合及び解放がなされる。
【0016】
図の例では、電磁石2A,2Bは、芯棒5A,5Bの外側にコイル8を有するが、これに限らない。例えば、電磁石2A,2Bは、芯棒5A,5Bの内側にコイル8を有してもよい。例えば、芯棒5A,5Bに対するコイル8の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0017】
本実施形態では、結合保持解放機構1は、一辺の長さが100mmの立方体の空間に収まる大きさとされる。
図2においては、一辺の長さが100mmの立方体の空間を2点鎖線で示す。
【0018】
第1構造体3A及び第2構造体3Bの一方は、第1衛星100Aに搭載される。第1構造体3A及び第2構造体3Bの他方は、第1衛星100Aとは別の第2衛星100Bに搭載される。図の例では、構造体3A,3Bは、各衛星100A,100Bに搭載されるが、これに限らない。例えば、構造体3A,3Bは、衛星100A,100Bとは別の第3衛星に搭載されてもよい。例えば、構造体3A,3Bの搭載態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0019】
図5に示すように、例えば、結合保持解放機構1は、太陽電池パネル110を備えた衛星に搭載されてもよい。これにより、電磁石2A,2Bの電力は、衛星に搭載される太陽電池パネル110を用いることができる。なお、結合保持解放機構1は、上記に限らず、太陽電池パネル110を備えない衛星に搭載されてもよい。例えば、結合保持解放機構1が搭載される衛星の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0020】
例えば、超小型衛星100A,100Bに搭載される電磁石2A,2Bに使用する電流値の最大値は、約2.0Aとすることが好ましい。例えば、第1衛星100A及び第2衛星100Bに搭載される2つの電磁石2A,2Bに流れる電流値が2.0Aを超えないように制御するシステムを構築することが好ましい。
【0021】
<第1構造体>
図7は、第1実施形態に係る第1構造体3Aの斜視図である。
図8は、第1実施形態に係る第1部材10の平面図である。
図9は、第1実施形態に係る第1部材10の側面図である。
図10は、
図9のX-X断面図である。
図7から
図10を併せて参照し、第1構造体3Aは、第1構造体3Aの本体となる第1部材10を備える。
【0022】
第1構造体3Aを構成する第1部材10の役割は、以下(1-1)から(1-3)の通りである。
(1-1)結合時に第2構造体3Bを構成する第2部材30を押し込み、回転させる。
(1-2)係合部材50の先端部が入る隙間(溝15)が形成されており、これによる結合の完了及び結合状態の保持を行う。
(1-3)解放時に第2部材30及び係合部材50を押し込み、また、第2部材30を回転させる。
【0023】
図7においては、第1構造体3Aを第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
線上配置状態で、第1部材10は、第1直線L1に対して傾斜した第1面11を有する。第1部材10は、電磁力により第1直線L1に沿う第1方向V1及び第1方向V1とは逆の第2方向V2へ移動可能に構成される。
【0024】
線上配置状態で、第1部材10は、第1直線L1を中心とする筒状の第1本体12と、第1本体12から第1方向V1に突出し第1面11を有する複数の第1突起13と、を備える。複数の第1突起13は、第1直線L1の周りの周方向において等間隔に配置される。
【0025】
図8は、線上配置状態にある第1部材を第1方向V1側(第1突起13側)から見た平面図に相当する。
図の例では、6個の第1突起13は、第1直線L1の周りの周方向において等間隔に配置される。なお、第1突起13の数は、上記に限らず、5個以下でもよいし、7個以上でもよい。例えば、第1突起13の数や配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0026】
線上配置状態で、第1部材10は、第1直線L1と直交する径方向において第1本体12から径方向外方向に突出する複数の突状部14を備える。図の例では、3個の突状部14は、第1直線L1の周りの周方向において等間隔に配置される。図の例では、各突状部14は、第1部材10の基端から先端にわたって配置される。なお、突状部14の数は、上記に限らず、2個以下でもよいし、4個以上でもよい。例えば、突状部14の数や配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0027】
第1本体12には、係合部材50の先端部が嵌まることが可能に開口する溝15が形成される。図の例では、線上配置状態で、溝15は、第1直線L1の周りの周方向において複数の突状部14の間に配置される。図の例では、溝15は、第1部材10の先端側(第1突起13側)に配置される。なお、溝15の配置態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0028】
図の例では、溝15は、第1直線L1と直交する面に沿う部分と、第1直線L1に対して斜めに交差する部分と、を含む面で形成される。図の例では、溝15の形成部分は、第1部材10の先端側において、第1直線L1と直交する面に沿う部分を有する。なお、溝15の形成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0029】
例えば、第1部材10の構成要素(第1本体12、第1突起13及び突状部14)は、互いに同一の部材で一体に形成される。例えば、第1部材10は、3Dプリンタで製造される。なお、第1部材10の構成要素は、上記に限らず、互いに異なる部材で一体に形成されてもよい。例えば、第1部材10を製造する方法や形成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0030】
<第2構造体>
図6を参照し、第2構造体3Bは、シリンダ20、第1弾性体21、ベアリング22、第2部材30及びガイド部材40を備える。
図6においては、シリンダ20を2点鎖線で示す。
第2構造体3Bを構成するシリンダ20の役割は、以下(2-1)から(2-2)の通りである。
(2-1)第2構造体3Bの大枠となる。
(2-2)ガイド部材40を固定する。
【0031】
図11は、第1実施形態に係るシリンダ20の斜視図である。
図11においては、シリンダ20を第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
図6及び
図11を併せて参照し、線上配置状態で、シリンダ20は、第1直線L1を中心とする有底筒状に形成される。図の例では、シリンダ20は、有底円筒形状に形成される。なお、シリンダ20の形状は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0032】
第2構造体3Bを構成する第1弾性体21の役割は、以下(3-1)から(3-4)の通りである。
(3-1)未結合時の第2部材30を保持する。
(3-2)結合時に第2部材30を第1部材10、ガイド部材40の斜面に沿って回転させ、ガイド部材40の斜面上の押圧部材53を押し込むための力を与える。
(3-3)結合状態を保持するための力を生み出す。
(3-4)解放時に第2部材30を第1部材10、ガイド部材40の斜面に沿って回転させるための力を与え、第2部材30を未結合時の位置に戻す。
【0033】
図12は、第1実施形態に係る第1弾性体21の斜視図である。
図12においては、第1弾性体21を第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
図6及び
図12を併せて参照し、第1弾性体21は、第2部材30に弾性力を作用させる。例えば、第1弾性体21は、コイルスプリングである。なお、第1弾性体21は、上記に限らず、コイルスプリング以外の他のバネを含んで構成されてもよい。例えば、第1弾性体21の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0034】
第2構造体3Bを構成するベアリング22は、以下(4-1)の通りである。
(4-1)結合時及び解放時に第2部材30が第1部材10、ガイド部材40の斜面に沿って回転する際の補助を行う。
【0035】
図13は、第1実施形態に係るベアリング22の斜視図である。
図13においては、ベアリング22を第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
図6及び
図13を併せて参照し、線上配置状態で、ベアリング22は、第1直線L1を中心とする環状に形成される。図の例では、ベアリング22は、シリンダ20の底部に配置される。
【0036】
図の例では、ベアリング22は、一対の円環状の部材(例えば、軌道輪)と、一対の円環状の部材の間に配置される複数の球状の部材(例えば、転動体)と、を含んで構成される。例えば、ベアリング22は、スラスト玉軸受(玉軸受の一例)である。なお、ベアリング22は、上記に限らず、玉軸受以外の他の軸受を含んで構成されてもよい。例えば、ベアリング22の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0037】
第2構造体3Bを構成する第2部材30の役割は、以下(5-1)から(5-2)の通りである。
(5-1)結合時、押圧部材53を押し込む。
(5-2)結合状態の保持を行うにあたり、押圧部材53を押し込んだままの状態を維持する。
【0038】
図14は、第1実施形態に係る第2部材30の斜視図である。
図15は、第1実施形態に係る第2部材30の平面図である。
図16は、第1実施形態に係る第2部材30の側面図である。
図14においては、第2部材30を第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
図6、
図14から
図16を併せて参照し、線上配置状態で、第2部材30は、第1直線L1に対して傾斜した第2面31を有する。
【0039】
線上配置状態で、第2部材30は、第1直線L1を中心とする環状の第2本体32と、第2本体32から第2方向V2に突出し第2面31を有する複数の第2突起33と、を備える。複数の第2突起33は、周方向において等間隔に配置される。
【0040】
図の例では、3個の第2突起33は、周方向において等間隔に配置される。図の例では、各第2突起33は、円環状の第2本体32の内周縁から外周縁にわたって配置される。なお、第2突起33の数は、上記に限らず、2個以下でもよいし、4個以上でもよい。例えば、第2突起33の数や配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0041】
例えば、第2部材30の構成要素(第2本体32及び第2突起33)は、互いに同一の部材で一体に形成される。例えば、第2部材30は、3Dプリンタで製造される。なお、第2部材30の構成要素は、上記に限らず、互いに異なる部材で一体に形成されてもよい。例えば、第2部材30を製造する方法や形成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0042】
第2構造体3Bを構成するガイド部材40の役割は、以下(6-1)から(6-3)の通りである。
(6-1)保持機構4を内蔵する。
(6-2)結合時、第2部材30を回転させ、押圧部材53を押し込ませる。
(6-3)解放時、第2部材30を回転させ、結合前の位置に戻す。
【0043】
図17は、第1実施形態に係るガイド部材40の斜視図である。
図18は、第1実施形態に係るガイド部材40の一方の部分の平面図である。
図19は、第1実施形態に係るガイド部材40の一方の部分の側面図である。
図20は、第1実施形態に係るガイド部材40の他方の部分の平面図である。
図21は、第1実施形態に係るガイド部材40の他方の部分の側面図である。
図17においては、ガイド部材40を第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
図6、
図17から
図21を併せて参照し、線上配置状態で、ガイド部材40は、第1直線L1に対して傾斜したガイド面41を有する。
【0044】
線上配置状態で、ガイド部材40は、第1直線L1を中心とする弧状のガイド本体42と、ガイド本体42から第1方向V1に突出しガイド面41を有する複数のガイド突起43と、を備える。ガイド部材40は、周方向において等間隔に複数配置される。
【0045】
図の例では、3個のガイド部材40は、周方向において等間隔に複数配置される。
図6においては、3個のガイド部材40のうちの1つを2点鎖線で示す。各ガイド部材40は、シリンダ20の先端側の部分に固定される。なお、ガイド部材40の数は、上記に限らず、2個以下でもよいし、4個以上でもよい。例えば、ガイド部材40の数や配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0046】
図の例では、1個のガイド部材40につき、2個のガイド突起43が配置される。なお、ガイド突起43の数は、上記に限らず、1個のガイド部材40につき、1個でもよいし、3個以上でもよい。例えば、ガイド突起43の数や配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0047】
本実施形態では、第1面11、第2面31及びガイド面41のうち少なくとも第1面11は、湾曲している。図の例では、線上配置状態で、第1面11は、第1方向V1に向かって湾曲している(
図7参照)。例えば、第1面11に加え、第2面31及びガイド面41が湾曲していてもよい。例えば、第1面11及び第2面31は、互いに同じカーブを描くように湾曲していてもよい。例えば、第1面11のみが湾曲しており、第2面31及びガイド面41は平面で構成されてもよい。例えば、第2面31及びガイド面41の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0048】
例えば、ガイド部材40の構成要素(ガイド本体42及びガイド突起43)は、互いに同一の部材で一体に形成される。例えば、ガイド部材40は、3Dプリンタで製造される。なお、ガイド部材40の構成要素は、上記に限らず、互いに異なる部材で一体に形成されてもよい。例えば、ガイド部材40を製造する方法や形成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0049】
図の例では、ガイド部材40は、ガイド突起43を有する一方の部分と、ガイド本体42を有する他方の部分と、を組み合わせて構成される。図の例では、ガイド部材40の一方の部分と他方の部分とは、凹凸構造により互いに連結される。図の例では、複数の凹部46(図の例では2個の円形穴)が形成された一方の部分に、他方の部分に形成された複数の凸部47(図の例では2個の円柱状凸部)が嵌まることで、一方の部分と他方の部分とが互いに連結される。
【0050】
なお、ガイド部材40の一方の部分と他方の部分とは、上記に限らず、ボルト等の締結部材により互いに連結されてもよい。例えば、ガイド部材40の一方の部分と他方の部分との連結態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0051】
例えば、ガイド部材40は、上記に限らず、ガイド突起43及びガイド本体42を有する単一の部材で構成されてもよい。例えば、ガイド部材40の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0052】
<保持機構>
図22は、第1実施形態に係る第2部材30が押圧部材53を押し込む様子を示す斜視図である。
図23は、第1実施形態に係るガイド部材40に内蔵された保持機構4を示す斜視図であって係合部材50の格納状態を示す図である。
図24は、第1実施形態に係るガイド部材40に内蔵された保持機構4を示す斜視図であって係合部材50の突出状態を示す図である。
図25は、第1実施形態に係る係合部材50の斜視図である。
図26は、第1実施形態に係る支持部材52の斜視図である。
図27は、第1実施形態に係る押圧部材53の斜視図である。
図22においては、ガイド部材40及び第2部材30を第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態を示す。
図22から
図27を併せて参照し、保持機構4は、ガイド部材40に内蔵される。
【0053】
図の例では、保持機構4は、3個のガイド部材40の各々に内蔵される。なお、保持機構4は、上記に限らず、1個又は2個のガイド部材40に内蔵されてもよい。例えば、保持機構4は、複数のガイド部材40のうちの一部に内蔵されてもよい。例えば、保持機構4が内蔵される態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0054】
保持機構4の役割を述べる前に、ガイド部材40及び保持機構4の構成を説明する。
図23及び
図24においては、ガイド部材40を2点鎖線で示す。
ガイド部材40には、第1直線L1とは異なる第2直線L2に沿って開口する第1孔45Aと、第1孔45Aに連通し、第2直線L2と交差する第3直線L3に沿って開口する第2孔45Bと、が形成される。保持機構4は、第1孔45A及び第2孔45Bに配置される。
【0055】
保持機構4は、係合部材50、第2弾性体51、支持部材52及び押圧部材53を含んで構成される。保持機構4は、第1孔45Aに配置され、第1孔45Aに沿って移動可能な係合部材50と、係合部材50に弾性力を作用させる第2弾性体51と、第2弾性体51を支持する支持部材52と、第2孔45Bに配置され、第2孔45Bに沿って移動可能な押圧部材53と、を備える。
【0056】
第1孔45Aは、第1直線L1と直交する面に沿って開口している。第2孔45Bは、第1直線L1と平行な方向に沿って開口している。図の例では、第1孔45A及び第2孔45Bを組み合わせた形状は、L字状となっている。なお、第1孔45A及び第2孔45Bを組み合わせた形状は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0057】
図28は、第1実施形態に係る係合部材50の動作説明図である。
図29は、第1実施形態に係る係合部材50と支持部材52との係り合いを示す模式図である。
図30は、第1実施形態に係る保持機構4の動作説明図である。
図28から
図30を併せて参照し、係合部材50は、第1直線L1と直交する面に沿う部分と、第1直線L1に対して斜めに交差する部分と、を含んで構成される。図の例では、係合部材50は、第1部材10に形成された溝15に沿う部分を有する。なお、係合部材50の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0058】
例えば、第2弾性体51は、コイルスプリングである。なお、第2弾性体51は、上記に限らず、コイルスプリング以外の他のバネを含んで構成されてもよい。例えば、第2弾性体51の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0059】
図示はしないが、保持機構4は、係合部材50と支持部材52とを繋ぐ紐状の部材(例えば、ストリング)を更に備えて構成されてもよい。例えば、ストリングにより、係合部材50と支持部材52との可動域が制限されてもよい。これにより、押圧部材53が押されていない状態、つまり、係合部材50が押されていないときに、押圧部材53がガイド部材40の外へ出過ぎてしまうことを抑制することができる。
【0060】
例えば、ガイド部材40の内部に、係合部材50を係り合わせるための係合溝が形成されてもよい。これにより、例えば、外部からの衝撃等で、ガイド部材40から係合部材50が外れてしまうことを防止することができる。
【0061】
支持部材52は、第1直線L1と直交する面に沿う部分を含むとともに、押圧部材53と対向する部分に、第1直線L1に対して斜めに交差する部分を含んで構成される。図の例では、支持部材52は、押圧部材53に形成された斜面に沿う部分を有する。なお、支持部材52の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0062】
図示はしないが、係合部材50の先端部と反対側の部分には、第2弾性体51の一端部を接続するための第1接続孔が形成されてもよい。例えば、支持部材52において係合部材50と対向する部分には、第2弾性体51の他端部を接続するための第2接続孔が形成されてもよい。例えば、接続孔の形成態様(第2弾性体51の接続態様)は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0063】
押圧部材53は、第1直線L1と平行な面に沿う部分を含むとともに、支持部材52と対向する部分に、第1直線L1に対して斜めに交差する部分を含んで構成される。図の例では、押圧部材53は、支持部材52に形成された斜面に沿う部分を有する。なお、押圧部材53の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0064】
例えば、初期状態のときに押圧部材53を押し込むことで、係合部材50が飛び出す。押圧部材53が押し込まれ続けている間は、第2弾性体51により、係合部材50が飛び出ている状態を保持する。この理由は、第1部材10及び第2部材30の間の結合時に押圧部材53が押し込まれ、保持状態には押圧部材53が押し込まれ続けるようにするためである。
【0065】
一方、押圧部材53が解放された状態で係合部材50が押し込まれることで、係合部材50を格納するとともに押圧部材53を飛び出した状態へ戻すことができる。第1部材10及び第2部材30の間の結合の解放時は、押圧部材53の解放と係合部材50への押し込みが同時に発生することにより、係合部材50を格納し第1部材10を解放することができる。
【0066】
保持機構4の役割は、以下(7-1)から(7-3)の通りである。
(7-1)結合時、押圧部材53が押し込まれることで係合部材50を作動させ、第1部材10の溝15に挿入し、結合を完了させる。
(7-2)係合部材50によって結合状態の保持を行う。
(7-3)解放時、係合部材50を格納し第1部材10を解放する。
【0067】
例えば、保持機構4の構成要素(第2弾性体51以外の係合部材50、支持部材52及び押圧部材53)は、3Dプリンタで製造される。なお、保持機構4の構成要素は、上記に限らず、他の方法で製造されてもよい。例えば、保持機構4を製造する方法や構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0068】
<結合フェーズへ突入する前>
結合フェーズへ突入する前の制御を説明する。
図31は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の結合開始前の一例を示す斜視図である。
図31を参照し、結合フェーズへ突入する前、第1構造体3A及び第2構造体3Bを各々搭載した衛星100A,100Bの相対位置及び相対姿勢の制御を行う。事前に、2つの衛星100A,100B(2物体の一例)が直線上に位置するよう、必要な制御が行われたうえで、結合フェーズが開始される。本実施形態では、第1構造体3A及び第2構造体3Bを第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態で、結合及び解放がなされる。
【0069】
結合フェーズの開始直前までは、シリンダ20の内部の構成部品(ガイド部材40、第2部材30、保持機構4、第1弾性体21及びベアリング22)は動かない。つまり、部品同士の組み合わせ、係り合いにより部品同士が互いに干渉し合い、相対位置関係を一定に保つ。
図31においては、第1弾性体21及びベアリング22等の図示を省略する。
【0070】
<各フェーズの動作の一例>
各フェーズの動作の一例を説明する。
図32は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の結合開始の一例を示す斜視図である。
図33は、第1実施形態に係る結合フェーズにおいて第1部材10が第2部材30を押し込む一例を示す斜視図である。
図34は、第1実施形態に係る結合フェーズにおいて第2部材30が第1部材10の押し込みによって回転する一例を示す斜視図である。
図35は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の結合完了の一例を示す斜視図である。
図36は、第1実施形態に係る解放フェーズにおいて第1部材10が第2部材30を押し込む一例を示す斜視図である。
図37は、第1実施形態に係る解放フェーズにおいて第2部材30が第1部材10の押し込みによって回転する一例を示す斜視図である。
図38は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の解放完了の一例を示す斜視図である。
図39は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の一部を拡大した側面図であって結合フェーズの動作説明図である。
図40は、
図39に続く、結合フェーズの動作説明図である。
図41は、
図40に続く、結合フェーズの動作説明図である。
図42は、
図41に続く、結合フェーズの動作説明図である。
図43は、
図42に続く、結合フェーズの動作説明図である。
図44は、
図43に続く、結合完了(保持状態)の説明図である。
図45は、第1実施形態に係る結合保持解放機構1の一部を拡大した側面図であって解放フェーズの動作説明図である。
図46は、
図45に続く、解放フェーズの動作説明図である。
図47は、
図46に続く、解放フェーズの動作説明図である。
図48は、
図47に続く、解放フェーズの動作説明図である。
図49は、
図48に続く、解放フェーズの動作説明図である。
図50は、
図49に続く、解放完了の説明図である。
図32から
図49においては、シリンダ20、第1弾性体21及びベアリング22等の図示を省略する。
【0071】
<結合フェーズ>
結合フェーズの各部品の動きを詳細に説明する。
図32から
図35、
図39から
図44を併せて参照し、
図39の状態(相対位置関係を一定に保った状態)から、電磁力による引力によって、第1構造体3Aの構成部品である第1部材10がシリンダ20の内部に誘導される。これにより、シリンダ20の内部の構成部品も第1部材10からの力を受けて動作する。
【0072】
まず、第1部材10は、第2部材30を第1方向V1へ押し込む(
図33及び
図40等参照)。第1部材10及び第2部材30の各々の突起の斜面が互いに同じカーブを描くように湾曲している場合、第1部材10の突起は第2部材30の突起に対して円滑に摺動する。
【0073】
第1部材10が第2部材30を押し込んでいる最中に、第1部材10の突状部14は、周方向において各ガイド部材40の側面の間に配置される(
図33及び
図40等参照)。これにより、第1部材10が第2部材30を押し込んでいる最中に、第2構造体3Bから見て第1部材10が相対的に回転することを抑制することができる。つまり、第1部材10の突状部14は2つのガイド部材40の間に入り込んでいくので、第1部材10は、相対的に回転することなく、第2部材30を押し込むことが可能である。
【0074】
第1部材10が第2部材30を所定量押し込んだとき、第1弾性体21が圧縮され、第2部材30に反力を与える。このとき、第1弾性体21に蓄えられた圧縮エネルギーは、第1部材10と第2部材30との係り合いにより、第2部材30がガイド部材40のガイド面41上を滑ることで、一部解放される(
図41等参照)。
【0075】
例えば、第1部材10が第2部材30を所定以上押し込むと、第2部材30の第2突起33が第1部材10の第1面11に沿って摺動し、第2部材30が矢印R方向に回転する(
図34等参照)。第2部材30は、矢印R方向に回転しながらガイド面41上を滑る(
図42等参照)。第2部材30がガイド面41上を滑り終わるときは、ガイド部材40のガイド面41に第2部材30の第2面31が接触する。このときに、第2部材30は、保持機構4の押圧部材53を押し込み、停止することとなる(
図43等参照)。
【0076】
押圧部材53が押し込まれると、保持機構4を構成する第2弾性体51には、一時的に圧縮エネルギーが蓄積される。この圧縮エネルギーは、第1構造体3A(第1部材10)と第2構造体3Bとを固定するためのラッチの役割を担う係合部材50の押し出しに利用される。これにより、第1衛星100A及び第2衛星100Bが互いに固定され、結合が完了する(
図35及び
図44等参照)。ラッチの作動により、結合フェーズを完了する。
【0077】
<保持>
結合が完了した状態では、ガイド部材40に収納されていた係合部材50が、ガイド部材40から飛び出している(
図35及び
図44等参照)。結合が完了した状態では、所定以上の外力が加わらない限り、電磁力なしで保持が可能である。保持状態では、係合部材50は、引き抜き方向の力に対する反力を発生させる。
【0078】
本実施形態では、線上配置状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込んだ後に第1部材10を第2方向V2へ移動させると、第1弾性体21の弾性力により第2面31が第1面11からガイド面41に沿って摺動し第2部材30が第1直線L1を中心に回りながら第2方向V2へ移動するよう構成される(
図34等参照)。第2部材30が第2方向V2へ所定以上移動すると、保持機構4が作動して保持がなされる(
図35及び
図44等参照)。
【0079】
本実施形態では、第2部材30が第2方向V2へ所定以上移動すると、第2部材30が押圧部材53を第2孔45Bに押し込み、押圧部材53の押し込み力により支持部材52及び第2弾性体51を介して係合部材50を第1孔45Aに沿って移動させ、第2弾性体51の弾性力により係合部材50の先端部が第1孔45Aから出て第1部材10の溝15に嵌まることで保持がなされる。
【0080】
<解放フェーズ>
解放フェーズの各部品の動きを詳細に説明する。
図36から
図38、
図45から
図50を併せて参照し、解放動作は、再び電磁力による引力を使い、第1部材10を更に第2部材30側に押し込むことで、可能となる。解放動作は、所定以上の電磁力を発生させ、第1部材10を第1方向V1へ押し込むことで行われる(
図36及び
図45等参照)。第2部材30が第1部材10により押し込まれたときに、係合部材50が第1孔45Aに押し戻され、格納される。これにより、第1構造体3Aと第2構造体3Bとの結合が解かれる。
【0081】
本実施形態では、保持がなされた状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に所定以上移動させると、溝15から係合部材50の先端部が外れて係合部材50の全部が第1孔45Aに格納される。係合部材50の全部が第1孔45Aに格納された後に電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込むと、保持機構4による保持が解除される。
【0082】
押し込まれた第2部材30は、所定量押し込まれたとき、第1部材10を補助としてガイド部材40のガイド面41上を滑る(
図46等参照)。続いて、第2部材30は、第1部材10を除荷すると同時に、ガイド面41上を滑る(
図47等参照)。
【0083】
例えば、第1部材10が第2部材30を所定以上押し込むと、第2部材30の第2突起33がガイド部材40のガイド面41に沿って摺動し、第2部材30が矢印R方向に回転する(
図37等参照)。第2部材30は、矢印R方向に回転しながらガイド面41上を滑る(
図47等参照)。
【0084】
第2部材30がガイド面41上を滑り終わった後、第2部材30の第2突起33は、周方向において各ガイド部材40の側面の間に配置される(
図48等参照)。その後、第2部材30は、結合前の状態に戻る(
図49等参照)。第1部材10が第2構造体3Bから離れたとき、解放が完了する(
図38及び
図50等参照)。第2構造体3Bの内部の部品が全て結合前の状態に戻り、解放フェーズを完了する。
【0085】
本実施形態では、保持が解除された状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込んだ後に第1部材10を第2方向V2へ移動させると、第1弾性体21の弾性力により第2面31が第1面11からガイド面41に沿って摺動し第2部材30が第1直線L1を中心に回りながら第2方向V2へ移動するよう構成される(
図37等参照)。第1弾性体21の弾性力により第2方向V2へ第2部材30が押され、第2部材30が第1部材10を第2方向V2へ押し戻すことで解放がなされる(
図38及び
図50等参照)。
【0086】
本実施形態によれば、超小型衛星100A,100Bに上記の結合保持解放機構1を搭載することにより、各衛星100A,100Bに搭載された電磁石2A,2Bにより発生する電磁力のみで動作させることができる。例えば、リソース節約のために、結合状態の保持には電磁力を必要としないものとすることが可能である。上記の通り、結合状態の保持は、ガイド部材40に内蔵された保持機構4により行うことができる。そのため、結合状態の保持を、電力消費なしで行うことができ、リソースの節約となる。
【0087】
加えて、保持状態で再度押し込みを行うことにより、保持機構4による第1部材10の保持が解除され、電磁力を除荷することで解放を完了する。解放時に、第1弾性体21に蓄えられた力を解放することにより、解放時の初速を与えることができる。これにより、解放時もスラスタによる補助が不要となる。
【0088】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の結合保持解放機構1は、第1部材10と、第1部材10とは別体の第2部材30と、第1部材10と第2部材30とを保持する保持機構4と、保持機構4を内蔵し、互いに連通する第1孔45A及び第2孔45Bが形成されたガイド部材40と、第2部材30に弾性力を作用させる第1弾性体21と、を備える。保持機構4は、第1孔45Aに配置され、第1孔45Aに沿って移動可能な係合部材50と、係合部材50に弾性力を作用させる第2弾性体51と、第2弾性体51を支持する支持部材52と、第2孔45Bに配置され、第2孔45Bに沿って移動可能な押圧部材53と、を備える。第1部材10には、係合部材50の先端部が嵌まることが可能に開口する溝15が形成される。第1部材10と第2部材30とは、外部から作用する力により互いに結合及び解放が可能に構成される。
この構成によれば、第1部材10と第2部材30とが外部から作用する力により互いに結合及び解放が可能に構成されるため、モータ等の動力源を必要とせず、結合及び解放を行うことができる。加えて、保持機構4を備えるため、電磁力を使わずに保持を行うことができる。したがって、モータを不要とし、軽量化を図ることができる。
【0089】
本実施形態では、結合保持解放機構1は、第1電磁石2Aを備える第1構造体3Aと、第1構造体3Aとは別に設けられ、第2電磁石2Bを備える第2構造体3Bと、第1構造体3Aと第2構造体3Bとを保持する保持機構4と、を備える。第1構造体3Aと第2構造体3Bとは、第1電磁石2A及び第2電磁石2Bが生み出す電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成される。
この構成によれば、第1構造体3A及び第2構造体3Bが電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成されるため、モータ等の動力源を必要とせず、結合及び解放を行うことができる。加えて、保持機構4を備えるため、電磁力を使わずに保持を行うことができる。したがって、モータを不要とし、軽量化を図ることができる。
【0090】
本実施形態では、第1電磁石2A及び第2電磁石2Bの一方の芯棒5Aは、円錐形状の凸部6を有する。第1電磁石2A及び第2電磁石2Bの他方の芯棒5Bは、凸部6に沿う形状の凹部7を有する。
この構成によれば、第1構造体3A及び第2構造体3Bを互いに結合する際に斜めに進入した場合でも、円錐形状の凸部6が凹部7に沿うように移動するため、自動で直線上に揃えることができる。したがって、自律的な姿勢制御で結合直前の位置姿勢を揃えることができる。
【0091】
本実施形態では、第1構造体3A及び第2構造体3Bを第1直線L1の線上に揃えた線上配置状態で、結合及び解放がなされる。
この構成によれば、第1構造体3A及び第2構造体3Bの位置姿勢が直線上に揃うため、結合及び解放を円滑に行うことができる。
【0092】
本実施形態では、線上配置状態で、第1構造体3Aは、第1直線L1に対して傾斜した第1面11を有し、電磁力により第1直線L1に沿う第1方向V1及び第1方向V1とは逆の第2方向V2へ移動可能な第1部材10を備える。
この構成によれば、第1構造体3Aを構成する第1部材10の役割(例えば、結合時及び解放時に第2構造体3Bを構成する第2部材30を押し込み、回転させる等)を簡単な構成で実現することができる。
【0093】
本実施形態では、線上配置状態で、第2構造体3Bは、第1直線L1に対して傾斜した第2面31を有する第2部材30と、第1直線L1に対して傾斜したガイド面41を有するガイド部材40と、第2部材30に弾性力を作用させる第1弾性体21と、を備える。
この構成によれば、第2構造体3Bの役割(例えば、未結合時の第2部材30の保持、並びに、結合時及び解放時に第2部材30を斜面に沿って回転させる等)を簡単な構成で実現することができる。
【0094】
本実施形態では、線上配置状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込んだ後に第1部材10を第2方向V2へ移動させると、第1弾性体21の弾性力により第2面31が第1面11からガイド面41に沿って摺動し第2部材30が第1直線L1を中心に回りながら第2方向V2へ移動するよう構成される。第2部材30が第2方向V2へ所定以上移動すると、保持機構4が作動して保持がなされる。
この構成によれば、第2部材30が第2方向V2へ所定以上移動すると、保持機構4が作動して保持がなされるため、保持を円滑に行うことができる。加えて、第1弾性体21が斜面に沿った第1部材10への回転力の付与に加えて、ダンパとしても機能するため、結合時の衝突を緩和することができる。さらに、第1弾性力の押し込みにより蓄えられたエネルギーを解放時の初速Δv(デルタブイ)に変えることができる。そのため、解放時の初速を与えるためのスラスタを不要とし、軽量化することができる。
【0095】
本実施形態では、線上配置状態で、第1部材10は、第1直線L1を中心とする筒状の第1本体12と、第1本体12から第1方向V1に突出し第1面11を有する複数の第1突起13と、を備える。複数の第1突起13は、第1直線L1の周りの周方向において等間隔に配置される。
この構成によれば、複数の第1突起13により、結合及び解放をより円滑に且つ安定して行うことができる。
【0096】
本実施形態では、線上配置状態で、第2部材30は、第1直線L1を中心とする環状の第2本体32と、第2本体32から第2方向V2に突出し第2面31を有する複数の第2突起33と、を備える。複数の第2突起33は、周方向において等間隔に配置される。
この構成によれば、複数の第2突起33により、結合及び解放をより円滑に且つ安定して行うことができる。
【0097】
本実施形態では、線上配置状態で、ガイド部材40は、第1直線L1を中心とする弧状のガイド本体42と、ガイド本体42から第1方向V1に突出しガイド面41を有する複数のガイド突起43と、を備える。ガイド部材40は、周方向において等間隔に複数配置される。
この構成によれば、複数のガイド部材40により、結合及び解放をより円滑に且つ安定して行うことができる。
【0098】
本実施形態では、第1面11、第2面31及びガイド面41のうち少なくとも第1面11は、湾曲している。
この構成によれば、第1面11、第2面31及びガイド面41の全部が平面で構成される場合と比較して、結合及び解放をより円滑に且つ安定して行うことができる。加えて、解放時の許容誤差を大きくする、つまり、解放時に第2部材30が正常に回転するための許容範囲に更なる余裕を持たせることができる。そのため、解放不具合が生じる事態を回避することができる。
【0099】
本実施形態では、保持機構4は、ガイド部材40に内蔵される。
この構成によれば、保持機構4がガイド部材40の外に配置される場合と比較して、結合保持解放機構1を小型化しやすい。加えて、外部からの衝撃等の外的要因から保持機構4を保護することができる。
【0100】
本実施形態では、ガイド部材40には、第1直線L1とは異なる第2直線L2に沿って開口する第1孔45Aと、第1孔45Aに連通し、第2直線L2と交差する第3直線L3に沿って開口する第2孔45Bと、が形成される。保持機構4は、第1孔45A及び第2孔45Bに配置される。
この構成によれば、保持機構4を内蔵したガイド部材40を簡単な構成で実現することができる。
【0101】
本実施形態では、保持機構4は、第1孔45Aに配置され、第1孔45Aに沿って移動可能な係合部材50と、係合部材50に弾性力を作用させる第2弾性体51と、第2弾性体51を支持する支持部材52と、第2孔45Bに配置され、第2孔45Bに沿って移動可能な押圧部材53と、を備える。第1本体12には、係合部材50の先端部が嵌まることが可能に開口する溝15が形成される。
この構成によれば、保持機構4の役割(例えば、結合時は押圧部材53が押し込まれることで係合部材50の先端部を溝15に嵌める、係合部材50によって結合状態の保持を行う、及び、解放時は係合部材50を第1孔45Aに格納する等)を簡単な構成で実現することができる。
【0102】
本実施形態では、第2部材30が第2方向V2へ所定以上移動すると、第2部材30が押圧部材53を第2孔45Bに押し込み、押圧部材53の押し込み力により支持部材52及び第2弾性体51を介して係合部材50を第1孔45Aに沿って移動させ、第2弾性体51の弾性力により係合部材50の先端部が第1孔45Aから出て溝15に嵌まることで保持がなされる。
この構成によれば、第2弾性体51の弾性力により係合部材50の先端部が第1孔45Aから出て溝15に嵌まることで保持がなされるため、電磁力を必要とせず、電力等のエネルギーを必要としない。したがって、省エネルギーに寄与する。
【0103】
本実施形態では、第1孔45Aは、第1直線L1と直交する面に沿って開口している。第2孔45Bは、第1直線L1と平行な方向に沿って開口している。
この構成によれば、係合部材50と押圧部材53との間で力の作用線が一直線上となるため、結合及び解放をより円滑に且つ安定して行うことができる。加えて、第1孔45A及び第2孔45Bを組み合わせた形状がL字状となるため、保持機構4を内蔵したガイド部材40をより簡単な構成で実現することができる。
【0104】
本実施形態では、保持がなされた状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に所定以上移動させると、溝15から係合部材50の先端部が外れて係合部材50の全部が第1孔45Aに格納される。
この構成によれば、解放時の初速を与えることができる。加えて、スラスタによる補助が不要となる。加えて、係合部材50の全部が第1孔45Aに格納されることで、外部からの衝撃等の外的要因から係合部材50を保護することができる。
【0105】
本実施形態では、係合部材50の全部が第1孔45Aに格納された後に電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込むと、保持機構4による保持が解除される。
この構成によれば、解放時の初速を与えることができる。加えて、スラスタによる補助が不要となる。
【0106】
本実施形態では、保持が解除された状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込んだ後に第1部材10を第2方向V2へ移動させると、第1弾性体21の弾性力により第2面31が第1面11からガイド面41に沿って摺動し第2部材30が第1直線L1を中心に回りながら第2方向V2へ移動するよう構成される。第1弾性体21の弾性力により第2方向V2へ第2部材30が押され、第2部材30が第1部材10を第2方向V2へ押し戻すことで解放がなされる。
この構成によれば、第1弾性体21の弾性力により解放がなされるため、モータ等の動力源を必要とせず、解放を行うことができる。
【0107】
本実施形態では、結合保持解放機構1は、一辺の長さが100mmの立方体の空間に収まる大きさとされる。
この構成によれば、結合保持解放機構1を小型化することができる。
【0108】
本実施形態では、第1構造体3A及び第2構造体3Bの一方は、第1衛星100Aに搭載される。第1構造体3A及び第2構造体3Bの他方は、第1衛星100Aとは別の第2衛星100Bに搭載される。
この構成によれば、第1衛星100A及び第2衛星100Bが電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成されるため、モータ等の動力源を必要とせず、結合、保持及び解放を行うことができる。したがって、モータを不要とし、軽量化を図ることができる。
例えば、第1構造体3A及び第2構造体3Bが超小型衛星100A,100Bに搭載されることで、超小型衛星100A,100Bの恒久利用可能かつ環境保全及び省エネルギーに適した結合保持解放機構1を実現することができる。本実施形態の結合保持解放機構1によれば、小型衛星100A,100Bの連結が可能となり、大型衛星と同様のシステム構築が可能となる。特に、本機構では、ヒドラジンといった有毒な推進剤が必要となるスラスタを用いず、電磁石2A,2Bのみを用いるため、衛星寿命に左右されることがない。例えば、電磁石2A,2Bの電力は、衛星100A,100Bに搭載される太陽電池パネル110を用いるため、環境保全及び省エネルギーに寄与しうる。更に、電磁石2A,2Bを用いることで、精度良い正確な制御を用いる必要がない。電磁石2A,2Bは、互いに引き合って磁界が一直線上に揃う性質を持つ。そのため、本機構は電磁石2A,2Bを備えることで、ある程度自律的な結合(Autonomous Docking)が可能である。本機構によれば、上記の利点を持つ電磁石2A,2Bの電磁力(引力及び斥力)によるポテンシャルエネルギーをバネに蓄積させ、衝突を緩和した結合、及び、保持を実現し、かつ、その解放によってΔv(デルタブイ)の増加を可能とするシステムを構築することができる。
【0109】
<第2実施形態>
第1実施形態では、係合部材50と押圧部材53との間で力の作用線が一直線上となる構成の例を挙げて説明した。第2実施形態では、ガイド部材240に内蔵された保持機構204の構成が第1実施形態と相違している。以下の説明において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0110】
図51は、第2実施形態に係るガイド部材240に内蔵された保持機構204を示す斜視図であって係合部材250の格納状態を示す図である。
図52は、第2実施形態に係るガイド部材240に内蔵された保持機構204を示す斜視図であって押圧部材253が押し込まれた状態を示す図である。
図53は、第2実施形態に係るガイド部材240に内蔵された保持機構204を示す斜視図であって係合部材250の突出状態を示す図である。
図54は、第2実施形態に係るガイド部材240に内蔵された保持機構204を示す平面図であって係合部材250の突出状態を示す図である。
図55は、第2実施形態に係る係合部材250の動作説明図である。
図51から
図54においては、ガイド部材240の一部を2点鎖線で示す。
【0111】
図51から
図55を併せて参照し、線上配置状態で、ガイド部材240は、第1直線L1に対して傾斜したガイド面241を有する。線上配置状態で、ガイド部材240は、第1直線L1を中心とする弧状のガイド本体242と、ガイド本体242から第1方向V1に突出しガイド面241を有する複数のガイド突起243と、を備える。ガイド部材240は、周方向において等間隔に複数配置される。
【0112】
ガイド部材240には、第1直線L1とは異なる第2直線L2に沿って開口する第1孔245Aと、第1孔245Aに連通し、第2直線L2と交差する第3直線L3に沿って開口する第2孔245Bと、第2孔245Bに連通し、第3直線L3と交差する第4直線L4に沿って開口する第3孔245Cと、が形成される。保持機構204は、第1孔245A、第2孔245B及び第3孔245Cに配置される。
【0113】
保持機構204は、第1孔245A及び第2孔245Bに配置され、第2孔245Bに沿って移動可能な係合部材250と、係合部材250に弾性力を作用させる第2弾性体251と、第2弾性体251を支持する支持部材252と、第3孔245Cに配置され、第3孔245Cに沿って移動可能な押圧部材253と、を備える。
【0114】
本実施形態では、第2部材30が第2方向V2へ所定以上移動すると、第2部材30が押圧部材253を第3孔245Cに押し込み、押圧部材253の押し込み力により支持部材252及び第2弾性体251を介して係合部材250を第2孔245Bに沿って移動させ、第2弾性体251の弾性力により係合部材250の先端部が第1孔245Aから出て溝15に嵌まることで保持がなされる。
【0115】
第1孔245Aは、第1直線L1と平行な方向に沿って延びるとともに、第1直線L1と直交する面に沿って開口している。第2孔245Bは、第1孔245Aと直交して延びるとともに、第1直線L1と直交する面に沿って開口している。第3孔245Cは、第2孔245Bと直交して延びるとともに、第1直線L1と直交する面に沿って開口している。
【0116】
図の例では、第1孔245A及び第2孔245Bを組み合わせた形状は、L字状となっている。図の例では、第2孔245B及び第3孔245Cを組み合わせた形状は、L字状となっている。なお、第1孔245A及び第2孔245B、並びに、第2孔245B及び第3孔245Cを組み合わせた形状は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0117】
図の例では、係合部材250は、第1直線L1と直交する面に沿う部分と、第1直線L1に対して斜めに交差する部分と、を含んで構成される。図の例では、係合部材250は、第1部材10に形成された溝15に沿う部分を有する。図の例では、係合部材250は、支持部材252に形成された斜面に沿う部分を有する。図の例では、係合部材250は、第1孔245A及び第2孔245Bに沿うL字状の部分を有する。なお、係合部材250の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0118】
例えば、第2弾性体251は、コイルスプリングである。図の例では、第2弾性体251は、支持部材252と押圧部材253との間に配置される。なお、第2弾性体251は、上記に限らず、コイルスプリング以外の他のバネを含んで構成されてもよい。例えば、第2弾性体251の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0119】
図の例では、支持部材252は、第1直線L1と直交する面に沿う部分を含むとともに、係合部材250と対向する部分に、第3直線L3に対して斜めに交差する部分を含んで構成される。図の例では、支持部材252は、係合部材250に形成された斜面に沿う部分を有する。なお、支持部材252の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0120】
図の例では、押圧部材253は、第3孔245Cに沿う部分を含むとともに、支持部材252と対向する部分とは反対側に、半球状の部分を含んで構成される。図の例では、押圧部材253の半球状の部分は、ガイド部材240の第3孔245Cから外に突き出ることが可能に構成される。なお、押圧部材253の構成態様は、上記に限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0121】
本実施形態では、保持がなされた状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に所定以上移動させると、第1部材10の溝15から係合部材250の先端部が外れて係合部材250の全部が第1孔245A及び第2孔245Bに格納される。係合部材250の全部が第1孔245A及び第2孔245Bに格納された後に電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込むと、保持機構204による保持が解除される。
【0122】
保持が解除された状態で、電磁力により第1部材10を第1方向V1に移動させて第2部材30を所定以上押し込んだ後に第1部材10を第2方向V2へ移動させると、第1弾性体21の弾性力により第2面31が第1面11からガイド面241に沿って摺動し第2部材30が第1直線L1を中心に回りながら第2方向V2へ移動するよう構成される。第1弾性体21の弾性力により第2方向V2へ第2部材30が押され、第2部材30が第1部材10を第2方向V2へ押し戻すことで解放がなされる。
【0123】
<第3実施形態>
第1実施形態では、線上配置状態で第2部材30及びガイド部材40の各々が所定以上の長さを有する例を挙げて説明した。第3実施形態では、第2部材330及びガイド部材340の各々のサイズが第1実施形態と相違している。以下の説明において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0124】
図56は、第3実施形態に係る第2部材330の斜視図である。
図57は、第3実施形態に係るガイド部材340の斜視図である。
図58は、第3実施形態に係る第2部材330及びガイド部材340の側面図である。
図56から
図58を併せて参照し、線上配置状態で、第2部材330は、第1直線L1を中心とする環状の第2本体332と、第2本体332から第2方向V2に突出し第2面331を有する複数の第2突起333と、を備える。複数の第2突起333は、周方向において等間隔に配置される。
【0125】
線上配置状態で、ガイド部材340は、第1直線L1に対して傾斜したガイド面341を有する。線上配置状態で、ガイド部材340は、第1直線L1を中心とする弧状のガイド本体342と、ガイド本体342から第1方向V1に突出しガイド面341を有する複数のガイド突起343と、を備える。ガイド部材340は、周方向において等間隔に複数配置される。
【0126】
例えば、線上配置状態で第1直線L1に沿う方向の第2突起333の長さ(以下「第2突起333の高さ」ともいう。)は、所定高さ以下とするとよい。本実施形態の第2突起333の高さは、第1実施形態の第2突起33の高さよりも低い(
図14及び
図56等参照)。
【0127】
例えば、線上配置状態で第1直線L1に沿う方向のガイド本体342の長さ(以下「ガイド本体342の高さ」ともいう。)は、所定高さ以下とするとよい。本実施形態のガイド本体342の高さは、第1実施形態のガイド本体42の高さよりも低い(
図17及び
図57等参照)
【0128】
本実施形態によれは、第2突起333の高さ及びガイド本体342の高さの各々が所定高さ以下とされることで、更なる小型化を図ることができる。
【0129】
<変形例>
上述した実施形態では、結合保持解放機構は、第1電磁石と、第1電磁石とは別体の第2電磁石と、を更に備え、第1部材と第2部材とは、外部から作用する力として第1電磁石及び第2電磁石が生み出す電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、外部から作用する力は、電磁石の引斥力に限定されない。例えば、宇宙の衛星の場合は、スラスタを使用してもよいし、ロボットアームで押してもよい。例えば、結合保持解放機構は、宇宙での使用を想定しない場合は、電磁石を備えていなくてもよい。例えば、結合保持解放機構は、手で押すだけで、離れた2物体を結合・保持・解放できるように構成されていてもよい。例えば、外部から作用する力は、互いに離れた2物体を外から押し付ける力であればよく、種々の態様を採用することができる。
【0130】
上述した実施形態では、第1電磁石及び第2電磁石の一方の芯棒は、円錐形状の凸部を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1電磁石及び第2電磁石の一方の芯棒は、円錐形状の凸部を有しなくてもよい。例えば、第1電磁石及び第2電磁石の一方の芯棒は、円柱形状であってもよい。例えば、第1電磁石及び第2電磁石の一方の芯棒の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0131】
上述した実施形態では、第1電磁石及び第2電磁石の他方の芯棒は、凸部に沿う形状の凹部を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1電磁石及び第2電磁石の他方の芯棒は、凸部に沿う形状の凹部を有しなくてもよい。例えば、第1電磁石及び第2電磁石の他方の芯棒は、円柱形状であってもよい。例えば、第1電磁石及び第2電磁石の他方の芯棒の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0132】
上述した実施形態では、第1構造体及び第2構造体を第1直線の線上に揃えた線上配置状態で、結合及び解放がなされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1構造体及び第2構造体を第1直線の線上に揃えずに、結合及び解放がなされてもよい。例えば、第1構造体及び第2構造体を結合及び解放する態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0133】
上述した実施形態では、線上配置状態で、第1構造体は、第1直線に対して傾斜した第1面を有し、電磁力により第1直線に沿う第1方向及び第1方向とは逆の第2方向へ移動可能な第1部材を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1構造体は、第1直線に対して傾斜した第1面を有する第1部材を備えなくてもよい。例えば、第1部材は、電磁力以外の力(例えば、弾性力)で第1方向又は第2方向へ移動可能に構成されてもよい。例えば、第1構造体を構成する第1部材の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0134】
上述した実施形態では、線上配置状態で、第2構造体は、第1直線に対して傾斜した第2面を有する第2部材と、第1直線に対して傾斜したガイド面を有するガイド部材と、第2部材に弾性力を作用させる第1弾性体と、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2構造体は、第1直線に対して傾斜した第2面を有する第2部材を備えなくてもよい。例えば、第2構造体は、第1直線に対して傾斜したガイド面を有するガイド部材を備えなくてもよい。例えば、第2構造体は、第2部材に弾性力を作用させる第1弾性体を備えなくてもよい。例えば、第2構造体の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0135】
上述した実施形態では、線上配置状態で、電磁力により第1部材を第1方向に移動させて第2部材を所定以上押し込んだ後に第1部材を第2方向へ移動させると、第1弾性体の弾性力により第2面が第1面からガイド面に沿って摺動し第2部材が第1直線を中心に回りながら第2方向へ移動するよう構成され、第2部材が第2方向へ所定以上移動すると、保持機構が作動して保持がなされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2部材が第2方向へ所定以上移動すると、保持機構が作動して保持がなされなくてもよい。例えば、第2部材が第2方向へ所定以上移動することとは別に、保持機構が作動して保持がなされてもよい。例えば、保持機構が作動する態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0136】
上述した実施形態では、線上配置状態で、第1部材は、第1直線を中心とする筒状の第1本体と、第1本体から第1方向に突出し第1面を有する複数の第1突起と、を備え、複数の第1突起は、第1直線の周りの周方向において等間隔に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1部材は、第1直線を中心とする筒状の第1本体を備えなくてもよい。例えば、第1部材は、第1本体から第1方向に突出し第1面を有する複数の第1突起を備えなくてもよい。例えば、第1部材の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0137】
上述した実施形態では、線上配置状態で、第2部材は、第1直線を中心とする環状の第2本体と、第2本体から第2方向に突出し第2面を有する複数の第2突起と、を備え、複数の第2突起は、周方向において等間隔に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2部材は、第1直線を中心とする環状の第2本体を備えなくてもよい。例えば、第2部材は、第2本体から第2方向に突出し第2面を有する複数の第2突起を備えなくてもよい。例えば、第2部材の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0138】
上述した実施形態では、線上配置状態で、ガイド部材は、第1直線を中心とする弧状のガイド本体と、ガイド本体から第1方向に突出しガイド面を有する複数のガイド突起と、を備え、ガイド部材は、周方向において等間隔に複数配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ガイド部材は、第1直線を中心とする弧状のガイド本体を備えなくてもよい。例えば、ガイド部材は、ガイド本体から第1方向に突出しガイド面を有する複数のガイド突起を備えなくてもよい。例えば、ガイド部材の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0139】
上述した実施形態では、第1面、第2面及びガイド面のうち少なくとも第1面は、湾曲している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1面、第2面及びガイド面の全部は、平面で構成されてもよい。例えば、第1面、第2面及びガイド面の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0140】
上述した実施形態では、保持機構は、ガイド部材に内蔵される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保持機構は、ガイド部材に内蔵されなくてもよい。例えば、保持機構は、ガイド部材の外に配置されてもよい。例えば、保持機構の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0141】
上述した実施形態では、ガイド部材には、第1直線とは異なる第2直線に沿って開口する第1孔と、第1孔に連通し、第2直線と交差する第3直線に沿って開口する第2孔と、が形成され、保持機構は、第1孔及び第2孔に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保持機構は、第1孔及び第2孔に配置されなくてもよい。例えば、保持機構は、第1孔及び第2孔とは別の孔に配置されてもよい。例えば、保持機構の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0142】
上述した実施形態では、保持機構は、第1孔に配置され、第1孔に沿って移動可能な係合部材と、係合部材に弾性力を作用させる第2弾性体と、第2弾性体を支持する支持部材と、第2孔に配置され、第2孔に沿って移動可能な押圧部材と、を備え、第1本体には、係合部材の先端部が嵌まることが可能に開口する溝が形成される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保持機構は、第1孔に配置され、第1孔に沿って移動可能な係合部材を備えなくてもよい。例えば、保持機構は、係合部材に弾性力を作用させる第2弾性体を備えなくてもよい。例えば、保持機構は、第2孔に配置され、第2孔に沿って移動可能な押圧部材を備えなくてもよい。例えば、第1本体には、係合部材の先端部が嵌まることが可能に開口する溝が形成されなくてもよい。例えば、保持機構は、第1本体の一部と係り合うことで第1構造体と第2構造体とを保持するよう構成されてもよい。例えば、保持機構の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0143】
上述した実施形態では、第2部材が第2方向へ所定以上移動すると、第2部材が押圧部材を第2孔に押し込み、押圧部材の押し込み力により支持部材及び第2弾性体を介して係合部材を第1孔に沿って移動させ、第2弾性体の弾性力により係合部材の先端部が第1孔から出て溝に嵌まることで保持がなされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2弾性体の弾性力により係合部材の先端部が第1孔から出て溝に嵌まることで保持がなされなくてもよい。例えば、第2弾性体の弾性力以外の力(例えば、電磁力、電力等のエネルギーによる力)により係合部材の先端部が第1孔から出て溝に嵌まることで保持がなされてもよい。例えば、係合部材の先端部が第1孔から出て溝に嵌まることで保持がなされる態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0144】
上述した実施形態では、第1孔は、第1直線と直交する面に沿って開口している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1孔は、第1直線と直交する面に沿って開口していなくてもよい。例えば、第1孔は、第1直線と斜めに交差する面に沿って開口していてもよい。例えば、第1孔の開口態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0145】
上述した実施形態では、第2孔は、第1直線と平行な方向に沿って開口している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第2孔は、第1直線と平行な方向に沿って開口していなくてもよい。例えば、第2孔は、第1直線と斜めに交差する方向に沿って開口していてもよい。例えば、第2孔の開口態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0146】
上述した実施形態では、保持がなされた状態で、電磁力により第1部材を第1方向に所定以上移動させると、溝から係合部材の先端部が外れて係合部材の全部が第1孔に格納される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、保持がなされた状態で、電磁力により第1部材を第1方向に所定以上移動させると、溝から係合部材の先端部が外れて係合部材の全部が第1孔に格納されなくてもよい。例えば、保持がなされた状態で、電磁力以外の力(例えば、弾性力)により第1部材を第1方向に所定以上移動させると、溝から係合部材の先端部が外れて係合部材の全部が第1孔に格納されてもよい。例えば、溝から係合部材の先端部が外れて係合部材の全部が第1孔に格納される態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0147】
上述した実施形態では、係合部材の全部が第1孔に格納された後に電磁力により第1部材を第1方向に移動させて第2部材を所定以上押し込むと、保持機構による保持が解除される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、係合部材の全部が第1孔に格納された後に電磁力により第1部材を第1方向に移動させて第2部材を所定以上押し込むと、保持機構による保持が解除されなくてもよい。例えば、係合部材の全部が第1孔に格納された後に電磁力以外の力(例えば、弾性力)により第1部材を第1方向に移動させて第2部材を所定以上押し込むと、保持機構による保持が解除されてもよい。例えば、保持機構による保持が解除される態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0148】
上述した実施形態では、保持が解除された状態で、電磁力により第1部材を第1方向に移動させて第2部材を所定以上押し込んだ後に第1部材を第2方向へ移動させると、第1弾性体の弾性力により第2面が第1面からガイド面に沿って摺動し第2部材が第1直線を中心に回りながら第2方向へ移動するよう構成され、第1弾性体の弾性力により第2方向へ第2部材が押され、第2部材が第1部材を第2方向へ押し戻すことで解放がなされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1弾性体の弾性力により第2方向へ第2部材が押され、第2部材が第1部材を第2方向へ押し戻すことで解放がなされなくてもよい。例えば、第1弾性体の弾性力以外の力(例えば、電磁力、電力等のエネルギーによる力)により第2方向へ第2部材が押され、第2部材が第1部材を第2方向へ押し戻すことで解放がなされてもよい。例えば、第2部材が第1部材を第2方向へ押し戻すことで解放がなされる態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0149】
上述した実施形態では、結合保持解放機構は、一辺の長さが100mmの立方体の空間に収まる大きさとされる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、結合保持解放機構は、一辺の長さが100mmの立方体の空間に収まる大きさとされなくてもよい。例えば、結合保持解放機構は、一辺の長さが100mm超過の立方体の空間に収まる大きさとされてもよい。例えば、結合保持解放機構の大きさは、設計仕様に応じて変更することができる。
【0150】
上述した実施形態では、第1構造体及び第2構造体の一方は、第1衛星に搭載される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1構造体及び第2構造体の一方は、第1衛星に搭載されなくてもよい。例えば、第1構造体及び第2構造体の一方は、衛星とは異なるものに搭載されてもよい。例えば、第1構造体及び第2構造体の一方が搭載される対象は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0151】
上述した実施形態では、第1構造体及び第2構造体の他方は、第1衛星とは別の第2衛星に搭載される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第1構造体及び第2構造体の他方は、第1衛星とは別の第2衛星に搭載されなくてもよい。例えば、第1構造体及び第2構造体の他方は、衛星とは異なるものに搭載されてもよい。例えば、第1構造体及び第2構造体の他方が搭載される対象は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0152】
上述した実施形態では、結合保持解放機構の一例として、互いに離れた2つの衛星の結合・保持・解放を可能にする機構の例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、結合保持解放機構は、衛星以外の物体、つまり、互いに離れた2物体の結合・保持・解放を可能にする機構であってもよい。例えば、結合・保持・解放をするための対象は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0153】
<コンピュータ構成>
システムを構成する制御装置は、バスで接続されたプロセッサ、メモリ、補助記憶装置(記憶部に相当)などを備える。制御装置は、プログラムを実行することによってシステムの構成要素を制御する制御装置として機能する。プロセッサの例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0154】
例えば、制御装置の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等のカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を用いて実現されてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0155】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0156】
(付記1)
第1部材と、
前記第1部材とは別体の第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材とを保持する保持機構と、
前記保持機構を内蔵し、互いに連通する第1孔及び第2孔が形成されたガイド部材と、
前記第2部材に弾性力を作用させる第1弾性体と、を備え、
前記保持機構は、
前記第1孔に配置され、前記第1孔に沿って移動可能な係合部材と、
前記係合部材に弾性力を作用させる第2弾性体と、
前記第2弾性体を支持する支持部材と、
前記第2孔に配置され、前記第2孔に沿って移動可能な押圧部材と、を備え、
前記第1部材には、前記係合部材の先端部が嵌まることが可能に開口する溝が形成され、
前記第1部材と前記第2部材とは、外部から作用する力により互いに結合及び解放が可能に構成される、
結合保持解放機構。
【0157】
(付記2)
前記第1部材及び前記第2部材を第1直線の線上に揃えた線上配置状態で、前記結合及び前記解放がなされる、
付記1に記載の結合保持解放機構。
【0158】
(付記3)
前記線上配置状態で、前記第1部材は、前記第1直線に対して傾斜した第1面を有し、
前記外部から作用する力により前記第1直線に沿う第1方向及び前記第1方向とは逆の第2方向へ移動可能とされる、
付記2に記載の結合保持解放機構。
【0159】
(付記4)
前記線上配置状態で、前記第2部材は、前記第1直線に対して傾斜した第2面を有し、前記ガイド部材は、前記第1直線に対して傾斜したガイド面を有する、
付記3に記載の結合保持解放機構。
【0160】
(付記5)
前記線上配置状態で、前記外部から作用する力により前記第1部材を前記第1方向に移動させて前記第2部材を所定以上押し込んだ後に前記第1部材を前記第2方向へ移動させると、前記第1弾性体の弾性力により前記第2面が前記第1面から前記ガイド面に沿って摺動し前記第2部材が前記第1直線を中心に回りながら前記第2方向へ移動するよう構成され、
前記第2部材が前記第2方向へ所定以上移動すると、前記保持機構が作動して前記保持がなされる、
付記4に記載の結合保持解放機構。
【0161】
(付記6)
前記線上配置状態で、前記第1部材は、前記第1直線を中心とする筒状の第1本体と、前記第1本体から前記第1方向に突出し前記第1面を有する複数の第1突起と、を備え、
前記複数の第1突起は、前記第1直線の周りの周方向において等間隔に配置される、
付記5に記載の結合保持解放機構。
【0162】
(付記7)
前記線上配置状態で、前記第2部材は、前記第1直線を中心とする環状の第2本体と、前記第2本体から前記第2方向に突出し前記第2面を有する複数の第2突起と、を備え、
前記複数の第2突起は、前記周方向において等間隔に配置される、
付記6に記載の結合保持解放機構。
【0163】
(付記8)
前記線上配置状態で、前記ガイド部材は、前記第1直線を中心とする弧状のガイド本体と、前記ガイド本体から前記第1方向に突出し前記ガイド面を有する複数のガイド突起と、を備え、
前記ガイド部材は、前記周方向において等間隔に複数配置される、
付記7に記載の結合保持解放機構。
【0164】
(付記9)
前記第2部材が前記第2方向へ所定以上移動すると、前記第2部材が前記押圧部材を前記第2孔に押し込み、前記押圧部材の押し込み力により前記支持部材及び前記第2弾性体を介して前記係合部材を前記第1孔に沿って移動させ、前記第2弾性体の弾性力により前記係合部材の前記先端部が前記第1孔から出て前記溝に嵌まることで前記保持がなされる、
付記8に記載の結合保持解放機構。
【0165】
(付記10)
第1電磁石と、
前記第1電磁石とは別体の第2電磁石と、を更に備え、
前記第1部材と前記第2部材とは、前記外部から作用する力として前記第1電磁石及び前記第2電磁石が生み出す電磁力により互いに結合及び解放が可能に構成される、
付記1から9の何れかに記載の結合保持解放機構。
【符号の説明】
【0166】
1…結合保持解放機構、2A…第1電磁石、2B…第2電磁石、3A…第1構造体、3B…第2構造体、4…保持機構、5A…一方の芯棒、5B…他方の芯棒、6…凸部、7…凹部、10…第1部材、11…第1面、12…第1本体、13…第1突起、15…溝、21…第1弾性体、30…第2部材、31…第2面、32…第2本体、33…第2突起、40…ガイド部材、41…ガイド面、42…ガイド本体、43…ガイド突起、45A…第1孔、45B…第2孔、50…係合部材、51…第2弾性体、52…支持部材、53…押圧部材、100A…第1衛星、100B…第2衛星、L1…第1直線、L2…第2直線、L3…第3直線、V1…第1方向、V2…第2方向